基本問題
483 電池の内部抵抗
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- キルヒホッフの第2法則を用いた解法
- 模範解答が端子電圧の式 \(V = E – rI\) とオームの法則 \(V = RI\) を個別に適用しているのに対し、別解では回路全体に対してキルヒホッフの第2法則(一周の電圧則)を適用し、\(E = (r + R)I\) という一つの式からアプローチします。
- キルヒホッフの第2法則を用いた解法
- 上記の別解が有益である理由
- 視点の統合: 電池内部の現象(端子電圧の低下)と外部回路の現象(抵抗での電圧降下)を、一つの閉回路として統一的に捉えることができます。
- 汎用性: 複雑な回路網の問題に発展した際、キルヒホッフの法則は最も基本的かつ強力なツールとなります。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる数値は模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「電池の内部抵抗と回路全体の電圧分布」です。
電池は単なる電圧源ではなく、内部に抵抗を持っています。そのため、電流が流れると電池内部で電圧降下が起こり、外部に取り出せる電圧(端子電圧)が起電力よりも小さくなる現象を理解します。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 端子電圧の式: 電池の端子電圧 \(V\) は、起電力 \(E\)、内部抵抗 \(r\)、電流 \(I\) を用いて \(V = E – rI\) と表されます。
- オームの法則: 抵抗 \(R\) に電流 \(I\) が流れるとき、その両端の電圧 \(V\) は \(V = RI\) となります。
- キルヒホッフの第2法則: 閉回路を一周したとき、起電力の和と電圧降下の和は等しくなります。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- まず、電池の端子電圧 \(V\) と起電力 \(E\)、内部抵抗 \(r\)、電流 \(I\) の関係式 \(V = E – rI\) を立て、与えられた数値を代入して内部抵抗 \(r\) を求めます。
- 次に、外部抵抗 \(R\) に着目し、その両端にかかる電圧が端子電圧 \(V\) に等しいことを利用して、オームの法則 \(V = RI\) から抵抗 \(R\) を求めます。
電池の内部抵抗と外部抵抗
思考の道筋とポイント
問題文で与えられているのは、起電力 \(E\)、電流 \(I\)、そして端子電圧 \(V\) です。
求めたいのは内部抵抗 \(r\) と外部抵抗 \(R\) です。
まずは電池内部に注目します。「起電力 \(E\)」から「内部抵抗での電圧降下 \(rI\)」を引いた残りが「端子電圧 \(V\)」として外部に出てくる、という関係式を立てれば、未知数 \(r\) を求めることができます。
次に外部回路に注目します。電池の端子電圧 \(V\) は、そのまま外部抵抗 \(R\) にかかる電圧となります。電流 \(I\) もわかっているので、オームの法則を使えば \(R\) が求まります。
この設問における重要なポイント
- 電池の端子電圧 \(V\) は、起電力 \(E\) よりも内部抵抗による電圧降下 \(rI\) 分だけ小さくなる。
- 外部抵抗 \(R\) にかかる電圧は、電池の端子電圧 \(V\) と等しい。
具体的な解説と立式
まず、内部抵抗 \(r\) を求めます。
電池の端子電圧 \(V\) は、起電力 \(E\) から内部抵抗 \(r\) による電圧降下 \(rI\) を引いたものです。
よって、以下の関係式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
V &= E – rI
\end{aligned}
$$
与えられた数値 \(V = 1.58\,\text{V}\), \(E = 1.68\,\text{V}\), \(I = 0.20\,\text{A}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
1.58 &= 1.68 – r \times 0.20
\end{aligned}
$$
次に、外部抵抗 \(R\) を求めます。
外部抵抗 \(R\) には電流 \(I\) が流れ、その両端の電圧は端子電圧 \(V\) に等しいので、オームの法則より、
$$
\begin{aligned}
V &= RI
\end{aligned}
$$
数値を代入します。
$$
\begin{aligned}
1.58 &= R \times 0.20
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 端子電圧の式: \(V = E – rI\)
- オームの法則: \(V = RI\)
まず \(r\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
1.58 &= 1.68 – 0.20r \\[2.0ex]
0.20r &= 1.68 – 1.58 \\[2.0ex]
0.20r &= 0.10 \\[2.0ex]
r &= \frac{0.10}{0.20} \\[2.0ex]
r &= 0.50\,\Omega
\end{aligned}
$$
次に \(R\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
R &= \frac{1.58}{0.20} \\[2.0ex]
&= \frac{15.8}{2.0} \\[2.0ex]
&= 7.9\,\Omega
\end{aligned}
$$
有効数字は2桁なので、\(R = 7.9\,\Omega\) となります。
電池は \(1.68\,\text{V}\) の力(起電力)を持っていますが、電気を流すと自分自身の抵抗(内部抵抗)で少しエネルギーを使ってしまいます。
今回、\(0.20\,\text{A}\) 流したときに外に出てきた電圧(端子電圧)は \(1.58\,\text{V}\) でした。つまり、差額の \(0.10\,\text{V}\) は電池の中で消費されたことになります。
「\(0.20\,\text{A}\) 流れて \(0.10\,\text{V}\) 消費した」という事実から、内部抵抗 \(r\) が計算できます。
また、外に出てきた \(1.58\,\text{V}\) はすべて外部の抵抗 \(R\) にかかります。「\(0.20\,\text{A}\) 流れて \(1.58\,\text{V}\) かかった」という事実から、外部抵抗 \(R\) も計算できます。
内部抵抗 \(r = 0.50\,\Omega\)、外部抵抗 \(R = 7.9\,\Omega\) と求まりました。
内部抵抗は通常 \(1\,\Omega\) 以下程度なので、\(0.50\,\Omega\) は妥当な値です。また、外部抵抗の方が内部抵抗よりはるかに大きいことも、一般的な回路の特徴と一致しています。
思考の道筋とポイント
回路全体を一つの閉回路とみなします。電池の起電力 \(E\) によって電流 \(I\) が流れ、内部抵抗 \(r\) と外部抵抗 \(R\) の2箇所で電圧降下が起こります。キルヒホッフの第2法則(一周の電圧則)を適用して式を立てます。
この設問における重要なポイント
- 回路全体の抵抗は、内部抵抗 \(r\) と外部抵抗 \(R\) の直列合成抵抗 \((r+R)\) である。
- 起電力 \(E\) は、全抵抗での電圧降下の和に等しい。
具体的な解説と立式
キルヒホッフの第2法則より、
\((\text{起電力の和}) = (\text{電圧降下の和})\)
$$
\begin{aligned}
E &= rI + RI \\[2.0ex]
E &= (r + R)I
\end{aligned}
$$
この式は、回路全体に対するオームの法則とも解釈できます。
ここで、外部抵抗での電圧降下 \(RI\) は端子電圧 \(V\) に等しいので、
$$
\begin{aligned}
RI &= V
\end{aligned}
$$
これらを連立させて解きます。
使用した物理公式
- キルヒホッフの第2法則: \(E = (r+R)I\)
まず \(R\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
R &= \frac{V}{I} \\[2.0ex]
&= \frac{1.58}{0.20} \\[2.0ex]
&= 7.9\,\Omega
\end{aligned}
$$
次に、求めた \(R\) を全体の式に代入して \(r\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
1.68 &= (r + 7.9) \times 0.20 \\[2.0ex]
\frac{1.68}{0.20} &= r + 7.9 \\[2.0ex]
8.4 &= r + 7.9 \\[2.0ex]
r &= 8.4 – 7.9 \\[2.0ex]
r &= 0.50\,\Omega
\end{aligned}
$$
電池と抵抗がつながった回路全体を、「\(1.68\,\text{V}\) の電源が、\(r\) と \(R\) という2つの抵抗に電流を流している」と考えます。
2つの抵抗は直列につながっているので、合計の抵抗値は \(r+R\) です。
全体の電圧 \(=\) 全体の抵抗 \(\times\) 電流 という式を立てて計算します。
メインの解法と同じ結果が得られました。この方法は、回路全体のエネルギー収支が見えやすく、検算としても有効です。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 電池の内部抵抗と端子電圧の関係
- 核心: 電池は理想的な電圧源ではなく、内部に抵抗(内部抵抗 \(r\))を持っています。そのため、電流 \(I\) を取り出すと、内部抵抗で \(rI\) の電圧降下が発生し、外部に取り出せる電圧(端子電圧 \(V\))は起電力 \(E\) よりも小さくなります。
- 理解のポイント:
- 式 \(V = E – rI\) の意味: 「端子電圧 \(=\) 本来の能力 \(-\) 内部でのロス」と捉えましょう。
- 電流依存性: 電流をたくさん流すほどロス(\(rI\))が大きくなり、端子電圧は下がります。逆に、電流がゼロならロスもなく、端子電圧は起電力と等しくなります。
- キルヒホッフの第2法則(閉回路の電圧則)
- 核心: 回路を一周したときの電位の変化の総和はゼロになる、というエネルギー保存則に基づく法則です。
- 理解のポイント:
- 起電力と電圧降下のバランス: 電池で得たエネルギー(起電力 \(E\))は、回路内のすべての抵抗(内部抵抗 \(r\) と外部抵抗 \(R\))で消費されるエネルギー(電圧降下 \(rI + RI\))と等しくなります。
- 式 \(E = (r+R)I\) の意味: これを変形すると \(E – rI = RI\) となり、左辺が端子電圧 \(V\)、右辺が外部抵抗での電圧降下を表していることがわかります。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 電池の並列接続: 内部抵抗を持つ電池を並列につなぐと、見かけ上の内部抵抗が減少し、より大きな電流を取り出せるようになります。このときもキルヒホッフの法則が基本となります。
- 最大電力の供給: 外部抵抗 \(R\) で消費される電力 \(P = I^2 R\) が最大になるのは、\(R = r\)(外部抵抗と内部抵抗が等しい)ときです。この定理を導く際にも、今回の \(V = E – rI\) の関係式が出発点となります。
- 電圧降下法による抵抗測定: 電流計と電圧計を使って抵抗値を測る実験では、計器の内部抵抗による誤差を補正する必要がありますが、その考え方は電池の内部抵抗の補正と同じです。
- 初見の問題での着眼点:
- 「端子電圧」という言葉に反応する: 問題文に「端子電圧」とあったら、即座に \(V = E – rI\) の式を思い浮かべましょう。
- 回路図の点線枠を見る: 電池の記号を囲む点線枠は、「ここまでが電池セット(起電力+内部抵抗)」であることを示しています。内部抵抗 \(r\) は電池の外には出せません。
- 未知数と式の数を確認する: 未知数が \(r\) と \(R\) の2つなら、式も2つ必要です。\(V = E – rI\) と \(V = RI\) の2本を立てる方針を固めます。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 起電力と端子電圧の混同:
- 誤解: 「電池の電圧は常に一定(\(1.68\,\text{V}\))」と思い込んでしまい、\(V = 1.68\,\text{V}\) として計算してしまう。
- 対策: 「電流が流れると電圧は下がる」という電池の性質を強く意識しましょう。問題文で \(1.58\,\text{V}\) とわざわざ別の値が与えられていることに注目します。
- 内部抵抗の無視:
- 誤解: \(V = RI\) の式だけで解こうとして、\(E = RI\) としてしまう。
- 対策: 問題文に「内部抵抗」という言葉がある時点で、理想的な電池ではない(\(r \neq 0\))と判断します。必ず \(r\) を含んだ式を立てましょう。
- 計算順序のミス:
- 誤解: 連立方程式を解く際に、代入する値を間違えたり、変数を消去し損ねたりする。
- 対策: まず \(r\) を求める式、次に \(R\) を求める式、と段階を分けて計算するのが確実です。別解のように \(R\) を先に求めてから \(r\) を求めるルートもありますが、どちらにせよ「一つずつ片付ける」意識が重要です。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- メイン解法でのアプローチ選択(端子電圧の式とオームの法則):
- 選定理由: 問題文が「電池内部の現象(\(E, r, V\))」と「外部回路の現象(\(V, R, I\))」の2つの側面から構成されているため、それぞれの現象を記述する式を個別に立てるのが最も素直です。
- 適用根拠: \(V = E – rI\) は電池の特性を表す式、\(V = RI\) は抵抗の特性を表す式であり、両者は端子電圧 \(V\) を介してつながっています。
- 別解でのアプローチ選択(キルヒホッフの第2法則):
- 選定理由: 回路全体を一つのシステムとして捉えることで、変数を減らして見通しを良くするためです。
- 適用根拠: 閉回路におけるエネルギー保存則は常に成立するため、\(E = (r+R)I\) という式は常に正しいです。ここから \(R = V/I\) を代入すれば、メイン解法と同じ式に帰着します。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 単位の確認:
- 電圧 [V]、電流 [A]、抵抗 [\(\Omega\)] の単位が揃っているか確認します。特に電流が [mA] で与えられている場合は [A] への換算が必須ですが、今回は [A] なのでそのまま計算できます。
- 数値の妥当性チェック:
- 内部抵抗 \(r\): 通常は数 \(\Omega\) 以下です。もし \(100\,\Omega\) などの大きな値になったら計算ミスを疑いましょう。
- 外部抵抗 \(R\): 通常は内部抵抗よりも大きくなります。\(R > r\) となっているか確認します。
- 電圧の大小: 必ず \(E > V\) となります。もし \(V > E\) となっていたら、それは電池ではなく充電器につながれている場合か、計算ミスです。
- 有効数字の確認:
- 問題文の数値(\(1.68, 0.20, 1.58\))はすべて有効数字3桁または2桁です。最終的な答えは有効数字2桁(\(0.50, 7.9\))で答えるよう指示がないか、あるいは数値の精度に合わせて判断します(今回は \(0.20\) が2桁なので2桁が適切)。
484 電位
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(2)の別解: 電位のグラフ(電位図)を用いた解法
- 模範解答が数式(オームの法則)で各点の電位を計算しているのに対し、別解では回路を一周する際の電位のアップダウンを視覚的なグラフ(電位図)として描き、直感的に電位を求めます。
- 設問(2)の別解: 電位のグラフ(電位図)を用いた解法
- 上記の別解が有益である理由
- 視覚的理解: 電流が流れると電位が下がり、電池を通ると電位が上がる様子を「地形の高さ」のようにイメージでき、計算ミスを防ぎやすくなります。
- 全体像の把握: 回路全体の電位分布が一目でわかるため、複雑な回路でも各点の関係性を把握しやすくなります。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる数値は模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「回路における電位の分布」です。
回路の各点における「電位(電気的な高さ)」を求める手順をマスターします。特に、接地(アース)された点を基準(\(0\,\text{V}\))とし、そこから回路を辿って各点の電位を決定する方法を理解することが重要です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 電位の基準(接地): 接地された点(G)の電位は常に \(0\,\text{V}\) です。
- オームの法則と電圧降下: 抵抗 \(R\) に電流 \(I\) が流れると、電流の向きに沿って電位が \(RI\) だけ下がります(電圧降下)。逆に、電流に逆らって進むと電位は \(RI\) だけ上がります。
- 電池による電位上昇: 電池の負極から正極へ進むと、起電力 \(E\) の分だけ電位が上がります。
- 電流が流れない抵抗: 電流が流れていない抵抗では電圧降下が発生せず、両端の電位は等しくなります。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- まず、接地されている点Gの電位を \(0\,\text{V}\) と確定させます。
- 次に、回路に電流が流れているかどうかを判断します。スイッチが開いている場合や、閉回路になっていない部分には電流が流れません。
- 電流が流れている場合は、オームの法則で電流値を求め、基準点から出発して抵抗での電圧降下や電池での電位上昇を足し引きしながら、各点の電位を計算します。
問(1)
思考の道筋とポイント
スイッチSが開いているため、電池を含む回路は閉じておらず、電流は流れません。
電流が流れないということは、抵抗での電圧降下(\(V=RI\))はすべて \(0\) になります。つまり、抵抗の両端で電位は変化しません。
接地されている点Gを基準(\(0\,\text{V}\))として、抵抗や導線を辿っていき、各点の電位を決定します。ただし、電池の両端では必ず起電力分の電位差が生じることに注意します。
この設問における重要なポイント
- スイッチが開いているため、回路全体に電流は流れない(\(I=0\))。
- 電流が流れない抵抗の両端の電位差は \(0\) である(等電位)。
- 接地Gの電位は \(0\,\text{V}\) である。
- 電池の正極は負極より \(E\) だけ電位が高い。
具体的な解説と立式
まず、接地されている点Gの電位 \(V_G\) は \(0\,\text{V}\) です。
$$
\begin{aligned}
V_G &= 0\,\text{V}
\end{aligned}
$$
スイッチSが開いているため、回路に電流は流れません(\(I=0\))。
よって、すべての抵抗 \(R_1, R_2, R_3, R_4\) において電圧降下 \(RI\) は \(0\) となり、抵抗の両端の電位は等しくなります。
点Bの電位 \(V_B\):
Gから抵抗 \(R_4\) を通ってBに至りますが、電圧降下がないため、Bの電位はGと同じです。
$$
\begin{aligned}
V_B &= V_G \\[2.0ex]
&= 0\,\text{V}
\end{aligned}
$$
点Cの電位 \(V_C\):
Bから抵抗 \(R_2\) を通ってCに至りますが、同様に電圧降下がないため、Cの電位はBと同じです。
$$
\begin{aligned}
V_C &= V_B \\[2.0ex]
&= 0\,\text{V}
\end{aligned}
$$
点Aの電位 \(V_A\):
Bから抵抗 \(R_1\) を通ってAに至りますが、同様に電圧降下がないため、Aの電位はBと同じです。
$$
\begin{aligned}
V_A &= V_B \\[2.0ex]
&= 0\,\text{V}
\end{aligned}
$$
点Dの電位 \(V_D\):
点A(電池の正極側)の電位は \(0\,\text{V}\) です。
電池の起電力は \(E = 100\,\text{V}\) であり、図よりA側が正極(長い線)、D側が負極(短い線)です。
通常、電池は負極から正極へ電位を上げますが、ここでは正極Aから負極Dへ向かうので、電位は \(100\,\text{V}\) 下がります。
$$
\begin{aligned}
V_D &= V_A – 100 \\[2.0ex]
&= 0 – 100 \\[2.0ex]
&= -100\,\text{V}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- オームの法則: \(V = RI\)(ここでは \(I=0\) なので \(V=0\))
- 電位の関係: \(V_{\text{正極}} – V_{\text{負極}} = E\)
上記の解説通り、計算は単純な足し引きのみです。
\(V_A = 0\,\text{V}\)
\(V_B = 0\,\text{V}\)
\(V_C = 0\,\text{V}\)
\(V_D = -100\,\text{V}\)
スイッチが切れているので、電気は流れていません。電気が流れていない抵抗はただの導線と同じで、場所による高さ(電位)の変化はありません。
地面(G)が高さ \(0\) なので、そこから抵抗でつながっているBもCもAも、みんな高さ \(0\) です。
ただし、電池だけは別です。電池は「電気のポンプ」なので、電気が流れていなくても両端には高さの差(\(100\,\text{V}\))があります。A地点が高さ \(0\) で、そこが電池の「高い方(プラス)」なので、反対側のD地点(マイナス)はそこから \(100\) 下がった地下 \(100\) メートル(\(-100\,\text{V}\))になります。
A: \(0\,\text{V}\), B: \(0\,\text{V}\), C: \(0\,\text{V}\), D: \(-100\,\text{V}\)
電流が流れていないため、電池以外の部分はすべて接地電位と等しくなり、電池の負極側だけが低電位になるという結果は妥当です。
問(2)
思考の道筋とポイント
スイッチSを閉じると、A \(\rightarrow\) B \(\rightarrow\) C \(\rightarrow\) D \(\rightarrow\) A という閉回路ができ、電流が流れます。
まず、この閉回路を流れる電流 \(I\) を求めます。
次に、接地されているG(\(0\,\text{V}\))を基準にして、各点の電位を計算します。
注意点として、G-B間の抵抗 \(R_4\) は閉回路の一部ではないため、ここには電流が流れません。したがって、Bの電位はGと同じ \(0\,\text{V}\) に保たれます。ここを起点に、電流の向きに注意しながら電位を追っていきます。
この設問における重要なポイント
- 閉回路(A-B-C-D-A)のみに電流が流れる。
- 枝分かれしたG-B部分には電流が流れないため、\(V_B = V_G = 0\,\text{V}\) となる。
- 電流の向きに抵抗を進むと電位は下がり、逆向きに進むと電位は上がる。
具体的な解説と立式
1. 電流 \(I\) の計算:
閉回路 A-B-C-D-A にキルヒホッフの第2法則(またはオームの法則)を適用します。
起電力は \(E = 100\,\text{V}\)。
抵抗は \(R_1, R_2, R_3\) が直列につながっています。
合成抵抗 \(R_{\text{全}} = R_1 + R_2 + R_3 = 20 + 30 + 50 = 100\,\Omega\)
よって、流れる電流 \(I\) は、
$$
\begin{aligned}
I &= \frac{E}{R_{\text{全}}} \\[2.0ex]
&= \frac{100}{100} \\[2.0ex]
&= 1.0\,\text{A}
\end{aligned}
$$
電流の向きは、電池の正極Aから出てB \(\rightarrow\) C \(\rightarrow\) D と回り、負極に戻る反時計回りです。
2. 各点の電位の計算:
基準となるのは、接地されているGにつながるB点です。G-B間には閉回路がなく電流が流れないため、電圧降下はなく、
$$
\begin{aligned}
V_B &= V_G \\[2.0ex]
&= 0\,\text{V}
\end{aligned}
$$
点Aの電位 \(V_A\):
Bから電流 \(I\) に逆らって抵抗 \(R_1\) を通ってAに行きます。
電流に逆行するので電位は上がります。
$$
\begin{aligned}
V_A &= V_B + R_1 I \\[2.0ex]
&= 0 + 20 \times 1.0 \\[2.0ex]
&= 20\,\text{V}
\end{aligned}
$$
点Cの電位 \(V_C\):
Bから電流 \(I\) の向きに抵抗 \(R_2\) を通ってCに行きます。
電流に順行するので電位は下がります。
$$
\begin{aligned}
V_C &= V_B – R_2 I \\[2.0ex]
&= 0 – 30 \times 1.0 \\[2.0ex]
&= -30\,\text{V}
\end{aligned}
$$
点Dの電位 \(V_D\):
Cから電流 \(I\) の向きに抵抗 \(R_3\) を通ってDに行きます。
さらに電位が下がります。
$$
\begin{aligned}
V_D &= V_C – R_3 I \\[2.0ex]
&= -30 – 50 \times 1.0 \\[2.0ex]
&= -80\,\text{V}
\end{aligned}
$$
(検算: Dから電池を通ってAに行くと、\(V_A = V_D + 100 = -80 + 100 = 20\,\text{V}\) となり、先ほど求めた \(V_A\) と一致します。)
使用した物理公式
- オームの法則: \(I = \frac{V}{R}\)
- 電位の変化: \(V_{\text{後}} = V_{\text{前}} \pm RI\)(逆行は \(+\)、順行は \(-\))
$$
\begin{aligned}
I &= \frac{100}{20+30+50} \\[2.0ex]
&= 1.0\,\text{A} \\[2.0ex]
V_B &= 0\,\text{V} \\[2.0ex]
V_A &= 0 + 20 \times 1.0 \\[2.0ex]
&= 20\,\text{V} \\[2.0ex]
V_C &= 0 – 30 \times 1.0 \\[2.0ex]
&= -30\,\text{V} \\[2.0ex]
V_D &= -30 – 50 \times 1.0 \\[2.0ex]
&= -80\,\text{V}
\end{aligned}
$$
スイッチを入れると、電池のあるループ(A-B-C-D)だけで電流がグルグル回ります。下のGにつながる線は行き止まりなので電流は流れません。だから、B地点の高さ(電位)は地面Gと同じ \(0\) です。
ここを基準に考えます。
A地点へ行くには、電流の流れ(川の流れ)に逆らって \(R_1\) を登るので、高さは上がります(\(+20\,\text{V}\))。
C地点へ行くには、電流の流れに乗って \(R_2\) を下るので、高さは下がります(\(-30\,\text{V}\))。
D地点へは、Cからさらに \(R_3\) を下るので、もっと低くなります(\(-80\,\text{V}\))。
A: \(20\,\text{V}\), B: \(0\,\text{V}\), C: \(-30\,\text{V}\), D: \(-80\,\text{V}\)
電池の正極側(A)が最も高く、電流に沿って電位が下がっていき、負極側(D)が最も低くなっています。また、\(V_A – V_D = 20 – (-80) = 100\,\text{V}\) となり、電池の起電力と一致しているため、計算は正しいです。
思考の道筋とポイント
回路を一周する経路(A \(\rightarrow\) B \(\rightarrow\) C \(\rightarrow\) D \(\rightarrow\) A)に沿って、電位の変化をグラフにします。
横軸に位置、縦軸に電位をとります。
基準点B(\(0\,\text{V}\))からスタートし、抵抗を通るたびに電位が下がり(電流方向)、電池を通ると電位が上がる様子を描画することで、各点の電位を視覚的に求めます。
この設問における重要なポイント
- B点の電位は \(0\,\text{V}\)。
- 電流は A \(\rightarrow\) B \(\rightarrow\) C \(\rightarrow\) D の向きに流れる。
- 抵抗 \(R\) を通過するごとに \(RI\) だけ電位が下がる。
- 電池を通過すると \(E\) だけ電位が上がる。
具体的な解説と立式
1. 基準点の設定:
B点は接地されているGと等電位なので、グラフの原点(高さ \(0\))とします。
2. 電位の変化を追跡:
– B \(\rightarrow\) A: 電流(A \(\rightarrow\) B)に逆らって進むので、電位は上がります。
上昇幅 \(= R_1 I = 20 \times 1.0 = 20\,\text{V}\)。よって \(V_A = 20\,\text{V}\)。
– B \(\rightarrow\) C: 電流(B \(\rightarrow\) C)に沿って進むので、電位は下がります。
下降幅 \(= R_2 I = 30 \times 1.0 = 30\,\text{V}\)。よって \(V_C = -30\,\text{V}\)。
– C \(\rightarrow\) D: さらに電流(C \(\rightarrow\) D)に沿って進むので、電位は下がります。
下降幅 \(= R_3 I = 50 \times 1.0 = 50\,\text{V}\)。よって \(V_D = -30 – 50 = -80\,\text{V}\)。
– D \(\rightarrow\) A: 電池の負極から正極へ進むので、電位は一気に上がります。
上昇幅 \(= E = 100\,\text{V}\)。\(-80 + 100 = 20\,\text{V}\) となり、A点の電位に戻ります。
使用した物理公式
- 電位図の原理(キルヒホッフの第2法則の視覚化)
グラフを描く手順そのものが計算過程となります。
$$
\begin{aligned}
V_B &= 0 \\[2.0ex]
V_A &= V_B + 20 \\[2.0ex]
&= 20\,\text{V} \\[2.0ex]
V_C &= V_B – 30 \\[2.0ex]
&= -30\,\text{V} \\[2.0ex]
V_D &= V_C – 50 \\[2.0ex]
&= -80\,\text{V}
\end{aligned}
$$
回路をジェットコースターのコースに見立てます。B地点が地上(高さ \(0\))です。
A地点へ行くには、坂を登る(電流に逆らう)ので高くなります。
C地点へ行くには、坂を下る(電流に乗る)ので地下に入ります。
D地点へはさらに下るので、もっと深い地下になります。
最後にDからAへは、電池というエレベーターで一気に \(100\) メートル上昇して、元の高さに戻ります。
メインの解法と同じ結果が得られました。電位図を描くことで、回路全体の電位のバランスが直感的に理解でき、計算ミス(特に符号のミス)を防ぐことができます。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 電位の基準(接地)と相対性
- 核心: 電位とは「電気的な高さ」のことですが、絶対的な値ではなく、どこかを基準(\(0\,\text{V}\))とした相対的な値です。回路図における接地記号(アース)は、その点の電位を強制的に \(0\,\text{V}\) に固定することを意味します。
- 理解のポイント:
- 基準点からの探索: すべての電位計算は、接地された点(\(V=0\))からスタートします。そこから回路を辿り、抵抗や電池を通るたびに電位を足し引きして各点の電位を決定します。
- 電流が流れない枝: 接地線のように、閉回路を構成しない(行き止まりの)枝には定常状態では電流が流れません。電流が流れない抵抗では電圧降下が起きないため、その両端は等電位になります。
- キルヒホッフの第2法則と電位降下
- 核心: 回路を一周したときの電位の変化の総和はゼロになります。これは、ある点から出発して一周回って戻ってきたとき、元の高さ(電位)に戻ることを意味します。
- 理解のポイント:
- 抵抗での変化: 電流の向きに進むと電位は \(RI\) 下がり、逆向きに進むと \(RI\) 上がります。
- 電池での変化: 負極から正極へ進むと起電力 \(E\) だけ上がり、正極から負極へ進むと \(E\) だけ下がります。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- ホイートストンブリッジ: 検流計に電流が流れない条件は、検流計の両端の電位が等しいことです。これも電位分布の問題として解けます。
- コンデンサーを含む回路: 定常状態ではコンデンサーに電流が流れませんが、電位差は存在します。抵抗での電圧降下がゼロになる区間を見極める力が問われます。
- ダイオードを含む回路: ダイオードのオン/オフを判定するために、アノードとカソードの電位を仮定して比較する必要があります。
- 初見の問題での着眼点:
- 接地マークを探す: まず最初に接地記号(\(\equiv\))を探し、その点の電位を \(0\) と書き込みます。もし接地がない場合は、任意の点を \(0\,\text{V}\) と仮定して相対電位を考えるか、問題文の指示に従います。
- 電流の有無を色分けする: 閉回路になっている部分(電流が流れる)と、枝分かれした行き止まりの部分(電流が流れない)を視覚的に区別します。電流が流れない抵抗は単なる導線と同じ(等電位)とみなせます。
- 「高さ」をイメージする: 電池をポンプ(揚水機)、抵抗を水車(水位を下げる装置)とイメージし、回路図を地形図のように捉えると、電位の正負や大小関係を間違えにくくなります。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 電流の向きと電位変化の符号ミス:
- 誤解: 「抵抗を通れば必ず電位が下がる」と思い込んでしまう。
- 対策: 電位が下がるのは「電流の向きに」進んだときだけです。電流に逆らって進む(川を遡る)ときは、電位は上がります。計算するときは、自分が進む方向と電流の方向が同じか逆かを必ず確認しましょう。
- 電池の極性と電位変化の符号ミス:
- 誤解: 「電池を通れば必ず電位が上がる」と思い込んでしまう。
- 対策: 電池の記号の長い方が正極(高電位)、短い方が負極(低電位)です。正極から負極へ跨ぐときは、電位は下がります(崖を降りるイメージ)。
- 接地線への電流流入の誤解:
- 誤解: 「接地されているから電流が地面に逃げていく」と考えてしまう。
- 対策: 回路は閉じていなければ電流は流れません。接地線が回路の一部(ループ)になっていなければ、そこは単なる電位の基準点であり、電流の通り道ではありません。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 問(1)でのアプローチ選択(電流ゼロの条件):
- 選定理由: スイッチが開いているため、回路が切断されています。物理的に電流が流れる余地がないため、オームの法則 \(V=RI\) において \(I=0\) を適用するのが最優先です。
- 適用根拠: \(I=0\) ならば \(V=0\) となり、抵抗の両端で電位差が生じない(等電位である)という結論が導かれます。
- 問(2)でのアプローチ選択(電位の追跡):
- 選定理由: 各点の電位を求めるには、基準点(\(0\,\text{V}\))から出発して、経路上の電位変化を積算していく方法が最も確実です。
- 適用根拠: 電位は保存量(スカラーポテンシャル)なので、どの経路を通っても値は一意に定まります。計算しやすい経路(抵抗が少ない、または電流が既知の経路)を選んで計算します。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 図への書き込み:
- 求めた電流値 \(1.0\,\text{A}\) とその向き(矢印)を回路図に書き込みます。
- 各抵抗の脇に、発生する電圧降下(\(20\,\text{V}, 30\,\text{V}\) など)を書き込んでおくと、足し引きの際に計算ミスが減ります。
- 検算(一周してゼロに戻るか):
- 求めた電位を使って、回路を一周してみます。例えば \(V_A \rightarrow V_B \rightarrow V_C \rightarrow V_D \rightarrow V_A\) と辿ったとき、\(20 \rightarrow 0 \rightarrow -30 \rightarrow -80 \rightarrow (-80+100=20)\) となり、矛盾なく元の値に戻ることを確認します。
- 符号の直感チェック:
- 電池の正極側にある点(A)は電位が高く、負極側にある点(D)は電位が低くなるはずです。計算結果が \(V_A > V_D\) となっているか確認しましょう。
485 キルヒホッフの法則
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問の別解: 電位(高さ)に着目した解法(ノード解析)
- 模範解答では、各抵抗を流れる電流を未知数として連立方程式を立てていますが、別解では、回路内の特定の点の「電位(電気的な高さ)」を未知数として設定し、オームの法則とキルヒホッフの第1法則のみを用いて解きます。
- 設問の別解: 電位(高さ)に着目した解法(ノード解析)
- 上記の別解が有益である理由
- 計算量の劇的な削減: 模範解答の方法では3つの未知数(\(I_1, I_2, I_3\))を含む連立方程式を解く必要がありますが、別解では未知数が1つ(合流点の電位)だけで済み、計算ミスを大幅に減らせます。
- 物理的直感の養成: 電流を「水流」、電位を「水位(高さ)」に例えるイメージを持つことで、電流が流れる向きや勢いを直感的に理解できるようになります。
- 結果への影響
- どちらの方法でも、最終的に得られる電流の大きさや向きは完全に一致します。
この問題のテーマは「複雑な回路における電流分布の解析(キルヒホッフの法則)」です。電池や抵抗が複数組み合わさった回路では、単純な合成抵抗の計算だけでは電流を求められないため、より一般的な法則を用いて解く必要があります。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- キルヒホッフの第1法則(電流則): 回路の任意の分岐点において、流れ込む電流の総和と流れ出る電流の総和は等しい(電気量の保存)。
- キルヒホッフの第2法則(電圧則): 任意の閉回路を一周したとき、起電力の和と電圧降下の和は等しい(エネルギーの保存)。
- オームの法則: 抵抗における電圧降下は \(V=RI\) で表される。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 各抵抗を流れる電流の大きさと向きを仮定し、記号(\(I_1, I_2, I_3\))を置きます。
- 分岐点(ノード)について、第1法則の式を立てます。
- 独立した閉回路(ループ)を選び、第2法則の式を立てます。
- 立てた連立方程式を解き、電流値を求めます。計算結果が負になった場合は、仮定した向きと逆向きに流れていると判断します。
各抵抗を流れる電流の向きと大きさ
思考の道筋とポイント
回路図を見て、未知の電流を定義し、キルヒホッフの法則を適用して連立方程式を立てます。模範解答の図に従い、電流の向きを仮定します。
- 未知数の設定: \(R_1\) を流れる電流を \(I_1\)(下向き)、\(R_2\) を流れる電流を \(I_2\)(左向き)、\(R_3\) を流れる電流を \(I_3\)(下向き)と仮定します。
- 第1法則の適用: 電流が合流・分岐する点C(図の中央上)に着目します。
- 第2法則の適用: 独立した2つの閉回路(左側のループと右側のループ)について式を立てます。
この設問における重要なポイント
- 電流の向きはあくまで「仮定」であり、計算結果が負になれば逆向きと判断すればよい。
- 第2法則の式を立てる際、電流と同じ向きに進むときは電圧降下(\(+RI\))、逆向きに進むときは電圧上昇(\(-RI\))となる。
- 電池は負極から正極へ通ると電位が上がる(起電力として正)、逆なら下がる(起電力として負)。
具体的な解説と立式
まず、分岐点Cについてキルヒホッフの第1法則(流入電流の和 = 流出電流の和)を適用します。
図より、\(I_1\) と \(I_2\) が点Cに流れ込み、\(I_3\) が点Cから流れ出ているので、
$$
\begin{aligned}
I_1 + I_2 &= I_3 \quad \cdots ①
\end{aligned}
$$
次に、左側の閉回路(経路ABCDEA、時計回り)についてキルヒホッフの第2法則(起電力の和 = 電圧降下の和)を適用します。
起電力は \(E_1 = 6.4\,\text{V}\) です。
電圧降下は、抵抗 \(R_1\) で \(5.0 I_1\)、抵抗 \(R_3\) で \(4.0 I_3\) です。
$$
\begin{aligned}
6.4 &= 5.0 I_1 + 4.0 I_3 \quad \cdots ②
\end{aligned}
$$
最後に、右側の閉回路(経路FCDGF、反時計回り)についてキルヒホッフの第2法則を適用します。
この経路では、電池 \(E_2\) を負極から正極へ通過するので、起電力は \(2.0\,\text{V}\) です。
抵抗 \(R_2\) では電流 \(I_2\) と同じ向き(左向き)に進むので電圧降下は \(2.0 I_2\)、抵抗 \(R_3\) でも電流 \(I_3\) と同じ向き(下向き)に進むので電圧降下は \(4.0 I_3\) です。
$$
\begin{aligned}
2.0 &= 2.0 I_2 + 4.0 I_3 \quad \cdots ③
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- キルヒホッフの第1法則: \((\text{流入電流の和}) = (\text{流出電流の和})\)
- キルヒホッフの第2法則: \((\text{起電力の和}) = (\text{電圧降下の和})\)
式①、②、③の連立方程式を解きます。
まず、式②と式③を変形して、\(I_1\) と \(I_2\) を \(I_3\) で表します。
式②より、
$$
\begin{aligned}
5.0 I_1 &= 6.4 – 4.0 I_3 \\[2.0ex]
I_1 &= \frac{6.4 – 4.0 I_3}{5.0} \\[2.0ex]
I_1 &= 1.28 – 0.80 I_3 \quad \cdots ④
\end{aligned}
$$
式③より、
$$
\begin{aligned}
2.0 I_2 &= 2.0 – 4.0 I_3 \\[2.0ex]
I_2 &= \frac{2.0 – 4.0 I_3}{2.0} \\[2.0ex]
I_2 &= 1.0 – 2.0 I_3 \quad \cdots ⑤
\end{aligned}
$$
これら式④、式⑤を式①に代入します。
$$
\begin{aligned}
(1.28 – 0.80 I_3) + (1.0 – 2.0 I_3) &= I_3 \\[2.0ex]
2.28 – 2.80 I_3 &= I_3 \\[2.0ex]
3.80 I_3 &= 2.28 \\[2.0ex]
I_3 &= \frac{2.28}{3.80} \\[2.0ex]
I_3 &= 0.60\,\text{A}
\end{aligned}
$$
求めた \(I_3 = 0.60\) を式④、式⑤に代入して \(I_1, I_2\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
I_1 &= 1.28 – 0.80 \times 0.60 \\[2.0ex]
&= 1.28 – 0.48 \\[2.0ex]
&= 0.80\,\text{A}
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
I_2 &= 1.0 – 2.0 \times 0.60 \\[2.0ex]
&= 1.0 – 1.20 \\[2.0ex]
&= -0.20\,\text{A}
\end{aligned}
$$
回路の分岐点での「電流の出入り」と、ぐるっと一周したときの「電圧のアップダウン」のルールを使って式を作りました。計算の結果、\(I_2\) だけマイナスの値が出ました。これは最初に「左向き」と仮定したのが間違いで、実際には「右向き」に流れていることを意味します。他の2つはプラスなので、仮定通りの向きに流れています。
- \(I_1 = 0.80\,\text{A}\)(正の値なので、仮定通り下向き)
- \(I_2 = -0.20\,\text{A}\)(負の値なので、仮定と逆の右向き)
- \(I_3 = 0.60\,\text{A}\)(正の値なので、仮定通り下向き)
\(I_2\) が負になった物理的な理由は、電池 \(E_2\) (\(2.0\,\text{V}\)) よりも、回路全体の電位分布によって点Cの電位が高くなり、電流が押し返されたためと解釈できます。また、\(I_1\) (下向き \(0.80\)) が点Cに入り、そこから \(I_3\) (下向き \(0.60\)) と \(R_2\) を右向きに流れる電流 (\(0.20\)) に分岐しています。つまり、\(0.80 = 0.60 + 0.20\) という関係が成り立っています。
思考の道筋とポイント
回路の「高さ(電位)」に注目します。基準となる高さを \(0\,\text{V}\) と決めれば、他の地点の高さはそこからの電圧差で決まります。未知の地点の電位を \(x\) と置き、「ある地点から流れ出る電流の総和はゼロである」というキルヒホッフの第1法則を使って \(x\) を求めます。
この設問における重要なポイント
- 下側の導線(点E, D, G)をすべて接地(アース)と考え、電位を \(0\,\text{V}\) とします。
- 中央の分岐点Cの電位を \(x\,\text{V}\) と置きます。
- 各抵抗を流れる電流を、オームの法則 \(I = \frac{\text{電位差}}{R}\) で表します。
具体的な解説と立式
点Dの電位を \(0\,\text{V}\) とします。すると、電池 \(E_1\) の正極側(点A, B)の電位は \(6.4\,\text{V}\)、電池 \(E_2\) の正極側(点F)の電位は \(2.0\,\text{V}\) となります。
点Cの電位を \(x\,\text{V}\) とします。
点Cから3つの方向へ流れ出す電流の総和は \(0\) である(キルヒホッフの第1法則)と考え、式を立てます。
- \(R_1\) を通って上へ流れる電流: \(\displaystyle\frac{x – 6.4}{5.0}\)
- \(R_2\) を通って右へ流れる電流: \(\displaystyle\frac{x – 2.0}{2.0}\)
- \(R_3\) を通って下へ流れる電流: \(\displaystyle\frac{x – 0}{4.0}\)
これらを足し合わせると \(0\) になります。
$$
\begin{aligned}
\frac{x – 6.4}{5.0} + \frac{x – 2.0}{2.0} + \frac{x}{4.0} &= 0
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- オームの法則: \(I = \frac{V}{R}\)
- キルヒホッフの第1法則: \((\text{流出電流の和}) = 0\)
分母を払うため、両辺に \(20\) を掛けます。
$$
\begin{aligned}
4(x – 6.4) + 10(x – 2.0) + 5x &= 0 \\[2.0ex]
4x – 25.6 + 10x – 20.0 + 5x &= 0 \\[2.0ex]
19x – 45.6 &= 0 \\[2.0ex]
19x &= 45.6 \\[2.0ex]
x &= \frac{45.6}{19} \\[2.0ex]
x &= 2.4\,\text{V}
\end{aligned}
$$
点Cの電位が \(2.4\,\text{V}\) と求まりました。これを使って各電流を計算します。
- \(R_1\) を流れる電流(上向きを正として計算):
$$
\begin{aligned}
\frac{2.4 – 6.4}{5.0} &= \frac{-4.0}{5.0} \\[2.0ex]
&= -0.80\,\text{A}
\end{aligned}
$$
負の値なので、実際は下向きに \(0.80\,\text{A}\) です。 - \(R_2\) を流れる電流(右向きを正として計算):
$$
\begin{aligned}
\frac{2.4 – 2.0}{2.0} &= \frac{0.4}{2.0} \\[2.0ex]
&= 0.20\,\text{A}
\end{aligned}
$$
正の値なので、右向きに \(0.20\,\text{A}\) です。 - \(R_3\) を流れる電流(下向きを正として計算):
$$
\begin{aligned}
\frac{2.4 – 0}{4.0} &= \frac{2.4}{4.0} \\[2.0ex]
&= 0.60\,\text{A}
\end{aligned}
$$
正の値なので、下向きに \(0.60\,\text{A}\) です。
回路の真ん中の交差点(点C)が、地面(\(0\,\text{V}\))から見てどれくらいの「電気的な高さ」にあるかを計算しました。その結果、\(2.4\,\text{V}\) の高さにあることがわかりました。
左の電池からは \(6.4\,\text{V}\) の圧力がかかっているので、\(6.4 \to 2.4\) へと電流が流れ落ちてきます(下向き)。
右の電池は \(2.0\,\text{V}\) しかないので、真ん中の \(2.4\,\text{V}\) の方が高く、電流は右へ押し出されます(右向き)。
下へは \(2.4 \to 0\) へと素直に流れ落ちます(下向き)。
このように、電位(高さ)がわかると電流の向きが直感的にわかります。
メインの解法と全く同じ結果が得られました。
計算過程で連立方程式を解く必要がなく、1次方程式ひとつで済むため、非常に効率的です。また、「\(2.4\,\text{V}\) は \(6.4\,\text{V}\) より低いから電流は流入する」「\(2.0\,\text{V}\) より高いから電流は流出する」といった物理的な解釈も容易になります。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- キルヒホッフの法則の適用
- 核心: 複雑な回路網において、電流と電圧の関係を記述する2つの基本法則(第1法則・第2法則)を正しく使いこなすことです。
- 理解のポイント:
- 第1法則(電流則): 「回路の分岐点において、電荷は湧き出したり消滅したりしない」という電荷保存則を表しています。流入する電流の総和と流出する電流の総和が等しいことを利用して式を立てます。
- 第2法則(電圧則): 「回路を一周して元の位置に戻ったとき、電位の高さは元通りになる」というエネルギー保存則を表しています。起電力による電位上昇と、抵抗による電圧降下の収支が釣り合うことを利用します。
- 未知数の設定と連立方程式の解法
- 核心: 物理現象を数式モデルに変換し、数学的に解を導くプロセスです。
- 理解のポイント:
- 仮定の重要性: 電流の向きが分からなくても、とりあえず向きを仮定して記号(\(I_1, I_2\) など)を置くことがスタート地点です。
- 符号の解釈: 計算結果が負になった場合、「仮定した向きと逆向きに流れている」と物理的に正しく解釈できる能力が問われます。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- ホイートストンブリッジ: 抵抗がひし形に配置された回路。平衡条件を満たさない場合は、本問と同様にキルヒホッフの法則を用いて解きます。
- 電池が複数ある回路: 電池が並列や直列に複雑に接続されている場合も、閉回路を見つけて第2法則を適用する手順は同じです。
- コンデンサーを含む回路: 定常状態ではコンデンサーに電流が流れない(断線とみなす)ことを利用しつつ、過渡現象やスイッチ切り替え直後の電位分布を考える際に、キルヒホッフの法則(特に第2法則)が基礎となります。
- 初見の問題での着眼点:
- ノード(分岐点)とループ(閉回路)を探す: 回路図を見て、電流が分岐する点と、独立した閉回路がいくつあるかを確認します。
- 未知数の数を決める: 求めたい電流がいくつあるかを確認し、それと同じ数の独立した方程式が必要になることを見積もります。
- 対称性の利用: 回路に対称性がある場合、電流の大きさや向きが等しくなる箇所を見抜けると、未知数を減らせる場合があります。
- 電位法(ノード解析)の検討: 未知の電流が多い場合、別解で示したように「電位」を未知数に置くことで計算が劇的に楽にならないか検討します。特に、アース(接地)がある問題や、基準点を設定しやすい問題で有効です。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 第2法則の符号ミス:
- 誤解: 電池の向きや、電流の向きと閉回路を回る向きの関係を混同し、起電力や電圧降下の符号を逆にしてしまう。
- 対策:
- 起電力: マイナス極 \(\to\) プラス極へ通るときは \(+E\)、逆なら \(-E\)。
- 電圧降下: 抵抗を電流と同じ向きに通るときは \(+RI\)、逆向きなら \(-RI\)。
- このルールを機械的に適用できるよう、図に矢印を書き込みながら立式しましょう。
- 独立でない式を立ててしまう:
- 誤解: 3つの閉回路があるように見えるとき、全ての閉回路について式を立ててしまい、実は式が従属(他の式の足し合わせで作れる)になっていて解けない。
- 対策: 未知数が3つなら、独立な式が3つ必要です。通常は「網目(最小単位のループ)」ごとに式を立てれば独立になります。大きな外周ループの式は、内部の網目の式の和になるため独立ではありません。
- 計算結果の解釈ミス:
- 誤解: \(I_2 = -0.20\,\text{A}\) と出たとき、「大きさは \(-0.20\,\text{A}\)」と答えてしまったり、向きの修正を忘れてしまう。
- 対策: 電流の「大きさ」は必ず正の値です。負の値が出たら、「向きは仮定と逆、大きさは絶対値」と即座に変換して解答欄に記入する癖をつけましょう。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- キルヒホッフの法則の選択:
- 選定理由: 回路が単純な直列・並列接続の組み合わせ(合成抵抗が計算できる形)ではないため、オームの法則だけでは解けません。回路網全体の電圧・電流の関係を網羅的に記述できるキルヒホッフの法則が必須となります。
- 適用根拠:
- 第1法則: 未知電流が3つあるため、それらの関係性を縛る条件式が必要です。分岐点での電荷保存則は最も基本的な拘束条件です。
- 第2法則: 電流を決定するには、回路各部の電位差(エネルギー)の釣り合いを考える必要があります。独立した閉回路の数だけ式を立てることで、未知数を確定できます。
- 別解(ノード解析)の選択:
- 選定理由: 未知数(電流)が3つあるのに対し、回路の構造上、電位が不明な独立したノード(分岐点)は点Cの1つだけです。未知数を1つに減らせるため、計算効率が圧倒的に良いと判断できます。
- 適用根拠: 全ての抵抗が点Cに接続されており、他の端点の電位(電池の電圧により確定)が既知であるため、点Cの電位さえ分かれば全ての電流がオームの法則で求まる構造になっています。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 図への書き込みを徹底する:
- 仮定した電流の向き(矢印)と記号(\(I_1\) など)を必ず回路図に書き込みます。
- 閉回路を回る向き(時計回り・反時計回り)も矢印で書き込み、立式中に視線が迷わないようにします。
- 係数を簡単にする:
- 立式後、例えば \(2.0 = 2.0 I_2 + 4.0 I_3\) なら、すぐに両辺を \(2.0\) で割って \(1.0 = I_2 + 2.0 I_3\) と簡単にしてから計算を進めます。小数のまま計算するより、整数係数にした方がミスが減ります。
- 検算の習慣:
- 求めた電流値(\(I_1=0.80, I_2=-0.20, I_3=0.60\))を、使わなかった式(例えば外周の大きなループの式:\(6.4 – 2.0 = 5.0 I_1 – 2.0 I_2\))に代入して成立するか確認します。
- \(5.0(0.80) – 2.0(-0.20) = 4.0 + 0.4 = 4.4\)。一方、左辺は \(4.4\)。一致するので計算は正しいと確信できます。
- 単位の確認:
- 抵抗 \((\Omega)\) \(\times\) 電流 \((\text{A})\) \(=\) 電圧 \((\text{V})\) となっているか、次元を確認します。特に \(k\Omega\)(キロオーム)や \(mA\)(ミリアンペア)が出てくる問題では、\(10^3\) や \(10^{-3}\) の換算ミスに注意が必要です(本問では基本単位のみなので大丈夫です)。
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486 メートルブリッジ
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(1)の別解: 分圧(電位の分割)を用いた解法
- 模範解答ではホイートストンブリッジの平衡条件式(抵抗の比)を直接用いていますが、別解では「回路の各点の電位」に着目し、分圧の法則を用いて立式します。
- 設問(2)の別解: 水流モデルによる直感的解法
- 数式や電位の概念だけでなく、電流を「川の流れ」、電位を「水位」に例えることで、計算なしで直感的に向きを判断する方法を提示します。
- 設問(1)の別解: 分圧(電位の分割)を用いた解法
- 上記の別解が有益である理由
- 物理的本質の理解: 公式の暗記ではなく、「なぜ電流が流れないのか(=電位差がないから)」という根本原理(電位の平衡)を理解するのに役立ちます。
- 応用力の向上: 電位に着目する視点は、ブリッジ回路だけでなく、より複雑な回路解析においても強力な武器となります。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的な答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「メートルブリッジを用いた抵抗測定」です。メートルブリッジは、ホイートストンブリッジの原理を応用し、抵抗線の長さの比を利用して精密に抵抗値を測定する装置です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- ホイートストンブリッジの平衡条件: 検流計に電流が流れないとき、向かい合う抵抗の積が等しい(または隣り合う抵抗の比が等しい)。
$$ R_1 R_4 = R_2 R_3 \quad \text{または} \quad \frac{R_1}{R_2} = \frac{R_3}{R_4} $$ - 抵抗と長さの比例関係: 太さと材質が一様な抵抗線の抵抗値 \(R\) は、長さ \(L\) に比例する(\(R = \rho \frac{L}{S} \propto L\))。したがって、抵抗値の比はそのまま長さの比に置き換えられる。
- 電位と電流の関係: 電流は電位の高い方から低い方へ流れる。検流計に電流が流れないということは、両端の電位が等しいことを意味する。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)では、検流計に電流が流れていないことから、ホイートストンブリッジの平衡条件が成立していると判断します。抵抗線の長さの比を抵抗値の比として扱い、未知の抵抗 \(R\) を計算します。
- (2)では、接点Dをずらしたときに、点Dの電位がどのように変化するかを考えます。点Cの電位と比較し、電位が高い方から低い方へ電流が流れるという原則に基づいて向きを判断します。
問(1)
ここから先が、他の受験生と差がつく重要パートです。
「解法に至る思考プロセス」を
全て言語化した、超詳細解説。
なぜその公式を使うのか?どうしてその着眼点を持てるのか?
市販の解説では省略されてしまう「行間の思考」を、泥臭く解説しています。
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