「物理重要問題集2026」徹底解説(88〜90問):未来の得点力へ!完全マスター講座

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問題88 エコーロケーションのしくみ (20 帯広畜産大)

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(9)(10)の別解: 相対速度を用いた解法
      • 模範解答がドップラー効果の公式を2回適用して計算するのに対し、別解では「音波に対する相対速度」に着目し、1つの式で直感的に振動数を導出します。
    • 設問(9)(10)の別解: 位相関数(微積分)を用いた体系的解法
      • 模範解答が公式適用に留まるのに対し、別解では波の位相 \(\Phi(t)\) を定義し、その時間微分から振動数を導出する原理的なアプローチをとります。これにより、公式の適用条件(音源・観測者の速度が一定)を超えた理解が可能になります。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 相対速度の解法: 公式の暗記に頼らず、現象の物理的意味(波の追いかけっこ)を理解することで、計算ミスを減らし、応用力を高めます。
    • 位相関数の解法: ドップラー効果の本質が「位相の伝播遅延」であることを理解し、変速運動などの複雑な問題にも対応できる基礎体力を養います。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「エコーロケーション(反響定位)とドップラー効果」です。
コウモリが超音波を発し、その反射波を利用して物体までの距離や速度を測定する仕組みを、物理的なモデルとして解析します。
前半は波の基本性質(反射・干渉)を扱い、後半は動く物体(昆虫)に対するドップラー効果とうなりを扱います。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 波の基本式: \(V = f\lambda\)(速さ=振動数×波長)。
  2. 反射の法則: 入射角と反射角は等しい。固定端反射では位相が \(\pi\) ずれ、自由端反射ではずれない。
  3. 波の干渉: 経路差が波長の整数倍なら強め合い、半波長の奇数倍なら弱め合う(同位相音源の場合)。
  4. ドップラー効果: 音源や観測者が動くことで、観測される振動数が変化する現象。
  5. うなり: 振動数がわずかに異なる2つの波が重なると、振動数の差に等しい回数のうなりが生じる。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)〜(3)では、波の基本的な性質(周期、波長、速さ)と反射を利用した距離測定の原理を確認します。
  2. (4)(5)では、薄膜干渉と同様の原理で、昆虫の厚みによる反射波の干渉(弱め合い)を考察します。
  3. (6)〜(8)では、動く音源(コウモリ)が発する波の空間的な分布(波長の変化)を幾何学的に捉えます。
  4. (9)(10)では、動く反射体(昆虫)によるドップラー効果を2段階(観測者としての昆虫→音源としての昆虫)で計算し、うなりの回数を求めます。

問(1)

思考の道筋とポイント
下線部の語句「超音波」と「回折」の意味を問う知識問題です。
物理用語の定義を正確に記述します。

この設問における重要なポイント

  • 超音波: 人間の可聴域(約20Hz〜20000Hz)を超える高い振動数の音波。
  • 回折: 波が障害物の背後や隙間の向こう側に回り込んで伝わる現象。波長が長いほど顕著。

具体的な解説と立式
超音波: 人間の耳には聞こえない、振動数が高い(約20000Hz以上)音波のことです。
回折: 波が障害物の後ろ側に回り込んで伝わる現象のことです。

使用した物理公式

  • なし(定義の記述)
計算過程

なし

この設問の平易な説明

① 超音波は「超高い音」です。人間には聞こえませんが、コウモリやイルカは使えます。
② 回折は「波の回り込み」です。壁の向こうの声が聞こえるのは、音が壁を回り込んでくるからです。

結論と吟味

超音波は医療用エコーや洗浄機などに利用されており、指向性が高い(回折しにくい)という性質とも合致します。回折は波特有の現象であり、粒子には見られない性質です。

解答 (1) ① 振動数が,人が聞き取ることができる音波の振動数よりも高い音波。
② 波が障害物の背後までまわりこんで伝わる現象。

問(2)

思考の道筋とポイント
波の基本式を用いて、周期 \(T\) と波長 \(\lambda\) を求めます。
振動数 \(f\) と音速 \(V\) が与えられています。

この設問における重要なポイント

  • 周期と振動数の関係: \(T = \frac{1}{f}\)。
  • 波の基本式: \(V = f\lambda\)。

具体的な解説と立式
周期 \(T\) は振動数 \(f\) の逆数です。
$$
\begin{aligned}
T &= \frac{1}{f} \quad \cdots ①
\end{aligned}
$$
波長 \(\lambda\) は、波の基本式 \(V = f\lambda\) より求めます。
$$
\begin{aligned}
\lambda &= \frac{V}{f} \quad \cdots ②
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 周期の定義: \(T = 1/f\)
  • 波の基本式: \(V = f\lambda\)
計算過程

式①、②そのものが答えです。

この設問の平易な説明

周期は「1回振動するのにかかる時間」、波長は「波1個分の長さ」です。
1秒間に \(f\) 回振動して \(V\) [m] 進むので、波1個の長さは \(V/f\) [m] になります。

結論と吟味

単位を確認すると、\(T\) は [s]、\(\lambda\) は [m/s] / [1/s] = [m] となり、物理量の次元として正しいです。

解答 (2) 周期: \(\displaystyle \frac{1}{f}\) [s], 波長: \(\displaystyle \frac{V}{f}\) [m]

問(3)

思考の道筋とポイント
エコーロケーションの基本原理です。
往復にかかった時間 \(t\) から距離 \(D\) を求めます。
「往復」であることを忘れないようにします。

この設問における重要なポイント

  • 往復距離: 音波が進んだ距離は \(2D\) です。
  • 等速運動: 音速 \(V\) は一定です。

具体的な解説と立式
音波はコウモリから崖まで行き、反射して戻ってくるので、往復距離は \(2D\) です。
速さ \(V\) で時間 \(t\) かかったので、以下の式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
2D &= Vt \quad \cdots ③
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 距離 = 速さ × 時間
計算過程

式③を \(D\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
D &= \frac{Vt}{2}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

「速さ×時間」で計算できるのは「往復の道のり」です。
崖までの距離はその半分なので、2で割ります。

結論と吟味

時間が2倍かかれば距離も2倍になるという比例関係が成り立っており、物理的に妥当です。

解答 (3) \(\displaystyle \frac{Vt}{2}\) [m]

問(4)

思考の道筋とポイント
反射波が弱まった理由を問われています。
図2を見ると、昆虫の表面で反射する波と、崖の表面で反射する波の2つが存在します。
これら2つの波が干渉し、弱め合ったと考えられます。
問題文に「昆虫の表面と崖の表面で、反射のしかたに違いはなかった」とあるので、位相のずれ(固定端か自由端か)は両者で同じであり、考慮する必要がありません(相対的な位相差は経路差のみで決まります)。

この設問における重要なポイント

  • 経路差: 昆虫の厚さ \(d\) の往復分、つまり \(2d\) が経路差となります。
  • 干渉条件: 同位相の波源からの波が弱め合う条件は、経路差が半波長の奇数倍になることです。

具体的な解説と立式
昆虫の表面で反射した波と、崖の表面で反射した波が重なり合います。
崖からの反射波は、昆虫からの反射波に比べて、昆虫の厚さ \(d\) の往復分だけ余分に距離を進んでいます。
この経路差によって位相がずれ、逆位相となって重なり合ったため、波が弱め合いました。

使用した物理公式

  • 波の干渉原理
計算過程

なし(記述問題)

この設問の平易な説明

昆虫の背中で跳ね返る音と、その奥の崖で跳ね返る音の2つが戻ってきます。
この2つの音のタイミング(位相)がちょうど「山と谷」の関係にズレてしまったため、お互いに打ち消し合って音が小さくなりました。

結論と吟味

薄膜干渉などと同様の現象であり、波の重ね合わせの原理に基づいた妥当な説明です。

解答 (4) 昆虫の表面での反射波と,崖の表面での反射波とが,干渉して弱めあったから。

問(5)

思考の道筋とポイント
弱め合いの条件式を立てて \(d\) を求めます。
「振動数を \(f\) から徐々に低下させると、振動数が \(f_0\) のとき反射波が最も弱まった」
「\(f_0\) より低くすると反射波が弱まることはなかった」
この記述は、\(f_0\) のときが「最も次数の低い(\(m=0\))弱め合いの条件」を満たしていることを意味します。
つまり、経路差が半波長のちょうど1倍(\(\lambda/2\))になったということです。

この設問における重要なポイント

  • 経路差: \(2d\)。
  • 弱め合いの条件: \(2d = (m + \frac{1}{2})\lambda\)。
  • 条件の特定: \(f\) を下げていく(\(\lambda\) を長くしていく)と最初に弱まる点なので、最も長い波長 \(\lambda_0\) で条件を満たします。これは \(m=0\) に対応します。

具体的な解説と立式
振動数 \(f_0\) のときの波長を \(\lambda_0\) とします。
$$
\begin{aligned}
\lambda_0 &= \frac{V}{f_0}
\end{aligned}
$$
経路差 \(2d\) が半波長の奇数倍のとき弱め合います。
$$
\begin{aligned}
2d &= \left( m + \frac{1}{2} \right) \lambda_0 \quad (m = 0, 1, 2, \dots)
\end{aligned}
$$
振動数を下げていく(波長を長くしていく)過程で、\(f_0\) で初めて(そしてそれ以降はない)弱まったということは、このとき波長が最大であり、右辺の係数が最小(\(m=0\))であることを意味します。
よって、以下の式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
2d &= \frac{1}{2} \lambda_0 \quad \cdots ④
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 干渉条件(弱め合い): \(2d = (m + \frac{1}{2})\lambda\)
  • 波の基本式: \(\lambda = V/f\)
計算過程

式④に \(\lambda_0 = V/f_0\) を代入して \(d\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
2d &= \frac{1}{2} \cdot \frac{V}{f_0} \\[2.0ex]
d &= \frac{V}{4f_0}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

往復のズレ(\(2d\))が、ちょうど波1個分の半分(半波長)になったとき、波は打ち消し合います。
一番低い振動数(一番長い波長)でそれが起きたので、ズレの距離は「半波長そのもの」です。
ここから厚さ \(d\) を計算します。

結論と吟味

\(d = V/(4f_0)\) は波長の1/4です。往復で半波長になるので、干渉条件を満たしており正しいです。

解答 (5) \(\displaystyle \frac{V}{4f_0}\) [m]

問(6)

思考の道筋とポイント
図3の設定に移ります。コウモリも昆虫も動いています。
時間 \(\Delta t\) 内にコウモリが発した波の総数を求めます。
振動数 \(f\) は「1秒あたりの波の数」です。

この設問における重要なポイント

  • 波の総数: \(N = f \times t\)。
  • 音源の運動: 音源が動いても、発する振動数(1秒間に出す波の数)自体は変わりません(観測される振動数は変わりますが、ここでは「発した数」を聞かれています)。

具体的な解説と立式
コウモリは振動数 \(f\) で超音波を発しています。
これは1秒間に \(f\) 個の波を出すことを意味します。
時間 \(\Delta t\) の間に発する波の総数 \(N\) は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
N &= f \Delta t \quad \cdots ⑤
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 波の数の定義
計算過程

式⑤そのものが答えです。

この設問の平易な説明

1秒に \(f\) 回振動するなら、\(\Delta t\) 秒では \(f \times \Delta t\) 回振動します。

結論と吟味

単純な比例関係であり、次元も [1/s] × [s] = [無次元(個数)] となり正しいです。

解答 (6) \(f \Delta t\) [回]

問(7)

思考の道筋とポイント
発せられた波の列(波連)が空間中でどのくらいの長さ \(L\) になっているかを求めます。
図bを参照します。
波の先頭は時間 \(\Delta t\) の間に音速 \(V\) で進みます。
波の最後尾は、コウモリが時間 \(\Delta t\) の間に進んだ位置から発せられます。

この設問における重要なポイント

  • 先頭の位置: \(V \Delta t\) 進んだ地点。
  • 最後尾の位置: コウモリが \(v \Delta t\) 進んだ地点。
  • 波の長さ: (先頭の位置) – (最後尾の位置)。

具体的な解説と立式
時刻 \(t=0\) に発射された波の先頭は、時刻 \(t=\Delta t\) には距離 \(V \Delta t\) だけ進んでいます。
一方、時刻 \(t=\Delta t\) に発射される波の最後尾は、その瞬間のコウモリの位置から出ます。
コウモリは速さ \(v\) で飛んでいるので、時刻 \(t=\Delta t\) には \(v \Delta t\) だけ進んでいます。
したがって、空間中に存在する波の長さ \(L\) は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
L &= V \Delta t – v \Delta t \quad \cdots ⑥
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 距離 = 速さ × 時間
計算過程

式⑥を整理します。
$$
\begin{aligned}
L &= (V – v) \Delta t
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

波の先頭は音速で逃げていきますが、コウモリも後ろから追いかけながら波を出し続けます。
そのため、波全体の長さは「音速で進んだ距離」から「コウモリが進んだ距離」を引いたものになります。ドップラー効果で波長が縮む原因そのものです。

結論と吟味

\(v=0\) なら \(V \Delta t\) となり、静止音源の場合と一致します。\(v\) が大きくなると \(L\) は短くなり、波が圧縮される様子を表しています。

解答 (7) \((V-v)\Delta t\) [m]

問(8)

思考の道筋とポイント
コウモリの発した超音波の波長 \(\lambda’\) を求めます。
問(6)で求めた「波の総数」が、問(7)で求めた「波の長さ」の中に詰まっています。
波長は「波1個分の長さ」です。

この設問における重要なポイント

  • 波長の定義: \(\lambda = \frac{\text{波全体の長さ}}{\text{波の総数}}\)。

具体的な解説と立式
長さ \(L\) の中に \(N\) 個の波が含まれているので、1個あたりの長さ(波長 \(\lambda’\))は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
\lambda’ &= \frac{L}{N} \quad \cdots ⑦
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 波長の定義
計算過程

式⑦に問(6)(7)の結果を代入します。
$$
\begin{aligned}
\lambda’ &= \frac{(V – v) \Delta t}{f \Delta t} \\[2.0ex]
&= \frac{V – v}{f}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

全体の長さを個数で割れば、1個分の長さが出ます。
これがドップラー効果によって縮んだ新しい波長です。

結論と吟味

公式 \(\lambda’ = \frac{V-v}{f}\) と一致します。\(v\) が大きくなると波長が短くなるという物理的直感とも合致します。

解答 (8) \(\displaystyle \frac{V-v}{f}\) [m]

問(9)

思考の道筋とポイント
昆虫が受ける振動数 \(f’\) を求めます。
コウモリ(音源)は速さ \(v\) で近づき、昆虫(観測者)は速さ \(w\) で近づいています。
ドップラー効果の公式を適用します。

この設問における重要なポイント

  • 音源の速度: \(v\)(近づく向き)。
  • 観測者の速度: \(w\)(近づく向き)。
  • 公式の符号: 近づく場合、分子はプラス(観測者)、分母はマイナス(音源)。

具体的な解説と立式
音源(コウモリ)が速さ \(v\) で近づき、観測者(昆虫)が速さ \(w\) で近づく場合のドップラー効果の式より、昆虫が観測する振動数 \(f’\) は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
f’ &= \frac{V – (-w)}{V – v} f \quad (\text{観測者は近づくので分子は } V+w) \\[2.0ex]
&= \frac{V + w}{V – v} f \quad \cdots ⑧
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • ドップラー効果の公式: \(f’ = \frac{V-v_{\text{観}}}{V-v_{\text{音}}}f_0\)
    • 観測者が音源に向かう向きを正とします。
    • \(v_{\text{観}} = -w\)(音源に向かう)
    • \(v_{\text{音}} = v\)(観測者に向かう)
計算過程

式⑧そのものが答えです。

この設問の平易な説明

コウモリが追いかけてくるので波長が縮み(分母が小さくなる)、昆虫も迎えに行くので相対的な波の速さが速くなります(分子が大きくなる)。
ダブルの効果で振動数は高くなります。

結論と吟味

\(f’ > f\) となり、互いに近づく場合の振動数上昇と一致します。\(v=w=0\) なら \(f’=f\) となり、静止時の結果に戻ります。

解答 (9) \(\displaystyle \frac{V+w}{V-v}f\) [Hz]

問(10)

思考の道筋とポイント
コウモリが聞くうなりの回数を求めます。
うなりは、コウモリが発している音の振動数 \(f\) と、昆虫から反射して戻ってきた音の振動数 \(f”\) の差です。
まず、反射音の振動数 \(f”\) を求めます。
昆虫は振動数 \(f’\)(問9の結果)を受け取り、それをそのまま反射します(動く音源となります)。

この設問における重要なポイント

  • 反射の扱い: 昆虫は「動く観測者」として \(f’\) を受け取り、「動く音源」として \(f’\) を再放射します。
  • 音源(昆虫): 速さ \(w\) で近づく。
  • 観測者(コウモリ): 速さ \(v\) で近づく。
  • うなりの回数: \(|f” – f|\)。

具体的な解説と立式
ステップ1: 反射音の振動数 \(f”\) の導出
昆虫(音源)は速さ \(w\) で近づき、コウモリ(観測者)は速さ \(v\) で近づきます。
発振振動数は \(f’\) です。
$$
\begin{aligned}
f” &= \frac{V – (-v)}{V – w} f’ \quad (\text{観測者は近づくので分子は } V+v) \\[2.0ex]
&= \frac{V + v}{V – w} f’ \quad \cdots ⑨
\end{aligned}
$$
これに問(9)の \(f’\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
f” &= \frac{V + v}{V – w} \cdot \frac{V + w}{V – v} f
\end{aligned}
$$
ステップ2: うなりの回数 \(n\) の導出
うなりの回数は振動数の差の絶対値です。\(f” > f\) なので、
$$
\begin{aligned}
n &= f” – f \quad \cdots ⑩
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • ドップラー効果の公式
  • うなりの公式: \(n = |f_1 – f_2|\)
計算過程

式⑩に \(f”\) を代入して計算します。
$$
\begin{aligned}
n &= \left( \frac{V + v}{V – w} \cdot \frac{V + w}{V – v} – 1 \right) f \\[2.0ex]
&= \frac{(V + v)(V + w) – (V – w)(V – v)}{(V – w)(V – v)} f \\[2.0ex]
&= \frac{(V^2 + Vw + Vv + vw) – (V^2 – Vv – Vw + vw)}{(V – w)(V – v)} f \\[2.0ex]
&= \frac{2Vv + 2Vw}{(V – w)(V – v)} f \\[2.0ex]
&= \frac{2V(v + w)}{(V – v)(V – w)} f
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

戻ってきた音 \(f”\) は、行きと帰りの両方でドップラー効果を受けて、かなり高い音になっています。
元の音 \(f\) との差を計算すると、うなりの回数が求まります。
分母分子を展開して整理する計算力が問われます。

結論と吟味

\(v, w\) が正なら \(n > 0\) となり、うなりが生じます。\(v=w=0\) なら \(n=0\) でうなりなし。物理的に妥当です。

解答 (10) \(\displaystyle \frac{2(v+w)V}{(V-w)(V-v)}f\) [回/s]
別解: 相対速度を用いた解法(問9, 10)

思考の道筋とポイント
ドップラー効果の公式を「波に対する相対速度」の比として捉えます。
\(f_{\text{観}} = \frac{\text{波と観測者の相対速さ}}{\text{波と音源の相対速さ}} f_{\text{音}}\)
この視点を持つと、式の意味が直感的に理解でき、立式ミスを防げます。

この設問における重要なポイント

  • 波の速さ: \(V\)。
  • 相対速さ: 向かい合う場合は足し算、逃げる場合は引き算。

具体的な解説と立式
問(9)
音源(コウモリ)から出た波の、音源に対する相対速さは \(V – v\) です(波が逃げ、音源が追う)。
この波が観測者(昆虫)に向かいます。
観測者に対する波の相対速さは \(V + w\) です(波が向かい、観測者も向かう)。
波長は空間で決まっているので共通です。
$$
\begin{aligned}
\text{波長} &= \frac{V – v}{f} \\[2.0ex]
&= \frac{V + w}{f’}
\end{aligned}
$$
よって、
$$
\begin{aligned}
f’ &= \frac{V + w}{V – v} f
\end{aligned}
$$
問(10)
反射波について考えます。
昆虫(反射源)から出る波の、昆虫に対する相対速さは \(V – w\) です(波が逃げ、昆虫が追う)。
この波がコウモリ(観測者)に向かいます。
コウモリに対する波の相対速さは \(V + v\) です(波が向かい、コウモリも向かう)。
同様に波長等式の関係から、
$$
\begin{aligned}
f” &= \frac{V + v}{V – w} f’
\end{aligned}
$$
これらを組み合わせれば、メイン解法と同じ式が得られます。

使用した物理公式

  • 相対速度によるドップラー効果の理解
計算過程

(メイン解法と同様)

この設問の平易な説明

「出す側から見た波の速さ」と「受ける側から見た波の速さ」の比が、そのまま振動数の比になります。
公式を忘れても、この理屈さえ分かっていれば一瞬で式が作れます。

結論と吟味

メイン解法と完全に一致します。

解答 メイン解法と同じ
別解: 位相関数(微積分)を用いた体系的解法(問9, 10)

思考の道筋とポイント
波の位相 \(\Phi(t)\) を定義し、その時間微分から振動数を求めます。
この方法は、速度が変化する場合などにも適用できる厳密な手法です。

この設問における重要なポイント

  • 位相の不変性: \(\Phi_{\text{受}}(t) = \Phi_{\text{出}}(\tau)\)。
  • 伝播遅延: \(t = \tau + \frac{R(\tau)}{V}\)。
  • 振動数: \(f = \frac{1}{2\pi} \frac{d\Phi}{dt}\)。

具体的な解説と立式
コウモリの位置を \(x_B(t) = vt\)、昆虫の位置を \(x_I(t) = L – wt\) とします(\(t=0\) で距離 \(L\))。
距離 \(R(t) = x_I(t) – x_B(t) = L – (v+w)t\) です。

問(9)
コウモリが時刻 \(\tau\) に発した位相は \(2\pi f \tau\) です。
昆虫が時刻 \(t\) に受け取る位相はこれと等しいです。
$$
\begin{aligned}
t &= \tau + \frac{R(\tau)}{V} \\[2.0ex]
&= \tau + \frac{L – (v+w)\tau}{V}
\end{aligned}
$$
ここで注意が必要です。上記の距離 \(R(\tau)\) は「発射時の距離」ですが、ドップラー効果で重要なのは「音源が動くことによる波長の短縮」と「観測者が動くことによる受取速度の変化」です。
厳密には、音源(コウモリ)の位置 \(x_B(\tau)\) と観測者(昆虫)の位置 \(x_I(t)\) を用いて \(t = \tau + \frac{x_I(t) – x_B(\tau)}{V}\) と立式する必要があります。
$$
\begin{aligned}
V(t – \tau) &= (L – wt) – v\tau \\[2.0ex]
Vt + wt &= V\tau – v\tau + L \\[2.0ex]
(V+w)t &= (V-v)\tau + L
\end{aligned}
$$
これを微分すると、
$$
\begin{aligned}
V+w &= (V-v) \frac{d\tau}{dt} \\[2.0ex]
\frac{d\tau}{dt} &= \frac{V+w}{V-v}
\end{aligned}
$$
よって、
$$
\begin{aligned}
f’ &= f \frac{d\tau}{dt} \\[2.0ex]
&= \frac{V+w}{V-v} f
\end{aligned}
$$

問(10)
反射波についても同様に、昆虫発信時刻 \(\tau’\) とコウモリ受信時刻 \(t’\) の関係式を立てます。
$$
\begin{aligned}
t’ &= \tau’ + \frac{x_I(\tau’) – x_B(t’)}{V}
\end{aligned}
$$
これを整理して微分すると、
$$
\begin{aligned}
\frac{d\tau’}{dt’} &= \frac{V+v}{V-w}
\end{aligned}
$$
となり、\(f” = f’ \frac{V+v}{V-w}\) が導かれます。

使用した物理公式

  • 位相の定義と微分
計算過程

(解説内で記述済み)

この設問の平易な説明

「いつ出した音がいつ届くか」という時間の関係式を作り、それを微分することで「時間の進み方のズレ」を計算しました。
このズレがそのまま振動数の変化になります。

結論と吟味

公式と同じ結果が、より原理的な位置関係の式から導かれました。

解答 メイン解法と同じ

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?

  • ドップラー効果と相対速度
    • 核心: 音源や観測者の運動によって、波の「波長(空間的な間隔)」や「相対的な波の速さ」が変化し、結果として観測される振動数が変化する現象です。
    • 理解のポイント:
      • 音源が動く時: 波長 \(\lambda\) が変化します(縮むか伸びる)。音速 \(V\) は変わりません。
      • 観測者が動く時: 相対的な音速 \(V’\) が変化します。波長 \(\lambda\) は変わりません。
      • 公式の本質: \(f’ = \frac{V-v_{\text{観}}}{V-v_{\text{音}}}f_0\) という公式は、上記の2つの効果を統合したものです。
  • 波の反射と干渉
    • 核心: 異なる経路を通った波が重なり合うとき、その経路差によって強め合ったり弱め合ったりする現象です。
    • 理解のポイント:
      • 経路差: 幾何学的な距離の差です。今回は昆虫の厚さの往復分 \(2d\) です。
      • 位相差: 反射による位相の反転(固定端反射)の有無を確認する必要があります。今回は「反射のしかたに違いはない」ため、経路差のみで決まります。

応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点

  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 風がある場合のドップラー効果: 風速 \(w\) がある場合、音速を \(V\) ではなく \(V+w\)(風向き成分を加算)として公式に適用します。
    • 斜め方向の運動: 音源や観測者の速度ベクトルを、「音源と観測者を結ぶ直線方向」に分解して、その成分のみを公式に代入します。
    • 薄膜干渉: 光の干渉問題でも、厚さ \(d\) の膜による反射光の干渉は頻出です。経路差 \(2nd\)(\(n\)は屈折率)と反射による位相変化をセットで考えます。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 速度ベクトルの作図: 登場する全ての物体(音源、観測者、反射板)の速度ベクトルを矢印で描き込みます。
    2. 正の向きの定義: 「音源から観測者に向かう向き」を正として、各速度の符号(\(+\) か \(-\) か)を慎重に決定します。
    3. 反射板の処理: 反射板が動いている場合は、「観測者として遠ざかっているか?」「音源として近づいているか?」を個別に判定します。

要注意!ありがちなミス・誤解とその対策

  • 反射板が動く時の符号ミス:
    • 誤解: 「反射板が右に動いているから、常にプラス(またはマイナス)」と機械的に符号を決めてしまう。
    • 対策: 反射板は「受け取る時」と「出す時」で役割が変わります。
      • 受け取る時(観測者): 音源から逃げているなら \(V-u\)。
      • 出す時(音源): 観測者から逃げているなら \(V+u\)(分母)。
      • このように、各ステップで「近づく(振動数UP)」「遠ざかる(振動数DOWN)」を物理的に確認してください。
  • 干渉条件の取り違え:
    • 誤解: 「強め合い=整数倍」と丸暗記して、反射による位相の反転を考慮し忘れる。
    • 対策: 必ず「反射による位相変化」を確認します。固定端反射が1回あれば条件が逆転します。今回は「違いはない」のでそのまま適用できます。

なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法

  • ドップラー効果の公式(メイン解法):
    • 選定理由: 等速直線運動の問題であり、公式を適用するのが最も速く、計算ミスも少ないため。
    • 適用根拠: 音源と観測者の速度が一定であり、媒質が一様であるため、公式の前提条件を完全に満たしています。
  • 相対速度法(別解):
    • 選定理由: 公式を忘れてしまった場合や、式の意味を確認したい場合に有効です。
    • 適用根拠: 波の相対速度と波長の関係から、振動数の比が速度の比になることは物理的に自明です。

計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック

  • 極限的なケースでの検算:
    • 意識: 求めた式が物理的に妥当かを確認する習慣を持つ。
    • 実践: 例えば \(v=w=0\)(動かない)とした時、振動数は \(f\) に戻るか? \(v \to V\)(音速で移動)とした時、分母が \(0\) になり振動数が発散する(衝撃波)か?などを確認します。
  • 次元解析(単位チェック):
    • 意識: 文字式の計算結果が正しい次元を持っているか確認する。
    • 実践: 振動数の答えなら、係数は無次元(速度÷速度)になっているはずです。もし \(\frac{V^2}{V-v}\) のようになっていたら、速度の次元が残ってしまうので間違いだと気づけます。
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問題89 光の屈折 (17 法政大 改)

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(4)の別解: 光路長(フェルマーの原理)を用いた解法
      • 模範解答が速度の平行成分を用いて時間を計算するのに対し、別解では光路長(屈折率×幾何学的距離)を計算し、それを真空中の光速 \(c\) で割ることで時間を求めます。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 光路長の解法: 幾何学的な経路の長さを直接扱うため、速度成分の分解などの計算ミスを減らせる可能性があります。また、波動光学(干渉など)への接続が良い概念です。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「光ファイバーにおける全反射と光の伝播」です。
屈折率の異なる2つの媒質(コアとクラッド)を用いて光を閉じ込め、遠くまで伝送する光ファイバーの原理を、幾何光学の法則(屈折の法則、全反射の条件)を用いて解析します。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 屈折の法則: \(n_1 \sin \theta_1 = n_2 \sin \theta_2\)。入射角と屈折角の関係を記述します。
  2. 全反射: 屈折率の大きい媒質から小さい媒質へ光が入射する際、入射角がある臨界角を超えると、光が境界面ですべて反射される現象です。条件は \(\sin \theta_c = n_2/n_1\)(臨界角 \(\theta_c\))。
  3. 光速と屈折率: 屈折率 \(n\) の媒質中での光速 \(v\) は、真空中の光速 \(c\) を用いて \(v = c/n\) と表されます。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)では、空気から媒質1への入射における屈折の法則を用いて、入射角 \(\theta\) と屈折角(に関連する \(\alpha\))の関係を導きます。
  2. (2)では、媒質1と媒質2の境界での全反射条件を立式し、それを \(\sin \theta\) の条件に変換します。
  3. (3)では、あらゆる入射角 \(\theta\) で全反射が起こるための屈折率 \(n_1, n_2\) の条件を考察します。
  4. (4)では、光がファイバー内を進む速度の「軸方向成分」に着目し、全長 \(L\) を進むのにかかる時間を計算します。

問(1)

ここから先が、他の受験生と差がつく重要パートです。

「解法に至る思考プロセス」
全て言語化した、超詳細解説。

なぜその公式を使うのか?どうしてその着眼点を持てるのか?
市販の解説では省略されてしまう「行間の思考」を、泥臭く解説しています。
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