「リードα 物理基礎・物理 改訂版」徹底解説!【第22章】基本例題~基本問題381

11月、中間の×を生んだ考え方のクセは、期末にもついてきます。
範囲が変わっても、×を生んだ考え方のクセは次の単元へ持ち越されます。答案の×を1つずつ「どの順番で考えたか」に戻して、期末で同じ転び方をしない準備を。
当ページでは、数式をより見やすく表示するための処理に、少しお時間がかかることがございます。お手数ですが、ページを開いたまま少々お待ちください。

基本例題

基本例題72 平行板コンデンサー

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】

本解説は、模範解答で採用されている解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。

  1. 提示する別解
    • 設問(1)の別解: 電場の一様性に着目する解法
      • 模範解答が電気容量\(C\)の変化から電位差\(V\)を求めるのに対し、別解ではスイッチを開いた後は電場\(E\)が一定に保たれることを利用して直接電位差\(V\)を導出します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理的本質の深化: スイッチを開いた(孤立した)コンデンサーでは、電荷が保存される結果、極板間の電場が一定に保たれるという、ガウスの法則に根差した重要な物理概念の理解が深まります。
    • 思考の柔軟性向上: 電位差を求める際に、\(V=\displaystyle\frac{Q}{C}\)という経路だけでなく、\(V=Ed\)という経路からもアプローチできることを学ぶことで、問題解決の選択肢が広がります。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「コンデンサーの基本法則と回路操作」です。コンデンサーの振る舞いは、スイッチが開いているか閉じているか、つまり「電気的に孤立しているか」「電池に接続されているか」で大きく変わります。この条件の違いを正しく見抜き、適切な物理法則を適用できるかが問われます。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. コンデンサーの基本式: 電気量\(Q\)、電気容量\(C\)、電位差\(V\)の間の関係式 \(Q=CV\) を理解していること。
  2. 平行板コンデンサーの電気容量: 電気容量\(C\)が、極板の面積\(S\)、極板間隔\(d\)、そして極板間を満たす物質の誘電率\(\epsilon\)によってどのように決まるか (\(C = \epsilon \displaystyle\frac{S}{d}\)) を知っていること。
  3. 回路の接続状態と保存量: スイッチを開いてコンデンサーを孤立させると電気量\(Q\)が保存され、スイッチを閉じて電池に接続したままにすると電位差\(V\)が保存される、という大原則を理解していること。
  4. 一様な電場と電位差の関係: 極板間の電場\(E\)と電位差\(V\)、極板間隔\(d\)の関係 (\(V=Ed\)) を理解していること。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)では、まず「スイッチを開く」という操作に着目し、電気量\(Q\)が一定に保たれることを確認します。次に、極板間隔\(d\)の変化が電気容量\(C\)に与える影響を考え、最終的に電位差\(V\)が何倍になるかを求めます。
  2. (2)では、「スイッチを閉じたまま」という操作に着目し、電位差\(V\)が一定に保たれることを確認します。この条件下で、誘電体を挿入したことによる電気容量\(C\)の変化を考え、それが電気量\(Q\)と電場\(E\)にどう影響するかをそれぞれ計算します。

問(1)

思考の道筋とポイント
スイッチSを閉じて充電した後、Sを開くという操作が重要です。これにより、コンデンサーは回路から電気的に孤立します。その結果、極板上に蓄えられた電気量\(Q\)は移動先がないため、一定に保たれます。この「\(Q\)一定」という条件下で、極板間隔\(d\)を変化させます。\(d\)が変わると電気容量\(C\)が変化し、その結果として電位差\(V\)が変化する、という因果関係を順に追っていきます。
この設問における重要なポイント

  • 充電完了後、スイッチを開くとコンデンサーは孤立し、電気量\(Q\)が一定に保たれる。
  • 平行板コンデンサーの電気容量\(C\)は、極板間隔\(d\)に反比例する (\(C \propto \displaystyle\frac{1}{d}\))。
  • 電位差\(V\)は、基本式 \(Q=CV\) より \(V = \displaystyle\frac{Q}{C}\) と表せる。

具体的な解説と立式
まず、変化前の状態を考えます。スイッチを閉じて十分に充電したとき、コンデンサーの電位差は電池の電圧\(E\)に等しくなります。このときの電気容量を\(C_{\text{前}}\)、極板間隔を\(d_{\text{前}}\)、蓄えられた電気量を\(Q_{\text{前}}\)とすると、
$$ Q_{\text{前}} = C_{\text{前}} E $$
が成り立ちます。

次に、スイッチSを開き、極板間隔を2倍にします。変化後の極板間隔を\(d_{\text{後}}\)、電気容量を\(C_{\text{後}}\)とすると、
$$ d_{\text{後}} = 2d_{\text{前}} $$
電気容量は極板間隔に反比例するため、真空の誘電率を\(\epsilon_0\)、極板面積を\(S\)として、
$$
\begin{aligned}
C_{\text{後}} &= \epsilon_0 \frac{S}{d_{\text{後}}} \\[2.0ex] &= \epsilon_0 \frac{S}{2d_{\text{前}}} \\[2.0ex] &= \frac{1}{2} \left( \epsilon_0 \frac{S}{d_{\text{前}}} \right) \\[2.0ex] &= \frac{1}{2} C_{\text{前}} \quad \cdots ①
\end{aligned}
$$
となります。

スイッチを開いた後の操作なので、電気量\(Q\)は保存されます。
$$ Q_{\text{後}} = Q_{\text{前}} \quad \cdots ② $$
変化後の電位差を\(V_{\text{後}}\)とすると、コンデンサーの基本式は \(Q_{\text{後}} = C_{\text{後}} V_{\text{後}}\) となります。この式を\(V_{\text{後}}\)について解くと、
$$ V_{\text{後}} = \frac{Q_{\text{後}}}{C_{\text{後}}} \quad \cdots ③ $$
この式を用いて、変化後の電位差が変化前の何倍になるかを計算します。

使用した物理公式

  • コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
  • 平行板コンデンサーの電気容量: \(C = \epsilon_0 \displaystyle\frac{S}{d}\)
  • 電気量保存の法則
計算過程

式③に、式①と式②の関係(\(Q_{\text{後}} = Q_{\text{前}}\))を代入します。
$$
\begin{aligned}
V_{\text{後}} &= \frac{Q_{\text{後}}}{C_{\text{後}}} \\[2.0ex] &= \frac{Q_{\text{前}}}{\frac{1}{2} C_{\text{前}}} \\[2.0ex] &= 2 \frac{Q_{\text{前}}}{C_{\text{前}}}
\end{aligned}
$$
ここで、変化前の電位差は \(E = \displaystyle\frac{Q_{\text{前}}}{C_{\text{前}}}\) であったので、
$$ V_{\text{後}} = 2E $$
したがって、変化後の電位差は、変化前の2倍になります。

この設問の平易な説明

まず、コンデンサーを電池につないで電気をいっぱいに溜めます。次にスイッチを切ると、コンデンサーは「電気の孤島」になり、蓄えられた電気の量\(Q\)は逃げ場がないので変わりません。この状態で、コンデンサーの2枚の板の間隔を2倍に広げます。間隔が広がると、コンデンサーは電気を蓄える能力(電気容量\(C\))が半分になってしまいます。同じ量の電気\(Q\)を、性能が半分になった入れ物\(C\)に無理やり押し込めている状態なので、その分だけ電圧\(V\)(電気的な圧力のようなもの)は高くなります。具体的には、容量が1/2倍になったので、電圧は2倍になるのです。

結論と吟味

極板間の電位差は2倍になります。この結果は、孤立したコンデンサーの極板間隔を広げるには、極板間に働く静電気的な引力に逆らって外から仕事をする必要があることと対応しています。この外部から加えられた仕事がコンデンサーの静電エネルギーの増加(\(U = \displaystyle\frac{Q^2}{2C}\)で、\(C\)が半分になるので\(U\)は2倍になる)に繋がり、結果として電位差の増加となって現れるのです。物理的に妥当な結果と言えます。

解答 (1) 2倍
別解: 電場の一様性に着目する解法

思考の道筋とポイント
主たる解法とは別の視点から考えます。スイッチを開くと電気量\(Q\)が保存される、という点は同じです。ここで、平行板コンデンサーの極板間の電場\(E\)は、極板の電荷密度(単位面積あたりの電気量)のみで決まるという性質に着目します。\(Q\)が一定で極板面積\(S\)も変わらないため、電場\(E\)は一定に保たれます。この事実と、電位差\(V\)、電場\(E\)、極板間隔\(d\)の間の関係式 \(V=Ed\) を用いることで、\(d\)の変化から直接\(V\)の変化を導きます。
この設問における重要なポイント

  • 孤立した平行板コンデンサーでは、極板上の電気量\(Q\)が一定に保たれる。
  • 極板間の電場\(E\)は \(E = \displaystyle\frac{Q}{\epsilon_0 S}\) で与えられ、\(Q\)が一定なら\(E\)も一定である。
  • 一様な電場と電位差の関係は \(V=Ed\) である。

具体的な解説と立式
スイッチを開いた後、コンデンサーは孤立し、電気量\(Q\)は一定に保たれます。
平行板コンデンサーの極板間の電場\(E\)は、真空の誘電率を\(\epsilon_0\)、極板の面積を\(S\)とすると、
$$ E = \frac{Q}{\epsilon_0 S} $$
と表されます。今、\(Q\)、\(\epsilon_0\)、\(S\)はすべて変化しないため、極板間隔を広げても電場\(E\)の強さは一定に保たれます。
$$ E_{\text{後}} = E_{\text{前}} \quad \cdots ① $$
一方、電位差\(V\)と電場\(E\)、極板間隔\(d\)の間には、
$$ V = Ed $$
という関係があります。変化前の電位差は \(V_{\text{前}} = E_{\text{前}} d_{\text{前}}\)、変化後の電位差は \(V_{\text{後}} = E_{\text{後}} d_{\text{後}}\) です。
問題の条件より、\(d_{\text{後}} = 2 d_{\text{前}}\) です。
求めたいのは電位差が何倍になるかなので、その比を計算します。
$$ \frac{V_{\text{後}}}{V_{\text{前}}} = \frac{E_{\text{後}} d_{\text{後}}}{E_{\text{前}} d_{\text{前}}} \quad \cdots ② $$

使用した物理公式

  • 一様な電場と電位差の関係: \(V=Ed\)
  • 平行板コンデンサーの電場: \(E = \displaystyle\frac{Q}{\epsilon_0 S}\)
計算過程

式②に、式①の関係 (\(E_{\text{後}} = E_{\text{前}}\)) と、問題の条件 (\(d_{\text{後}} = 2 d_{\text{前}}\)) を代入します。
$$
\begin{aligned}
\frac{V_{\text{後}}}{V_{\text{前}}} &= \frac{E_{\text{前}} (2 d_{\text{前}})}{E_{\text{前}} d_{\text{前}}} \\[2.0ex] &= 2
\end{aligned}
$$
したがって、変化後の電位差は、変化前の2倍になります。

この設問の平易な説明

スイッチを切ると、コンデンサーに蓄えられた電気の量\(Q\)は一定になります。コンデンサー内の電場の強さ\(E\)は、この電気の量だけで決まるので、電場の強さも変わりません。電位差(電圧)\(V\)は、「電場の強さ\(E\) × 距離\(d\)」という簡単な掛け算で計算できます。今回は、電場の強さ\(E\)は変わらずに、距離\(d\)だけが2倍になったので、掛け算の結果である電圧\(V\)も2倍になる、というわけです。

結論と吟味

電位差は2倍になるという、主たる解法と完全に一致する結果が得られました。電気容量\(C\)を介さずに、より直接的に電場\(E\)と電位差\(V\)の関係から答えを導くことができ、物理的状況を別の角度から理解する上で有益なアプローチです。

解答 (1) 2倍

問(2)

思考の道筋とポイント
この設問では、「スイッチSを閉じたまま」という操作が最大の鍵です。これは、コンデンサーが常に電池に接続されていることを意味し、その結果、極板間の電位差\(V\)が電池の電圧\(E\)で一定に保たれます。この「\(V\)一定」という条件下で、極板間を誘電体で満たします。誘電体を挿入すると電気容量\(C\)が変化します。この\(C\)の変化が、\(V\)一定の条件下で、電気量\(Q\)と電場\(E\)にどのような影響を及ぼすかを、それぞれ基本公式に当てはめて考えます。
この設問における重要なポイント

  • スイッチを閉じたまま(電池に接続したまま)の操作では、電位差\(V\)が一定に保たれる。
  • 比誘電率\(\epsilon_r\)の誘電体で満たすと、電気容量\(C\)は\(\epsilon_r\)倍になる。
  • 電気量\(Q\)は \(Q=CV\) で、電場\(E\)は \(E=V/d\) で計算される。

具体的な解説と立式
操作中、スイッチは閉じているため、コンデンサーの電位差\(V\)は電池の電圧\(E\)で常に一定です。
$$ V_{\text{後}} = V_{\text{前}} (=E) \quad \cdots ① $$
誘電体を入れないときの電気容量を\(C_{\text{前}}\)とします。比誘電率\(\epsilon_r=5\)の誘電体で極板間を満たした後の電気容量を\(C_{\text{後}}\)とすると、
$$
\begin{aligned}
C_{\text{後}} &= \epsilon_r C_{\text{前}} \\[2.0ex] &= 5 C_{\text{前}} \quad \cdots ②
\end{aligned}
$$
となります。

まず、電気量\(Q\)が何倍になるかを考えます。
変化前の電気量は \(Q_{\text{前}} = C_{\text{前}} V_{\text{前}}\)、変化後の電気量は \(Q_{\text{後}} = C_{\text{後}} V_{\text{後}}\) です。
求めたいのは比 \(\displaystyle\frac{Q_{\text{後}}}{Q_{\text{前}}}\) です。
$$ \frac{Q_{\text{後}}}{Q_{\text{前}}} = \frac{C_{\text{後}} V_{\text{後}}}{C_{\text{前}} V_{\text{前}}} \quad \cdots ③ $$

次に、電場の強さ\(E\)が何倍になるかを考えます。
極板間隔\(d\)は変化していません。変化前の電場は \(E_{\text{前}} = \displaystyle\frac{V_{\text{前}}}{d}\)、変化後の電場は \(E_{\text{後}} = \displaystyle\frac{V_{\text{後}}}{d}\) です。
求めたいのは比 \(\displaystyle\frac{E_{\text{後}}}{E_{\text{前}}}\) です。
$$
\begin{aligned}
\frac{E_{\text{後}}}{E_{\text{前}}} &= \frac{V_{\text{後}}/d}{V_{\text{前}}/d} \\[2.0ex] &= \frac{V_{\text{後}}}{V_{\text{前}}} \quad \cdots ④
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
  • 誘電体挿入による電気容量の変化: \(C’ = \epsilon_r C\)
  • 一様な電場と電位差の関係: \(E=V/d\)
計算過程

電気量の比を計算します。式③に、式①と式②を代入します。
$$
\begin{aligned}
\frac{Q_{\text{後}}}{Q_{\text{前}}} &= \frac{(5 C_{\text{前}}) V_{\text{前}}}{C_{\text{前}} V_{\text{前}}} \\[2.0ex] &= 5
\end{aligned}
$$
よって、電気量は5倍になります。

電場の強さの比を計算します。式④に、式①を代入します。
$$
\begin{aligned}
\frac{E_{\text{後}}}{E_{\text{前}}} &= \frac{V_{\text{前}}}{V_{\text{前}}} \\[2.0ex] &= 1
\end{aligned}
$$
よって、電場の強さは1倍、つまり変化しません。

この設問の平易な説明

今度はスイッチを閉じたままなので、コンデンサーは常に電池につながっています。これは「電圧\(V\)を一定に保つ」という契約が結ばれている状態です。この状態で、極板の間に「誘電体」という、電気を溜める能力をアップさせる特殊なシートを挟み込みます。問題では比誘電率が5なので、コンデンサーの性能(電気容量\(C\))が5倍に上がります。電圧\(V\)が同じまま性能\(C\)が5倍になったので、蓄えられる電気の量\(Q\)も5倍に増えます。電池が追加で電気を送り込んでくれるイメージです。一方、電場の強さ\(E\)は「電圧\(V\) ÷ 距離\(d\)」で決まります。今回は電圧\(V\)も距離\(d\)も変わっていないので、電場の強さ\(E\)は全く変化しない(1倍のまま)ということになります。

結論と吟味

電気量は5倍、電場の強さは1倍(不変)となります。電池に接続された状態で誘電体を挿入すると、より多くの電荷を蓄えることができるようになり、その分の電荷が電池から供給されるため電気量が増加します。また、電位差と極板間隔が不変であることから、電場が不変であるという結果も物理的に妥当です。

解答 (2) 電気量:5倍, 電場の強さ:1倍

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • 回路の接続状態と不変量の見極め:
    • 核心: この問題の根幹は、コンデンサーが置かれている状況(スイッチが開いているか、閉じているか)を正確に把握し、その状況で「何が一定に保たれるか(不変量は何か)」を見抜くことにあります。
    • 理解のポイント:
      • スイッチOFF(孤立系): 充電後にスイッチを開くと、コンデンサーは電気的に孤立します。電荷の逃げ道も供給源もないため、極板上の電気量\(Q\)が一定に保たれます。設問(1)はこのパターンです。
      • スイッチON(接続系): スイッチを閉じたまま操作を行うと、コンデンサーは常に電池に接続されています。電池は電位差を一定に保つ働きをするため、極板間の電位差\(V\)が一定に保たれます。設問(2)はこのパターンです。
      • 思考の出発点: 問題を解き始める前に、まず「スイッチはONかOFFか?」を確認し、「\(Q\)一定」か「\(V\)一定」かを判断することが、正しい公式選択への第一歩となります。
  • コンデンサーの物理量を決める要因の理解:
    • 核心: 電気容量\(C\)、電気量\(Q\)、電位差\(V\)、電場\(E\)といった物理量が、それぞれ何によって決まるのか、その因果関係を整理して理解することが重要です。
    • 理解のポイント:
      • 電気容量\(C\): コンデンサーの「性能」や「器の大きさ」を表す量で、その値は形状(極板面積\(S\)、極板間隔\(d\))と中身(誘電率\(\epsilon\))だけで決まります。回路の接続状態や\(Q\)、\(V\)には依存しません。(\(C = \epsilon \displaystyle\frac{S}{d}\))
      • その他の量(\(Q, V, E\)): これらは互いに依存しあっています。\(Q=CV\), \(V=Ed\) という基本式を元に、状況に応じてどの量が変化し、どの量が一定かを判断して関係を追います。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • コンデンサーのエネルギー変化を問う問題: 本問の操作(極板間隔の変更、誘電体の挿入)によって、コンデンサーの静電エネルギー\(U\)がどう変化するかを問う問題は頻出です。この場合も、まず「\(Q\)一定」か「\(V\)一定」かを見極め、それぞれに適したエネルギーの公式(\(Q\)一定なら \(U=\displaystyle\frac{Q^2}{2C}\)、\(V\)一定なら \(U=\displaystyle\frac{1}{2}CV^2\))を選択することが鍵となります。
    • 誘電体を一部だけ挿入する問題: 極板間の一部にだけ誘電体を挿入する場合、誘電体部分と空気部分が「並列接続」されているのか「直列接続」されているのかを見極め、合成容量を計算する必要があります。
    • コンデンサーに働く力を問う問題: 孤立したコンデンサーの極板間引力は \(F = \displaystyle\frac{Q^2}{2\epsilon_0 S}\) であり、\(Q\)が一定なので引力も一定です。一方、電池に接続された状態では \(F = \displaystyle\frac{1}{2} \epsilon_0 S (\frac{V}{d})^2\) となり、\(V\)が一定でも、極板間隔\(d\)を変えると引力は\(d^2\)に反比例して変化します(\(d\)を2倍にすると引力は\(\displaystyle\frac{1}{4}\)倍)。このように、接続状態で力がどうなるかを考える問題に応用できます。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 操作の順番を時系列で追う: 「まず充電 → 次にスイッチを開く → 最後に間隔を変える」のように、問題文に書かれた操作を一つずつ順番に追い、各段階で何が起こるかを考えます。
    2. 「スイッチ」という単語に超敏感になる: 問題文中の「スイッチを開き」「スイッチを閉じたまま」という言葉は、物理法則の選択を決定づける最重要キーワードです。この言葉を見たら、即座に「\(Q\)一定」か「\(V\)一定」かを判断する癖をつけます。
    3. 変化する量と変化しない量をリストアップする: 各設問で、操作によって変化する物理量(例: \(d, C, V\))と、変化しない物理量(例: \(Q, S, \epsilon_0\))を明確に区別して書き出すと、思考が整理され、ミスが減ります。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • \(Q\)一定と\(V\)一定の混同:
    • 誤解: スイッチを開いたのに\(V\)が一定だと考えたり、閉じたままなのに\(Q\)が一定だと考えてしまう、最も典型的なミスです。
    • 対策: 「スイッチOFF=孤立=電荷の逃げ道なし=\(Q\)一定」「スイッチON=電池接続=電圧供給源あり=\(V\)一定」という対応関係を、物理的なイメージと共に繰り返し確認し、体に覚え込ませることが最も効果的です。
  • 電気容量\(C\)が\(Q\)や\(V\)で変わるという誤解:
    • 誤解: \(Q=CV\)という式を見て、\(Q\)が増えたから\(C\)も増える、などと勘違いしてしまう。
    • 対策: 電気容量\(C\)は、あくまでコンデンサーの「形状」と「材質」で決まる「性能指数」であると理解します。\(C = \epsilon \displaystyle\frac{S}{d}\) の式に\(Q\)や\(V\)が入っていないことを確認し、\(C\)はこれらの量に依存しない独立したパラメータであることを肝に銘じます。
  • 電場の式の使い分けミス:
    • 誤解: 設問(2)で、誘電体を入れたから電場は\(\epsilon_r\)分の1になるはずだ、と早合点してしまう。
    • 対策: 電場が\(E’ = \displaystyle\frac{E}{\epsilon_r}\)となるのは、電荷が一定のとき(ガウスの法則 \( \epsilon E S = Q \) より)です。設問(2)のように電圧が一定の場合は、\(V=Ed\)の関係が優先されるため、\(V\)と\(d\)が不変なら\(E\)も不変となります。公式を適用する際は、その公式が成り立つ「前提条件」は何かを常に意識することが重要です。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • 設問(1)での公式選択:
    • 選定理由: 「スイッチを開いた」→「\(Q\)が一定」という状況判断が起点。求めたいのは\(V\)の変化。\(Q, C, V\)の関係を結ぶのは \(Q=CV\) しかない。したがって、\(V=\displaystyle\frac{Q}{C}\) の形で使うのが合理的。\(Q\)は一定なので、\(C\)の変化を調べれば\(V\)の変化がわかる、という論理展開になります。
    • 適用根拠: スイッチを開いたコンデンサーは電気的に孤立した閉鎖系とみなせるため、電荷保存則が厳密に成り立ちます。これが\(Q\)を一定とみなせる物理的根拠です。
  • 設問(2)での公式選択:
    • 選定理由: 「スイッチを閉じたまま」→「\(V\)が一定」という状況判断が起点。求めたいのは\(Q\)と\(E\)の変化。
      • \(Q\)については、\(Q, C, V\)を結ぶ \(Q=CV\) を使う。\(V\)が一定なので、\(C\)の変化を調べれば\(Q\)の変化がわかる。
      • \(E\)については、\(E, V, d\)を結ぶ \(V=Ed\) を使う。\(V\)と\(d\)が両方とも一定なので、\(E\)は変化しないことが直ちにわかる。
    • 適用根拠: 導線で電池に接続されている限り、導線上の電位は等しく(電場はゼロ)、コンデンサーの極板は電池の電極と等電位になります。したがって、コンデンサーの電位差は電池の電圧に固定される、というのが\(V\)を一定とみなせる物理的根拠です。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 「変化後 / 変化前」の比を立てる: 「何倍になるか」を問う問題では、いきなり数値を代入するのではなく、「\(V_{\text{後}} / V_{\text{前}}\)」や「\(Q_{\text{後}} / Q_{\text{前}}\)」のような比の形を文字式のまま立てるのが有効です。
    • 例えば(1)では、\(\displaystyle\frac{V_{\text{後}}}{V_{\text{前}}} = \frac{Q_{\text{後}}/C_{\text{後}}}{Q_{\text{前}}/C_{\text{前}}}\) と立式します。
    • ここに \(Q_{\text{後}}=Q_{\text{前}}\) と \(C_{\text{後}}=\displaystyle\frac{1}{2}C_{\text{前}}\) を代入すると、文字(\(Q_{\text{前}}, C_{\text{前}}\))が綺麗に約分され、数値だけが残ります。これにより、具体的な値が与えられていなくても計算でき、計算ミスも減らせます。
  • 因果関係を矢印でメモする: 思考を整理するために、物理量の変化の連鎖をメモする癖をつけると良いでしょう。
    • (1)の場合: 「S開→\(Q\)一定」を前提に、「\(d\)が2倍 \(\rightarrow\) \(C\)が\(\displaystyle\frac{1}{2}\)倍 \(\rightarrow\) \(V=\displaystyle\frac{Q}{C}\)より\(V\)は2倍」
    • (2)の場合: 「S閉→\(V\)一定」を前提に、「誘電体挿入(\(\epsilon_r=5\)) \(\rightarrow\) \(C\)が5倍 \(\rightarrow\) \(Q=CV\)より\(Q\)は5倍」、かつ「\(V, d\)一定 \(\rightarrow\) \(E=\displaystyle\frac{V}{d}\)より\(E\)は1倍」
    • このように流れを可視化することで、論理の矛盾や見落としを防げます。
  • 単位や定数を意識する: 電気容量の式 \(C = \epsilon \displaystyle\frac{S}{d}\) では、真空の誘電率\(\epsilon_0\)と比誘電率\(\epsilon_r\)の関係 (\(\epsilon = \epsilon_r \epsilon_0\)) を正確に理解しておくことが重要です。本問では比で考えるため具体的な計算は不要ですが、数値を代入する問題では必須の知識となります。

基本例題73 金属板を挿入したコンデンサー

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】

本解説は、模範解答で採用されている解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。

  1. 提示する別解
    • 設問(ウ)の別解: 電気量とガウスの法則から電場を求める解法
      • 模範解答が電位差の関係式から電場を導出するのに対し、別解では(エ)で求まる電気容量の変化から新しい電気量を計算し、ガウスの法則を用いて電場を求めます。
    • 設問(エ)の別解: 実効的な極板間距離で考える解法
      • 模範解答が2つのコンデンサーの直列合成として計算するのに対し、別解では導体挿入によって実質的に極板間隔が狭まったと見なす、より直感的なアプローチで解きます。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理的本質の深化: 導体を挿入することが、物理的に「等電位の領域を作ること」であり、「実効的な距離を縮めること」に等しいという本質的な理解が深まります。
    • 思考の柔軟性向上: 一つの問題に対して、電位から攻める方法、電気量から攻める方法、等価的なモデルで考える方法など、複数の視点からアプローチする経験を積むことができます。
    • 解法の効率化: (エ)の別解のように、問題の本質を捉えることで、複雑な合成容量の計算を回避し、より簡潔かつ迅速に解を導く強力な手法を学べます。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「コンデンサーへの導体(金属板)挿入」です。コンデンサーの極板間に金属板のような導体を挿入したとき、内部の電場や電気容量がどのように変化するかを問う問題です。導体が持つ「静電誘導」と「等電位」という性質を正しく理解し、数式に反映させることが鍵となります。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 一様な電場と電位差の関係: 平行板コンデンサーの極板間の電位差\(V\)、電場\(E\)、距離\(d\)の間の関係式 \(V=Ed\) を理解していること。
  2. 導体の静電誘導: 外部電場の中に置かれた導体内部では、自由電子が移動(静電誘導)することで外部電場を打ち消す電場が作られ、内部の合成電場は常に0になることを理解していること。
  3. コンデンサーの電気容量: 電気容量\(C\)が、極板の面積\(S\)、極板間隔\(d\)、誘電率\(\epsilon\)で決まること (\(C = \epsilon \displaystyle\frac{S}{d}\)) を知っていること。
  4. コンデンサーの直列合成: 複数のコンデンサーを直列に接続した際の合成容量の計算方法を理解していること。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (ア)では、基本公式 \(V=Ed\) を用いて、与えられた物理量から電場の強さを求めます。
  2. (イ)では、導体の基本的な性質である「内部電場が0」という法則を適用します。
  3. (ウ)では、金属板の内部は電位差が0であることを利用し、極板と金属板の間の空間だけで全体の電位差\(V\)が生じている、という関係式を立てて電場を求めます。
  4. (エ)では、金属板によって二分された空間を、2つのコンデンサーの直列接続と見なし、合成容量の公式を用いて全体の電気容量を計算します。

問(ア)

思考の道筋とポイント
金属板を挿入する前の、基本的な平行板コンデンサーに関する問題です。極板間の電位差\(V\)と極板間の距離\(d\)が与えられているので、一様な電場と電位差の関係式 \(V=Ed\) を用いて電場の強さ\(E\)を求めます。
この設問における重要なポイント

  • 平行板コンデンサーの内部の電場は、極板間にわたって一様であるとみなせる。
  • 電位差\(V\)、電場\(E\)、距離\(d\)の関係は \(V=Ed\) で与えられる。

具体的な解説と立式
極板間の電位差が\(V\)、距離が\(d\)である一様な電場\(E\)を考えます。これらの間には以下の関係が成り立ちます。
$$ V = Ed $$
この式を\(E\)について解くことで、電場の強さを求めます。

使用した物理公式

  • 一様な電場と電位差の関係: \(V=Ed\)
計算過程

$$
\begin{aligned}
V &= Ed \\[2.0ex] E &= \frac{V}{d}
\end{aligned}
$$
これ以上の計算は不要です。

この設問の平易な説明

電場の強さ\(E\)とは、「1mあたり何ボルトの電圧がかかっているか」という坂道の傾きのようなものです。今、距離\(d\) [m] にわたって合計\(V\) [V] の電圧がかかっているので、1mあたりの電圧、つまり電場の強さは、単純に電圧を距離で割った \(V/d\) となります。

結論と吟味

極板間の電場の強さは \(\displaystyle\frac{V}{d}\) [V/m] となります。これは平行板コンデンサーにおける最も基本的な関係式であり、妥当な結果です。

解答 (ア) \(\displaystyle\frac{V}{d}\)

問(イ)

思考の道筋とポイント
金属板(導体)の内部の電場について問われています。導体を電場の中に置いたときに起こる「静電誘導」という現象を理解しているかがポイントです。
この設問における重要なポイント

  • 導体中には自由に動ける電子(自由電子)が存在する。
  • 導体を電場の中に置くと、自由電子が電場と逆向きに力を受けて移動し、導体表面に電荷が偏る(静電誘導)。
  • この偏った電荷が、外部の電場をちょうど打ち消すような逆向きの電場を導体内部に作る。
  • その結果、導体内部の合成電場は常に0になる。

具体的な解説と立式
金属板は導体です。導体を電場の中に置くと、静電誘導により、導体内部の電場は0になります。これは導体が持つ基本的な性質です。したがって、数式による計算は不要です。

使用した物理公式

  • 導体の静電誘導の性質
計算過程

計算は不要です。

この設問の平易な説明

金属の中には、自由に動き回れる電子がたくさんいます。この金属をコンデンサーの中に入れると、コンデンサーが作る電場によって、電子たちが一斉に移動します。プラスの極板側にはマイナスの電子が集まり、マイナスの極板側は電子が去ってプラスになります。この電子の偏りが、元の電場を完全に打ち消す「逆向きの電場」を作り出します。その結果、金属板の内部では電場が差し引きゼロになるのです。

結論と吟味

金属板内の電場の強さは0 [V/m]です。これは静電平衡状態にある導体の普遍的な性質であり、物理的に正しい結論です。

解答 (イ) 0

問(ウ)

思考の道筋とポイント
金属板を挿入した後、極板と金属板の間の空間の電場の強さ\(E’\)を求めます。コンデンサー全体は起電力\(V\)の電池に接続されているため、極板間のトータルの電位差は\(V\)で一定に保たれます。この電位差\(V\)が、どの空間で生じているかを考えるのが鍵です。
この設問における重要なポイント

  • 電池に接続されているため、コンデンサー全体の電位差は\(V\)で一定。
  • (イ)より、厚さ\(\displaystyle\frac{d}{2}\)の金属板内部では電場が0なので、電位差も0である。
  • したがって、全体の電位差\(V\)は、金属板以外の空間(合計の厚さ \(d – \displaystyle\frac{d}{2} = \displaystyle\frac{d}{2}\))だけで生み出されている。
  • 極板と金属板の間の空間では、電場は一様で、その強さを\(E’\)とする。

具体的な解説と立式
求める電場の強さを\(E’\)とします。
全体の電位差\(V\)は、(上の空間の電位差) + (金属板内の電位差) + (下の空間の電位差) の和に等しくなります。
金属板内の電場は0なので、電位差も0です。
極板と金属板の間の空間(上下の隙間)の合計の厚さは \(d – \displaystyle\frac{d}{2} = \displaystyle\frac{d}{2}\) です。
この空間の電場は一様に\(E’\)なので、この空間全体での電位差は \(E’ \times \displaystyle\frac{d}{2}\) となります。
よって、以下の関係式が成り立ちます。
$$ V = E’ \times \frac{d}{2} $$

使用した物理公式

  • 一様な電場と電位差の関係: \(V=Ed\)
  • 電位の重ね合わせ
計算過程

上記で立式した \(V = E’ \times \displaystyle\frac{d}{2}\) を\(E’\)について解きます。
$$
\begin{aligned}
V &= E’ \frac{d}{2} \\[2.0ex] E’ &= \frac{V}{d/2} \\[2.0ex] E’ &= \frac{2V}{d}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

コンデンサー全体には\(V\)ボルトの電圧がかかっています。金属板の中は電場がゼロなので、電圧もかかっていません(電位の坂がない)。つまり、全体の電圧\(V\)は、残りの隙間の部分だけで作り出さなければなりません。隙間の合計の厚さは、元の厚さ\(d\)から金属板の厚さ\(\displaystyle\frac{d}{2}\)を引いた\(\displaystyle\frac{d}{2}\)です。同じ電圧\(V\)を、半分の距離\(\displaystyle\frac{d}{2}\)で作り出す必要があるので、電場の強さ(坂の傾き)は元の2倍になる、というわけです。

結論と吟味

極板と金属板間の電場の強さは \(\displaystyle\frac{2V}{d}\) [V/m] となります。これは、元の電場 \(\displaystyle\frac{V}{d}\) の2倍の強さです。実質的な距離が半分になった分、電場が強くなるという直感とも一致し、妥当な結果です。

解答 (ウ) \(\displaystyle\frac{2V}{d}\)

問(エ)

思考の道筋とポイント
金属板を挿入した後のコンデンサー全体の電気容量\(C’\)を求めます。模範解答のアプローチは、この系を「2つのコンデンサーの直列接続」と見なす方法です。金属板の上面と極板でコンデンサー\(C_1\)が、金属板の下面と極板でコンデンサー\(C_2\)が形成され、これらが直列につながっていると考えます。
この設問における重要なポイント

  • 金属板を挿入したコンデンサーは、2つのコンデンサーの直列接続と等価である。
  • 直列接続の合成容量の公式は \(\displaystyle\frac{1}{C’} = \displaystyle\frac{1}{C_1} + \displaystyle\frac{1}{C_2}\)。
  • 金属板の位置(\(x\))によらず、最終的な合成容量は同じ値になる。

具体的な解説と立式
金属板を挿入した状態を、2つのコンデンサー\(C_1\)と\(C_2\)の直列接続と考えます。
上の極板と金属板の間の距離を\(x\)とすると、下の極板と金属板の間の距離は、空間の合計厚さが\(\displaystyle\frac{d}{2}\)であることから、\(\displaystyle\frac{d}{2} – x\)となります。
それぞれの電気容量は、極板面積を\(S\)、真空の誘電率を\(\epsilon\)として、
$$ C_1 = \epsilon \frac{S}{x} \quad \cdots ① $$
$$ C_2 = \epsilon \frac{S}{d/2 – x} \quad \cdots ② $$
全体の合成容量\(C’\)は、直列接続の公式から求められます。
$$ \frac{1}{C’} = \frac{1}{C_1} + \frac{1}{C_2} \quad \cdots ③ $$

使用した物理公式

  • 平行板コンデンサーの電気容量: \(C = \epsilon \displaystyle\frac{S}{d}\)
  • コンデンサーの直列合成: \(\displaystyle\frac{1}{C_{\text{合成}}} = \displaystyle\frac{1}{C_1} + \displaystyle\frac{1}{C_2}\)
計算過程

式③に①と②を代入して、\(\displaystyle\frac{1}{C’}\)を計算します。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{C’} &= \frac{1}{C_1} + \frac{1}{C_2} \\[2.0ex] &= \frac{x}{\epsilon S} + \frac{d/2 – x}{\epsilon S} \\[2.0ex] &= \frac{x + (d/2 – x)}{\epsilon S} \\[2.0ex] &= \frac{d/2}{\epsilon S}
\end{aligned}
$$
したがって、\(C’\)はこの逆数をとって、
$$ C’ = \frac{\epsilon S}{d/2} $$
$$ C’ = 2 \frac{\epsilon S}{d} $$
ここで、金属板を挿入する前の電気容量は \(C = \epsilon \displaystyle\frac{S}{d}\) でした。よって、
$$ C’ = 2C $$

この設問の平易な説明

金属板を間に挟むと、コンデンサーが2つに分割され、それらが直列につながった状態と考えることができます。電気の世界では、コンデンサーを直列につなぐと、全体の性能(合成容量)は少し複雑な逆数の足し算で計算します。この計算を実際に行うと、驚くことに、金属板が真ん中にあるか、どちらかに寄っているかに関係なく、最終的な電気容量は元の2倍になることがわかります。

結論と吟味

コンデンサーの電気容量は\(2C\) [F] となります。計算過程で金属板の位置\(x\)が消去されたことから、この結果は金属板が極板間のどこにあっても変わらないことがわかります。これは物理的に妥当な結論です。

解答 (エ) 2C
別解: (ウ)と(エ)の別解

思考の道筋とポイント
(エ)を先に、より直感的な「実効的な極板間距離」で考え、その結果を用いて(ウ)を解くアプローチです。

(エ)の別解:実効的な極板間距離で考える
思考の道筋とポイント
金属板(導体)は等電位であり、内部の電場は0です。これは、電気的にはこの金属板の厚さ\(\displaystyle\frac{d}{2}\)の空間が存在しないことと等価です。つまり、極板間の距離が実質的に短くなったと考えることができます。
具体的な解説と立式
金属板の厚さ\(\displaystyle\frac{d}{2}\)の部分は電場が0で電位差も0なので、この部分は電気的に「ない」ものと見なせます。
したがって、このコンデンサーは、極板間隔が実効的に
$$ d_{\text{実効}} = d – \frac{d}{2} = \frac{d}{2} $$
に狭まったコンデンサーと等価です。
よって、新しい電気容量\(C’\)は、
$$ C’ = \epsilon \frac{S}{d_{\text{実効}}} $$

計算過程

$$
\begin{aligned}
C’ &= \epsilon \frac{S}{d/2} \\[2.0ex] &= 2 \left( \epsilon \frac{S}{d} \right)
\end{aligned}
$$
元の電気容量は \(C = \epsilon \displaystyle\frac{S}{d}\) なので、
$$ C’ = 2C $$
この方法は計算が非常に簡潔で、物理的な意味も捉えやすいです。

(ウ)の別解:電気量とガウスの法則から電場を求める
思考の道筋とポイント
(エ)で求めた新しい電気容量\(C’ = 2C\)を使って、コンデンサーに蓄えられる新しい電気量\(Q’\)を計算します。そして、極板上の電荷が作る電場の公式(ガウスの法則から導かれる)を用いて、空間の電場\(E’\)を求めます。
具体的な解説と立式
(エ)の別解より、金属板挿入後の電気容量は \(C’ = 2C\) です。
コンデンサーは電圧\(V\)の電池に接続されているので、蓄えられる電気量\(Q’\)は、
$$ Q’ = C’V = 2CV \quad \cdots ① $$
極板と金属板の間の空間の電場の強さ\(E’\)は、極板の電荷密度(単位面積あたりの電気量)で決まります。
$$ E’ = \frac{Q’}{\epsilon S} \quad \cdots ② $$
ここで、元の電気容量 \(C = \epsilon \displaystyle\frac{S}{d}\) の関係も用います。

計算過程

式②に①を代入します。
$$
\begin{aligned}
E’ &= \frac{2CV}{\epsilon S}
\end{aligned}
$$
ここに \(C = \epsilon \displaystyle\frac{S}{d}\) を代入すると、
$$
\begin{aligned}
E’ &= \frac{2 \left( \epsilon \frac{S}{d} \right) V}{\epsilon S} \\[2.0ex] &= \frac{2 \epsilon S V}{d \epsilon S} \\[2.0ex] &= \frac{2V}{d}
\end{aligned}
$$
となり、主たる解法と同じ結果が得られます。


【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • 導体の静電平衡:
    • 核心: この問題の根幹は、電場中に置かれた導体(金属板)が示す「静電平衡」という状態の性質を理解し、応用することにあります。
    • 理解のポイント:
      • 内部電場ゼロ: 導体内部では、自由電子が移動して外部電場を打ち消すため、合成電場は必ず \(0\) になります。これが(イ)の答えの直接的な理由です。
      • 導体全体が等電位: 内部電場が \(0\) ということは、導体内のどの2点をとっても電位差が \(0\) であることを意味します。つまり、導体全体がひとつの同じ電位になります。この性質により、金属板の厚さ分の空間は電位差を生み出さず、(ウ)や(エ)の別解のように「実効的な距離が縮まった」と考えることができます。
  • 電位と電場の関係性:
    • 核心: 電位(スカラー量)と電場(ベクトル量)の関係を自在に行き来できることが、コンデンサー問題を解く上で不可欠です。
    • 理解のポイント:
      • 積分的な関係 (\(V = Ed\)): 電場を距離で積分(一様な場合は単純な掛け算)すると電位差になります。これは、坂道の傾き(電場)と水平距離から高低差(電位差)を求めるイメージです。(ア)や(ウ)の主たる解法はこの考え方に基づいています。
      • 微分的な関係 (\(E = V/d\)): 電位を距離で微分(一様な場合は単純な割り算)すると電場になります。これは、高低差と水平距離から坂道の傾きを求めるイメージです。
      • 重ね合わせ: 全体の電位差は、各区間の電位差の和で表せます。\(V_{\text{全体}} = V_1 + V_2 + \dots\)。(ウ)では、\(V = V_{\text{上空間}} + V_{\text{金属板}} + V_{\text{下空間}}\) と考え、\(V_{\text{金属板}}=0\) を利用しました。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 誘電体を挿入する問題: 本問の金属板を誘電体に置き換えた問題は頻出です。導体では内部電場が\(0\)になりましたが、誘電体では電場は弱まるだけ(\(\displaystyle\frac{1}{\epsilon_r}\)倍になる)です。この違いを理解し、電位差の式や電気容量の式を立てることが求められます。
    • 導体や誘電体で極板間を完全に満たさない問題: 極板の一部にだけ導体や誘電体を挿入する場合、空間が「直列」に分割されるか「並列」に分割されるかを見極める必要があります。本問は直列分割のパターンです。
    • コンデンサーに働く力を問う問題: 金属板を挿入する際に、静電気力はどのような仕事をするか、あるいは外力はどのような仕事をする必要があるかを問う問題です。エネルギー保存則と関連付けて考える必要があります。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 挿入したのは「導体」か「誘電体」か?: まず、挿入物の材質を確認します。導体なら「内部電場\(0\), 等電位」、誘電体なら「内部電場が弱まる, 分極」というキーワードを即座に連想します。
    2. 回路は「電池に接続」か「孤立」か?: 本問は常に電池に接続されているため「電位差\(V\)が一定」のパターンです。もし充電後にスイッチを開いてから金属板を挿入する問題なら、「電気量\(Q\)が一定」のパターンとなり、解法が全く異なります。
    3. 等価回路をイメージできるか?: 金属板の挿入を「2つのコンデンサーの直列接続」と見なすように、複雑な系を単純なコンデンサーの組み合わせ(等価回路)で考えられないか、を試みる視点は非常に有効です。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • 金属板の位置\(x\)が答えに残ってしまう:
    • 誤解: (エ)で合成容量を計算する際に、途中で出てくる変数\(x\)(金属板の位置)が最終的な答えにも影響すると考えてしまい、計算に詰まる。
    • 対策: (エ)の計算結果が\(x\)に依らないことを知っておく、あるいは信じて計算を進めることが重要です。「物理的に考えて、導体がどこにあっても等電位の領域が生まれる効果は同じはずだ」と考察できれば、\(x\)は最終的に消えるはずだと予測できます。
  • 電場の強さを単純に距離で割ってしまう:
    • 誤解: (ウ)で、全体の電位差が\(V\)、隙間の合計距離が\(\displaystyle\frac{d}{2}\)だからといって、安易に \(E’ = \displaystyle\frac{V}{d}\) のままだと考えたり、\(E’ = \displaystyle\frac{V}{d/2}\) の発想に至らない。
    • 対策: 電位差\(V\)が「どの区間で」生じているのかを常に意識することです。\(V = E \times (\text{電場が存在する区間の距離})\) という関係を正確に適用する練習が必要です。「金属板内は電位差0」→「全電位差\(V\)は隙間だけで発生」という論理ステップを丁寧に踏むことがミスを防ぎます。
  • 直列合成と並列合成の公式の混同:
    • 誤解: コンデンサーの直列接続なのに、抵抗の直列合成と同じように \(C’ = C_1 + C_2\) と計算してしまう。
    • 対策: コンデンサーの合成容量の公式は、抵抗の公式とは逆の関係になっていることを明確に記憶します。「直列は逆数和、並列は単純和」と覚えましょう。なぜそうなるのか(直列では電気量が等しく、並列では電位差が等しいため)を一度導出しておくと、忘れにくくなります。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • (ウ)での電位差の式 \(V = E’ \times \displaystyle\frac{d}{2}\):
    • 選定理由: 求めたいのは電場\(E’\)。既知の量は全体の電位差\(V\)。したがって、\(V\)と\(E’\)を結びつける関係式が必要です。それが電位と電場の関係です。導体内部では電場が0で電位差も0であるため、全体の電位差\(V\)は、電場が\(E’\)である空間(合計距離\(\displaystyle\frac{d}{2}\))のみで生じると考え、この公式を選択するのが最も直接的です。
    • 適用根拠: 電位は保存量であり、回路全体の電位差は各部分の電位差の和に等しいという「キルヒホッフの第2法則」の考え方が根底にあります。
  • (エ)での直列合成の公式:
    • 選定理由: 金属板を挿入した系は、一見すると複雑です。しかし、金属板の上面と下面にそれぞれ電荷が誘導される様子は、あたかも2つのコンデンサーが向かい合っているように見えます。この「等価回路」の考え方を用いることで、複雑な問題を既知の「合成容量」の問題に置き換えることができます。
    • 適用根拠: 実際に上の極板に\(+Q’\)、金属板上面に\(-Q’\)、金属板下面に\(+Q’\)、下の極板に\(-Q’\)の電荷が誘導されます。これは、2つのコンデンサー\(C_1, C_2\)に同じ電気量\(Q’\)が蓄えられている状態と同じであり、コンデンサーの直列接続の定義そのものです。
  • (エ)別解での \(C’ = \epsilon \displaystyle\frac{S}{d_{\text{実効}}}\):
    • 選定理由: この問題の本質を最も鋭く突いた解法です。「導体内部は等電位」という性質を、「その空間は電気的に存在しないのと同じ」と解釈し直すことで、複雑な計算を一切せずに、単純な平行板コンデンサーの公式に帰着させることができます。思考のショートカットとして非常に強力です。
    • 適用根拠: 電気容量は \(C=\displaystyle\frac{Q}{V}\) で定義されます。導体を挿入しても\(V\)は変わらず、実効的な距離が半分になることで電場が2倍になり、\(Q= \epsilon S E\) の関係から\(Q\)が2倍になります。結果として\(C\)も2倍になります。この結果は、単純に距離\(d\)を\(\displaystyle\frac{d}{2}\)に置き換えた場合と完全に一致するため、このモデル化は物理的に正当化されます。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 分数の計算を丁寧に行う: (ウ)や(エ)では、分母にさらに分数が来る形(\(d/2\)など)が頻出します。焦って計算ミスをしやすいポイントなので、\(\displaystyle\frac{V}{d/2} = V \times \displaystyle\frac{2}{d} = \displaystyle\frac{2V}{d}\) のように、逆数を掛ける形に一段階直してから計算すると確実です。
  • 文字式のまま計算を進める: (エ)の計算では、\(C_1, C_2\)を\(x\)の式で表し、それを合成容量の公式に代入しました。このとき、具体的な数値を入れずに文字(\(x, d, \epsilon, S\))のまま計算を進めることで、途中で\(x\)が消去される様子が明確にわかります。これは、計算の見通しを良くし、ミスを減らすための鉄則です。
  • 元の量との比較を意識する: (エ)で\(C’ = 2 \displaystyle\frac{\epsilon S}{d}\)と求まったら、そこで終わりにせず、元の電気容量 \(C = \displaystyle\frac{\epsilon S}{d}\) と比較して、\(C’ = 2C\) という関係を導き出すところまで意識しましょう。問題で問われているのは、具体的な値ではなく「元の何倍か」であることが多いため、この一手間が重要です。

基本例題74 コンデンサーの接続

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】

本解説は、模範解答で採用されている解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。

  1. 提示する別解
    • 設問(2)の別解: 電気量の分配法則を用いる解法
      • 模範解答が「電気量保存則」と「電圧が等しい」という条件から連立方程式を立てて解くのに対し、別解では並列接続されたコンデンサーに総電荷が静電容量の比で分配される、という公式を用いて直接計算します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理的本質の深化: 電荷がなぜ静電容量の比で分配されるのか(電圧が等しくなるように電荷が移動するため)という、電荷再配分の物理的メカニズムへの理解が深まります。
    • 解法の効率化: この分配法則を知っていれば、連立方程式を解く手間を省き、より迅速かつ簡潔に答えを導き出すことができます。特に、コンデンサーの数が増えた場合に威力を発揮します。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「コンデンサーの充電と電荷の再配分」です。まず電池で一つのコンデンサーを充電し、次にそのコンデンサーを別のコンデンサーに接続すると、蓄えられていた電荷がどのように移動し、最終的にどのような状態に落ち着くかを問う問題です。電荷保存則と、並列接続における電圧の関係を正しく理解しているかが鍵となります。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. コンデンサーの基本式: 電気量\(Q\)、電気容量\(C\)、電位差\(V\)の間の関係式 \(Q=CV\) を理解していること。
  2. 充電の基本: コンデンサーを電圧\(V\)の電池に接続すると、最終的にコンデンサーの電位差も\(V\)になり、\(Q=CV\)の電気量が蓄えられること。
  3. 電気量保存の法則: スイッチを切り替えてコンデンサー同士を接続する際、その接続された部分(回路から孤立した部分)の電気量の総和は、接続の前後で変わらないこと。
  4. 並列接続の性質: 並列に接続されたコンデンサーの電位差は、最終的にすべて等しくなること。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)では、まずコンデンサー\(C_1\)を電圧\(E\)の電池で充電します。基本式 \(Q=CV\) を用いて、蓄えられる電気量\(Q\)を計算します。
  2. (2)では、充電された\(C_1\)を、空の\(C_2\)に並列に接続します。このとき、2つのコンデンサーからなる孤立した回路系で「電気量保存則」が成り立つこと、そして最終状態では「両者の電圧が等しくなる」ことを利用して連立方程式を立て、\(C_1\)に残る電気量\(Q_1\)を求めます。

問(1)

思考の道筋とポイント
スイッチSをa側に倒し、コンデンサー\(C_1\)を電池Eで充電する状況です。十分に時間がたつと充電が完了し、コンデンサー\(C_1\)の極板間の電位差は電池の電圧\(E\)に等しくなります。このときの電気量を、コンデンサーの基本式 \(Q=CV\) を用いて計算します。
この設問における重要なポイント

  • コンデンサーの充電が完了すると、コンデンサーの電位差は接続されている電池の電圧に等しくなる。
  • 電気量、電気容量、電位差の関係は \(Q=CV\) で与えられる。

具体的な解説と立式
コンデンサー\(C_1\)を、起電力\(E\)の電池で充電します。十分に時間が経過すると、充電が完了し、\(C_1\)の電位差は\(E\)に等しくなります。
このときに\(C_1\)が蓄える電気量を\(Q\)とすると、基本式より、
$$ Q = C_1 E $$
が成り立ちます。

使用した物理公式

  • コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
計算過程

与えられた値を代入します。\(C_1 = 1.0 \, \text{F}\)、\(E = 6.0 \, \text{V}\) です。
$$
\begin{aligned}
Q &= C_1 E \\[2.0ex] &= 1.0 \times 6.0 \\[2.0ex] &= 6.0
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

まず、スイッチをa側に入れて、コンデンサー\(C_1\)を電池で充電します。充電が終わると、コンデンサーの電圧は電池の電圧と同じ\(6.0\)Vになります。コンデンサーにたまる電気の量\(Q\)は、「性能(電気容量\(C_1\))× 電圧(\(E\))」で計算できるので、\(1.0 \times 6.0 = 6.0\)クーロンの電気がたまります。

結論と吟味

\(C_1\)が蓄える電気量は \(6.0 \, \text{C}\) となります。与えられた数値を基本公式に代入するだけの基本的な計算であり、妥当な結果です。

解答 (1) 6.0 C

問(2)

思考の道筋とポイント
(1)で充電したコンデンサー\(C_1\)を、スイッチをb側に倒すことで、電荷が蓄えられていないコンデンサー\(C_2\)に接続します。このとき、\(C_1\)と\(C_2\)は並列接続になります。
重要なのは、スイッチをb側に倒した後の回路は電池から切り離されており、電気的に孤立している点です。したがって、\(C_1\)と\(C_2\)の電気量の合計は、接続の前後で保存されます(電気量保存則)。
また、接続後、十分に時間がたつと、\(C_1\)から\(C_2\)へ電荷が移動し、最終的に両者の電位差は等しくなります。
この「電気量保存則」と「最終的な電位差が等しい」という2つの条件から連立方程式を立て、求めたい\(C_1\)の電気量\(Q_1\)を計算します。
この設問における重要なポイント

  • スイッチをb側に倒した後の系は、電池から孤立しているため、2つのコンデンサーの電気量の総和は保存される。
  • 並列に接続されたコンデンサーは、電荷の移動が完了すると、互いの電位差が等しくなる。
  • この2つの法則を連立させて解く。

具体的な解説と立式
スイッチをb側に倒す直前、\(C_1\)には(1)で求めた電気量 \(Q = 6.0 \, \text{C}\) が蓄えられており、\(C_2\)の電気量は0です。したがって、系の総電気量は\(Q\)です。
スイッチをb側に倒して十分に時間がたった後、\(C_1\)に蓄えられる電気量を\(Q_1\)、\(C_2\)に蓄えられる電気量を\(Q_2\)とします。
電気量保存則より、
$$ Q_1 + Q_2 = Q = 6.0 \quad \cdots ① $$
また、最終状態では2つのコンデンサーは並列接続と見なせ、両者の電位差は等しくなります。この電位差を\(V’\)とすると、
$$ V’ = \frac{Q_1}{C_1} $$
$$ V’ = \frac{Q_2}{C_2} $$
したがって、
$$ \frac{Q_1}{C_1} = \frac{Q_2}{C_2} \quad \cdots ② $$
この式から、\(Q_1\)と\(Q_2\)の関係を導きます。
$$ Q_2 = \frac{C_2}{C_1} Q_1 $$
与えられた値 \(C_1 = 1.0 \, \text{F}\), \(C_2 = 2.0 \, \text{F}\) を代入すると、
$$ Q_2 = \frac{2.0}{1.0} Q_1 $$
$$ Q_2 = 2 Q_1 \quad \cdots ③ $$
式①と③を連立させて\(Q_1\)を求めます。

使用した物理公式

  • 電気量保存の法則
  • コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
  • 並列接続の性質(電位差が等しい)
計算過程

式③を式①に代入します。
$$
\begin{aligned}
Q_1 + (2 Q_1) &= 6.0 \\[2.0ex] 3 Q_1 &= 6.0 \\[2.0ex] Q_1 &= 2.0
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

(1)で\(6.0\)クーロンの電気を溜めたコンデンサー\(C_1\)を、今度は空っぽのコンデンサー\(C_2\)につなぎます。すると、\(C_1\)に溜まっていた電気が、水が高いところから低いところに流れるように、\(C_2\)に流れ込みます。この電気の移動は、両方のコンデンサーの電圧が同じ高さになるまで続きます。
ここで大事なのは、2つのコンデンサーは電池から切り離されているので、全体の電気の量(\(6.0\)クーロン)は変わらないということです。この\(6.0\)クーロンを、性能が\(1.0\)Fの\(C_1\)と\(2.0\)Fの\(C_2\)で分け合うことになります。最終的に電圧が等しくなるように分けると、性能の良い(容量の大きい)\(C_2\)の方がたくさんの電気を持つことになり、計算すると\(C_1\)には\(2.0\)クーロンが残ります。

結論と吟味

\(C_1\)が蓄える電気量は \(2.0 \, \text{C}\) となります。初めに持っていた \(6.0 \, \text{C}\) のうち \(4.0 \, \text{C}\) が\(C_2\)に移動したことになります。電気容量の比 \(C_1:C_2 = 1:2\) に従って、総電気量 \(6.0 \, \text{C}\) が \(2.0 \, \text{C}\) と \(4.0 \, \text{C}\) に分配されており、物理的に妥当な結果です。

解答 (2) 2.0 C
別解: 電気量の分配法則を用いる解法

思考の道筋とポイント
並列接続されたコンデンサーに総電荷が分配される際、その電荷は各コンデンサーの静電容量に比例して分配される、という法則を利用します。この法則を使えば、連立方程式を立てることなく、比例配分で直接答えを求めることができます。
この設問における重要なポイント

  • 複数のコンデンサーを並列に接続したとき、総電気量\(Q_{\text{総}}\)は、各コンデンサーの電気容量\(C_i\)の比で分配される。
  • コンデンサー\(C_i\)に分配される電気量\(Q_i\)は、\(Q_i = Q_{\text{総}} \times \displaystyle\frac{C_i}{C_1 + C_2 + \dots}\) で計算できる。

具体的な解説と立式
スイッチをb側に倒したとき、系の総電気量は(1)で求めた \(Q = 6.0 \, \text{C}\) です。
この総電気量\(Q\)が、コンデンサー\(C_1\)と\(C_2\)に、それぞれの電気容量の大きさに比例して分配されます。
求めたいのは\(C_1\)に蓄えられる電気量\(Q_1\)なので、分配の公式より、
$$ Q_1 = Q \times \frac{C_1}{C_1 + C_2} $$
となります。

使用した物理公式

  • 並列コンデンサーにおける電荷の分配法則
計算過程

与えられた値を代入します。\(Q = 6.0 \, \text{C}\)、\(C_1 = 1.0 \, \text{F}\)、\(C_2 = 2.0 \, \text{F}\) です。
$$
\begin{aligned}
Q_1 &= 6.0 \times \frac{1.0}{1.0 + 2.0} \\[2.0ex] &= 6.0 \times \frac{1.0}{3.0} \\[2.0ex] &= 2.0
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

(1)で溜めた合計\(6.0\)クーロンの電気を、\(C_1\)(容量1.0F)と\(C_2\)(容量2.0F)の2つのバケツで分け合うと考えます。バケツの大きさの比は\(1:2\)です。この電気は、最終的に両方のバケツの水位(電圧)が同じになるように分けられます。そのためには、大きいバケツ(\(C_2\))に多くの水(電気)を入れる必要があり、その分け前はバケツの大きさの比、つまり容量比で決まります。
全体の容量は \(1.0+2.0=3.0\)F なので、\(C_1\)がもらう分け前は全体の \(\displaystyle\frac{1.0}{3.0}\) です。よって、\(6.0 \times \displaystyle\frac{1.0}{3.0} = 2.0\)クーロンとなります。

結論と吟味

\(C_1\)が蓄える電気量は \(2.0 \, \text{C}\) となり、主たる解法と完全に一致します。この分配法則は、主たる解法で立てた連立方程式を一般的に解いた結果に他ならず、知っていれば計算を大幅に簡略化できる強力なツールです。

解答 (2) 2.0 C

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • 電気量保存の法則:
    • 核心: この問題の根幹は、設問(2)のスイッチ切り替え操作において、「電池から切り離された孤立部分では、電気量の総和が一定に保たれる」という電気量保存則を適用できるかどうかにあります。
    • 理解のポイント:
      • 孤立部分の特定: スイッチをb側に倒したとき、コンデンサー\(C_1\)の上の極板と\(C_2\)の上の極板(およびそれらをつなぐ導線)は、回路の他の部分から電気的に孤立します。同様に、下の極板同士も孤立します。
      • 保存則の立式: この孤立部分の電気量の合計は、スイッチを切り替える前と後で変化しません。切り替え前は\(C_1\)に\(Q\)、\(C_2\)に\(0\)だったので、合計は\(Q\)。切り替え後は\(C_1\)に\(Q_1\)、\(C_2\)に\(Q_2\)なので、合計は\(Q_1+Q_2\)。よって、\(Q_1+Q_2 = Q\) という保存則の式が立てられます。これが問題を解く上での最も重要な式となります。
  • 並列接続における電位の関係:
    • 核心: 導線で接続された部分は、最終的に必ず等電位になるという、静電平衡の基本原則を理解していることが重要です。
    • 理解のポイント:
      • 電荷移動の駆動原理: もし2つのコンデンサーに電位差があれば、その電位差を解消しようとして電荷が移動します。この移動は、両者の電位差が等しくなるまで続きます。
      • 最終状態の条件: したがって、十分に時間が経った後(最終状態)では、並列に接続されたコンデンサー\(C_1\)と\(C_2\)の電位差は必ず等しくなります。これを \(V’ = \displaystyle\frac{Q_1}{C_1} = \displaystyle\frac{Q_2}{C_2}\) と立式することで、もう一つの重要な関係式が得られます。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 異なる電圧で充電されたコンデンサー同士の接続: 例えば、\(C_1\)を\(V_1\)で、\(C_2\)を\(V_2\)で充電した後、それらを並列に接続する問題です。この場合も、接続する極板の極性(プラス極同士をつなぐか、プラス極とマイナス極をつなぐか)に注意して、電気量保存則(\(Q_1+Q_2 = C_1V_1+C_2V_2\)など)と最終電圧が等しいという条件で解くことができます。
    • コンデンサーと抵抗を含む回路(RC回路): スイッチを切り替えた瞬間の電流や、最終状態に至るまでのエネルギー変化(ジュール熱の発生)を問う問題に応用されます。電荷の再配分には必ず抵抗によるエネルギー損失が伴う、という点も重要です。
    • 複数のコンデンサーの接続: 3つ以上のコンデンサーを複雑に接続し直す問題でも、考え方は同じです。「孤立部分」を見つけて電気量保存則を立て、「並列部分」や「直列部分」の電位・電気量の関係式を立てることで、どんなに複雑な回路でも解くことができます。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 回路の「孤立部分」を探す: スイッチ操作によって、電池やアースから切り離された部分がどこかをまず特定します。その部分の総電気量が保存量となります。
    2. 接続前と接続後の状態を明確に図示する: 接続前の各コンデンサーの電気量(符号も含む)と、接続後の(未知数を含んだ)電気量をそれぞれ図に書き込むことで、状況を視覚的に整理し、立式ミスを防ぎます。
    3. 最終状態の接続形態を判断する: 接続後、コンデンサーが「並列」になるのか「直列」になるのかを判断します。並列なら「電圧が等しい」、直列なら「電気量が等しい」という条件を使います。本問は並列のパターンです。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • 電気量保存則の適用範囲を間違える:
    • 誤解: 回路全体で電気量が保存されると勘違いしてしまう。
    • 対策: 電気量保存則が成り立つのは、あくまで「外部との電荷のやり取りがない孤立した部分」だけであることを徹底します。電池につながっている部分は孤立していないため、保存則の対象外です。必ず、回路図上で孤立部分を線で囲むなどして、適用範囲を明確にする癖をつけましょう。
  • 電荷の符号を考慮しない:
    • 誤解: コンデンサーのプラス極とマイナス極を逆につないだ場合に、電気量を単純に足し算してしまう。
    • 対策: 電気量は符号を持つスカラー量です。一方の極板を正と決めたら、逆の極板は負の電気量を持つと考えます。例えば、\(C_1\)のプラス極と\(C_2\)のマイナス極を接続した場合、保存される電気量は \(Q_1 – Q_2\) のように差をとる必要があります。常に極板の符号を意識することが重要です。
  • 並列接続の分配法則の丸暗記によるミス:
    • 誤解: 分配法則の公式 \(\displaystyle Q_1 = Q_{\text{総}} \times \frac{C_1}{C_1+C_2}\) を、その導出過程を理解せずに丸暗記し、分母と分子を間違えたり、直列接続の場合にも適用しようとしたりする。
    • 対策: この公式は「電気量保存則」と「電圧が等しい」という2つの基本法則から導出された結果であることを理解しておくのが最も安全です。なぜ「容量に比例して」分配されるのか(電圧を等しくするためには、容量が大きい方が多くの電荷を引き受ける必要があるから)という物理的理由をセットで覚えておけば、公式の形を間違えにくくなります。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • (2)での電気量保存則:
    • 選定理由: スイッチをb側に倒すと、\(C_1\)と\(C_2\)からなる系は電池から切り離されます。外部との電荷のやり取りがなくなるため、この閉じた系に対して物理学の基本法則である「電荷保存則」を適用するのは、最も自然で強力なアプローチです。未知数が\(Q_1, Q_2\)の2つあるため、方程式が1本必要であり、保存則はその1本を与える最有力候補となります。
    • 適用根拠: 電荷は自然に消えたり生まれたりしない、という物理学の大原則に基づいています。導線でつながれた孤立系内では、電荷は移動するだけで、その総量は不変です。
  • (2)での電位差が等しいという条件:
    • 選定理由: 電気量保存則だけでは、未知数\(Q_1, Q_2\)に対して式が1本しかなく、解を確定できません。もう一つの条件が必要です。電荷の移動が完了した「最終状態」では、系は静電平衡状態に達します。並列接続された導体が静電平衡にあるための条件は「電位差が等しい」ことなので、これを2本目の式として採用します。
    • 適用根拠: もし電位差があれば、そこに電場が存在し、電荷に力が働いて移動が起こります。「十分に時間がたった」状態とは、このような電荷移動がすべて完了し、もはや電荷が動かない状態(静電平衡)を指します。電荷が動かないためには、電荷に働く力がゼロ、すなわち電場(電位差)が駆動力とならない状態、つまり電位差が等しくなっている必要があります。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 有効数字を意識した計算: 本問では \(1.0, 2.0, 6.0\) のように有効数字2桁で値が与えられています。最終的な答えも有効数字2桁で \(6.0 \, \text{C}\), \(2.0 \, \text{C}\) と表現するのが適切です。計算の最終段階で有効数字を意識する癖をつけましょう。
  • 連立方程式を確実に解く:
    1. \(Q_1 + Q_2 = 6.0\)
    2. \(\displaystyle\frac{Q_1}{1.0} = \displaystyle\frac{Q_2}{2.0}\) → \(Q_2 = 2Q_1\)

    のように、まず一方の式を「\(Q_2 = …\)」の形に整理してから、もう一方の式に代入するのが最も確実な方法です。焦って暗算せず、一手間かけて式を書き下すことがミスを防ぎます。

  • 比例計算の活用: (2)の別解で用いた分配法則は、計算ミスの削減に非常に有効です。総量 \(6.0 \, \text{C}\) を \(1.0:2.0\) の比で分ける、と考えれば、暗算でも可能です。\(C_1\)の取り分は、全体(\(1.0+2.0=3.0\))のうちの\(1.0\)なので、\(6.0 \times \displaystyle\frac{1.0}{3.0} = 2.0\)。このように、物理法則を比の概念に落とし込むことで、計算を簡略化し、検算も容易になります。

基本例題75 コンデンサーの接続と静電エネルギー

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】

本解説は、模範解答で採用されている解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。

  1. 提示する別解
    • 設問(ウ)の別解: 各コンデンサーのエネルギーを個別に計算する解法
      • 模範解答が接続後の共通電圧\(V\)を求め、合成容量を使って全体のエネルギー\(U = \displaystyle\frac{1}{2}(C_A+C_B)V^2\)を一度に計算するのに対し、別解では共通電圧\(V\)を求めた後、各コンデンサーの最終的なエネルギー\(U_A’, U_B’\)を個別に計算し、それらを足し合わせることで全体のエネルギーを求めます。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理的本質の深化: エネルギーの計算方法には複数の公式 (\(\displaystyle\frac{1}{2}QV, \displaystyle\frac{1}{2}CV^2, \displaystyle\frac{Q^2}{2C}\)) があり、どの公式を使っても同じ結果に至ることを確認できます。これにより、各公式の物理的な意味合いや使い分けについての理解が深まります。
    • 思考の柔軟性向上: 合成容量の考え方がすぐに思い浮かばなくても、より基本的な「個々のエネルギーの和」という考え方からアプローチできることを学ぶことで、問題解決の選択肢が広がります。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「コンデンサーの並列接続と静電エネルギーの変化」です。すでに充電されている2つのコンデンサーを並列に接続したとき、電荷の再配分が起こり、最終的に共通の電圧に落ち着く過程を扱います。特に、この過程で静電エネルギーの総和が変化(減少)すること、そしてその変化量を計算できるかが問われます。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. コンデンサーの基本式: 電気量\(Q\)、電気容量\(C\)、電位差\(V\)の関係式 \(Q=CV\) を理解していること。
  2. 静電エネルギーの公式: コンデンサーに蓄えられる静電エネルギーの3つの公式 (\(U=\displaystyle\frac{1}{2}QV\), \(U=\displaystyle\frac{1}{2}CV^2\), \(U=\displaystyle\frac{Q^2}{2C}\)) を状況に応じて使い分けられること。
  3. 電気量保存の法則: 孤立した回路部分では、接続の前後で電気量の総和が保存されること。本問では、2つのコンデンサーの正極板同士、負極板同士を接続するため、それぞれの極板群の電気量の和が保存されます。
  4. エネルギーの非保存: コンデンサーを接続する際、電荷が導線を移動するときにジュール熱が発生するため、静電エネルギーの和は一般に保存されず、減少すること。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (ア)では、コンデンサー\(C_A\)について、与えられた電気容量と電圧から基本式\(Q=CV\)を用いて電気量を計算します。
  2. (イ)では、コンデンサー\(C_B\)について、与えられた電気容量と電圧から静電エネルギーの公式\(U=\displaystyle\frac{1}{2}CV^2\)を用いてエネルギーを計算します。
  3. (ウ)では、まず接続前の全静電エネルギーを計算します。次に、電気量保存則と並列接続の条件(電圧が等しい)を用いて、接続後の共通電圧を求めます。その共通電圧を使って接続後の全静電エネルギーを計算し、最後に接続前後のエネルギーの差(減少量)を求めます。

問(ア)

思考の道筋とポイント
コンデンサー\(C_A\)の電気容量\(C_A\)と、その両端の電圧\(V_A\)が与えられています。蓄えられている電気量\(Q_A\)を求めるには、コンデンサーの基本式 \(Q=CV\) を適用します。単位のマイクロ(\(\mu\))の扱いに注意が必要です。
この設問における重要なポイント

  • 電気量、電気容量、電位差の関係は \(Q=CV\) で与えられる。
  • 単位の接頭語マイクロ(\(\mu\))は \(10^{-6}\) を意味する。

具体的な解説と立式
コンデンサー\(C_A\)に蓄えられる電気量を\(Q_A\)とすると、基本式より、
$$ Q_A = C_A V_A $$
が成り立ちます。

使用した物理公式

  • コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
計算過程

与えられた値を代入します。\(C_A = 6.0 \, \mu\text{F} = 6.0 \times 10^{-6} \, \text{F}\)、\(V_A = 10 \, \text{V}\) です。
$$
\begin{aligned}
Q_A &= C_A V_A \\[2.0ex] &= (6.0 \times 10^{-6}) \times 10 \\[2.0ex] &= 6.0 \times 10^{-5}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

コンデンサーにたまる電気の量\(Q\)は、「性能(電気容量\(C\))× 電圧(\(V\))」で計算できます。コンデンサー\(C_A\)の性能は\(6.0 \mu\)F、電圧は\(10\)Vなので、これらを掛け合わせます。単位の\(\mu\)(マイクロ)は\(10^{-6}\)のことなので、忘れずに計算に含めます。

結論と吟味

\(C_A\)に蓄えられた電気量は \(6.0 \times 10^{-5} \, \text{C}\) となります。基本的な公式の適用であり、妥当な結果です。

解答 (ア) 6.0×10-5 C

問(イ)

思考の道筋とポイント
コンデンサー\(C_B\)の電気容量\(C_B\)と、その両端の電圧\(V_B\)が与えられています。蓄えられている静電エネルギーを求めるには、静電エネルギーの公式のうち、\(C\)と\(V\)が分かっている場合に最も使いやすい \(U=\displaystyle\frac{1}{2}CV^2\) を適用します。
この設問における重要なポイント

  • 静電エネルギーの公式は \(U=\displaystyle\frac{1}{2}CV^2\)。
  • 単位の接頭語マイクロ(\(\mu\))は \(10^{-6}\) を意味する。

具体的な解説と立式
コンデンサー\(C_B\)に蓄えられる静電エネルギーを\(U_B\)とすると、公式より、
$$ U_B = \frac{1}{2} C_B V_B^2 $$
が成り立ちます。

使用した物理公式

  • コンデンサーの静電エネルギー: \(U=\displaystyle\frac{1}{2}CV^2\)
計算過程

与えられた値を代入します。\(C_B = 4.0 \, \mu\text{F} = 4.0 \times 10^{-6} \, \text{F}\)、\(V_B = 20 \, \text{V}\) です。
$$
\begin{aligned}
U_B &= \frac{1}{2} C_B V_B^2 \\[2.0ex] &= \frac{1}{2} \times (4.0 \times 10^{-6}) \times (20)^2 \\[2.0ex] &= \frac{1}{2} \times (4.0 \times 10^{-6}) \times 400 \\[2.0ex] &= 2.0 \times 10^{-6} \times 400 \\[2.0ex] &= 800 \times 10^{-6} \\[2.0ex] &= 8.0 \times 10^{-4}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

コンデンサーに蓄えられるエネルギー\(U\)は、「\(\displaystyle\frac{1}{2} \times\) 性能(\(C\)) \(\times\) (電圧(\(V\)))の2乗」で計算できます。コンデンサー\(C_B\)の性能は\(4.0 \mu\)F、電圧は\(20\)Vなので、公式に当てはめて計算します。

結論と吟味

\(C_B\)に蓄えられたエネルギーは \(8.0 \times 10^{-4} \, \text{J}\) となります。こちらも基本的な公式の適用であり、妥当な結果です。

解答 (イ) 8.0×10-4 J

問(ウ)

思考の道筋とポイント
この設問は3つのステップで解きます。
ステップ1: 接続前の全エネルギーを計算する。
ステップ2: 接続後の状態を求め、そのときの全エネルギーを計算する。
ステップ3: ステップ1と2の差を計算して、エネルギーの減少量を求める。

ステップ2が核心部分です。2つのコンデンサーを並列に接続すると、電荷の再配分が起こります。このとき、孤立系の「電気量保存則」と、並列接続の最終状態である「電位差が等しい」という2つの条件を使って、接続後の共通電圧を求めます。
この設問における重要なポイント

  • 接続前の全エネルギーは、各コンデンサーのエネルギーの和である。
  • 接続後、孤立系の総電気量は保存される。
  • 接続後、十分に時間がたつと、両者の電位差は等しくなる(共通電圧)。
  • 接続後の全エネルギーは、この共通電圧を使って計算できる。
  • エネルギーの減少量は、(接続前の全エネルギー) – (接続後の全エネルギー) で求められる。

具体的な解説と立式
ステップ1: 接続前の全エネルギー \(U_{\text{前}}\) の計算
\(C_A\)のエネルギー\(U_A\)と\(C_B\)のエネルギー\(U_B\)の和です。
$$ U_A = \frac{1}{2} C_A V_A^2 $$
$$ U_B = \frac{1}{2} C_B V_B^2 $$
$$ U_{\text{前}} = U_A + U_B $$

ステップ2: 接続後の全エネルギー \(U_{\text{後}}\) の計算
まず、接続後の共通電圧\(V\)を求める必要があります。
接続前の各コンデンサーの電気量は、
$$ Q_A = C_A V_A $$
$$ Q_B = C_B V_B $$
であり、系の総電気量\(Q_{\text{総}}\)はこれらの和となります。
$$ Q_{\text{総}} = Q_A + Q_B $$
正の電極どうし、負の電極どうしを接続するため、接続後もこの総電気量は保存されます。
接続後の共通電圧を\(V\)とすると、接続後の総電気量は、合成容量 \(C_A+C_B\) を使って \(Q_{\text{総}} = (C_A+C_B)V\) とも表せます。
これらの関係から、共通電圧\(V\)は次のように表せます。
$$ V = \frac{Q_A+Q_B}{C_A+C_B} \quad \cdots ① $$
この共通電圧\(V\)を用いて、接続後の全エネルギー\(U_{\text{後}}\)を計算します。
$$ U_{\text{後}} = \frac{1}{2} (C_A+C_B) V^2 \quad \cdots ② $$

ステップ3: エネルギー減少量 \(\Delta U\) の計算
$$ \Delta U = U_{\text{前}} – U_{\text{後}} $$

使用した物理公式

  • 静電エネルギー: \(U=\displaystyle\frac{1}{2}CV^2\)
  • 電気量保存の法則: \(Q_{A}’ + Q_{B}’ = Q_A + Q_B\)
  • コンデンサーの並列合成容量: \(C_{\text{並列}} = C_A + C_B\)
計算過程

ステップ1の計算:
接続前の\(C_A\)のエネルギー\(U_A\)を計算します。
$$
\begin{aligned}
U_A &= \frac{1}{2} C_A V_A^2 \\[2.0ex] &= \frac{1}{2} \times (6.0 \times 10^{-6}) \times (10)^2 \\[2.0ex] &= 3.0 \times 10^{-6} \times 100 \\[2.0ex] &= 3.0 \times 10^{-4} \, \text{J}
\end{aligned}
$$
\(U_B\)は(イ)で求めた \(8.0 \times 10^{-4} \, \text{J}\) です。
よって、接続前の全エネルギー\(U_{\text{前}}\)は、
$$
\begin{aligned}
U_{\text{前}} &= U_A + U_B \\[2.0ex] &= (3.0 \times 10^{-4}) + (8.0 \times 10^{-4}) \\[2.0ex] &= 11.0 \times 10^{-4} \, \text{J}
\end{aligned}
$$

ステップ2の計算:
まず、共通電圧\(V\)を求めるために必要な電気量を計算します。
\(Q_A\)は(ア)で求めた \(6.0 \times 10^{-5} \, \text{C}\) です。
\(C_B\)の電気量\(Q_B\)は、
$$
\begin{aligned}
Q_B &= C_B V_B \\[2.0ex] &= (4.0 \times 10^{-6}) \times 20 \\[2.0ex] &= 8.0 \times 10^{-5} \, \text{C}
\end{aligned}
$$
次に、共通電圧\(V\)を式①から求めます。
$$
\begin{aligned}
V &= \frac{Q_A+Q_B}{C_A+C_B} \\[2.0ex] &= \frac{(6.0 \times 10^{-5}) + (8.0 \times 10^{-5})}{(6.0 \times 10^{-6}) + (4.0 \times 10^{-6})} \\[2.0ex] &= \frac{14.0 \times 10^{-5}}{10.0 \times 10^{-6}} \\[2.0ex] &= 14 \, \text{V}
\end{aligned}
$$
この\(V\)を使って接続後の全エネルギー\(U_{\text{後}}\)を式②から求めます。
$$
\begin{aligned}
U_{\text{後}} &= \frac{1}{2} (C_A+C_B) V^2 \\[2.0ex] &= \frac{1}{2} \times (10.0 \times 10^{-6}) \times (14)^2 \\[2.0ex] &= 5.0 \times 10^{-6} \times 196 \\[2.0ex] &= 980 \times 10^{-6} \\[2.0ex] &= 9.8 \times 10^{-4} \, \text{J}
\end{aligned}
$$

ステップ3の計算:
$$
\begin{aligned}
\Delta U &= U_{\text{前}} – U_{\text{後}} \\[2.0ex] &= (11.0 \times 10^{-4}) – (9.8 \times 10^{-4}) \\[2.0ex] &= 1.2 \times 10^{-4} \, \text{J}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

まず、接続する前の2つのコンデンサーが持っているエネルギーをそれぞれ計算して、足し合わせます。これが「接続前の全エネルギー」です。
次に、これらを導線でつなぎます。すると、電圧が違うので電気が流れ、最終的に同じ電圧に落ち着きます。この「最終的な電圧」を、電気の総量は変わらないというルールを使って計算します。
最後に、この「最終的な電圧」を使って、「接続後の全エネルギー」を計算します。
すると、必ず「接続後の全エネルギー」は「接続前の全エネルギー」よりも小さくなっています。この差額が、電気が導線を流れるときに熱として逃げてしまったエネルギーであり、問題で問われている「減少量」です。

結論と吟味

静電エネルギーの和は \(1.2 \times 10^{-4} \, \text{J}\) だけ減少します。コンデンサーを接続する際に電荷が移動すると、導線に電流が流れ、その抵抗によって必ずジュール熱が発生します。この失われた熱エネルギーの分だけ、静電エネルギーの和は減少するのです。エネルギーが減少するという結果は物理的に妥当です。

解答 (ウ) 1.2×10-4 J
別解: 各コンデンサーのエネルギーを個別に計算する解法

思考の道筋とポイント
主たる解法と同様に、接続後の共通電圧\(V=14\,\text{V}\)を求めるところまでは同じです。その後のアプローチとして、合成容量を使わずに、接続後の各コンデンサーのエネルギー\(U_A’, U_B’\)を個別に計算し、それらを足し合わせて接続後の全エネルギー\(U_{\text{後}}\)を求めます。
具体的な解説と立式
接続後の共通電圧は \(V = 14 \, \text{V}\) です。
このときの各コンデンサーのエネルギーを計算します。
$$ U_A’ = \frac{1}{2} C_A V^2 $$
$$ U_B’ = \frac{1}{2} C_B V^2 $$
接続後の全エネルギーはこれらの和です。
$$ U_{\text{後}} = U_A’ + U_B’ $$

計算過程

$$
\begin{aligned}
U_A’ &= \frac{1}{2} C_A V^2 \\[2.0ex] &= \frac{1}{2} \times (6.0 \times 10^{-6}) \times (14)^2 \\[2.0ex] &= 3.0 \times 10^{-6} \times 196 \\[2.0ex] &= 588 \times 10^{-6} \\[2.0ex] &= 5.88 \times 10^{-4} \, \text{J}
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
U_B’ &= \frac{1}{2} C_B V^2 \\[2.0ex] &= \frac{1}{2} \times (4.0 \times 10^{-6}) \times (14)^2 \\[2.0ex] &= 2.0 \times 10^{-6} \times 196 \\[2.0ex] &= 392 \times 10^{-6} \\[2.0ex] &= 3.92 \times 10^{-4} \, \text{J}
\end{aligned}
$$
接続後の全エネルギーは、
$$
\begin{aligned}
U_{\text{後}} &= U_A’ + U_B’ \\[2.0ex] &= (5.88 \times 10^{-4}) + (3.92 \times 10^{-4}) \\[2.0ex] &= 9.80 \times 10^{-4} \, \text{J}
\end{aligned}
$$
これは主たる解法で求めた \(9.8 \times 10^{-4} \, \text{J}\) と一致します。
エネルギーの減少量は、
$$
\begin{aligned}
\Delta U &= U_{\text{前}} – U_{\text{後}} \\[2.0ex] &= (11.0 \times 10^{-4}) – (9.80 \times 10^{-4}) \\[2.0ex] &= 1.2 \times 10^{-4} \, \text{J}
\end{aligned}
$$
となり、同じ結果が得られます。

結論と吟味

主たる解法と全く同じ結果が得られました。合成容量の考え方を使わなくても、個々のエネルギーを足し合わせるという基本に忠実な方法で解けることを示しています。

解答 (ウ) 1.2×10-4 J

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • 電気量保存則とエネルギー非保存の対比:
    • 核心: この問題の根幹は、複数のコンデンサーを接続する際に、「電気量」は保存されるが、「静電エネルギー」は保存されない(減少する)という、2つの物理量の振る舞いの違いを明確に理解することにあります。
    • 理解のポイント:
      • 電気量保存: 回路が電池から切り離された孤立系では、電荷の逃げ場も供給源もないため、電荷の総和は不変です。電荷は一方のコンデンサーから他方へ移動するだけで、系全体としては増えも減りもしません。これが、接続後の状態を計算するための最も重要な法則です。
      • エネルギー非保存(減少): なぜエネルギーは保存されないのか?それは、電荷が導線を移動する際に、導線の持つ電気抵抗によって必ずジュール熱が発生し、エネルギーの一部が熱として外部に散逸してしまうからです。したがって、静電エネルギーの総和は接続後に必ず減少します。この「失われた静電エネルギー」が「発生したジュール熱」に等しくなります。
  • 静電エネルギー公式の戦略的選択:
    • 核心: 静電エネルギーには \(U=\displaystyle\frac{1}{2}QV\), \(U=\displaystyle\frac{1}{2}CV^2\), \(U=\displaystyle\frac{Q^2}{2C}\) の3つの公式がありますが、これらを状況に応じて最も計算が楽になるように戦略的に使い分ける能力が問われます。
    • 理解のポイント:
      • \(C, V\)が既知の場合: \(U=\displaystyle\frac{1}{2}CV^2\) が最も直接的です。(イ)や(ウ)の接続前のエネルギー計算で有効です。
      • \(Q, C\)が既知の場合: \(U=\displaystyle\frac{Q^2}{2C}\) が便利です。特に、\(Q\)が保存されるような状況でエネルギー変化を比較する際に役立ちます。
      • 接続後の全エネルギー計算: (ウ)では、共通電圧\(V\)と合成容量\(C_A+C_B\)がわかっているので、\(U_{\text{後}}=\displaystyle\frac{1}{2}(C_A+C_B)V^2\) を使うのが最も効率的です。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 逆向きに接続する問題: 正の電極と負の電極を接続する場合、電気量保存則を適用する際に注意が必要です。保存される総電気量は、\(Q_A – Q_B\) のように差で計算されます。その後の計算手順は本問と同じです。
    • 発生したジュール熱を求める問題: 本問の(ウ)で求めた「静電エネルギーの減少量」は、そのまま「発生したジュール熱の総量」に等しくなります。「発生したジュール熱はいくらか」という問いは、本質的に(ウ)と全く同じ問題です。
    • スイッチを何度も切り替える問題: 例えば、\(C_1\)を充電→\(C_2\)に接続→再び\(C_1\)だけを充電→再度\(C_2\)に接続、といった複雑な操作を行う問題です。各ステップで「どの部分が孤立系か」「その時点での総電気量はいくらか」を丁寧に追っていくことで解くことができます。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 接続前の状態を完全に把握する: まず、接続する前の各コンデンサーの\(C, Q, V, U\)の値をすべて計算し、リストアップします。これが計算の土台となります。
    2. 接続方法(極性)を確認する: 「正の電極どうし」をつなぐのか、「正と負の電極」をつなぐのかを問題文から正確に読み取ります。これにより、保存される総電気量の計算方法(和をとるか、差をとるか)が決まります。
    3. エネルギー変化を問われたら「非保存」を疑う: 「エネルギーはどうなるか」と問われた場合、特に抵抗を含む(あるいは導線で接続する)回路では、エネルギーは保存されない可能性が高いと予測します。安易にエネルギー保存則を立てないように注意が必要です。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • エネルギー保存則を誤って適用する:
    • 誤解: 電気量が保存されるのだから、静電エネルギーも保存されるはずだ、と考えてしまう最も典型的なミス。
    • 対策: 「コンデンサーの接続=電荷の移動(電流)=ジュール熱の発生」という物理現象の連鎖を常にイメージすることです。「エネルギーは熱に化ける」と覚えておけば、安易なエネルギー保存則の適用を防げます。力学における非保存力(摩擦熱)のアナロジーで理解するのも有効です。
  • 単位の混同(特にマイクロ \(\mu\)):
    • 誤解: 電気容量の\(\mu\)(\(10^{-6}\))を、電気量やエネルギーの計算の際に忘れたり、間違ったべき乗をかけてしまう。
    • 対策: 計算を始める前に、与えられた値をすべてSI基本単位(F, V, C, J)に変換して書き出すことを習慣づけるのが最も安全です。例えば、\(C_A = 6.0 \times 10^{-6} \, \text{F}\) のように、機械的に変換してから計算式に代入します。
  • 接続後の電圧を平均値で求めてしまう:
    • 誤解: 接続前の電圧が\(10\,\text{V}\)と\(20\,\text{V}\)だから、接続後の共通電圧は単純な平均値の\(15\,\text{V}\)になるだろう、と勘違いしてしまう。
    • 対策: 共通電圧は、電気量保存則から導かれる「加重平均」のような形で決まります。\(V = \displaystyle\frac{C_A V_A + C_B V_B}{C_A + C_B}\) という形になり、容量の大きい方の電圧に引き寄せられます。単純な算術平均にはならないことを肝に銘じ、必ず電気量保存則から導出する癖をつけましょう。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • (ウ)での電気量保存則と共通電圧の導出:
    • 選定理由: 接続後の状態(各コンデンサーの電気量や電圧)は未知です。この未知数を決定するためには、物理法則に基づいた方程式が必要です。前述の通り、「孤立系の電気量保存」と「並列接続の電位が等しい」という2つの普遍的な法則が、この状況で適用できる最も強力なツールです。これらを連立させることで、未知数である共通電圧\(V\)を、既知の量だけで表すことができます。
    • 適用根拠: 物理法則(電荷保存則、静電平衡の条件)を数学的な方程式に落とし込み、それを解くという、物理学の王道的な問題解決アプローチです。
  • (ウ)でのエネルギー減少量の計算:
    • 選定理由: 「減少量」を求めるには、変化の前と後を比較する必要があります。したがって、「接続前の全エネルギー」と「接続後の全エネルギー」をそれぞれ計算し、その差をとるのが最も直接的で論理的な手順です。
    • 適用根拠: エネルギー保存則が成り立たない系において、ある状態から別の状態への変化に伴うエネルギーの損失(あるいは仕事)を定量化する際の基本的な考え方です。\(\Delta E = E_{\text{後}} – E_{\text{前}}\) という変化量の定義に基づいています。(本問では減少量を正の値で問われているため、\(E_{\text{前}} – E_{\text{後}}\)を計算)
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • べき乗計算の戦略: \(10^n\) の計算は、他の数値の計算と分離して最後に行うとミスが減ります。
    • (イ)の計算: \(\displaystyle\frac{1}{2} \times 4.0 \times 20^2 \times 10^{-6} = (2.0 \times 400) \times 10^{-6} = 800 \times 10^{-6} = 8.0 \times 10^{-4}\) のように、まず数値部分を計算し、最後にべき乗を調整します。
    • (ウ)の共通電圧の計算: \(\displaystyle\frac{(6.0+8.0) \times 10^{-5}}{(6.0+4.0) \times 10^{-6}}\) のように、分子と分母でべき乗を揃えてから計算すると、約分が容易になります。
  • 計算プロセスの構造化: (ウ)のような複数のステップを含む問題では、以下のように思考を構造化すると、混乱を防げます。
    1. 目標設定: 「\(\Delta U = U_{\text{前}} – U_{\text{後}}\) を求める」
    2. サブ目標1: 「\(U_{\text{前}}\)を求める」→ \(U_A\)と\(U_B\)を計算して足す。
    3. サブ目標2: 「\(U_{\text{後}}\)を求める」→ そのためには共通電圧\(V\)が必要。
    4. サブ目標3: 「共通電圧\(V\)を求める」→ 電気量保存則から立式して解く。
    5. 実行: サブ目標3 → 2 → 1の順で計算を実行し、最後に目標を達成する。
  • 検算の意識: (ウ)の別解のように、同じ量を異なる方法で計算してみることは、強力な検算手段になります。例えば、\(U_{\text{後}}\)を合成容量で計算した後、時間があれば各コンデンサーのエネルギーを個別に計算して足し合わせ、結果が一致するか確認することで、計算の信頼性が大幅に向上します。
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基本問題

377 コンデンサーの電気容量

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「平行板コンデンサーの電気容量の計算」です。コンデンサーの性能を表す物理量である「電気容量」が、その形状(極板の面積、極板間の距離)と、極板間を満たす物質の性質(誘電率)によってどのように決まるかを問う、最も基本的な問題です。公式を正しく覚え、単位換算を正確に行うことができれば、確実に得点できます。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 平行板コンデンサーの電気容量の公式: 電気容量\(C\)が、極板間を満たす物質の誘電率\(\epsilon\)、極板の面積\(S\)、極板間の距離\(d\)を用いて \(C = \epsilon \displaystyle\frac{S}{d}\) と表されることを理解していること。
  2. SI基本単位への換算: 物理計算では、すべての量を国際単位系(SI)の基本単位(長さはメートル[m]、面積は平方メートル[m²]など)に統一して計算するという原則を理解していること。特に、ミリ[m]などの接頭語の意味を正しく把握していることが重要です。
  3. 指数計算: \(10^n\) の形を含む数値の割り算を、指数法則を用いて正確に計算できること。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 問題文で与えられている極板間の距離 \(d = 2.0 \, \text{mm}\) を、SI基本単位であるメートル[m]に換算します。
  2. 平行板コンデンサーの電気容量の公式 \(C = \epsilon \displaystyle\frac{S}{d}\) に、与えられた値(\(\epsilon_0, S\))と、換算した\(d\)の値を代入します。
  3. 指数計算を含めて、数値を正確に計算し、電気容量\(C\)を求めます。

思考の道筋とポイント
この問題は、平行板コンデンサーの電気容量を計算する公式 \(C = \epsilon \displaystyle\frac{S}{d}\) に、与えられた数値を代入するだけのシンプルな問題です。ただし、計算を実行する前に、すべての物理量の単位をSI基本単位に揃える必要があります。特に、極板間の距離がミリメートル(mm)で与えられているため、これをメートル(m)に変換する作業が不可欠です。この単位換算を怠ると、正しい答えは得られません。
この設問における重要なポイント

  • 平行板コンデンサーの電気容量の公式は \(C = \epsilon \displaystyle\frac{S}{d}\) である。
  • 計算に使用する物理量は、すべてSI基本単位に統一する必要がある。
  • 距離の単位換算: \(1 \, \text{mm} = 10^{-3} \, \text{m}\)。

具体的な解説と立式
平行板コンデンサーの電気容量\(C\)を求める公式は、真空の誘電率を\(\epsilon_0\)、極板の面積を\(S\)、極板間の距離を\(d\)とすると、
$$ C = \epsilon_0 \frac{S}{d} $$
と表されます。
問題で与えられている値は以下の通りです。

  • 極板の面積: \(S = 1.0 \, \text{m}^2\)
  • 極板間の距離: \(d = 2.0 \, \text{mm}\)
  • 真空の誘電率: \(\epsilon_0 = 8.8 \times 10^{-12} \, \text{F/m}\)

計算の前に、距離\(d\)の単位をメートル(m)に換算します。
$$ d = 2.0 \, \text{mm} = 2.0 \times 10^{-3} \, \text{m} $$
これらの値を上記の公式に代入して\(C\)を計算します。

使用した物理公式

  • 平行板コンデンサーの電気容量: \(C = \epsilon_0 \displaystyle\frac{S}{d}\)
計算過程

公式に各値を代入します。
$$
\begin{aligned}
C &= \epsilon_0 \frac{S}{d} \\[2.0ex] &= (8.8 \times 10^{-12}) \times \frac{1.0}{2.0 \times 10^{-3}}
\end{aligned}
$$
まず、数値部分と指数部分を分けて計算します。
$$
\begin{aligned}
C &= \frac{8.8}{2.0} \times \frac{10^{-12}}{10^{-3}} \\[2.0ex] &= 4.4 \times 10^{-12 – (-3)} \\[2.0ex] &= 4.4 \times 10^{-12 + 3} \\[2.0ex] &= 4.4 \times 10^{-9}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

コンデンサーの性能(電気容量\(C\))は、その「作り」で決まります。公式は「\(C = (\text{真空の性能指数}) \times (\text{面積}) \div (\text{距離})\)」という形です。
この問題では、面積が\(1.0\)、距離が\(2.0\)mm、真空の性能指数が\(8.8 \times 10^{-12}\)と与えられています。
計算するときの注意点は、距離の単位をmmからmに直すことです。\(2.0\)mmは\(0.002\)m、つまり\(2.0 \times 10^{-3}\)mです。
これらの値を公式に当てはめて電卓を叩くように計算すれば、答えが出てきます。

結論と吟味

電気容量は \(4.4 \times 10^{-9} \, \text{F}\) となります。これは、\(4.4\)ナノファラド(\(4.4 \, \text{nF}\))に相当します。公式に数値を代入する基本的な問題ですが、単位換算と指数計算を正確に行うことが求められます。計算結果も物理的に妥当な範囲の値です。

解答 4.4×10-9 F

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • 電気容量を決定する物理的要因:
    • 核心: この問題の根幹は、コンデンサーの電気容量\(C\)という性能が、抽象的なものではなく、「極板の面積\(S\)」「極板間の距離\(d\)」「極板間を満たす物質の誘電率\(\epsilon\)」という具体的な物理的パラメータによって決定される、という物理法則を理解しているかどうかに尽きます。
    • 理解のポイント:
      • 公式 \(C = \epsilon \displaystyle\frac{S}{d}\) の意味:
        • \(C \propto S\) (面積に比例): 極板の面積が広いほど、より多くの電荷を蓄えることができる。
        • \(C \propto \displaystyle\frac{1}{d}\) (距離に反比例): 極板間の距離が近いほど、互いの極板の電荷が引き付け合い、より少ない電圧で多くの電荷を蓄えることができる。
        • \(C \propto \epsilon\) (誘電率に比例): 極板間に誘電体を挿入すると、分極によって電場が弱められ、より多くの電荷を蓄えることができる。
      • \(C\)の独立性: 電気容量\(C\)は、コンデンサーの「構造」によって決まる固有の性能値です。そこに蓄えられる電気量\(Q\)や、かかる電圧\(V\)によって変化するものではない、という点を理解することが重要です。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 誘電体を挿入する問題: 極板間に比誘電率\(\epsilon_r\)の誘電体を満たした場合、電気容量がどうなるかを問う問題。この場合、誘電率\(\epsilon\)を\(\epsilon = \epsilon_r \epsilon_0\)に置き換えて計算します。(\(\epsilon_0\)は真空の誘電率)
    • コンデンサーの形状を変化させる問題: 「極板の面積を2倍にし、距離を半分にしたら、電気容量は何倍になるか?」といった問題。公式 \(C \propto \displaystyle\frac{S}{d}\) の比例関係だけを使って、素早く倍率を計算することができます。
    • 円板コンデンサーや円筒コンデンサー: コンデンサーの形状が平行板でない場合でも、基本的な考え方は同じです。ただし、電気容量を計算する公式の形が変わるため、その都度、与えられた公式を正しく使う必要があります。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 与えられた物理量の単位を確認する: 問題文に出てくる数値の単位(mm, cm, cm²など)を最初にチェックし、SI基本単位(m, m²)に変換する必要があるかどうかを判断します。これが計算の第一歩です。
    2. 極板間の物質を確認する: 極板間が「真空」なのか、それとも「誘電体」で満たされているのかを確認します。真空なら\(\epsilon_0\)を、誘電体なら\(\epsilon = \epsilon_r \epsilon_0\)を使うことになります。
    3. 公式の選択: 問題で問われているのが電気容量\(C\)そのものであり、その形状に関するパラメータが与えられている場合、迷わず \(C = \epsilon \displaystyle\frac{S}{d}\) を選択します。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • 単位換算のミス:
    • 誤解: ミリ(m)を\(10^{-2}\)と勘違いする(センチ(c)と混同)、あるいは面積の単位換算(例: \(1 \, \text{cm}^2 = (10^{-2} \, \text{m})^2 = 10^{-4} \, \text{m}^2\))を間違える。
    • 対策: 単位の接頭語(k, c, m, \(\mu\), n, pなど)の意味と対応するべき乗を正確に覚えることが不可欠です。特に、計算を始める前に、問題用紙の隅にでも「\(2.0 \, \text{mm} = 2.0 \times 10^{-3} \, \text{m}\)」のように、単位換算した値を書き出しておく「儀式」を行うと、ミスを大幅に減らせます。
  • 公式の分母・分子の混同:
    • 誤解: \(C = \epsilon \displaystyle\frac{d}{S}\) のように、公式の\(S\)と\(d\)の位置を逆に覚えてしまう。
    • 対策: 物理的なイメージと結びつけて覚えるのが効果的です。「面積\(S\)が広いほど性能は上がる(分子)」、「距離\(d\)が遠いほど性能は下がる(分母)」という直感的なイメージを持つことで、公式の形を間違えにくくなります。
  • 誘電率と比誘電率の混同:
    • 誤解: 真空の誘電率\(\epsilon_0\)と、物質の比誘電率\(\epsilon_r\)を混同し、式に代入する値を間違える。
    • 対策: \(\epsilon_0\)は普遍的な物理定数(真空の性能)、\(\epsilon_r\)は真空を1としたときにその物質が何倍の性能を持つかを示す「比」であり、単位のない数値です。物質中の誘電率\(\epsilon\)は、これらを掛け合わせた \(\epsilon = \epsilon_r \epsilon_0\) である、という関係を明確に区別して理解しておく必要があります。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • \(C = \epsilon \displaystyle\frac{S}{d}\) の選定理由:
    • 選定理由: この問題は、コンデンサーの「電気容量\(C\)」という物理量を、その「構造(面積\(S\)、距離\(d\))」と「材質(誘電率\(\epsilon\))」から求めることを要求しています。この2つの異なる階層の物理量を直接結びつける関係式が、まさに \(C = \epsilon \displaystyle\frac{S}{d}\) です。問題の要求と公式の機能が完全に一致しているため、この公式を選択するのは必然です。
    • 適用根拠: この公式は、電場と電位の関係、そしてガウスの法則といった、より基本的な電磁気学の法則から導出されたものです。高校物理ではこの公式を所与のものとして扱いますが、その背景にはしっかりとした物理理論が存在しており、平行板コンデンサーというモデルにおいて普遍的に適用できる関係式です。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 指数計算の分離: べき乗(\(10^n\))の計算は、他の数値(係数)の計算と分けて行うと、計算ミスや混乱を防げます。
    • 本問の計算: \(C = (8.8 \times 10^{-12}) \times \displaystyle\frac{1.0}{2.0 \times 10^{-3}}\)
    • ステップ1(係数部分): \(\displaystyle\frac{8.8 \times 1.0}{2.0} = 4.4\)
    • ステップ2(指数部分): \(\displaystyle\frac{10^{-12}}{10^{-3}} = 10^{-12 – (-3)} = 10^{-9}\)
    • ステップ3(結合): \(4.4 \times 10^{-9}\)

    このように段階的に計算することで、複雑な計算も整理され、検算がしやすくなります。

  • 単位の次元解析: 計算結果の単位が、求めたい物理量の単位と一致するかを確認する「次元解析」は、有効な検算手段です。
    • 本問の計算: \(C = \epsilon_0 \displaystyle\frac{S}{d}\)
    • 単位の代入: \([\text{F/m}] \times \displaystyle\frac{[\text{m}^2]}{[\text{m}]} = [\text{F/m}] \times [\text{m}] = [\text{F}]\)

    このように、最終的な単位がファラド[F]となり、電気容量の単位と一致することから、公式の形や計算の方向性が正しいだろうと推測できます。

  • 有効数字の確認: 問題文で与えられた数値の有効数字(この問題では8.8, 1.0, 2.0なので2桁)を確認し、最終的な答えもそれに合わせる習慣をつけましょう。答えは \(4.4 \times 10^{-9}\) となり、有効数字2桁で適切に表現されています。

378 コンデンサーに加わる電圧

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】

本解説は、模範解答で採用されている解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。

  1. 提示する別解
    • 別解:電圧と電気容量の逆比関係を用いる解法
      • 模範解答(主たる解法)が、まず共通の電気量\(Q\)の具体的な値を計算し、その値を使って各容量を求めるのに対し、別解では「電気量が共通」という関係式(例: \(C_A V_A = C_B V_B\))から、\(Q\)の値を介さずに直接、未知の電気容量を求めます。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理的本質の深化: 直列接続において「電圧は電気容量に反比例する」という物理的関係性を、より直接的に体感することができます。
    • 思考の柔軟性向上: 共通の物理量(この場合は\(Q\))を、必ずしも数値計算しなくても、関係式として利用することで未知数を消去できるという、応用範囲の広い問題解決のテクニックを学べます。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「コンデンサーの直列接続」です。複数のコンデンサーを直列につないだときに、各コンデンサーの電圧や電気量がどのようになるか、その基本的な性質を理解しているかが問われます。特に、直列接続における「電気量共通」と「電圧分割」という2つの大原則を使いこなせるかが鍵となります。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. コンデンサーの直列接続の性質(電気量): 直列に接続された各コンデンサーに蓄えられる電気量は、すべて等しくなる。
  2. コンデンサーの直列接続の性質(電圧): 各コンデンサーにかかる電圧の和は、全体にかけた電圧に等しい(電圧則)。
  3. コンデンサーの基本式: 電気量\(Q\)、電気容量\(C\)、電位差\(V\)の間の関係式 \(Q=CV\) を理解していること。
  4. 電気容量と電圧の逆比例関係: 直列接続では電気量\(Q\)が共通なので、\(V = Q/C\) より、各コンデンサーにかかる電圧は、その電気容量に反比例する。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. まず、電圧則を用いて、未知であるコンデンサーCにかかる電圧\(V_C\)を求めます。全体の電圧は、A, B, Cそれぞれの電圧の和に等しいことを利用します。
  2. 次に、直列接続ではすべてのコンデンサーに蓄えられる電気量\(Q\)が等しい、という最も重要な性質を利用します。
  3. コンデンサーAについては電気容量\(C_A\)と電圧\(V_A\)が両方分かっているので、\(Q = C_A V_A\) として、この共通の電気量\(Q\)の値を計算します。
  4. 最後に、コンデンサーBとCについて、それぞれ基本式 \(Q = C_B V_B\) と \(Q = C_C V_C\) を使い、ステップ3で求めた電気量\(Q\)と、与えられた(あるいはステップ1で求めた)電圧の値から、未知の電気容量\(C_B\)と\(C_C\)を算出します。

思考の道筋とポイント
この問題は、3つのコンデンサーが直列に接続された回路を扱います。直列接続の最も重要な特徴は、「各コンデンサーに蓄えられる電気量がすべて等しい」ということです。この共通の電気量を\(Q\)とします。
もう一つの特徴は、「各コンデンサーの電圧の和が、電源の電圧に等しい」ということです。
この2つのルールを使い、パズルを解くように未知の量を明らかにしていきます。
この設問における重要なポイント

  • 直列接続では、各コンデンサーに蓄えられる電気量\(Q\)は共通である。
  • 直列接続では、各コンデンサーの電圧の和は全体の電圧に等しい (\(V_{\text{全体}} = V_A + V_B + V_C\))。
  • コンデンサーの基本式 \(Q=CV\) を用いて、電気量、電気容量、電圧の関係を計算する。

具体的な解説と立式
まず、コンデンサーCにかかる電圧\(V_C\)を求めます。
3つのコンデンサーは直列に接続されており、全体に\(240\,\text{V}\)の電圧が加えられています。したがって、各コンデンサーの電圧の和は\(240\,\text{V}\)になります。
$$ V_A + V_B + V_C = 240 $$
問題文より \(V_A = 48\,\text{V}\), \(V_B = 72\,\text{V}\) なので、これを代入します。
$$ 48 + 72 + V_C = 240 \quad \cdots ① $$

次に、3つのコンデンサーに共通して蓄えられている電気量\(Q\)を求めます。
コンデンサーAについては、電気容量\(C_A\)と電圧\(V_A\)が両方とも分かっているので、基本式 \(Q=CV\) を用いて\(Q\)を計算できます。
$$ Q = C_A V_A \quad \cdots ② $$

最後に、この共通の電気量\(Q\)を使って、コンデンサーBとCの電気容量を求めます。
コンデンサーBについては、
$$ Q = C_B V_B \quad \cdots ③ $$
コンデンサーCについては、
$$ Q = C_C V_C \quad \cdots ④ $$
これらの式を、未知の電気容量\(C_B\), \(C_C\)について解きます。

使用した物理公式

  • コンデンサーの直列接続における電圧則: \(V_{\text{全体}} = V_1 + V_2 + \dots\)
  • コンデンサーの直列接続における電気量の性質: \(Q_1 = Q_2 = \dots = Q\)
  • コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
計算過程

まず、式①から\(V_C\)を計算します。
$$
\begin{aligned}
120 + V_C &= 240 \\[2.0ex] V_C &= 240 – 120 \\[2.0ex] V_C &= 120 \, \text{V}
\end{aligned}
$$

次に、式②から共通の電気量\(Q\)を計算します。\(C_A = 3.0 \, \mu\text{F} = 3.0 \times 10^{-6} \, \text{F}\), \(V_A = 48 \, \text{V}\) です。
$$
\begin{aligned}
Q &= C_A V_A \\[2.0ex] &= (3.0 \times 10^{-6}) \times 48 \\[2.0ex] &= 144 \times 10^{-6} \, \text{C}
\end{aligned}
$$

この\(Q\)の値を使って、式③から\(C_B\)を計算します。\(V_B = 72 \, \text{V}\) です。
$$
\begin{aligned}
144 \times 10^{-6} &= C_B \times 72 \\[2.0ex] C_B &= \frac{144 \times 10^{-6}}{72} \\[2.0ex] C_B &= 2.0 \times 10^{-6} \, \text{F}
\end{aligned}
$$
これは \(2.0 \, \mu\text{F}\) です。

最後に、式④から\(C_C\)を計算します。\(V_C = 120 \, \text{V}\) です。
$$
\begin{aligned}
144 \times 10^{-6} &= C_C \times 120 \\[2.0ex] C_C &= \frac{144 \times 10^{-6}}{120} \\[2.0ex] C_C &= 1.2 \times 10^{-6} \, \text{F}
\end{aligned}
$$
これは \(1.2 \, \mu\text{F}\) です。

この設問の平易な説明

3つのコンデンサーを直列につなぐと、いくつかのルールが生まれます。
一つ目は「電圧の分担」。全体の電圧\(240\)Vを、A, B, Cの3つで分け合います。Aが\(48\)V、Bが\(72\)Vを使っているので、残りの電圧は \(240 – 48 – 72 = 120\)V。これがCの電圧になります。
二つ目は「電気量はみんな同じ」。直列につながれたコンデンサーは、まるで一本のパイプに水が流れるように、どの部分でも同じ量の電気がたまります。
この「同じ電気量」がいくらなのかは、唯一すべての情報がそろっているAを調べればわかります。Aの電気量は「性能(\(C_A\)) × 電圧(\(V_A\))」で計算できます。
この電気量がBとCでも同じはずなので、BとCについて「性能(\(C\)) = 電気量(\(Q\)) ÷ 電圧(\(V\))」を計算すれば、それぞれの性能(電気容量)がわかる、という流れです。

結論と吟味

コンデンサーBの電気容量は \(C_B = 2.0 \, \mu\text{F}\)、コンデンサーCの電気容量は \(C_C = 1.2 \, \mu\text{F}\) となります。
直列接続では電気量\(Q\)が一定であるため、電圧\(V\)は電気容量\(C\)に反比例します (\(V=Q/C\))。
実際に、\(V_A:V_B:V_C = 48:72:120 = 4:6:10 = 2:3:5\) となり、
\(\displaystyle\frac{1}{C_A}:\frac{1}{C_B}:\frac{1}{C_C} = \frac{1}{3.0}:\frac{1}{2.0}:\frac{1}{1.2} = \frac{1}{3}:\frac{1}{2}:\frac{5}{6}\) (6を掛けて) \(= 2:3:5\) となり、電圧の比と一致します。このことからも、得られた結果は物理的に妥当であると確認できます。

解答 CB = 2.0 μF, CC = 1.2 μF
別解: 電圧と電気容量の逆比関係を用いる解法

思考の道筋とポイント
主たる解法が共通の電気量\(Q\)の値を一度計算するのに対し、この別解では「電気量が共通である」という関係式そのものを利用して、\(Q\)の値を計算せずに未知の容量を求めます。直列接続では電圧\(V\)が電気容量\(C\)に反比例する、という性質を直接的に使います。
この設問における重要なポイント

  • 直列接続では \(Q = C_A V_A = C_B V_B = C_C V_C\) が成り立つ。
  • この関係式から、電気容量の比は電圧の逆数の比に等しいことがわかる (\(C_A : C_B = V_B : V_A\))。

具体的な解説と立式
まず、主たる解法と同様に、電圧則からコンデンサーCにかかる電圧\(V_C\)を求めます。
$$ V_A + V_B + V_C = 240 $$
$$ 48 + 72 + V_C = 240 $$
$$ V_C = 120 \, \text{V} $$

次に、コンデンサーAとBに着目します。直列接続なので、蓄えられる電気量は等しくなります。
$$ C_A V_A = C_B V_B $$
この式を\(C_B\)について解きます。
$$ C_B = C_A \frac{V_A}{V_B} \quad \cdots ① $$

同様に、コンデンサーAとCに着目します。電気量は等しいので、
$$ C_A V_A = C_C V_C $$
この式を\(C_C\)について解きます。
$$ C_C = C_A \frac{V_A}{V_C} \quad \cdots ② $$

使用した物理公式

  • コンデンサーの直列接続における電気量の性質: \(Q_1 = Q_2 = \dots = Q\)
  • コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
計算過程

式①に与えられた値を代入して\(C_B\)を計算します。
$$
\begin{aligned}
C_B &= (3.0 \, \mu\text{F}) \times \frac{48}{72} \\[2.0ex] &= 3.0 \times \frac{2}{3} \, (\mu\text{F}) \\[2.0ex] &= 2.0 \, \mu\text{F}
\end{aligned}
$$

式②に値を代入して\(C_C\)を計算します。
$$
\begin{aligned}
C_C &= (3.0 \, \mu\text{F}) \times \frac{48}{120} \\[2.0ex] &= 3.0 \times \frac{2}{5} \, (\mu\text{F}) \\[2.0ex] &= 1.2 \, \mu\text{F}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

直列接続では、すべてのコンデンサーに同じ量の電気がたまります。コンデンサーの基本式「電気量(\(Q\)) = 性能(\(C\)) × 電圧(\(V\))」を考えると、\(Q\)が同じなので、「性能(\(C\)) × 電圧(\(V\))」の値もすべてのコンデンサーで同じになるはずです。
この「\(C \times V = \text{一定}\)」という関係を使って、わかっているコンデンサーAを基準にして、BとCの性能を計算します。例えばAとBを比べると、\(C_A \times V_A = C_B \times V_B\) が成り立つので、ここから\(C_B\)を求めることができます。Cについても同様です。

結論と吟味

コンデンサーBの電気容量は \(C_B = 2.0 \, \mu\text{F}\)、コンデンサーCの電気容量は \(C_C = 1.2 \, \mu\text{F}\) となり、主たる解法と完全に一致します。この方法は、共通の電気量\(Q\)の具体的な値を求めるステップを省略し、電圧と容量の逆比関係を直接利用するもので、思考のショートカットとして有効です。

解答 CB = 2.0 μF, CC = 1.2 μF

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • コンデンサーの直列接続における2大原則:
    • 核心: この問題の根幹は、コンデンサーの直列接続を特徴づける2つの絶対的なルールを理解し、それらを連動させて未知数を解き明かすことにあります。
    • 理解のポイント:
      1. 電気量が共通 (\(Q_A = Q_B = Q_C\)): なぜ電気量が等しくなるのかを理解することが重要です。電源から供給された電荷\(+Q\)がAの左極板に蓄えられると、静電誘導でAの右極板に\(-Q\)が現れます。この\(-Q\)は、もともとAの右極板とBの左極板からなる孤立部分にあった電子が移動したものです。したがって、Bの左極板には\(+Q\)が残ります。これが繰り返され、結果的にすべてのコンデンサーに同じ大きさの電気量\(Q\)が蓄えられます。
      2. 電圧が分割される (\(V_{\text{全体}} = V_A + V_B + V_C\)): これは電位の考え方に基づいています。回路全体の電位差は、各部品での電位降下の和に等しいという、キルヒホッフの電圧則そのものです。
    • 思考の出発点: 直列接続の問題に遭遇したら、まずこの2つの法則を書き出すことが、思考の羅針盤となります。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 合成容量を求める問題: 本問の知識を使えば、直列接続の合成容量の公式 \(\displaystyle\frac{1}{C_{\text{合成}}} = \frac{1}{C_A} + \frac{1}{C_B} + \frac{1}{C_C}\) を導出、あるいはその意味を深く理解できます。\(V_{\text{全体}} = V_A+V_B+V_C\) の両辺を共通の電気量\(Q\)で割ると、\(\displaystyle\frac{V_{\text{全体}}}{Q} = \frac{V_A}{Q} + \frac{V_B}{Q} + \frac{V_C}{Q}\) となり、\(C=\displaystyle\frac{Q}{V}\) の関係から上記の公式が導かれます。
    • 電圧の分圧比を問う問題: 直列接続では \(Q\) が一定なので、\(V=Q/C\) より、各コンデンサーにかかる電圧は電気容量\(C\)に反比例します。つまり、\(V_A : V_B : V_C = \displaystyle\frac{1}{C_A} : \frac{1}{C_B} : \frac{1}{C_C}\) となります。この関係を使えば、全体の電圧と各容量から、各コンデンサーの電圧を素早く計算できます。
    • 直列と並列の混合回路: 回路の一部が直列、一部が並列になっている複雑な問題です。まず並列部分の合成容量を計算して一つのコンデンサーとみなし、次にその合成コンデンサーと他のコンデンサーとの直列接続を考える、といった段階的なアプローチが必要になります。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 接続方法の特定: まず回路図を見て、コンデンサーが「直列」か「並列」か、あるいはその「混合」かを見極めます。
    2. 既知の量と未知の量を整理する: 各コンデンサーについて、\(C, Q, V\) のうち、どの値が分かっていて、どの値が未知数なのかをリストアップします。
    3. 基準となる物理量を探す: 本問の主たる解法のように、すべての情報が揃っているコンデンサー(A)を見つけ、そこから共通の物理量(電気量\(Q\))を計算する、というアプローチは非常に有効です。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • 直列と並列の性質の混同:
    • 誤解: 直列接続なのに電圧が等しいと考えたり、並列接続なのに電気量が等しいと考えてしまう、最も基本的なミス。
    • 対策: 「直列は一本道、並列は分かれ道」というイメージを持つことが有効です。一本道(直列)では流れる量(電気量)がどこでも同じ。分かれ道(並列)では、出発点と合流点の高低差(電圧)がどのルートでも同じ、と覚えることで混同を防げます。
  • 電圧と容量の関係の誤解:
    • 誤解: \(Q=CV\) という式から、電圧\(V\)は容量\(C\)に比例すると勘違いしてしまう。
    • 対策: 比例・反比例の関係は、「何が一定か」という条件によって変わります。
      • 直列接続(\(Q\)が一定)の場合: \(V = Q/C\) なので、\(V\)は\(C\)に反比例します。
      • 並列接続(\(V\)が一定)の場合: \(Q = CV\) なので、\(Q\)は\(C\)に比例します。

      常に「何が共通(一定)か」を意識する癖をつけることが重要です。

  • 単位の扱い(特にマイクロ \(\mu\)):
    • 誤解: 計算の途中で\(\mu\) (\(10^{-6}\)) を付け忘れたり、最終的な答えの単位を間違えたりする。
    • 対策: 別解のように、比の関係を使って計算を進める場合、\(\mu\)を付けずに計算し、最後に単位を補うことができます(例: \(C_B = 3.0 \times (48/72) = 2.0\)。単位は\(\mu\text{F}\))。ただし、主たる解法のように一度\(Q\)の値をSI単位で計算する場合は、すべての計算で\(10^{-6}\)を正しく扱う必要があります。自分の解法に合わせて、単位の扱い方を意識することが大切です。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • 電圧則 \(V_A + V_B + V_C = 240\) の選択:
    • 選定理由: 問題文で全体の電圧と、一部のコンデンサーの電圧が与えられています。未知の電圧\(V_C\)を求めるためには、これらの関係を結びつける法則が必要です。直列回路における電圧の関係を記述する法則は電圧則(キルヒホッフの第2法則)以外になく、これを選択するのは必然です。
    • 適用根拠: 電位はエネルギーの位置エネルギーに相当する概念であり、回路を一周して戻ってくると電位は元に戻ります。これはエネルギー保存則の現れであり、物理学の基本法則です。
  • 電気量共通の法則 \(Q = C_A V_A = C_B V_B = \dots\) の選択:
    • 選定理由: 電圧則だけでは未知の容量\(C_B, C_C\)を求めることはできません。もう一つの独立した法則が必要です。直列接続のもう一つの特徴が「電気量共通」であるため、これを数式化して利用します。特に、コンデンサーAの情報が完全に与えられているため、\(Q=C_A V_A\)として共通電気量\(Q\)を計算する、という流れは非常に合理的です。
    • 適用根拠: 回路の途中(例えばAとBの間)は、他の部分から電気的に孤立しています。この孤立部分の正味の電荷は常にゼロでなければなりません(そうでなければ、何もないところから電荷が湧き出すことになる)。この条件から、向かい合う極板には必ず逆符号で同じ大きさの電荷が誘導されることになり、結果として各コンデンサーを通過する電気的な流れ(電気量)は等しくなります。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 計算の順序を工夫する:
    • 主たる解法: \(Q\)を先に計算し、その値を使って\(C_B, C_C\)を求める。この方法は、一つずつステップを踏むため着実ですが、計算量が多くなる可能性があります。
    • 別解: \(Q\)の値を計算せず、\(C_A V_A = C_B V_B\) のような比例関係を直接使う。この方法は、計算量が少なく、分数計算が得意であれば迅速に解けます。

    どちらの方法が自分にとってミスが少ないかを考え、戦略的に選択することが重要です。

  • 比の計算をマスターする: 別解で用いたような比の計算は、物理の問題を解く上で非常に強力なツールです。
    • \(C_B = C_A \times \displaystyle\frac{V_A}{V_B}\) の計算では、まず分数の部分 \(\displaystyle\frac{48}{72}\) を約分して \(\displaystyle\frac{2}{3}\) と簡単な形にしてから、\(C_A\)の値(3.0)を掛けることで、計算が楽になり、ミスも減ります。
  • 検算を行う:
    • 最後に得られた\(C_B, C_C\)の値を使って、電圧の比 \(\displaystyle\frac{1}{C_A}:\frac{1}{C_B}:\frac{1}{C_C}\) を計算し、それが問題で与えられた電圧の比 \(V_A:V_B:V_C\) と一致するかを確認する(結論と吟味で示したような計算)ことは、非常に有効な検算方法です。この一手間が、ケアレスミスによる失点を防ぎます。

379 平行板コンデンサー

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「電池に接続されたコンデンサーの操作と電荷の移動」です。コンデンサーが電池につながれたまま、その形状(極板間隔)を変化させると、電気容量が変化します。その結果、コンデンサーに蓄えられる電気量も変化し、その差分の電荷が回路を移動(電流が流れる)します。この一連の物理現象を、基本法則に沿って定量的に理解できるかが問われます。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. コンデンサーの基本式: 電気量\(Q\)、電気容量\(C\)、電位差\(V\)の間の関係式 \(Q=CV\) を理解していること。
  2. 平行板コンデンサーの電気容量: 電気容量\(C\)が極板間隔\(d\)に反比例すること (\(C \propto \displaystyle\frac{1}{d}\)) を理解していること。
  3. 回路の接続状態と不変量: 電池に接続されたままの操作では、コンデンサーの電位差\(V\)が常に電池の電圧で一定に保たれる、という大原則を理解していること。
  4. 電荷の移動と電流の向き: コンデンサーの正極板に蓄えられた正電荷が減少する場合、その分の正電荷がコンデンサーから電池に向かって移動する(電流が流れる)と解釈できること。電流の向きは正電荷の移動の向きと定義される。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)では、与えられた電気容量\(C\)と電圧\(V\)から、基本式\(Q=CV\)を用いて初期状態の電気量\(Q\)を計算します。
  2. (2)では、まず「電池をつないだまま」という条件から、電圧\(V\)が15Vで一定であることを確認します。次に、極板間隔を3倍にすると電気容量\(C\)がどう変化するかを計算します。
  3. 変化後の新しい電気容量\(C’\)と一定の電圧\(V\)から、変化後に蓄えられている電気量\(Q’\)を計算します。
  4. 最初の電気量\(Q\)と変化後の電気量\(Q’\)を比較し、電荷が減少したのか増加したのかを判断して電流の向きを決定します。
  5. \(Q\)と\(Q’\)の差を計算することで、点Pを通過した電気量の大きさを求めます。

問(1)

思考の道筋とポイント
コンデンサーの電気容量\(C\)と、それに加えられている電圧\(V\)が与えられています。蓄えられている電気量\(Q\)を求めるには、コンデンサーの基本式 \(Q=CV\) を適用します。単位のマイクロ(\(\mu\))を\(10^{-6}\)に変換することを忘れないようにします。
この設問における重要なポイント

  • 電気量、電気容量、電位差の関係は \(Q=CV\) で与えられる。
  • 単位の接頭語マイクロ(\(\mu\))は \(10^{-6}\) を意味する。

具体的な解説と立式
コンデンサーに蓄えられる電気量を\(Q\)とすると、基本式より、
$$ Q = CV $$
が成り立ちます。

使用した物理公式

  • コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
計算過程

与えられた値を代入します。\(C = 6.0 \, \mu\text{F} = 6.0 \times 10^{-6} \, \text{F}\)、\(V = 15 \, \text{V}\) です。
$$
\begin{aligned}
Q &= (6.0 \times 10^{-6}) \times 15 \\[2.0ex] &= 90 \times 10^{-6} \\[2.0ex] &= 9.0 \times 10^{-5}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

コンデンサーにたまる電気の量\(Q\)は、「性能(電気容量\(C\))× 電圧(\(V\))」で計算できます。このコンデンサーの性能は\(6.0 \mu\)F、電圧は\(15\)Vなので、これらを掛け合わせます。単位の\(\mu\)(マイクロ)は\(10^{-6}\)のことなので、忘れずに計算に含めます。

結論と吟味

コンデンサーに蓄えられている電気量は \(9.0 \times 10^{-5} \, \text{C}\) となります。基本的な公式の適用であり、妥当な結果です。

解答 (1) 9.0×10-5 C

問(2)

思考の道筋とポイント
「電池をつないだまま」という条件が最も重要です。これにより、極板間隔を広げている間も、コンデンサーの電位差は常に電池の電圧\(15\,\text{V}\)に保たれます。
次に、極板間隔を3倍にすると、電気容量\(C\)がどうなるかを考えます。平行板コンデンサーの容量は間隔\(d\)に反比例するため、間隔が3倍になると容量は\(\displaystyle\frac{1}{3}\)倍になります。
この変化後の容量と、一定の電圧から、変化後の電気量\(Q’\)を計算します。
最後に、変化前の電気量\(Q\)と変化後の電気量\(Q’\)を比較することで、点Pを通過した電荷の向きと大きさを求めます。
この設問における重要なポイント

  • 電池に接続したままの操作では、電位差\(V\)が一定に保たれる。
  • 平行板コンデンサーの電気容量\(C\)は、極板間隔\(d\)に反比例する (\(C \propto \displaystyle\frac{1}{d}\))。
  • 点Pを通過する電気量は、コンデンサーの電気量の変化分に等しい。
  • 電流の向きは、正電荷の移動の向きである。

具体的な解説と立式
操作中、コンデンサーは電池に接続されているため、電位差は常に \(V = 15 \, \text{V}\) で一定です。
極板の間隔を3倍にすると、電気容量は\(\displaystyle\frac{1}{3}\)倍になります。変化前の容量を\(C\)、変化後の容量を\(C’\)とすると、
$$ C’ = \frac{1}{3} C $$
変化後のコンデンサーに蓄えられている電気量を\(Q’\)とすると、
$$ Q’ = C’V $$
ここで、\(C’ = \displaystyle\frac{1}{3}C\) を代入すると、
$$ Q’ = \left( \frac{1}{3} C \right) V = \frac{1}{3} (CV) $$
\(CV\)は変化前の電気量\(Q\)に等しいので、
$$ Q’ = \frac{1}{3} Q $$
となります。

極板Aに蓄えられていた正電荷は、\(Q\)から\(Q’\)に減少します。この減少した分の正電荷が、コンデンサーから出て電池の正極に戻る形で点Pを通過します。したがって、点Pを流れる電流(正電荷の流れ)の向きは、コンデンサーから電池へ向かう向き、すなわち②となります。

点Pを通過した電気量の大きさ\(\Delta Q\)は、この電気量の減少分に等しくなります。
$$ \Delta Q = Q – Q’ $$

使用した物理公式

  • コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
  • 平行板コンデンサーの電気容量と極板間隔の関係: \(C \propto \displaystyle\frac{1}{d}\)
計算過程

まず、変化前の電気量\(Q\)は(1)より \(Q = 9.0 \times 10^{-5} \, \text{C}\) です。
変化後の電気量\(Q’\)を計算します。
$$
\begin{aligned}
Q’ &= \frac{1}{3} Q \\[2.0ex] &= \frac{1}{3} \times (9.0 \times 10^{-5}) \\[2.0ex] &= 3.0 \times 10^{-5} \, \text{C}
\end{aligned}
$$
点Pを通過した電気量の大きさ\(\Delta Q\)は、
$$
\begin{aligned}
\Delta Q &= Q – Q’ \\[2.0ex] &= (9.0 \times 10^{-5}) – (3.0 \times 10^{-5}) \\[2.0ex] &= 6.0 \times 10^{-5} \, \text{C}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

電池をつないだまま、コンデンサーの板の間隔を3倍に広げます。間隔が広がると、コンデンサーは電気を蓄える性能(電気容量)が悪くなり、性能は\(\displaystyle\frac{1}{3}\)になります。
電池は常に15Vの電圧をかけ続けているので、性能が\(\displaystyle\frac{1}{3}\)になったコンデンサーは、今まで蓄えていた電気の一部を保持できなくなります。蓄えられる電気の量も\(\displaystyle\frac{1}{3}\)になってしまうのです。
あふれ出た電気(正電荷)は、コンデンサーのA極板から出て、導線を通り、電池に戻っていきます。この流れが電流です。したがって、点Pでは②の向きに電流が流れます。
通過した電気の量は、最初にあった量から、最終的に残った量を引き算すればわかります。

結論と吟味

電流の向きは②で、点Pを通過した電気量の大きさは \(6.0 \times 10^{-5} \, \text{C}\) となります。
電池に接続したままコンデンサーの極板間隔を広げる(容量を小さくする)と、過剰になった電荷が電池に戻る、という物理現象を正しく記述した結果であり、妥当です。逆に間隔を狭めると、容量が増加するため、電池から追加の電荷が供給され、電流は①の向きに流れることになります。

解答 (2) 向き:②, 大きさ:6.0×10-5 C

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • 回路の接続状態と不変量の見極め:
    • 核心: この問題の根幹は、コンデンサーに加えられる操作が「電池に接続されたまま」行われるのか、それとも「電池から切り離されて(孤立して)」行われるのかを問題文から正確に読み取り、その状況下で「何が一定に保たれるか(不変量は何か)」を判断することにあります。
    • 理解のポイント:
      • 本問のパターン(接続系): 「電池をつないだまま」という記述から、コンデンサーの極板間の電位差\(V\)が常に電池の電圧で一定に保たれる、と判断することが全ての出発点です。電池が電圧を一定に保つ「安定化装置」として機能します。
      • 比較されるパターン(孤立系): もし問題が「充電後、電池を切り離してから極板間隔を広げた」という設定であれば、コンデンサーは電気的に孤立するため、蓄えられた電気量\(Q\)が一定に保たれます。この場合、\(V=Q/C\)の関係から、\(C\)が減少すると\(V\)は増加するという、全く異なる結果になります。
    • 思考の出発点: コンデンサーの問題では、まず回路の接続状態を確認し、「\(V\)一定」か「\(Q\)一定」かを確定させることが、正しい物理モデルを選択するための最優先事項です。
  • コンデンサーの物理量の因果関係:
    • 核心: コンデンサーのパラメータ(\(C, Q, V\))が、互いにどのように影響し合うのか、その因果関係の連鎖を正しく追跡することが重要です。
    • 理解のポイント:
      • 操作(原因): 人為的な操作は「極板間隔\(d\)を3倍にする」ことです。
      • 第1の結果: 形状が変わったため、コンデンサーの性能である電気容量\(C\)が変化します(\(d\)が3倍 → \(C\)が\(\displaystyle\frac{1}{3}\)倍)。
      • 第2の結果: \(V\)が一定の条件下で\(C\)が変化したため、基本式 \(Q=CV\) に従って電気量\(Q\)が変化します(\(C\)が\(\displaystyle\frac{1}{3}\)倍 → \(Q\)も\(\displaystyle\frac{1}{3}\)倍)。
      • 最終的な現象: 電気量\(Q\)が変化した(減少した)ため、その差分の電荷が回路を移動し、電流が発生します。

      この「操作 → \(C\)の変化 → \(Q\)の変化 → 電流」という一連の流れを理解することが、問題の本質を捉えることにつながります。

応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 誘電体を出し入れする問題: 電池に接続したまま、極板間に誘電体を挿入したり引き抜いたりする問題。誘電体を挿入すると\(C\)が増加するため、電池から追加の電荷が供給され、電流はコンデンサーに向かう向き(①)に流れます。引き抜くと逆の現象が起こります。
    • コンデンサーに蓄えられるエネルギー変化を問う問題: 本問の操作によって、静電エネルギー\(U\)がどう変化するかを問う問題。\(V\)が一定なので、\(U=\displaystyle\frac{1}{2}CV^2\) の公式を使うのが便利です。\(C\)が\(\displaystyle\frac{1}{3}\)倍になるので、\(U\)も\(\displaystyle\frac{1}{3}\)倍に減少します。
    • 電池がした仕事を問う問題: (2)の操作で、電池はコンデンサーから戻ってきた電荷を受け取ります。このとき、電池は「仕事をされた」ことになります。その仕事の大きさは \(W = (\text{移動した電荷量}) \times (\text{電池の電圧})\) で計算できます。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 「〜したまま」という言葉に注目: 「電池をつないだまま」「スイッチを開いたまま」といった言葉は、その操作中における不変量を指定するキーワードです。これを絶対に見逃さないようにします。
    2. 変化前と変化後の状態を比較する: (2)のような問題では、操作前の状態(\(C, Q, V\))と操作後の状態(\(C’, Q’, V’\))をそれぞれ明確にし、両者の差分を考える、という思考パターンが有効です。
    3. 電流の向きの物理的解釈: 電流の向きを問われたら、「正電荷の移動の向き」と定義に立ち返ります。コンデンサーの正極板の電荷が増えるなら、電池の正極から正電荷が流れ込む(①の向き)。正極板の電荷が減るなら、正電荷が電池の正極へ戻っていく(②の向き)、と物理的に考えます。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • \(V\)一定と\(Q\)一定の混同:
    • 誤解: 電池につながっているのに\(Q\)が一定だと考えたり、孤立しているのに\(V\)が一定だと考えてしまう、最も典型的なミス。
    • 対策: 「電池は電圧を一定に保つポンプ」「孤立した導体部分の電荷は逃げ場がない」という物理的なイメージを強く持つことが重要です。回路図を見て、コンデンサーが電池という「ポンプ」に直結しているかどうかを常に確認する癖をつけましょう。
  • 電流の向きの判断ミス:
    • 誤解: 電子の移動方向と電流の向きを混同する。あるいは、電荷が減少したときにどちら向きに電流が流れるかを直感的に間違える。
    • 対策: 電流の定義は「正電荷の移動の向き」であることを徹底します。コンデンサーの正極板(図ではA)に着目し、そこの正電荷\(Q\)が増えるか減るかを判断します。\(Q\)が増える→正電荷が流れ込んできた→電流は①向き。\(Q\)が減る→正電荷が流れ出ていった→電流は②向き。この思考プロセスを徹底することで、ミスを防げます。
  • 通過した電気量の計算ミス:
    • 誤解: 変化後の電気量\(Q’\)そのものを、通過した電気量だと勘違いしてしまう。
    • 対策: 「通過した量」は、常に「変化量」すなわち「(後の量)と(前の量)の差」であることを意識します。問題で問われているのが「最終状態の量」なのか、「その過程で移動した量」なのかを正確に区別することが重要です。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • (2)での \(V=15\,\text{V}\)(一定)の適用:
    • 選定理由: 問題文に「電池をつないだまま」と明記されています。これは、コンデンサーが常に起電力\(15\,\text{V}\)の電源と並列に接続されていることを意味します。理想的な電池と導線では、並列に接続された部分の電位差は常に等しくなります。したがって、コンデンサーの電位差を\(15\,\text{V}\)で一定と置くことは、問題設定から直接的に導かれる最も基本的な条件設定です。
    • 適用根拠: 導線内は等電位であるという理想的な回路の仮定に基づいています。コンデンサーの極板は導線を介して電池の電極に接続されているため、極板の電位は電極の電位と等しくなり、結果として電位差が電池の起電力に等しく保たれます。
  • (2)での \(\Delta Q = Q – Q’\) の計算:
    • 選定理由: 問題は「点Pを通過した電気量」を問うています。点Pは、電池とコンデンサーの正極板をつなぐ導線上にあります。この導線を電荷が通過するのは、コンデンサーに蓄えられる電荷の量が増減するときだけです。したがって、通過した電荷の総量は、コンデンサーの電荷の変化量に等しくなります。この物理的考察から、変化前の電荷\(Q\)と変化後の電荷\(Q’\)の差を計算するという方針が立てられます。
    • 適用根拠: 回路の分岐がない一本道における電荷の保存則(キルヒホッフの第1法則の積分形)に基づいています。コンデンサーの電荷が\(\Delta Q\)だけ変化したなら、それにつながる導線からは\(\Delta Q\)だけの電荷が流入または流出しなければならない、という連続性の原理に基づいています。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 比例関係の活用: (2)で、\(C’ = \displaystyle\frac{1}{3}C\) となった後、\(V\)が一定なので \(Q’ = C’V = (\displaystyle\frac{1}{3}C)V = \displaystyle\frac{1}{3}Q\) のように、まず文字式で比例関係を導くと、見通しが良くなります。具体的な数値を代入するのは、最後の段階にすると計算ミスを減らせます。
  • 変化量を求める際の符号の意識: \(\Delta Q = Q_{\text{後}} – Q_{\text{前}} = Q’ – Q\) を計算すると、\((3.0-9.0)\times 10^{-5} = -6.0 \times 10^{-5} \, \text{C}\) となります。このマイナス符号は「電荷が減少した」ことを意味し、物理的な解釈(電流の向きは②)と一致します。問題では「大きさ」を問われているので絶対値をとって \(6.0 \times 10^{-5} \, \text{C}\) と答えますが、計算過程で符号を意識することは、物理現象の正しい理解と検算に役立ちます。
  • 単位の一貫性を保つ: 電気容量を\(\mu\text{F}\)のまま計算を進めることも可能です。
    • \(Q = 6.0\,\mu\text{F} \times 15\,\text{V} = 90\,\mu\text{C}\)
    • \(C’ = \displaystyle\frac{1}{3} \times 6.0\,\mu\text{F} = 2.0\,\mu\text{F}\)
    • \(Q’ = 2.0\,\mu\text{F} \times 15\,\text{V} = 30\,\mu\text{C}\)
    • \(\Delta Q = 90\,\mu\text{C} – 30\,\mu\text{C} = 60\,\mu\text{C}\)

    最後に \(60\,\mu\text{C} = 60 \times 10^{-6}\,\text{C} = 6.0 \times 10^{-5}\,\text{C}\) とSI単位に変換します。このように、計算中は\(\mu\)を文字のように扱い、最後に変換する方法も、べき乗計算のミスを減らすのに有効です。

380 比誘電率

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「コンデンサーへの誘電体挿入と回路操作」です。コンデンサーが「電池に接続されているか(電圧一定)」、それとも「孤立しているか(電気量一定)」という状況の違いによって、誘電体を挿入したときの振る舞いがどう変わるかを問う問題です。設問ごとに回路の状況を正確に把握し、適切な不変量を見抜くことが鍵となります。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. コンデンサーの基本式: 電気量\(Q\)、電気容量\(C\)、電位差\(V\)の間の関係式 \(Q=CV\) を理解していること。
  2. 誘電体の効果: 比誘電率\(\epsilon_r\)の誘電体で極板間を満たすと、電気容量は\(\epsilon_r\)倍になることを理解していること。
  3. 回路の接続状態と不変量:
    • 電池に接続されたままの操作では、電位差\(V\)が一定に保たれる。
    • 電池から切り離された(孤立した)状態での操作では、電気量\(Q\)が一定に保たれる。
  4. 単位換算: ピコ(p)などの接頭語の意味を正しく理解し、SI基本単位に換算できること。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)では、与えられた初期状態の電気容量と電圧から、基本式\(Q=CV\)を用いて電気量\(Q_1\)を計算します。
  2. (2)では、「電池をつないだまま」という条件から電圧\(V\)が一定であることを確認します。誘電体を挿入したことによる電気容量の変化を計算し、その新しい容量と一定の電圧から、電気量\(Q_2\)を求めます。
  3. (3)では、操作の順序を丁寧に追います。「絶縁体を取り除く」→「電池を取り外す」→「絶縁体を再び満たす」という各段階で、何が一定に保たれるかを考えます。最終的に、保存された電気量と変化後の電気容量から、電位差\(V\)を求めます。

問(1)

思考の道筋とポイント
初期状態のコンデンサー(空気中)の電気容量\(C_1\)と、加えられた電圧\(V_1\)が与えられています。蓄えられている電気量\(Q_1\)を求めるには、コンデンサーの基本式 \(Q=CV\) を適用します。単位のピコ(p)の扱いに注意が必要です。
この設問における重要なポイント

  • 電気量、電気容量、電位差の関係は \(Q=CV\) で与えられる。
  • 単位の接頭語ピコ(p)は \(10^{-12}\) を意味する。

具体的な解説と立式
初期状態の電気容量を\(C_1\)、電圧を\(V_1\)とします。このとき蓄えられる電気量を\(Q_1\)とすると、基本式より、
$$ Q_1 = C_1 V_1 $$
が成り立ちます。

使用した物理公式

  • コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
計算過程

与えられた値を代入します。\(C_1 = 1.0 \times 10^3 \, \text{pF} = 1.0 \times 10^3 \times 10^{-12} \, \text{F} = 1.0 \times 10^{-9} \, \text{F}\)、\(V_1 = 2.0 \times 10^2 \, \text{V}\) です。
$$
\begin{aligned}
Q_1 &= C_1 V_1 \\[2.0ex] &= (1.0 \times 10^{-9}) \times (2.0 \times 10^2) \\[2.0ex] &= 2.0 \times 10^{-7}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

コンデンサーにたまる電気の量\(Q\)は、「性能(電気容量\(C\))× 電圧(\(V\))」で計算できます。最初のコンデンサーの性能は\(1.0 \times 10^3\)pF、電圧は\(2.0 \times 10^2\)Vです。単位のp(ピコ)は\(10^{-12}\)のことなので、これらをすべて掛け合わせれば、たまった電気の量が計算できます。

結論と吟味

正極板に蓄えられる電気量は \(2.0 \times 10^{-7} \, \text{C}\) となります。基本的な公式の適用であり、妥当な結果です。

解答 (1) 2.0×10-7 C

問(2)

思考の道筋とポイント
「電池をつないだまま」という条件が重要です。これにより、コンデンサーの電位差は常に \(2.0 \times 10^2 \, \text{V}\) で一定に保たれます。
この条件下で、極板間を比誘電率2.0の絶縁体で満たします。これにより、コンデンサーの電気容量は元の2.0倍になります。
この新しい電気容量と、一定に保たれた電圧から、変化後の電気量\(Q_2\)を計算します。
この設問における重要なポイント

  • 電池に接続したままの操作では、電位差\(V\)が一定に保たれる。
  • 比誘電率\(\epsilon_r\)の誘電体で満たすと、電気容量は\(\epsilon_r\)倍になる。

具体的な解説と立式
電池に接続されたままなので、電圧は \(V_2 = 2.0 \times 10^2 \, \text{V}\) で一定です。
比誘電率\(\epsilon_r = 2.0\)の絶縁体で満たした後の電気容量を\(C_2\)とすると、
$$ C_2 = \epsilon_r C_1 $$
$$ C_2 = 2.0 C_1 $$
このときに蓄えられる電気量を\(Q_2\)とすると、
$$ Q_2 = C_2 V_2 $$
上の関係式を代入すると、
$$ Q_2 = (2.0 C_1) V_2 $$
電圧は一定(\(V_2=V_1\))なので、
$$ Q_2 = 2.0 (C_1 V_1) $$
ここで、\(C_1 V_1\)は(1)で求めた\(Q_1\)に等しいので、
$$ Q_2 = 2.0 Q_1 $$
となります。

使用した物理公式

  • コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
  • 誘電体挿入による電気容量の変化: \(C’ = \epsilon_r C\)
計算過程

(1)の結果 \(Q_1 = 2.0 \times 10^{-7} \, \text{C}\) を用いて\(Q_2\)を計算します。
$$
\begin{aligned}
Q_2 &= 2.0 \times Q_1 \\[2.0ex] &= 2.0 \times (2.0 \times 10^{-7}) \\[2.0ex] &= 4.0 \times 10^{-7} \, \text{C}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

電池をつないだまま、コンデンサーの板の間に特殊なシート(絶縁体)を挟みます。このシートには、コンデンサーの性能を2.0倍にアップさせる効果があります。電圧は電池によって一定に保たれたままなので、性能が2.0倍になった分、蓄えられる電気の量も2.0倍に増えます。電池が追加で電気を送り込んでくれるイメージです。

結論と吟味

正極板に蓄えられる電気量は \(4.0 \times 10^{-7} \, \text{C}\) となります。電圧一定の状況で容量が2倍になれば、電気量も2倍になるという、物理的に妥当な結果です。

解答 (2) 4.0×10-7 C

問(3)

思考の道筋とポイント
この設問は複数の操作を順番に追う必要があります。
1. 絶縁体をいったん取り除く: この時点ではまだ電池につながっています。したがって、電圧は\(2.0 \times 10^2 \, \text{V}\)のまま、電気容量は元の\(C_1\)に戻ります。その結果、蓄えられている電気量も(1)で求めた\(Q_1\)に戻ります。
2. 電池を取り外す: この操作により、コンデンサーは電気的に孤立します。この瞬間に蓄えられていた電気量\(Q_1\)が、これ以降は一定に保たれます(電気量保存)。
3. 絶縁体を再び満たす: コンデンサーが孤立した状態(\(Q_1\)一定)で、再び絶縁体を挿入します。これにより、電気容量は(2)と同じ\(C_2 = 2.0 C_1\)に変化します。
4. 最終的な電位差を求める: 保存されている電気量\(Q_1\)と、変化後の電気容量\(C_2\)から、基本式 \(Q=CV\) を変形した \(V = Q/C\) を用いて、最終的な電位差\(V\)を求めます。
この設問における重要なポイント

  • 操作の順序を正確に追うこと。
  • 各操作の段階で、「電圧一定」なのか「電気量一定」なのかを正しく判断すること。

具体的な解説と立式
ステップ1&2: 絶縁体を取り除き、電池を外す
(2)の状態から、電池をつないだまま絶縁体を取り除くと、コンデンサーの状態は(1)と全く同じになります。

  • 電気容量: \(C_1 = 1.0 \times 10^{-9} \, \text{F}\)
  • 電圧: \(V_1 = 2.0 \times 10^2 \, \text{V}\)
  • 電気量: \(Q_1 = 2.0 \times 10^{-7} \, \text{C}\)

この状態から電池を取り外すと、コンデンサーは孤立し、電気量\(Q_1\)が保存されます。
$$ Q_{\text{保存}} = Q_1 = 2.0 \times 10^{-7} \, \text{C} $$

ステップ3: 絶縁体を再び満たす
電気量\(Q_1\)が保存されたまま、比誘電率2.0の絶縁体を再び挿入します。これにより、電気容量は\(C_2\)に変化します。
$$ C_{\text{後}} = 2.0 C_1 $$
$$ C_{\text{後}} = 2.0 \times (1.0 \times 10^{-9}) $$
$$ C_{\text{後}} = 2.0 \times 10^{-9} \, \text{F} $$

ステップ4: 最終的な電位差Vを求める
変化後の電位差を\(V\)とすると、基本式より \(Q_{\text{保存}} = C_{\text{後}} V\) が成り立ちます。これを\(V\)について解きます。
$$ V = \frac{Q_{\text{保存}}}{C_{\text{後}}} $$

使用した物理公式

  • コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
  • 電気量保存の法則
  • 誘電体挿入による電気容量の変化: \(C’ = \epsilon_r C\)
計算過程

上記の式に値を代入します。
$$
\begin{aligned}
V &= \frac{2.0 \times 10^{-7}}{2.0 \times 10^{-9}} \\[2.0ex] &= 1.0 \times 10^{-7 – (-9)} \\[2.0ex] &= 1.0 \times 10^{2} \, \text{V}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

この問題は3段階のドラマです。
第1幕:まず、(2)の状態からシート(絶縁体)を抜きます。まだ電池につながっているので、コンデンサーは(1)の最初の状態に完全に戻ります。電気の量は\(Q_1\)です。
第2幕:ここで、電池を引っこ抜きます。コンデンサーは「電気の孤島」になり、蓄えられていた電気の量\(Q_1\)は、もうどこにも行けず一定になります。
第3幕:この「電気の孤島」状態のまま、再びシートを差し込みます。すると、コンデンサーの性能は2.0倍にアップします。同じ量の電気を、性能が2.0倍になった入れ物に入れるので、その分だけ電圧(電気的な圧力のようなもの)は低くなります。性能が2倍になったので、電圧は半分になるのです。

結論と吟味

極板間の電位差は \(1.0 \times 10^2 \, \text{V}\) となります。
(2)の操作(電圧一定)では電気量が2倍になりましたが、(3)の操作(電気量一定)では、容量が2倍になった結果、電圧が\(\displaystyle\frac{1}{2}\)倍になっています (\(2.0 \times 10^2 \, \text{V} \rightarrow 1.0 \times 10^2 \, \text{V}\))。
「電圧一定」と「電気量一定」という条件の違いによって、物理現象がどう変わるかを示す典型的な例であり、物理的に妥当な結果です。

解答 (3) 1.0×102 V

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • 回路の接続状態と不変量の見極め:
    • 核心: この問題の根幹は、設問ごとにコンデンサーが置かれている状況(電池に接続されているか、孤立しているか)を正確に把握し、その状況で「何が一定に保たれるか(不変量は何か)」を見抜くことにあります。この問題は、その違いを一つの問題の中で巧みに問いかけています。
    • 理解のポイント:
      • 設問(2)の状況(接続系): 「電池をつないだまま」という記述から、コンデンサーの電位差\(V\)が常に電池の電圧で一定に保たれると判断します。この条件下では、電気容量\(C\)が変化すると、それに応じて電気量\(Q\)が変化します(\(Q=CV\))。
      • 設問(3)の状況(孤立系): 「電池を取り外し」という操作の後は、コンデンサーは電気的に孤立します。したがって、その瞬間に蓄えられていた電気量\(Q\)が一定に保たれます。この条件下では、電気容量\(C\)が変化すると、それに応じて電位差\(V\)が変化します(\(V=Q/C\))。
    • 思考の出発点: 各設問の操作を読むたびに、「今、電池はつながっているか?」と自問し、「\(V\)一定」か「\(Q\)一定」かを判断する癖をつけることが、この種の問題を攻略する鍵です。
  • 誘電体の役割の理解:
    • 核心: 誘電体をコンデンサーに挿入する物理的な意味を理解していることが重要です。
    • 理解のポイント:
      • 電気容量の増加: 比誘電率\(\epsilon_r\)の誘電体を挿入すると、電気容量は\(\epsilon_r\)倍になります。これは、誘電体内部で分極が起こり、元の電場を弱める効果があるためです。同じ電圧でもより多くの電荷を蓄えられるようになる、あるいは同じ電荷ならより低い電圧で済む、という性能向上をもたらします。
      • 可逆的な変化: 誘電体の出し入れによる電気容量の変化は可逆的です。挿入すれば\(\epsilon_r\)倍になり、取り除けば元の値に戻ります。設問(3)の思考プロセスでは、この可逆性を前提としています。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • エネルギー変化を問う問題: (2)や(3)の操作に伴う静電エネルギーの変化を問う問題。(2)では\(V\)が一定なので\(U=\displaystyle\frac{1}{2}CV^2\)を、(3)では\(Q\)が一定なので\(U=\displaystyle\frac{Q^2}{2C}\)を使うと計算が容易です。
    • 電池がする仕事を問う問題: (2)では容量が増加し、電池から追加の電荷が供給されます。このとき電池がした仕事は \(W = (\text{移動した電荷量}) \times V\) で計算できます。
    • 誘電体に働く力を問う問題: 誘電体をコンデンサーに挿入する際、静電気力によって引き込まれる力が働きます。この力の大きさや、その力に抗して出し入れするのに必要な仕事を計算する問題に応用できます。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 操作の時系列を分解する: (3)のように複数の操作が連続する場合、「①絶縁体除去→②電池取り外し→③絶縁体再挿入」のように、操作を一つ一つのステップに分解し、各ステップの前後で何が起こり、何が保存されるのかを丁寧に追跡します。
    2. 状態を表で整理する: 各ステップ(初期状態、(2)の状態、(3)の途中、(3)の最終状態など)ごとに、\(C, Q, V\)の値や状態(一定か変化するか)を表にまとめると、思考が整理され、混乱を防げます。
    3. 単位の接頭語に注意: p(ピコ, \(10^{-12}\)), n(ナノ, \(10^{-9}\)), \(\mu\)(マイクロ, \(10^{-6}\)) など、電気分野で頻出する接頭語は、問題文を読んだ瞬間に数値に変換できるよう準備しておきます。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • (3)の操作順序の誤解:
    • 誤解: (2)の状態からいきなり電池を外し、その後に絶縁体を取り除くと考えてしまう。
    • 対策: 問題文を正確に読むことが最も重要です。「(2)で入れた絶縁体をいったん取り除いてから, 電池を取り外し」という順序を厳守します。操作の順序が変わると、保存される電気量の値が変わり、最終的な答えも全く異なってしまいます(もし(2)の状態から直接電池を外すと、保存される電気量は\(Q_2\)になる)。
  • 不変量の判断ミス:
    • 誤解: 状況が変わっても、常に同じ量が保存されると思い込んでしまう。
    • 対策: 「電池につながっている間は\(V\)が一定」「孤立したら\(Q\)が一定」というルールを、機械的にではなく、その物理的理由(電池は電圧安定化装置、孤立系は電荷の逃げ場がない)と共に理解することが重要です。操作が変わるたびに、このルールを再確認する癖をつけましょう。
  • 指数計算のミス:
    • 誤解: \(10^3 \times 10^{-12}\) を \(10^{-15}\) としたり、\(\displaystyle\frac{10^{-7}}{10^{-9}}\) を \(10^2\) ではなく \(10^{-16}\) や \(10^{-2}\) と計算したりする。
    • 対策: 指数法則(\(a^m \times a^n = a^{m+n}\), \(\displaystyle\frac{a^m}{a^n} = a^{m-n}\))を確実にマスターすることです。特に割り算の際の符号(マイナスのマイナスはプラス)に注意が必要です。計算に自信がない場合は、途中式を丁寧に書くことを惜しまないようにしましょう。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • (2)での \(Q_2 = (2.0 C_1) V_1\) の選択:
    • 選定理由: 求めたいのは\(Q_2\)。状況は「電圧\(V_1\)一定」で「容量が\(C_2=2.0C_1\)に変化」。\(C, Q, V\) の3つの量を結びつけるのは基本式 \(Q=CV\) しかありません。変化後の容量\(C_2\)と、一定に保たれている電圧\(V_1\)を使って、変化後の電気量\(Q_2\)を求めるのは、最も直接的で論理的な選択です。
    • 適用根拠: 電池に接続されている限り、コンデンサーは常にその電圧まで充電されようとします。容量が増えれば、その新しい容量に見合った電荷が電池から供給される、という物理現象を数式化したものです。
  • (3)での \(V = Q_1 / C_2\) の選択:
    • 選定理由: 求めたいのは最終的な電圧\(V\)。状況は「電気量\(Q_1\)一定」で「容量が\(C_2\)に変化」。ここでも\(C, Q, V\)の関係式である \(Q=CV\) を使いますが、今回は\(V\)が未知数なので、\(V=Q/C\) の形に変形して用いるのが合理的です。保存されている量(\(Q_1\))と、操作によって変化した後の量(\(C_2\))から、結果として決まる量(\(V\))を求める、という因果関係に沿った式変形です。
    • 適用根拠: コンデンサーが孤立している場合、極板上の電荷はどこにも移動できません。この電荷が電場を作り、電位差を生み出します。容量が変わる(極板間に誘電体が入る)と、同じ電荷でも作る電場の強さが変わり、結果として電位差も変わる、という物理現象を数式化したものです。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 単位換算を最初に行う: 計算を始める前に、問題で与えられた値をすべてSI基本単位に変換してリストアップする習慣をつけましょう。
    • \(C_1 = 1.0 \times 10^3 \, \text{pF} = 1.0 \times 10^{-9} \, \text{F}\)
    • \(V_1 = 2.0 \times 10^2 \, \text{V}\)
    • \(\epsilon_r = 2.0\)

    このように準備しておけば、計算の途中で単位に惑わされることがなくなります。

  • 中間結果を有効活用する: (2)の計算では、\(Q_2 = 2.0 Q_1\) という関係に気づけば、(1)で求めた\(Q_1\)の値を2倍するだけで答えが出せます。同様に、(3)で保存される電気量は、(1)で計算した\(Q_1\)そのものです。このように、前の設問の結果をうまく利用することで、計算の手間を省き、ミスを減らすことができます。
  • 指数のオーダー感覚を持つ: コンデンサーの計算では、\(10^{-6}\) (\(\mu\)) や \(10^{-12}\) (p) といった非常に小さい値と、\(10^2\) (V) のような値を掛け合わせることが頻繁にあります。計算結果のオーダー(何乗になるか)が大体どのくらいになるか、大まかな見当をつけておくと、桁を間違えるような大きなミスに気づきやすくなります。例えば、\(10^{-9} \times 10^2\) なら \(10^{-7}\) になる、といった感覚です。

381 コンデンサーの直列接続

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】

本解説は、模範解答で採用されている解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。

  1. 提示する別解
    • 設問(2)の別解:合成容量を用いる解法
      • 模範解答の主たる解法が、各コンデンサーの電圧と電気量に関する連立方程式を立てて解くのに対し、別解では(1)で求めた合成容量を一つのコンデンサーとみなし、まず全体の電気量を計算してから、各コンデンサーの電圧を分配するアプローチを取ります。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 思考の階層化: 回路全体をまず一つの部品(合成コンデンサー)として捉え、マクロな視点(全体の電気量)からミクロな視点(各部品の電圧)へと分析を進めるという、回路問題解決における強力な思考法を学べます。
    • 解法の効率化: 連立方程式を解くよりも計算ステップが少なく、より迅速に解にたどり着くことができます。特にコンデンサーの数が増えた場合に有効です。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「コンデンサーの直列接続の基本計算」です。2つのコンデンサーを直列に接続したときの合成容量、そして各コンデンサーにかかる電圧と蓄えられる電気量を求める、基本的な問題です。直列接続の性質を正しく理解し、公式を適用できるかが問われます。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. コンデンサーの直列接続の性質:
    • 電気量が共通: 各コンデンサーに蓄えられる電気量はすべて等しい。
    • 電圧が分割: 各コンデンサーにかかる電圧の和は、全体にかけた電圧に等しい。
  2. コンデンサーの直列合成容量: 合成容量\(C\)は、各コンデンサーの容量\(C_1, C_2\)を用いて \(\displaystyle\frac{1}{C} = \displaystyle\frac{1}{C_1} + \displaystyle\frac{1}{C_2}\) と計算されること。
  3. コンデンサーの基本式: 電気量\(Q\)、電気容量\(C\)、電位差\(V\)の間の関係式 \(Q=CV\) を理解していること。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)では、コンデンサーの直列接続における合成容量の公式に、与えられた\(C_1, C_2\)の値を代入して、全体の合成容量\(C\)を計算します。
  2. (2)では、まず直列接続の性質「各コンデンサーに蓄えられる電気量は等しい」と「電圧の和は全体の電圧に等しい」を用いて連立方程式を立てます。これを解くことで、各コンデンサーの電圧と電気量を求めます。

問(1)

思考の道筋とポイント
2つのコンデンサー\(C_1, C_2\)が直列に接続されているときの合成容量\(C\)を求めます。直列接続の場合、合成容量の逆数が、各容量の逆数の和に等しくなるという公式を用います。
この設問における重要なポイント

  • コンデンサーの直列合成容量の公式は \(\displaystyle\frac{1}{C} = \displaystyle\frac{1}{C_1} + \displaystyle\frac{1}{C_2}\) である。
  • 計算の途中で逆数をとるのを忘れないように注意する。

具体的な解説と立式
直列接続されたコンデンサーの合成容量を\(C\)とすると、以下の公式が成り立ちます。
$$ \frac{1}{C} = \frac{1}{C_1} + \frac{1}{C_2} $$

使用した物理公式

  • コンデンサーの直列合成容量の公式: \(\displaystyle\frac{1}{C} = \displaystyle\frac{1}{C_1} + \displaystyle\frac{1}{C_2}\)
計算過程

与えられた値 \(C_1 = 2.0 \, \mu\text{F}\), \(C_2 = 6.0 \, \mu\text{F}\) を代入します。単位は\(\mu\text{F}\)のまま計算を進めます。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{C} &= \frac{1}{2.0} + \frac{1}{6.0} \\[2.0ex] &= \frac{3}{6.0} + \frac{1}{6.0} \\[2.0ex] &= \frac{4.0}{6.0} \\[2.0ex] &= \frac{2}{3}
\end{aligned}
$$
これは\(\displaystyle\frac{1}{C}\)の値なので、最後に逆数をとって\(C\)を求めます。
$$
\begin{aligned}
C &= \frac{3}{2} \\[2.0ex] &= 1.5
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

コンデンサーを直列につなぐと、全体の性能(合成容量)は、個々の性能よりも小さくなります。その計算は少し特殊で、「逆数の足し算」という方法を使います。まず、それぞれの容量の逆数(\(\displaystyle\frac{1}{2.0}\)と\(\displaystyle\frac{1}{6.0}\))を計算し、それらを足し合わせます。出てきた答えは、まだ「合成容量の逆数」なので、最後にそれをひっくり返して(逆数をとって)あげると、本当の合成容量が求まります。

結論と吟味

合成容量は \(1.5 \, \mu\text{F}\) となります。直列接続では、合成容量は個々のコンデンサーの容量よりも小さくなるという性質とも一致しており、妥当な結果です。

解答 (1) 1.5 μF

問(2)

思考の道筋とポイント
各コンデンサーにかかる電圧\(V_1, V_2\)と、蓄えられる電気量\(Q\)を求めます。直列接続の2つの重要な性質、「電気量が共通であること」と「電圧の和が全体の電圧に等しいこと」を数式で表現し、連立方程式を立てて解きます。
この設問における重要なポイント

  • 直列接続では、各コンデンサーに蓄えられる電気量\(Q\)は共通である。
  • 直列接続では、各コンデンサーの電圧の和は全体の電圧に等しい (\(V_1 + V_2 = V_{\text{全体}}\))。
  • コンデンサーの基本式 \(Q=CV\) を用いて、これらの関係を結びつける。

具体的な解説と立式
各コンデンサーに蓄えられる共通の電気量を\(Q\)、それぞれの電圧を\(V_1, V_2\)とします。
コンデンサーの基本式 \(Q=CV\) より、各コンデンサーについて以下の式が成り立ちます。
$$ Q = C_1 V_1 \quad \cdots ① $$
$$ Q = C_2 V_2 \quad \cdots ② $$
また、電圧則より、電圧の和は全体の電圧\(16\,\text{V}\)に等しくなります。
$$ V_1 + V_2 = 16 \quad \cdots ③ $$
未知数は\(Q, V_1, V_2\)の3つで、式が3本立てられたので、これを解くことができます。

使用した物理公式

  • コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
  • コンデンサーの直列接続における性質(電気量共通、電圧分割)
計算過程

まず、式①と②をそれぞれ\(V_1, V_2\)について解き、式③に代入して\(Q\)を求めます。
\(C_1 = 2.0 \times 10^{-6} \, \text{F}\), \(C_2 = 6.0 \times 10^{-6} \, \text{F}\) です。
$$ V_1 = \frac{Q}{C_1} = \frac{Q}{2.0 \times 10^{-6}} $$
$$ V_2 = \frac{Q}{C_2} = \frac{Q}{6.0 \times 10^{-6}} $$
これらを式③に代入します。
$$
\begin{aligned}
\frac{Q}{2.0 \times 10^{-6}} + \frac{Q}{6.0 \times 10^{-6}} &= 16 \\[2.0ex] Q \left( \frac{1}{2.0 \times 10^{-6}} + \frac{1}{6.0 \times 10^{-6}} \right) &= 16 \\[2.0ex] Q \left( \frac{3 + 1}{6.0 \times 10^{-6}} \right) &= 16 \\[2.0ex] Q \times \frac{4.0}{6.0 \times 10^{-6}} &= 16 \\[2.0ex] Q &= 16 \times \frac{6.0 \times 10^{-6}}{4.0} \\[2.0ex] Q &= 24 \times 10^{-6} \\[2.0ex] Q &= 2.4 \times 10^{-5} \, \text{C}
\end{aligned}
$$
求めた\(Q\)の値を使って、\(V_1, V_2\)を計算します。
$$
\begin{aligned}
V_1 &= \frac{Q}{C_1} \\[2.0ex] &= \frac{2.4 \times 10^{-5}}{2.0 \times 10^{-6}} \\[2.0ex] &= 1.2 \times 10^1 \\[2.0ex] &= 12 \, \text{V}
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
V_2 &= \frac{Q}{C_2} \\[2.0ex] &= \frac{2.4 \times 10^{-5}}{6.0 \times 10^{-6}} \\[2.0ex] &= 0.4 \times 10^1 \\[2.0ex] &= 4.0 \, \text{V}
\end{aligned}
$$
検算として \(V_1+V_2 = 12+4.0=16\,\text{V}\) となり、全体の電圧と一致します。

この設問の平易な説明

直列につないだコンデンサーでは、たまる電気の量\(Q\)はどちらも同じですが、電圧はそれぞれの性能に応じて分担します。性能が低い(容量が小さい)コンデンサーほど、たくさんの電圧を負担しなければなりません。
この問題では、電気量\(Q\)と、それぞれの電圧\(V_1, V_2\)が未知数です。そこで、「\(Q=C_1V_1\), \(Q=C_2V_2\)」という基本式と、「\(V_1+V_2=16\)」という電圧の分担ルールを連立させて解くことで、すべての未知数を明らかにします。

結論と吟味

蓄えられる電気量は \(2.4 \times 10^{-5} \, \text{C}\)、\(C_1\)にかかる電圧は \(12 \, \text{V}\)、\(C_2\)にかかる電圧は \(4.0 \, \text{V}\) となります。電気容量の比が \(C_1:C_2 = 2:6 = 1:3\) であるのに対し、電圧の比は \(V_1:V_2 = 12:4 = 3:1\) となり、電圧は容量に反比例して分配されるという性質と一致しています。

解答 (2) 電気量: 2.4×10-5 C, 電圧 C1: 12 V, 電圧 C2: 4.0 V
別解: 合成容量を用いる解法

思考の道筋とポイント
(1)で求めた合成容量\(C\)を、あたかも一つのコンデンサーであるかのように扱います。この合成コンデンサーに全体の電圧\(16\,\text{V}\)がかかっていると考えて、まず全体の電気量\(Q\)を計算します。直列接続では、この全体の電気量が各コンデンサーに蓄えられる電気量と等しくなるため、これがそのまま答えの一つになります。次に、この電気量\(Q\)と各コンデンサーの容量\(C_1, C_2\)を使って、それぞれの電圧を \(V=Q/C\) の式から求めます。
この設問における重要なポイント

  • 直列回路全体を、合成容量\(C\)を持つ一つのコンデンサーとみなすことができる。
  • この合成コンデンサーに全体の電圧\(V_{\text{全体}}\)がかかると考え、全体の電気量 \(Q = C V_{\text{全体}}\) を計算する。
  • この\(Q\)が、直列接続された各コンデンサーに蓄えられる電気量と等しい。

具体的な解説と立式
(1)で求めた合成容量 \(C = 1.5 \, \mu\text{F}\) を用います。
この合成容量を持つ一つのコンデンサーに、全体の電圧 \(V_{\text{全体}} = 16 \, \text{V}\) がかかっていると考え、蓄えられる全体の電気量\(Q\)を計算します。
$$ Q = C V_{\text{全体}} \quad \cdots ① $$
直列接続の性質より、この\(Q\)が\(C_1, C_2\)のそれぞれに蓄えられる電気量と等しくなります。

次に、各コンデンサーにかかる電圧\(V_1, V_2\)を求めます。基本式 \(V=Q/C\) を用いて、
$$ V_1 = \frac{Q}{C_1} \quad \cdots ② $$
$$ V_2 = \frac{Q}{C_2} \quad \cdots ③ $$
と計算します。

使用した物理公式

  • コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
  • 合成容量の概念
計算過程

まず、式①から全体の電気量\(Q\)を計算します。
\(C = 1.5 \, \mu\text{F} = 1.5 \times 10^{-6} \, \text{F}\) です。
$$
\begin{aligned}
Q &= (1.5 \times 10^{-6}) \times 16 \\[2.0ex] &= 24 \times 10^{-6} \\[2.0ex] &= 2.4 \times 10^{-5} \, \text{C}
\end{aligned}
$$
これが各コンデンサーに蓄えられる電気量です。

次に、式②と③から\(V_1, V_2\)を計算します。
$$
\begin{aligned}
V_1 &= \frac{2.4 \times 10^{-5}}{2.0 \times 10^{-6}} \\[2.0ex] &= 1.2 \times 10^1 \\[2.0ex] &= 12 \, \text{V}
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
V_2 &= \frac{2.4 \times 10^{-5}}{6.0 \times 10^{-6}} \\[2.0ex] &= 0.4 \times 10^1 \\[2.0ex] &= 4.0 \, \text{V}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

まず、(1)で計算したように、この2つのコンデンサーを合体させて、性能が\(1.5\mu\)Fの一つの大きなコンデンサーと見なします。この大きなコンデンサーに\(16\)Vの電圧をかけるので、たまる電気の量は「\(1.5\mu\)F × \(16\)V」で計算できます。
直列接続の便利なルールとして、この「合体後にたまる電気の量」は、「合体前のそれぞれのコンデンサーにたまっている電気の量」と全く同じになります。
あとは、各コンデンサーについて、この電気量とそれぞれの性能(容量)から、「電圧 = 電気量 ÷ 性能」を計算すれば、それぞれの分担電圧が求まります。

結論と吟味

主たる解法と全く同じ結果が得られました。この別解は、回路全体をまずマクロな視点で捉え(合成容量)、そこから個々の部品のミクロな状態(各電圧)を明らかにしていくという、電気回路の解析における非常に強力で一般的なアプローチです。

解答 (2) 電気量: 2.4×10-5 C, 電圧 C1: 12 V, 電圧 C2: 4.0 V

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • コンデンサーの直列接続における2大原則:
    • 核心: この問題の根幹は、コンデンサーの直列接続を特徴づける2つの絶対的なルールを理解し、それらを連動させて未知数を解き明かすことにあります。
    • 理解のポイント:
      1. 電気量が共通 (\(Q_1 = Q_2 = Q\)): なぜ電気量が等しくなるのかを理解することが重要です。電源から供給された電荷\(+Q\)が\(C_1\)の片方の極板に蓄えられると、静電誘導で向かい側の極板に\(-Q\)が現れます。この\(-Q\)は、もともと\(C_1\)の極板と\(C_2\)の極板からなる孤立部分にあった電子が移動したものです。したがって、\(C_2\)の極板には\(+Q\)が残ります。結果的にすべてのコンデンサーに同じ大きさの電気量\(Q\)が蓄えられます。
      2. 電圧が分割される (\(V_1 + V_2 = V_{\text{全体}}\)): これは電位の考え方に基づいています。回路全体の電位差は、各部品での電位降下の和に等しいという、キルヒホッフの電圧則そのものです。
    • 思考の出発点: 直列接続の問題に遭遇したら、まずこの2つの法則を書き出すことが、思考の羅針盤となります。
  • 合成容量の概念:
    • 核心: 複数のコンデンサーの集まりを、電気的に等価な「たった一つのコンデンサー」と見なすことができる、という合成容量の考え方は、回路を単純化するための強力なツールです。
    • 理解のポイント:
      • 直列合成: \(\displaystyle\frac{1}{C} = \displaystyle\frac{1}{C_1} + \displaystyle\frac{1}{C_2}\)。合成容量は、個々の容量よりも小さくなります。
      • 別解のアプローチ: (2)の別解は、この合成容量の考え方を最大限に活用しています。まず回路全体を一つの合成コンデンサーと見なして全体の電気量\(Q\)を求め、その\(Q\)が各コンデンサーの電気量と等しいという性質を利用して、個々の電圧を計算しています。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 電圧の分圧比を問う問題: 直列接続では \(Q\) が一定なので、\(V=Q/C\) より、各コンデンサーにかかる電圧は電気容量\(C\)に反比例します。つまり、\(V_1 : V_2 = \displaystyle\frac{1}{C_1} : \displaystyle\frac{1}{C_2}\) となります。本問では \(C_1:C_2 = 2:6 = 1:3\) なので、電圧の比は \(V_1:V_2 = 3:1\) となります。全体の電圧\(16\,\text{V}\)を\(3:1\)に分けると、\(V_1 = 16 \times \displaystyle\frac{3}{3+1} = 12\,\text{V}\)、\(V_2 = 16 \times \displaystyle\frac{1}{3+1} = 4\,\text{V}\) と、連立方程式を解かずに計算できます。
    • 静電エネルギーの計算: 各コンデンサーに蓄えられるエネルギーを問う問題。\(Q\)と\(V\)が分かれば、\(U=\displaystyle\frac{1}{2}QV\) で計算できます。エネルギーの比は \(U_1:U_2 = \frac{1}{2}QV_1 : \frac{1}{2}QV_2 = V_1:V_2 = 3:1\) となります。
    • 直列と並列の混合回路: 回路の一部が直列、一部が並列になっている複雑な問題。まず並列部分の合成容量を計算して一つのコンデンサーとみなし、次にその合成コンデンサーと他のコンデンサーとの直列接続を考える、といった段階的なアプローチが必要になります。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 接続方法の特定: まず回路図を見て、コンデンサーが「直列」か「並列」か、あるいはその「混合」かを見極めます。
    2. 回路全体の等価的な振る舞いを考える: (2)の別解のように、まず回路全体を一つの合成コンデンサーと見なして、全体の電気量やエネルギーを計算できないか、というマクロな視点を持つことが有効です。
    3. 個々の部品の振る舞いに分解する: 全体の振る舞いを把握した後、直列なら「\(Q\)が共通」、並列なら「\(V\)が共通」というルールを使って、個々のコンデンサーの状態(\(Q_i, V_i\))を分析します。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • 直列と並列の性質の混同:
    • 誤解: 直列接続なのに電圧が等しいと考えたり、並列接続なのに電気量が等しいと考えてしまう、最も基本的なミス。
    • 対策: 「直列は一本道、並列は分かれ道」というイメージを持つことが有効です。一本道(直列)では流れる量(電気量)がどこでも同じ。分かれ道(並列)では、出発点と合流点の高低差(電圧)がどのルートでも同じ、と覚えることで混同を防げます。
  • 合成容量の公式の混同・計算ミス:
    • 誤解: 直列接続の合成容量を、抵抗の直列合成と同じように \(C = C_1 + C_2\) と計算してしまう。また、\(\displaystyle\frac{1}{C}\) を計算しただけで満足し、最後に逆数をとるのを忘れる。
    • 対策: コンデンサーの合成容量の公式は、抵抗の公式とは逆の関係(直列が逆数和、並列が単純和)になっていることを明確に記憶します。また、計算の最後には「逆数をとったか?」と必ず自問自答する癖をつけましょう。
  • 電圧と容量の関係の誤解:
    • 誤解: \(Q=CV\) という式から、電圧\(V\)は容量\(C\)に比例すると勘違いしてしまう。
    • 対策: 比例・反比例の関係は、「何が一定か」という条件によって変わります。
      • 直列接続(\(Q\)が一定)の場合: \(V = Q/C\) なので、\(V\)は\(C\)に反比例します。
      • 並列接続(\(V\)が一定)の場合: \(Q = CV\) なので、\(Q\)は\(C\)に比例します。

      常に「何が共通(一定)か」を意識する癖をつけることが重要です。

なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • (1)での合成容量の公式:
    • 選定理由: 設問が「合成容量」を直接問うています。複数のコンデンサーを一つの等価なコンデンサーとして扱うための公式が合成容量の公式であり、これを選択するのは当然の流れです。
    • 適用根拠: この公式は、直列接続の2大原則「電気量共通」と「電圧分割」を組み合わせることで導出されます。\(V_{\text{全体}} = V_1 + V_2\) の両辺を共通の電気量\(Q\)で割ると、\(\displaystyle\frac{V_{\text{全体}}}{Q} = \frac{V_1}{Q} + \frac{V_2}{Q}\)。ここで \(C = Q/V\) の関係を適用すると \(\displaystyle\frac{1}{C_{\text{合成}}} = \frac{1}{C_1} + \frac{1}{C_2}\) となり、公式の物理的背景が理解できます。
  • (2)主たる解法での連立方程式:
    • 選定理由: 回路の未知数(\(Q, V_1, V_2\))を、物理法則(基本式、直列接続の性質)に基づいて過不足なく数式化する、最も正攻法なアプローチです。物理法則を直接的に方程式に落とし込むため、応用が利きやすく、どんな問題にも対応できる基本となる解法です。
    • 適用根拠: 回路内のすべての部品が満たすべき物理法則(電荷保存則、エネルギー保存則(キルヒホッフの法則))をすべて立式し、数学的に解を求めるという、物理学の最も基本的な問題解決手法に基づいています。
  • (2)別解での合成容量の利用:
    • 選定理由: (1)で合成容量をすでに計算しているため、それを利用しない手はありません。回路全体を一つの部品と見なすことで、問題の構造を単純化し、計算の見通しを良くすることができます。連立方程式を解くよりも計算ステップが少なく、よりエレガントな解法と言えます。
    • 適用根拠: 合成容量の概念そのものが、直列接続の物理法則を内包しています。したがって、合成容量を用いることは、間接的にそれらの物理法則を適用していることと等価であり、物理的に完全に正当化されます。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 単位を揃えて計算する: この問題では\(\mu\text{F}\)で統一されているためそのままでも計算可能ですが、基本はSI単位に直すのが安全です。特に、電気量\(Q\)をクーロン[C]で求める際は、\(C\)をファラド[F] (\(10^{-6}\)倍) に変換してから計算する必要があります。
  • 分数の通分を丁寧に行う: (1)の \(\displaystyle\frac{1}{2.0} + \frac{1}{6.0}\) のような計算では、最小公倍数を見つけて丁寧に計算することが基本です。焦って計算ミスをしないように注意しましょう。
  • 比例配分を使いこなす: 「応用テクニック」で示した電圧の分圧比の考え方は、検算にも使えます。\(Q\)を計算した後、\(V_1, V_2\)を求める際に、まず電圧比が容量の逆比 \(3:1\) になっているかを確認し、その比で\(16\,\text{V}\)を分配すると \(12\,\text{V}\) と \(4\,\text{V}\) になる、という計算が暗算でできれば、自分の答えに自信を持つことができます。

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共田 誠(まこと先生)

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共田 誠(まこと先生)

高校物理講師・プロ家庭教師 / 指導歴14年

上智大学理工学部物理学科卒。私立高校の非常勤講師として進学クラスから基礎クラスまで幅広く担当。大手家庭教師センター3社でプロ家庭教師を経験し、現在はオンライン専門で全国の高校生を個別指導中。

「暗記物理の撲滅」を掲げ、生徒の思考のクセを診断・矯正するドクター型アプローチで指導。表面的なテクニックではなく、初見の問題に強い思考力を育てる。

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