Step 2
135 正弦波を表す式
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(5)(6)の別解: 位相のずれを用いた解法
- 模範解答が「波が伝わる時間」による「時間の遅れ・進み」に着目しているのに対し、別解では「波長ごとの位相のずれ」に着目して式を導出します。
- 設問(5)(6)の別解: 位相のずれを用いた解法
- 上記の別解が有益である理由
- 物理的直感の強化: 「波が進む向き」と「位相の進み・遅れ」の関係(下流ほど位相が遅れる)を直感的に理解するのに役立ちます。
- 汎用性: 今後学習する「波の干渉」などの単元では、経路差を位相差に変換するこの考え方が主流となります。
- 結果への影響
- どちらのアプローチを用いても、最終的な答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「正弦波の式の導出」です。波のグラフや物理量の定義から出発し、任意の時刻 \(t\)、任意の位置 \(x\) における波の変位 \(y\) を表す式(波動関数)を作り上げるプロセスを学びます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 単振動の式: 原点で振動する媒質の変位が、初期条件(スタートの仕方)によって \(y = A \sin \omega t\) や \(y = A \cos \omega t\) などで表されること。
- 波の基本公式: 角振動数 \(\omega\)、周期 \(T\)、波長 \(\lambda\)、速さ \(v\) の関係式(\(\omega = \frac{2\pi}{T}\), \(v = \frac{\lambda}{T}\) など)。
- 波の伝播と時間のずれ: 波が伝わるには時間がかかり、下流(波が伝わっていく先)の媒質は、上流(波源側)の媒質と同じ動きを「遅れて」行うこと。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- まず、原点(\(x=0\))での振動の様子を式にします(問(1)〜(3))。
- 次に、原点から位置 \(x\) まで波が伝わるのにかかる時間を考えます(問(4))。
- その時間差を利用して、位置 \(x\) での振動の式を原点の式から導きます(問(5))。
- 最後に、波の進む向きが変わった場合(負の向き)にどうなるかを考えます(問(6))。
問(1)
思考の道筋とポイント
原点にある媒質がどのような単振動をしているかを式で表します。ポイントは「時刻 \(t=0\) のときの状態」です。
- 変位 \(y=0\)(振動の中心)
- 速度が上向き(\(y\) 軸の正の向き)
この条件を満たす三角関数(\(\sin\) か \(\cos\) か、符号はどうか)を選びます。
この設問における重要なポイント
- \(t=0\) で \(y=0\) から始まり、プラス側に増えていくグラフは \(y = \sin \theta\) の形である。
- 振幅が \(A\)、角振動数が \(\omega\) なので、\(y = A \sin \omega t\) となる。
具体的な解説と立式
時刻 \(t=0\) で変位 \(y=0\) であり、その後 \(y\) が正の向き(上向き)に変化していく運動です。
このような挙動を示す関数は正弦関数(\(\sin\))です。
振幅を \(A\)、角振動数を \(\omega\) とすると、変位 \(y\) は以下の式で表されます。
$$
\begin{aligned}
y &= A \sin \omega t
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 単振動の変位: \(y = A \sin \omega t\)
立式そのものが答えとなります。
$$
\begin{aligned}
y &= A \sin \omega t
\end{aligned}
$$
原点の動きをグラフに描くと、ゼロからスタートして上に上がっていく波形になります。これは数学で習うサインカーブ(\(\sin\))そのものです。揺れ幅が \(A\) なので \(A\) 倍し、揺れの速さが \(\omega\) なので角度の部分を \(\omega t\) にします。
答えは \(y = A \sin \omega t\) です。\(t=0\) を代入すると \(y=0\) となり、\(t\) が少し増えると \(y\) もプラスになるので、問題の条件「\(t=0\) に振動の中心を上向きに通過」と一致します。
問(2)
思考の道筋とポイント
角振動数 \(\omega\) と周期 \(T\) の関係式を答える問題です。これは定義として覚えておくべき基本事項です。
この設問における重要なポイント
- 角振動数 \(\omega\) は「1秒間に進む角度(ラジアン)」です。
- 周期 \(T\) は「1周(\(2\pi\) ラジアン)するのにかかる時間」です。
- 「速さ \(\times\) 時間 \(=\) 距離」のアナロジーで、「角速度 \(\times\) 周期 \(=\) 1周の角度」と考えられます。
具体的な解説と立式
角振動数 \(\omega\) と周期 \(T\) の間には以下の関係が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
\omega T &= 2\pi
\end{aligned}
$$
これを \(\omega\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
\omega &= \frac{2\pi}{T}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 角振動数と周期の関係: \(\omega = \frac{2\pi}{T}\)
立式そのものが答えとなります。
$$
\begin{aligned}
\omega &= \frac{2\pi}{T}
\end{aligned}
$$
「1周 \(360^\circ\)(\(2\pi\) ラジアン)回るのに \(T\) 秒かかる」ときの回転の速さ(角速度)はいくらですか?という問いです。全体の角度 \(2\pi\) を時間 \(T\) で割れば求まります。
答えは \(\omega = \frac{2\pi}{T}\) です。
問(3)
思考の道筋とポイント
問(1)の式の \(\omega\) に、問(2)の結果を代入して書き換えるだけです。
この設問における重要なポイント
- 物理では、問題文で与えられた文字(\(A, T, t\))を使って答えを表すのがルールです。
具体的な解説と立式
問(1)の式 \(y = A \sin \omega t\) に、問(2)の式 \(\omega = \frac{2\pi}{T}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
y &= A \sin \left( \frac{2\pi}{T} t \right)
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- なし(代入操作のみ)
$$
\begin{aligned}
y &= A \sin \frac{2\pi}{T} t
\end{aligned}
$$
さっき作った式の中にある \(\omega\) を、\(T\) を使った形に書き直すだけです。
答えは \(y = A \sin \frac{2\pi}{T} t\) です。
問(4)
思考の道筋とポイント
波が速さ \(v\) で距離 \(x\) だけ進むのにかかる時間を求めます。「時間 \(=\) 距離 \(\div\) 速さ」です。
この設問における重要なポイント
- 波は等速で伝わります。
- 原点から位置 \(x\) までの距離は \(x\) です。
具体的な解説と立式
求める時間を \(\Delta t\) とすると、
$$
\begin{aligned}
\Delta t &= \frac{\text{距離}}{\text{速さ}} \\[2.0ex]
\Delta t &= \frac{x}{v}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 等速直線運動: \(t = \frac{x}{v}\)
立式そのものが答えとなります。
$$
\begin{aligned}
\text{時間} &= \frac{x}{v}
\end{aligned}
$$
原点を出発した波が、\(x\) メートル先の地点に届くまで何秒かかりますか?という計算です。距離を速さで割ればOKです。
答えは \(\frac{x}{v}\) です。
問(5)
思考の道筋とポイント
正弦波の式の導出の本丸です。「位置 \(x\) での時刻 \(t\) の変位」は、「原点での時刻 \(t – (\text{遅れ時間})\) の変位」と等しいことを利用します。
この設問における重要なポイント
- 波は \(x\) 軸の正の向きに進むので、位置 \(x\)(\(x>0\))には原点よりも遅れて波が到達します。
- その遅れ時間は問(4)で求めた \(\frac{x}{v}\) です。
- つまり、位置 \(x\) での「今(時刻 \(t\))」の動きは、原点での「ちょっと前(時刻 \(t – \frac{x}{v}\))」の動きと同じです。
具体的な解説と立式
位置 \(x\) における時刻 \(t\) の変位 \(y\) は、原点における時刻 \(t – \frac{x}{v}\) の変位と等しくなります。
問(3)で求めた原点の変位の式 \(y = A \sin \frac{2\pi}{T} t\) の \(t\) を、\(t – \frac{x}{v}\) に置き換えます。
$$
\begin{aligned}
y &= A \sin \frac{2\pi}{T} \left( t – \frac{x}{v} \right)
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 波動の基本原理: \(y(x, t) = y(0, t – \frac{x}{v})\)
立式そのものが答えとなります。
$$
\begin{aligned}
y &= A \sin \frac{2\pi}{T} \left( t – \frac{x}{v} \right)
\end{aligned}
$$
「向こうの場所 \(x\) で今どんな揺れ方をしているか」を知りたければ、「元の場所(原点)で \(\frac{x}{v}\) 秒前にどんな揺れ方をしていたか」を調べればわかります。原点の式の時間の部分 \(t\) を「\(\frac{x}{v}\) 秒前」つまり \(t – \frac{x}{v}\) に書き換えるだけで、場所 \(x\) の式になります。
答えは \(y = A \sin \frac{2\pi}{T} \left( t – \frac{x}{v} \right)\) です。
問(6)
思考の道筋とポイント
今度は波が「負の向き」に進みます。つまり、波は \(x\) 軸のプラス側からマイナス側(原点方向)へ流れていくイメージです。この場合、位置 \(x\)(\(x>0\))と原点の時間関係はどうなるかを考えます。
この設問における重要なポイント
- 波が負の向きに進む場合、波は位置 \(x\) を通過してから原点 \(0\) に到達します。
- つまり、位置 \(x\) は原点よりも「上流」にあります。
- 位置 \(x\) での振動は、原点での振動よりも時間 \(\frac{x}{v}\) だけ「早く(先に)」起こっています。
- 「原点での時刻 \(t\) の変位」は、「位置 \(x\) では時刻 \(t – \frac{x}{v}\) に起きていた」とも言えますが、逆に「位置 \(x\) での時刻 \(t\) の変位」は、「原点では未来の時刻 \(t + \frac{x}{v}\) に起きる変位」と等しいことになります。
具体的な解説と立式
波が負の向きに進むとき、位置 \(x\) (\(x>0\)) にある媒質の振動は、原点にある媒質の振動よりも時間 \(\frac{x}{v}\) だけ進んでいます(未来を先取りしています)。
したがって、位置 \(x\) での時刻 \(t\) の変位は、原点での時刻 \(t + \frac{x}{v}\) の変位と等しくなります。
原点の式 \(y = A \sin \frac{2\pi}{T} t\) の \(t\) を \(t + \frac{x}{v}\) に置き換えます。
$$
\begin{aligned}
y &= A \sin \frac{2\pi}{T} \left( t + \frac{x}{v} \right)
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 負の向きに進む波: \(y(x, t) = y(0, t + \frac{x}{v})\)
立式そのものが答えとなります。
$$
\begin{aligned}
y &= A \sin \frac{2\pi}{T} \left( t + \frac{x}{v} \right)
\end{aligned}
$$
波が逆向き(右から左)に来る場合、右側にある位置 \(x\) は、原点よりも先に波を受け取ります。つまり、位置 \(x\) の動きは原点の動きよりも「進んで」います。だから、時間の引き算ではなく足し算 \(t + \frac{x}{v}\) になります。「未来の原点の動きを、位置 \(x\) では今やっている」と考えるとわかりやすいでしょう。
答えは \(y = A \sin \frac{2\pi}{T} \left( t + \frac{x}{v} \right)\) です。
思考の道筋とポイント
「時間の遅れ」ではなく「位相(角度)のずれ」で考えます。
1波長 \(\lambda\) 離れるごとに位相は \(2\pi\) ずれます。
この設問における重要なポイント
- 波長 \(\lambda\) は、波の速さ \(v\) と周期 \(T\) を用いて \(\lambda = vT\) と表される。
- 波の進行方向の下流側では位相が遅れ(マイナス)、上流側では位相が進む(プラス)。
- 位相のずれ \(\delta\) は、距離 \(x\) に比例する。
具体的な解説と立式
まず、波長 \(\lambda\) を \(v\) と \(T\) で表します。
$$
\begin{aligned}
\lambda &= vT
\end{aligned}
$$
問(5) 正の向きに進む場合:
位置 \(x\) は原点より下流なので、位相が遅れます。
位相の遅れ \(\delta\) は、距離 \(x\) に比例します。
$$
\begin{aligned}
\lambda : 2\pi &= x : \delta
\end{aligned}
$$
これより、位相の遅れ \(\delta\) は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
\delta &= \frac{2\pi x}{\lambda}
\end{aligned}
$$
原点の位相 \(\frac{2\pi}{T}t\) から \(\delta\) を引きます。
$$
\begin{aligned}
y &= A \sin \left( \frac{2\pi}{T}t – \frac{2\pi x}{\lambda} \right)
\end{aligned}
$$
問(6) 負の向きに進む場合:
位置 \(x\) は原点より上流(波源側)なので、位相が進みます。
位相の進み \(\delta\) を足します。
$$
\begin{aligned}
y &= A \sin \left( \frac{2\pi}{T}t + \frac{2\pi x}{\lambda} \right)
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 波の基本公式: \(\lambda = vT\)
- 位相差の比例関係: \(\delta = \frac{2\pi x}{\lambda}\)
問(5)の計算:
\(\lambda = vT\) を代入して整理します。
$$
\begin{aligned}
y &= A \sin \left( \frac{2\pi}{T}t – \frac{2\pi x}{vT} \right) \\[2.0ex]
&= A \sin \frac{2\pi}{T} \left( t – \frac{x}{v} \right)
\end{aligned}
$$
問(6)の計算:
同様に \(\lambda = vT\) を代入して整理します。
$$
\begin{aligned}
y &= A \sin \left( \frac{2\pi}{T}t + \frac{2\pi x}{vT} \right) \\[2.0ex]
&= A \sin \frac{2\pi}{T} \left( t + \frac{x}{v} \right)
\end{aligned}
$$
波の山と山の間隔(波長 \(\lambda\))を「角度 \(360^\circ\)(\(2\pi\))」に対応させて考えます。距離 \(x\) が波長の何倍かを計算し、それに \(2\pi\) を掛ければ、その場所での角度のズレがわかります。
波が進んでいく先(下流)では角度が遅れるので引き算、波が来る元(上流)では角度が進んでいるので足し算をします。
どちらも模範解答と同じ式が得られました。波の進行方向と位相のプラスマイナスの関係が明確になります。
(5) $$ y = A \sin \frac{2\pi}{T} \left( t – \frac{x}{v} \right) $$ (6) $$ y = A \sin \frac{2\pi}{T} \left( t + \frac{x}{v} \right) $$
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 波の伝播と時間の遅れ(因果律)
- 核心: この問題の根幹は、「離れた場所に波が伝わるには時間がかかる」という物理的事実を数式化することです。位置 \(x\) での振動は、原点で「過去」に起きた振動が遅れて届いたものです。
- 理解のポイント:
- 時間の遅れ \(\Delta t\): 波の速さを \(v\) とすると、距離 \(x\) だけ離れた点に波が到達するには \(\Delta t = x/v\) の時間がかかります。
- 変位の関係式: これにより、「時刻 \(t\) における位置 \(x\) の変位 \(y(x, t)\)」は、「時刻 \(t – x/v\) における原点の変位 \(y(0, t – x/v)\)」と等しいという強力な関係式が成り立ちます。これが全ての波動の式の基礎です。
- 正弦波の式の構造(二重の周期性)
- 核心: 最終的に得られた式 \(y = A \sin \frac{2\pi}{T} (t – \frac{x}{v})\) が持つ、時間と空間に対する対称性を理解することです。
- 理解のポイント:
- 時間的周期性: 場所 \(x\) を固定して見ると、時間 \(t\) が周期 \(T\) 増えるごとに位相が \(2\pi\) 進み、同じ振動状態(変位)に戻ります。
- 空間的周期性: 時刻 \(t\) を固定して(写真を撮るように)見ると、位置 \(x\) が波長 \(\lambda\)(\(=vT\))増えるごとに位相が \(-2\pi\) 進み(\(2\pi\) 遅れ)、同じ波形が繰り返されます。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 負の向きに進む波: 波が \(x\) 軸の負の向きに進む場合、位置 \(x\)(\(x>0\))での振動は、原点での振動よりも「未来」に起こる(あるいは原点から見て \(x\) が負の位置にある波源からの波が届く)と考えます。数式上は、時間の遅れが \(t – (-x/v) = t + x/v\) となり、sinの中身の符号が \(t + x/v\) に変わります。
- 初期位相がある場合: 原点の振動が \(y = A \sin (\omega t + \phi_0)\) のように初期位相 \(\phi_0\) を持つ場合でも、\(t\) を \(t – x/v\) に置き換える手順は全く同じです。
- 反射波の式: 固定端や自由端での反射波を求める問題では、入射波の式を作り、反射点での位相の変化(固定端なら \(\pi\) ずれる、自由端なら変化なし)と、反射点から戻ってくる距離分の遅れを考慮して式を立てます。
- 初見の問題での着眼点:
- 波源の振動式を特定する: まず、基準となる点(通常は原点)での振動がどのような式(sinかcosか、初期位相はあるか)で表されるかを確認します。グラフから読み取る場合もあります。
- 波の進行方向を確認する: 波が \(x\) 軸の正の向きに進むなら位相は遅れる(マイナス)、負の向きに進むなら位相は進む(プラス)と考えます。
- 変数の置き換えを実行する: 波源の式の \(t\) を、正の向きなら \(t – x/v\)、負の向きなら \(t + x/v\) に置き換えます。これが最も確実で汎用性の高い解法です。
- 物理量の関係式を使う: 問題文に与えられた物理量(\(v, T, \lambda, f\))に応じて、\(v = f\lambda = \lambda/T\) や \(\omega = 2\pi/T\) などの関係式を使い、求められている形の変数(\(x\) と \(t\))に整理します。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 符号の混乱(マイナスかプラスか):
- 誤解: 波の式の \(x\) の前の符号がマイナスなのかプラスなのか、あるいは \(t – x/v\) なのか \(x/v – t\) なのか分からなくなる。
- 対策: 「正の向きに進む波は、下流(\(x\) が大きい方)ほど遅れる」と覚えましょう。遅れるということは、位相を引き算する(マイナス)ということです。また、\(t=0, x=0\) の近傍を考えて、\(x\) が少し増えたときに、同じ変位になるためには \(t\) も少し増える必要がある(\(t – x/v = \text{一定}\))ことからも符号を確認できます。
- 周期 \(T\) と波長 \(\lambda\) の取り違え:
- 誤解: 式変形の途中で、分母に来るのが \(T\) なのか \(\lambda\) なのか混乱する。
- 対策: 単位を確認する(次元解析)のが最強の対策です。\(t\)(秒)を割れるのは \(T\)(秒)だけ、\(x\)(メートル)を割れるのは \(\lambda\)(メートル)だけです。物理的に同じ次元の量でしか比率は作れません。
- グラフの読み取りミス:
- 誤解: \(y-t\) グラフ(ある位置での時間変化)と \(y-x\) グラフ(ある時刻での波形)を混同してしまう。
- 対策: 横軸が何であるかを必ず確認します。横軸が \(t\) なら周期 \(T\) が、横軸が \(x\) なら波長 \(\lambda\) が読み取れます。波の式 \(y = A \sin \frac{2\pi}{T} (t – \frac{x}{v})\) において、\(x\) を定数と見れば \(y-t\) グラフ、\(t\) を定数と見れば \(y-x\) グラフを表していることを意識しましょう。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 問(1)での公式選択(角振動数の定義):
- 選定理由: 求めたいのは \(y = A \sin \omega t\) の \(\omega\) を \(T\) で表すことです。これは定義そのものであり、円運動の角速度と周期の関係 \(\omega = 2\pi/T\) を選択するのは必然です。
- 適用根拠: 単振動は等速円運動の正射影であり、位相の回転速度は角速度と等しいため、そのまま適用できます。
- 問(5)でのアプローチ選択(遅延ポテンシャル):
- 選定理由: 「波の式を求めよ」という問題に対し、最も原理的で間違いが少ないのが「波源の振動が時間遅れで伝わる」と考えるアプローチです。
- 適用根拠: 媒質が一様で波の速さ \(v\) が一定である場合、波形は崩れずに平行移動します。このとき、波動関数は必ず \(f(x – vt)\) または \(f(t – x/v)\) の形になることが数学的に保証されています。この性質を利用して、\(t\) を \(t – x/v\) に置き換える操作を行います。
- 別解でのアプローチ選択(位相差):
- 選定理由: 計算量を減らし、直感的に式を構成したい場合に有効です。特に、波長 \(\lambda\) が明示されている場合や、干渉の問題で位相差を考える場合には、このアプローチの方が直接的です。
- 適用根拠: 正弦波は周期的であり、距離 \(\lambda\) ごとに位相が \(2\pi\) 変化するという性質を利用しています。これは波の定義そのものから導かれる性質であり、正当な解法です。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 単位(次元)によるチェック:
- 最終的な式 \(y = A \sin \frac{2\pi}{T} (t – \frac{x}{v})\) のカッコの中身を見てください。\(\frac{t}{T}\) は [秒]/[秒] で無次元、\(\frac{x}{vT} = \frac{x}{\lambda}\) は [m]/[m] で無次元です。sinの中身は必ず無次元(角度)でなければなりません。もし \(\frac{t}{\lambda}\) のような項が出てきたら、その時点で間違いに気づけます。
- 極端な値を代入して検算:
- \(x=0\) を代入してみましょう。式は \(y = A \sin \frac{2\pi t}{T}\) となり、問(1)の原点の振動の式に戻ります。これで \(x\) の項の係数や符号が正しいかある程度確認できます。
- \(t=0\) を代入してみましょう。\(y = A \sin (- \frac{2\pi x}{vT}) = – A \sin \frac{2\pi x}{\lambda}\) となります。これは \(t=0\) における波形を表しており、原点で \(y=0\) から始まり、\(x\) が増えると \(y\) が負になる(下向きに波が始まる)ことを示しています。問題の図や設定と合致しているか確認できます。
- 文字式のまま計算する:
- 具体的な数値が与えられていても、できるだけ最後まで文字(\(v, T, \lambda\) など)のまま計算し、最後に代入しましょう。文字式の方が式の構造(物理的な意味)が見えやすく、ミスに気づきやすい上、約分などで計算が簡単になることが多いです。
136 正弦波を表すグラフと式
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(4)の別解: 原点の振動と時間の遅れを用いる解法
- 模範解答は、時刻 \(t=0\) の波形の式を \(x\) 軸方向に平行移動させるという「幾何学的アプローチ」をとっています。これに対し別解では、まず原点の媒質の振動の式を作り、それが時間遅れで伝わるという「物理的アプローチ(前問と同じ考え方)」で解きます。
- 設問(4)の別解: 原点の振動と時間の遅れを用いる解法
- 上記の別解が有益である理由
- 思考の柔軟性向上: 「波形全体が動く」と見るか、「ある点の振動が伝わる」と見るか、2つの異なる視点を持つことで、波動現象への理解が深まります。
- 汎用性の確保: 平行移動の考え方は波の式特有のものですが、時間の遅れを用いる考え方は、波動のあらゆる問題(干渉、ドップラー効果など)に通じる基礎的な思考法です。
- 結果への影響
- どちらのアプローチを用いても、最終的に得られる式は模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「グラフからの情報の読み取りと波の式の導出」です。与えられたグラフが「ある時刻の波形(写真)」なのか「ある位置の振動(ムービー)」なのかを正しく区別し、そこから波の式を組み立てる手順をマスターします。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- \(y-x\) グラフ(波形): ある瞬間の波の形を表すグラフ。ここから波長 \(\lambda\) や振幅 \(A\) を読み取れる。
- 波の基本公式: 速さ \(v\)、振動数 \(f\)、波長 \(\lambda\)、周期 \(T\) の関係式(\(v = f\lambda\)、\(f = 1/T\))。
- 波の式の平行移動: 正の向きに速さ \(v\) で進む波の時刻 \(t\) における式は、時刻 \(0\) の式 \(y=f(x)\) の \(x\) を \(x-vt\) に置き換えることで得られる(数学のグラフの平行移動と同じ原理)。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)では、グラフから波長と振幅を読み取り、与えられた周期と合わせて基本公式で他の物理量を計算します。
- (2)では、\(t=0\) のグラフの形状(サインカーブ)を数式で表します。
- (3)では、等速直線運動の考え方で波の進む距離を求めます。
- (4)では、(2)で作った式を、(3)で求めた距離だけ平行移動させて、一般的な波の式を導きます。
問(1)
思考の道筋とポイント
グラフから直接読み取れる情報と、計算で求める情報を区別します。
- 波長 \(\lambda\): グラフ上で波1つ分の長さ。
- 振動数 \(f\): 「1秒間に何回振動するか」を表す量で、周期 \(T\) の逆数。
- 速さ \(v\): 波の基本公式 \(v = f\lambda\) から求めます。
この設問における重要なポイント
- 横軸が \(x\) [m] であるグラフ(波形)からは、周期 \(T\) ではなく波長 \(\lambda\) が読み取れる。
- 周期 \(T=0.20\,\text{s}\) は問題文で与えられている。
具体的な解説と立式
まず、グラフより波長 \(\lambda\) を読み取ります。原点から始まり、山と谷を1つずつ経て元の高さに戻るまでの距離が波長です。
$$
\begin{aligned}
\lambda &= 6.0\,\text{m}
\end{aligned}
$$
次に、振動数 \(f\) を求めます。振動数と周期 \(T\) の関係式 \(f = \frac{1}{T}\) に、\(T=0.20\,\text{s}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
f &= \frac{1}{0.20}
\end{aligned}
$$
最後に、波の速さ \(v\) を求めます。波の基本公式 \(v = f\lambda\) を用います。
$$
\begin{aligned}
v &= f \times \lambda
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 振動数と周期の関係: \(f = \frac{1}{T}\)
- 波の基本公式: \(v = f\lambda\)
振動数 \(f\) の計算:
$$
\begin{aligned}
f &= \frac{1}{0.20} \\[2.0ex]
&= \frac{100}{20} \\[2.0ex]
&= 5.0\,\text{Hz}
\end{aligned}
$$
速さ \(v\) の計算:
$$
\begin{aligned}
v &= 5.0 \times 6.0 \\[2.0ex]
&= 30\,\text{m/s}
\end{aligned}
$$
グラフの横軸を見ると、波1個分の長さ(波長)が \(6.0\,\text{m}\) であることが一目でわかります。
次に、「1回揺れるのに \(0.20\) 秒かかる(周期)」ということは、「1秒間には何回揺れるか(振動数)」を計算すると、\(1 \div 0.20 = 5\) 回となります。
最後に、波の速さは「1秒間に進む距離」です。1秒間に波が5個分送り出され、波1個の長さは \(6.0\,\text{m}\) なので、\(5 \times 6.0 = 30\,\text{m}\) 進むことになります。
波長 \(6.0\,\text{m}\)、振動数 \(5.0\,\text{Hz}\)、速さ \(30\,\text{m/s}\)。
単位もそれぞれ適切です。
問(2)
思考の道筋とポイント
時刻 \(t=0\) における波の形(\(y-x\) グラフ)を数式で表します。
グラフの形状は正弦波(サインカーブ)ですが、原点からマイナスの方向に変化している点に注目します。
通常の \(y = A \sin kx\) は原点からプラス方向に上がりますが、今回は逆なのでマイナスがつきます。
この設問における重要なポイント
- 振幅 \(A = 2.0\,\text{m}\)。
- グラフの形は \(y = -\sin \theta\) の形である。
- 位相 \(\theta\) は位置 \(x\) に比例し、\(x = \lambda\) のとき \(\theta = 2\pi\) となる。つまり \(\theta = \frac{2\pi}{\lambda}x\)。
具体的な解説と立式
グラフの形状から、振幅は \(A = 2.0\,\text{m}\) です。
また、原点 \(x=0\) で \(y=0\) となり、\(x\) が増加すると \(y\) が負になることから、このグラフは \(y = -A \sin (\dots)\) の形になります。
波の空間的な繰り返し(波長 \(\lambda\))を考慮すると、変位 \(y\) は以下の式で表されます。
$$
\begin{aligned}
y &= -A \sin \frac{2\pi x}{\lambda}
\end{aligned}
$$
ここに \(A=2.0\)、\(\lambda=6.0\) を代入します。
使用した物理公式
- 正弦波の波形の式: \(y = A \sin \frac{2\pi x}{\lambda}\) (形状に応じて符号を調整)
$$
\begin{aligned}
y &= -2.0 \sin \frac{2\pi x}{6.0} \\[2.0ex]
&= -2.0 \sin \frac{\pi x}{3.0}
\end{aligned}
$$
単位を付けて答えます。
このグラフは、数学で習う \(y = \sin x\) のグラフを上下ひっくり返した形(\(y = -\sin x\))をしています。
山の高さ(振幅)は \(2.0\) なので、係数は \(-2.0\) です。
波の長さ(波長)は \(6.0\) なので、\(x\) が \(6.0\) 進んだときに角度が \(2\pi\)(\(360^\circ\))になるように調整します。つまり、角度の部分は \(\frac{2\pi}{6.0}x\) となります。
答えは \(y = -2.0 \sin \frac{\pi}{3.0}x\) です。
試しに \(x=1.5\)(波長の1/4)を代入すると、\(\sin(\pi/2) = 1\) なので \(y = -2.0\) となり、グラフの谷の位置と一致します。
問(3)
思考の道筋とポイント
波は速さが一定の「等速直線運動」をします。
進む距離は「速さ \(\times\) 時間」で求められます。
この設問における重要なポイント
- 波の速さ \(v = 30\,\text{m/s}\) は一定である。
- 時間は \(t\) [s] である。
具体的な解説と立式
距離を \(L\) とすると、等速直線運動の公式より以下の式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
L &= v \times t
\end{aligned}
$$
(1)で求めた \(v = 30\) を代入します。
使用した物理公式
- 距離の公式: \(x = vt\)
$$
\begin{aligned}
\text{距離} &= 30 \times t \\[2.0ex]
&= 30t
\end{aligned}
$$
波は秒速 \(30\,\text{m}\) で進み続けます。\(t\) 秒間では、その \(t\) 倍の距離を進むので、\(30t\) メートル進みます。
答えは \(30t\) [m] です。
問(4)
思考の道筋とポイント
時刻 \(t\) における波の式を求めます。
模範解答のアプローチ(平行移動):
時刻 \(t\) の波形は、時刻 \(0\) の波形(問(2)のグラフ)が、問(3)で求めた距離 \(30t\) だけ \(x\) 軸の正の向きに平行移動したものです。
数学のグラフの平行移動のルール「\(x\) 軸方向に \(+x_0\) 平行移動するには、\(x\) を \(x – x_0\) に置き換える」を使います。
この設問における重要なポイント
- 波形は崩れずに速さ \(v\) で平行移動する。
- 移動距離は \(vt = 30t\)。
- 元の式 \(y = f(x)\) の \(x\) を \(x – vt\) に置き換えると、時刻 \(t\) の式 \(y = f(x – vt)\) になる。
具体的な解説と立式
問(2)で求めた時刻 \(t=0\) の波形の式は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
y &= -2.0 \sin \frac{\pi}{3.0}x
\end{aligned}
$$
時刻 \(t\) には、波形全体が正の向きに \(30t\) だけ移動しています。
したがって、上式の \(x\) を \(x – 30t\) に置き換えます。
$$
\begin{aligned}
y &= -2.0 \sin \frac{\pi}{3.0}(x – 30t)
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 波の式の平行移動: \(y(x, t) = f(x – vt)\)
式を整理して、見やすい形にします。
三角関数の性質 \(\sin(-\theta) = -\sin \theta\) を利用して、カッコ内の順序を入れ替えます。
$$
\begin{aligned}
y &= -2.0 \sin \left\{ \frac{\pi}{3.0}(x – 30t) \right\} \\[2.0ex]
&= -2.0 \sin \left\{ – \frac{\pi}{3.0}(30t – x) \right\} \\[2.0ex]
&= -2.0 \times \left( – \sin \frac{\pi}{3.0}(30t – x) \right) \\[2.0ex]
&= 2.0 \sin \frac{\pi}{3.0}(30t – x)
\end{aligned}
$$
時刻 \(0\) にあった波の形が、そのまま右へズズッと動いていきます。
数学で「グラフを右に \(3\) 動かすときは \(x\) を \(x-3\) に変える」と習ったのと同じように、今回は右に \(30t\) 動くので、\(x\) を \(x-30t\) に変えます。
あとは、式の中のマイナスを整理して、きれいな形にします。
答えは \(y = 2.0 \sin \frac{\pi}{3.0}(30t – x)\) です。
この式は、\(x\) を固定して \(t\) を増やすと \(\sin\) の中身が増えるので、原点 \(x=0\) では \(y = 2.0 \sin(10\pi t)\) となり、\(t=0\) から上に動き出す(山が来る)ことを表しています。これはグラフの状況(左側に山がある)と一致します。
思考の道筋とポイント
前問(135番)と同じように、「原点の振動」をまず式にし、それが「遅れて伝わる」と考える方法です。
まず、グラフから「原点 \(x=0\) がこれからどう動くか」を読み取ります。
この設問における重要なポイント
- グラフを見ると、原点 \(x=0\) のすぐ左側(\(x<0\))には「山」があります。
- 波は右に進むので、時間が少し経つと、この「山」が原点に到達します。
- つまり、原点の変位 \(y\) は、\(t=0\) の直後にプラスになります。
- よって、原点の振動は \(y = A \sin \omega t\) の形になります。
具体的な解説と立式
原点 \(x=0\) における媒質の振動を考えます。
振幅は \(A=2.0\,\text{m}\) です。
角振動数 \(\omega\) は、\(\omega = 2\pi f = 2\pi \times 5.0 = 10\pi\,\text{rad/s}\) です。
\(t=0\) の直後に変位が正になることから、原点の振動の式は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
y(0, t) &= 2.0 \sin 10\pi t
\end{aligned}
$$
位置 \(x\) に波が伝わるには、時間 \(t’ = \frac{x}{v} = \frac{x}{30}\) だけかかります。
位置 \(x\) での時刻 \(t\) の変位は、原点での時刻 \(t – \frac{x}{30}\) の変位と等しいので、
$$
\begin{aligned}
y(x, t) &= 2.0 \sin 10\pi \left( t – \frac{x}{30} \right)
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 角振動数: \(\omega = 2\pi f\)
- 遅延ポテンシャル: \(y(x, t) = y(0, t – x/v)\)
カッコの中を展開して整理します。
$$
\begin{aligned}
y &= 2.0 \sin \left( 10\pi t – \frac{10\pi x}{30} \right) \\[2.0ex]
&= 2.0 \sin \left( 10\pi t – \frac{\pi x}{3.0} \right) \\[2.0ex]
&= 2.0 \sin \frac{\pi}{3.0}(30t – x)
\end{aligned}
$$
まず、原点に注目します。波のグラフを見ると、原点にはこれから「山」がやってくることがわかります。つまり、原点はこれから上に動き出します。
この動きは \(y = \sin(\dots)\) の式で表せます。
次に、離れた場所 \(x\) では、原点の動きが「距離 \(\div\) 速さ」の時間だけ遅れて届きます。
原点の式の時刻 \(t\) を「遅れた時刻」に書き換えれば、答えが出ます。
模範解答(平行移動の考え方)で求めた式と完全に一致しました。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 波のグラフの読み取り(\(y-x\) グラフ)
- 核心: 与えられたグラフが「ある瞬間の波の形(写真)」を表す \(y-x\) グラフであることを認識し、そこから波長 \(\lambda\) や振幅 \(A\) を正しく読み取ることです。
- 理解のポイント:
- 横軸の確認: 横軸が位置 \(x\) [m] なら、波1つ分の長さは波長 \(\lambda\) です。もし横軸が時間 \(t\) [s] なら、波1つ分の長さは周期 \(T\) になります。この区別が全ての出発点です。
- 波形の式化: \(t=0\) のグラフの形状(原点から下がっている)を見て、\(y = -A \sin kx\) の形であると判断できることが重要です。
- 波の式の導出アプローチ(平行移動 vs 時間遅れ)
- 核心: 静止画である \(t=0\) の波の式を、動画(時間変化する一般的な式)に変換するための2つのアプローチを理解することです。
- 理解のポイント:
- 平行移動(幾何学的視点): 波形全体が速さ \(v\) で移動すると考え、\(x\) を \(x-vt\) に置き換える方法。直感的で計算が早い場合が多いです。
- 時間遅れ(物理的視点): 原点の振動が時間 \(x/v\) 遅れて伝わると考え、\(t\) を \(t-x/v\) に置き換える方法。因果関係に基づいた本質的な方法です。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- \(y-t\) グラフが与えられた場合: 原点(またはある位置)の時間変化グラフが与えられた場合は、まずその点の振動の式 \(y = A \sin \omega t\) などを作り、そこから「時間遅れ」のアプローチで全体の式を作るのが定石です。
- 波が負の向きに進む場合: 平行移動のアプローチなら \(x\) を \(x – (-vt) = x + vt\) に置き換えます。時間遅れのアプローチなら、位置 \(x\)(\(x>0\))の振動は原点より進んでいるので \(t\) を \(t + x/v\) に置き換えます。
- 初期位相がずれている場合: 原点から始まらない(\(y\) 軸切片が \(0\) でない)グラフの場合、\(y = A \sin(kx + \phi)\) のように初期位相 \(\phi\) を読み取る必要があります。cos型に見えるなら \(y = A \cos kx\) と置いても構いません。
- 初見の問題での着眼点:
- グラフの軸を確認する: \(y-x\)(波形)なのか \(y-t\)(振動)なのかを真っ先に確認します。
- 物理量をリストアップする: グラフから読める量(\(A, \lambda\) または \(T\))と、問題文にある量(\(v, f\) など)を書き出し、\(v = f\lambda = \lambda/T\) の関係式で足りない量を計算します。
- 原点の挙動をチェックする: \(t=0\) の波形グラフにおいて、原点のすぐ右側(波が進む先)を見るのではなく、すぐ左側(波が来た元)を見ます。左側に山があれば、原点にはこれから山が来ます。左側に谷があれば、これから谷が来ます。これにより、原点の振動の初期挙動(上に動くか下に動くか)がわかります。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- \(y-x\) グラフと \(y-t\) グラフの混同:
- 誤解: \(y-x\) グラフから周期 \(T\) を読み取ろうとしたり、\(y-t\) グラフから波長 \(\lambda\) を読み取ろうとしてしまう。
- 対策: 単位を確認しましょう。横軸が [m] なら長さ(波長)、[s] なら時間(周期)です。
- 波の式の符号ミス:
- 誤解: \(y = A \sin(kx – \omega t)\) なのか \(y = A \sin(\omega t – kx)\) なのか、どっちからどっちを引くのかわからなくなる。
- 対策:
- 平行移動で考えるなら: \(x\) を \(x-vt\) に変えるので、\(k(x-vt) = kx – \omega t\) の形(\(x\) がプラス)が自然に出てきます。
- 時間遅れで考えるなら: \(t\) を \(t-x/v\) に変えるので、\(\omega(t-x/v) = \omega t – kx\) の形(\(t\) がプラス)が自然に出てきます。
- どちらも正解ですが、\(\sin(-\theta) = -\sin\theta\) の関係で符号が反転することに注意が必要です。最終的な式の形は、初期条件(\(t=0\) の波形)に合うかどうかでチェックできます。
- 「原点の振動」の読み取りミス:
- 誤解: \(t=0\) の波形グラフで、原点から右に下がっているのを見て「原点は下に動く」と思ってしまう。
- 対策: 波は「平行移動」します。グラフを少しだけ右にずらして描いてみてください。すると、原点の位置でのグラフの高さは「上」になっているはずです。つまり、原点は「上に」動きます。波形グラフの「傾き」と媒質の「速度」の向きは逆になる(右上がりの場所は下に、右下がりの場所は上に動く)という法則も役立ちます。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 問(1)での公式選択(波の基本公式):
- 選定理由: 波長、振動数、速さという波の3大要素をつなぐ唯一の式だからです。
- 適用根拠: 波動現象において \(v = f\lambda\) は常に成り立ちます。
- 問(4)でのアプローチ選択(平行移動):
- 選定理由: 問(2)ですでに \(t=0\) の波形の式(\(x\) の関数)を求めており、問(3)で移動距離 \(vt\) を求めているため、この流れなら「\(x\) を \(x-vt\) に置き換える」のが最も計算量が少なく、論理的にもスムーズだからです。
- 適用根拠: 媒質の性質が変わらない限り、波は形を変えずに一定の速さで伝わるため、数学的な平行移動の操作が物理的にも正当化されます。
- 別解でのアプローチ選択(時間遅れ):
- 選定理由: 「原点がどう揺れるか」という視点は、特定の場所(例えば原点にある観測者)での時間変化を知りたい場合に直感的だからです。また、前問(135番)で学んだ原理を再確認する意味でも重要です。
- 適用根拠: 波動の因果律(遠くの揺れは遅れて届く)に基づいた、物理的に最も堅牢な考え方です。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 三角関数の引数の単位チェック:
- \(\sin\) の中身は必ずラジアン(無次元)になります。\(\frac{\pi}{3.0}(30t – x)\) を展開すると、\(10\pi t\)([rad/s] \(\times\) [s] = [rad])と \(\frac{\pi}{3.0}x\)([rad/m] \(\times\) [m] = [rad])となり、どちらも単位が消えていることを確認できます。
- 特殊な点での検算:
- 求めた式 \(y = 2.0 \sin \frac{\pi}{3.0}(30t – x)\) に \(t=0\) を代入してみます。
- \(y = 2.0 \sin(-\frac{\pi}{3.0}x) = -2.0 \sin \frac{\pi}{3.0}x\)
- これは問(2)で求めた \(t=0\) の波形の式と完全に一致します。この検算を行うだけで、符号のミス(\(30t-x\) なのか \(x-30t\) なのか)を確実に防げます。
- 係数のくくり出し:
- 計算過程で \(-2.0 \sin \{ -\frac{\pi}{3.0}(30t – x) \}\) のようにマイナスが重なった場合、慌てずに \(\sin(-\theta) = -\sin\theta\) を使ってマイナスを外に出し、係数のマイナスと打ち消し合わせる操作を丁寧に行いましょう。暗算は禁物です。
137 正弦波を表す式
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(2)の別解: 波形の平行移動を用いた解法
- 模範解答は「原点の媒質の動き」に着目して波の進行方向を判定していますが、別解では「波形全体を少しだけ左右にずらして比較する」という幾何学的なアプローチで判定します。
- 設問(3)の別解: 一般式への代入による解法
- 模範解答は「原点の振動の式」を作り、それを「時間遅れ(進み)」で位置 \(x\) に拡張していますが、別解では「負の向きに進む正弦波の一般式」をあらかじめ想定し、そこに物理量を代入して係数比較を行います。
- 設問(2)の別解: 波形の平行移動を用いた解法
- 上記の別解が有益である理由
- 直感的な理解: 波形の平行移動は、波の動きを視覚的にイメージしやすく、ミスの少ない判定法です。
- 実戦的な速度: 一般式を覚えている場合、ゼロから導出するよりも素早く答えにたどり着けます。
- 結果への影響
- どちらのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「2種類のグラフ(\(y-x\) と \(y-t\))の統合的な理解と波の式の決定」です。空間的な波形(写真)と時間的な振動(ムービー)の両方の情報から、波の性質(特に進行方向)を特定し、数式化する能力が問われます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- \(y-x\) グラフ(波形): ある瞬間の波の形。波長 \(\lambda\) が読み取れる。
- \(y-t\) グラフ(振動): ある位置での媒質の時間変化。周期 \(T\) が読み取れる。
- 波の進行方向の判定: 「少し時間が経った後の波形」を描くか、「ある位置の媒質が次にどう動くか」を考えることで判定できる。
- 波の基本公式: \(v = f\lambda = \lambda/T\)。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)では、図1から波長と振幅、図2から周期を読み取り、基本公式で振動数と速さを計算します。
- (2)では、図1(\(t=0\) の波形)と図2(\(x=0\) の振動)の情報を突き合わせて、波がどちらに進んでいるかを論理的に導きます。
- (3)では、(2)で特定した進行方向に基づいて波の式を立て、問題で与えられた形式と比較して係数を決定します。
問(1)
思考の道筋とポイント
2つのグラフから読み取れる物理量を整理します。
- 図1(\(y-x\) グラフ)の横軸は位置 \(x\) なので、波1つ分の長さは「波長 \(\lambda\)」です。
- 図2(\(y-t\) グラフ)の横軸は時間 \(t\) なので、波1つ分の長さは「周期 \(T\)」です。
- 振幅 \(A\) はどちらのグラフからでも読み取れます(山の高さ)。
この設問における重要なポイント
- \(y-x\) グラフ \(\rightarrow\) 波長 \(\lambda\)
- \(y-t\) グラフ \(\rightarrow\) 周期 \(T\)
- この区別を明確にすることが最重要です。
具体的な解説と立式
図1より、振幅 \(A\) と波長 \(\lambda\) を読み取ります。
振幅は山の高さなので、\(A = 5.0\,\text{m}\) です。
波長は波1つ分の長さなので、\(\lambda = 2.0\,\text{m}\) です。
図2より、周期 \(T\) を読み取ります。
波1回分の振動にかかる時間なので、\(T = 4.0\,\text{s}\) です。
これらを用いて、振動数 \(f\) と速さ \(v\) を計算します。
振動数は周期の逆数です。
$$
\begin{aligned}
f &= \frac{1}{T}
\end{aligned}
$$
速さは波の基本公式より求めます。
$$
\begin{aligned}
v &= \frac{\lambda}{T}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 振動数: \(f = \frac{1}{T}\)
- 波の速さ: \(v = \frac{\lambda}{T}\)
振動数 \(f\) の計算:
$$
\begin{aligned}
f &= \frac{1}{4.0} \\[2.0ex]
&= 0.25\,\text{Hz}
\end{aligned}
$$
速さ \(v\) の計算:
$$
\begin{aligned}
v &= \frac{2.0}{4.0} \\[2.0ex]
&= 0.50\,\text{m/s}
\end{aligned}
$$
図1は「波の写真」です。ここから波の長さ(波長)が \(2.0\,\text{m}\) だとわかります。
図2は「ある一点の揺れの記録」です。ここから1回揺れる時間(周期)が \(4.0\,\text{s}\) だとわかります。
あとは公式に入れるだけです。「4秒で1回揺れる」なら「1秒では0.25回揺れる(振動数)」ことになりますし、「4秒で2メートル進む」なら「1秒では0.5メートル進む(速さ)」ことになります。
振幅: \(5.0\,\text{m}\), 波長: \(2.0\,\text{m}\), 周期: \(4.0\,\text{s}\), 振動数: \(0.25\,\text{Hz}\), 速さ: \(0.50\,\text{m/s}\)。
全ての値がグラフと整合しています。
問(2)
思考の道筋とポイント
波の進行方向を特定する問題です。
図1(\(t=0\) の波形)だけでは、波が右に動いているのか左に動いているのかわかりません。
そこで図2(\(x=0\) の振動)の情報を使います。
図2を見ると、\(t=0\) の直後、変位 \(y\) はプラス(上向き)に変化しています。
つまり、「\(t=0\) において、原点 \(x=0\) の媒質は上向きに動こうとしている」ことがわかります。
この動きと矛盾しないのは、波がどちらに動く場合かを考えます。
この設問における重要なポイント
- 図2より、\(t=0\) 直後の原点の速度は正(上向き)である。
- 図1の波形を少しだけ右(正の向き)と左(負の向き)にずらしてみて、原点の変位が正になる方を選ぶ。
具体的な解説と立式
図2(\(y-t\) グラフ)より、\(t=0\) の直後、原点 \(x=0\) の変位 \(y\) は正の値をとっています。これは、時刻 \(t=0\) において原点の媒質が \(y\) 軸の正の向き(上向き)に運動していることを意味します。
次に図1(\(y-x\) グラフ)を見ます。原点 \(x=0\) 付近の波形は、原点を通って右上がりになっています。
もし波が正の向き(右)に進むとすると、原点には左側(\(x<0\))の波形がやってきます。左側の波形は負(\(y<0\))なので、原点は下に動くことになります。これは図2の情報と矛盾します。
もし波が負の向き(左)に進むとすると、原点には右側(\(x>0\))の波形がやってきます。右側の波形は正(\(y>0\))なので、原点は上に動くことになります。これは図2の情報と一致します。
したがって、波は負の向きに進んでいます。
使用した物理公式
- なし(グラフの読み取りと論理的推論)
なし
図2を見ると、スタート(\(t=0\))の直後にグラフが上に上がっています。つまり、原点にある物体は「これから上に動くぞ」という状態です。
図1の波の形を見てください。原点の右側には「山」があり、左側には「谷」があります。
もし波が右から左(負の向き)に来るなら、右にある「山」が原点にやってくるので、原点は上に持ち上げられます。これは図2と合っています。
逆に、もし波が左から右(正の向き)に行くなら、左にある「谷」が原点に来るので、原点は下に下がってしまいます。これは図2と合いません。
だから、波は負の向きに進んでいるとわかります。
負の向き。
思考の道筋とポイント
波の進行方向を判定するために、波形全体を少しだけ動かしてみる方法です。
「波が動く」ということは、「波形グラフ全体が平行移動する」ということです。
この設問における重要なポイント
- 波形を右(正の向き)に少しずらしたグラフと、左(負の向き)に少しずらしたグラフを想像(または描画)する。
- それぞれのグラフにおいて、原点 \(x=0\) の変位がどうなっているかを確認する。
- 図2の情報(\(t=0\) 直後に \(y>0\))と一致する方を選ぶ。
具体的な解説と立式
図1の波形を、\(x\) 軸の正の向き(右)に少しだけ平行移動させてみます。
すると、原点 \(x=0\) の位置には、もともと左側にあった「谷」の部分が移動してくるため、変位 \(y\) は負になります。
これは、図2の「\(t=0\) 直後に \(y\) が正になる」という情報と矛盾します。
次に、図1の波形を、\(x\) 軸の負の向き(左)に少しだけ平行移動させてみます。
すると、原点 \(x=0\) の位置には、もともと右側にあった「山」の部分が移動してくるため、変位 \(y\) は正になります。
これは、図2の情報と一致します。
したがって、波は負の向きに進んでいると判断できます。
使用した物理公式
- なし(幾何学的考察)
なし
波の写真を、頭の中で少しだけ右に動かしてみたり、左に動かしてみたりします。
右に動かすと、原点の点は下に下がってしまいます。
左に動かすと、原点の点は上に上がります。
図2を見ると、原点の点は上に動くはずなので、波は左(負の向き)に動いていることがわかります。
負の向き。メインの解法と同じ結論が得られました。
問(3)
思考の道筋とポイント
波の式を決定し、指定された形式の係数を求めます。
手順は以下の通りです。
1. 原点 \(x=0\) の振動の式を作る(図2から)。
2. 波が負の向きに進むことを考慮して、位置 \(x\) での式を作る(\(t\) を \(t + x/v\) に置き換える)。
3. 得られた式を問題の形式 \(y = \text{①} \sin \{ \pi (\text{②}x + \text{③}t) \}\) に変形し、係数を比較する。
この設問における重要なポイント
- 原点の振動は \(y = A \sin \omega t\) の形(\(t=0\) で \(0\) から正に増える)。
- 負の向きに進む波なので、\(y(x, t) = y(0, t + x/v)\) となる。
- 係数比較のために、\(\sin\) の中身を \(\pi(\dots)\) の形にくくり出す必要がある。
具体的な解説と立式
まず、原点 \(x=0\) の振動の式を作ります。
図2より、振幅 \(A=5.0\)、周期 \(T=4.0\) の正弦波(サインカーブ)なので、
$$
\begin{aligned}
y(0, t) &= A \sin \frac{2\pi}{T}t
\end{aligned}
$$
数値を代入します。
$$
\begin{aligned}
y(0, t) &= 5.0 \sin \frac{2\pi}{4.0}t \\[2.0ex]
&= 5.0 \sin \frac{\pi}{2.0}t
\end{aligned}
$$
波は負の向きに速さ \(v = 0.50\,\text{m/s}\) で進むので、位置 \(x\) での時刻 \(t\) の変位は、原点での時刻 \(t + \frac{x}{v}\) の変位と等しくなります。
$$
\begin{aligned}
y(x, t) &= 5.0 \sin \frac{\pi}{2.0} \left( t + \frac{x}{0.50} \right)
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 原点の振動: \(y = A \sin \frac{2\pi}{T}t\)
- 負の向きに進む波: \(y(x, t) = y(0, t + x/v)\)
式を整理して、問題の形式に合わせます。
$$
\begin{aligned}
y &= 5.0 \sin \frac{\pi}{2.0} (t + 2.0x) \\[2.0ex]
&= 5.0 \sin \left( \frac{\pi}{2.0}t + \frac{\pi}{2.0} \times 2.0x \right) \\[2.0ex]
&= 5.0 \sin (\pi \times 0.50t + \pi \times 1.0x) \\[2.0ex]
&= 5.0 \sin \{ \pi (1.0x + 0.50t) \}
\end{aligned}
$$
係数を比較します。
① \(= 5.0\)
② \(= 1.0\)
③ \(= 0.50\)
まず、原点の揺れ方を式にします。図2を見るときれいなサインカーブなので、\(y = 5.0 \sin(\dots)\) となります。
次に、波が「負の向き」に進むので、位置 \(x\) の揺れは原点の揺れよりも「進んで」います(未来を先取りしています)。だから時間の部分 \(t\) を \(t + \frac{x}{v}\) に書き換えます。
最後に、計算して出てきた式を、問題文の空欄の形に合うように変形します。特に \(\pi\) をカッコの外に出すのを忘れないようにしましょう。
① \(5.0\), ② \(1.0\), ③ \(0.50\)。
単位を確認すると、
② \(x\) の係数は \([1/\text{m}]\)(波数の半分)、
③ \(t\) の係数は \([1/\text{s}]\)(振動数の2倍)
となっており、\(\pi\) が掛かることで位相(無次元)になるため正しいです。
思考の道筋とポイント
負の向きに進む正弦波の一般式 \(y = A \sin 2\pi (\frac{t}{T} + \frac{x}{\lambda})\) を知っていれば、これに数値を代入するだけで解けます。
この設問における重要なポイント
- 負の向きに進む波の一般式: \(y = A \sin 2\pi (\frac{t}{T} + \frac{x}{\lambda})\)
- あるいは \(y = A \sin (\omega t + kx)\)
具体的な解説と立式
負の向きに進む正弦波の一般式は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
y &= A \sin 2\pi \left( \frac{x}{\lambda} + \frac{t}{T} \right)
\end{aligned}
$$
ここに、(1)で求めた \(A=5.0\), \(\lambda=2.0\), \(T=4.0\) を代入します。
使用した物理公式
- 負の向きに進む正弦波の一般式: \(y = A \sin 2\pi (\frac{x}{\lambda} + \frac{t}{T})\)
代入して整理します。
$$
\begin{aligned}
y &= 5.0 \sin 2\pi \left( \frac{x}{2.0} + \frac{t}{4.0} \right) \\[2.0ex]
&= 5.0 \sin \pi \left( 2 \times \frac{x}{2.0} + 2 \times \frac{t}{4.0} \right) \\[2.0ex]
&= 5.0 \sin \pi (1.0x + 0.50t)
\end{aligned}
$$
係数を比較すると、① \(5.0\), ② \(1.0\), ③ \(0.50\) となり、同じ結果が得られます。
「波の式」には決まった形(公式)があります。波が左に進むときは、\(x\) と \(t\) の間がプラスになります。
この公式に、グラフから読み取った波長や周期の数字をそのまま当てはめるだけで、答えの式が一発で作れます。
メインの解法と同じ結果が得られました。式の形を覚えている場合はこちらの方が速いです。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 2つのグラフ(\(y-x\) と \(y-t\))の情報の統合
- 核心: 波動の問題では、空間的な情報(波形)と時間的な情報(振動)を組み合わせて、波の全体像(進行方向や速度)を把握することが求められます。
- 理解のポイント:
- \(y-x\) グラフ: 「ある瞬間」の波の形。ここから波長 \(\lambda\) がわかります。
- \(y-t\) グラフ: 「ある場所」の揺れの記録。ここから周期 \(T\) がわかります。
- 進行方向の決定: \(t=0\) の波形(\(y-x\))と、\(t=0\) 直後の原点の動き(\(y-t\))を突き合わせることで、波がどちらに進んでいるかを論理的に決定できます。
- 波の式の構造と係数の意味
- 核心: 波の式 \(y = A \sin 2\pi (\frac{t}{T} \pm \frac{x}{\lambda})\) の構造を理解し、具体的な数値(\(A, T, \lambda\))を代入して式を完成させる能力です。
- 理解のポイント:
- 符号の意味: \(t\) と \(x\) の項の符号が異なれば(\(t-x\) や \(x-t\))正の向き、同じなら(\(t+x\))負の向きに進む波を表します。
- 係数の物理的意味: \(t\) の係数は角振動数 \(\omega\)(または \(2\pi/T\))、\(x\) の係数は波数 \(k\)(または \(2\pi/\lambda\))に関連しています。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- \(y-t\) グラフの位置が原点以外の場合: 図2が \(x=0\) ではなく \(x=x_1\) での振動を表している場合、その位置 \(x_1\) での振動の式を作り、そこから \(x\) 軸全体へ拡張する必要があります。\(t\) を \(t \mp (x-x_1)/v\) に置き換える操作になります。
- 初期位相がある場合: \(y-t\) グラフが \(0\) から始まらない場合、\(y = A \sin(\omega t + \phi)\) のように初期位相 \(\phi\) を読み取る必要があります。
- 反射波との合成: 入射波と反射波の式を足し合わせて定常波の式を作る問題でも、基礎となるのはこの「進行波の式の決定」です。
- 初見の問題での着眼点:
- グラフの軸を必ず確認する: 横軸が \(x\) なのか \(t\) なのかで、読み取れる情報(\(\lambda\) か \(T\))が全く異なります。
- \(t=0, x=0\) 近傍の挙動を見る: 波の進行方向が未知の場合、\(t=0\) の波形グラフの原点付近の傾きと、\(x=0\) の振動グラフの \(t=0\) 直後の変化の向きを比較します。「波形を少しずらす」という別解のテクニックが非常に有効です。
- 単位を確認する: 係数比較の問題では、\(\pi\) がくくり出されているか、\(2\pi\) なのかによって係数の値が変わります。問題文の式の形をよく見て、自分の作った式を変形しましょう。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 波長 \(\lambda\) と周期 \(T\) の混同:
- 誤解: \(y-x\) グラフから周期を読んだり、\(y-t\) グラフから波長を読んだりしてしまう。
- 対策: 「\(x\)(長さ)のグラフからは長さ(波長)」「\(t\)(時間)のグラフからは時間(周期)」と、次元(単位)を意識して対応させましょう。
- 進行方向の判定ミス:
- 誤解: \(y-x\) グラフの原点付近が右上がりなのを見て、「原点は上に動く」と直感的に思ってしまう(実際は波の進行方向による)。
- 対策: 必ず「波を少しずらして描く」か、「波の進行方向と逆向きに媒質の速度ベクトルを書き込む」という手順を踏んでください。直感に頼らず、幾何学的な操作で確認するのが確実です。
- 式の変形ミス:
- 誤解: 自分で作った式 \(y = 5.0 \sin \frac{\pi}{2.0}(t + 2.0x)\) と、問題の式 \(y = \text{①} \sin \{ \pi (\text{②}x + \text{③}t) \}\) を比較する際、\(\pi\) のくくり出しや \(x, t\) の順番を見落として係数を間違える。
- 対策: 自分の式を、問題文の式と全く同じ形(\(\pi\) を外に出し、\(x\) の項を先頭にするなど)になるまで丁寧に式変形してから、係数を比較しましょう。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 問(1)での公式選択(波の基本公式):
- 選定理由: 波長、周期、振動数、速さという波の基本量をつなぐ関係式は \(v = f\lambda = \lambda/T\) しかありません。
- 適用根拠: グラフから直接読み取れる \(\lambda\) と \(T\) を使って、計算が必要な \(f\) と \(v\) を求めるための最短ルートです。
- 問(3)でのアプローチ選択(時間遅れ vs 一般式):
- 選定理由: 模範解答のアプローチ(時間遅れ)は、公式を忘れていても導けるため汎用性が高いです。一方、別解のアプローチ(一般式)は、式の形を覚えている場合には計算が速く、ミスも少なくなります。
- 適用根拠: どちらも物理的には等価です。試験場では、自信のある方(あるいは検算として両方)を使うのが良いでしょう。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 係数の単位チェック:
- 求めた係数 ② \(1.0\) と ③ \(0.50\) を式に戻して単位を確認します。\(\pi(1.0x + 0.50t)\) の中身は無次元になるはずです。
- \(1.0 \times x\) [m] \(\rightarrow\) 単位が残る? \(\rightarrow\) 実は係数に [1/m] の単位がある。
- \(0.50 \times t\) [s] \(\rightarrow\) 単位が残る? \(\rightarrow\) 実は係数に [1/s] の単位がある。
- このように、係数が物理的な意味(波数や角振動数の一部)を持っていることを意識すると、数値の妥当性を判断できます。
- 具体的な値の代入:
- 完成した式 \(y = 5.0 \sin \{ \pi (1.0x + 0.50t) \}\) に、\(t=0, x=0\) を代入して \(y=0\) になるか、\(t=1.0\)(\(T/4\))を代入して \(y=5.0\)(最大値)になるかなどを確認します。これで式の形や係数が正しいかどうかの強力な検算になります。
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