「物理重要問題集2026」徹底解説(157〜159問):未来の得点力へ!完全マスター講座

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問題157 中性子による核反応 (18 同志社大)

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(エ)・(オ)の別解: 微積分を用いた体系的解法(運動方程式の積分)
      • 模範解答が運動量保存則を既知の公式として適用するのに対し、別解では分裂時の内力による運動方程式を立て、それを時間積分することで原理から運動量保存則とエネルギー比を一括して導出します。
    • 設問(ク)の別解: 微積分を用いた体系的解法(空間的減衰の微分方程式)
      • 模範解答が等比数列的な割合の計算で解くのに対し、別解では「減衰率が現在の値に比例する」という物理モデルから微分方程式を立て、それを積分して指数関数的な減衰則を導出します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 運動方程式の積分: 「なぜ運動量が保存されるのか」という根本的な理由(内力の力積が相殺されること)を数式で確認でき、力学の体系的な理解が深まります。
    • 微分方程式による減衰モデル: 放射性崩壊や光の吸収など、自然界に広く見られる指数関数的な減衰現象の背後にある共通の数学的構造(微分方程式)を学ぶことができ、応用力が養われます。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的な答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「中性子捕捉反応に伴う原子核の分裂と、エネルギー・運動量の保存」です。
核反応によって生じたエネルギーが、質量欠損、粒子の運動エネルギー、電磁波(\(\gamma\)線)のエネルギーにどのように分配されるかを追跡します。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  • 質量とエネルギーの等価性: アインシュタインの関係式 \(E = mc^2\) により、質量とエネルギーは互いに変換可能です。
  • 運動量保存則: 外力が働かない系(分裂反応など)では、反応の前後で系全体の運動量の和が保存されます。
  • 光子のエネルギーと運動量: 振動数 \(\nu\) の光子(\(\gamma\)線)は、エネルギー \(E = h\nu\)、運動量 \(p = \frac{h\nu}{c}\) を持ちます。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  • (ア)〜(ウ)では、与えられたエネルギーの値を、質量、電場による仕事、静電気力による位置エネルギーの公式にそれぞれ当てはめて物理量を逆算します。
  • (エ)・(オ)では、分裂反応における運動量保存則を用いて速度の比を求め、そこから運動エネルギーの比を計算します。
  • (カ)・(キ)では、\(\gamma\)線のエネルギーから、光子の公式を用いて振動数と運動量を求めます。
  • (ク)では、一定距離ごとにエネルギーが半減するという性質を利用し、等比数列的に距離を計算します。

問(ア)

思考の道筋とポイント
反応によって発生したエネルギー \(E\) が、どれだけの質量 \(m\) に相当するかを求めます。アインシュタインの質量とエネルギーの等価性の公式を用います。

この設問における重要なポイント

  • 質量とエネルギーの等価性: 質量 \(m\) が完全にエネルギーに変換された場合、そのエネルギー \(E\) は \(E = mc^2\) で表されます。

具体的な解説と立式
発生したエネルギーを \(E\)、相当する質量を \(m\)、光の速さを \(c\) とします。
質量とエネルギーの等価性の関係式は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
E &= mc^2
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 質量とエネルギーの等価性: \(E = mc^2\)
計算過程

式を変形して質量 \(m\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
m &= \frac{E}{c^2}
\end{aligned}
$$
与えられた数値 \(E = 4.0 \times 10^{-13}\,\text{J}\)、\(c = 3.0 \times 10^8\,\text{m}/\text{s}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
m &= \frac{4.0 \times 10^{-13}}{(3.0 \times 10^8)^2} \\[2.0ex]
&= \frac{4.0 \times 10^{-13}}{9.0 \times 10^{16}} \\[2.0ex]
&= \frac{4.0}{9.0} \times 10^{-29} \\[2.0ex]
&\approx 0.444 \times 10^{-29} \\[2.0ex]
&= 4.44 \times 10^{-30}\,\text{kg}
\end{aligned}
$$
有効数字2桁に丸めます。

この設問の平易な説明

アインシュタインの有名な公式 \(E=mc^2\) は、「質量とエネルギーは同じものの別の姿である」ということを示しています。今回発生した莫大なエネルギーも、質量に換算するとほんのわずかな量(\(10^{-30}\,\text{kg}\) のオーダー)にすぎないことがわかります。

結論と吟味

計算結果は \(4.4 \times 10^{-30}\,\text{kg}\) となりました。電子の質量が約 \(9.1 \times 10^{-31}\,\text{kg}\) であることを考えると、電子数個分程度の非常に小さな質量欠損によって、このエネルギーが生み出されていることがわかり、物理的に妥当なスケールです。

解答 (ア) \(4.4 \times 10^{-30}\)

問(イ)

思考の道筋とポイント
発生したエネルギー \(E\) と同じ大きさのエネルギーを、電場による加速で得るための電圧 \(V\) を求めます。電荷 \(q\) が電圧 \(V\) で加速されるときに得るエネルギー(電場がする仕事)の公式を用います。

この設問における重要なポイント

  • 電場による仕事: 電荷 \(q\) が電位差 \(V\) を移動するとき、電場から受ける仕事(得る運動エネルギー)は \(W = qV\) となります。
  • 水素原子核の電荷: 水素原子核 \({}_1^2\text{H}\)(重水素)は陽子1個と中性子1個からなるため、その電荷は電気素量 \(+e\) と等しくなります。

具体的な解説と立式
水素原子核の電荷を \(e\)、加速電圧を \(V\) とします。
加速によって得るエネルギー \(E\) は以下の式で表されます。
$$
\begin{aligned}
E &= eV
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 電場による仕事: \(W = qV\)
計算過程

式を変形して電圧 \(V\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
V &= \frac{E}{e}
\end{aligned}
$$
与えられた数値 \(E = 4.0 \times 10^{-13}\,\text{J}\)、\(e = 1.6 \times 10^{-19}\,\text{C}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
V &= \frac{4.0 \times 10^{-13}}{1.6 \times 10^{-19}} \\[2.0ex]
&= \frac{4.0}{1.6} \times 10^6 \\[2.0ex]
&= 2.5 \times 10^6\,\text{V}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

電気を持った粒を電圧の坂道で転がすと、勢い(エネルギー)がつきます。今回は、水素の原子核(プラスの電気を1つ持つ)を転がして、先ほどと同じだけのエネルギーを持たせるには、どれくらい高い坂道(電圧)が必要かを計算しました。

結論と吟味

計算結果は \(2.5 \times 10^6\,\text{V}\)(\(2.5\,\text{MV}\))となりました。核反応で生じるエネルギーは数 \(\text{MeV}\)(メガ電子ボルト)のオーダーであることが多く、この結果は核物理学の一般的なスケールと完全に一致しています。

解答 (イ) \(2.5 \times 10^6\)

問(ウ)

思考の道筋とポイント
2つの原子核の間に働く静電気力(クーロン力)による位置エネルギー \(U\) が与えられているので、そこから原子核間の距離 \(r\) を逆算します。

この設問における重要なポイント

  • 静電気力による位置エネルギー: 電荷 \(q_1\) と \(q_2\) が距離 \(r\) 離れているときの位置エネルギーは \(U = k_0 \frac{q_1 q_2}{r}\) です。
  • 各原子核の電荷: \({}_3^7\text{Li}\) は原子番号が3なので電荷は \(+3e\)、\({}_2^4\text{He}\) は原子番号が2なので電荷は \(+2e\) です。

具体的な解説と立式
\({}_3^7\text{Li}\) の電荷を \(q_1 = +3e\)、\({}_2^4\text{He}\) の電荷を \(q_2 = +2e\) とします。
距離 \(r\) 離れたときの位置エネルギー \(U\) は以下の式で表されます。
$$
\begin{aligned}
U &= k_0 \frac{(+3e)(+2e)}{r}
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 静電気力による位置エネルギー: \(U = k_0 \frac{q_1 q_2}{r}\)
計算過程

式を整理し、距離 \(r\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
U &= \frac{6 k_0 e^2}{r}
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
r &= \frac{6 k_0 e^2}{U}
\end{aligned}
$$
与えられた数値 \(k_0 = 9.0 \times 10^9\,\text{N} \cdot \text{m}^2/\text{C}^2\)、\(e = 1.6 \times 10^{-19}\,\text{C}\)、\(U = 6.4 \times 10^{-15}\,\text{J}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
r &= \frac{6 \times 9.0 \times 10^9 \times (1.6 \times 10^{-19})^2}{6.4 \times 10^{-15}} \\[2.0ex]
&= \frac{54.0 \times 10^9 \times 2.56 \times 10^{-38}}{6.4 \times 10^{-15}} \\[2.0ex]
&= \frac{138.24 \times 10^{-29}}{6.4 \times 10^{-15}} \\[2.0ex]
&= 21.6 \times 10^{-14} \\[2.0ex]
&= 2.16 \times 10^{-13}\,\text{m}
\end{aligned}
$$
有効数字2桁に丸めます。

この設問の平易な説明

プラスの電気を持った原子核同士は、磁石のN極同士のように反発し合います。無理やり近づけると、反発力に逆らって押し込むためのエネルギー(位置エネルギー)が蓄えられます。今回は「これだけのエネルギーが蓄えられているなら、2つの原子核はどれくらい近づいているか?」を計算しました。

結論と吟味

計算結果は \(2.2 \times 10^{-13}\,\text{m}\) となりました。原子核の大きさ(半径)はおよそ \(10^{-15}\,\text{m}\) のオーダーであり、原子の大きさはおよそ \(10^{-10}\,\text{m}\) のオーダーです。したがって、この距離は原子核同士が十分に離れて点電荷とみなせる距離であり、問題の設定と整合しています。

解答 (ウ) \(2.2 \times 10^{-13}\)

問(エ)

思考の道筋とポイント
中性子を吸収したホウ素原子核が、リチウム原子核とヘリウム原子核に分裂する過程を考えます。中性子の運動量を無視できるため、反応前の系全体の運動量は \(0\) です。外力が働かないため運動量保存則が成り立ち、反応後の2つの原子核の運動量の和も \(0\) になります。ここから速さの比を求めます。

この設問における重要なポイント

  • 運動量保存則: 分裂反応のように内力のみが働く系では、系全体の運動量ベクトルは保存されます。
  • 質量の近似: 原子核の質量は、近似的に質量数(陽子と中性子の数の和)に比例するとみなすことができます。

具体的な解説と立式
問題の図aに合わせて、\({}_2^4\text{He}\) が右向きに速さ \(v_{\text{ヘリウム}}\) で、\({}_3^7\text{Li}\) が左向きに速さ \(v_{\text{リチウム}}\) で飛び出すとします。
右向きを正の向きとします。
反応前の系全体の運動量は \(0\) です。
反応後の \({}_2^4\text{He}\) の運動量は \(m_{\text{ヘリウム}} v_{\text{ヘリウム}}\)、\({}_3^7\text{Li}\) の運動量は \(m_{\text{リチウム}} (-v_{\text{リチウム}})\) です。
運動量保存則より、以下の式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
0 &= m_{\text{ヘリウム}} v_{\text{ヘリウム}} – m_{\text{リチウム}} v_{\text{リチウム}}
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 運動量保存則: \(m_1 v_1 + m_2 v_2 = \text{一定}\)
計算過程

式を変形して、速さの比 \(\frac{v_{\text{リチウム}}}{v_{\text{ヘリウム}}}\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
m_{\text{リチウム}} v_{\text{リチウム}} &= m_{\text{ヘリウム}} v_{\text{ヘリウム}}
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
\frac{v_{\text{リチウム}}}{v_{\text{ヘリウム}}} &= \frac{m_{\text{ヘリウム}}}{m_{\text{リチウム}}}
\end{aligned}
$$
質量は質量数に比例するとみなせるため、\(m_{\text{ヘリウム}} : m_{\text{リチウム}} = 4 : 7\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
\frac{v_{\text{リチウム}}}{v_{\text{ヘリウム}}} &= \frac{4}{7} \\[2.0ex]
&\approx 0.571
\end{aligned}
$$
有効数字2桁に丸めます。

この設問の平易な説明

静止していたものが2つに割れて飛んでいくとき、両者は必ず反対方向に飛び出します。このとき、軽い破片ほど速く飛び、重い破片ほど遅く飛びます。ヘリウム(重さ4)とリチウム(重さ7)では、ヘリウムの方が軽いので速く飛びます。その速さの比は、重さの比の逆数になります。

結論と吟味

速さの比が質量の逆比になることは、運動量保存則からの直接的な帰結であり、物理的に妥当です。軽いヘリウムの方が速く飛ぶという直感とも一致しています。

解答 (エ) \(5.7 \times 10^{-1}\)
別解: 微積分を用いた体系的解法(運動方程式の積分)

思考の道筋とポイント
運動量保存則を既知の公式として使うのではなく、分裂時に2つの原子核が互いに及ぼし合う力(内力)から出発し、運動方程式を立てて時間積分することで、原理から運動量保存則を導き出します。

この設問における重要なポイント

  • 作用反作用の法則: 分裂時、\({}_2^4\text{He}\) と \({}_3^7\text{Li}\) は互いに逆向きで同じ大きさの力を及ぼし合います。
  • 運動方程式と力積: 力を時間積分したものが力積であり、力積は運動量の変化に等しくなります。

具体的な解説と立式
図aのように、\({}_2^4\text{He}\) が右向きに、\({}_3^7\text{Li}\) が左向きに飛び出すとします。
分裂の瞬間、\({}_2^4\text{He}\) が受ける右向きの力を \(F(t)\) とします。作用反作用の法則により、\({}_3^7\text{Li}\) が受ける力は左向きに \(F(t)\) となります。
右向きを正の向きとします。
\({}_2^4\text{He}\) の加速度を \(a_{\text{ヘリウム}}\)、\({}_3^7\text{Li}\) の加速度を \(a_{\text{リチウム}}\) とすると、それぞれの運動方程式は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
m_{\text{ヘリウム}} a_{\text{ヘリウム}} &= F(t)
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
m_{\text{リチウム}} a_{\text{リチウム}} &= -F(t)
\end{aligned}
$$
加速度は速度の微分であるため、\({}_2^4\text{He}\) の速度を \(v_{\text{ヘリウム}}\)(右向きなので正)、\({}_3^7\text{Li}\) の速度を \(-v_{\text{リチウム}}\)(左向きなので負)として書き換えます。
$$
\begin{aligned}
m_{\text{ヘリウム}} \frac{dv_{\text{ヘリウム}}}{dt} &= F(t)
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
m_{\text{リチウム}} \frac{d(-v_{\text{リチウム}})}{dt} &= -F(t)
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 運動方程式: \(ma = F\)
  • 加速度の定義: \(a = \frac{dv}{dt}\)
計算過程

両辺を、分裂が始まる時刻 \(t=0\) から分裂が終わる時刻 \(t=t_1\) まで時間積分します。反応前の速度は共に \(0\) です。
$$
\begin{aligned}
\int_{0}^{t_1} m_{\text{ヘリウム}} \frac{dv_{\text{ヘリウム}}}{dt} dt &= \int_{0}^{t_1} F(t) dt
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
\int_{0}^{t_1} m_{\text{リチウム}} \frac{d(-v_{\text{リチウム}})}{dt} dt &= \int_{0}^{t_1} -F(t) dt
\end{aligned}
$$
ここで、右辺の積分は \({}_2^4\text{He}\) が受けた力積を表すため、これを \(I\) とおきます。
$$
\begin{aligned}
I &= \int_{0}^{t_1} F(t) dt
\end{aligned}
$$
左辺の積分を実行します。
$$
\begin{aligned}
m_{\text{ヘリウム}} v_{\text{ヘリウム}} – 0 &= I
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
-m_{\text{リチウム}} v_{\text{リチウム}} – 0 &= -I
\end{aligned}
$$
下の式を変形します。
$$
\begin{aligned}
m_{\text{リチウム}} v_{\text{リチウム}} &= I
\end{aligned}
$$
上の式と等置して \(I\) を消去します。
$$
\begin{aligned}
m_{\text{ヘリウム}} v_{\text{ヘリウム}} &= m_{\text{リチウム}} v_{\text{リチウム}}
\end{aligned}
$$
これが運動量保存則です。この式から速さの比を求めます。
$$
\begin{aligned}
\frac{v_{\text{リチウム}}}{v_{\text{ヘリウム}}} &= \frac{m_{\text{ヘリウム}}}{m_{\text{リチウム}}}
\end{aligned}
$$
質量比は質量数に等しいとみなせるため、\(m_{\text{ヘリウム}} : m_{\text{リチウム}} = 4 : 7\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
\frac{v_{\text{リチウム}}}{v_{\text{ヘリウム}}} &= \frac{4}{7} \\[2.0ex]
&\approx 0.571
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

分裂するとき、2つの原子核は互いに押し合います。このとき、押す力と押し返される力は常に同じ大きさで逆向きです(作用反作用)。同じ時間だけ同じ大きさの力を受け続けるので、2つの原子核が受け取る「勢い(力積)」の大きさは全く同じになります。勢い(運動量)が同じなら、軽い方(ヘリウム)は速く飛び、重い方(リチウム)は遅く飛ぶことになります。

結論と吟味

運動方程式から出発しても、運動量保存則を用いた場合と全く同じ結論が得られました。内力が相殺される系では運動量が保存されるという力学の基本原理が確認できます。

解答 (エ) \(5.7 \times 10^{-1}\)

問(オ)

思考の道筋とポイント
設問(エ)で求めた速さの比を用いて、運動エネルギーの比を計算します。運動エネルギーの定義式に代入して比をとるだけです。

この設問における重要なポイント

  • 運動エネルギーの定義: 質量 \(m\)、速さ \(v\) の粒子の運動エネルギーは \(K = \frac{1}{2}mv^2\) です。

具体的な解説と立式
\({}_3^7\text{Li}\) の運動エネルギーを \(K_{\text{リチウム}}\)、\({}_2^4\text{He}\) の運動エネルギーを \(K_{\text{ヘリウム}}\) とします。
それぞれの運動エネルギーは以下の式で表されます。
$$
\begin{aligned}
K_{\text{リチウム}} &= \frac{1}{2} m_{\text{リチウム}} v_{\text{リチウム}}^2
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
K_{\text{ヘリウム}} &= \frac{1}{2} m_{\text{ヘリウム}} v_{\text{ヘリウム}}^2
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 運動エネルギー: \(K = \frac{1}{2}mv^2\)
計算過程

運動エネルギーの比を計算します。
$$
\begin{aligned}
\frac{K_{\text{リチウム}}}{K_{\text{ヘリウム}}} &= \frac{\frac{1}{2} m_{\text{リチウム}} v_{\text{リチウム}}^2}{\frac{1}{2} m_{\text{ヘリウム}} v_{\text{ヘリウム}}^2} \\[2.0ex]
&= \frac{m_{\text{リチウム}}}{m_{\text{ヘリウム}}} \left(\frac{v_{\text{リチウム}}}{v_{\text{ヘリウム}}}\right)^2
\end{aligned}
$$
設問(エ)より \(\frac{v_{\text{リチウム}}}{v_{\text{ヘリウム}}} = \frac{m_{\text{ヘリウム}}}{m_{\text{リチウム}}}\) であるため、これを代入します。
$$
\begin{aligned}
\frac{K_{\text{リチウム}}}{K_{\text{ヘリウム}}} &= \frac{m_{\text{リチウム}}}{m_{\text{ヘリウム}}} \left(\frac{m_{\text{ヘリウム}}}{m_{\text{リチウム}}}\right)^2 \\[2.0ex]
&= \frac{m_{\text{ヘリウム}}}{m_{\text{リチウム}}}
\end{aligned}
$$
質量比 \(m_{\text{ヘリウム}} : m_{\text{リチウム}} = 4 : 7\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
\frac{K_{\text{リチウム}}}{K_{\text{ヘリウム}}} &= \frac{4}{7} \\[2.0ex]
&\approx 0.571
\end{aligned}
$$
有効数字2桁に丸めます。

この設問の平易な説明

運動エネルギーは「重さ \(\times\) 速さの2乗」で決まります。リチウムはヘリウムより重いですが、その分だけ速さが遅くなっています。速さは2乗で効いてくるため、結果として遅いリチウムの方が運動エネルギーは小さくなります。

結論と吟味

計算の結果、運動エネルギーの比は質量の逆比になることがわかりました。これは、運動量が等しい2物体の運動エネルギーが質量に反比例するという一般的な性質と一致しており、妥当な結果です。

解答 (オ) \(5.7 \times 10^{-1}\)
別解: 微積分を用いた体系的解法(運動方程式の積分)

思考の道筋とポイント
設問(エ)の別解で導出した、力積 \(I\) を用いた運動量の表現を利用して、運動エネルギーの比を計算します。

この設問における重要なポイント

  • 運動エネルギーと運動量の関係: 運動エネルギー \(K\) は、運動量 \(p\) を用いて \(K = \frac{p^2}{2m}\) と表すことができます。

具体的な解説と立式
設問(エ)の別解より、それぞれの原子核が受けた力積の大きさを \(I\) とすると、反応後の運動量の大きさは共に \(I\) となります。
$$
\begin{aligned}
m_{\text{ヘリウム}} v_{\text{ヘリウム}} &= I
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
m_{\text{リチウム}} v_{\text{リチウム}} &= I
\end{aligned}
$$
それぞれの運動エネルギー \(K_{\text{ヘリウム}}\)、\(K_{\text{リチウム}}\) は、この力積 \(I\) を用いて次のように表せます。
$$
\begin{aligned}
K_{\text{ヘリウム}} &= \frac{I^2}{2 m_{\text{ヘリウム}}}
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
K_{\text{リチウム}} &= \frac{I^2}{2 m_{\text{リチウム}}}
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 運動エネルギーと運動量の関係: \(K = \frac{p^2}{2m}\)
計算過程

運動エネルギーの比を計算します。
$$
\begin{aligned}
\frac{K_{\text{リチウム}}}{K_{\text{ヘリウム}}} &= \frac{\frac{I^2}{2 m_{\text{リチウム}}}}{\frac{I^2}{2 m_{\text{ヘリウム}}}} \\[2.0ex]
&= \frac{m_{\text{ヘリウム}}}{m_{\text{リチウム}}}
\end{aligned}
$$
質量比 \(m_{\text{ヘリウム}} : m_{\text{リチウム}} = 4 : 7\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
\frac{K_{\text{リチウム}}}{K_{\text{ヘリウム}}} &= \frac{4}{7} \\[2.0ex]
&\approx 0.571
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

2つの原子核は同じ大きさの「勢い(運動量)」を持っています。運動エネルギーは「勢いの2乗を質量の2倍で割ったもの」なので、勢いが同じなら、運動エネルギーは質量に反比例します。つまり、軽いヘリウムの方が大きなエネルギーを持ち、重いリチウムの方が小さなエネルギーを持つことになります。

結論と吟味

速度の比を2乗して計算するメイン解法と比べ、運動量が等しいことを利用すると、質量に反比例するという関係がより直接的に導かれます。結果も一致しており妥当です。

解答 (オ) \(5.7 \times 10^{-1}\)

問(カ)

思考の道筋とポイント
発生した\(\gamma\)線のエネルギー \(E_{\gamma}\) から、その振動数 \(\nu\) を求めます。光子のエネルギーと振動数を結びつけるプランクの公式を用います。

この設問における重要なポイント

  • 光子のエネルギー: 振動数 \(\nu\) の光子(電磁波)が持つエネルギーは \(E = h\nu\) で表されます(\(h\) はプランク定数)。

具体的な解説と立式
\(\gamma\)線のエネルギーを \(E_{\gamma}\)、振動数を \(\nu\) とします。
光子のエネルギーの公式より、以下の式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
E_{\gamma} &= h\nu
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 光子のエネルギー: \(E = h\nu\)
計算過程

式を変形して振動数 \(\nu\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
\nu &= \frac{E_{\gamma}}{h}
\end{aligned}
$$
与えられた数値 \(E_{\gamma} = 7.7 \times 10^{-14}\,\text{J}\)、\(h = 6.6 \times 10^{-34}\,\text{J} \cdot \text{s}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
\nu &= \frac{7.7 \times 10^{-14}}{6.6 \times 10^{-34}} \\[2.0ex]
&= \frac{7.7}{6.6} \times 10^{20} \\[2.0ex]
&= \frac{7}{6} \times 10^{20} \\[2.0ex]
&\approx 1.16 \times 10^{20}\,\text{Hz}
\end{aligned}
$$
有効数字2桁に丸めます。

この設問の平易な説明

光や\(\gamma\)線などの電磁波は、波であると同時に「光子」という粒の集まりでもあります。1つの粒が持つエネルギーは、波の「ブルブル震える回数(振動数)」に比例します。今回は、エネルギーの大きさから、1秒間に何回震えているかを逆算しました。

結論と吟味

計算結果は \(1.2 \times 10^{20}\,\text{Hz}\) となりました。可視光線の振動数が \(10^{14}\,\text{Hz}\) のオーダー、X線が \(10^{18}\,\text{Hz}\) のオーダーであることを考えると、\(\gamma\)線として非常に高い振動数(高いエネルギー)を持っていることがわかり、物理的に妥当です。

解答 (カ) \(1.2 \times 10^{20}\)

問(キ)

思考の道筋とポイント
発生した\(\gamma\)線のエネルギー \(E_{\gamma}\) から、その運動量 \(p\) を求めます。光子の運動量とエネルギーの関係式を用います。

この設問における重要なポイント

  • 光子の運動量: 光子の運動量 \(p\) は、エネルギー \(E\) と光の速さ \(c\) を用いて \(p = \frac{E}{c}\) と表されます(または \(p = \frac{h\nu}{c} = \frac{h}{\lambda}\))。

具体的な解説と立式
\(\gamma\)線の運動量を \(p\) とします。
光子の運動量とエネルギーの関係式より、以下の式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
p &= \frac{E_{\gamma}}{c}
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 光子の運動量: \(p = \frac{E}{c}\)
計算過程

与えられた数値 \(E_{\gamma} = 7.7 \times 10^{-14}\,\text{J}\)、\(c = 3.0 \times 10^8\,\text{m}/\text{s}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
p &= \frac{7.7 \times 10^{-14}}{3.0 \times 10^8} \\[2.0ex]
&= \frac{7.7}{3.0} \times 10^{-22} \\[2.0ex]
&\approx 2.56 \times 10^{-22}\,\text{kg} \cdot \text{m}/\text{s}
\end{aligned}
$$
有効数字2桁に丸めます。

この設問の平易な説明

光には質量がありませんが、「勢い(運動量)」は持っています。光の勢いは、光が持つエネルギーを光の速さで割ることで計算できます。

結論と吟味

計算結果は \(2.6 \times 10^{-22}\,\text{kg} \cdot \text{m}/\text{s}\) となりました。これは非常に小さな値ですが、原子レベルの現象においては無視できない大きさであり、光子が物質に衝突した際に運動量を与える(コンプトン散乱など)原因となります。

解答 (キ) \(2.6 \times 10^{-22}\)

問(ク)

思考の道筋とポイント
「ある距離 \(L\) だけ移動すると運動エネルギーが半分になる」という性質から、放出されるエネルギーがもとの \(\frac{15}{16}\) になる(つまり、残りのエネルギーが \(\frac{1}{16}\) になる)までの距離を求めます。半減期と同じように、等比数列的に考えます。

この設問における重要なポイント

  • 半減の繰り返し: 距離 \(L\) 進むごとにエネルギーは \(\frac{1}{2}\) 倍になります。距離 \(2L\) なら \(\left(\frac{1}{2}\right)^2 = \frac{1}{4}\) 倍、距離 \(nL\) なら \(\left(\frac{1}{2}\right)^n\) 倍になります。

具体的な解説と立式
もとの運動エネルギーを \(K_0\)、エネルギーが半分になる距離を \(L = 2.0 \times 10^{-6}\,\text{m}\) とします。
距離 \(x\) 移動したときの残存運動エネルギー \(K(x)\) は以下の式で表されます。
$$
\begin{aligned}
K(x) &= K_0 \left(\frac{1}{2}\right)^{\frac{x}{L}}
\end{aligned}
$$
問題文より、もとの運動エネルギーの \(\frac{15}{16}\) が放出される距離を求めます。このとき、残っている運動エネルギーは \(K_0 – \frac{15}{16} K_0 = \frac{1}{16} K_0\) となります。
したがって、以下の式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{16} K_0 &= K_0 \left(\frac{1}{2}\right)^{\frac{x}{L}}
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 特になし(等比数列の考え方)
計算過程

両辺を \(K_0\) で割ります。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{16} &= \left(\frac{1}{2}\right)^{\frac{x}{L}}
\end{aligned}
$$
\(\frac{1}{16} = \left(\frac{1}{2}\right)^4\) であるため、これを代入します。
$$
\begin{aligned}
\left(\frac{1}{2}\right)^4 &= \left(\frac{1}{2}\right)^{\frac{x}{L}}
\end{aligned}
$$
指数部分を比較します。
$$
\begin{aligned}
4 &= \frac{x}{L}
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
x &= 4L
\end{aligned}
$$
\(L = 2.0 \times 10^{-6}\,\text{m}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
x &= 4 \times 2.0 \times 10^{-6} \\[2.0ex]
&= 8.0 \times 10^{-6}\,\text{m}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

距離 \(L\) 進むとエネルギーは半分(\(\frac{1}{2}\))になります。さらに距離 \(L\) 進むと、そのまた半分(\(\frac{1}{4}\))になります。エネルギーの \(\frac{15}{16}\) を放出したということは、残りが \(\frac{1}{16}\) になったということです。\(\frac{1}{16}\) は「半分」を4回繰り返した値なので、進んだ距離も \(L\) の4回分(4倍)になります。

結論と吟味

「半分になる距離」の整数倍でちょうど \(\frac{1}{16}\) になるという設定は、計算をシンプルにするための典型的な問題設定であり、結果の \(8.0 \times 10^{-6}\,\text{m}\) も細胞の大きさ(数十 \(\mu\text{m}\))より小さく、細胞内でエネルギーを放出しきるというBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)の原理と整合しています。

解答 (ク) \(8.0 \times 10^{-6}\)
別解: 微積分を用いた体系的解法(空間的減衰の微分方程式)

思考の道筋とポイント
「ある距離だけ移動すると運動エネルギーが半分になる」という現象を、微分方程式を用いて数学的にモデル化します。微小な距離を進む間に失われるエネルギーが、その時点でのエネルギーに比例すると仮定して式を立てます。

この設問における重要なポイント

  • 減衰の微分方程式: 変化率が現在の量に比例する現象は、\(\frac{dy}{dx} = -ky\) という微分方程式で表されます。
  • 指数関数的減衰: 上記の微分方程式を解くと、\(y = y_0 e^{-kx}\) という指数関数になります。

具体的な解説と立式
移動距離を \(x\)、その位置での運動エネルギーを \(K(x)\) とします。
微小距離 \(dx\) を移動する間に失われる運動エネルギー \(dK\) が、その時点の運動エネルギー \(K\) に比例すると仮定します。比例定数を \(\lambda\)(\(\lambda > 0\))とすると、以下の微分方程式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
\frac{dK}{dx} &= -\lambda K
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 特になし(減衰現象の数学的モデル化)
計算過程

微分方程式を変数分離して積分します。
$$
\begin{aligned}
\int \frac{1}{K} dK &= \int -\lambda dx
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
\ln K &= -\lambda x + C \quad (\text{Cは積分定数})
\end{aligned}
$$
初期条件として、\(x=0\) のときの運動エネルギーを \(K_0\) とします。
$$
\begin{aligned}
\ln K_0 &= -\lambda \cdot 0 + C
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
C &= \ln K_0
\end{aligned}
$$
これを代入して整理します。
$$
\begin{aligned}
\ln K &= -\lambda x + \ln K_0
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
\ln \frac{K}{K_0} &= -\lambda x
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
K(x) &= K_0 e^{-\lambda x}
\end{aligned}
$$
問題文より、距離 \(L = 2.0 \times 10^{-6}\,\text{m}\) 移動すると運動エネルギーが半分になるため、\(K(L) = \frac{1}{2} K_0\) となります。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{2} K_0 &= K_0 e^{-\lambda L}
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
e^{-\lambda L} &= \frac{1}{2}
\end{aligned}
$$
次に、もとの運動エネルギーの \(\frac{15}{16}\) が放出される距離 \(x\) を求めます。このとき、残っている運動エネルギーは \(K_0 – \frac{15}{16} K_0 = \frac{1}{16} K_0\) です。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{16} K_0 &= K_0 e^{-\lambda x}
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
e^{-\lambda x} &= \frac{1}{16}
\end{aligned}
$$
\(\frac{1}{16} = \left(\frac{1}{2}\right)^4\) であることを利用し、先ほど求めた \(e^{-\lambda L} = \frac{1}{2}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
e^{-\lambda x} &= \left( e^{-\lambda L} \right)^4
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
e^{-\lambda x} &= e^{-4\lambda L}
\end{aligned}
$$
指数部分を比較します。
$$
\begin{aligned}
-\lambda x &= -4\lambda L
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
x &= 4L
\end{aligned}
$$
\(L = 2.0 \times 10^{-6}\,\text{m}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
x &= 4 \times 2.0 \times 10^{-6} \\[2.0ex]
&= 8.0 \times 10^{-6}\,\text{m}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

「進むごとに一定の割合でエネルギーが減る」というルールを、微分の式を使って表しました。これを計算して解くと、「距離が進むにつれて指数関数的に(カーブを描いて)減っていく」という式が得られます。半分になる距離を1セットと考えると、残りが \(\frac{1}{16}\) になるには「半分、そのまた半分…」と4回繰り返す必要があるため、距離は4セット分になります。

結論と吟味

微分方程式から出発しても、等比数列的に考えたメイン解法と全く同じ結論が得られました。放射性物質の半減期など、自然界の減衰現象が共通の数学的モデルで記述できることが確認できます。

解答 (ク) \(8.0 \times 10^{-6}\)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?

  • 質量とエネルギーの等価性
    • 核心: 質量とエネルギーは本質的に同じものであり、\(E = mc^2\) の関係式で互いに変換可能であること。
    • 理解のポイント:
      • 核反応において、反応前後の質量の差(質量欠損)が莫大なエネルギーとして放出されます。
      • 光の速さ \(c\) が非常に大きいため、わずかな質量変化でも大きなエネルギーになります。
  • 運動量保存則(内力のみが働く系)
    • 核心: 外力が働かない系(分裂や衝突など)では、系全体の運動量ベクトルは常に一定に保たれること。
    • 理解のポイント:
      • 静止した原子核が2つに分裂する場合、反応前の運動量は \(0\) なので、反応後の2つの破片の運動量ベクトルは互いに逆向きで大きさが等しくなります。
      • 運動量の大きさが等しいとき、速さは質量に反比例し、運動エネルギーも質量に反比例します。
  • 光子のエネルギーと運動量
    • 核心: 電磁波(\(\gamma\)線など)は波であると同時に「光子」という粒子の性質も持ち、そのエネルギーと運動量は振動数(または波長)で決まること。
    • 理解のポイント:
      • エネルギーは \(E = h\nu\)、運動量は \(p = \frac{E}{c} = \frac{h\nu}{c}\) で表されます。
      • 光子には質量がありませんが、運動量を持つため、物質と衝突した際に力積を与えます。

応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点

  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 放射性崩壊(\(\alpha\)崩壊など): 静止した原子核が\(\alpha\)粒子と娘核に分裂する問題は、本問の(エ)・(オ)と全く同じ構造です。運動量保存則から速度比とエネルギー比を求めます。
    • コンプトン散乱: X線(光子)が電子に衝突して散乱される問題では、光子のエネルギー \(E=h\nu\) と運動量 \(p=\frac{h\nu}{c}\) を用いて、エネルギー保存則と運動量保存則を連立させます。
    • 半減期や吸収係数の問題: 放射性物質の崩壊や、物質中を進む放射線の減衰など、「一定の割合で減少する」現象は、本問の(ク)と同様に等比数列(または指数関数)として処理します。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 「静止した状態からの分裂」を見逃さない: 問題文に「静止した」や「運動量もないものとする」とあれば、反応前の運動量が \(0\) であることを確認し、直ちに「反応後の破片の運動量は大きさが等しく逆向き」と立式します。
    2. エネルギーの単位とスケールに注意する: 核物理の問題では、エネルギーが \(\text{J}\)(ジュール)だけでなく \(\text{eV}\)(電子ボルト)で与えられることもあります。本問のように \(\text{J}\) で計算する場合、質量は \(10^{-30}\,\text{kg}\) オーダー、距離は \(10^{-15}\,\text{m}\) オーダーなど、極端に小さな数値になることを意識して計算ミスを防ぎます。

要注意!ありがちなミス・誤解とその対策

  • 運動エネルギーの比と質量の比の混同:
    • 誤解: 「重い粒子の方がエネルギーが大きい」と直感的に思い込んでしまい、運動エネルギーの比を質量の正比例(\(m_1 : m_2\))にしてしまう。
    • 対策: 分裂反応では「運動量が等しい」ことが大前提です。運動エネルギー \(K = \frac{p^2}{2m}\) の式を思い浮かべ、「\(p\) が一定なら \(K\) は \(m\) に反比例する」と論理的に導く癖をつけましょう。
  • 「放出されるエネルギー」と「残存するエネルギー」の取り違え:
    • 誤解: 設問(ク)で、「\(\frac{15}{16}\) が放出される」という文言を見て、そのまま \(\left(\frac{1}{2}\right)^n = \frac{15}{16}\) という式を立ててしまう。
    • 対策: 減衰の公式(半減期など)は常に「残っている量」を表します。「放出された分」が与えられたら、必ず「全体(\(1\))から引いて、残りはいくらか?」を計算してから式に代入してください。
  • 光子の公式の適用ミス:
    • 誤解: 光子の運動量を求める際に、古典力学の \(p = mv\) を使おうとして、光子の質量が \(0\) であることに混乱してしまう。
    • 対策: 光子(電磁波)に対しては古典力学の公式は使えません。必ず量子力学の公式 \(E = h\nu\)、\(p = \frac{E}{c}\) をセットで暗記し、適用してください。

なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法

  • 運動量保存則(設問エ・オ):
    • 選定理由: 分裂反応において、各粒子の速度やエネルギーを決定するための最も強力で汎用的な法則だからです。
    • 適用根拠: 反応に関与する粒子(中性子、ホウ素、リチウム、ヘリウム)の系に対して、外部から力が働いていない(内力のみで分裂した)ため、運動量保存則が厳密に成立します。
  • 微積分を用いた運動方程式の積分(設問エ・オの別解):
    • 選定理由: 運動量保存則という「結果」を暗記して使うのではなく、「なぜ保存されるのか」という物理的メカニズム(作用反作用と力積)を根本から理解するためです。
    • 適用根拠: ニュートンの運動方程式 \(ma=F\) と作用反作用の法則は古典力学の公理であり、分裂時の内力に対しても常に成立します。
  • 等比数列による減衰計算(設問ク):
    • 選定理由: 「ある距離で半分になる」という条件が明示されており、求める割合(\(\frac{1}{16}\))が \(\frac{1}{2}\) の整数乗で表せるため、最も素早く正確に計算できるからです。
    • 適用根拠: 放射線の物質中でのエネルギー減衰が、移動距離に対して指数関数的に減少するという物理的性質に基づいています。

計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック

  • 指数(10のべき乗)の計算ルールの徹底:
    • 意識: 核物理の問題では、\(10^{-30}\) や \(10^{20}\) といった極端な指数が頻出します。指数の足し算・引き算と、掛け算・割り算のルールを混同しないことが重要です。
    • 実践: 計算の際は、必ず「仮数部(\(1.0\)〜\(9.9\)の数字)」と「指数部(\(10^n\))」を分けて計算します。例えば \(\frac{4.0 \times 10^{-13}}{1.6 \times 10^{-19}}\) なら、まず \(\frac{4.0}{1.6}\) を計算し、次に \(10^{-13 – (-19)} = 10^6\) を計算して、最後に合体させます。
  • 有効数字の処理タイミング:
    • 意識: 途中の計算で有効数字を丸めてしまうと、最終的な答えに誤差(丸め誤差)が生じる危険があります。
    • 実践: 割り切れない分数や無理数が出た場合、途中の計算は分数のまま、あるいは有効数字より1桁多く(本問なら3桁)残して計算を進め、一番最後の答えを出す直前に指定された桁数(本問なら2桁)に四捨五入します。
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問題158 中性子の発見 (20 大阪工大)

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(1)の別解: 微積分を用いた体系的解法(運動方程式の積分による保存則の導出)
      • 模範解答が運動量保存則とエネルギー保存則を既知として立式するのに対し、別解では粒子間に働く力積(力の時間積分)から原理的に保存則を導き出します。
    • 設問(4)の別解1: 重心系を用いた解法
      • 模範解答が実験室系での連立方程式を解くのに対し、別解1では「重心系」という相対的な視点を導入することで、弾性衝突の対称性を利用し、計算量を大幅に削減します。
    • 設問(4)の別解2: 微積分を用いた体系的解法(運動方程式の積分による保存則の導出)
      • 粒子同士の衝突現象を、運動方程式と仕事・エネルギーの定理から微積分を用いて数学的に記述し、保存則を導出します。
    • 設問(5)の別解: 平方完成を用いた解法
      • 模範解答が「相加平均と相乗平均の大小関係」という特定の公式を用いるのに対し、別解では「実数の2乗は必ず0以上になる」というより根源的な数学的性質を用いて証明します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 微積分解法: 「なぜ保存則が成り立つのか」という物理の根本原理に立ち返るため、公式の丸暗記から脱却し、未知の現象にも対応できる深い理解をもたらします。
    • 重心系解法: 2体問題の衝突において、視点を変えるだけで複雑な現象が極めて単純に記述できるという、物理学における「座標変換の威力」を体感できます。
    • 平方完成解法: 特定の公式を忘れてしまった場合でも、基本的な代数操作のみで確実に証明にたどり着けるため、実戦的な対応力が向上します。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる数式や結論は模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「未知の粒子の正体を突き止めるための衝突実験の解析」です。光子(ガンマ線)モデルと中性粒子モデルの2つの仮説を立て、衝突後の粒子の振る舞いから矛盾を洗い出し、中性子の発見に至る歴史的な思考プロセスを追体験します。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  • 運動量保存則: 外力が働かない系において、衝突前後の運動量の総和は一定に保たれます。
  • エネルギー保存則(弾性衝突): 反発係数が \(1\) の完全弾性衝突において、力学的エネルギー(または運動エネルギーと光子のエネルギーの和)は保存されます。
  • 光子の運動量とエネルギー: 波長 \(\lambda\) の光子は、運動量 \(p = \displaystyle\frac{h}{\lambda}\)、エネルギー \(E = \displaystyle\frac{hc}{\lambda}\) を持ちます。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  • [A]では、ベリリウム線を光子と仮定し、陽子との衝突における保存則から光子のエネルギーを逆算し、実験事実との矛盾を確認します。
  • [B]では、ベリリウム線を質量 \(M\) の中性粒子と仮定し、陽子および窒素原子核との衝突における保存則から、質量 \(M\) を導き出します。

問(1)

ここから先が、他の受験生と差がつく重要パートです。

「解法に至る思考プロセス」
全て言語化した、超詳細解説。

なぜその公式を使うのか?どうしてその着眼点を持てるのか?
市販の解説では省略されてしまう「行間の思考」を、泥臭く解説しています。
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