熱力学第一法則で符号ミスをしない方法【イメージ重視の物理基礎】

  • まずはザックリ理解したい
  • イメージを優先したい
  • 苦手を克服したい

このような方向けに解説をしていきます。

【今回わかること】

  • 気体の仕事とはなにか
  • 内部エネルギーとはなにか
  • 熱力学第一法則とはなにか

再登場?気体のする仕事

を加えて気体を温めると、気体は膨張します。

例えば、風船に入っている気体が膨張すると、中から風船を押し広げてどんどん膨らんでいく。

このとき気体は、風船に力を加えて動かすので仕事をしたことになります。

つまり力学で学習した仕事が再登場です。

 

このあと扱う熱力学第一法則をイメージしやすくするために、仕事のおすすめイメージ方法があります。

気体が膨張するのは、隣の家の土地を購入して自分の敷地を広げるのと同じというイメージを持っておきましょう。

気体が収縮するのは、自分の土地を売って敷地が狭くなるイメージです。

 

最終的には仕事の正負を以下のように覚えておきましょう。

膨張収縮
仕事 \(W\) はプラス仕事 \(W\) はマイナス
まこと
気体目線で考えると正負がわかりやすい!

 

目には見えない?内部エネルギーの増減

気体の粒は熱運動しています。

気体にを加えて温めれば、熱運動が激しくなり、粒の運動エネルギーが増える。

しかし気体の粒を肉眼で確認できないので、運動エネルギーが増えているのか目で見てもわかりません。

見えない代わりに、運動エネルギーの変化を「温かくなった・冷たくなった」という感覚で感じています。

変化を目で見ることはできないが、確実に気体はエネルギーを持っている。

気体の内部にエネルギーがたまっているという意味で内部エネルギーと呼びます。

 

お金を懐にためる貯金と同じです。

熱を吸収して内部エネルギーが増えるのは、お金を懐に収めて貯金が増えるイメージ。

熱を放出して内部エネルギーが減るのは、お金を使って貯金が減るイメージです。

 

最終的には、以下のように正負を覚えておきましょう。

温度が上がる温度が下がる
内部エネルギーの変化 \(⊿U\) はプラス内部エネルギーの変化 \(⊿U\) はマイナス
まこと
温度に注目すると増減がわかりやすい!

 

熱の使い道は2通り!熱力学第一法則

気体目線で考えると、を外からもらえるのは嬉しいし、放出してしまうのは悲しいです。

このイメージを符号に対応させると、吸収した熱量の正負は以下のように決まります。

熱を吸収熱を放出
吸収した熱量 \(Q\) はプラス吸収した熱量 \(Q\) はマイナス

 

実は、気体は熱を吸収しても、2通りの使い方しかしません

  1. 内部エネルギーに使う
  2. 仕事に使う

 

例えば宝くじで1億円当たって、当選金を2つの使い道に絞るのと同じです。

  1. 貯金する
  2. 自分の家の隣の土地を買う

貯金に2000万円、土地購入に8000万円使うとすると、つぎの式が成り立つ。

1億円=2000万円+8000万円

 

ここで熱力学第一法則に置き換えてみましょう。

当選金は突然の収入、つまり外から入ってきた熱Qと同じ。

貯金は内部エネルギーの変化⊿U、土地購入は気体のした仕事Wです。

すると次のような式が成り立ちます。

\(Q=⊿U+W\)

 

気体のした仕事、された仕事を問われることがあるけど、まずは気体目線で式を立てましょう

計算結果から最終的な答えを書くときに、符号について考えると符号ミスを防ぐことができます。

仕事 \(W\) がプラス仕事 \(W\) がマイナス
した仕事された仕事した仕事された仕事
プラスマイナスマイナスプラス

英語でも登場する「能動・受動」で考えるとわかりやすいでしょう。

まこと
お金でイメージすると正負がイメージしやすい!

 

まとめ

  • 熱は吸収なら正、放出なら負
  • 内部エネルギーの変化は、温度上昇なら正、下降なら負
  • 仕事は膨張なら正、収縮なら負
  • 気体目線で正負を考える

 

例題

物理基礎の範囲を超えていますが、熱力学第一法則の式をどのように作っているのか参考にしてみてください。

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