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講義ノート(板書PDF)
原子物理の「なぜその式?」を根本から解決
講義ノート
【今回のポイント】
- 原子の大きさは約 \( 10^{-10}\,\text{m} \)、原子核は約 \( 10^{-15}\,\text{m} \)(東京ドームと1円玉のスケール差)。この桁の差から、原子の中はほとんど空っぽだと見抜く
- 光は波であると同時に粒子(光子)でもある。光子のエネルギー \( \varepsilon = h\nu \)、運動量 \( p = \displaystyle\frac{h}{\lambda} \) を、「振動数が1粒の大きさを決める」という見方で読む
- 光電効果の式 \( h\nu = K + W \) を、光子1個のエネルギーの使い道(脱出の料金 \( W \) +残り \( K \))として自分で立てられるようにする
- \( K \text{-} \nu \) グラフは一次関数。傾き \( = h \)、切片 \( = -W \)、横軸との交点 \( = \nu_0 \) を、式のどの部分がグラフのどこに写っているかで読み取る
【講義解説】
この講で治したいのは、「光は波なのだから、強く当てればどんなことでも起こせるはずだ」という思考のクセです。光電効果は、このクセを持ったままだと実験結果と正反対の予想をしてしまう、診断にうってつけの現象です。
式が出てくるたびに、「この式は、光のどんな姿を写し取っているのか?」と自分に問いかけながら読み進めてください。その問いかけこそが、公式を並べるだけの勉強から考えて解ける物理へ切り替える第一歩になります。
原子と原子核のサイズ感
原子の世界に入る前に、まずはスケール感を掴んでおきましょう。ここで「桁」の感覚を持っておくと、この先に出てくる \( 10^{-19}\,\text{J} \) や \( 10^{-34}\,\text{J}\cdot\text{s} \) といった極端な数値にも振り回されずに済みます。
原子の大きさは約 \( 10^{-10}\,\text{m} \) です。1メートルの100億分の1という、日常からはまったく想像のつかない小ささです。そしてその中心にある原子核の大きさは約 \( 10^{-15}\,\text{m} \)。原子のさらに10万分の1しかありません。
このスケール差を身近なもので例えてみましょう。原子を東京ドームに拡大すると、原子核はグラウンドに置いた1円玉くらいの大きさになります。つまり、原子の中身はほとんどが「何もない空間(スカスカ)」であり、質量のほぼすべてが中心の原子核に集中しているのです。
「10万分の1」と聞いても実感しにくいので、直径と体積の両方で比べてみましょう。まずは直径の比です。
$$
\displaystyle\frac{10^{-10}\,\text{m}}{10^{-15}\,\text{m}} = 10^{5}
$$
体積は長さの3乗で効くので、体積の比は次のようになります。
$$
\left(10^{5}\right)^{3} = 10^{15}
$$
原子核が占める体積は、原子全体の \( 10^{15} \) 分の1(1000兆分の1)にすぎません。体積でいえば、原子の中はほぼ100%が空っぽです。
この「ほぼ空っぽの原子」の中で電子がどう振る舞うのかは、3限目のボーア模型でじっくり診ていきます。
図: 原子と原子核の大きさの比較。原子は約 \(10^{-10}\,\text{m}\)、原子核は約 \(10^{-15}\,\text{m}\) で、大きさはおよそ \(10^{5}\) 倍(\(10\) 万倍)違う
🩺 要点整理
この節の \(2\) つの数値は、別々に覚えるより「比」で持つと使える知識になります。
「指数が \(5\) 違う」と言えれば、どちらか一方の数値を忘れても、もう一方から見当をつけられます。
🔗 関連単元
「原子の中身はほとんどが何もない空間で、質量は中心の原子核に集中している」というこの節のスケール感は、5限目「E=mc²と原子核の構造」で扱うラザフォードのα粒子散乱実験で明らかになったことです。
薄い金箔にα粒子を当てると、ほとんどは素通りし、ごく一部だけが大きく曲げられたり、はね返されたりします。この節のスケール感を先に持っておくと、その結果を「中身がスカスカだから大半は素通りし、小さな原子核のすぐ近くを通ったものだけが大きくはね返される」と自分の言葉で説明できます。
🧠 見ずに思い出そう
画面から目を離して、次の \(2\) つを言えるか試してみてください。① 原子の大きさと原子核の大きさを、それぞれ「\(10\) の何乗メートルか」で言う。② 原子の中身が「ほとんど何もない空間」だと言える理由を、\(2\) つの大きさの比を使って説明する。
詰まったのが①なら、数値そのものがまだ手元にないので、この節の要点整理の①に戻りましょう。①は言えたのに②で迷ったなら、\(2\) つの数値を別々に覚えていて、比でつなげられていません。この節の「数値で確認」の箱で、直径の比から体積の比へと順にたどり直すと、中身が空っぽだと言える理由が見えてきます。
光の粒子性 ─ 光子のエネルギーと運動量
光は「波」としての性質を持つことは、波動の分野で学びました(干渉・回折など)。しかし、光には「粒子」としての性質もあります。光を粒子として見たとき、その1粒1粒を「光子(フォトン)」と呼びます。
ここで多くの人が「結局、光は波なの?粒子なの?」と、どちらか一方に決めたくなります。けれど、これは二者択一の問題ではありません。干渉や回折を調べれば波の顔が、光電効果を調べれば粒の顔が見える——どちらの顔が出るかは「何を調べるか」で決まる、と整理しておきましょう。
光子1個が持つエネルギー \( \varepsilon \) と運動量 \( p \) は、以下の式で表されます。
$$
\varepsilon = h\nu
$$
$$
p = \frac{h}{\lambda}
$$
ここで、\( h \) はプランク定数(\( h = 6.63 \times 10^{-34}\,\text{J}\cdot\text{s} \))、\( \nu \) は振動数、\( \lambda \) は波長です。
2つの式はバラバラに見えますが、波の基本式 \( c = \nu\lambda \) でつなぐと、エネルギーの式は \( \varepsilon = \displaystyle\frac{hc}{\lambda} \) とも書けます。つまりエネルギーも運動量も、「波長が短いほど大きい」という同じことを言っているのです。2本の式を別々に抱えず、1本の糸でつないでおきましょう。
ポイントは、振動数が大きい(波長が短い)光ほど、1個あたりのエネルギーが大きいということです。紫外線やX線は振動数が高いのでエネルギーが大きく、赤外線は振動数が低いのでエネルギーは小さくなります。
光のエネルギーは、硬貨で支払われるお金のようなものだと考えてみてください。振動数が大きい光ほど額面の大きい硬貨になり、光を強くすると硬貨の枚数が増えます。
明るい赤い光は「小さな硬貨がたくさん」、弱い紫外線は「大きな硬貨が少しだけ」。1枚の額面を決めるのは振動数、枚数を決めるのは光の強さです。この2つを別々のつまみとして持っておくと、次の光電効果の不思議がすっきり解けます。
図: 1枚の額面(光子1個のエネルギー)は振動数で、枚数は光の強さで決まる
\( h = 6.6 \times 10^{-34}\,\text{J}\cdot\text{s} \)、\( c = 3.0 \times 10^{8}\,\text{m/s} \) として、赤い光(波長 \( 6.6 \times 10^{-7}\,\text{m} \))の光子1個のエネルギーを求めます。
$$
\begin{aligned}
\varepsilon &= \displaystyle\frac{hc}{\lambda} \\[2.0ex]
&= \displaystyle\frac{6.6 \times 10^{-34} \times 3.0 \times 10^{8}}{6.6 \times 10^{-7}} \\[2.0ex]
&= 3.0 \times 10^{-19}\,\text{J}
\end{aligned}
$$
青紫の光(波長 \( 4.4 \times 10^{-7}\,\text{m} \))なら、同じ計算で次のようになります。
$$
\begin{aligned}
\varepsilon &= \displaystyle\frac{6.6 \times 10^{-34} \times 3.0 \times 10^{8}}{4.4 \times 10^{-7}} \\[2.0ex]
&= 4.5 \times 10^{-19}\,\text{J}
\end{aligned}
$$
青紫の光子は、赤い光子の1.5倍のエネルギーを持つ粒です。
では、出力 \( 1\,\text{W} \)(1秒に \( 1\,\text{J} \))の赤い光は、1秒に何個の光子を出しているでしょうか。
$$
\begin{aligned}
N &= \displaystyle\frac{1\,\text{J}}{3.0 \times 10^{-19}\,\text{J}} \\[2.0ex]
&\approx 3.3 \times 10^{18}
\end{aligned}
$$
1粒が小さすぎるうえに数が桁外れに多いので、ふだんの生活では光が粒に見えないのです。
🩺 要点整理
光を粒として見るときに押さえるのは、どれも「光子 \(1\) 個あたり」の量だということです。
この「\(1\) 個あたり」という見方が、次の節の光電効果を「光子 \(1\) 個が電子 \(1\) 個にエネルギーを渡す現象」として読み解く土台になります。
🔗 関連単元
この節の \(2\) 本の式は、パックの先の講でくり返し使う道具です。光子の運動量 \(p = \displaystyle\frac{h}{\lambda}\) は、2限目「物質波(ド・ブロイ波)」で \(\lambda = \displaystyle\frac{h}{p}\) と逆向きに読まれ、電子のような粒子にも波長があるという考え方につながります。
10限目「コンプトン散乱と核反応式」では、X線の光子が電子にぶつかる現象を、この運動量と \(\varepsilon = h\nu\) を使った保存則で解きます。
光子のエネルギー \(\varepsilon = h\nu\) は、3限目「ボーア模型① ─ 量子条件と振動数条件」の振動数条件と、4限目「ボーア模型② ─ エネルギー準位とスペクトル」で、原子が出す光の振動数(色)を決める式として再登場します。
🧠 見ずに思い出そう
画面から目を離して、次の \(2\) つを言えるか試してみてください。① 光子 \(1\) 個のエネルギーと運動量を、\(h\)・\(\nu\)・\(\lambda\) を使った式で書く。② 紫外線と赤外線では、光子 \(1\) 個のエネルギーが大きいのはどちらか。その理由を「振動数」という言葉を使って説明する。
詰まったのが①なら、式そのものがまだ手元にない状態なので、上の \(2\) 本の式に戻りましょう。①は書けたのに②で迷ったなら、式は持っていても「\(\nu\) が大きいほど \(\varepsilon\) も大きい」という式の読み方が抜けています。どちらで詰まったかによって、戻る場所が変わります。
光電効果の仕組み
光の粒子性を示す最も重要な現象が「光電効果」です。
金属の表面に光(紫外線など)を当てると、金属の内部から電子が飛び出してきます。この現象を光電効果と呼び、飛び出した電子を「光電子」と呼びます。
光電効果のイメージとして、ソーラーパネルを思い浮かべてください。太陽光が当たると電気が生まれる ─ あれは光のエネルギーで電子が動き出す現象です。
また、金属内部の電子を「くぼみにはまったボール」に例えると分かりやすくなります。くぼみから脱出するには一定以上のエネルギーが必要で、それが「仕事関数 \( W \)」です。
金属の中の電子は、地面のくぼみにはまったボールのような状態にいます。外へ出るには、ボールをくぼみの縁まで持ち上げるエネルギー、つまり仕事関数 \( W \) が要ります。
光子1個がボールに渡すエネルギー \( h\nu \) が \( W \) を超えていれば、縁を越えたあとの残り \( h\nu – W \) が運動エネルギー \( K \) になり、ボールは勢いよく飛び出します。
\( h\nu \) が \( W \) に届かなければ、ボールは少し跳ねて底へ戻るだけです。次の光子が来ても前の分を貯めておけないので、何個来ても外へは出られません。
図: 受け取った \( h\nu \) のうち、縁まで持ち上げる分が \( W \)、残りが \( K \)(右は同じ関係をエネルギーの高さで描いたもの)
光子1個のエネルギーの「使い道」を書き出すと、光電効果の基本式は次の通りになります。
$$
h\nu = K + W
$$
- \( h\nu \):入射光子のエネルギー
- \( K \):光電子の運動エネルギー(最大値)
- \( W \):仕事関数(電子を金属表面から引き離すのに必要な最小エネルギー。金属ごとに固有の値)
この式の正体はエネルギー保存です。光子1個が電子1個にエネルギー \( h\nu \) を丸ごと渡し、電子はそこから脱出の料金 \( W \) を払って、残りを運動エネルギー \( K \) として持ち出します。左辺が「受け取った額」、右辺が「使い道の内訳」という家計簿になっているのです。
では、なぜ \( K \) は「最大値」なのでしょうか。\( W \) は表面近くの電子が払う最小の料金で、奥にいる電子はそれより多く払わされます。多く払えば残りは少なくなるので、この式が表すのは一番得をした電子、つまり運動エネルギーの最大値なのです。
光子のエネルギー \( h\nu \) が仕事関数 \( W \) より小さい場合、電子はくぼみから脱出できません。つまり、振動数が \( \nu_0 = \displaystyle\frac{W}{h} \)(限界振動数)より小さい光をいくら強くしても、光電子は1個も飛び出さないのです。これは光を波として考えると説明できず、粒子として考えて初めて理解できるポイントです。
波の見方に立つと、光を強くするほど電子に流れ込むエネルギーは増えるので、「強い光を長く当てれば、いつかは飛び出すはず」と予想されます。ところが実験では、限界振動数より小さい光は、どれだけ強くしても待っても電子を1個も出しません。逆に限界振動数より大きければ、弱い光でも当てた瞬間に飛び出します。
症状:「光を強くすると、光電子の運動エネルギー \( K \) はどうなる?」と聞かれて、「大きくなる」と答えてしまう。
診断:光を「強さに比例してエネルギーが流れ込む波」とだけ捉え、光の強さと振動数の役割を1つに混ぜている思考のクセ。
処方箋:光の条件が変わったら、まず2つのつまみに分けて考える。「強さ」は光子の数を決め、飛び出す光電子の数を左右する。「振動数」は光子1個のエネルギーを決め、飛び出せるかどうかと \( K \) の大きさを左右する。
仕事関数 \( W = 3.5 \times 10^{-19}\,\text{J} \) の金属に、先ほどの2色の光を当ててみます。赤い光の光子1個は \( 3.0 \times 10^{-19}\,\text{J} \) で、料金 \( W \) に届きません。
だから赤い光は、どれだけ明るくしても光電子を1個も出しません。一方、青紫の光の光子1個は \( 4.5 \times 10^{-19}\,\text{J} \) なので、料金を払っても残りがあります。
$$
\begin{aligned}
K &= h\nu – W \\[2.0ex]
&= 4.5 \times 10^{-19} – 3.5 \times 10^{-19} \\[2.0ex]
&= 1.0 \times 10^{-19}\,\text{J}
\end{aligned}
$$
明るさ(光子の数)ではなく、1粒の額面が料金を超えるかどうかで、結果が「0個か、飛び出すか」に分かれるのです。
図: 光電効果の仕組み。光子 \(1\) 個が電子 \(1\) 個にエネルギー \(h\nu\) を渡し、仕事関数 \(W\) を超えた分が光電子の運動エネルギー \(K\) になる(\(h\nu = K + W\))
よくあるつまずき
症状:「飛び出す光電子は、みな同じ運動エネルギー \(K\) で出てくる」と考え、\(K = h\nu – W\) をすべての光電子の運動エネルギーだと思ってしまう。
診断:式の \(K\) が「最大値」であることを落としている。\(W\) は表面近くの電子が払う最小の料金で、奥にいる電子はそれより多く払わされるため、\(K\) より小さい運動エネルギーで出てきます。
処方箋:\(h\nu = K + W\) を書いたら、\(K\) の横に「最大」と書き添える。問題文に「最大値」と書かれていなくても、この式の \(K\) はいちばん速い光電子の値だと読みます。
🩺 要点整理
光電効果の式は、覚えるものではなくエネルギーの収支として組み立てるものです。次の順で考えます。
「もらう → 抜け出す → 残りが運動エネルギー」の順で言えれば、問題の聞き方が変わっても式を自分で立てられます。
🧠 見ずに思い出そう
画面から目を離して答えてみてください。① 光電効果の式を書き、\(h\nu\)・\(K\)・\(W\) がそれぞれ何のエネルギーかを一言ずつ言う。② 限界振動数より低い振動数の光の明るさを \(2\) 倍、\(10\) 倍と上げていくと、光電子はどうなるか。
①で詰まったなら、式の \(3\) つの量の役割がまだ結びついていないので、「くぼみにはまったボール」の例えに戻りましょう。①は言えたのに②で「いずれ飛び出す」と答えたなら、光の強さと光子 \(1\) 個のエネルギーが混ざっています。上のつまずきの処方箋に戻ってください。どちらで詰まったかによって、戻る場所が変わります。
\( K \text{-} \nu \) グラフの読み取り
光電効果の式 \( h\nu = K + W \) を \( K \) について解くと、
$$
K = h\nu – W
$$
これは \( y = ax + b \) の形の一次関数です。横軸に振動数 \( \nu \)、縦軸に光電子の最大運動エネルギー \( K \) をとったグラフを描くと、直線が得られます。
数学の一次関数との対応を、先にはっきりさせておきましょう。\( y \) に当たるのが \( K \)、\( x \) に当たるのが \( \nu \)、傾き \( a \) に当たるのが \( h \)、切片 \( b \) に当たるのが \( -W \) です。グラフ問題で手が止まる人の多くは、この対応を問題ごとにゼロから組み立て直しています。
このグラフから読み取れる情報を整理しましょう。
- 傾き:プランク定数 \( h \)(金属の種類によらず一定)
- 縦軸の切片:\( -W \)(負の値。仕事関数が大きいほど切片は下にくる)
- 横軸との交点:限界振動数 \( \nu_0 \)(\( K = 0 \) となる振動数)
特に大事なのは、傾きがどの金属でも同じ \( h \) になることです。式 \( K = h\nu – W \) の中で金属によって変わるのは \( W \) だけで、\( \nu \) にかかる係数 \( h \) は自然界の定数だからです。金属を取り替えても、グラフは傾きを変えずに平行移動するだけです。
\( K = h\nu – W \) は、脱出の料金が違う2台の自動販売機にたとえられます。額面 \( h\nu \) の硬貨を1枚入れると、料金 \( W \) を差し引いた「おつり」\( K \) が出てくる機械です。
振動数のつまみを1目盛り回すと、硬貨の額面はどちらの機械でも同じだけ(\( h \) ずつ)増えます。だから、おつりの増え方=グラフの傾きは共通です。
違うのは料金 \( W \) だけなので、料金の高い金属Bのグラフは、金属Aのグラフを傾きを変えずに下へずらした形になります。おつりがちょうど0になる境目が限界振動数 \( \nu_0 \) で、料金が高いほど右へずれます。
図: 仕事関数 \( W \) だけが違う2つの金属のグラフは平行線(点線は \( K \) が負になる、実際には測れない延長部分)
グラフの軸に \( \times 10^{14} \) や \( \times 10^{-19} \) などのスケールファクタが付いている場合、これを計算に入れ忘れるミスが非常に多いので注意してください。軸の数値を読むときは、必ずスケールファクタを掛けてから代入しましょう。
症状:グラフから傾きを計算したら \( 0.66 \) のような値になり、\( 10^{-34} \) の桁がどこにも現れない。
診断:軸の目盛りを「ただの数」として読み、単位と桁(スケールファクタ)を後回しにする思考のクセ。
処方箋:目盛りを読んだ瞬間に「\( \times 10^{14}\,\text{Hz} \)」「\( \times 10^{-19}\,\text{J} \)」を書き添えてから計算する。最後に「\( h \) は \( 10^{-34} \) の桁、\( W \) は \( 10^{-19} \) の桁になっているか」を確かめる。
ここで一度、自己診断をしておきましょう。「傾き・縦軸の切片・横軸との交点のうち、金属を取り替えても変わらないのはどれか」に即答できれば、グラフの構造が見えています(答えは傾き)。
図: \(K\text{-}\nu\) グラフ。傾きがプランク定数 \(h\)、横軸との交点が限界振動数 \(\nu_0\)、直線を \(\nu = 0\) まで延ばしたときの縦軸の切片が \(-W\)
よくあるつまずき
症状:\(2\) 種類の金属の \(K\text{-}\nu\) グラフを描くとき、金属が違えば傾きも違うと考えて直線を交わるように描いてしまう。または、縦軸の切片を \(+W\) と読んで仕事関数の符号を取り違える。
診断:グラフを「右上がりの直線」という形だけで覚えていて、式 \(K = h\nu – W\) と対応させていない。
処方箋:グラフを描く・読む前に、式を \(y = ax + b\) に並べて「傾き \(a\) = \(h\)(どの金属でも同じ定数)」「切片 \(b\) = \(-W\)(金属ごとに違う)」と書き出す。そうすれば、金属を変えたときに変わるのは切片だけで、直線は平行にずれるだけだと式の側から言えます。
🩺 要点整理
\(K\text{-}\nu\) グラフは、グラフ上の \(3\) か所を式 \(K = h\nu – W\) と \(1\) 対 \(1\) で対応させて読みます。
\(3\) か所のうち \(2\) か所が読めれば、残りの \(1\) か所は \(\nu_0 = \displaystyle\frac{W}{h}\) の関係から計算で出せます。
🧠 見ずに思い出そう
何も見ずに試してみてください。① \(K\text{-}\nu\) グラフを描き、傾き・横軸との交点・縦軸の切片がそれぞれ何を表すかを書き込む。② 同じ図に、仕事関数がもっと大きい別の金属の直線を描き足す。
①で詰まったなら、グラフと式 \(K = h\nu – W\) の対応がまだできていないので、「一次関数 \(y = ax + b\)」の段落に戻りましょう。①は描けたのに②で傾きを変えたり直線を上にずらしたりしたなら、「傾きは \(h\) で共通、変わるのは切片 \(-W\) だけ」が抜けています。上のつまずきの処方箋に戻ってください。どちらで詰まったかによって、戻る場所が変わります。
練習問題の解説
解説を読む前に、各問で「どの式を、なぜ選ぶのか」を一言で言えるかどうか試してから進んでください。言えなかった問いこそ、あなたの今の診断ポイントです。
① 光子のエネルギーと運動量(練習問題1)
問題
波長 \( \lambda = 2.0 \times 10^{-7}\,\text{m} \) の紫外線の光子1個について、エネルギー \( \varepsilon \) と運動量 \( p \) を求めよ。ただし、プランク定数を \( h = 6.6 \times 10^{-34}\,\text{J}\cdot\text{s} \)、光速を \( c = 3.0 \times 10^{8}\,\text{m/s} \) とする。
解説
まず、振動数 \( \nu \) を求めます。光速の式 \( c = \nu\lambda \) より、
$$
\begin{aligned}
\nu &= \frac{c}{\lambda} \\[2.0ex]
&= \frac{3.0 \times 10^{8}}{2.0 \times 10^{-7}} \\[2.0ex]
&= 1.5 \times 10^{15}\,\text{Hz}
\end{aligned}
$$
エネルギーは \( \varepsilon = h\nu \) に代入します。
$$
\begin{aligned}
\varepsilon &= h\nu \\[2.0ex]
&= 6.6 \times 10^{-34} \times 1.5 \times 10^{15} \\[2.0ex]
&= 9.9 \times 10^{-19}\,\text{J}
\end{aligned}
$$
運動量は \( p = \displaystyle\frac{h}{\lambda} \) に代入します。
$$
\begin{aligned}
p &= \frac{h}{\lambda} \\[2.0ex]
&= \frac{6.6 \times 10^{-34}}{2.0 \times 10^{-7}} \\[2.0ex]
&= 3.3 \times 10^{-27}\,\text{kg}\cdot\text{m/s}
\end{aligned}
$$
\( \varepsilon = 9.9 \times 10^{-19}\,\text{J} \)、\( p = 3.3 \times 10^{-27}\,\text{kg}\cdot\text{m/s} \)
② ナトリウムの光電効果グラフ(練習問題2)
問題
下の図は、ナトリウムの光電効果における \( K \text{-} \nu \) グラフである。グラフを読み取り、以下の問いに答えよ。
(1) 仕事関数 \( W \) を求めよ。
(2) 限界振動数 \( \nu_0 \) を求めよ。
(3) プランク定数 \( h \) を求めよ。
図: 練習問題2:ナトリウムの光電効果における \(K\text{-}\nu\) グラフ
解説
\( K = h\nu – W \) のグラフ(一次関数 \( y = ax + b \))を読み取ります。
(1) 仕事関数 \( W \)
縦軸の切片(\( \nu = 0 \) のときの \( K \) の値)を読み取ります。グラフから、切片は \( -3.5 \times 10^{-19}\,\text{J} \) です。
\( K = h\nu – W \) の切片は \( -W \) なので、
$$
-W = -3.5 \times 10^{-19}
$$
$$
W = 3.5 \times 10^{-19}\,\text{J}
$$
(2) 限界振動数 \( \nu_0 \)
横軸との交点(\( K = 0 \) となる振動数)を読み取ります。グラフから、
$$
\nu_0 = 5.6 \times 10^{14}\,\text{Hz}
$$
(3) プランク定数 \( h \)
グラフの傾きがプランク定数 \( h \) に等しいので、グラフ上の2点を使って傾きを計算します。
$$
\begin{aligned}
h &= \frac{\Delta K}{\Delta \nu} \\[2.0ex]
&= \frac{K_2 – K_1}{\nu_2 – \nu_1}
\end{aligned}
$$
2点には、(1)(2)で読み取った「\( \nu = 0 \) のとき \( K = -3.5 \times 10^{-19}\,\text{J} \)」(縦軸の切片)と「\( \nu = 5.6 \times 10^{14}\,\text{Hz} \) のとき \( K = 0 \)」(横軸との交点)をそのまま使えば、新たに目盛りを読む必要はありません。
$$
\begin{aligned}
h &= \frac{0 – (-3.5 \times 10^{-19})}{5.6 \times 10^{14} – 0} \\[2.0ex]
&= 6.25 \times 10^{-34} \\[2.0ex]
&\approx 6.3 \times 10^{-34}\,\text{J}\cdot\text{s}
\end{aligned}
$$
注意:グラフの軸に \( \times 10^{14} \) や \( \times 10^{-19} \) のスケールファクタが付いている場合は、読み取った数値にそのファクタを掛けてから計算に使ってください。
図: 練習問題2:講義解説の \(K\text{-}\nu\) グラフの再掲。(1) の仕事関数は縦軸の切片、(2) の限界振動数は横軸との交点、(3) のプランク定数は傾きに対応する
(1) \( W = 3.5 \times 10^{-19}\,\text{J} \) (2) \( \nu_0 = 5.6 \times 10^{14}\,\text{Hz} \) (3) \( h \approx 6.3 \times 10^{-34}\,\text{J}\cdot\text{s} \)
【重要公式まとめ】
$$
\varepsilon = h\nu
$$
図: 光子1個のエネルギーは振動数に比例し、その比例定数がプランク定数 \( h \)
\( h \):プランク定数 \( [6.63 \times 10^{-34}\,\text{J}\cdot\text{s}] \) \( \nu \):振動数 \( [\text{Hz}] \)
$$
p = \frac{h}{\lambda}
$$
図: 波長が半分になると、光子1個の運動量は2倍になる
\( p \):光子の運動量 \( [\text{kg}\cdot\text{m/s}] \) \( \lambda \):波長 \( [\text{m}] \)
$$
h\nu = K + W
$$
図: 受け取った \( h\nu \) = 脱出の料金 \( W \) + 残り \( K \)(右は同じ式を \( K \text{-} \nu \) グラフに写したもの)
\( K \):光電子の最大運動エネルギー \( [\text{J}] \) \( W \):仕事関数 \( [\text{J}] \)
\( K \text{-} \nu \) グラフ:傾き \( = h \)、切片 \( = -W \)、横軸交点 \( \nu_0 = \displaystyle\frac{W}{h} \)
【記事限定 演習問題】
ここからは、動画と講義ノートの内容を自分の手で再現できるかを確かめる演習です。各問の「解答と思考プロセスを見る」を開く前に、まず「どの式を、なぜ使うのか」を一言で言ってから解き始めてください。
特に指定がなければ、\( h = 6.6 \times 10^{-34}\,\text{J}\cdot\text{s} \)、\( c = 3.0 \times 10^{8}\,\text{m/s} \) を使います。
波長 \( \lambda \) の光の光子1個のエネルギー \( \varepsilon \) を、\( h \)、\( c \)、\( \lambda \) を用いて表しなさい。また、波長 \( 5.0 \times 10^{-7}\,\text{m} \) の緑色の光について、\( \varepsilon \) の値を求めなさい。
解答と思考プロセスを見る
\( \varepsilon = h\nu \) は振動数の式なので、波長で聞かれたら「振動数を波長で書き換える式はどれか」を探します。波の基本式 \( c = \nu\lambda \) から \( \nu = \displaystyle\frac{c}{\lambda} \) です。
$$
\begin{aligned}
\varepsilon &= h\nu \\[2.0ex]
&= \displaystyle\frac{hc}{\lambda}
\end{aligned}
$$
数値を入れると、次のようになります。
$$
\begin{aligned}
\varepsilon &= \displaystyle\frac{6.6 \times 10^{-34} \times 3.0 \times 10^{8}}{5.0 \times 10^{-7}} \\[2.0ex]
&= 3.96 \times 10^{-19} \\[2.0ex]
&\approx 4.0 \times 10^{-19}\,\text{J}
\end{aligned}
$$
答え:\( \varepsilon = \displaystyle\frac{hc}{\lambda} \)、\( \varepsilon \approx 4.0 \times 10^{-19}\,\text{J} \)
文字式を先に作っておけば、波長が変わっても同じ式ですぐに計算できます。「文字で答える問題に手が止まる」クセへの処方箋は、使える関係式を1本ずつつないでいくことです。
波長 \( 6.6 \times 10^{-7}\,\text{m} \) の赤色レーザーの出力は \( 1.0 \times 10^{-3}\,\text{W} \) である。このレーザーが1秒間に出す光子の数 \( N \) を求めなさい。
解答と思考プロセスを見る
出力 \( 1.0 \times 10^{-3}\,\text{W} \) は、「1秒あたり \( 1.0 \times 10^{-3}\,\text{J} \) のエネルギーを出す」という意味です。それが光子1個ぶんのエネルギー \( \varepsilon \) の何個ぶんかを数えれば、個数が出ます。
まず、光子1個のエネルギーを求めます。
$$
\begin{aligned}
\varepsilon &= \displaystyle\frac{hc}{\lambda} \\[2.0ex]
&= \displaystyle\frac{6.6 \times 10^{-34} \times 3.0 \times 10^{8}}{6.6 \times 10^{-7}} \\[2.0ex]
&= 3.0 \times 10^{-19}\,\text{J}
\end{aligned}
$$
1秒間の個数は、1秒に出るエネルギーを1個ぶんのエネルギーで割って求めます。
$$
\begin{aligned}
N &= \displaystyle\frac{1.0 \times 10^{-3}}{3.0 \times 10^{-19}} \\[2.0ex]
&= 3.33 \times 10^{15} \\[2.0ex]
&\approx 3.3 \times 10^{15}
\end{aligned}
$$
答え:約 \( 3.3 \times 10^{15} \) 個
わずか1ミリワットでも、1秒に1000兆個を超える光子が飛んでいます。光の「強さ」とは、この個数の多さのことです。
仕事関数 \( W = 6.6 \times 10^{-19}\,\text{J} \) の金属について、次の問いに答えなさい。
(1) 限界振動数 \( \nu_0 \) を求めなさい。
(2) 光電効果が起こる光の波長の上限(限界波長)\( \lambda_0 \) を求めなさい。
(3) この金属に可視光(波長 \( 3.8 \times 10^{-7} \)〜\( 7.7 \times 10^{-7}\,\text{m} \))を当てると、光電子は飛び出すか。
解答と思考プロセスを見る
(1) 光電子がぎりぎり飛び出す(\( K = 0 \))とき、光子1個のエネルギーは脱出の料金にちょうど等しいので \( h\nu_0 = W \) です。
$$
\begin{aligned}
\nu_0 &= \displaystyle\frac{W}{h} \\[2.0ex]
&= \displaystyle\frac{6.6 \times 10^{-19}}{6.6 \times 10^{-34}} \\[2.0ex]
&= 1.0 \times 10^{15}\,\text{Hz}
\end{aligned}
$$
(2) 振動数と波長は反比例するので、振動数の「下限」は、波長では「上限」に変わります。
$$
\begin{aligned}
\lambda_0 &= \displaystyle\frac{c}{\nu_0} \\[2.0ex]
&= \displaystyle\frac{3.0 \times 10^{8}}{1.0 \times 10^{15}} \\[2.0ex]
&= 3.0 \times 10^{-7}\,\text{m}
\end{aligned}
$$
(3) 可視光の波長はどれも \( 3.8 \times 10^{-7}\,\text{m} \) 以上で、\( \lambda_0 = 3.0 \times 10^{-7}\,\text{m} \) より長くなっています。光子1個のエネルギーが料金に届かないので、どれだけ強い可視光を当てても光電子は飛び出しません。
図: 光電子が出るのは限界波長 \( \lambda_0 \) 以下の範囲だけで、可視光はすべてそれより長い
答え:(1) \( 1.0 \times 10^{15}\,\text{Hz} \) (2) \( 3.0 \times 10^{-7}\,\text{m} \) (3) 飛び出さない
「振動数は〇〇以上」を「波長も〇〇以上」と取り違えるのが、この問題で最も多い思考のクセです。
仕事関数 \( W = 3.3 \times 10^{-19}\,\text{J} \) の金属に、波長 \( 3.0 \times 10^{-7}\,\text{m} \) の紫外線を当てた。飛び出す光電子の運動エネルギーの最大値 \( K \) と、そのときの速さ \( v \) を求めなさい。電子の質量は \( m = 9.1 \times 10^{-31}\,\text{kg} \) とする。
解答と思考プロセスを見る
①光子1個のエネルギー、②料金を差し引いた残り \( K \)、③ \( K = \displaystyle\frac{1}{2}mv^2 \) から速さ、の3段階で進めます。いきなり速さの式に飛びつかず、エネルギーの流れを順に追うのがコツです。
$$
\begin{aligned}
h\nu &= \displaystyle\frac{hc}{\lambda} \\[2.0ex]
&= \displaystyle\frac{6.6 \times 10^{-34} \times 3.0 \times 10^{8}}{3.0 \times 10^{-7}} \\[2.0ex]
&= 6.6 \times 10^{-19}\,\text{J}
\end{aligned}
$$
料金 \( W \) を差し引いた残りが \( K \) です。
$$
\begin{aligned}
K &= h\nu – W \\[2.0ex]
&= 6.6 \times 10^{-19} – 3.3 \times 10^{-19} \\[2.0ex]
&= 3.3 \times 10^{-19}\,\text{J}
\end{aligned}
$$
最後に \( K = \displaystyle\frac{1}{2}mv^2 \) を \( v \) について解きます。
$$
\begin{aligned}
v &= \sqrt{\displaystyle\frac{2K}{m}} \\[2.0ex]
&= \sqrt{\displaystyle\frac{2 \times 3.3 \times 10^{-19}}{9.1 \times 10^{-31}}} \\[2.0ex]
&= \sqrt{7.25 \times 10^{11}} \\[2.0ex]
&\approx 8.5 \times 10^{5}\,\text{m/s}
\end{aligned}
$$
答え:\( K = 3.3 \times 10^{-19}\,\text{J} \)、\( v \approx 8.5 \times 10^{5}\,\text{m/s} \)
秒速850 kmです。これはあくまで最大の速さで、奥のほうから出てきた電子はこれより遅くなります。
ある金属に、限界振動数より大きい振動数の光を当てて光電効果を起こしている。条件を次のように変えると、どうなるか答えなさい。
(1) 振動数はそのままで、光の強さを2倍にする。\( K \) と、1秒間に飛び出す光電子の数はどうなるか。
(2) 光の強さはそのままで、振動数だけを大きくする。\( K \) はどうなるか。
(3) 振動数を限界振動数より小さくし、光の強さを100倍にする。光電子は飛び出すか。
解答と思考プロセスを見る
「強さ」と「振動数」を2つのつまみに分けて考えます。強さは光子の数を、振動数は光子1個のエネルギーを決めます。
(1) 光子1個のエネルギー \( h\nu \) は変わらないので、\( K = h\nu – W \) も変わりません。光子の数は2倍になり、1個の光子が1個の電子を飛び出させるので、光電子の数も2倍になります。
(2) \( h\nu \) が大きくなるので、\( K = h\nu – W \) は大きくなります。
(3) 光子1個のエネルギーが \( W \) に届かないので、何個あっても光電子は1個も飛び出しません。
答え:(1) \( K \) は変わらず、光電子の数は2倍 (2) \( K \) は大きくなる (3) 飛び出さない
(1)で「\( K \) も大きくなる」と答えた人は、講義解説の「クセ診断と処方箋」を読み直しましょう。
下のグラフは、ある金属に当てた光の振動数 \( \nu \) と、飛び出した光電子の運動エネルギーの最大値 \( K \) の関係を表している。軸の目盛りの単位に注意して、次の問いに答えなさい。
(1) 限界振動数 \( \nu_0 \) を求めなさい。
(2) プランク定数 \( h \) を求めなさい。
(3) この金属の仕事関数 \( W \) を求めなさい。
図: 演習問題⑥のグラフ(横軸の目盛りは \( \times 10^{14}\,\text{Hz} \)、縦軸の目盛りは \( \times 10^{-19}\,\text{J} \))
解答と思考プロセスを見る
(1) \( K = 0 \) になる振動数、つまり横軸との交点を読みます。目盛りは \( 5.0 \) ですが、軸には \( \times 10^{14}\,\text{Hz} \) が付いています。
$$
\nu_0 = 5.0 \times 10^{14}\,\text{Hz}
$$
(2) 傾きがプランク定数です。横軸との交点と、グラフ上の点 \( (10.0,\ 3.3) \) の2点で傾きを求めます。スケールファクタを先に付けてから計算します。
$$
\begin{aligned}
h &= \displaystyle\frac{\Delta K}{\Delta \nu} \\[2.0ex]
&= \displaystyle\frac{3.3 \times 10^{-19} – 0}{10.0 \times 10^{14} – 5.0 \times 10^{14}} \\[2.0ex]
&= 6.6 \times 10^{-34}\,\text{J}\cdot\text{s}
\end{aligned}
$$
(3) 限界振動数のときは \( h\nu_0 = W \) なので、次のように求まります。
$$
\begin{aligned}
W &= h\nu_0 \\[2.0ex]
&= 6.6 \times 10^{-34} \times 5.0 \times 10^{14} \\[2.0ex]
&= 3.3 \times 10^{-19}\,\text{J}
\end{aligned}
$$
直線を左へ延ばしたと考えると、縦軸との交点(切片)は \( -W \) のはずです。図の縦軸はそこまで描かれていないので目盛りでは読めませんが、計算で出した \( -W = -3.3 \times 10^{-19}\,\text{J} \) が「延長線は0より下で縦軸と交わる」という図の向きと食い違わないかを確かめると、手早い検算になります。
答え:(1) \( 5.0 \times 10^{14}\,\text{Hz} \) (2) \( 6.6 \times 10^{-34}\,\text{J}\cdot\text{s} \) (3) \( 3.3 \times 10^{-19}\,\text{J} \)
演習問題⑥の金属をA、仕事関数がAの2倍である別の金属をBとする。金属Bの \( K \text{-} \nu \) グラフについて、次の3つを金属Aのグラフと比べて答えなさい。
(1) 傾き (2) 横軸との交点(限界振動数) (3) 縦軸の切片
解答と思考プロセスを見る
\( K = h\nu – W \) の中で、金属によって変わるのは \( W \) だけです。
(1) 傾きは \( h \) なので、金属によらず同じです。
(2) \( \nu_0 = \displaystyle\frac{W}{h} \) は \( W \) に比例するので2倍になり、\( 1.0 \times 10^{15}\,\text{Hz} \) です。
(3) 切片は \( -W \) なので、Aの2倍の深さの \( -6.6 \times 10^{-19}\,\text{J} \) です。
答え:(1) Aと同じ (2) 2倍(\( 1.0 \times 10^{15}\,\text{Hz} \)) (3) 2倍の深さ(\( -6.6 \times 10^{-19}\,\text{J} \))
講義解説の「2台の自動販売機」の図と同じく、Bのグラフは、Aのグラフを傾きを変えずにずらした平行線になります。
光子の運動量 \( p \) を、光子のエネルギー \( \varepsilon \) と光速 \( c \) を用いて表しなさい。また、エネルギー \( 3.0 \times 10^{-19}\,\text{J} \) の光子の運動量を求めなさい。
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\( p = \displaystyle\frac{h}{\lambda} \) と \( \varepsilon = h\nu \) をつなぐ橋は、ここでも \( c = \nu\lambda \) です。\( \lambda = \displaystyle\frac{c}{\nu} \) を代入します。
$$
\begin{aligned}
p &= \displaystyle\frac{h}{\lambda} \\[2.0ex]
&= \displaystyle\frac{h\nu}{c} \\[2.0ex]
&= \displaystyle\frac{\varepsilon}{c}
\end{aligned}
$$
数値を入れると、次のようになります。
$$
\begin{aligned}
p &= \displaystyle\frac{3.0 \times 10^{-19}}{3.0 \times 10^{8}} \\[2.0ex]
&= 1.0 \times 10^{-27}\,\text{kg}\cdot\text{m/s}
\end{aligned}
$$
答え:\( p = \displaystyle\frac{\varepsilon}{c} \)、\( p = 1.0 \times 10^{-27}\,\text{kg}\cdot\text{m/s} \)
2限目では、この \( p = \displaystyle\frac{h}{\lambda} \) を逆向きに読み、「運動量をもつ電子にも波長があるのでは?」という問いへ進みます。
8問のうち、手が止まった問題の番号をメモしておいてください。止まった場所こそ、あなたの思考のクセの在りかです。
①②⑧で止まったなら「式をつなぐ」練習、③⑤なら「強さと振動数の役割分担」、④なら「エネルギーの流れを順に追う」手順、⑥⑦なら「グラフと式の対応」に戻るのが処方箋です。
メモした問題は、3日後と1週間後に解答を見ずに解き直し、同じところで止まらなくなったかを確かめましょう。これが自分でできる経過観察です。個別に経過を見てほしい人は、まこと先生のオンライン家庭教師で、まこラボの記録を使って一緒に追いかけることもできます。
次の2限目では、光で見た「波と粒の二重性」が、電子のような粒子にも当てはまるのかを考えます。光子の運動量の式 \( p = \displaystyle\frac{h}{\lambda} \) を逆から読むと何が見えてくるのか——答えを予想してから進んでみてください。
以下のテキストをコピーして、「まことAI」にそのまま貼り付けてみてください。直感的にイメージしにくい物理の現象を、別の角度からわかりやすく解説してくれます。
タップ(クリック)すると答えが表示されます。
Q1. 原子全体を「東京ドーム」の大きさに拡大したとき、中心にある原子核はどのくらいの大きさになりますか?
原子の大きさ(約 \( 10^{-10}\,\text{m} \))に対して、原子核(約 \( 10^{-15}\,\text{m} \))はその10万分の1程度の小ささです。質量は中心に集中していますが、原子の内部はほとんどが「スカスカの空間」です。
Q2. 光の1粒(光子)が持つエネルギーは、その光の「波長」が短いほどどうなりますか?
光子のエネルギーは \( \varepsilon = h\nu \) で表されます。波長が短いということは「振動数 \( \nu \) が大きい」ということなので、光子1個のエネルギーは大きくなります。(例:赤外線より紫外線の方が1粒のエネルギーが大きい)
Q3. 限界振動数より小さい振動数の光を金属に当てました。電子は飛び出しませんが、この光の「強さ(明るさ)」をさらに強くすると、電子は飛び出すでしょうか?
光の強さ(明るさ)は「光子の数」を意味します。1粒あたりのエネルギー \( h\nu \) が仕事関数 \( W \) に満たない場合、いくら光子をたくさんぶつけても電子がくぼみから飛び出すことはありません。
「AIを使ったことがない」「どう質問していいか分からない」という方も大丈夫!以下のステップに沿って進めるだけで、まこと先生の分身があなたのスマホに現れ、分かるまでトコトン付き合ってくれます。
まずは、無料のAIを「まこと先生」に変身させるための呪文(プロンプト)が必要です。以下の「モザイクを解除する」ボタンをタップしてください。
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入力欄に先ほどコピーした文章をそのまま貼り付け、一番下の入力欄を自分の言葉に書き換えてから送信してください。
💡 ヒント:「自分なりに考えたこと」は、「光電効果で振動数が大事な理由が分からない」「ボーアモデルのエネルギー準位がイメージできない」など、素直な気持ちでOKです!
まことAIから返信が来たら、そこからが本番です!一度の質問で終わらせず、LINEで先生と話すように会話を続けてみましょう。
💬 こんな風に返信してみて!(質問のコツ)
階段の例え話は分かったけど、励起と基底状態の違いがまだあいまい! → 分かった部分と、分からない部分を切り分けて伝える!
ごめん、やっぱりイメージできない!ビリヤードの例え話で説明してみて! → 自分の好きなスポーツや身近な現象に例えてもらう!
要するに、振動数が小さいと電子が飛び出さないってことだよね? → 自分の言葉でまとめ直して、合っているか確認してもらう!
まことAIは絶対に怒りませんし、呆れません。「なんかフワッとしてるな…」と思ったら、無理矢理飲み込まずに「まだ腑に落ちない!」と伝えてください。あなたが「完璧!そういうこと!」とスッキリするまで、様々な角度からアプローチし続けます。
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この問題の「なぜそう解くのか」も
全て言語化されています。
問題集の解答が省略する思考プロセスを、現役講師が1人で書き続けています。650問超の「なぜ」を、1週間無料で読めます。
