「セミナー物理基礎+物理2025」徹底解説!【第 Ⅶ 章 23】発展例題~発展問題584

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発展例題

発展例題48 光電効果

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(2)の別解: 力学的エネルギー保存則を用いた解法
      • 模範解答が「\(1\,\text{eV}\) の定義」や「仕事とエネルギーの関係」から直感的に解いているのに対し、別解では電場中の荷電粒子の運動として、厳密に力学的エネルギー保存則を立式して解きます。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理的本質の深化: 「阻止電圧」という用語の暗記ではなく、電場による位置エネルギーと運動エネルギーの変換プロセスとして現象を捉え直すことができます。
    • 応用力の向上: 複雑な電場中での電子の運動など、定義だけでは解けない問題にも対応できる汎用的な力が身につきます。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「光電効果と光量子仮説」です。光を波ではなく「粒(光子)」として捉えることで、金属表面から電子が飛び出す現象を説明します。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 光量子仮説: 光はエネルギー \(E=h\nu\) を持つ粒子(光子)の流れであること。
  2. アインシュタインの光電効果の式: エネルギー保存則 \(h\nu = W + K_{\text{max}}\)(光子のエネルギー \(=\) 仕事関数 \(+\) 電子の最大運動エネルギー)。
  3. 阻止電圧と最大運動エネルギーの関係: 電場による仕事が電子の運動エネルギーを奪う現象。
  4. 光の強さと光子の数: 光の「明るさ(強さ)」は光子の「数」に比例し、光子の「エネルギー」とは無関係であること。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)では、与えられた波長から光子1個のエネルギーを計算し、単位をジュールから電子ボルト(eV)に変換します。
  2. (2)では、電流が流れなくなる電圧(阻止電圧)の情報から、飛び出した直後の電子が持っていた最大運動エネルギーを求めます。
  3. (3)では、(1)と(2)の結果を光電効果の式(エネルギー収支の式)に代入して、仕事関数を逆算します。
  4. (4)では、電流の定義(1秒間に運ばれる電気量)に基づいて、電子の個数を計算します。
  5. (5)では、光の強さを変えたときに「変わるもの(光子の数)」と「変わらないもの(光子1個のエネルギー)」を区別してグラフを描きます。

問(1)

思考の道筋とポイント
まず、光の波長 \(\lambda\) から振動数 \(\nu\) を求め、プランク定数 \(h\) を用いて光子1個のエネルギー \(E\) をジュール単位で計算します。その後、問題で指定された単位「eV(電子ボルト)」に換算します。
この設問における重要なポイント

  • 光速 \(c\)、振動数 \(\nu\)、波長 \(\lambda\) の関係式 \(c = \nu\lambda\) を理解していること。
  • 光子のエネルギーの式 \(E = h\nu\) を使えること。
  • \(1\,\text{eV}\) とは、電子1個(電気量 \(e\))が \(1\,\text{V}\) の電圧で加速されたときに得るエネルギーであり、\(1\,\text{eV} = 1.6 \times 10^{-19}\,\text{J}\) であること。

具体的な解説と立式
まず、光の波長 \(\lambda\) と光速 \(c\) から振動数 \(\nu\) を表します。
$$ \nu = \frac{c}{\lambda} $$
これを用いて、光子1個のエネルギー \(E\) をジュール単位で表す式を立てます。
$$
\begin{aligned}
E &= h\nu \\[2.0ex]
&= h \frac{c}{\lambda}
\end{aligned}
$$
次に、求めたエネルギー(単位:\(\text{J}\))を電気素量 \(e\) で割ることで、単位を \(\text{eV}\) に変換します。求めるエネルギーを \(E_{\text{eV}}\) とすると、
$$
\begin{aligned}
E_{\text{eV}} &= \frac{E}{e} \\[2.0ex]
&= \frac{hc}{e\lambda}
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 波の基本式: \(c = \nu\lambda\)
  • 光子のエネルギー: \(E = h\nu\)
  • 単位換算: \(E\,[\text{J}] = e \times E\,[\text{eV}]\)
計算過程

値を代入して計算します。
$$
\begin{aligned}
E &= \frac{(6.6 \times 10^{-34}) \times (3.0 \times 10^8)}{6.0 \times 10^{-7}} \\[2.0ex]
&= \frac{19.8 \times 10^{-26}}{6.0 \times 10^{-7}} \\[2.0ex]
&= 3.3 \times 10^{-19}\,\text{J}
\end{aligned}
$$
これを \(\text{eV}\) に換算します。
$$
\begin{aligned}
E_{\text{eV}} &= \frac{3.3 \times 10^{-19}}{1.6 \times 10^{-19}} \\[2.0ex]
&= \frac{3.3}{1.6} \\[2.0ex]
&= 2.0625 \dots
\end{aligned}
$$
有効数字2桁で答えるため、小数第2位を四捨五入します。
$$ E_{\text{eV}} \approx 2.1\,\text{eV} $$

この設問の平易な説明

光は波の性質を持ちますが、同時に「エネルギーの粒」でもあります。この粒1個が持つエネルギーは、光の色(振動数や波長)だけで決まります。ここでは公式を使ってまず普通のエネルギー単位(ジュール)で計算し、それを原子の世界でよく使われる単位(電子ボルト)に直しました。\(1\,\text{eV}\) は「電子1個を \(1\,\text{V}\) の電池で加速したときのエネルギー」という便利な単位です。

結論と吟味

答えは \(2.1\,\text{eV}\) です。可視光線の光子エネルギーは数 \(\text{eV}\) 程度(赤色で約 \(1.8\,\text{eV}\)、紫色で約 \(3.1\,\text{eV}\))なので、この値は物理的に妥当です。

解答 (1) \(2.1\,\text{eV}\)

問(2)

思考の道筋とポイント
図2のグラフから、電圧を負の方向に大きくしていくと、\(-V_0\) で電流が \(0\) になることが読み取れます。これは、最も勢いのある電子でさえも、電場の反発力に負けて陽極に到達できなくなったことを意味します。このときの電圧 \(V_0\)(阻止電圧)と最大運動エネルギー \(K_{\text{max}}\) の関係を用います。
この設問における重要なポイント

  • グラフから阻止電圧が \(-V_0\)(大きさは \(V_0\))であることを読み取る。
  • 阻止電圧 \(V_0\) と最大運動エネルギー \(K_{\text{max}}\) の関係 \(K_{\text{max}} = eV_0\) を理解していること。
  • エネルギーの単位が \(\text{eV}\)(電子ボルト)である場合、\(K_{\text{max}}\) の数値は \(V_0\) の数値と一致すること。

具体的な解説と立式
グラフより、電圧が \(-V_0\) のとき光電流が \(0\) になります。
これは、運動エネルギーが最大の電子(最大運動エネルギー \(K_{\text{max}}\))が、電位差 \(V_0\) の坂道を登りきれずに止まってしまったことを意味します。
単位が \(\text{J}\) の場合の関係式は以下の通りです。
$$ K_{\text{max}} = e V_0 $$
ここで、エネルギーの単位を \(\text{eV}\) で答える場合、定義より「電気素量 \(e\) の電荷を持つ粒子が電圧 \(V_0\) で加速(または減速)されたときのエネルギー」は、数値として \(V_0\) そのものになります。
したがって、求めるエネルギー \(K_{\text{eV}}\) は、
$$ K_{\text{eV}} = V_0 \,[\text{eV}] $$

使用した物理公式

  • 最大運動エネルギーと阻止電圧の関係: \(K_{\text{max}} = eV_0\)
計算過程

問題文より \(V_0 = 0.66\,\text{V}\) です。
したがって、最大運動エネルギーは
$$ K_{\text{eV}} = 0.66\,\text{eV} $$

この設問の平易な説明

陰極から飛び出した電子は、陽極に向かって飛んでいきます。しかし、陽極の電圧をマイナスにすると、電子(マイナスの電気を持っています)は反発されてブレーキがかかります。電圧を \(-0.66\,\text{V}\) にしたとき、一番元気な電子でさえも陽極に届かなくなりました。これは、その電子が持っていた運動エネルギーが、ちょうど \(0.66\,\text{V}\) の電圧に逆らって進むエネルギー(つまり \(0.66\,\text{eV}\))と同じだったことを意味します。

結論と吟味

答えは \(0.66\,\text{eV}\) です。これは(1)で求めた光子のエネルギー \(2.1\,\text{eV}\) よりも小さい値です。光子のエネルギーの一部が金属から飛び出すために使われ、残りが運動エネルギーになったと考えれば、この大小関係は妥当です。

解答 (2) \(0.66\,\text{eV}\)
別解: 力学的エネルギー保存則を用いた解法

思考の道筋とポイント
「阻止電圧の定義」として公式を暗記するのではなく、電子の運動を力学的に捉えます。電子が陰極を出発してから陽極の手前で止まるまでの過程について、力学的エネルギー保存則を適用します。
この設問における重要なポイント

  • 電場中の荷電粒子の位置エネルギー \(U = qV\) を正しく扱えること。
  • 電子の電荷は \(q = -e\) であること。
  • 陰極(出発点)の電位を \(0\)、陽極(到達点)の電位を \(-V_0\) とすること。

具体的な解説と立式
陰極Kを飛び出した直後の電子の速さを \(v_{\text{max}}\)、質量を \(m\) とします。
陰極Kの電位を \(0\,\text{V}\) と基準にとると、陽極Pの電位は \(-V_0\,\text{V}\) です。
電子が陽極Pにギリギリ到達できずに速さが \(0\) になったと考えます。
力学的エネルギー保存則「(運動エネルギー) + (位置エネルギー) = 一定」より、
$$
\begin{aligned}
(\text{Kでの運動エネルギー}) &+ (\text{Kでの位置エネルギー}) \\[2.0ex]
= (\text{Pでの運動エネルギー}) &+ (\text{Pでの位置エネルギー}) \\[4.0ex]
\frac{1}{2}mv_{\text{max}}^2 + (-e) \times 0 &= 0 + (-e) \times (-V_0)
\end{aligned}
$$
ここで、最大運動エネルギー \(K_{\text{max}} = \frac{1}{2}mv_{\text{max}}^2\) です。

使用した物理公式

  • 力学的エネルギー保存則: \(K + U = \text{一定}\)
  • 静電気力による位置エネルギー: \(U = qV\)
計算過程

上の式を整理します。
$$
\begin{aligned}
K_{\text{max}} &= e V_0
\end{aligned}
$$
これより、\(K_{\text{max}}\) は \(e \times 0.66\,\text{J}\) となります。
これを \(\text{eV}\) 単位に換算するには、\(e\) で割ればよいので、
$$
\begin{aligned}
K_{\text{eV}} &= \frac{e V_0}{e} \\[2.0ex]
&= V_0 \\[2.0ex]
&= 0.66\,\text{eV}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

ボールを坂道に向かって転がす状況を想像してください。最初の勢い(運動エネルギー)があればあるほど高いところまで登れます。ここでは「電圧」が坂道の高さに相当します。電子が高さ \(V_0\) の電気的な坂道を登りきれずに止まったということは、最初に持っていたエネルギーがその高さ分(\(eV_0\))とぴったり同じだったということです。

結論と吟味

メインの解法と同じく \(0.66\,\text{eV}\) が得られました。この方法は、電位の正負や電子の電荷の符号を厳密に扱う練習として非常に有益です。

解答 (2) \(0.66\,\text{eV}\)

問(3)

思考の道筋とポイント
光電効果におけるエネルギー収支の式(アインシュタインの光電効果の式)を立てます。「入ってきた光子のエネルギー」が、「金属から脱出するためのコスト(仕事関数)」と「脱出後の運動エネルギー」に分配されると考えます。
この設問における重要なポイント

  • 光電効果の式 \(h\nu = W + K_{\text{max}}\) を正しく立式できること。
  • (1)と(2)で求めた値を \(\text{eV}\) 単位のまま計算できること。

具体的な解説と立式
光子1個のエネルギーを \(E\)、仕事関数を \(W\)、電子の最大運動エネルギーを \(K_{\text{max}}\) とすると、エネルギー保存則より以下の関係が成り立ちます。
$$ E = W + K_{\text{max}} $$
求めたいのは仕事関数 \(W\) なので、式を変形します。
$$ W = E – K_{\text{max}} $$

使用した物理公式

  • 光電効果の式: \(h\nu = W + K_{\text{max}}\)
計算過程

(1)より \(E \approx 2.06\,\text{eV}\)(計算途中なので有効数字を多めにとった値を使います)、(2)より \(K_{\text{max}} = 0.66\,\text{eV}\) です。
これらを代入します。
$$
\begin{aligned}
W &= 2.06 – 0.66 \\[2.0ex]
&= 1.40
\end{aligned}
$$
有効数字2桁で答えます。
$$ W = 1.4\,\text{eV} $$

この設問の平易な説明

金属の中に閉じ込められている電子を外に引っ張り出すには、最低限必要なエネルギー(脱出コスト)があり、これを「仕事関数」と呼びます。光子が持ち込んだエネルギー \(2.06\,\text{eV}\) のうち、一部が脱出コストとして支払われ、残りの \(0.66\,\text{eV}\) が飛び出した後のスピード(運動エネルギー)になりました。引き算をすれば、脱出コストがいくらだったかが分かります。

結論と吟味

答えは \(1.4\,\text{eV}\) です。仕事関数は正の値であり、かつ光子のエネルギーより小さい値になっているため、物理的に妥当です。

解答 (3) \(1.4\,\text{eV}\)

問(4)

思考の道筋とポイント
まず、グラフから \(V=1.5\,\text{V}\) のときの電流値を読み取ります。次に、電流とは「1秒間に流れる電気量」であることを利用して、電子の個数を計算します。
この設問における重要なポイント

  • グラフの読み取り: \(V=1.5\,\text{V}\) は飽和電流の領域にあり、電流値が一定(\(4.0 \times 10^{-7}\,\text{A}\))であることを確認する。
  • 電流の定義式 \(I = \frac{Q}{t}\) と、電気量 \(Q\) が電子の個数 \(n\) と電気素量 \(e\) の積 \(Q = ne\) で表されることを結びつけること。

具体的な解説と立式
図2より、\(V=1.5\,\text{V}\) のときの光電流 \(I\) は飽和電流の値と等しく、以下のようになります。
$$ I = 4.0 \times 10^{-7}\,\text{A} $$
求める電子の個数(毎秒)を \(n\) とします。電子1個の電気量の大きさは \(e\) なので、1秒間に運ばれる総電気量(つまり電流 \(I\))は次のように表せます。
$$ I = n \times e $$
したがって、個数 \(n\) を求める式は以下のようになります。
$$ n = \frac{I}{e} $$

使用した物理公式

  • 電流の定義: \(I = \frac{Q}{t}\)
  • 電気量の量子化: \(Q = ne\)
計算過程

数値を代入して計算します。
$$
\begin{aligned}
n &= \frac{4.0 \times 10^{-7}}{1.6 \times 10^{-19}} \\[2.0ex]
&= \frac{4.0}{1.6} \times 10^{-7 – (-19)} \\[2.0ex]
&= 2.5 \times 10^{12}\,\text{個}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

電流計が \(4.0 \times 10^{-7}\,\text{A}\) を指しているということは、1秒間に \(4.0 \times 10^{-7}\,\text{C}\) の電気が流れているということです。電気の運び手は電子で、電子1個あたり \(1.6 \times 10^{-19}\,\text{C}\) の電気を持っています。全体の電気量を1個あたりの電気量で割り算すれば、何個の電子が流れてきたかが分かります。

結論と吟味

答えは \(2.5 \times 10^{12}\,\text{個}\) です。非常に大きな数ですが、電子は極めて小さいため、日常的な電流でもこれくらいの個数が流れており、妥当な値です。

解答 (4) \(2.5 \times 10^{12}\,\text{個}\)

問(5)

思考の道筋とポイント
「光の強さ」を変えたときに、物理量がどう変化するかを整理します。光の強さは「光子の数」に対応し、光の色(振動数)は「光子1個のエネルギー」に対応します。これをもとに、飽和電流と阻止電圧の変化を予測し、グラフを描きます。
この設問における重要なポイント

  • 「光の強さを1/4倍」 \(\rightarrow\) 「単位時間あたりに飛んでくる光子の数が1/4倍」 \(\rightarrow\) 「飛び出す光電子の数も1/4倍」 \(\rightarrow\) 「飽和電流が1/4倍」という論理連鎖。
  • 「単色光(振動数一定)」 \(\rightarrow\) 「光子1個のエネルギーは不変」 \(\rightarrow\) 「光電子の最大運動エネルギーは不変」 \(\rightarrow\) 「阻止電圧 \(-V_0\) は不変」という論理連鎖。

具体的な解説と立式
1. 飽和電流の変化:
光の強さを1/4倍にすると、照射される光子の数が1/4倍になります。これにより、金属から飛び出す光電子の数も1/4倍になるため、飽和電流 \(I’\) は元の電流 \(I\) の1/4になります。
$$
\begin{aligned}
I’ &= \frac{1}{4} I
\end{aligned}
$$

2. 阻止電圧の変化:
光の振動数(色)は変わらないため、光子1個のエネルギー \(h\nu\) は変化しません。したがって、光電子の最大運動エネルギー \(K_{\text{max}}\) も変わらず、電流が \(0\) になる電圧(阻止電圧)も \(-V_0\) のまま変化しません。

使用した物理公式

  • 光電流 \(\propto\) 光の強さ(光子数)
  • 阻止電圧は光の振動数のみに依存し、強さには依存しない。
計算過程

飽和電流の値を計算します。
$$
\begin{aligned}
I’ &= \frac{1}{4} \times (4.0 \times 10^{-7}) \\[2.0ex]
&= 1.0 \times 10^{-7}\,\text{A}
\end{aligned}
$$
グラフの特徴点は以下の通りです。

  • \(x\)切片(電流が \(0\) になる電圧): \(-0.66\,\text{V}\)(変化なし)
  • 飽和電流値(水平部分の高さ): \(1.0 \times 10^{-7}\,\text{A}\)
この設問の平易な説明

光を弱くするということは、飛んでくる光の粒(光子)の数を減らすということです。粒の数が減れば、弾き飛ばされる電子の数も減るので、電流の最大値(飽和電流)は減ります。しかし、光の色(振動数)は変えていないので、粒1個あたりの威力は変わりません。そのため、一番勢いのある電子を止めるのに必要な電圧(阻止電圧)は変わりません。

結論と吟味

グラフは、横軸の \(-0.66\,\text{V}\) から立ち上がり、電圧が増加するとともに電流が増え、最終的に高さ \(1.0 \times 10^{-7}\,\text{A}\) で一定になる曲線となります。これは光電効果の基本的な性質と一致します。

解答 (5) グラフの概略: 横軸との交点は \(-0.66\,\text{V}\) で変わらず、飽和電流の値が \(1.0 \times 10^{-7}\,\text{A}\) となる曲線。(模範解答の図を参照)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • 光量子仮説とエネルギー保存則
    • 核心: 光を「波」ではなく、エネルギー \(E=h\nu\) を持つ「粒子(光子)」として捉えることが全ての出発点です。光電効果は、この光子1個が金属内の電子1個に衝突し、自身のエネルギーをすべて電子に与えて消滅する現象です。
    • 理解のポイント:
      • エネルギー収支: 「光子が持ち込んだエネルギー \(h\nu\)」が、「金属から脱出するためのコスト(仕事関数 \(W\))」と「脱出後の運動エネルギー \(K_{\text{max}}\)」に分配されるというエネルギー保存則 \(h\nu = W + K_{\text{max}}\) を直感的に理解することが重要です。
      • 1対1の対応: 光子1個と電子1個の相互作用であるため、光を強くする(光子の数を増やす)と飛び出す電子の数は増えますが、電子1個あたりのエネルギーは変わりません。
  • 電場による仕事と阻止電圧
    • 核心: 飛び出した電子が電場から力を受けて減速し、止まるまでの過程をエネルギーの視点で捉えることです。
    • 理解のポイント:
      • 阻止電圧の意味: 電圧 \(V\) を逆にかけると、電子は電気的な坂道を登ることになります。最も速い電子でさえ登りきれなくなる高さ(電圧)が阻止電圧 \(V_0\) です。このとき、電子の最大運動エネルギー \(K_{\text{max}}\) がすべて位置エネルギー \(eV_0\) に変換されたと考えます(\(K_{\text{max}} = eV_0\))。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 異なる金属での実験: 仕事関数 \(W\) が異なる金属を用いた場合、グラフの立ち上がり位置(阻止電圧)がどう変化するかを問う問題。\(h\nu = W + eV_0\) より、\(W\) が大きいほど \(V_0\)(の大きさ)は小さくなります。
    • 異なる波長の光での実験: 照射する光の振動数 \(\nu\) を変えた場合。\(h\nu\) が大きくなれば、\(K_{\text{max}}\) も大きくなり、阻止電圧の大きさも大きくなります。
    • プランク定数の測定: 縦軸に阻止電圧 \(V_0\)、横軸に振動数 \(\nu\) をとったグラフを描かせ、その傾きからプランク定数 \(h/e\) を求めさせる問題。式変形 \(V_0 = (h/e)\nu – W/e\) が鍵となります。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. まずはグラフの軸を確認する: 縦軸が電流 \(I\)、横軸が電圧 \(V\) の場合、以下の2点に着目します。
      • 飽和電流値(水平部分): 光の強さ(光子の数)に比例します。
      • 阻止電圧(電流が0になる電圧): 光の振動数(光子1個のエネルギー)と仕事関数で決まります。
    2. 単位に注意する: エネルギーの単位が \(\text{J}\) なのか \(\text{eV}\) なのかを常に見極めます。\(\text{eV}\) で計算する場合、\(e\) を掛ける手間が省けるため、計算が非常に楽になります。
    3. 「変化させた条件」と「不変の条件」を整理する: 「光を強くしただけ」ならエネルギー関係は不変、「色を変えた」なら光子エネルギーが変化、といった因果関係を整理してから解き始めましょう。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • 阻止電圧と光の強さの関係の誤解:
    • 誤解: 「光を強くすれば、電子も勢いよく飛び出すだろうから、止めるのにより大きな電圧が必要になる(阻止電圧が大きくなる)」と直感的に考えてしまう。
    • 対策: 光電効果では「光の強さ=光子の数」であり、「光の強さ \(\neq\) 光子のエネルギー」であることを徹底的に区別します。電子の勢い(運動エネルギー)を決めるのは、あくまで光の「色(振動数)」だけです。
  • 仕事関数と限界振動数の混同:
    • 誤解: 仕事関数 \(W\) と限界振動数 \(\nu_0\) の関係が曖昧になる。
    • 対策: \(W = h\nu_0\) という関係式を覚えつつ、意味を理解しましょう。「限界振動数 \(\nu_0\) の光子は、ちょうど脱出コスト \(W\) 分のエネルギーしか持っていないので、飛び出した後の運動エネルギーは0になる」というギリギリの状況をイメージすると定着します。
  • 単位換算のミス:
    • 誤解: 公式 \(E=h\nu\) で求めたジュール値と、\(eV\) 単位の値を混同して足し引きしてしまう。
    • 対策: 計算の各ステップで必ず単位(\(\text{J}\) か \(\text{eV}\) か)を明記する癖をつけましょう。特に \(h\) や \(c\) を使う計算は \(\text{J}\) で出てくるので、\(\text{eV}\) に直すには \(e\) で割る必要があることを忘れないようにします。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • (1)での公式選択(\(E=h\nu\)):
    • 選定理由: 「光子1個のエネルギー」を問われているため、光量子仮説の基本式である \(E=h\nu\) を使う以外にありません。波長 \(\lambda\) が与えられているので、\(\nu = c/\lambda\) を代入して \(E = hc/\lambda\) の形にします。
    • 適用根拠: 光の粒子性を扱う問題であり、エネルギーと振動数を結びつける唯一の物理法則だからです。
  • (2)での公式選択(\(K_{\text{max}} = eV_0\)):
    • 選定理由: 「阻止電圧」という言葉やグラフの \(x\) 切片の情報から、電場による仕事と運動エネルギーの関係を使うと判断します。
    • 適用根拠: 電子が電場から受ける仕事 \(W_{\text{elec}} = qV\) が、運動エネルギーの変化 \(\Delta K\) に等しいというエネルギー原理に基づいています。
  • (3)での公式選択(\(h\nu = W + K_{\text{max}}\)):
    • 選定理由: 「仕事関数」を求めるには、エネルギーの収支全体を記述する式が必要です。入射エネルギー、脱出エネルギー、残りの運動エネルギーを結びつける唯一の式が、アインシュタインの光電効果の式です。
    • 適用根拠: エネルギー保存則という普遍的な物理法則が、光電効果という現象においても成立するという前提に基づいています。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 指数計算をまとめて処理する:
    • \(h \approx 10^{-34}\)、\(c \approx 10^8\) など、極端に小さな数や大きな数を扱います。仮数部(\(6.6 \times 3.0 / 6.0\) など)と指数部(\(10^{-34+8-(-7)}\) など)を分けて計算し、最後に合体させるとミスが減ります。
  • \(\text{eV}\) 単位を積極的に活用する:
    • 問題文で \(\text{eV}\) が指定されている場合、ジュールに換算せずに \(\text{eV}\) のまま計算できる部分はそのまま進めます。特に \(K_{\text{max}} = eV_0\) の関係では、\(V_0\) のボルト値がそのまま \(\text{eV}\) 値になるため、計算自体が不要になることも多いです。
  • 物理定数の代入は最後に行う:
    • 最初から数値を代入すると式が煩雑になります。\(E = hc/e\lambda\) のように文字式のまま整理し、約分できるものがないか確認してから、最後に数値を代入して計算しましょう。
  • 物理的にありえない値でないか吟味する:
    • 光子のエネルギーや仕事関数は、通常数 \(\text{eV}\)(\(10^{-19}\,\text{J}\) のオーダー)になります。もし \(10^{-34}\) や \(10^{20}\) といった桁外れな答えが出たら、どこかで指数計算を間違えている可能性が高いので、すぐに見直しましょう。

発展例題49 コンプトン効果

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(3)の別解: ベクトル図(余弦定理)を用いた解法
      • 模範解答が成分ごとに分解して三平方の定理を用いるのに対し、別解では運動量ベクトルそのものの幾何学的関係(余弦定理)に着目して計算します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 計算量の削減: 成分分解や三角関数の公式(\(\sin^2\theta+\cos^2\theta=1\))を使う手間が省け、計算ミスを減らせます。
    • 物理的直感の養成: 運動量保存則を「ベクトルの合成・分解」として視覚的に捉える力が養われます。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「コンプトン効果」です。X線(光子)が電子と衝突して散乱される現象を通じて、光が「粒子」としての性質(運動量とエネルギー)を持つことを確認する重要な単元です。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 光子の運動量とエネルギー: 波長 \(\lambda\) の光子は、運動量 \(p = \frac{h}{\lambda}\)、エネルギー \(E = \frac{hc}{\lambda}\) を持つ粒子として振る舞います。
  2. 運動量保存則: 衝突の前後で、系の運動量の総和ベクトルは保存されます。\(x\)方向、\(y\)方向それぞれの成分について式を立てます。
  3. エネルギー保存則: 弾性衝突として扱われるため、衝突前後のエネルギーの総和は保存されます。
  4. 近似計算: 物理では、微小な変化を扱う際に近似式を用いて式を簡略化するテクニックが頻出です。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)では、光子と電子の運動量をベクトルとして捉え、\(x\)軸方向と\(y\)軸方向の成分に分解して保存則の式を立てます。
  2. (2)では、スカラー量であるエネルギーについて保存則の式を立てます。
  3. (3)では、(1)で立てた2つの式から角度 \(\alpha\) を含む項を消去し、電子の運動エネルギーを求めます。
  4. (4)では、(2)と(3)の結果を結びつけ、与えられた近似式を利用して波長の変化 \(\Delta\lambda\) を導出します。

問(1)

思考の道筋とポイント
衝突現象なので、運動量保存則が成立します。運動量はベクトル量なので、\(x\)方向と\(y\)方向に分解して考えます。
まず、各粒子の運動量の大きさを確認しましょう。

  • 入射X線光子: 大きさ \(\frac{h}{\lambda}\)、向きは \(x\)軸正方向。
  • 散乱X線光子: 大きさ \(\frac{h}{\lambda’}\)、向きは \(x\)軸から角度 \(\theta\)(第1象限)。
  • 散乱後の電子: 速さが \(v\) なので運動量の大きさは \(mv\)。向きは \(x\)軸から角度 \(\alpha\)(第4象限)。

この設問における重要なポイント

  • 光子の運動量は \(p = \frac{h}{\lambda}\) で表される。
  • 運動量はベクトルであり、成分ごとに保存則を立てる。
  • 電子の \(y\)方向の運動量は、図より負の向き(\(x\)軸の下側)に向いていることに注意する。

具体的な解説と立式
\(x\)方向と\(y\)方向それぞれについて、運動量保存則「(衝突前の運動量の和)=(衝突後の運動量の和)」を立式します。

1. \(x\)方向について
衝突前: 光子は \(x\)軸正方向に進んでいるので、運動量は \(\frac{h}{\lambda}\) です。電子は静止しているので \(0\) です。
衝突後: 光子の \(x\)成分は \(\frac{h}{\lambda’}\cos\theta\) です。電子の \(x\)成分は \(mv\cos\alpha\) です。
よって、保存則の式は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
\frac{h}{\lambda} &= \frac{h}{\lambda’}\cos\theta + mv\cos\alpha \quad \cdots ①
\end{aligned}
$$

2. \(y\)方向について
衝突前: 光子も電子も \(y\)方向には動いていないので、運動量の和は \(0\) です。
衝突後: 光子の \(y\)成分は上向き(正)に \(\frac{h}{\lambda’}\sin\theta\) です。電子は図より \(x\)軸の下側に散乱されているため、その \(y\)成分は下向き(負)であり、大きさは \(mv\sin\alpha\) です。
よって、保存則の式は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
0 &= \frac{h}{\lambda’}\sin\theta – mv\sin\alpha \quad \cdots ②
\end{aligned}
$$
(※式②は、上向きの運動量と下向きの運動量がつりあっていると考えて、\(mv\sin\alpha = \frac{h}{\lambda’}\sin\theta\) と立式しても同じ意味になります。)

使用した物理公式

  • 光子の運動量: \(p = \frac{h}{\lambda}\)
  • 運動量保存則: \(\vec{p}_{\text{前}} = \vec{p}_{\text{後}}\)
計算過程

この設問では立式そのものが解答となるため、計算過程はありません。

この設問の平易な説明

ビリヤードの球の衝突と同じように考えます。白い手玉(光子)が止まっている球(電子)に当たって、斜め上に弾かれました。その反動で、止まっていた球は斜め下に動き出します。「右向きの勢い」と「縦方向の勢い」が、衝突の前後で合計が変わらないというルールを式にしました。

結論と吟味

式①は \(x\)方向の運動量の和が保存されていることを、式②は \(y\)方向の運動量の和がゼロのままである(上向き成分と下向き成分が打ち消し合う)ことを示しており、物理的に妥当です。

解答 (1) \(x\)方向: \(\displaystyle \frac{h}{\lambda} = \frac{h}{\lambda’}\cos\theta + mv\cos\alpha\), \(y\)方向: \(\displaystyle 0 = \frac{h}{\lambda’}\sin\theta – mv\sin\alpha\)

問(2)

思考の道筋とポイント
コンプトン効果では、光子と電子の衝突は弾性衝突として扱われ、エネルギーの損失はないと考えます。したがって、衝突前後のエネルギーの総和は保存されます。
この設問における重要なポイント

  • 光子のエネルギーは \(E = \frac{hc}{\lambda}\) で表される。
  • 電子(質量 \(m\)、速さ \(v\))の運動エネルギーは \(K = \frac{1}{2}mv^2\) である。
  • 静止している電子の運動エネルギーは \(0\) である。

具体的な解説と立式
エネルギー保存則「(衝突前のエネルギーの和)=(衝突後のエネルギーの和)」を立式します。

衝突前:
光子のエネルギー: \(\frac{hc}{\lambda}\)
電子のエネルギー: \(0\) (静止しているため)

衝突後:
光子のエネルギー: \(\frac{hc}{\lambda’}\) (波長が \(\lambda’\) に伸びているためエネルギーは減少しています)
電子のエネルギー: \(\frac{1}{2}mv^2\)

これらを等号で結びます。
$$
\begin{aligned}
\frac{hc}{\lambda} &= \frac{hc}{\lambda’} + \frac{1}{2}mv^2 \quad \cdots ③
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 光子のエネルギー: \(E = h\nu = \frac{hc}{\lambda}\)
  • 運動エネルギー: \(K = \frac{1}{2}mv^2\)
  • エネルギー保存則: \(E_{\text{前}} = E_{\text{後}}\)
計算過程

この設問では立式そのものが解答となるため、計算過程はありません。

この設問の平易な説明

エネルギーはお金のようなものです。最初に光子が持っていたエネルギーの一部が、ぶつかった電子に「お小遣い(運動エネルギー)」として渡されました。その分、光子の持ち金(エネルギー)は減ってしまいます。光子のエネルギーが減るということは、波長が長くなることを意味します。全体の金額が変わらないことを式にしました。

結論と吟味

左辺は衝突前の全エネルギー、右辺は衝突後の全エネルギーを表しており、エネルギー保存則として正しい形です。

解答 (2) \(\displaystyle \frac{hc}{\lambda} = \frac{hc}{\lambda’} + \frac{1}{2}mv^2\)

問(3)

思考の道筋とポイント
問(1)で立てた2つの式には、電子の散乱角 \(\alpha\) が含まれていますが、これを消去して電子の運動エネルギー \(\frac{1}{2}mv^2\) を、\(\alpha\) を使わずに表すことが求められています。
三角関数の基本公式 \(\sin^2\alpha + \cos^2\alpha = 1\) を利用するのが定石です。
この設問における重要なポイント

  • 式①と式②を変形して、\(mv\cos\alpha = \dots\) と \(mv\sin\alpha = \dots\) の形にする。
  • 両辺を2乗して足し合わせることで \(\alpha\) を消去する。

具体的な解説と立式
まず、式①と式②を、右辺に \(\alpha\) を含む項だけが残るように変形します。

式①より、
$$
\begin{aligned}
mv\cos\alpha &= \frac{h}{\lambda} – \frac{h}{\lambda’}\cos\theta \quad \cdots ①’
\end{aligned}
$$
式②より、
$$
\begin{aligned}
mv\sin\alpha &= \frac{h}{\lambda’}\sin\theta \quad \cdots ②’
\end{aligned}
$$
この2つの式を用いて、\((mv\cos\alpha)^2 + (mv\sin\alpha)^2\) を計算します。

使用した物理公式

  • 三角関数の関係式: \(\sin^2\alpha + \cos^2\alpha = 1\)
計算過程

式①’と式②’の両辺をそれぞれ2乗して足し合わせます。
$$
\begin{aligned}
(mv\cos\alpha)^2 + (mv\sin\alpha)^2 &= \left( \frac{h}{\lambda} – \frac{h}{\lambda’}\cos\theta \right)^2 + \left( \frac{h}{\lambda’}\sin\theta \right)^2 \\[2.0ex]
(mv)^2 (\cos^2\alpha + \sin^2\alpha) &= \left( \frac{h^2}{\lambda^2} – \frac{2h^2}{\lambda\lambda’}\cos\theta + \frac{h^2}{\lambda’^2}\cos^2\theta \right) + \frac{h^2}{\lambda’^2}\sin^2\theta
\end{aligned}
$$
左辺の \(\cos^2\alpha + \sin^2\alpha = 1\) を利用し、右辺を整理します。
$$
\begin{aligned}
(mv)^2 &= \frac{h^2}{\lambda^2} – \frac{2h^2}{\lambda\lambda’}\cos\theta + \frac{h^2}{\lambda’^2}(\cos^2\theta + \sin^2\theta) \\[2.0ex]
(mv)^2 &= \frac{h^2}{\lambda^2} + \frac{h^2}{\lambda’^2} – \frac{2h^2}{\lambda\lambda’}\cos\theta \\[2.0ex]
(mv)^2 &= h^2 \left( \frac{1}{\lambda^2} + \frac{1}{\lambda’^2} – \frac{2}{\lambda\lambda’}\cos\theta \right)
\end{aligned}
$$
求めたいのは運動エネルギー \(\frac{1}{2}mv^2\) です。上の式の両辺を \(2m\) で割ります。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{2}mv^2 &= \frac{(mv)^2}{2m} \\[2.0ex]
&= \frac{h^2}{2m} \left( \frac{1}{\lambda^2} + \frac{1}{\lambda’^2} – \frac{2\cos\theta}{\lambda\lambda’} \right)
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

電子がどの方向に飛んでいったか(角度 \(\alpha\))という情報は、エネルギーを考える上では必要ありません。そこで、数学のテクニック(2乗して足す)を使って角度 \(\alpha\) を消し去りました。これにより、電子が得たエネルギーを、光子の波長と散乱角 \(\theta\) だけで表すことができました。

結論と吟味

得られた式は、質量 \(m\)、プランク定数 \(h\)、波長 \(\lambda, \lambda’\)、角度 \(\theta\) のみで構成されており、問題の要求を満たしています。

解答 (3) \(\displaystyle \frac{h^2}{2m} \left( \frac{1}{\lambda^2} + \frac{1}{\lambda’^2} – \frac{2\cos\theta}{\lambda\lambda’} \right)\)
別解: ベクトル図(余弦定理)を用いた解法

思考の道筋とポイント
運動量保存則をベクトルの式 \(\vec{p} = \vec{p}’ + \vec{p}_e\) と見なし、ベクトル図形(三角形)に余弦定理を適用することで、成分分解を経ずに直接関係式を導きます。
この設問における重要なポイント

  • 入射光子の運動量ベクトルを \(\vec{p}\)(大きさ \(p=h/\lambda\))とする。
  • 散乱光子の運動量ベクトルを \(\vec{p}’\)(大きさ \(p’=h/\lambda’\))とする。
  • 散乱電子の運動量ベクトルを \(\vec{p}_e\)(大きさ \(p_e=mv\))とする。
  • これらは \(\vec{p} = \vec{p}’ + \vec{p}_e\) の関係にあり、変形すると \(\vec{p}_e = \vec{p} – \vec{p}’\) となる。

具体的な解説と立式
ベクトル \(\vec{p}\) と \(\vec{p}’\) のなす角は \(\theta\) です。
三角形の余弦定理(またはベクトルの差の大きさの公式)を適用します。
$$
\begin{aligned}
|\vec{p}_e|^2 &= |\vec{p}|^2 + |\vec{p}’|^2 – 2|\vec{p}||\vec{p}’|\cos\theta
\end{aligned}
$$

計算過程

各運動量の大きさを代入します。
$$
\begin{aligned}
(mv)^2 &= \left(\frac{h}{\lambda}\right)^2 + \left(\frac{h}{\lambda’}\right)^2 – 2\left(\frac{h}{\lambda}\right)\left(\frac{h}{\lambda’}\right)\cos\theta \\[2.0ex]
(mv)^2 &= h^2 \left( \frac{1}{\lambda^2} + \frac{1}{\lambda’^2} – \frac{2}{\lambda\lambda’}\cos\theta \right)
\end{aligned}
$$
両辺を \(2m\) で割って運動エネルギーにします。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{2}mv^2 &= \frac{h^2}{2m} \left( \frac{1}{\lambda^2} + \frac{1}{\lambda’^2} – \frac{2\cos\theta}{\lambda\lambda’} \right)
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

運動量の矢印をつなげると三角形ができます。この三角形に対して「2辺とその間の角がわかれば、残りの1辺の長さがわかる」という余弦定理を使うと、面倒な計算を一気にショートカットして答えにたどり着けます。

結論と吟味

メインの解法と全く同じ結果が、より少ない計算量で得られました。

解答 (3) \(\displaystyle \frac{h^2}{2m} \left( \frac{1}{\lambda^2} + \frac{1}{\lambda’^2} – \frac{2\cos\theta}{\lambda\lambda’} \right)\)

問(4)

思考の道筋とポイント
問(2)のエネルギー保存則と、問(3)で求めた電子の運動エネルギーの式を連立させます。
式変形のゴールは、波長の変化 \(\Delta\lambda = \lambda’ – \lambda\) を求めることです。
計算の途中で、与えられた近似式 \(\frac{\lambda’}{\lambda} + \frac{\lambda}{\lambda’} \approx 2\) をうまく適用できる形を作り出すのがポイントです。
この設問における重要なポイント

  • エネルギー保存則の式③を変形して、運動エネルギー \(\frac{1}{2}mv^2\) について解く。
  • それを問(3)の結果と等置する。
  • 通分や因数分解を行い、近似式が使える形(\(\frac{\lambda’}{\lambda} + \frac{\lambda}{\lambda’}\))を見つけ出す。

具体的な解説と立式
まず、問(2)の式③を \(\frac{1}{2}mv^2\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{2}mv^2 &= \frac{hc}{\lambda} – \frac{hc}{\lambda’} \\[2.0ex]
&= hc \left( \frac{1}{\lambda} – \frac{1}{\lambda’} \right) \\[2.0ex]
&= hc \frac{\lambda’ – \lambda}{\lambda\lambda’}
\end{aligned}
$$
ここで、\(\lambda’ – \lambda = \Delta\lambda\) とおくと、
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{2}mv^2 &= hc \frac{\Delta\lambda}{\lambda\lambda’} \quad \cdots ④
\end{aligned}
$$
となります。この式④と、問(3)の結果を等号で結びます。

使用した物理公式

  • 近似式: \(\frac{\lambda’}{\lambda} + \frac{\lambda}{\lambda’} \approx 2\)
計算過程

式④と問(3)の結果より、
$$
\begin{aligned}
hc \frac{\Delta\lambda}{\lambda\lambda’} &= \frac{h^2}{2m} \left( \frac{1}{\lambda^2} + \frac{1}{\lambda’^2} – \frac{2\cos\theta}{\lambda\lambda’} \right)
\end{aligned}
$$
右辺の括弧内を、近似式が使えるように変形します。分母を \(\lambda\lambda’\) でくくり出します。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{\lambda^2} + \frac{1}{\lambda’^2} – \frac{2\cos\theta}{\lambda\lambda’} &= \frac{1}{\lambda\lambda’} \left( \frac{\lambda’}{\lambda} + \frac{\lambda}{\lambda’} – 2\cos\theta \right)
\end{aligned}
$$
これを元の式に戻します。
$$
\begin{aligned}
hc \frac{\Delta\lambda}{\lambda\lambda’} &= \frac{h^2}{2m} \cdot \frac{1}{\lambda\lambda’} \left( \frac{\lambda’}{\lambda} + \frac{\lambda}{\lambda’} – 2\cos\theta \right)
\end{aligned}
$$
両辺の \(\frac{1}{\lambda\lambda’}\) を約分して消去します。
$$
\begin{aligned}
hc \Delta\lambda &= \frac{h^2}{2m} \left( \frac{\lambda’}{\lambda} + \frac{\lambda}{\lambda’} – \frac{2\cos\theta}{1} \right)
\end{aligned}
$$
ここで、近似式 \(\frac{\lambda’}{\lambda} + \frac{\lambda}{\lambda’} \approx 2\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
hc \Delta\lambda &\approx \frac{h^2}{2m} ( 2 – 2\cos\theta ) \\[2.0ex]
hc \Delta\lambda &= \frac{h^2}{2m} \cdot 2(1 – \cos\theta) \\[2.0ex]
hc \Delta\lambda &= \frac{h^2}{m} (1 – \cos\theta)
\end{aligned}
$$
最後に、\(\Delta\lambda\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
\Delta\lambda &= \frac{h^2}{mhc} (1 – \cos\theta) \\[2.0ex]
&= \frac{h}{mc} (1 – \cos\theta)
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

エネルギー保存則と運動量保存則という2つの大きなルールを組み合わせることで、最終的な結論を導きます。途中の計算は少し複雑ですが、「波長の変化は非常に小さい」という事実を利用して式を簡単にし(近似)、きれいな形の答えにたどり着きました。この結果は、X線の波長の伸び(\(\Delta\lambda\))が、散乱角 \(\theta\) だけで決まり、元の波長 \(\lambda\) には依存しないことを示しています。

結論と吟味

答えは \(\Delta\lambda = \frac{h}{mc}(1-\cos\theta)\) となりました。
\(\theta=0\)(散乱なし)のとき、\(\cos0=1\) なので \(\Delta\lambda=0\)。波長は変化しません。妥当です。
\(\theta=180^\circ\)(後方散乱)のとき、\(\cos180^\circ=-1\) なので \(\Delta\lambda = \frac{2h}{mc}\)。波長の変化は最大になります。これも物理的に妥当です。
次元解析を行うと、\([h] = \text{J}\cdot\text{s}\)、\([m] = \text{kg}\)、\([c] = \text{m/s}\) なので、\(\frac{\text{J}\cdot\text{s}}{\text{kg}\cdot\text{m/s}} = \frac{\text{N}\cdot\text{m}\cdot\text{s}}{\text{kg}\cdot\text{m/s}} = \frac{(\text{kg}\cdot\text{m/s}^2)\cdot\text{m}\cdot\text{s}}{\text{kg}\cdot\text{m/s}} = \text{m}\) となり、波長の単位(長さ)と一致します。

解答 (4) \(\displaystyle \Delta\lambda = \frac{h}{mc}(1-\cos\theta)\)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • 光子の粒子性(運動量とエネルギー)
    • 核心: 光(電磁波)を波としてだけでなく、「光子」という粒子として扱う点がこの問題の最大のテーマです。
    • 理解のポイント:
      • エネルギー \(E = h\nu = \frac{hc}{\lambda}\)
      • 運動量 \(p = \frac{h}{\lambda}\)
      • これらはアインシュタインの光量子仮説に基づく基本式であり、コンプトン効果の解析において絶対的な出発点となります。
  • 2次元の運動量保存則
    • 核心: 衝突現象において、外力が働かない限り運動量の総和は保存されます。平面内の衝突では、ベクトルとして保存則を考える必要があります。
    • 理解のポイント:
      • 成分分解: \(x\)軸方向と\(y\)軸方向に分解して、それぞれの方向で「前の和=後の和」を立てるのが基本です。
      • ベクトルの合成: 別解で示したように、運動量ベクトルそのもので三角形を作り、余弦定理などを利用する視点も強力です。
  • 弾性衝突としてのエネルギー保存則
    • 核心: コンプトン効果では、光子と電子の衝突によるエネルギー損失はない(弾性衝突)とみなします。
    • 理解のポイント:
      • 衝突前後の全エネルギー(光子のエネルギー+電子の運動エネルギー)が等しいという式を立てます。
      • 相対論的効果を考慮しない場合、電子のエネルギーは古典的な \(\frac{1}{2}mv^2\) で扱います(本問の設定)。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 斜め衝突の問題: 2つの小球が斜めに衝突する問題や、原子核の崩壊(分裂)の問題など。これらはすべて「運動量保存則(ベクトル)」と「エネルギー保存則」の連立で解けます。
    • ド・ブロイ波の問題: 粒子(電子など)を波として扱う問題では、逆に \(p = \frac{h}{\lambda}\) の関係式を使って粒子の運動量から波長を求めます。式の形は同じなので、セットで理解しておくと応用が利きます。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 「散乱」「衝突」という言葉: これらを見たら、即座に「運動量保存則」と「エネルギー保存則」を使う準備をします。
    2. 角度 \(\theta, \alpha\) の処理: 未知の角度(今回は電子の散乱角 \(\alpha\))を消去する流れは定石です。
      • 成分分解した場合 → \(\sin^2\alpha + \cos^2\alpha = 1\) を作るために「移項して2乗して足す」。
      • ベクトル図の場合 → 余弦定理で直接関係式を導く。
    3. 近似計算の指示: 「\(\Delta\lambda\) は十分小さい」などの記述があれば、\(\lambda \approx \lambda’\) や \(\lambda\lambda’ \approx \lambda^2\) などの近似を使うタイミングが必ず来ます。計算に行き詰まったら、近似を使える形に変形できないか疑いましょう。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • 運動量をスカラーで足してしまう
    • 誤解: \(x\)方向の運動量保存則で、ベクトルの向き(角度)を無視して \(\frac{h}{\lambda} = \frac{h}{\lambda’} + mv\) と書いてしまう。
    • 対策: 運動量は必ず「矢印(ベクトル)」としてイメージします。斜めの矢印は必ず分解するか、図形的に処理しなければなりません。「成分分解」の図を必ず描く癖をつけましょう。
  • エネルギー保存則でベクトル分解してしまう
    • 誤解: エネルギー保存則の式にも \(\cos\theta\) などをつけて分解しようとしてしまう。
    • 対策: エネルギーは「スカラー量(向きを持たない量)」です。成分分解してはいけません。単に「持っている量の合計」を計算するだけです。
  • 近似計算のタイミングと精度
    • 誤解: 早い段階で \(\lambda’ = \lambda\) と置いてしまい、\(\Delta\lambda = 0\) という無意味な結果を出してしまう。
    • 対策: 求めたいのは「差」である \(\Delta\lambda\) です。引き算の形(\(\lambda’ – \lambda\))が出てくるまでは、安易に等しいと置いてはいけません。分母の積 \(\lambda\lambda’\) など、比率や積の形になっている部分でのみ近似を適用するのがコツです。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • (1)での公式選択(運動量保存則)
    • 選定理由: 「衝突」前後の速度や方向の関係を知りたい場合、最も基本的かつ強力なツールが運動量保存則です。外力が働いていないため、運動量は必ず保存されます。
    • 適用根拠: 2次元平面内の運動なので、ベクトルとして扱う必要があります。成分分解法は、計算は少し増えますが、機械的に立式できるためミスが少なく、最も確実な方法です。
  • (2)での公式選択(エネルギー保存則)
    • 選定理由: 衝突によるエネルギーのやり取りを記述するためです。
    • 適用根拠: 問題設定としてエネルギー損失への言及がない(弾性衝突扱い)ため、保存則が成立します。
  • (3)でのアプローチ選択(\(\alpha\) の消去)
    • 選定理由: 電子の散乱角 \(\alpha\) は観測が難しく、通常は光子の散乱角 \(\theta\) のみが測定可能です。したがって、理論式から \(\alpha\) を消去し、観測可能な量だけで式を構成する必要があります。
    • 適用根拠: \(\sin^2 + \cos^2 = 1\) という恒等式は、角度変数を消去するための最強のツールです。これを使うために「移項して2乗」という操作を行います。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 文字式のまま最後まで計算する
    • 具体的な数値が与えられていない問題ですが、もし数値があっても、最後まで文字式(\(h, m, c, \lambda\) など)で計算し、最後に代入する方がミスが減ります。次元(単位)のチェックも容易になります。
  • 「移項して2乗」のテクニックをマスターする
    • 連立方程式から角度を消去する際、\(A\cos\alpha = B\), \(A\sin\alpha = C\) の形に変形してから \((A\cos\alpha)^2 + (A\sin\alpha)^2 = B^2 + C^2 \Rightarrow A^2 = B^2 + C^2\) とするのは、物理数学の鉄板テクニックです。これをスムーズに行えるよう練習しましょう。
  • 次元解析(単位チェック)の習慣
    • 最終結果 \(\Delta\lambda = \frac{h}{mc}(1-\cos\theta)\) が正しいか不安なときは、単位を確認します。
      • \(h\) [J・s] = [N・m・s] = [kg・m/s²・m・s] = [kg・m²/s]
      • \(mc\) [kg・m/s]
      • \(h/mc\) [ (kg・m²/s) / (kg・m/s) ] = [m]
    • ちゃんと長さの単位(波長と同じ)になっているので、計算ミスの可能性は低いと判断できます。
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発展問題

581 光電効果

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「光電効果」です。光を金属表面に照射すると電子が飛び出す現象を通じて、光の「粒子性(光子)」を理解することが目的です。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 光量子仮説: 光はエネルギー \(h\nu\) を持つ粒子(光子)の流れであると考えます。
  2. 光電効果の式: エネルギー保存則に基づき、\(h\nu = W + K_{\text{max}}\) という関係が成り立ちます。ここで \(W\) は仕事関数、\(K_{\text{max}}\) は光電子の最大運動エネルギーです。
  3. 阻止電圧: 光電流を止めるために必要な逆電圧 \(V_0\) は、最大運動エネルギーと \(K_{\text{max}} = eV_0\) の関係にあります。
  4. 光の強さと振動数の違い: 「光の強さ」は光子の数(電流の大きさ)に、「振動数」は光子1個のエネルギー(電圧の大きさ)に対応します。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)では、電圧を連続的に変化させて測定するための実験回路(分圧回路)を描きます。
  2. (2)では、グラフから読み取れる阻止電圧 \(V_0\) を利用して、光電効果の式から仕事関数 \(W\) を求めます。
  3. (3)では、光の条件を変えたとき(強さを2倍)、阻止電圧と飽和電流がどう変化するかを物理的に考察し、グラフに反映させます。

問(1)

ここから先が、他の受験生と差がつく重要パートです。

「解法に至る思考プロセス」
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なぜその公式を使うのか?どうしてその着眼点を持てるのか?
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