基本問題
530 磁場中を回転する導体棒
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(2)の別解: ローレンツ力による誘導起電力の積分を用いる解法
- 模範解答は「単位時間あたりに導体棒が横切る磁束(面積速度)」に着目してファラデーの電磁誘導の法則を用いますが、別解では「導体棒の微小部分に働くローレンツ力による起電力」を考え、それを棒全体で積分して求めます。
- 設問(2)の別解: ローレンツ力による誘導起電力の積分を用いる解法
- 上記の別解が有益である理由
- 物理的本質の理解: 「磁束の変化(マクロな視点)」と「ローレンツ力(ミクロな視点)」が、最終的に同じ結果を与えることを確認でき、電磁誘導現象への理解が深まります。
- 応用力の向上: 磁場が一様でない場合や、棒の形状が複雑な場合など、面積計算が難しい状況でも対応できる汎用性の高い考え方です。
- 結果への影響
- どちらのアプローチでも、最終的に得られる答えは完全に一致します。
この問題のテーマは「磁場中を回転する導体棒に生じる誘導起電力」です。発電機の原理にもつながる重要なテーマであり、電磁気学の基本法則を正しく適用する力が問われます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- ローレンツ力: 磁場中を運動する荷電粒子が受ける力。向きと大きさを正しく把握すること。
- 電位の定義: 正電荷が集まる場所が高電位、負電荷(電子)が集まる場所が低電位となること。
- ファラデーの電磁誘導の法則: 回路を貫く磁束の変化が誘導起電力を生むという法則。
- 扇形の面積公式: 半径 \(r\)、中心角 \(\theta\) の扇形の面積は \(S = \frac{1}{2}r^2\theta\) であること。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)では、導体棒内部の自由電子に着目し、回転運動によって受けるローレンツ力の向きを調べます。電子が移動して集まった側が低電位になります。
- (2)では、微小時間 \(\Delta t\) の間に導体棒が通過する領域(扇形)の面積を計算し、その領域に含まれる磁束の量を求めます。その磁束の変化率から誘導起電力を計算します。
問(1)
思考の道筋とポイント
導体棒の中には自由に動ける電子(自由電子)がたくさんあります。導体棒が回転すると、これらの電子も一緒に磁場中を運動することになります。磁場中で動く電荷には「ローレンツ力」が働きます。この力の向きに電子が押しやられ、電子が過剰になった側がマイナス(低電位)、電子が不足した側がプラス(高電位)になります。
この設問における重要なポイント
- 磁場 \(B\) の向きは鉛直下向き(図の平面図で見ると、紙面の表から裏へ向かう向き)。
- 導体棒は反時計回りに回転しているため、棒上の各点の速度 \(v\) の向きは接線方向(図の右側へ向かう向き)。
- 移動するのは負の電荷を持つ「電子」であること。
具体的な解説と立式
導体棒OP内部の自由電子(電荷 \(-e\))に着目します。
図の点P付近にある電子を考えると、回転による速度 \(\vec{v}\) の向きは、図の矢印の通り(紙面内での接線方向)です。
磁場 \(\vec{B}\) は鉛直下向き(紙面裏向き)です。
ここで、フレミングの左手の法則、あるいはローレンツ力の公式 \(\vec{f} = q(\vec{v} \times \vec{B})\) を適用して、電子が受ける力の向きを判断します。
- フレミングの左手の法則を使う場合:
- 中指(電流の向き): 電子は負電荷なので、運動方向とは逆向きにとります。
- 人差し指(磁場の向き): 紙面の表から裏へ向けます。
- 親指(力の向き): このとき親指は、棒の外側(OからPの向き)を指します。
- ローレンツ力のベクトル積で考える場合:
- \(\vec{v}\)(右向き)と \(\vec{B}\)(奥向き)の外積 \(\vec{v} \times \vec{B}\) は、中心Oを向きます。
- 電荷 \(q = -e\) が負なので、力 \(\vec{f}\) はその逆、つまり外側(P向き)となります。
いずれの方法でも、電子は「OからPの向き」に力を受けます。
この力によって、負電荷を持つ電子は点P側に移動し蓄積されます。一方、点O側は電子が不足して正に帯電します。
電位は、正電荷がある方が高く、負電荷がある方が低くなります。
したがって、点Pは低電位、点Oは高電位となります。
使用した物理公式
- ローレンツ力: \(\vec{f} = q(\vec{v} \times \vec{B})\)
(定性的な判断のみのため、計算過程はありません)
導体棒を回転させると、中の電子も一緒に回ります。磁石の世界(磁場)の中で電気の粒(電子)が動くと、横向きに力を受けるというルールがあります(ローレンツ力)。
このルールに従って手の向きを合わせると、電子は棒の端っこ(点P)の方へ押し出されることがわかります。
マイナスの電気を持つ電子がPに集まるので、P側はマイナス極になります。逆に、電子がいなくなった中心(点O)側はプラス極になります。
電気の世界ではプラス側を「電位が高い」と言うので、答えは点Oです。
電子(負電荷)がP側に集まるため、Pが低電位、Oが高電位です。これは、遠心力で外側に物が集まるイメージとは異なりますが(ローレンツ力によるもの)、結果として外側が負になるという結論は物理的に妥当です。
問(2)
思考の道筋とポイント
誘導起電力の大きさは、ファラデーの電磁誘導の法則により、「単位時間あたりに回路を貫く磁束の変化の大きさ」に等しいです。
ここでは、回転する棒OP、中心Oと点Pを結ぶ静止した導線、および円弧部分の導線で構成される仮想的な閉回路(扇形)を考えます。棒が回転することで、この回路の面積が増加し、それに伴って回路を貫く磁束が増加します。
この設問における重要なポイント
- 微小時間 \(\Delta t\) の間に棒が回転する角度は \(\Delta \theta = \omega \Delta t\) である。
- この間に棒が描く図形は、半径 \(a\)、中心角 \(\omega \Delta t\) の扇形とみなせる。
- 磁束密度 \(B\) は一様であるため、磁束 \(\Phi\) は \((\text{磁束密度}) \times (\text{面積})\) で求められる。
具体的な解説と立式
微小時間 \(\Delta t\) の間に、棒OPが回転して描く扇形の面積を \(\Delta S\) とします。
扇形の半径は \(a\)、中心角は \(\omega \Delta t\) です。
扇形の面積公式より、
$$ \Delta S = \frac{1}{2} a^2 (\omega \Delta t) $$
この面積 \(\Delta S\) の部分を一様な磁束密度 \(B\) が貫いているため、この間に棒が横切った磁束の大きさ(磁束の増加分) \(\Delta \Phi\) は、
$$ \Delta \Phi = B \Delta S $$
ファラデーの電磁誘導の法則より、誘導起電力の大きさ \(V\) は、磁束の時間変化率の大きさになります。
$$ V = \left| \frac{\Delta \Phi}{\Delta t} \right| $$
使用した物理公式
- 扇形の面積: \(S = \frac{1}{2}r^2\theta\)
- 磁束: \(\Phi = BS\)
- ファラデーの電磁誘導の法則: \(V = \left| \frac{\Delta \Phi}{\Delta t} \right|\)
まず、\(\Delta \Phi\) を具体的に書き下します。
$$
\begin{aligned}
\Delta \Phi &= B \times \left( \frac{1}{2} a^2 \omega \Delta t \right) \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2} B a^2 \omega \Delta t
\end{aligned}
$$
これを誘導起電力の式に代入して計算します。
$$
\begin{aligned}
V &= \frac{\frac{1}{2} B a^2 \omega \Delta t}{\Delta t} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2} B a^2 \omega
\end{aligned}
$$
したがって、求める誘導起電力の大きさは \(\displaystyle\frac{Ba^2\omega}{2}\) となります。
棒が動くことで、磁場がかかっているエリアをどれくらいの勢いで「刈り取って」いるかを計算します。
棒は回転しているので、刈り取る形は「扇形」になります。
ほんの少しの時間 \(\Delta t\) で、角度は \(\omega \Delta t\) だけ進みます。このときできる扇形の面積を計算し、その中にある磁束の量を求めます。
最後に、「1秒あたりどれくらいの磁束を刈り取ったか」を計算するために、時間 \(\Delta t\) で割り算をすると、それがそのまま電圧(誘導起電力)になります。
答えは \(\displaystyle\frac{Ba^2\omega}{2}\) です。
次元(単位)を確認してみます。
\(B\) [\(\text{T}\)] \(\cdot\) \(a^2\) [\(\text{m}^2\)] \(\cdot\) \(\omega\) [\(\text{1/s}\)] = [\(\text{T}\cdot\text{m}^2/\text{s}\)] = [\(\text{Wb/s}\)] = [\(\text{V}\)]
となり、電圧の単位と一致しています。
また、磁場 \(B\) が強いほど、棒の長さ \(a\) が長いほど、回転が速い(\(\omega\) が大きい)ほど電圧が高くなるという結果は、直感的にも妥当です。
思考の道筋とポイント
導体棒全体を一気に考えるのではなく、棒を微小な区間に分割して考えます。
中心から距離 \(x\) の位置にある微小部分も円運動をしており、その速度 \(v\) は \(x\) に比例して大きくなります。
この微小部分に生じる小さな起電力を求め、それを棒の端から端まで足し合わせる(積分する)ことで、全体の起電力を求めます。
この設問における重要なポイント
- 中心Oから距離 \(x\) の点における速さは \(v = x\omega\) である。
- 長さ \(l\) の導体棒が速さ \(v\) で磁場を横切るとき、誘導起電力は \(V = vBl\) である。
- 全体の起電力は、微小部分の起電力の総和(積分)となる。
具体的な解説と立式
導体棒上の、中心Oから距離 \(x\) の位置にある微小な長さ \(dx\) の部分に着目します。
この部分の速さ \(v\) は、回転運動の公式 \(v = r\omega\) より、
$$ v = x\omega $$
この微小部分は、磁束密度 \(B\) の磁場中を速さ \(v\) で垂直に横切っています。
したがって、この微小部分 \(dx\) に生じる微小な誘導起電力 \(dV\) は、公式 \(V = vBl\) を適用して、
$$ dV = v B \, dx = (x\omega) B \, dx $$
棒全体の誘導起電力 \(V\) は、これを \(x=0\)(中心O)から \(x=a\)(端P)まで積分することで求められます。
$$ V = \int_{0}^{a} B \omega x \, dx $$
使用した物理公式
- 回転運動の速度: \(v = r\omega\)
- 導体棒の誘導起電力: \(V = vBl\)
- 定積分の計算
積分計算を実行します。\(B\) と \(\omega\) は定数なので積分の外に出せます。
$$
\begin{aligned}
V &= B \omega \int_{0}^{a} x \, dx \\[2.0ex]
&= B \omega \left[ \frac{1}{2} x^2 \right]_{0}^{a} \\[2.0ex]
&= B \omega \left( \frac{1}{2} a^2 – 0 \right) \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2} B a^2 \omega
\end{aligned}
$$
棒の場所によって動くスピードが違うことに注目します。中心に近いところはゆっくり、外側ほど速く動いています。
「速いほど電圧が大きくなる」ので、場所ごとに発生する電圧の大きさは違います。
そこで、棒をものすごく細かく刻んで、それぞれの場所での「スピード」と「小さな電圧」を計算します。
最後に、それら全ての小さな電圧を足し合わせる(積分する)ことで、棒全体の電圧を正確に求めます。
主たる解法(ファラデーの法則)で求めた結果と完全に一致しました。
この方法は、例えば「磁場の強さが場所によって違う」場合など、面積計算が複雑になる問題でも使える強力な方法です。
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最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- ローレンツ力による電荷分離と電位差の発生
- 核心: 導体棒に生じる誘導起電力の正体は、導体内部の自由電子が磁場から受ける「ローレンツ力」です。この力が非静電力(起電力の源)として働き、電子を棒の一端に移動させることで、両端に電位差が生じます。
- 理解のポイント:
- ミクロな視点: 電子一つ一つが受ける力 \(\vec{f} = -e(\vec{v} \times \vec{B})\) に着目すること。
- 平衡状態: 電荷が移動して電場が生じ、電場による静電気力 \(qE\) とローレンツ力 \(qvB\) がつり合った状態で、電位差が安定します(\(V = Ed\))。
- ファラデーの電磁誘導の法則と「面積速度」
- 核心: 導体棒が磁場を横切る現象を、回路全体の視点(マクロな視点)で見ると、「回路を貫く磁束の変化」として捉えられます。特に回転運動では、単位時間あたりに導体棒が掃く面積(面積速度)が一定であることに注目します。
- 理解のポイント:
- 面積速度の公式: 半径 \(r\)、角速度 \(\omega\) で回転する棒が単位時間に描く面積は \(\frac{1}{2}r^2\omega\) です。これに磁束密度 \(B\) を掛ければ、単位時間あたりの磁束変化(=誘導起電力)が一発で求まります。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 「コの字型」レール上の導体棒: 直線運動をする導体棒の問題。この場合は描く図形が長方形になり、面積変化率は \(lv\) (\(l\) は棒の長さ、\(v\) は速度)となります。結果として \(V = vBl\) が導かれます。
- ファラデー円板(単極発電機): 円板全体が回転する問題。円板は無数の導体棒が放射状に並んでいるとみなせるため、本問と全く同じ結果 \(\displaystyle V = \frac{1}{2}Ba^2\omega\) が得られます。
- 磁場が一様でない場合: 磁束密度 \(B\) が中心からの距離 \(x\) の関数 \(B(x)\) である場合などは、ファラデーの法則(面積計算)よりも、別解の「微小部分の誘導起電力を積分する方法」が有効になります。
- 初見の問題での着眼点:
- キャリア(電荷の運び手)の符号を確認する: 通常の金属なら自由電子(負電荷)ですが、半導体などの問題では正孔(正電荷)が動く設定の場合があります。これにより電位の高低が逆転するので注意が必要です。
- 仮想的な閉回路をイメージする: 棒単体の問題であっても、棒の両端と回転中心を結ぶ仮想的な回路を想定することで、ファラデーの電磁誘導の法則を適用しやすくなります。
- 速度分布を確認する: 平行移動なら棒の全点で速度 \(v\) は同じですが、回転移動なら速度は \(v = r\omega\) のように場所によって異なります。この違いを見抜くことが、正しい公式選択の鍵です。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 電位の高低判定での逆転ミス:
- 誤解: フレミングの左手の法則を使う際、中指(電流の向き)を「電子の動く向き」に合わせてしまう。
- 対策: 電流の定義は「正電荷の移動方向」です。電子(負電荷)が動く向きと、電流の向きは逆であることを常に意識してください。電子が右に動くなら、電流は左向きとしてフレミングの法則を適用します。
- 公式 \(V = vBl\) の誤適用:
- 誤解: 回転する棒の長さが \(a\) だからといって、単純に \(V = vBa\) (\(v\) は先端の速度 \(a\omega\))としてしまう。
- 対策: 棒の各部分で速度が違う(中心は \(0\)、先端は \(a\omega\))ことに気づく必要があります。「平均の速度」を使うか、積分するか、面積速度を使う必要があります。単純な掛け算が使えるのは、棒全体が同じ速度で動くときだけです。
- ローレンツ力の向きの勘違い:
- 誤解: 遠心力と混同して、電子が外側にいく理由を「回転しているから遠心力で」と答えてしまう。
- 対策: 確かに遠心力も働きますが、電磁気の問題で問われているのはローレンツ力です。磁場の向きを逆にすると思考実験をしてみてください。もし遠心力なら電子の動きは変わりませんが、ローレンツ力なら逆(中心方向)に動くはずです。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 問(1)での公式選択(フレミングの左手の法則 / ローレンツ力):
- 選定理由: 求められているのは「電位の高低」です。電位差を生み出す原因は「電荷の移動」であり、その移動を引き起こす力(駆動力)の向きを知る必要があります。磁場中で運動する電荷に働く力といえば、ローレンツ力しかありません。
- 適用根拠: 導体中の自由電子は、棒の回転に伴って磁場中を運動しています。したがって、\(\vec{f} = q(\vec{v} \times \vec{B})\) の関係が成立します。
- 問(2)での公式選択(ファラデーの電磁誘導の法則):
- 選定理由: 誘導起電力の大きさを求める問題で、磁場が一様であり、かつ導体棒が掃く面積(扇形)が幾何学的に簡単に計算できるためです。
- 適用根拠: \(\Delta \Phi = B \Delta S\) という関係が成り立つため、面積変化率 \(\Delta S / \Delta t\) を計算すれば、そのまま起電力が求まります。積分計算を回避できるため、計算ミスを減らせるメリットもあります。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 「平均の速度」による検算:
- 回転する棒の速度は、中心で \(0\)、端で \(a\omega\) です。速度が距離に比例して変化する場合、平均の速度は中点の速度 \(\bar{v} = \frac{0 + a\omega}{2} = \frac{1}{2}a\omega\) となります。
- これを \(V = \bar{v} B l\) の公式(\(l=a\))に当てはめると、\(V = (\frac{1}{2}a\omega) \cdot B \cdot a = \frac{1}{2}Ba^2\omega\) となり、積分や面積計算の結果と一致します。この検算テクニックは非常に強力です。
- 次元解析(単位チェック):
- 答えが出たら、単位を確認しましょう。
- \(B\) [\(\text{T}\)] \(\cdot\) \(a^2\) [\(\text{m}^2\)] \(\cdot\) \(\omega\) [\(\text{rad/s}\)]
- \(\text{T} = \text{N}/(\text{A}\cdot\text{m})\) なので、全体は \(\frac{\text{N}}{\text{A}\cdot\text{m}} \cdot \text{m}^2 \cdot \frac{1}{\text{s}} = \frac{\text{N}\cdot\text{m}}{\text{A}\cdot\text{s}} = \frac{\text{J}}{\text{C}} = \text{V}\)
- ボルト [\(\text{V}\)] になることが確認できれば、自信を持って解答できます。
- 図を描いて面積を可視化する:
- 頭の中だけで考えず、必ず「扇形」を描き、半径 \(a\) と弧の長さ \(a\omega\Delta t\) を書き込みましょう。視覚的に情報を整理することで、面積公式 \(\frac{1}{2} \times \text{半径} \times \text{弧の長さ}\) の適用ミスを防げます。
531 コイルに流れる誘導電流
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(2)の別解: ローレンツ力による導体棒の起電力を用いる解法
- 模範解答は「コイルを貫く磁束の時間変化」に着目してファラデーの電磁誘導の法則を用いますが、別解では「磁場中を動く導体棒(辺abおよび辺cd)に生じるローレンツ力による誘導起電力」に着目して解きます。
- 設問(2)の別解: ローレンツ力による導体棒の起電力を用いる解法
- 上記の別解が有益である理由
- 物理的直感の強化: 磁束というマクロな量だけでなく、導体内の電荷が受ける力というミクロな視点を持つことで、現象をより深く理解できます。
- 「電流が流れない」理由の明確化: コイル全体が磁場中にあるとき、磁束の変化がないため電流が流れませんが、別解ではこれを「2つの辺に生じる起電力が互いに打ち消し合うため」と解釈でき、回路としての理解が深まります。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「磁場中を移動するコイルに生じる電磁誘導」です。
一様な磁場領域をコイルが通過する際に、磁束の変化によって誘導起電力が生じ、誘導電流が流れる様子をグラフ化する能力が問われます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 磁束の定義: 磁束 \(\Phi\) は、磁束密度 \(B\) と、磁場に垂直な面の面積 \(S\) の積 \(\Phi = BS\) で表されます。
- ファラデーの電磁誘導の法則: 誘導起電力 \(V\) は、磁束の時間変化率に比例します(\(V = -\frac{\Delta \Phi}{\Delta t}\))。
- レンツの法則: 誘導電流は、磁束の変化を妨げる向きに流れます。
- オームの法則: 回路に流れる電流 \(I\) は、起電力 \(V\) と抵抗 \(R\) を用いて \(I = V/R\) で求められます。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)では、コイルが移動するにつれて「磁場に入っている部分の面積」がどう変化するかを考え、磁束 \(\Phi\) を時刻 \(t\) の関数として求めます。
- (2)では、(1)で描いた \(\Phi-t\) グラフの「傾き」が誘導起電力に対応することを利用し、各区間ごとの電流の大きさと向きを決定します。
問(1)
思考の道筋とポイント
コイルは速さ \(L\,\text{m/s}\) で移動しています。一辺の長さが \(L\,\text{m}\) なので、コイルが自身の長さ分だけ進むのにかかる時間は \(1.0\,\text{s}\) です。
このことから、運動を以下の3つのステージに分けて考えます。
1. 進入期 (\(0 \le t \le 1\)): コイルが磁場に入っていく期間。
2. 滞在期 (\(1 \le t \le 2\)): コイル全体が磁場の中にすっぽり入っている期間。
3. 脱出期 (\(2 \le t \le 3\)): コイルが磁場から出ていく期間。
それぞれの期間について、磁場中にあるコイルの面積 \(S\) を \(t\) を用いて表し、\(\Phi = BS\) を計算します。
この設問における重要なポイント
- コイルの速さが \(v = L\) であるため、時刻 \(t\) における先端(辺ab)の位置 \(x\) は \(x = Lt\) となる。
- 磁場が存在するのは \(0 \le x \le 2L\) の範囲のみである。
- 磁束 \(\Phi\) は、磁場中にある部分の面積 \(S\) に比例する。
具体的な解説と立式
各区間について、磁場を貫く面積 \(S\) と磁束 \(\Phi\) を求めます。
1. 時刻 \(0 \le t \le 1\,\text{s}\) (進入期)
コイルの先端(辺ab)が \(x=0\) から \(x=L\) まで移動します。
時刻 \(t\) において、磁場に入っている部分の横の長さは \(x = Lt\) です。
縦の長さは \(L\) なので、磁場中の面積 \(S\) は、
$$
\begin{aligned}
S &= L \times (Lt) \\[2.0ex]
&= L^2 t
\end{aligned}
$$
よって、磁束 \(\Phi\) は、
$$
\begin{aligned}
\Phi &= BS \\[2.0ex]
&= BL^2 t
\end{aligned}
$$
これは原点を通り、傾き \(BL^2\) の直線です。
2. 時刻 \(1 \le t \le 2\,\text{s}\) (滞在期)
コイル全体が磁場の中に入っています。
磁場中の面積 \(S\) はコイルの全面積に等しく、一定です。
$$ S = L^2 $$
よって、磁束 \(\Phi\) は、
$$
\begin{aligned}
\Phi &= BS \\[2.0ex]
&= BL^2
\end{aligned}
$$
これは一定値をとります。
3. 時刻 \(2 \le t \le 3\,\text{s}\) (脱出期)
コイルの先端(辺ab)は磁場のない領域(\(x > 2L\))に出ており、後端(辺cd)がまだ磁場中にあります。
時刻 \(t\) における後端(辺cd)の位置は \(x_{\text{cd}} = L(t-1)\) です(先端より \(L\) 遅れているため)。
磁場中にあるのは、後端から磁場の右端(\(x=2L\))までの部分です。
この部分の横の長さは、\(2L – L(t-1) = 3L – Lt\) となります。
あるいは、「最大面積 \(L^2\) から、磁場を出て行った部分の面積を引く」と考えた方が簡単です。
時刻 \(t=2\) からの経過時間は \((t-2)\) なので、出て行った距離は \(L(t-2)\) です。
$$
\begin{aligned}
S &= L^2 – L \times L(t-2) \\[2.0ex]
&= L^2 – L^2(t-2) \\[2.0ex]
&= L^2 – (L^2 t – 2L^2) \\[2.0ex]
&= 3L^2 – L^2 t
\end{aligned}
$$
よって、磁束 \(\Phi\) は、
$$
\begin{aligned}
\Phi &= BS \\[2.0ex]
&= BL^2(3-t)
\end{aligned}
$$
これは \(t=2\) で \(BL^2\)、\(t=3\) で \(0\) となる、傾き \(-BL^2\) の直線です。
4. 時刻 \(3\,\text{s} \le t\) (完全脱出後)
コイルは完全に磁場の外にあるため、\(\Phi = 0\) です。
使用した物理公式
- 等速直線運動: \(x = vt\)
- 磁束: \(\Phi = BS\)
上記の立式により、グラフの概形は以下のようになります。
- \(0 \sim 1\,\text{s}\): \(0\) から \(BL^2\) まで直線的に増加。
- \(1 \sim 2\,\text{s}\): \(BL^2\) で一定。
- \(2 \sim 3\,\text{s}\): \(BL^2\) から \(0\) まで直線的に減少。
コイルが磁場のプールに入っていく様子を想像してください。
最初は徐々に浸かっていくので、磁場を受ける面積が増え、磁束も増えます。
完全に浸かっている間は、面積が変わらないので磁束も一定です。
プールから上がっていくときは、徐々に面積が減るので磁束も減り、最後はゼロになります。
これをグラフにすると、台形のような形になります。
グラフは \(t=0\) で \(0\)、\(t=1\) でピークの \(BL^2\) に達し、\(t=2\) まで一定、その後 \(t=3\) で \(0\) に戻る形になります。これはコイルの通過プロセスと物理的に整合しています。
問(2)
思考の道筋とポイント
誘導起電力 \(V\) は、磁束の時間変化率(\(\Phi-t\) グラフの傾き)の負の値に等しいです(ファラデーの法則)。
$$ V = – \frac{\Delta \Phi}{\Delta t} $$
求めた \(V\) を抵抗 \(R\) で割れば電流 \(I\) が求まります。
符号(電流の向き)については、数式だけでなく「レンツの法則」を使って物理的に判断すると間違いが少なくなります。
問題文より、正の向きは「a→b→c→d(時計回り)」です。
この設問における重要なポイント
- \(\Phi-t\) グラフの傾きが一定の区間では、誘導電流も一定値(定常電流)となる。
- レンツの法則:磁束が増えるときは「減らす向き」に、減るときは「増やす向き」に磁場を作るような電流が流れる。
- 右ねじの法則:時計回りの電流は「裏向き」の磁場を作る。反時計回りの電流は「表向き」の磁場を作る。
具体的な解説と立式
各区間について、グラフの傾きから電流を求めます。
1. 時刻 \(0 \le t \le 1\,\text{s}\)
\(\Phi-t\) グラフの傾きは \( \frac{BL^2 – 0}{1 – 0} = BL^2 \) です。
ファラデーの法則より、誘導起電力の大きさは \( |V| = |- \frac{\Delta \Phi}{\Delta t}| = BL^2 \) です。
電流の大きさは \( |I| = \frac{BL^2}{R} \) となります。
向きの判定(レンツの法則):
裏向きの磁束が増加しています。コイルはこれを妨げるため、「表向き」の磁場を作ろうとします。
右ねじの法則より、表向きの磁場を作る電流は「反時計回り(a→d→c→b)」です。
問題で指定された正の向き(a→b→c→d)とは逆なので、電流の値は負になります。
$$ I = – \frac{BL^2}{R} $$
2. 時刻 \(1 \le t \le 2\,\text{s}\)
\(\Phi-t\) グラフの傾きは \(0\) です。磁束が変化しないため、誘導起電力は生じません。
$$ I = 0 $$
3. 時刻 \(2 \le t \le 3\,\text{s}\)
\(\Phi-t\) グラフの傾きは \( \frac{0 – BL^2}{3 – 2} = -BL^2 \) です。
誘導起電力の大きさは \( |V| = |- (-BL^2)| = BL^2 \) です。
電流の大きさは \( |I| = \frac{BL^2}{R} \) となります。
向きの判定(レンツの法則):
裏向きの磁束が減少しています。コイルはこれを補うため、「裏向き」の磁場を作ろうとします。
右ねじの法則より、裏向きの磁場を作る電流は「時計回り(a→b→c→d)」です。
これは正の向きと一致します。
$$ I = \frac{BL^2}{R} $$
使用した物理公式
- ファラデーの電磁誘導の法則: \(V = – \frac{\Delta \Phi}{\Delta t}\)
- オームの法則: \(I = \frac{V}{R}\)
上記の結果をまとめると:
- \(0 < t < 1\): \(I = – \frac{BL^2}{R}\) (一定)
- \(1 < t < 2\): \(I = 0\)
- \(2 < t < 3\): \(I = \frac{BL^2}{R}\) (一定)
(1)のグラフの「坂の急さ(傾き)」が、そのまま電圧(起電力)の大きさになります。
最初の1秒間は、磁束が一定のペースで増えているので、一定の逆向き電流が流れます。
次の1秒間は、磁束が変わらないので、電流は流れません。
最後の1秒間は、磁束が一定のペースで減っているので、それを補うために最初の1秒とは逆向き(正の向き)の電流が流れます。
電流は、負の一定値 \(\to\) ゼロ \(\to\) 正の一定値、と変化します。
磁束が増えるときと減るときで電流の向きが逆転しており、物理的に妥当です。
思考の道筋とポイント
コイルの辺abと辺cdを、それぞれ独立した「導体棒」とみなします。
磁場中を導体棒が横切るとき、導体内の自由電子がローレンツ力を受け、棒の両端に電位差(誘導起電力)が生じます。これを「電池」として扱います。
各辺に生じる起電力を回路全体で合成して、流れる電流を求めます。
この設問における重要なポイント
- 長さ \(L\) の導体棒が、磁束密度 \(B\) の磁場中を速さ \(v\) で垂直に動くとき、誘導起電力の大きさは \(V = vBL\) である。
- 起電力の向きは、正電荷が受けるローレンツ力の向き(\( \vec{f} = q\vec{v} \times \vec{B} \))と一致する(フレミングの左手の法則を用いてもよい)。
- 磁場の外にある辺には起電力は生じない。
具体的な解説と立式
コイルの速さは \(v = L\) なので、導体棒に生じる起電力の大きさは \(V_0\) は、
$$
\begin{aligned}
V_0 &= vBL \\[2.0ex]
&= L \cdot B \cdot L \\[2.0ex]
&= BL^2
\end{aligned}
$$
起電力の向きを確認します。
速度 \(v\) は右向き、磁場 \(B\) は裏向きです。
正電荷が受けるローレンツ力の向きは「上向き(b→a、c→d)」となります。
つまり、磁場中の辺は「下がマイナス、上がプラスの電池」になります。
1. 時刻 \(0 \le t \le 1\,\text{s}\)
辺abのみが磁場中にあります。
辺abに、b→aの向き(上向き)に起電力 \(V_{\text{ab}} = BL^2\) が生じます。
回路全体で見ると、この電池は電流を「b→a→d→c→b」の向き、つまり反時計回りに流そうとします。
正の向き(時計回り)と逆なので、
$$
\begin{aligned}
I &= – \frac{V_{\text{ab}}}{R} \\[2.0ex]
&= – \frac{BL^2}{R}
\end{aligned}
$$
2. 時刻 \(1 \le t \le 2\,\text{s}\)
辺abと辺cdの両方が磁場中にあります。
辺abには上向き(b→a)、辺cdにも上向き(c→d)に、同じ大きさの起電力 \(BL^2\) が生じます。
回路一周で見ると、これら2つの電池は向かい合わせ(プラス極同士がつながっている状態)になり、互いに打ち消し合います。
$$
\begin{aligned}
V_{\text{total}} &= V_{\text{cd}} – V_{\text{ab}} \\[2.0ex]
&= BL^2 – BL^2 \\[2.0ex]
&= 0
\end{aligned}
$$
よって、電流は流れません。
$$ I = 0 $$
3. 時刻 \(2 \le t \le 3\,\text{s}\)
辺abは磁場を出ており、辺cdのみが磁場中にあります。
辺cdに、c→dの向き(上向き)に起電力 \(V_{\text{cd}} = BL^2\) が生じます。
回路全体で見ると、この電池は電流を「c→d→a→b→c」の向き、つまり時計回りに流そうとします。
これは正の向きと一致します。
$$
\begin{aligned}
I &= \frac{V_{\text{cd}}}{R} \\[2.0ex]
&= \frac{BL^2}{R}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 導体棒の誘導起電力: \(V = vBL\)
- キルヒホッフの第2法則(回路方程式)
計算結果はメインの解法と完全に一致します。
- \(0 < t < 1\): \(I = – \frac{BL^2}{R}\)
- \(1 < t < 2\): \(I = 0\)
- \(2 < t < 3\): \(I = \frac{BL^2}{R}\)
コイルの縦の棒(辺abと辺cd)が磁場を通るとき、それぞれが「電池」に変身すると考えます。
最初は前の棒(ab)だけが電池になり、反時計回りに電流を流します。
次に、後ろの棒(cd)も電池になりますが、前の棒と同じ強さで逆向きに電流を流そうとするため、綱引きのように力が釣り合って電流が止まります。
最後に、前の棒が磁場を出てただの棒に戻ると、後ろの棒(cd)の力だけが残り、時計回りに電流が流れます。
磁束の変化が見えにくい場合でも、この「電池モデル」を使えば、どのタイミングでどちら向きに電流が流れるかを直感的に理解できます。特に「なぜ真ん中の区間で電流がゼロになるのか」という疑問に対して、「2つの電池が喧嘩して打ち消し合うから」という明確なイメージを持つことができます。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- ファラデーの電磁誘導の法則とレンツの法則
- 核心: 誘導起電力の大きさは「磁束の変化の速さ」で決まり(ファラデー)、その向きは「変化を妨げる方向」に決まる(レンツ)という、電磁誘導の二大原則をセットで理解することです。
- 理解のポイント:
- 変化率への注目: 磁束 \(\Phi\) そのものの大きさではなく、グラフの「傾き(\(\Delta \Phi / \Delta t\))」が電圧になるという点。
- 自然界の慣性: レンツの法則は「現状維持しようとする性質(慣性)」の電磁気版です。磁束が増えれば減らそうとし、減れば増やそうとします。
- ローレンツ力による起電力(導体棒の視点)
- 核心: コイルを「一筆書きの回路」として見るだけでなく、「4本の導体棒の集合体」として見る視点です。磁場を横切る導体棒内の自由電子がローレンツ力を受けることで、棒自体が電池になるというメカニズムです。
- 理解のポイント:
- \(V=vBL\): 導体棒が磁場を垂直に切る速度 \(v\) と磁束密度 \(B\) に比例して起電力が生じます。
- 打ち消し合い: コイル全体が磁場中にあるとき、左右の辺で生じる起電力が互いに逆向き(向かい合わせ)になるため、電流が流れないという現象をクリアに説明できます。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 台形や三角形のコイル: 進入・脱出時の面積変化が直線的ではなくなり(\(t^2\) に比例するなど)、\(\Phi-t\) グラフが曲線になります。その場合、誘導電流 \(I\) も一定値ではなく時間変化します。
- 磁場領域が狭い場合: コイルの幅 \(L\) よりも磁場領域の幅 \(d\) が狭い(\(d < L\))場合、コイル全体が磁場に入る期間がなくなり、常に「進入」か「脱出」あるいは「両端が磁場外」の状態になります。
- コイルを回転させる場合: 面積 \(S\) が \(S_0 \cos(\omega t)\) のように変化するため、交流電流が発生します(発電機の原理)。
- 初見の問題での着眼点:
- 「変化の切れ目」を探す: コイルの先端や後端が、磁場の境界線を通過するタイミング(\(t=0, 1, 2, 3\))を特定し、そこで運動をステージ分けします。
- 面積計算の可視化: 頭の中だけでやらず、各ステージごとの図を描き、磁場に入っている部分に斜線を引いて、その形状(長方形、三角形など)を確認します。
- 符号のダブルチェック: 数式(傾きの正負)だけで判断せず、必ずレンツの法則(増えるから減らす向き、など)を使って電流の向きを検算します。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 磁束 \(\Phi\) と電流 \(I\) の混同:
- 誤解: \(\Phi\) が最大のときに \(I\) も最大になると思ってしまう。
- 対策: \(I\) は \(\Phi\) の「大きさ」ではなく「変化率(傾き)」に比例します。山頂(\(\Phi\) 最大)では傾きがゼロなので、電流はゼロになります。「位置と速度」の関係に似ています。
- レンツの法則の適用ミス:
- 誤解: 「磁場が裏向きだから、電流はいつも表向きの磁場を作る」と固定して考えてしまう。
- 対策: 重要なのは磁場の向きではなく「変化の向き」です。「裏向きが増えている」のか「裏向きが減っている」のかを見極める必要があります。
- \(x\) 軸と \(t\) 軸の取り違え:
- 誤解: 横軸が位置 \(x\) なのか時間 \(t\) なのかを確認せずにグラフを描いてしまう。
- 対策: 本問では \(v=L\) なので \(x\) と \(t\) の数値がたまたま連動しますが、速度が \(2L\) なら \(x=2L\) のとき \(t=1\) になります。軸のラベルと単位を必ず確認しましょう。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 問(1)での公式選択(\(\Phi = BS\)):
- 選定理由: 求められているのが「磁束 \(\Phi\)」であり、磁場が一様(\(B\) が一定)であるため、単純な掛け算で求められます。
- 適用根拠: 磁場領域内にあるコイルの面積 \(S\) さえ正しく計算できれば、この公式が適用可能です。
- 問(2)での公式選択(ファラデーの法則 vs \(V=vBL\)):
- 選定理由(ファラデー): (1)ですでに \(\Phi-t\) グラフを描いているため、その傾きを利用するのが最も計算量が少なく、効率的です。
- 選定理由(\(V=vBL\)): グラフを描かずにいきなり電流を求める場合や、なぜ電流がゼロになるかを直感的に理解したい場合には、こちらの公式が適しています。どちらを使っても正解ですが、問題の流れ((1)からの誘導)に乗るならファラデーが王道です。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 次元解析(単位チェック):
- \(BL^2\) の単位は \([\text{T} \cdot \text{m}^2] = [\text{Wb}]\) で磁束の単位と一致します。
- \(BL^2/R\) の単位は、\(V=vBL\) より \([vBL]/[\Omega] = [\text{V}]/[\Omega] = [\text{A}]\) となり、電流の単位と一致します。
- もし \(BL/R\) などになっていたら、次元が合わないのでミスに気づけます。
- 極限・特殊な場合の確認:
- \(v=0\) (止まっている)なら、磁束は変化せず電流もゼロになるはず。式に \(v=0\) を代入して確認します(本問では \(v\) が隠れていますが、\(t\) の係数が速度に対応します)。
- \(R \to \infty\) (絶縁体)なら、電流は流れないはず。式でも分母が無限大になりゼロになります。
- グラフの整合性チェック:
- \(\Phi-t\) グラフの傾きが正なら、\(I-t\) グラフは負(レンツの法則による符号反転)になっているか確認します。
- \(\Phi-t\) グラフが折れ曲がる点(\(t=1, 2\))で、\(I-t\) グラフの値が不連続にジャンプしているか確認します。
532 渦電流
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問の別解: ローレンツ力による電荷の移動に着目する解法
- 模範解答は「磁束の変化」に着目してレンツの法則を用いますが、別解では「磁場中を相対的に運動する導体内の自由電子が受けるローレンツ力」に着目して、電流の向きを直接導きます。
- 設問の別解: ローレンツ力による電荷の移動に着目する解法
- 上記の別解が有益である理由
- ミクロな視点の獲得: 渦電流という現象が、実は導体内の電子一つ一つが受ける力の集積であることを理解でき、物理現象のイメージがより具体的になります。
- 相対運動の理解: 「磁石が動く」現象を「導体板が逆向きに動く」と相対的に捉え直す思考の訓練になります。
- 結果への影響
- どちらのアプローチを用いても、最終的に得られる答え(電流の向き)は完全に一致します。
この問題のテーマは「渦電流(うずでんりゅう)」です。
金属板の近くで磁石を動かすと、金属板の中に渦巻き状の誘導電流が生じる現象を扱います。この現象は、IH調理器や電磁ブレーキなどに応用されている重要な物理現象です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- レンツの法則: 誘導電流は、磁束の変化を妨げる向きに流れるという法則。
- 右ねじの法則: 電流の向きと、その電流が作る磁場の向きの関係を示す法則。
- 磁力線の性質: N極からは磁力線が出て、S極に入る。磁石に近いほど磁力線(磁束)は強い。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 磁石が移動することで、点Aと点B付近の銅板を貫く磁束がどのように変化するか(増えるか減るか、向きはどちらか)を分析します。
- その変化を打ち消すような磁場を作るためには、どちら向きに電流が流れればよいかを、レンツの法則と右ねじの法則を使って決定します。
思考の道筋とポイント
磁石のN極が上側にあるため、磁石の下側はS極になっています。つまり、磁石の下側では、磁力線は「下から上に向かって(銅板から磁石に向かって)」入っていく向きになります。
磁石が右(Bの方)へ動くとき、
- 点A(磁石の後方): 磁石が遠ざかるため、磁束が弱まります。
- 点B(磁石の前方): 磁石が近づいてくるため、磁束が強まります。
それぞれの場所で、「変化を嫌がる(元に戻そうとする)」向きに磁場を作るような電流の向きを考えます。
この設問における重要なポイント
- 磁石の下面はS極である(N極が上なので)。
- したがって、銅板を貫く磁束の向きは「上向き(鉛直上向き)」である。
- 点Aでは上向きの磁束が「減少」し、点Bでは上向きの磁束が「増加」する。
具体的な解説と立式
1. 点A付近の電流の向き
点Aの上を磁石が通過し、右へ遠ざかっていきます。
磁石の下面はS極なので、点A付近には「上向き」の磁束が存在しています。
磁石が遠ざかると、この「上向きの磁束」が減少します。
レンツの法則より、銅板内の自由電子は、この減少を補うために「上向きの磁束を作る」ような向きに渦電流を流そうとします。
右ねじの法則を適用します。親指を「上(作りたい磁場の向き)」に向けると、他の4本の指は「反時計回り」を指します。
したがって、点A付近の渦電流の向きは反時計回りです。
2. 点B付近の電流の向き
点Bには、左から磁石が近づいてきます。
磁石の下面はS極なので、点B付近には「上向き」の磁束が存在しています。
磁石が近づくと、この「上向きの磁束」が増加します。
レンツの法則より、銅板内の自由電子は、この増加を妨げるために「下向きの磁束を作る(上向きの磁束を打ち消す)」ような向きに渦電流を流そうとします。
右ねじの法則を適用します。親指を「下(作りたい磁場の向き)」に向けると、他の4本の指は「時計回り」を指します。
したがって、点B付近の渦電流の向きは時計回りです。
使用した物理公式
- レンツの法則
- 右ねじの法則
(定性的な判断のみのため、計算過程はありません)
磁石の下側はS極なので、地面から空に向かうような「上向きの磁力線」が出ています。
- 点A(後ろ): 磁石が行ってしまうので、上向きの磁力線が減ってしまいます。「減るのは嫌だ!」と、銅板は自分で上向きの磁力線を作ろうとします。そのためには、反時計回りに電流を流す必要があります。
- 点B(前): 磁石が来るので、上向きの磁力線が増えてしまいます。「増えるのは嫌だ!」と、銅板は下向きの磁力線を作って対抗しようとします。そのためには、時計回りに電流を流す必要があります。
点Aでは反時計回り、点Bでは時計回りとなります。
この渦電流によって、点Aでは磁石を引き寄せる力(引力)、点Bでは磁石を押し返す力(斥力)が働き、全体として磁石の運動を妨げるブレーキのような力が働くことになります(電磁ブレーキの原理)。この物理的な帰結とも矛盾しません。
思考の道筋とポイント
「磁石が右に動く」という現象を、磁石に乗った観測者から見て「銅板が左に動く」と考えます。
銅板内の自由電子(負電荷)も左に動くことになります。
この電子が磁場中を運動することでローレンツ力を受け、その力の向きに電流が生じると考えます。
この設問における重要なポイント
- 相対速度: 銅板は磁石に対して「左向き」に動いている。
- 磁場の向き: 点A、点Bともに、磁石のS極付近なので磁場は「上向き」である。
- ローレンツ力: 負電荷(電子)が受ける力の向きは、フレミングの左手の法則で求めた力の向きと逆になる。
具体的な解説と立式
磁石に対して、銅板(および中の自由電子)は左向きに速さ \(v\) で動いているとみなします。
磁場 \(\vec{B}\) は上向きです。
点B(磁石の前方)付近の電子の運動
点Bは磁石の右側にあり、磁石の中心軸から少しずれた位置(例えば図の手前側や奥側)にある電子を考えます。
ここでは、磁力線が放射状に広がっている(あるいは収束している)成分も考慮する必要がありますが、もっと単純に、磁石の真下付近での電流の「渦」の向きを考えます。
中心軸(点P)より「奥側(図の上側)」にある電子を考えます。
- 速度 \(\vec{v}\): 左向き
- 磁場 \(\vec{B}\): 上向き
- ローレンツ力 \(\vec{f} = -e(\vec{v} \times \vec{B})\):
- \(\vec{v} \times \vec{B}\)(外積)の向きは「手前」です。
- 電子は負電荷なので、受ける力は逆の「奥」向きになります。
- 電子が奥へ動くということは、電流は「手前」に流れます。
- 点Bの奥側で電流が手前に流れるということは、上から見て時計回りの流れの一部です。
中心軸(点P)より「手前側(図の下側)」にある電子を考えます。
- 同様に考えると、ローレンツ力は「手前」向きになります。
- 電子が手前へ動くということは、電流は「奥」へ流れます。
- 点Bの手前側で電流が奥へ流れるということは、やはり上から見て時計回りの流れの一部です。
点A(磁石の後方)付近
点A付近でも銅板は左に動いていますが、磁力線の分布や相対的な位置関係から、点Bとは逆の作用(あるいは渦電流の還流)が支配的になり、反時計回りになります。
(※厳密にローレンツ力だけで点Aと点Bの違いを説明するには、磁場の水平成分(S極へ向かう成分)を考慮する必要があります。S極付近では磁力線は収束するため、水平成分は中心に向かいます。この水平成分と速度との相互作用を考えるとより正確ですが、高校物理の範囲では少し複雑になります。ここでは「レンツの法則」の方が直感的で間違いにくいです。)
使用した物理公式
- ローレンツ力: \(\vec{f} = q(\vec{v} \times \vec{B})\)
(定性的な判断のみ)
銅板が磁石の下を左にスライドしていると考えます。銅板の中の電子も左に動きます。
上向きの磁場の中で電子が左に動くと、力(ローレンツ力)を受けて進路が曲げられます。
この曲げられた電子の流れが、渦電流の正体です。
力の向きを丁寧に追っていくと、点Bでは時計回り、点Aでは反時計回りに電子が回ろうとすることがわかります。
レンツの法則で導いた結果と同じになります。
この別解は、特に「磁石が回転する場合」や「円板が回転する場合(アラゴの円板)」などで、力の向きを直接イメージするのに役立ちます。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- レンツの法則(自然界の天邪鬼な性質)
- 核心: 電磁誘導現象において、自然界は常に「変化を嫌う」方向に反応します。磁束が増えれば減らそうとし、減れば増やそうとする。この「現状維持バイアス」こそがレンツの法則の本質です。
- 理解のポイント:
- 主語を明確に: 「誰が」変化を嫌うのか?それは「コイル(この場合は銅板)」です。銅板が自ら磁場を作って、外部からの変化に抵抗すると考えましょう。
- 右ねじの法則(電流と磁場の不可分な関係)
- 核心: 電流が流れるところには必ず磁場ができ、その向きは右ねじを回す向き(時計回り)に進む方向とリンクしています。
- 理解のポイント:
- 親指とその他の指: 「親指=磁場、その他の指=電流」または「親指=電流、その他の指=磁場」のどちらでも使えます。本問では「作りたい磁場の向き(親指)」を決めてから「電流の向き(その他の指)」を知る、という順序で使います。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 電磁誘導によるブレーキ(電磁ブレーキ): 本問と全く同じ原理です。渦電流が磁石から受ける力(ローレンツ力)は、常に運動を妨げる向き(ブレーキ)になります。
- アラゴの円板: 磁石を回転させると、その前方の金属板には「逃げる」向きの力が、後方には「追いかける」向きの力が働き、結果として金属板も同じ向きに回転し始めます。これも渦電流による作用です。
- IH調理器: コイルに交流電流を流して磁場を激しく変化させ、鍋底(金属板)に強力な渦電流を発生させて、そのジュール熱で加熱します。
- 初見の問題での着眼点:
- 磁石の極性を確認: N極がどちらを向いているか?それによって磁力線の向き(出るのか入るのか)が決まります。本問では「Nが上=Sが下=磁力線は上向き」という変換が第一歩です。
- 相対運動の方向: 「近づく」のか「遠ざかる」のか。近づくなら「反発(同極)」、遠ざかるなら「引き留め(異極)」の磁場を作ります。
- 上から見るか下から見るか: 「時計回り」などの回転方向は、視点によって逆転します。問題文の「上から見て」という指示を見落とさないようにしましょう。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 磁力線の向きの勘違い:
- 誤解: 「N極が上」という情報だけで、銅板付近の磁場も「下向き(Nから出る)」だと思い込んでしまう。
- 対策: 磁石の全体像を描き、Nから出てSに戻るループをイメージしましょう。銅板に近いのは「S極(下面)」なので、磁力線は「銅板から磁石へ(上向き)」入っていきます。
- 「変化」と「値」の混同:
- 誤解: 「磁場が強いから強い電流が流れる」と単純に考えてしまう。
- 対策: 誘導電流を生むのは「磁場の強さ」ではなく「磁場の変化」です。磁場が強くても変化しなければ電流は流れません。逆に弱くても急激に変化すれば大きな電流が流れます。
- 左右の混同:
- 誤解: 点A(後ろ)と点B(前)で同じことが起きると思ってしまう。
- 対策: 「去る者は追われ、来る者は拒まれる」と覚えましょう。後ろ(去る)と前(来る)では、磁束の変化(増減)が逆なので、電流の向きも必ず逆になります。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- レンツの法則の選択:
- 選定理由: 「電流の向き」だけを問われている場合、最も直感的で間違いが少ないのがレンツの法則です。数式を使わずに定性的な判断だけで答えにたどり着けます。
- 適用根拠: 磁束の変化が原因で電流が生じる現象(電磁誘導)そのものだからです。
- ローレンツ力の視点(別解):
- 選定理由: 「なぜ電流が流れるのか?」というメカニズムを力学的に理解したい場合や、磁束の変化がイメージしにくい場合(一様な磁場中を動く場合など)に有効です。
- 適用根拠: 導体内の自由電子が磁場中を運動しているという事実は、観測者の視点を変えても変わらない物理的真実だからです。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 指を使って確認する:
- 頭の中だけで回転方向をイメージすると、裏表が逆になったりしがちです。実際に右手の親指を立てて、「磁場は上!だから電流はこっち!」と手を動かして確認する癖をつけましょう。試験中でも手は持ち込める最高の道具です。
- 図に矢印を書き込む:
- 問題用紙の図に、直接「\(\uparrow B\)(元の磁場)」「\(\downarrow \Delta B\)(打ち消す磁場)」などの矢印を書き込みましょう。視覚化することで、ケアレスミスを大幅に減らせます。
- 結果の妥当性チェック:
- 「エネルギー保存則」の観点からチェックします。もし電流の向きが逆だったら、磁石は加速され、無限にエネルギーが生み出されてしまいます(永久機関)。「運動を妨げる向き(ブレーキ)」になっているかを確認することで、答えの正しさを確信できます。
[mathjax] SNSでのシェアはご自由にどうぞ。(上のボタンをクリック) ブログで引用する際には、こちらのリンクを添えてください。 【引用】https://makoto-physics-school.com […]
533 自己誘導と\(V-t\)グラフ
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問の別解: 微分を用いた解法
- 模範解答は「区間ごとの平均の変化率」として計算していますが、別解では「電流 \(I(t)\) を時間の関数として数式化し、それを時間 \(t\) で微分する」ことで、より数学的に厳密かつ統一的に起電力を導出します。
- 設問の別解: 微分を用いた解法
- 上記の別解が有益である理由
- 数学的背景の理解: 物理における「変化率」が数学の「微分」に対応することを明確にし、数理的な処理能力を高めます。
- 瞬時値への対応: 本問のような折れ線グラフだけでなく、正弦波交流(\(I = I_0 \sin \omega t\))のような滑らかな変化をする電流に対しても適用できる汎用的な考え方です。
- 結果への影響
- どちらのアプローチを用いても、最終的に得られる答え(グラフの形状と値)は完全に一致します。
この問題のテーマは「コイルの自己誘導」です。
コイルに流れる電流が変化するとき、その変化を妨げる向きに起電力が生じる現象(自己誘導)を理解し、電流の変化率と起電力の関係をグラフ化する能力が問われます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 自己誘導: コイル自身の電流変化によって、コイル自身に誘導起電力が生じる現象。
- 自己インダクタンス: コイルの「電流の変化させにくさ(慣性のようなもの)」を表す定数 \(L\)。
- 誘導起電力の公式: \(V = -L \frac{\Delta I}{\Delta t}\)。起電力 \(V\) は電流の時間変化率 \(\frac{\Delta I}{\Delta t}\) に比例し、向きは変化を妨げる向き(マイナス)であること。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 与えられた \(I-t\) グラフを時間区間ごとに分割します。
- 各区間におけるグラフの傾き(\(\frac{\Delta I}{\Delta t}\))を読み取ります。
- 公式 \(V = -L \frac{\Delta I}{\Delta t}\) に値を代入して起電力 \(V\) を計算し、グラフを描きます。
ここから先が、他の受験生と差がつく重要パートです。
「解法に至る思考プロセス」を
全て言語化した、超詳細解説。
なぜその公式を使うのか?どうしてその着眼点を持てるのか?
市販の解説では省略されてしまう「行間の思考」を、泥臭く解説しています。
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