「物理重要問題集2026」徹底解説(37〜39問):未来の得点力へ!完全マスター講座

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問題37 動く台車に乗る物体 (20 大分大 改)

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(2)(3)の別解: 等加速度直線運動の式を連立する解法
      • 模範解答が運動量保存則を用いるのに対し、別解では小物体と台車それぞれの速度の時間変化を式にし、速度が一致する条件から連立方程式として解きます。
    • 設問(3)の別解: 運動量と力積の関係を用いた解法
      • 台車が受けた力積が運動量の変化に等しいという関係を用いて、時間を直接求めます。
    • 設問(6)の別解1: \(v-t\) グラフの面積を用いた解法
      • 相対変位(すべった距離)が、\(v-t\) グラフにおける2つのグラフで囲まれた面積に等しいことを利用します。
    • 設問(6)の別解2: 等加速度直線運動の変位公式を用いた解法
      • 小物体と台車それぞれの変位を時間の関数として求め、その差を計算します。
    • 設問(6)の別解3: 重心系(相対運動)とエネルギー保存則を用いた解法
      • 「相対運動エネルギーの変化=摩擦力(内力)の仕事」という関係式(機能的エネルギー保存則)を用いて、一発ですべった距離を求めます。
    • 全設問の別解: 微積分を用いた体系的解法(運動方程式の積分)
      • 運動方程式を微分方程式として扱い、それを時間積分および空間積分することで、運動量保存則やエネルギー保存則、相対運動の式を数学的に導出します。これにより、公式の暗記ではなく、物理原理からの体系的な理解を促します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 重心系の解法: 2体問題において、個々の物体の変位を計算する手間を省き、計算量を劇的に削減できるため、実戦で非常に強力な武器となります。
    • 微積分の解法: 力積や仕事が、それぞれ運動方程式の時間積分・空間積分であることを理解することで、物理量の定義と法則のつながりを深く理解できます。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「摩擦力がはたらく2物体の運動(相互作用)」です。
小物体が台車の上をすべる間、互いに動摩擦力を及ぼし合いながら運動状態が変化し、最終的に一体となって運動します。運動方程式、運動量保存則、エネルギー保存則を総合的に扱う力が問われます。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 作用・反作用の法則: 小物体が受ける摩擦力と、台車が受ける摩擦力は、大きさ等しく向きが逆です。
  2. 運動方程式: 物体の加速度は、受ける力の合力によって決まります。
  3. 運動量保存則: 水平方向に外力がはたらかないため、小物体と台車の系全体の運動量は保存されます。
  4. 仕事とエネルギーの関係: 非保存力(動摩擦力)が仕事をするため、力学的エネルギーは保存されず、その仕事の分だけ変化します。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)では、各物体にはたらく力を図示し、運動方程式を立てて加速度を求めます。
  2. (2)では、系全体に着目し、運動量保存則を用いて一体化後の速度を求めます。
  3. (3)では、台車の等加速度運動に着目して時間を求めます。
  4. (4)では、求めた加速度と時間をもとにグラフを描きます。
  5. (5)(6)では、エネルギーの視点、あるいは運動学的な視点から、失われたエネルギーとすべった距離を計算します。

問(1)

思考の道筋とポイント
小物体と台車、それぞれにはたらく力を正確に見極めます。
小物体は台車に対して右に動いているため、接触面から左向きの動摩擦力を受けます。
台車は小物体から、その反作用として右向きの動摩擦力を受けます。
鉛直方向の力のつりあいから垂直抗力を求め、動摩擦力の大きさを決定します。

この設問における重要なポイント

  • 摩擦力の向き: 動摩擦力は「相対運動を妨げる向き」にはたらきます。小物体は台車に対して右へすべるので左向き、台車は小物体から右向きの力を受けます。
  • 運動方程式の分離: 2つの物体は異なる加速度で動くため、別々に運動方程式を立てます。

具体的な解説と立式
右向きを正とします。
小物体(質量 \(m\))にはたらく力は以下の通りです(図a参照)。

  • 重力: \(mg\)(鉛直下向き)
  • 垂直抗力: \(N\)(鉛直上向き)
  • 動摩擦力: \(f’\)(水平左向き)

鉛直方向の力のつりあいより、垂直抗力 \(N\) は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
N &= mg
\end{aligned}
$$
動摩擦力の大きさ \(f’\) は、動摩擦係数 \(\mu’\) を用いて表されます。
$$
\begin{aligned}
f’ &= \mu’ N \\[2.0ex]
&= \mu’ mg
\end{aligned}
$$
小物体の加速度を \(\alpha\) とし、運動方程式(\(ma=F\))を立てます。力は左向きなので負です。
$$
\begin{aligned}
m \alpha &= – \mu’ mg \quad \cdots ①
\end{aligned}
$$
次に、台車(質量 \(M\))にはたらく力を考えます(図a参照)。

  • 小物体からの動摩擦力の反作用: \(f’\)(水平右向き)
  • (重力や床からの垂直抗力などは水平運動に関与しないため省略)

台車の加速度を \(\beta\) とし、運動方程式を立てます。力は右向きなので正です。
$$
\begin{aligned}
M \beta &= \mu’ mg \quad \cdots ②
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 動摩擦力: \(f’ = \mu’ N\)
  • 運動方程式: \(ma = F\)
計算過程

式①より、小物体の加速度 \(\alpha\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
\alpha &= – \mu’ g
\end{aligned}
$$
式②より、台車の加速度 \(\beta\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
\beta &= \frac{\mu’ mg}{M}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

小物体は摩擦によってブレーキがかかり(負の加速度)、台車は摩擦によって引っ張られて加速します(正の加速度)。
それぞれの質量と受ける力を使って、ニュートンの運動方程式から加速度を計算しました。

結論と吟味

小物体は減速するので負、台車は加速するので正となり、物理的直感と一致します。

解答 (1) 小物体: \(-\mu’ g\), 台車: \(\displaystyle \frac{\mu’ mg}{M}\)

問(2)

思考の道筋とポイント
小物体と台車を一つの「系(グループ)」として見ます。
水平方向には、床からの摩擦がないため外力がはたらきません。
したがって、系全体の運動量は保存されます。
最終的に小物体と台車は一体となり、同じ速度 \(V\) で運動します。

この設問における重要なポイント

  • 運動量保存則の適用条件: 水平方向の外力の和が \(0\) であること。
  • 一体化: 「一体となって運動した」とは、速度が等しくなったことを意味します。

具体的な解説と立式
初めの状態(小物体が乗った直後)と、一体となった後の状態を比較します。

  • 初め: 小物体は速度 \(v_0\)、台車は速度 \(0\)。
  • 後: 小物体、台車ともに速度 \(V\)。

右向きを正として、運動量保存則の式(前の運動量の和 = 後の運動量の和)を立てます。
$$
\begin{aligned}
m v_0 + M \cdot 0 &= (m + M) V
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 運動量保存則: \(m_1 v_1 + m_2 v_2 = m_1 v’_1 + m_2 v’_2\)
計算過程

式を \(V\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
(m + M) V &= m v_0 \\[2.0ex]
V &= \frac{m}{m + M} v_0
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

外から邪魔が入らないので、小物体が持っていた「勢い(運動量)」は、台車と共有されても合計量は変わりません。
質量 \(m\) だけが持っていた勢いを、質量 \(m+M\) の全体で分け合うことになるので、速度はその分だけ小さくなります。

結論と吟味

\(V = \frac{m}{m+M} v_0\) は \(v_0\) より小さく、質量比で分配されており妥当です。

解答 (2) \(\displaystyle \frac{m}{m + M} v_0\)
別解: 等加速度直線運動の式を連立する解法

思考の道筋とポイント
(1)で求めた加速度を用いて、小物体と台車それぞれの速度の時間変化を式にします。
「一体となる」=「速度が等しくなる」という条件から、時刻 \(t\) と速度 \(V\) を求めます。
この方法は、(2)と(3)を同時に解くアプローチです。

この設問における重要なポイント

  • 速度の式: \(v = v_0 + at\) をそれぞれの物体に適用します。

具体的な解説と立式
時刻 \(t\) における小物体の速度 \(v_{\text{小}}\) と台車の速度 \(v_{\text{台}}\) は、(1)の加速度 \(\alpha, \beta\) を用いて次のように表せます。
$$
\begin{aligned}
v_{\text{小}} &= v_0 + \alpha t \quad \cdots ③ \\[2.0ex]
v_{\text{台}} &= 0 + \beta t \quad \cdots ④
\end{aligned}
$$
一体となる時刻 \(t\) において、両者の速度は \(V\) で等しくなります。
$$
\begin{aligned}
v_{\text{小}} &= v_{\text{台}} = V \quad \cdots ⑤
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 等加速度直線運動の速度: \(v = v_0 + at\)
計算過程

式③、④を式⑤に代入して連立します。
$$
\begin{aligned}
v_0 + \alpha t &= \beta t
\end{aligned}
$$
これに \(\alpha = -\mu’ g\)、\(\beta = \frac{\mu’ mg}{M}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
v_0 – \mu’ g t &= \frac{\mu’ mg}{M} t
\end{aligned}
$$
\(t\) について整理します。
$$
\begin{aligned}
v_0 &= \left( \frac{\mu’ mg}{M} + \mu’ g \right) t \\[2.0ex]
v_0 &= \mu’ g \left( \frac{m}{M} + 1 \right) t \\[2.0ex]
v_0 &= \mu’ g \frac{m + M}{M} t
\end{aligned}
$$
よって、時間 \(t\) は以下のようになります(これが問(3)の答えになります)。
$$
\begin{aligned}
t &= \frac{M v_0}{\mu’ g (m + M)}
\end{aligned}
$$
この \(t\) を式④ \(V = \beta t\) に代入して \(V\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
V &= \frac{\mu’ mg}{M} \cdot \frac{M v_0}{\mu’ g (m + M)} \\[2.0ex]
&= \frac{m}{m + M} v_0
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

小物体はだんだん遅くなり、台車はだんだん速くなります。
それぞれの速度の変化の様子を式で書き、「いつ追いつくか(速度が同じになるか)」を計算しました。

結論と吟味

運動量保存則を用いた場合と全く同じ結果が得られました。

解答 (2) \(\displaystyle \frac{m}{m + M} v_0\)

問(3)

思考の道筋とポイント
台車は初速度 \(0\)、加速度 \(\beta\) で等加速度直線運動をし、時間 \(t\) 後に速度 \(V\) になりました。
この関係を用いて時間を求めます。
(別解で求めたように、小物体の運動から求めても、連立しても構いませんが、台車の式の方が項が少なく計算が楽です。)

この設問における重要なポイント

  • 計算の効率化: 複雑な式よりも単純な式を選ぶのが鉄則です。台車は初速 \(0\) なので式がシンプルです。

具体的な解説と立式
台車の速度の式を用います。
$$
\begin{aligned}
V &= 0 + \beta t
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 等加速度直線運動の速度: \(v = v_0 + at\)
計算過程

式を \(t\) について解き、(1)の \(\beta\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
t &= \frac{V}{\beta} \\[2.0ex]
&= \frac{V}{\frac{\mu’ mg}{M}} \\[2.0ex]
&= \frac{MV}{\mu’ mg}
\end{aligned}
$$
これに (2) の \(V = \frac{m}{m+M} v_0\) を代入して、\(v_0\) を用いた形にします。
$$
\begin{aligned}
t &= \frac{M}{\mu’ mg} \cdot \frac{m}{m+M} v_0 \\[2.0ex]
&= \frac{M v_0}{\mu’ g (m + M)}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

台車は止まっている状態から一定のペースで加速し、速度 \(V\) に達しました。
「到達速度 \(\div\) 加速ペース」を計算することで、かかった時間が求まります。

結論と吟味

摩擦係数 \(\mu’\) が大きいほど分母が大きくなり、時間 \(t\) は短くなります。摩擦が大きいとすぐに速度が一致するということであり、物理的に妥当です。

解答 (3) \(\displaystyle \frac{MV}{\mu’ mg}\) または \(\displaystyle \frac{M v_0}{\mu’ g (m + M)}\)
別解: 運動量と力積の関係を用いた解法

思考の道筋とポイント
台車に着目します。台車は時間 \(t\) の間、一定の力(動摩擦力 \(f’ = \mu’ mg\))を受け続けました。
「運動量の変化 = 受けた力積」の関係を用います。

この設問における重要なポイント

  • 力積: 一定の力 \(F\) が時間 \(t\) はたらくとき、力積は \(Ft\) です。

具体的な解説と立式
台車の運動量の変化は、受けた力積に等しいという式を立てます。
$$
\begin{aligned}
(\text{後の運動量}) – (\text{前の運動量}) &= (\text{力積}) \\[2.0ex]
MV – 0 &= (\mu’ mg) t
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 運動量と力積の関係: \(\Delta p = Ft\)
計算過程

式を \(t\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
t &= \frac{MV}{\mu’ mg}
\end{aligned}
$$
これに (2) の \(V = \frac{m}{m+M} v_0\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
t &= \frac{M}{\mu’ mg} \cdot \frac{m}{m+M} v_0 \\[2.0ex]
&= \frac{M v_0}{\mu’ g (m + M)}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

台車は摩擦力によって「衝撃(力積)」を受け続け、勢い(運動量)を得ました。
「得た勢いの合計」を「力の大きさ」で割れば、「力がはたらいていた時間」がわかります。

結論と吟味

メイン解法と同じ結果が得られました。加速度を経由しない分、計算が速いです。

解答 (3) \(\displaystyle \frac{MV}{\mu’ mg}\) または \(\displaystyle \frac{M v_0}{\mu’ g (m + M)}\)

問(4)

思考の道筋とポイント
これまでの計算結果をグラフにします。

  • 小物体: 初速度 \(v_0\) から一定の傾き(負の加速度 \(\alpha\))で減速。
  • 台車: 初速度 \(0\) から一定の傾き(正の加速度 \(\beta\))で加速。
  • 時刻 \(t\): 両者のグラフが交わり、速度 \(V\) になります。
  • 時刻 \(t\) 以降: 一体となって速度 \(V\)(水平な線)で進みます。

この設問における重要なポイント

  • 直線の傾き: \(v-t\) グラフの傾きは加速度を表します。
  • 交点: グラフの交点は、速度が等しくなった瞬間(一体化した瞬間)を表します。

具体的な解説と立式
図b(模範解答の図b参照)のように描きます。

  • 縦軸に速度、横軸に時間をとります。
  • \(t=0\) で \(v_{\text{小}}=v_0\)、\(v_{\text{台}}=0\) の点からスタートします。
  • 時刻 \(t\) で両者が速度 \(V\) で合流するように直線を引きます。
  • それ以降は速度 \(V\) の一定値となります。

使用した物理公式

  • 特になし(グラフ描画)
計算過程

特になし(描画のみ)

この設問の平易な説明

小物体はブレーキがかかって遅くなり、台車は引っ張られて速くなります。
二つの速度が一致したところで、それ以降は一緒に動く様子をグラフにしました。

結論と吟味

小物体は減速、台車は加速して同じ速度に落ち着く様子が視覚的に表現されています。

解答 (4) 右図(模範解答の図bを参照)

問(5)

思考の道筋とポイント
「失われた力学的エネルギー」とは、「(初めの全運動エネルギー)\(-\)(終わりの全運動エネルギー)」のことです。
位置エネルギーの変化はないので、運動エネルギーの差を計算します。

この設問における重要なポイント

  • エネルギーの定義: 運動エネルギー \(K = \frac{1}{2}mv^2\)。
  • 系のエネルギー: 小物体と台車のエネルギーの和をとります。

具体的な解説と立式
失われたエネルギー \(\Delta E\) を定義通りに立式します。
$$
\begin{aligned}
\Delta E &= (\text{初めの全運動エネルギー}) – (\text{後の全運動エネルギー}) \\[2.0ex]
&= \left( \frac{1}{2} m v_0^2 + 0 \right) – \frac{1}{2} (m + M) V^2
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 運動エネルギー: \(K = \frac{1}{2}mv^2\)
計算過程

(2) の \(V = \frac{m}{m+M} v_0\) を代入して計算します。
$$
\begin{aligned}
\Delta E &= \frac{1}{2} m v_0^2 – \frac{1}{2} (m + M) \left( \frac{m}{m+M} v_0 \right)^2 \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2} m v_0^2 – \frac{1}{2} (m + M) \frac{m^2}{(m+M)^2} v_0^2 \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2} m v_0^2 – \frac{1}{2} \frac{m^2}{m+M} v_0^2 \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2} m v_0^2 \left( 1 – \frac{m}{m+M} \right) \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2} m v_0^2 \left( \frac{m+M – m}{m+M} \right) \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2} m v_0^2 \frac{M}{m+M} \\[2.0ex]
&= \frac{Mm}{2(m+M)} v_0^2
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

最初は小物体だけがエネルギーを持っていましたが、合体して進むことで、全体としてのエネルギーは減ってしまいました。
その減った分(摩擦熱として逃げた分)を、引き算で計算しました。

結論と吟味

答えは正の値となり、エネルギーが減少したことを示しています。質量 \(M\) が大きいほど、あるいは \(v_0\) が大きいほど、失われるエネルギーは大きくなります。

解答 (5) \(\displaystyle \frac{Mm}{2(m+M)} v_0^2\)

問(6)

思考の道筋とポイント
「失われた力学的エネルギー」は、非保存力である「動摩擦力」がした仕事の合計に等しいという関係を用います。
あるいは、動摩擦力がした仕事は「摩擦力 \(\times\) すべった距離(相対変位)」となります。
ここでは、(5)の結果を利用するのが最も早いです。

この設問における重要なポイント

  • 摩擦熱と仕事: 系全体で失われた力学的エネルギーは、摩擦熱(\(\mu’ mg \times l\))に等しくなります。
  • すべった距離: 小物体が台車の上を移動した距離 \(l\) は、床から見た「小物体の変位 \(x_{\text{小}}\)」と「台車の変位 \(x_{\text{台}}\)」の差 \(l = x_{\text{小}} – x_{\text{台}}\) です。

具体的な解説と立式
エネルギーの減少分 \(\Delta E\) は、動摩擦力の大きさ \(f’\) と、すべった距離 \(l\) の積に等しいという式を立てます。
$$
\begin{aligned}
\Delta E &= f’ l \\[2.0ex]
\Delta E &= (\mu’ mg) l
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 機能的エネルギー保存則: \(|\Delta E| = |W_{\text{摩擦}}|\)
  • 摩擦力の仕事(熱): \(Q = f’ l\)
計算過程

式を \(l\) について解き、(5)の結果を代入します。
$$
\begin{aligned}
l &= \frac{\Delta E}{\mu’ mg} \\[2.0ex]
&= \frac{\frac{Mm}{2(m+M)} v_0^2}{\mu’ mg} \\[2.0ex]
&= \frac{Mm v_0^2}{2(m+M)} \cdot \frac{1}{\mu’ mg} \\[2.0ex]
&= \frac{M v_0^2}{2 \mu’ g (m + M)}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

(5)で計算した「消えたエネルギー」は、すべて「摩擦熱」に変わりました。
摩擦熱は「摩擦力の強さ \(\times\) こすれた距離」で決まるので、消えたエネルギーを摩擦力で割れば、こすれた距離(すべった距離)がわかります。

結論と吟味

摩擦係数 \(\mu’\) が小さいほど、すべりやすく距離 \(l\) が長くなるため、分母に \(\mu’\) があるのは妥当です。

解答 (6) \(\displaystyle \frac{M v_0^2}{2 \mu’ g (m + M)}\)
別解1: \(v-t\) グラフの面積を用いた解法

思考の道筋とポイント
\(v-t\) グラフにおいて、グラフと横軸で囲まれた面積は「移動距離(変位)」を表します。
小物体がすべった距離 \(l\) は、小物体の変位 \(x_{\text{小}}\) から台車の変位 \(x_{\text{台}}\) を引いたものです。
これはグラフ上では、2つのグラフ(小物体と台車の線)で囲まれた三角形の面積に相当します(図d参照)。

この設問における重要なポイント

  • 相対変位と面積: \(l = x_{\text{小}} – x_{\text{台}} = \int (v_{\text{小}} – v_{\text{台}}) dt\)。これは2つの速度グラフの間の面積です。

具体的な解説と立式
求める距離 \(l\) は、図dの斜線部分(三角形)の面積です。
三角形の底辺は時間 \(t\)、高さは初速度の差 \(v_0 – 0 = v_0\) ではなく、\(t=0\) における速度差 \(v_0\) です。

  • 底辺の長さ: \(t\)
  • 高さ: \(v_0\)

面積 \(S\) を立式します。
$$
\begin{aligned}
l &= \frac{1}{2} \times (\text{底辺}) \times (\text{高さ}) \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2} \cdot t \cdot v_0
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • \(v-t\) グラフの面積 = 変位
計算過程

(3) で求めた \(t = \frac{M v_0}{\mu’ g (m + M)}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
l &= \frac{1}{2} v_0 \cdot \frac{M v_0}{\mu’ g (m + M)} \\[2.0ex]
&= \frac{M v_0^2}{2 \mu’ g (m + M)}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

グラフの面積が進んだ距離を表すことを利用しました。
小物体が進んだ距離(台形部分)から、台車が進んだ距離(下の三角形部分)を引くと、残るのは2つの線の間の三角形になります。
この面積を計算するだけで、すべった距離が求まります。

結論と吟味

メイン解法と同じ結果が得られました。視覚的に理解しやすい解法です。

解答 (6) \(\displaystyle \frac{M v_0^2}{2 \mu’ g (m + M)}\)
別解2: 等加速度直線運動の変位公式を用いた解法

思考の道筋とポイント
小物体と台車それぞれの変位 \(x_{\text{小}}, x_{\text{台}}\) を、等加速度直線運動の公式を用いて計算し、その差をとります。
計算量は増えますが、最も基本的で確実な方法です。

この設問における重要なポイント

  • 変位の公式: \(x = v_0 t + \frac{1}{2} a t^2\) を用います。

具体的な解説と立式
時刻 \(t\) までの小物体の変位 \(x_{\text{小}}\) と台車の変位 \(x_{\text{台}}\) を立式します。
$$
\begin{aligned}
x_{\text{小}} &= v_0 t + \frac{1}{2} \alpha t^2 \\[2.0ex]
x_{\text{台}} &= 0 \cdot t + \frac{1}{2} \beta t^2
\end{aligned}
$$
すべった距離 \(l\) はその差です。
$$
\begin{aligned}
l &= x_{\text{小}} – x_{\text{台}} \\[2.0ex]
&= v_0 t + \frac{1}{2} (\alpha – \beta) t^2
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 等加速度直線運動の変位: \(x = v_0 t + \frac{1}{2} a t^2\)
計算過程

ここで、(2)の別解の連立方程式 \(v_0 + \alpha t = \beta t\) より、\(\alpha – \beta = – \frac{v_0}{t}\) という関係を使うと計算が楽になります。
あるいは、\(\alpha – \beta = -\mu’g – \frac{\mu’mg}{M} = -\mu’g \frac{M+m}{M}\) を代入します。
ここでは後者で計算します。
$$
\begin{aligned}
l &= v_0 t – \frac{1}{2} \mu’ g \frac{M+m}{M} t^2 \\[2.0ex]
&= t \left( v_0 – \frac{1}{2} \mu’ g \frac{M+m}{M} t \right)
\end{aligned}
$$
これに \(t = \frac{M v_0}{\mu’ g (m + M)}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
l &= t \left( v_0 – \frac{1}{2} \mu’ g \frac{M+m}{M} \cdot \frac{M v_0}{\mu’ g (m + M)} \right) \\[2.0ex]
&= t \left( v_0 – \frac{1}{2} v_0 \right) \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2} v_0 t
\end{aligned}
$$
これは別解1(面積計算)の結果と同じ形になりました。値を代入して、
$$
\begin{aligned}
l &= \frac{1}{2} v_0 \cdot \frac{M v_0}{\mu’ g (m + M)} \\[2.0ex]
&= \frac{M v_0^2}{2 \mu’ g (m + M)}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

それぞれの物体がどれだけ進んだかを公式で真面目に計算し、引き算しました。
途中で式がうまく約分され、シンプルな形になります。

結論と吟味

メイン解法と同じ結果が得られました。

解答 (6) \(\displaystyle \frac{M v_0^2}{2 \mu’ g (m + M)}\)
別解3: 重心系(相対運動)とエネルギー保存則を用いた解法

思考の道筋とポイント
2体問題において、重心から見た相対運動を考えると、問題が劇的に単純化されます。
「相対運動エネルギーの変化 = 内力(摩擦力)の仕事」という関係を用います。
この方法なら、(1)~(5)の計算を一切行わずに、(6)の答えを一発で出すことができます。

この設問における重要なポイント

  • 換算質量: \(\mu = \frac{mM}{m+M}\) を用いると、相対運動は質量 \(\mu\) の1つの物体の運動のように扱えます。
  • 相対初速度: \(v_{\text{相対}} = v_0 – 0 = v_0\)。
  • 相対末速度: 一体化するので \(0\)。

具体的な解説と立式
換算質量 \(\mu = \frac{mM}{m+M}\) を定義します。
相対運動エネルギーの変化と仕事の関係式を立てます。
$$
\begin{aligned}
(\text{後の相対運動エネルギー}) – (\text{前の相対運動エネルギー}) &= (\text{摩擦力の仕事}) \\[2.0ex]
0 – \frac{1}{2} \mu v_0^2 &= – (\mu’ mg) l
\end{aligned}
$$
(※摩擦力は相対運動を止める向きにはたらくため、仕事は負になります。)

使用した物理公式

  • 相対運動エネルギー: \(K_{\text{相対}} = \frac{1}{2} \mu v_{\text{相対}}^2\)
  • 機能的エネルギー保存則
計算過程

式を \(l\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{2} \frac{mM}{m+M} v_0^2 &= \mu’ mg l \\[2.0ex]
l &= \frac{1}{\mu’ mg} \cdot \frac{mM v_0^2}{2(m+M)} \\[2.0ex]
&= \frac{M v_0^2}{2 \mu’ g (m + M)}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

「お互いが近づく(あるいは離れる)勢い」だけに注目します。
最初は \(v_0\) の勢いでずれていましたが、摩擦によってそのズレる勢いが殺され、ゼロになりました。
そのエネルギーの減少分が、すべて摩擦熱(摩擦力 \(\times\) 距離)になったと考えれば、面倒な途中経過を飛ばして答えが出せます。

結論と吟味

最も少ない計算量で、同じ結果が得られました。検算用としても非常に強力です。

解答 (6) \(\displaystyle \frac{M v_0^2}{2 \mu’ g (m + M)}\)
別解: 微積分を用いた体系的解法

思考の道筋とポイント
運動方程式を出発点とし、積分操作によって全ての物理法則(運動量保存則、エネルギー保存則、相対運動)を導出します。
これにより、個々の設問がバラバラではなく、一つの原理から繋がっていることが理解できます。

この設問における重要なポイント

  • 運動方程式の和: 全運動量保存則を導きます。
  • 運動方程式の差: 相対運動(すべり)の式を導きます。
  • 空間積分: エネルギー保存則を導きます。

具体的な解説と立式
小物体(速度 \(v_{\text{小}}\))と台車(速度 \(v_{\text{台}}\))の運動方程式を立てます。
$$
\begin{aligned}
m \frac{dv_{\text{小}}}{dt} &= – \mu’ mg \quad \cdots \text{A} \\[2.0ex]
M \frac{dv_{\text{台}}}{dt} &= \mu’ mg \quad \cdots \text{B}
\end{aligned}
$$
1. 運動量保存則の導出(問2)
A \(+\) B を計算します(内力を消去)。
$$
\begin{aligned}
\frac{d}{dt} (m v_{\text{小}} + M v_{\text{台}}) &= 0
\end{aligned}
$$
これを積分すると、全運動量が保存することが示されます。
$$
\begin{aligned}
m v_{\text{小}} + M v_{\text{台}} &= \text{一定} = m v_0 + M \cdot 0
\end{aligned}
$$
一体化後の速度 \(V\) は、\(v_{\text{小}} = v_{\text{台}} = V\) として、
$$
\begin{aligned}
(m + M) V &= m v_0 \\[2.0ex]
V &= \frac{m}{m+M} v_0
\end{aligned}
$$
2. 速度と時間の関係(問1, 3, 4)
A, B をそれぞれ \(t\) で積分します。
$$
\begin{aligned}
v_{\text{小}} &= v_0 – \mu’ g t \\[2.0ex]
v_{\text{台}} &= 0 + \frac{\mu’ mg}{M} t
\end{aligned}
$$
これらが等しくなる時刻 \(t\) を求めると、問(3)の答えが得られます。

3. 相対運動とすべった距離(問6)
A \(/ m – \) B \(/ M\) を計算し、相対加速度を求めます。
$$
\begin{aligned}
\frac{dv_{\text{小}}}{dt} – \frac{dv_{\text{台}}}{dt} &= – \mu’ g – \frac{\mu’ mg}{M} \\[2.0ex]
\frac{d}{dt} (v_{\text{小}} – v_{\text{台}}) &= – \mu’ g \frac{M+m}{M}
\end{aligned}
$$
相対速度 \(v_{\text{相対}} = v_{\text{小}} – v_{\text{台}}\) とおき、両辺に \(v_{\text{相対}}\) を掛けて \(t\) で積分(空間積分)します。

使用した物理公式

  • 運動方程式: \(ma = F\)
  • 微積分の基本定理
計算過程

$$
\begin{aligned}
\int v_{\text{相対}} \frac{dv_{\text{相対}}}{dt} dt &= \int – \mu’ g \frac{M+m}{M} v_{\text{相対}} dt \\[2.0ex]
\int v_{\text{相対}} dv_{\text{相対}} &= – \mu’ g \frac{M+m}{M} \int \frac{dx_{\text{相対}}}{dt} dt \\[2.0ex]
\left[ \frac{1}{2} v_{\text{相対}}^2 \right]_{v_0}^{0} &= – \mu’ g \frac{M+m}{M} [x_{\text{相対}}]_{0}^{l}
\end{aligned}
$$
(ここで \(x_{\text{相対}}\) は相対変位、すなわちすべった距離 \(l\) です。)
$$
\begin{aligned}
0 – \frac{1}{2} v_0^2 &= – \mu’ g \frac{M+m}{M} l
\end{aligned}
$$
これを \(l\) について解くと、問(6)の答えが一発で得られます。
$$
\begin{aligned}
l &= \frac{M v_0^2}{2 \mu’ g (m + M)}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

運動方程式を足し合わせると「全体の保存則」が見え、引き算すると「内部の摩擦やすべり」が見えてきます。
数式を操作するだけで、運動量保存則もエネルギーの式もすべて自動的に出てくることがわかります。

結論と吟味

全ての結果がメイン解法と一致しました。物理現象の背後にある数学的な構造が確認できました。

解答 (1)〜(6) メイン解法と同じ

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?

  • 運動量保存則と作用・反作用の法則
    • 核心: 水平方向には外力がはたらかないため、小物体と台車の系全体の運動量は保存されます。
    • 理解のポイント:
      • 内力と外力の区別: 小物体と台車の間にはたらく動摩擦力は「内力」であり、系全体の運動量を変化させません。
      • 一体化: 最終的に小物体が台車に対して静止するということは、両者が同じ速度(共通速度)で運動することを意味します。
  • 仕事とエネルギーの関係(機能的エネルギー保存則)
    • 核心: 物体の運動エネルギーの変化量は、その間に物体が受けた仕事の総量に等しくなります。
    • 理解のポイント:
      • 摩擦熱: 動摩擦力が小物体に対して負の仕事をし、台車に対して正の仕事をしますが、系全体で見ると「動摩擦力 \(\times\) 相対変位(すべった距離)」の分だけ力学的エネルギーが減少し、熱エネルギーに変わります。

応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点

  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 弾丸の打ち込み: 木材に弾丸が打ち込まれて一体化する問題。本問と全く同じ構造(運動量保存+エネルギー減少=摩擦熱)を持ちます。
    • ばねで連結された2物体: 摩擦の代わりにばねの弾性力がはたらく場合も、重心運動(等速)と相対運動(単振動)に分離する視点が有効です。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 外力の有無: 水平方向に外力がなければ「運動量保存則」が使えると瞬時に判断します。
    2. 相対運動: 「すべった距離」や「一体化するまでの時間」を問われたら、相対速度や相対変位に着目するか、エネルギー保存則(摩擦熱)を利用します。

要注意!ありがちなミス・誤解とその対策

  • 摩擦力の向きと作用点:
    • 誤解: 摩擦力は常に運動方向と逆向きだと思い込み、台車が受ける摩擦力(運動方向と同じ向き)を逆にしてしまう。
    • 対策: 摩擦力は「相対運動を妨げる向き」にはたらきます。小物体は台車に対して右へ動くので左向き、台車はその反作用で右向きの力を受けると、作用・反作用のペアで考えます。
  • 仕事の計算における距離:
    • 誤解: 摩擦力の仕事 \(W = f’ x\) の \(x\) に、床から見た移動距離ではなく、相対変位(すべった距離)を無意識に使ってしまう(あるいはその逆)。
    • 対策: 個別の物体のエネルギー変化を考えるときは「床から見た移動距離」、系全体のエネルギー減少(摩擦熱)を考えるときは「相対変位(すべった距離)」を使うと明確に区別します。

なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法

  • 問(3)での「台車の運動」への着目:
    • 選定理由: 小物体は初速度 \(v_0\) があり式が少し複雑ですが、台車は初速度 \(0\) なので \(V = \beta t\) と非常にシンプルになります。計算ミスを減らすため、より単純な方を選びます。
    • 適用根拠: 台車も一定の動摩擦力を受けて等加速度運動をしているため、公式が適用可能です。
  • 問(6)での「エネルギー保存則」の利用:
    • 選定理由: 運動方程式から変位を求めて差を取る方法(別解2)は計算量が多すぎます。エネルギー保存則(特に系全体の収支)を使えば、スカラー量の足し引きだけで完結するため、圧倒的に効率的です。
    • 適用根拠: 動摩擦力以外の外力が仕事をしないため、摩擦による仕事がそのまま全運動エネルギーの減少量になるという関係が成立します。

計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック

  • 次元解析(単位チェック):
    • 意識: 答えの式が物理的に正しい次元を持っているか常に確認します。
    • 実践: 例えば時間の答えが \(\frac{M v_0}{\mu’ g (m + M)}\) なら \([\text{M}][\text{L/T}] / ([\text{L/T}^2][\text{M}]) = [\text{T}]\) で秒の次元になります。もし \(g\) が分子にあったら間違いです。
  • 極限の確認:
    • 意識: 質量などのパラメータを極端な値にしたとき、知っている結果と一致するか確認します。
    • 実践: 問(2)の答え \(V = \frac{m}{m+M} v_0\) において、台車が軽い(\(M \to 0\))とすると \(V \to v_0\)(速度変わらず)、台車が重い(\(M \to \infty\))とすると \(V \to 0\)(動かない)となり、直感と合致します。
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問題38 水平面上での2物体の衝突 (15 名古屋工大)

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(3)の別解: ベクトル図形と正弦定理を用いた解法
      • 模範解答が成分ごとの連立方程式を解いているのに対し、別解では運動量ベクトルが作る閉じた三角形(ベクトル図)に着目し、正弦定理を用いて幾何学的に速度を求めます。
    • 全設問の別解: 微積分を用いた体系的解法(運動方程式の積分)
      • 運動方程式を時間積分することで運動量保存則を導出し、ベクトル形式で物理法則を捉え直します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 正弦定理の解法: 複雑な三角関数の加法定理や連立方程式の計算を回避し、図形的性質から瞬時に答えを導き出せるため、計算ミスを減らし時間を短縮できます。
    • 微積分の解法: 運動量保存則が「作用・反作用の法則」と「運動方程式」から数学的に必然として導かれることを理解でき、物理学の体系的な繋がりが見えます。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「2次元平面内での運動量保存則」です。
物体が衝突して斜め方向に散乱する場合、ベクトルとしての運動量が保存されます。これを成分ごとに分解して考える手法と、ベクトルのまま図形的に扱う手法の両方をマスターすることが重要です。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 運動量保存則(ベクトル): 外力がはたらかない系では、運動量ベクトルの総和は保存されます。
    • \(x\) 成分: \(x\) 方向の運動量の和は一定。
    • \(y\) 成分: \(y\) 方向の運動量の和は一定。
  2. 弾性衝突と非弾性衝突: 力学的エネルギーが保存される衝突を弾性衝突といいます。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)(2)では、運動量を \(x\) 方向(衝突前の進行方向)と \(y\) 方向(垂直方向)に分解し、それぞれの成分について保存則を立式します。
  2. (3)では、(1)(2)で立てた連立方程式を解き、未知の速度 \(V_A, V_B\) を求めます。
  3. (4)では、特定の角度条件におけるエネルギー変化を計算し、衝突の性質(弾性衝突かどうか)を検証します。

問(1)

ここから先が、他の受験生と差がつく重要パートです。

「解法に至る思考プロセス」
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なぜその公式を使うのか?どうしてその着眼点を持てるのか?
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