問題13 糸でつるされた棒のつりあい (24 山形大)
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(3)(4)の別解: 作用線の距離を用いた解法(模範解答の別解)
- 力を分解するのではなく、回転軸から力の作用線までの垂直距離(腕の長さ)を幾何学的に求めてモーメントを計算します。
- 設問(5)の別解1: 微積分を用いた体系的解法(剛体の回転運動方程式)
- 剛体の運動方程式から静止条件(角加速度ゼロ)としてモーメントのつりあいを導出します。
- 設問(5)の別解2: 微積分を用いた体系的解法(仮想仕事の原理・ポテンシャルエネルギーの停留)
- 系全体のポテンシャルエネルギー \(U\) を定義し、その微分 \(dU/d\theta = 0\) からつりあいの位置を導き出す、より高度で体系的なアプローチです。
- 設問(3)(4)の別解: 作用線の距離を用いた解法(模範解答の別解)
- 上記の別解が有益である理由
- 幾何学的視点: 力の分解が複雑な場合でも、図形的に腕の長さを求めることで計算を簡略化できる場合があります。
- 微積分の視点: 「力」ではなく「エネルギー」の観点からつりあいを捉えることで、複雑な系でも統一的に解ける物理的基礎体力を養います。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「剛体のつりあい」です。棒が傾いた状態で静止しているとき、力のつりあい(並進運動しない)と力のモーメントのつりあい(回転運動しない)の両方が成立しています。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 力のつりあい: 上向きの力の総和と下向きの力の総和が等しいこと。
- 力のモーメント: 力の大きさ \(\times\) 腕の長さ。腕の長さは「回転軸から力の作用線までの垂直距離」または「力を棒に垂直な成分に分解したときの棒上の距離」として計算します。
- フックの法則: ばねの弾性力は \(F = kx\) です。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)では、一様な棒の重心位置を幾何学的に求めます。
- (2)では、鉛直方向の力のつりあいから張力 \(T\) を求めます。
- (3)(4)では、点Oまわりのモーメントを計算します。
- (5)では、モーメントのつりあいの式を立てて \(x\) を求めます。
- (6)では、ばねが自然長(\(x=0\))になる条件を考えます。
問(1)
思考の道筋とポイント
棒は一様なので、重心Gは棒の幾何学的な中心(中点)にあります。
棒の全長は \(L\) なので、左端Pから重心Gまでの距離は \(L/2\) です。
点Oは左端Pから \(L/4\) の位置にあります。
求めるのは点Oから重心Gまでの距離 \(c\) です。
この設問における重要なポイント
- 重心の位置: 一様な棒の重心は中点にあります。
- 距離の計算: 座標軸上の引き算として考えます。
具体的な解説と立式
点Pを原点とし、棒に沿って右向きに座標軸をとります。
点Oの座標 \(x_{\text{O}}\) と重心Gの座標 \(x_{\text{G}}\) は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
x_{\text{O}} &= \frac{L}{4} \\[2.0ex]
x_{\text{G}} &= \frac{L}{2}
\end{aligned}
$$
求める距離 \(c\) は、これら2点の距離です。
$$
\begin{aligned}
c &= x_{\text{G}} – x_{\text{O}}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 特になし(幾何学的関係)
座標の値を代入して計算します。
$$
\begin{aligned}
c &= \frac{L}{2} – \frac{L}{4} \\[2.0ex]
&= \frac{2L}{4} – \frac{L}{4} \\[2.0ex]
&= \frac{L}{4}
\end{aligned}
$$
棒の真ん中(重心)は、端っこから半分の長さのところにあります。
糸がついている場所は、端っこから4分の1のところです。
この2つの場所の間の距離を引き算で求めました。
\(c = L/4\) です。
点OはPとGのちょうど中間に位置することになります。
問(2)
思考の道筋とポイント
棒は静止しているので、鉛直方向の力はつりあっています。
棒にはたらく力をすべて書き出します(図a参照)。
1. 上向きの力: 点Oの糸の張力 \(T\)
2. 下向きの力:
- 棒の重力 \(m_1 g\)
- おもりの重力による張力 \(m_2 g\)(点Pにはたらく)
- ばねの弾性力 \(kx\)(点Qにはたらく、伸びているので下向きに引く)
この設問における重要なポイント
- 力の列挙: 見落としがないように図に矢印を書き込みます。
- ばねの力の向き: 「自然の長さから \(x\) 伸びた」とあるので、ばねは縮もうとして棒を下向きに引きます。
具体的な解説と立式
鉛直方向の力のつりあいの式を立てます。
$$
\begin{aligned}
(\text{上向きの力の和}) &= (\text{下向きの力の和}) \\[2.0ex]
T &= m_1 g + m_2 g + kx
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 力のつりあい: \(\sum F = 0\)
- フックの法則: \(F = kx\)
右辺を \(g\) でくくって整理します。
$$
\begin{aligned}
T &= (m_1 + m_2)g + kx
\end{aligned}
$$
天井から吊るしている糸は、棒とおもりとばねの力、全部を一人で支えています。
だから、糸が引く力 \(T\) は、それら全部の合計になります。
\(T = (m_1 + m_2)g + kx\) です。
もしばねがなければ \(T = (m_1+m_2)g\) となり、単に棒とおもりを支える力になります。ばねが引いている分だけ \(T\) が増えているので妥当です。
問(3)
思考の道筋とポイント
点Oまわりの力のモーメントを計算します。
対象となる力は、点Pにあるおもりの重力 \(m_2 g\) です。
力は鉛直下向きですが、棒は傾いているため、棒に対して斜めにはたらいています。
モーメントの定義に従い、「力を棒に垂直な成分に分解」して計算します。
この設問における重要なポイント
- 力の分解: 重力 \(m_2 g\) を、棒に平行な成分と垂直な成分に分解します。モーメントを作るのは垂直成分 \(m_2 g \cos \theta\) です(図b参照)。
- 腕の長さ: 点Oから点Pまでの距離は \(L/4\) です。
具体的な解説と立式
点Pにはたらく力 \(m_2 g\) の、棒に垂直な成分 \(F_{\perp}\) を求めます。
棒と水平面のなす角が \(\theta\) なので、鉛直下向きの力と棒の垂直線がなす角も \(\theta\) です。
$$
\begin{aligned}
F_{\perp} &= m_2 g \cos \theta
\end{aligned}
$$
点Oから点Pまでの距離(腕の長さ)は \(L/4\) です。
モーメントの大きさ \(M_{\text{P}}\) は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
M_{\text{P}} &= F_{\perp} \times (\text{腕の長さ}) \\[2.0ex]
&= (m_2 g \cos \theta) \times \frac{L}{4}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 力のモーメント: \(M = F_{\perp} \times L\)
式を整理します。
$$
\begin{aligned}
M_{\text{P}} &= \frac{1}{4} m_2 g L \cos \theta
\end{aligned}
$$
棒を回そうとする力(モーメント)を計算します。
重力は真下に引っ張りますが、棒が斜めになっているので、棒を直角に押す力だけが回転に使われます。
その「直角成分」と「支点からの距離」を掛け算しました。
\(M_{\text{P}} = \frac{1}{4} m_2 g L \cos \theta\) です。
\(\theta=0\)(水平)なら \(\cos \theta = 1\) で最大、\(\theta=90^\circ\)(鉛直)なら \(\cos \theta = 0\) でモーメントなしとなり、物理的に妥当です。
思考の道筋とポイント
力を分解する代わりに、回転軸(点O)から力の作用線(重力の働く鉛直線)までの「水平距離」を腕の長さとして計算します。
幾何学的に腕の長さを求める方が簡単な場合があります。
この設問における重要なポイント
- 作用線までの距離: 図bを見てください。点Oから点Pを通る鉛直線までの水平距離が、モーメントの腕の長さになります。
- 幾何学的関係: 斜辺が \(L/4\)、角度が \(\theta\) の直角三角形の底辺です。
具体的な解説と立式
点Oから重力 \(m_2 g\) の作用線までの距離 \(d\) は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
d &= \frac{L}{4} \cos \theta
\end{aligned}
$$
モーメントの大きさ \(M_{\text{P}}\) は、力 \(\times\) 距離 \(d\) です。
$$
\begin{aligned}
M_{\text{P}} &= m_2 g \times d \\[2.0ex]
&= m_2 g \times \left( \frac{L}{4} \cos \theta \right)
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 力のモーメント: \(M = F \times d\) (\(d\) は作用線までの距離)
式を整理します。
$$
\begin{aligned}
M_{\text{P}} &= \frac{1}{4} m_2 g L \cos \theta
\end{aligned}
$$
力を分解するのが面倒なときは、「支点から力の線までの最短距離」を腕の長さとして計算してもOKです。
図形の横の長さを計算して、そのまま力と掛け算しました。
メインの解法と全く同じ結果が得られました。
問(4)
思考の道筋とポイント
同様に、点Oまわりのばねの力によるモーメントを計算します。
ばねの力 \(kx\) は点Qに鉛直下向きにはたらいています。
点Oから点Qまでの距離を求め、力を分解して計算します。
この設問における重要なポイント
- 点Oから点Qまでの距離: 点Oは左端から \(L/4\)、点Qは右端(\(L\))なので、距離は \(L – L/4 = 3L/4\) です。
- 力の分解: ばねの力 \(kx\) の棒に垂直な成分は \(kx \cos \theta\) です(図c参照)。
具体的な解説と立式
点Qにはたらく力 \(kx\) の、棒に垂直な成分 \(F_{\perp}\) は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
F_{\perp} &= kx \cos \theta
\end{aligned}
$$
点Oから点Qまでの距離(腕の長さ)は \(3L/4\) です。
モーメントの大きさ \(M_{\text{Q}}\) は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
M_{\text{Q}} &= F_{\perp} \times (\text{腕の長さ}) \\[2.0ex]
&= (kx \cos \theta) \times \frac{3}{4}L
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 力のモーメント: \(M = F_{\perp} \times L\)
式を整理します。
$$
\begin{aligned}
M_{\text{Q}} &= \frac{3}{4} kx L \cos \theta
\end{aligned}
$$
ばねが棒を引っ張って回そうとする力を計算しました。
おもりの時と同じように、棒を直角に引く成分だけを取り出して、支点からの距離と掛け算しました。
\(M_{\text{Q}} = \frac{3}{4} kx L \cos \theta\) です。
距離が \(3L/4\) なので、係数が \(3/4\) になっています。
思考の道筋とポイント
問(3)の別解と同様に、回転軸(点O)からばねの力の作用線までの水平距離を腕の長さとして計算します。
この設問における重要なポイント
- 作用線までの距離: 図cを見てください。点Oから点Qを通る鉛直線までの水平距離です。
- 幾何学的関係: 斜辺が \(3L/4\)、角度が \(\theta\) の直角三角形の底辺です。
具体的な解説と立式
点Oからばねの力 \(kx\) の作用線までの距離 \(d’\) は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
d’ &= \frac{3}{4}L \cos \theta
\end{aligned}
$$
モーメントの大きさ \(M_{\text{Q}}\) は、力 \(\times\) 距離 \(d’\) です。
$$
\begin{aligned}
M_{\text{Q}} &= kx \times d’ \\[2.0ex]
&= kx \times \left( \frac{3}{4}L \cos \theta \right)
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 力のモーメント: \(M = F \times d\)
式を整理します。
$$
\begin{aligned}
M_{\text{Q}} &= \frac{3}{4} kx L \cos \theta
\end{aligned}
$$
こちらも、支点から力の線までの水平距離を使って計算しました。
図形の計算が得意なら、こちらの方が直感的かもしれません。
メインの解法と全く同じ結果が得られました。
問(5)
思考の道筋とポイント
棒は回転せずに静止しているので、点Oまわりの力のモーメントがつりあっています。
点Oを基準に、時計回りのモーメントと反時計回りのモーメントを整理します。
- 反時計回り: おもりの重力 \(m_2 g\) によるモーメント \(M_{\text{P}}\)
- 時計回り:
- 棒の重力 \(m_1 g\) によるモーメント
- ばねの力 \(kx\) によるモーメント \(M_{\text{Q}}\)
これらを等式で結び、\(x\) について解きます。
この設問における重要なポイント
- 棒の重力のモーメント: 重心Gは点Oから右に \(L/4\) の位置にあります(問1より)。したがって、棒の重力 \(m_1 g\) も時計回りのモーメントを作ります。
- モーメントの大きさ: \(m_1 g \cos \theta \times \frac{L}{4}\)
具体的な解説と立式
点Oまわりのモーメントのつりあいの式を立てます。
$$
\begin{aligned}
(\text{反時計回りのモーメント}) &= (\text{時計回りのモーメント}) \\[2.0ex]
M_{\text{P}} &= (\text{棒の重力のモーメント}) + M_{\text{Q}}
\end{aligned}
$$
各項を代入します。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{4} m_2 g L \cos \theta &= \left( m_1 g \cos \theta \times \frac{L}{4} \right) + \frac{3}{4} kx L \cos \theta
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- モーメントのつりあい: \(\sum M_{\text{反時計}} = \sum M_{\text{時計}}\)
両辺を \(\frac{1}{4} L \cos \theta\) で割って整理します(\(\cos \theta \neq 0\))。
$$
\begin{aligned}
m_2 g &= m_1 g + 3kx
\end{aligned}
$$
\(3kx\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
3kx &= m_2 g – m_1 g \\[2.0ex]
3kx &= (m_2 – m_1)g
\end{aligned}
$$
\(x\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
x &= \frac{(m_2 – m_1)g}{3k}
\end{aligned}
$$
左側のおもりが棒を「左回り」に回そうとしています。
右側の棒自身の重さとばねが、棒を「右回り」に回そうとしています。
この左右の回転力が釣り合っているという式を作りました。
式を整理すると、ばねの伸び \(x\) が求まります。
\(x = \frac{(m_2 – m_1)g}{3k}\) です。
\(m_2 > m_1\) であれば \(x > 0\) となり、ばねは伸びます。左のおもりが重いので、右側が持ち上がろうとするのをばねが引き留めている状態です。
もし \(m_2 = m_1\) なら \(x=0\) となり、ばねは自然長になります。これは左右のモーメントが重力だけで釣り合うためです。
思考の道筋とポイント
剛体のつりあい条件(力の和が0、モーメントの和が0)は、剛体の運動方程式において加速度と角加速度を0と置くことで導かれます。
ここでは、その原理を確認し、問(5)の式が物理学の基本原理から自然に導かれることを見ます。
この設問における重要なポイント
- 回転運動方程式: \(I \beta = N\) (慣性モーメント \(\times\) 角加速度 \(=\) モーメントの和)
- 静止条件: \(\beta = 0\) より \(N = 0\)
具体的な解説と立式
剛体の回転運動方程式は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
I \frac{d^2 \theta}{dt^2} &= \sum M
\end{aligned}
$$
静止しているため、角加速度 \(d^2 \theta/dt^2 = 0\) です。
したがって、モーメントの総和 \(\sum M = 0\) となります。
反時計回りを正とすると、以下の式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
M_{\text{P}} – (\text{棒の重力のモーメント}) – M_{\text{Q}} &= 0
\end{aligned}
$$
これは先ほど立てたつりあいの式と同じです。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{4} m_2 g L \cos \theta – \frac{1}{4} m_1 g L \cos \theta – \frac{3}{4} kx L \cos \theta &= 0
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 剛体の回転運動方程式
この式を解けば、同様に \(x\) が求まります。
$$
\begin{aligned}
\frac{3}{4} kx L \cos \theta &= \frac{1}{4} (m_2 – m_1) g L \cos \theta \\[2.0ex]
3kx &= (m_2 – m_1)g \\[2.0ex]
x &= \frac{(m_2 – m_1)g}{3k}
\end{aligned}
$$
「回転しない」ということは「回転の加速度がゼロ」ということです。
運動方程式の左辺をゼロにすると、自然と「モーメントの合計がゼロ」という式が出てきます。
原理的なアプローチからも同じ結果が得られました。
思考の道筋とポイント
「力がつりあっている状態」とは、エネルギーの観点から見ると「ポテンシャルエネルギーが極小(底)になっている状態」と言い換えられます。
系全体のポテンシャルエネルギー \(U\) を角度 \(\theta\) の関数として表し、その微分 \(dU/d\theta = 0\) からつりあいの条件を導きます。
この設問における重要なポイント
- ポテンシャルエネルギーの定義: 重力による位置エネルギーと、ばねの弾性エネルギーの和を考えます。
- 幾何学的関係: 角度 \(\theta\) が微小に変化したときの各点の高さの変化を記述します。
- 停留条件: つりあいの位置では、エネルギーの変化率がゼロになります(\(dU/d\theta = 0\))。
具体的な解説と立式
点Oの高さを基準(\(0\))とします。
仮想仕事の原理(\(\delta W = 0\))を用います。微小回転 \(\delta \theta\) に対する仕事の和がゼロになります。
- おもりの重力がする仕事: \(m_2 g \times (\text{下降距離}) = m_2 g \times \frac{L}{4} \cos \theta \delta \theta\)
- 棒の重力がする仕事: \(-m_1 g \times (\text{上昇距離}) = -m_1 g \times \frac{L}{4} \cos \theta \delta \theta\)
- ばねの力がする仕事: \(-kx \times (\text{伸びの増加分}) = -kx \times \frac{3}{4}L \cos \theta \delta \theta\)
仮想仕事の原理より、以下の式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
\delta W &= \left( m_2 g \frac{L}{4} \cos \theta – m_1 g \frac{L}{4} \cos \theta – kx \frac{3}{4}L \cos \theta \right) \delta \theta = 0
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 仮想仕事の原理: \(\delta W = \sum F_i \delta x_i = 0\)
- 微分の関係: \(\delta (\sin \theta) \approx \cos \theta \delta \theta\)
\(\delta \theta \neq 0\) なので、括弧の中身がゼロになります。
$$
\begin{aligned}
\frac{L}{4} \cos \theta (m_2 g – m_1 g – 3kx) &= 0
\end{aligned}
$$
\(\frac{L}{4} \cos \theta \neq 0\) より、
$$
\begin{aligned}
m_2 g – m_1 g – 3kx &= 0 \\[2.0ex]
3kx &= (m_2 – m_1)g \\[2.0ex]
x &= \frac{(m_2 – m_1)g}{3k}
\end{aligned}
$$
「エネルギーの谷底」を探す方法です。
少しだけ角度を動かしたとき(仮想変位)、重力が仕事をしようとする分と、ばねが仕事をしようとする分がちょうど打ち消し合えば、そこが安定して止まれる場所(つりあいの位置)です。
これを計算すると、力のモーメントで考えたときと全く同じ式が出てきます。
エネルギー原理からも、全く同じ結果が導かれました。
これにより、モーメントのつりあいがエネルギー保存則と密接に関係していることが分かります。
問(6)
思考の道筋とポイント
おもりを \(m_3\) に変えたところ、ばねが自然の長さ(\(x=0\))になりました。
これは、ばねの力がなくても、おもりのモーメントと棒の重力のモーメントだけで釣り合っている状態です。
問(5)で求めた \(x\) の式において、\(x=0\) となる条件を考えれば一発で求まります。
この設問における重要なポイント
- 条件の適用: \(x=0\) を問(5)の結果に代入します。
- 変数の置換: \(m_2\) を \(m_3\) に置き換えます。
具体的な解説と立式
問(5)の式 \(x = \frac{(m_2 – m_1)g}{3k}\) において、\(m_2\) を \(m_3\) に、\(x\) を \(0\) に置き換えます。
$$
\begin{aligned}
0 &= \frac{(m_3 – m_1)g}{3k}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 問(5)の結果
分母は \(0\) ではないので、分子が \(0\) になる必要があります。
$$
\begin{aligned}
(m_3 – m_1)g &= 0
\end{aligned}
$$
\(g \neq 0\) なので、以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
m_3 – m_1 &= 0 \\[2.0ex]
m_3 &= m_1
\end{aligned}
$$
ばねが伸び縮みしていないということは、ばねは何も力を出していません。
つまり、左のおもりと右の棒だけでバランスが取れています。
支点からの距離は同じ(\(L/4\))なので、重さが同じならバランスが取れるはずです。
\(m_3 = m_1\) です。
左のおもりの腕の長さは \(L/4\)、右の棒の重心の腕の長さも \(L/4\) です。
腕の長さが同じなら、質量が同じときにモーメントが釣り合うのは当然の結果です。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 剛体のつりあい条件
- 核心: 剛体が静止し続けるためには、「並進運動しない(力の和が0)」かつ「回転運動しない(モーメントの和が0)」という2つの条件が同時に満たされる必要があります。
- 理解のポイント:
- 力のつりあい: 上下左右の力のバランス。
- モーメントのつりあい: 任意の点まわりの回転力のバランス。計算しやすい点(未知の力が集まる点など)を支点に選ぶのがコツです。
- 力のモーメントの計算手法
- 核心: モーメントは「力 \(\times\) 腕の長さ」で定義されますが、腕の長さの取り方には「力を分解する方法」と「作用線までの距離をとる方法」の2通りがあります。
- 理解のポイント:
- 分解法: 力を棒に垂直な成分と平行な成分に分けます。平行成分は回転に関与しません。
- 作用線法: 支点から力の作用線へ垂線を下ろし、その長さを腕とします。幾何学的に解ける場合に有効です。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 壁に立てかけた棒: 床と壁からの垂直抗力や摩擦力が働くケース。支点をどこに取るか(通常は未知の力が多い点)が勝負です。
- 蝶番(ちょうつがい)で固定された棒: 蝶番からの抗力は向きが分からないため、水平成分 \(R_x\) と鉛直成分 \(R_y\) に分けて仮定します。
- 初見の問題での着眼点:
- 支点の選定: 未知の力(張力や抗力など)が集中している点を回転の中心(支点)に選ぶと、その力のモーメントが0になり、式が簡単になります。今回は点Oが最適です。
- 幾何学的関係の把握: 棒の長さ、重心位置、糸の取り付け位置などの距離関係を整理し、図に書き込みます。特に「重心は中点」という隠れた条件を見落とさないようにしましょう。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- モーメントの腕の長さの取り違え:
- 誤解: 「支点から作用点までの距離」をそのまま腕の長さとして、\(F \times L\) と計算してしまう(\(\cos \theta\) を掛け忘れる)。
- 対策: 必ず「力を分解して垂直成分をとる」か「作用線までの垂直距離をとる」のどちらかの操作を行う癖をつけましょう。棒が斜めのときは要注意です。
- 重心位置の勘違い:
- 誤解: 棒の重力が、棒の端や糸の取り付け点にはたらくと考えてしまう。
- 対策: 「一様な棒」とあれば、必ず棒のど真ん中に重力 \(mg\) の矢印を太く書き込みましょう。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 問(5)でのモーメントのつりあい:
- 選定理由: 未知数である張力 \(T\) を消去できるためです。点Oを支点に選べば、\(T\) のモーメントは0になり、計算に含まれません。
- 適用根拠: 棒が回転せずに静止しているため、任意の点まわりのモーメントの和は必ず0になります。
- 別解の仮想仕事の原理:
- 選定理由: 力の分解や幾何学的考察が複雑な場合でも、エネルギー(高さの変化)だけに着目すれば機械的に解けるため、検算や難問攻略に強力です。
- 適用根拠: 保存力(重力、弾性力)のみが仕事をする系であり、つりあいの位置はポテンシャルエネルギーの停留点と一致するためです。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 次元解析(単位チェック):
- 意識: 答えの式の単位が合っているか常に確認します。
- 実践: 例えば \(x = \frac{(m_2 – m_1)g}{3k}\) なら、単位は \(\frac{[\text{kg}] \cdot [\text{m/s}^2]}{[\text{N/m}]} = \frac{[\text{N}]}{[\text{N/m}]} = [\text{m}]\) となり、長さの次元を持っていることが確認できます。
- 極端なケースの想定:
- 意識: 物理的に当たり前の状況で式が成り立つか確認します。
- 実践: \(m_1 = m_2\) のとき、左右対称(腕の長さが同じ)なのでばねは不要(\(x=0\))になるはずです。導いた式に代入して \(0\) になるか確認しましょう。
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問題14 壁に立てかけた棒のつりあい (20 千葉大)
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(1)(3)の別解: 作用線の距離(腕の長さ)を用いた解法
- 力を分解するのではなく、回転軸から力の作用線までの垂直距離(腕の長さ)を幾何学的に求めてモーメントを計算します。
- 設問(4)の後の別解: 微積分を用いた体系的解法(剛体の運動方程式による一括導出)
- 剛体の並進運動方程式と回転運動方程式から静止条件(加速度・角加速度ゼロ)を適用し、全設問のつりあい式を一括して導出します。
- 設問(1)(3)の別解: 作用線の距離(腕の長さ)を用いた解法
- 上記の別解が有益である理由
- 幾何学的視点: 「力を分解する」手間を省き、図形的に距離(腕の長さ)を見るだけでモーメント式を立てられるため、計算ミスを減らせます。
- 微積分の視点: 「つりあい」とは「運動の変化がない(加速度が0)」という動的な法則の特殊ケースであることを理解し、力学の全体像を俯瞰できます。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「剛体のつりあい」です。棒が倒れずに静止しているとき、以下の2つの条件が同時に成立しています。
- 力のつりあい: 物体が並進運動(平行移動)しない条件。上下左右の力の和がゼロになります。
- 力のモーメントのつりあい: 物体が回転運動しない条件。任意の点のまわりの回転力の和がゼロになります。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 静止摩擦力: 物体が滑り出すのを防ぐ力。最大静止摩擦力 \(\mu N\) を超えるまでは、外力に合わせて大きさが変化します。
- 力のモーメント: \((\text{力の大きさ}) \times (\text{腕の長さ})\)。回転の中心(支点)の選び方が計算を楽にするコツです。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)では、棒にはたらく力をすべて図示し、水平・鉛直方向のつりあいと、点Aまわりのモーメントのつりあいを立式して連立します。
- (2)では、棒が滑らない条件(静止摩擦力 \(\le\) 最大静止摩擦力)を用いて不等式を立てます。
- (3)(4)では、おもりが追加された状況で同様の手順を繰り返します。
問(1)
ここから先が、他の受験生と差がつく重要パートです。
「解法に至る思考プロセス」を
全て言語化した、超詳細解説。
なぜその公式を使うのか?どうしてその着眼点を持てるのか?
市販の解説では省略されてしまう「行間の思考」を、泥臭く解説しています。
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