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講義ノート(板書PDF)
「力の図示→運動方程式→解く」を根本から組み直すドクター型講義
講義ノート
【今回のポイント】
- 力学の目的は「いつ」「どこに」物体があるかを予測すること
- MKS単位系(\(M\): メートル、\(K\): キログラム、\(S\): 秒)が物理の基本単位
- 「位置」は点、「距離」は点と点の幅、「変位」は最終的な位置の変化
- 「時刻」は一瞬の「いつ」、「時間」は時刻と時刻の差
- 速さは \(v = \displaystyle\frac{\Delta x}{\Delta t}\)(距離÷時間)で求められる
- 「速さ」は大きさのみ、「速度」は大きさ+向きを含む
- 速度の合成は符号をつけて足し算、相対速度は「相手−自分」
【講義解説】
力学の目的
力学の目的は大きく2つある。
1つ目は、物体が「いつ」「どこに」あるかを予測することである。たとえば、ボールを投げたとき、\(1\) 秒後にそのボールが何メートル地点にあるのかを計算できるようにする。これが力学で扱う中心的な問いである。
2つ目は、力とは何かを知ることである。力は目に見えないため、その種類・大きさ・向きを1つずつ調べていく必要がある。
この2つは無関係ではない。力が分かれば運動が決まり、運動が決まれば「いつ・どこに」が答えられる。力学の全体像は、この一本の道すじでできている。
ここで最初の診断をしておきたい。力学の問題を見たとき、あなたは何を最初に探しているだろうか。公式を探しているなら、それが最初に直すべき思考のクセである。
第1限で身につけるのは公式ではなく、「いま自分は、どの物体の・いつの・どこを問われているのか」を言葉にする習慣のほうである。この習慣こそが、考えて解ける物理への入口になる。
症状:問題文を読み終わる前に、使えそうな公式を思い出そうとしてしまう。
診断:物理を「問題の型と公式の対応表」として覚えている状態。対応表に無い問題が出た瞬間に手が止まる。
処方箋:式を書く前に、必ずこの3つを声に出す。①どの物体の話か ②いつからいつまでの話か ③どこを正の向きにするか。この3つが埋まらないうちは、どの公式も選べない。ここが埋まれば、公式は「選ぶ」ものではなく「そこから出てくる」ものになる。
経過観察:この講の練習問題を解くとき、答えが合ったかどうかではなく、③の正の向きを最初に決めたかを自分で点検してほしい。
🩺 要点整理
力学は「予測の学問」である。最初に押さえるのは次の2つ。
この2つは別々の話ではなく、力が分かれば運動が決まり、運動が決まれば「いつ・どこに」が答えられる、という一本の道すじでつながっている。
MKS単位系
物理では長さ・質量・時間の3つを基本の単位として使う。これをMKS単位系と呼ぶ。
- \(M\)(メートル): 場所・距離・長さを表す基本単位
- \(K\)(キログラム): 質量を表す基本単位
- \(S\)(セコンド=秒): 時間を表す基本単位
この3つの頭文字をとって「MKS」である。力学のあらゆる計算は、この単位系を基本に進めていく。
なぜ単位をそろえる必要があるのか。単位がそろっていない数どうしは、足すことも比べることもできないからである。時速と秒速が混ざったまま計算して答えが合わない、というつまずきは、力学で最初に出会う典型的なものである。
日常の速さを、物理の単位(\(\text{m}/\text{s}\))に置き換えてみる。時速 \(72\,\text{km}/\text{h}\) は \(1\) 時間に \(72\,\text{km}\)、つまり \(72000\,\text{m}\) 進む。\(1\) 時間は \(3600\,\text{s}\) なので、
$$
\begin{aligned}
v &= \displaystyle\frac{72000}{3600} \\[2.0ex]
&= 20\,\text{m}/\text{s}
\end{aligned}
$$
\(1\) 秒間に \(20\,\text{m}\)。教室の横幅がおよそ \(8\,\text{m}\) だとすると、1秒で教室2つ半ぶんを通り過ぎる速さである。数値を単位ごと身体の感覚に置き換えておくと、答えが桁違いになったときに自分で気づけるようになる。
🩺 要点整理
MKS単位系は、力学で使う3つの基本単位。
単位をそろえるのは作法ではなく、そろっていない数は足すことも比べることもできないから。時速と秒速が混ざったまま計算していないか、式を書くたびに確かめる。
🧠 見ずに思い出そう
次の3つを、ノートを閉じたまま言えるだろうか。
① MKS の3文字はそれぞれ何の単位か
② \(72\,\text{km}/\text{h}\) は何 \(\text{m}/\text{s}\) か
③ 単位をそろえないと何が困るのか
①で詰まったなら、この節をもう一度読めばよい。②で詰まったなら計算の練習が足りていない。③で詰まったのがいちばん重要で、その場合は「なぜそうするか」を飛ばして手順だけ覚えているという診断になる。戻る場所が①②③で違うので、どれで詰まったかを覚えておいてほしい。
位置・距離・変位の違い
物体がどこにあるのかを表すには、まず座標を用意する。x軸を引き、正の向きをしっかり決めることが出発点である。
- 位置: 「点」のこと。原点を基準とした点の場所を表す。
- 距離: 「点と点の幅」のこと。2つの位置がどれだけ離れているかを表す。
- 変位: 「最終的な位置の変化」のこと。途中の経路は関係なく、スタートからゴールまでどれだけ位置が変化したかだけを見る。
図: ぐねぐね進んでも、変位はスタートとゴールを結んだ矢印だけで決まる
たとえば、スタート地点からゴール地点までぐねぐね曲がって移動したとしても、変位はスタートとゴールを直線で結んだ矢印で表される。途中どんな経路を通ったかは一切関係ない。
家から公園まで散歩したときの記録を思い浮かべてほしい。
寄り道をしながら歩いた道のりの長さが「距離」、家と公園をまっすぐ結んだ矢印が「変位」である。同じ散歩でも、記録の取り方が2種類あると考えるとよい。
だから、公園まで行って家に戻ってきたら、距離は往復ぶんだけ増えるのに、変位は \(0\) になる。動いていないのではなく、「位置の変化」という物差しで測ると 0 になるという意味である。
図: 同じ散歩でも、道のり(距離)とまっすぐ結んだ矢印(変位)は別の量
🩺 要点整理
同じ運動でも、測る物差しが3つある。
問題文が3つのどれを聞いているかを最初に見分ける。往復して戻ってきたとき、距離は増えるのに変位は \(0\) になる——この食い違いが理解できていれば合格である。
よくあるつまずき
症状:往復する運動で、距離と変位に同じ数を書いてしまう。
診断:「動いた量は1つに決まるはずだ」という日常の感覚が残っている状態。物理ではどの物差しで測るかによって同じ運動の値が変わる。
処方箋:答えを書く前に「いま聞かれているのは道のりか位置の変化か」と自分に一言たずねる。この一言だけで、往復問題の取りこぼしはほぼ無くなる。
🧠 見ずに思い出そう
ノートを閉じて、次の問いに答えてみよう。
① 「距離」と「変位」を、それぞれ10秒で説明できるか
② 東へ \(5\,\text{m}\) 進んで西へ \(5\,\text{m}\) 戻ったとき、距離と変位はいくつか
①で詰まったなら定義に戻る。②だけ詰まったなら、定義は言えるが使えていないという診断で、戻る先は定義ではなく問題演習のほうである。
時刻と時間の違い
日常では「時刻」と「時間」を同じ意味で使うことが多いが、物理ではこの2つを明確に区別する。
- 時刻: ある一瞬の「いつ」を表す。時計の針が指す値そのものである。たとえば「\(t = 3\,\text{s}\)」は、スタートから \(3\) 秒が経過した瞬間を指す。
- 時間: 時刻と時刻の「差」を表す。ある瞬間からある瞬間までの長さである。たとえば \(t = 3\,\text{s}\) から \(t = 8\,\text{s}\) までの時間は \(8 – 3 = 5\,\text{s}\) となる。
位置と距離の関係と同じ考え方である。「位置」が点で「距離」が幅であるように、「時刻」が点で「時間」が幅にあたる。
この対応は、覚えるものではなく見比べて確かめるものである。空間の話(位置・距離)と時間の話(時刻・時間)が同じ形をしているから、片方が分かればもう片方も分かる。力学の式に \(\Delta\) が出てきたら、それは必ず「点」ではなく「幅」を指している、と読めるようになれば十分である。
🩺 要点整理
時間の話は、位置の話と同じ形をしている。
式の中に \(\Delta\) が出てきたら、それは必ず「点」ではなく「幅」を指している。この読み方さえ持っていれば、記号の意味を暗記する必要はない。
速さのイメージと公式
速さは「距離÷時間」で求められるが、計算方法よりもまずイメージをつかむことが大切である。
たとえば「秒速 \(5\,\text{m}\)」とは、\(1\) 秒間に \(5\,\text{m}\) だけ位置が変化するということである。\(50\,\text{m}\) 走ならちょうど \(10\) 秒で走り切るスピードにあたる。
図: 秒速 5 m は「1 秒で 5 m ぶん位置が変わる」という意味
これを文字で表すと、次の公式になる。
$$
\begin{aligned}
v &= \displaystyle\frac{\Delta x}{\Delta t}
\end{aligned}
$$
ここで \(v\) は velocity(速度・速さ)の頭文字である。\(\Delta\)(デルタ)は「差」を意味し、\(\Delta x\) は位置の差(距離・変位)、\(\Delta t\) は時間の差を表す。
また、速さには「瞬間の速さ」と「平均の速さ」の2種類がある。瞬間の速さとは、ある一瞬のスピードメーターの値を読み取ったものである。一方、平均の速さとは、全体の距離を全体の時間で割ったものである。
これは、クラス全員のテストの点数がバラバラでも「全員が同じ点数だとしたら何点になるか」が平均点であるのと同じ考え方である。速さがバラバラでも「ずっと同じ速さで進んだとしたらいくらか」が平均の速さである。
速さが刻々と変わる運動を、棒グラフで描いてみる。
瞬間の速さは、棒グラフの1本の高さを読むこと。平均の速さは、でこぼこの棒をならして平らにしたときの高さである。
図: でこぼこの速さをならした高さが、平均の速さ
ここで大事なのは、平均の速さは「途中でいちどもその速さで走っていなくても」構わないということである。平均点を取った生徒が実在しなくてよいのと同じで、平均は実際の値ではなくならした値だからである。
🩺 要点整理
速さの公式は1つだけ。読み方を2通り持っておく。
平均の速さは「途中でいちどもその速さで走っていなくても」構わない。平均点を取った生徒が実在しなくてよいのと同じである。
🧠 見ずに思い出そう
ノートを閉じて確かめよう。
① \(v = \displaystyle\frac{\Delta x}{\Delta t}\) の \(\Delta\) は何を意味するか
② 平均の速さと瞬間の速さを、グラフの言葉で言い分けられるか
①で詰まったなら「時刻と時間の違い」へ、②で詰まったならこの節の棒グラフの図へ戻る。詰まった問いによって戻る場所が違うので、まとめて読み直さないこと。
🔗 関連単元
速さと平均の速さがつかめたら、次は「速さが変わっていく運動」を扱う。変化のようすをグラフで読む方法は第2限(2限目:等速直線運動と2種類のグラフ)、速さの変わり方そのものを量にしたのが第3限(3限目:加速度と等加速度運動の3公式)である。
速さと速度の違い
日常では「速さ」と「速度」を同じ意味で使うことが多いが、物理ではこの2つを明確に区別する。
- 速さ: 大きさのみを表す。「\(5\,\text{m}/\text{s}\)」のように数値だけで答える。
- 速度: 大きさと向きの両方を含む。「東向きに \(5\,\text{m}/\text{s}\)」のように、必ず向きも答える。
図: 速さは数値だけ、速度は数値と向きの両方
速度を答えるときは、向きを忘れないことが鉄則である。
そして、この区別は答案の書き方の作法ではない。問題文が「速さ」と聞いているか「速度」と聞いているかで、答えるべきものが変わるという、読解そのものの話である。
症状:計算は合っているのに、答えに「向き」や符号を書き忘れて減点される。
診断:符号を計算のための道具だと思っている状態。計算が終わると役目を終えたと感じて、答案から落としてしまう。
処方箋:符号は道具ではなく向きという情報そのものだと言い換える。\(-25\,\text{m}/\text{s}\) の「\(-\)」は計算の途中経過ではなく、「西向き」という日本語と同じ重さを持つ。だから答えを書いたら、最後に必ず符号を日本語に戻して読み上げる(「マイナスだから西向き」)。読み上げられない答えは、まだ答えになっていない。
経過観察:練習問題③⑥⑦⑧で、答えを書いたあとに符号を日本語に戻せたかを点検する。
🩺 要点整理
「速さ」と「速度」は別の言葉である。
問題文がどちらの語を使っているかで、答えるべきものが変わる。計算が合っていても、向きを書き忘れれば答えとしては未完成である。
速度の合成
歩いている最中に風が吹いたら、実際の速さはどうなるだろうか。
\(v_1\) を無風状態で人が歩く速度、\(v_2\) を風の速度、\(v\) を実際の速度とする。
- 追い風のとき: 後ろから風が吹くので、自分が思っているスピードよりも少し速く歩ける。自分の速度に風の速度が足される。
- 向かい風のとき: 前から風が吹くので、自分の速度から風の速度が差し引かれて遅くなる。
図: 追い風は足す・向かい風は引く。どちらも符号つきの足し算1つで書ける
どちらの場合も、速度に符号をつけて足し算すれば正しい結果が得られる。
$$
\begin{aligned}
v &= v_1 + v_2
\end{aligned}
$$
ここで重要なのは、速度には必ず符号をつけるということである。正の向きに進むなら正、逆向きなら負の符号をつけて計算する。
つまり「追い風のときは足し算、向かい風のときは引き算」と2通りを覚える必要はない。どちらも足し算で、向かい風のときは風の速度そのものが負の数になっているだけである。覚える規則が2つから1つに減る、というのがこの式の値打ちである。
🩺 要点整理
速度の合成は、覚える規則を1つに減らせる。
「追い風は足し算・向かい風は引き算」と2通り覚える必要はない。どちらも足し算で、向かい風では風の速度そのものが負になっているだけである。
よくあるつまずき
症状:向かい風のときに、風の速度の符号ではなく式のほうを引き算に変えてしまう。
診断:式を「場面ごとに使い分けるもの」と考えている状態。場面が増えるたびに覚える式が増え、川の流れ・エスカレーター・動く歩道で必ず行き詰まる。
処方箋:式は1つのまま動かさず、変えるのは数の符号だけと決めてしまう。向きが変わったのは風であって、足し算という関係は変わっていない。
相対速度
走っている電車に乗っている人から、外を走る車を見たらどう見えるだろうか。
自分が足の遅い人で、隣の友達の方が足が速ければ、友達は前にどんどん進んでいくように見える。逆に、自分が足が速くて友達が遅ければ、友達は後ろに下がっていくように見える。このように、自分から見た相手の速度を「相対速度」という。
図: 自分から見た相手の見え方が相対速度
$$
\begin{aligned}
v_{\text{相対}} &= v_{\text{相手}} – v_{\text{自分}}
\end{aligned}
$$
相対速度も、必ず符号をつけて引き算することがポイントである。
引く順番を取り違えると、答えの向きが逆になる。順番を覚え直すのではなく、「見ている人(自分)を引く」と読み替えるとよい。自分を引くのは、自分が止まって見える世界に移るという意味だからである。
自分と相手が並んで走っている場面を思い浮かべてほしい。
地面に立って見れば、2人とも前へ進んでいる。ところが自分の上に乗って見ると、自分は止まって見え、相手は差のぶんだけ前へ離れていく。これが相対速度である。
図: 自分の上に乗って見ると、相手は差のぶんだけ動いて見える
相手のほうが遅ければ、この差は負になる。負とは「後ろへ下がっていくように見える」ということで、相手が本当に後ろへ進んでいるわけではない。見る場所を変えただけで見え方が変わる、という点が相対速度のいちばん大事なところである。
🩺 要点整理
相対速度は「引き算の公式」ではない。
引く順番を文字面で覚え直すのではなく「見ている人を引く」と読み替える。この読み替えは第10限(10限目:慣性力 ─ 2つの立場で考える)まで、そのまま効き続ける。
🧠 見ずに思い出そう
ノートを閉じて答えてみよう。
① 相対速度の式で、引かれるのはどちらか
② なぜ「自分」を引くのか、公式以外の言葉で言えるか
③ 相対速度が負のとき、相手は本当に後ろへ進んでいるか
①だけ詰まったなら式の確認でよい。②で詰まったなら本文の「乗り移る」の説明へ、③で詰まったなら見る場所を変えただけという核心がまだ入っていないので、並走の図まで戻る。
🔗 関連単元
相対速度の考え方は、ここで終わりではない。第10限(10限目:慣性力 ─ 2つの立場で考える)では、「地上に立つ人の立場」と「乗り物に乗る人の立場」を行き来しながら力を考える。本講で身につけた「自分を引いて、自分が止まった世界へ移る」がそのまま土台になる。
練習問題の解説
① 位置の図示(問1)
問題
原点からx軸方向に \(3\,\text{m}\)、\(5\,\text{m}\)、\(-2\,\text{m}\)、\(-6\,\text{m}\) の位置に点を書き、位置を示せ。
図: 問1の数直線(原点と正の向きを先に決める)
解説
位置は「点」のことである。数直線上の該当する座標に点を打てばよい。
\(x = 3\)、\(5\)、\(-2\)、\(-6\) の目盛りの位置にそれぞれ点を描き込む。
図: 問1の解答例:4つの座標にそれぞれ点を打つ
\(x = 3\)、\(5\)、\(-2\)、\(-6\) の各目盛りの位置に点を打つ
② 瞬間の速さと平均の速さ(問2)
問題
速さには「瞬間の速さ」と「平均の速さ」がある。2つの違いについて考えよう。
図: 問2の速さの記録(1本の高さ=瞬間の速さ)
解説
瞬間の速さは、その瞬間のスピードメーターの値を読み取るだけである。
- \(t=0\) のとき: \(0\,\text{m}/\text{s}\)
- \(t=10\) のとき: \(10\,\text{m}/\text{s}\)
- \(t=20\) のとき: \(30\,\text{m}/\text{s}\)
- \(t=30\) のとき: \(15\,\text{m}/\text{s}\)
- \(t=40\) のとき: \(0\,\text{m}/\text{s}\)
一方、平均の速さは全体の距離をかかった時間で割って求める。
$$
\begin{aligned}
v_{\text{平均}} &= \displaystyle\frac{800}{40} \\[2.0ex]
&= 20\,\text{m}/\text{s}
\end{aligned}
$$
瞬間の速さ:\(0\)、\(10\)、\(30\)、\(15\)、\(0\,\text{m}/\text{s}\) / 平均の速さ:\(20\,\text{m}/\text{s}\)
③ 速度の表現(問3)
問題
東西方向の高速道路を、自動車Aは東向きに \(20\,\text{m}/\text{s}\)、自動車Bは西向きに \(25\,\text{m}/\text{s}\) の速さで走っている。東向きを正の向きとして、自動車A、Bのそれぞれの速度を表せ。
解説
東向きを正とするので、西向きは負になる。速度は向きと大きさの両方を答えるか、符号をつけて答える。
図: 問3:東を正とすると、西向きは負の符号で表す
- 自動車A: 正の向きに \(20\,\text{m}/\text{s}\)
- 自動車B: 負の向きに \(25\,\text{m}/\text{s}\)
自動車A:正の向きに \(20\,\text{m}/\text{s}\) / 自動車B:負の向きに \(25\,\text{m}/\text{s}\)
④ 平均の速度(問4)
問題
止まっていた自動車が動き出して、\(10\,\text{s}\) 後には止まっていたところから東に \(50\,\text{m}\) のところ、\(15\,\text{s}\) 後には \(120\,\text{m}\) の所を走っていた。東向きを正として、動き出して \(10\,\text{s}\) 後から \(15\,\text{s}\) 後の間の平均の速度を求めよ。
解説
図: 問4:注目するのは 10 秒後から 15 秒後までの区間
\(10\) 秒後から \(15\) 秒後までの \(5\) 秒間に注目する。この間に位置は \(50\,\text{m}\) から \(120\,\text{m}\) へ変化しているので、変位は次のようになる。
$$
\begin{aligned}
\Delta x &= 120 – 50 \\[2.0ex]
&= 70\,\text{m}
\end{aligned}
$$
これをかかった時間 \(5\,\text{s}\) で割る。
$$
\begin{aligned}
v_{\text{平均}} &= \displaystyle\frac{70}{5} \\[2.0ex]
&= 14\,\text{m}/\text{s}
\end{aligned}
$$
東向きを正としているので、答えは正の向きに \(14\,\text{m}/\text{s}\) である。
正の向きに \(14\,\text{m}/\text{s}\)
⑤ 速度の合成の計算(問5)
問題
\(20\,\text{m}/\text{s}\) の速さで走っている自動車に乗った人が、ボールを投げた。次の各場合について、地面に対するボールの(投げ出した直後の)速さを求めよ。
(1) 進行方向に、自動車に対して \(30\,\text{m}/\text{s}\) で投げる。
(2) 進行方向後方に、自動車に対して \(20\,\text{m}/\text{s}\) で投げる。
解説
進行方向(右向き)を正とする。自動車の速度は \(+20\,\text{m}/\text{s}\) である。
(1) ボールを進行方向に投げるので、ボールの速度は \(+30\,\text{m}/\text{s}\) である。
図: 問5(1):自動車の速度とボールの速度が同じ向き
$$
\begin{aligned}
v &= (+20) + (+30) \\[2.0ex]
&= +50\,\text{m}/\text{s}
\end{aligned}
$$
速さを聞かれているので、大きさのみ答える。答えは \(50\,\text{m}/\text{s}\) である。
(2) ボールを後方に投げるので、ボールの速度は \(-20\,\text{m}/\text{s}\) である。
図: 問5(2):後方へ投げると、2つの速度が打ち消し合う
$$
\begin{aligned}
v &= (+20) + (-20) \\[2.0ex]
&= 0\,\text{m}/\text{s}
\end{aligned}
$$
答えは \(0\,\text{m}/\text{s}\) である。
(1) \(50\,\text{m}/\text{s}\) / (2) \(0\,\text{m}/\text{s}\)
⑥ 相対速度の計算1(問6)
問題
東向きに \(60\,\text{km}/\text{h}\) の速さで進んでいる電車Aから、東向きに \(80\,\text{km}/\text{h}\) の速さで進む自動車Bを見ると、Bはどちらの向きにいくらの速さで進むように見えるか。
解説
東向きを正とする。Aの速度は \(+60\,\text{km}/\text{h}\)、Bの速度は \(+80\,\text{km}/\text{h}\) である。
図: 問6:AもBも東向き。差のぶんだけ前へ離れて見える
Aから見たBの相対速度 \(v_{AB}\) を求める。
$$
\begin{aligned}
v_{AB} &= v_B – v_A \\[2.0ex]
&= (+80) – (+60) \\[2.0ex]
&= +20\,\text{km}/\text{h}
\end{aligned}
$$
正なので東向きである。答えは東向きに \(20\,\text{km}/\text{h}\) である。
東向きに \(20\,\text{km}/\text{h}\)
⑦ 相対速度の計算2(問7)
問題
上の電車Aから、東向きに \(40\,\text{km}/\text{h}\) の速さで進むバスCはどちらの向きにいくらの速さで進むように見えるか。
解説
Cの速度は \(+40\,\text{km}/\text{h}\) である。
図: 問7:Cのほうが遅いので、後ろへ下がって見える
$$
\begin{aligned}
v_{AC} &= v_C – v_A \\[2.0ex]
&= (+40) – (+60) \\[2.0ex]
&= -20\,\text{km}/\text{h}
\end{aligned}
$$
負なので西向きである。答えは西向きに \(20\,\text{km}/\text{h}\) である。
西向きに \(20\,\text{km}/\text{h}\)
⑧ 相対速度の計算3(問8)
問題
電車Aから、西向きに \(50\,\text{km}/\text{h}\) で進むバイクDを見るとどちらの向きにいくらの速さで進むように見えるか。
解説
Dは西向きなので速度は \(-50\,\text{km}/\text{h}\) である。
図: 問8:向きが逆だと、差は大きくなる
$$
\begin{aligned}
v_{AD} &= v_D – v_A \\[2.0ex]
&= (-50) – (+60) \\[2.0ex]
&= -110\,\text{km}/\text{h}
\end{aligned}
$$
負なので西向きである。答えは西向きに \(110\,\text{km}/\text{h}\) である。
西向きに \(110\,\text{km}/\text{h}\)
⑨ 相対速度の逆算(問9)
問題
北向きに \(80\,\text{km}/\text{h}\) の速さで進んでいる電車Aから見ると、電車Bは南向きに \(30\,\text{km}/\text{h}\) の速さで進むように見えた。電車Bはどちらの向きに何 \(\text{km}/\text{h}\) の速さで進んでいるか。
解説
北向きを正とする。自分(A)の速度は \(+80\,\text{km}/\text{h}\)、Aから見たBの相対速度は南向きに \(30\) なので \(-30\,\text{km}/\text{h}\) である。
図: 問9:分かっているのは相対速度のほう。式を逆にたどる
相手(B)の速度を \(v_B\) とすると、公式より次の式が立つ。
$$
\begin{aligned}
-30 &= v_B – (+80)
\end{aligned}
$$
これを解く。
$$
\begin{aligned}
v_B &= -30 + 80 \\[2.0ex]
&= +50\,\text{km}/\text{h}
\end{aligned}
$$
正なので北向きである。答えは北向きに \(50\,\text{km}/\text{h}\) である。
北向きに \(50\,\text{km}/\text{h}\)
【重要公式まとめ】
速さの定義
$$
\begin{aligned}
v &= \displaystyle\frac{\Delta x}{\Delta t}
\end{aligned}
$$
\(v\): 速さ、\(\Delta x\): 位置の差(距離・変位)、\(\Delta t\): 時間の差
図: 位置の差 Δx と時間の差 Δt が、それぞれどこの「幅」を指すか
速度の合成
$$
\begin{aligned}
v &= v_1 + v_2
\end{aligned}
$$
\(v\): 実際の速度、\(v_1\): 物体の速度、\(v_2\): 風などの速度。必ず符号をつけて足し算する。
図: 追い風・向かい風とも、符号をつけた足し算1つで表せる
相対速度
$$
\begin{aligned}
v_{\text{相対}} &= v_{\text{相手}} – v_{\text{自分}}
\end{aligned}
$$
自分から見た相手の速度。相対速度は必ず符号をつけて引き算する。
図: 自分の速度を引いた残りが、自分から見た相手の速度
【記事限定 演習問題】
この講の内容だけで解ける問題を用意した。答えを見る前に、まず正の向きを決めて式を書くところまでやってみてほしい。
📝 記事限定 演習問題①(距離と変位)
まっすぐな道の上を、東へ \(120\,\text{m}\) 歩いたあと、向きを変えて西へ \(200\,\text{m}\) 歩いた。東向きを正とするとき、(1) 歩いた距離 (2) 変位 をそれぞれ求めよ。
解答と思考プロセスを見る
まずどちらを聞かれているかを分ける。距離は「歩いた道のりの合計」、変位は「スタートとゴールを結んだ矢印」である。
(1) 距離は向きを気にせず足す。
$$
\begin{aligned}
&120 + 200 \\[2.0ex]
&= 320\,\text{m}
\end{aligned}
$$
(2) 変位は符号をつけて足す。東が正なので西は負である。
$$
\begin{aligned}
\Delta x &= (+120) + (-200) \\[2.0ex]
&= -80\,\text{m}
\end{aligned}
$$
答えは (1) \(320\,\text{m}\) (2) 西向きに \(80\,\text{m}\)。
同じ運動なのに答えが \(320\) と \(80\) で食い違うのは、測っている物差しが違うからである。ここで「どちらかが間違いでは?」と感じたなら、それが直すべき思考のクセである。
📝 記事限定 演習問題②(平均の速さと平均の速度)
上の①の運動に \(80\,\text{s}\) かかったとする。(1) 平均の速さ (2) 平均の速度 を求めよ。
解答と思考プロセスを見る
定義に戻る。平均の速さは距離÷時間、平均の速度は変位÷時間である。
(1)
$$
\begin{aligned}
v &= \displaystyle\frac{320}{80} \\[2.0ex]
&= 4.0\,\text{m}/\text{s}
\end{aligned}
$$
(2)
$$
\begin{aligned}
v &= \displaystyle\frac{-80}{80} \\[2.0ex]
&= -1.0\,\text{m}/\text{s}
\end{aligned}
$$
答えは (1) \(4.0\,\text{m}/\text{s}\) (2) 西向きに \(1.0\,\text{m}/\text{s}\)。
同じ運動でも「速さ」と「速度」で答えが変わる。問題文がどちらの語を使っているかを読み落とすと、計算が正しくても答えが合わない。
📝 記事限定 演習問題③(単位をそろえる)
\(54\,\text{km}/\text{h}\) は何 \(\text{m}/\text{s}\) か。また \(15\,\text{m}/\text{s}\) は何 \(\text{km}/\text{h}\) か。
解答と思考プロセスを見る
\(1\,\text{km} = 1000\,\text{m}\)、\(1\,\text{h} = 3600\,\text{s}\) を使う。
$$
\begin{aligned}
54\,\text{km}/\text{h} &= \displaystyle\frac{54 \times 1000}{3600} \\[2.0ex]
&= 15\,\text{m}/\text{s}
\end{aligned}
$$
逆向きは、\(3600\) を掛けて \(1000\) で割る。
$$
\begin{aligned}
15\,\text{m}/\text{s} &= \displaystyle\frac{15 \times 3600}{1000} \\[2.0ex]
&= 54\,\text{km}/\text{h}
\end{aligned}
$$
答えは \(15\,\text{m}/\text{s}\) と \(54\,\text{km}/\text{h}\)。
「\(3.6\) で割る/掛ける」と覚えてもよいが、どちらか迷ったら必ず桁で確かめる。秒速のほうが必ず小さい数になる(\(1\) 秒に進む距離のほうが \(1\) 時間より短いから)。この確かめ方を持っていれば、公式を思い出せなくても間違えない。
📝 記事限定 演習問題④(速度の合成(川を下る))
静水では \(3.0\,\text{m}/\text{s}\) で進む船が、\(1.2\,\text{m}/\text{s}\) で流れる川を進む。(1) 下流へ進むとき (2) 上流へ進むとき の、岸から見た船の速度を求めよ。下流向きを正とする。
解答と思考プロセスを見る
風の問題とまったく同じ形である。船の速度と川の速度を、符号をつけて足すだけ。
(1) 下流へ進むので船は \(+3.0\)、流れも \(+1.2\)。
$$
\begin{aligned}
v &= (+3.0) + (+1.2) \\[2.0ex]
&= +4.2\,\text{m}/\text{s}
\end{aligned}
$$
(2) 上流へ進むので船は \(-3.0\)、流れは \(+1.2\) のまま。
$$
\begin{aligned}
v &= (-3.0) + (+1.2) \\[2.0ex]
&= -1.8\,\text{m}/\text{s}
\end{aligned}
$$
答えは (1) 下流向きに \(4.2\,\text{m}/\text{s}\) (2) 上流向きに \(1.8\,\text{m}/\text{s}\)。
(2) で流れの符号を変えてしまうのがよくある誤りである。向きを変えたのは船であって、川の流れは変わっていない。何が変わって何が変わっていないかを、式を書く前に確認する。
📝 記事限定 演習問題⑤(相対速度(すれ違う))
東向きに \(90\,\text{km}/\text{h}\) で走る電車Aと、西向きに \(70\,\text{km}/\text{h}\) で走る電車Bがすれ違う。Aに乗っている人から見て、Bはどちら向きに何 \(\text{km}/\text{h}\) で進むように見えるか。
解答と思考プロセスを見る
東向きを正とする。\(v_A = +90\)、\(v_B = -70\)。
$$
\begin{aligned}
v_{AB} &= v_B – v_A \\[2.0ex]
&= (-70) – (+90) \\[2.0ex]
&= -160\,\text{km}/\text{h}
\end{aligned}
$$
答えは西向きに \(160\,\text{km}/\text{h}\)。
どちらの電車も \(100\,\text{km}/\text{h}\) を超えていないのに、見かけの速さは \(160\) になる。すれ違う瞬間があっという間なのは、この \(160\) で近づいているからである。数字が「大きすぎる」と感じたら、それは符号を正しく扱えている証拠であって、計算ミスではない。
📝 記事限定 演習問題⑥(相対速度の逆算)
西向きに \(40\,\text{km}/\text{h}\) で走る自動車Pから見ると、自動車Qは東向きに \(25\,\text{km}/\text{h}\) で進むように見えた。Qは地面に対してどちら向きに何 \(\text{km}/\text{h}\) で進んでいるか。
解答と思考プロセスを見る
東向きを正とする。\(v_P = -40\)、Pから見たQの相対速度は \(+25\)。公式に当てはめる。
$$
\begin{aligned}
+25 &= v_Q – (-40)
\end{aligned}
$$
これを解く。
$$
\begin{aligned}
v_Q &= 25 – 40 \\[2.0ex]
&= -15\,\text{km}/\text{h}
\end{aligned}
$$
答えは西向きに \(15\,\text{km}/\text{h}\)。
Pから見ると東へ進んで見えたのに、地面から見ると西へ進んでいる。見る場所が変わると向きまで逆に見えることがある、という相対速度の核心がここに出ている。答えが直感と食い違ったときこそ、式のほうを信じて、直感のほうを直す。
以下のテキストをコピーして、「まことAI」にそのまま貼り付けてみてください。別の角度からわかりやすく解説してくれます。
タップ(クリック)すると答えが表示されます。
Q1. 物理において、ある瞬間からある瞬間までの「長さ(差)」を表すのは「時刻」と「時間」のどちらでしょうか?
「時刻」は時計の針が指すその一瞬の点(いつ)のこと、「時間」は時刻と時刻の間隔(幅)のことを指します。
Q2. 「速さ」と「速度」の違いについて。「速さ」は数値(大きさ)のみを表しますが、「速度」は大きさに加えて何を含めて答える必要があるでしょうか?
「速さ」は数値だけ(例:\(5\,\text{m}/\text{s}\))ですが、「速度」は「東向きに」といった向きを必ずセットにして答えます。計算時はこれをプラスマイナスの符号で表現します。
Q3. 自分から見た相手の速度を「相対速度」と言います。計算式は「( ① )の速度 −( ② )の速度」となります。①と②に入る言葉をそれぞれ答えてください。
相対速度は常に「相手 − 自分」で計算します。お互いの速度にしっかりと符号(プラスやマイナス)をつけてから引き算をすることが最大のポイントです。
「AIを使ったことがない」「どう質問していいか分からない」という方も大丈夫!以下のステップに沿って進めるだけで、まこと先生の分身があなたのスマホに現れ、分かるまでトコトン付き合ってくれます。
まずは、無料のAIを「まこと先生」に変身させるための呪文(プロンプト)が必要です。以下の「モザイクを解除する」ボタンをタップしてください。
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💡 ヒント:「自分なりに考えたこと」は、「摩擦力の向きがどっちになるか分からない」「運動方程式の立て方が分からない」など、素直な気持ちでOKです!
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