- まずはザックリ理解したい
- イメージを優先したい
- 苦手を克服したい
このような方向けに解説をしていきます。
【今回わかること】
- 空気抵抗とはなにか
- 終端速度とはなにか
- 空気抵抗がないと雨の日に外に出れない理由
空気抵抗とは『空気が邪魔をする力』
物理基礎・高校物理の力学では、基本的には空気の存在を無視した世界での問題を扱います。
空気を無視した「真空」の世界の方が物体の動きがシンプルになるので、高校生でも扱いやすいためです。
たとえば、あなたが自転車に乗っているところを想像してみてください。
- 無風のとき
- 向かい風が吹いているとき
- 追い風が吹いているとき
それぞれの状況で同じように自転車をこいだとしても、実際の速度は違ってしまいます。
しかし、風や空気の影響を無視できるときは、すべて同じ速度で走ることになるのでシンプルです。
ただし、あなたの身の回りに真空の世界はありますか?
実験装置を使って真空の世界を作ることはできても、生活している世界には空気があります。
力の見つけ方で学習したように、物は触れているものから力を受けてしまいます。
つまり、空気の存在を無視できない状況では、空気からも力を受けてしまうということです。
空気抵抗を考えたときの雨粒の落ちるスピードについて考えてみましょう!
雲から雨粒が落ちるとき、雨粒には重力が働くため真っすぐ下向きに加速していきます。
最初に静止しているときは空気の抵抗を受けませんが、速度が出てくると空気に押し戻されるように「空気抵抗」が大きくなってきます。
雨粒が落下している最中に雨粒の質量は変化しないので、重力は常に一定の大きさ。
それに対して、空気抵抗は雨粒が落ちていくにつれてどんどん大きくなる。
いずれ空気抵抗の大きさが重力と同じ大きさになったときに、それ以上加速しなくなります。
終端速度とは『雨粒の落下速度が一定になったときの値』
重力と空気抵抗が同じ大きさになったときの雨粒の速度のことを『終端速度(しゅうたんそくど)』と呼びます。
この終端速度は落下する物体によって変わってきます。
空気抵抗の話がイメージできたか確認も兼ねて、1問考えてみましょう!
- ①100g ②500g ③1kg 3つのボールは同じ大きさとする。終端速度が最も大きいのはどれか。
(答えはこちらを押すと出てきます) - ③ 1kgのボール
【理由】
3つの中で最も重力が大きいため、空気抵抗が重力の大きさと同じになるまで1番速度を上げなければならないから
空気抵抗がない状態で雨が降ったらどうなる?
この空気抵抗というものがなかった場合、雨の日に外で傘を差しても無意味になる可能性があります。
空気抵抗なしで雨粒が上空2000mから落下してきた場合、地上に到達したときには「秒速198m程度」までスピードアップしています。
プロ野球のピッチャーが時速150km(秒速42m/s)でボールを投げるとしたら、その5倍くらいの速度。
50m走であれば0.25秒でゴールできる速度です。
このような猛スピードで雨が降ってきたら、傘はもちろんのこと建物の屋根が無事かどうかも怪しいですよね。
あなたが雨の日でも問題なく外に出られるのは、雨粒の速度が速くなり過ぎないように空気抵抗が頑張っているおかげだということを知っておきましょう。
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