- まずはザックリ理解したい
- イメージを優先したい
- 苦手を克服したい
このような方向けに解説をしていきます。
【今回わかること】
- 加速度とはなにか
- 加速度の向きについて
加速度とはスピードが変化する量

身の回りの動いているものは、最初から一定の速度というわけではありません。
徒競走も自転車も電車も、はじめは止まっている状態から少しずつ速くなっていきます。
つまり『加速』してスピードアップしていきます。
この「加速」の「度」合いが『加速度』というものです。
徒競走で走るところを例にしてイメージをしてみましょう。

まず「ヨーイ!」の時点では、突っ立っていたり、クラウチングスタートの構えをします。
つまり、静止しているはずです。
「ドン!」という合図で、グングン走るスピードをあげて駆け抜けていきます。
つまり、加速している状態です。
足が速いひとは一気に加速し、足が遅いひとは少しずつ加速していきます。
電車であれば、はじめはホームで停車(静止)している電車が徐々にスピードアップ(加速)していきます。
では、この加速の度合いをどうやって測るのか。
時刻ごとの速度を設定しておきます。(ここでの時刻は、ストップウォッチに表示されている時間をイメージしてください)
- 0秒のとき 0m/s
- 1秒のとき 2m/s
- 2秒のとき 4m/s
- 3秒のとき 6m/s
ではここで質問です。
「2ずつ増えている」というのが正解です。
これが加速度の値になります。
つまり、この徒競走での加速度は2ということです。
基本はイメージで解説しますが、記事後半では加速度を求める公式や計算例3題も扱います。まずは感覚から掴んでいきましょう。
式での解説を動画で見たい方はこちらから。
加速度にも向きがある
加速度という言葉のなかに「速度」という言葉が入っています。
速さと速度の違いでも学習しましたが、速度とは『向き』と『大きさ』の両方を表すものでした。
同様に、加速度にも向きがあります。
今回も具体例を使ってイメージしてみましょう。
最寄り駅から電車に乗って、隣の駅を目指して進んでいるところを想像してみてください。

いま、駅と駅のあいだを走っているとします。
ある程度のスピードで走っているはずです。
次の駅が停車駅の場合、電車のスピードはどうなるでしょうか。
電車は少しずつスピードを落として最終的には停車します。
この電車の動きを数値にして考えてみましょう。
今回は、駅と駅のあいだに着いたときにストップウォッチを押したとします。
- 0秒のとき 30m/s
- 1秒のとき 28m/s
- 2秒のとき 26m/s
- 3秒のとき 24m/s
ではここで質問です。
電車の速度は、1秒ごとに2ずつ『減っている』ことになります。
これは次のように言い換えることも可能です。

負の加速の場合は、静止したあとも逆向きに加速し続けるという注意点があります。
しかし、それは加速というイメージに慣れてからで大丈夫です。
加速度の求め方【公式と単位】
ここまで、加速度は「1秒で速度がどれだけ変わるか」というイメージで解説してきました。
この考え方をそのまま式にしたものが、加速度を求める公式です。
【加速度を求める公式】
加速度 = (あとの速度 - はじめの速度) ÷ かかった時間
記号で書くと:
$$\begin{aligned}
a = \displaystyle\frac{v – v_0}{t}
\end{aligned}$$
ここで使っている文字の意味は次のとおりです。
- \(a\):加速度
- \(v_0\)(ブイゼロ):はじめの速度
- \(v\)(ブイ):あとの速度
- \(t\):かかった時間
冒頭の徒競走の例で確認してみましょう。
「0秒で \(0\,\text{m}/\text{s}\)」が はじめの速度、「3秒で \(6\,\text{m}/\text{s}\)」が あとの速度だとすると:
$$\begin{aligned}
a &= \displaystyle\frac{6 – 0}{3} \\[2.0ex]
&= 2
\end{aligned}$$
やはり加速度は \(2\)と出てきますね。
加速度の単位は \(\text{m}/\text{s}^2\)
速度の単位は \(\text{m}/\text{s}\) (メートル毎秒)でした。
加速度は「1秒あたり速度がどれだけ変わるか」なので、\(\text{m}/\text{s}\) をさらに秒で割った単位になります。
加速度の単位:\(\text{m}/\text{s}^2\)(メートル毎秒毎秒)
「1秒ごとに、速度が \(\bigcirc\,\text{m}/\text{s}\) ずつ変わる」という意味を、そのまま表した単位です。
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加速度の求め方 計算例3題
公式を使って、実際に手を動かして加速度を求めてみましょう。
例題1:止まっていた車が加速する
はじめの速度は \(v_0 = 0\,\text{m}/\text{s}\) 、あとの速度は \(v = 10\,\text{m}/\text{s}\) 、時間は \(t = 5\,\text{s}\) 。
$$\begin{aligned}
a &= \displaystyle\frac{10 – 0}{5} \\[2.0ex]
&= 2\,\text{m}/\text{s}^2
\end{aligned}$$
加速度は \(+2\,\text{m}/\text{s}^2\) 。
1秒ごとにスピードが \(2\,\text{m}/\text{s}\) ずつ増えていく、という意味ですね。
例題2:ブレーキをかけて停止する
はじめの速度は \(v_0 = 20\,\text{m}/\text{s}\) 、あとの速度は \(v = 0\,\text{m}/\text{s}\) 、時間は \(t = 4\,\text{s}\) 。
$$\begin{aligned}
a &= \displaystyle\frac{0 – 20}{4} \\[2.0ex]
&= -5\,\text{m}/\text{s}^2
\end{aligned}$$
加速度は \(-5\,\text{m}/\text{s}^2\) 。
マイナスがついているのは「進んでいる向きと逆向きに加速している」からでした。
前のセクションで扱った「負の加速度」の話が、そのまま式にあらわれています。
例題3:単位換算が必要な問題
公式を使う前に、\(\text{km}/\text{h}\) を \(\text{m}/\text{s}\) にそろえる必要があります。
\(\text{km}/\text{h} \div 3.6 = \text{m}/\text{s}\) というのが、物理でよく使う換算ルールです。
$$\begin{aligned}
72\,\text{km}/\text{h} &= 72 \div 3.6 \\[2.0ex]
&= 20\,\text{m}/\text{s}
\end{aligned}$$
$$\begin{aligned}
36\,\text{km}/\text{h} &= 36 \div 3.6 \\[2.0ex]
&= 10\,\text{m}/\text{s}
\end{aligned}$$
これでやっと公式が使えます。
$$\begin{aligned}
a &= \displaystyle\frac{10 – 20}{5} \\[2.0ex]
&= -2\,\text{m}/\text{s}^2
\end{aligned}$$
加速度は \(-2\,\text{m}/\text{s}^2\) 。
単位をそろえてから計算するのが、物理の鉄則です。
ほかの「加速度」とのちがい
「加速度」と一口に言っても、入試や教科書ではいくつかの言葉が出てきます。混乱しないように整理しておきましょう。
- 加速度:この記事で扱った、速度の変化量 ÷ 時間
- 重力加速度:地球が物体を引っぱる力によって生じる、特別な加速度(約 \(9.8\,\text{m}/\text{s}^2\))
- 相対加速度:観測する人によって見え方が変わる加速度
重力加速度は、落下運動や斜面の問題などで必ず登場する、とても重要な概念です。
詳しくは 【いろいろな力】重力・重力加速度とは? で解説しているので、あわせて読んでみてください。
相対加速度のほうは、運動方程式を学んだあとに出てくる応用テーマです。まずは「そういう言葉もある」とだけ頭の片隅に置いておけば大丈夫です。
まとめ
- 加速度とは『1秒でどれだけ速度が変わるか』
- 加速度にも向きがある
- 向きは符号や言葉で表現する
加速度の問題にチャレンジしてみたい方はこちらの動画もチェックしてみましょう!
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