未来の得点力へ!高校物理 問題演習「電圧降下法と内部抵抗」【高校物理対応】

11月、中間の×を生んだ考え方のクセは、期末にもついてきます。
範囲が変わっても、×を生んだ考え方のクセは次の単元へ持ち越されます。答案の×を1つずつ「どの順番で考えたか」に戻して、期末で同じ転び方をしない準備を。

今回の問題

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「電流計・電圧計の内部抵抗と測定値の解釈」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  • 電流計・電圧計のモデル化: 実際の電流計は内部抵抗 \(r_A\) を持つ抵抗器として、電圧計は内部抵抗 \(r_V\) を持つ抵抗器としてモデル化します。電流計は測定対象と「直列」に、電圧計は「並列」に接続されることを理解することが大前提です。
  • オームの法則: 測定値 \(V, I\) から抵抗値を求める際の基本法則です。\(R = V/I\) の関係を、回路のどの部分に適用するかを正確に見極める必要があります。
  • キルヒホッフの法則: 回路内の電流の分岐や電圧降下の関係を整理するために用います。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)では、図1の回路に着目します。電圧計は「未知の抵抗」と「電流計」を直列につないだもの全体にかかっています。したがって、電圧計の測定値 \(V_1\) は、この直列部分全体にかかる電圧です。一方、電流計の測定値 \(I_1\) は、この直列部分を流れる電流です。オームの法則をこの部分全体に適用することで、未知の抵抗と電流計の抵抗の和が求まり、そこから未知の抵抗値を計算します。
  2. (2)では、図2の回路に着目します。この接続方法では、電圧計は「未知の抵抗」にのみ並列に接続されています。したがって、電圧計の測定値 \(V_2\) は未知の抵抗にかかる電圧そのものです。一方、電流計の測定値 \(I_2\) は、未知の抵抗を流れる電流と電圧計を流れる電流の和(分岐前の電流)です。未知の抵抗に流れる電流を計算し、オームの法則を適用して抵抗値を求めます。

問(1)

思考の道筋とポイント
図1の回路における未知の抵抗の抵抗値 \(R\) を求める問題です。この接続方法は「電圧降下法」における「電圧計を先に分岐させる方法」と呼ばれます。
まず、測定値が何を表しているかを正確に把握します。

  • 電流計の測定値 \(I_1\): 未知の抵抗 \(R\) と電流計(抵抗 \(r_A\))の両方を流れる電流。
  • 電圧計の測定値 \(V_1\): 未知の抵抗 \(R\) と電流計(抵抗 \(r_A\))を合わせた直列部分全体にかかる電圧。

つまり、電圧 \(V_1\) がかかっている部分の全体の抵抗は \(R+r_A\) であり、そこを流れる電流が \(I_1\) である、と解釈できます。
したがって、この部分全体にオームの法則を適用することで、\(R\) を求めることができます。
この設問における重要なポイント

  • 図1の回路では、電圧計が「未知抵抗と電流計の直列合成抵抗」にかかる電圧を測定していると理解すること。
  • オームの法則を適用する範囲を正しく設定する。

具体的な解説と立式
未知の抵抗の抵抗値を \(R\) とします。
図1において、電圧計は、未知抵抗 \(R\) と電流計(内部抵抗 \(r_A\))が直列に接続された部分の両端に接続されています。
したがって、電圧計が測定する電圧 \(V_1\) は、この直列部分全体にかかる電圧です。
この直列部分の合成抵抗は \(R + r_A\) です。
また、電流計が測定する電流 \(I_1\) は、この直列部分を流れる電流です。
よって、この部分にオームの法則を適用すると、次の関係が成り立ちます。
$$ V_1 = (R + r_A) I_1 \quad \cdots ① $$
この式を \(R\) について解くことで、抵抗値を求めます。

使用した物理公式

  • オームの法則: \(V = R_{\text{合成}} I\)
計算過程

式①を \(R\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
R + r_A &= \frac{V_1}{I_1} \\[2.0ex] R &= \frac{V_1}{I_1} – r_A
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

図1では、電圧計は「抵抗」と「電流計」の2つをひとまとめにしたものにかかる電圧 \(V_1\) を測っています。このひとまとめの部分を流れる電流が \(I_1\) です。オームの法則「抵抗 = 電圧 ÷ 電流」を使うと、このひとまとめの抵抗の大きさは \(V_1 \div I_1\) となります。このひとまとめの抵抗は、「未知の抵抗 \(R\)」と「電流計の抵抗 \(r_A\)」の直列接続なので、その大きさは \(R + r_A\) です。したがって、\(R + r_A = V_1 / I_1\) という式が成り立ち、これを変形すれば \(R\) が求まります。

結論と吟味

図1の接続方法で求めた抵抗値は \(R = \displaystyle\frac{V_1}{I_1} – r_A\) となります。この値は、測定値から計算される \(V_1/I_1\) という値(見かけの抵抗値)から、電流計の内部抵抗を差し引いたものになっています。これは、電流計の内部抵抗の分だけ、真の値よりも大きく測定されてしまうことを示しています。

解答 (1) \(\displaystyle\frac{V_1}{I_1} – r_A\)

問(2)

思考の道筋とポイント
図2の回路における未知の抵抗の抵抗値 \(R\) を求める問題です。この接続方法は「電圧降下法」における「電流計を先に分岐させる方法」と呼ばれます。
同様に、測定値が何を表しているかを正確に把握します。

  • 電圧計の測定値 \(V_2\): 未知の抵抗 \(R\) にかかる電圧。
  • 電流計の測定値 \(I_2\): 電流計を通過した後の分岐前の電流。この電流は、未知の抵抗 \(R\) を流れる電流 \(I_R\) と、電圧計(抵抗 \(r_V\))を流れる電流 \(I_V\) の和になっています。(\(I_2 = I_R + I_V\))

未知の抵抗 \(R\) の値をオームの法則 \(R = V/I\) から求めるには、\(R\) にかかる電圧と、\(R\) を流れる電流が必要です。
\(R\) にかかる電圧は \(V_2\) です。
\(R\) を流れる電流 \(I_R\) は、測定値 \(I_2\) そのものではなく、\(I_2\) から電圧計に流れ込む電流 \(I_V\) を引いたものになります。
電圧計に流れる電流 \(I_V\) は、電圧計にかかる電圧 \(V_2\) と内部抵抗 \(r_V\) からオームの法則で計算できます。
以上の手順で \(I_R\) を求め、最後に \(R\) を計算します。
この設問における重要なポイント

  • 図2の回路では、電流計が「未知抵抗を流れる電流」と「電圧計を流れる電流」の和を測定していると理解すること。
  • キルヒホッフの第1法則(電流則)を用いて、未知抵抗を流れる真の電流を計算する。

具体的な解説と立式
未知の抵抗の抵抗値を \(R\) とします。
図2において、電圧計は未知抵抗 \(R\) のみに並列に接続されているため、電圧計の測定値 \(V_2\) は、そのまま未知抵抗 \(R\) にかかる電圧となります。
$$ V_R = V_2 $$
一方、電流計は、未知抵抗 \(R\) と電圧計(内部抵抗 \(r_V\))の並列部分より手前(電源側)に接続されています。
したがって、電流計の測定値 \(I_2\) は、未知抵抗を流れる電流 \(I_R\) と電圧計を流れる電流 \(I_V\) の和となります。キルヒホッフの第1法則より、
$$ I_2 = I_R + I_V \quad \cdots ② $$
未知抵抗 \(R\) の抵抗値は、オームの法則より \(R = \displaystyle\frac{V_R}{I_R}\) で求められます。
\(V_R = V_2\) は分かっているので、\(I_R\) を求める必要があります。
式②より、\(I_R = I_2 – I_V\) です。
電圧計を流れる電流 \(I_V\) は、オームの法則より、
$$ I_V = \frac{V_2}{r_V} \quad \cdots ③ $$
したがって、未知抵抗を流れる電流 \(I_R\) は、
$$ I_R = I_2 – \frac{V_2}{r_V} \quad \cdots ④ $$
よって、未知抵抗 \(R\) は、
$$
\begin{aligned}
R &= \frac{V_2}{I_R} \\[2.0ex] &= \frac{V_2}{I_2 – \displaystyle\frac{V_2}{r_V}} \quad \cdots ⑤
\end{aligned}
$$
となります。

使用した物理公式

  • オームの法則: \(V=RI\), \(I=V/R\)
  • キルヒホッフの第1法則(電流則): \(I_{\text{in}} = I_{\text{out}}\)
計算過程

式⑤の分母を通分して、式を整理します。
$$
\begin{aligned}
R &= \frac{V_2}{I_2 – \displaystyle\frac{V_2}{r_V}} \\[2.0ex] &= \frac{V_2}{\displaystyle\frac{I_2 r_V – V_2}{r_V}} \\[2.0ex] &= \frac{V_2 r_V}{I_2 r_V – V_2}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

図2では、電圧計は「抵抗」にだけかかる電圧 \(V_2\) を正確に測っています。しかし、電流計は、「抵抗」に流れる電流と「電圧計」に流れる電流の二つが合わさったものを測ってしまっています。求めたい抵抗値は「抵抗にかかる電圧 ÷ 抵抗に流れる電流」です。電圧は \(V_2\) でOKですが、電流は測定値 \(I_2\) ではありません。そこで、\(I_2\) から、余分な「電圧計に流れる電流」を引き算して、正しい「抵抗に流れる電流」を求めます。「電圧計に流れる電流」はオームの法則から \(V_2 \div r_V\) で計算できます。

結論と吟味

図2の接続方法で求めた抵抗値は \(R = \displaystyle\frac{V_2}{I_2 – V_2/r_V}\) となります。この値は、測定値から計算される見かけの抵抗値 \(V_2/I_2\) よりも大きくなります。これは、電流計が電圧計に流れる分だけ余分に電流を測定してしまい、その結果、見かけの抵抗値が真の値よりも小さく計算されてしまうことを示しています。

解答 (2) \(\displaystyle\frac{V_2}{I_2 – \displaystyle\frac{V_2}{r_V}}\) (または \(\displaystyle\frac{V_2 r_V}{I_2 r_V – V_2}\))

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【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?

  • 測定値と真の値のズレの認識:
    • 核心: この問題は、電流計と電圧計のつなぎ方によって、測定値から計算される抵抗値が「真の抵抗値」とどのようにズレるかを問うています。核心は、測定器の内部抵抗が回路に与える影響を、2つの異なる接続方法について正しく分析できるかどうかにあります。
    • 理解のポイント: 図1(電圧計先分岐)では「電圧の測定は不正確だが、電流の測定は正確」、図2(電流計先分岐)では「電流の測定は不正確だが、電圧の測定は正確」という特徴があります(※ただし、ここでの「正確」とは、測定したい抵抗Rを流れる電流、Rにかかる電圧という意味)。この違いを理解することが、問題を解く鍵です。

応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点

  • 応用できる類似問題のパターン:
    • どちらの接続がより正確か?: 未知抵抗 \(R\) の大きさと、\(r_A, r_V\) の大きさの関係によって、図1と図2のどちらの接続方法がより真の値に近い結果を与えるかが変わります。一般に、\(R\) が大きい場合は図1が、\(R\) が小さい場合は図2が有利とされます。この理由を考察する問題は頻出です。
    • 誤差の計算: 測定値から求めた抵抗値と、真の抵抗値との差(誤差)や、その比(相対誤差)を計算させる問題。本問の解答式を変形して、誤差の大きさを評価します。
    • 具体的な数値計算: \(V_1, I_1, r_A\) などに具体的な数値が与えられ、抵抗値を計算させる問題。本問はその一歩手前の、文字式で表現する問題です。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 測定器の接続位置の確認: 電圧計がどこにかかっているか、電流計がどの電流を測っているかを、回路図上で指でなぞって確認します。
    2. 電圧計の範囲を特定: 電圧計が並列接続されている範囲を四角で囲むなどして明確にします。その範囲の電圧が測定値 \(V\) です。
    3. 電流計の経路を特定: 電流計を通過する電流が、その後どこに流れていくか(分岐するかしないか)を確認します。
    4. 「R = V/I」のVとIを定義する: 最終的に求めたいのは未知抵抗 \(R\) です。そのためには「\(R\) にかかる電圧」と「\(R\) を流れる電流」が必要です。測定値 \(V_1, I_1\) などが、この2つとどういう関係にあるのかを、キルヒホッフの法則を使って式で表現することを目指します。

要注意!ありがちなミス・誤解とその対策

  • 測定値の誤解釈:
    • 誤解: 図1で \(V_1\) を未知抵抗のみにかかる電圧、図2で \(I_2\) を未知抵抗のみを流れる電流だと勘違いしてしまう。
    • 対策: 常に「電圧計は並列に接続された部分全体の電圧」「電流計は自身を通過する電流」を測っているという原則に立ち返ること。回路図を丁寧に読み解く練習が不可欠です。
  • 式の立て間違い:
    • 誤解: 図1で \(V_1 = R I_1\) としたり、図2で \(R = V_2 / I_2\) としたりする。これは、内部抵抗を無視した理想的な場合の式です。
    • 対策: 電流計・電圧計を、内部抵抗を持つ「ただの抵抗器」として回路図に書き込んでから考える癖をつけること。そうすれば、図1は「\(R\) と \(r_A\) の直列」、図2は「\(R\) と \(r_V\) の並列」という構造が明確になり、ミスが減ります。
  • 分数の計算ミス:
    • 誤解: (2)の解答 \(R = \displaystyle\frac{V_2}{I_2 – V_2/r_V}\) のような複雑な分数の変形でミスをする。
    • 対策: 焦らず、分母の通分から一段階ずつ丁寧に行うこと。文字式の分数計算に慣れていない場合は、具体的な数値を代入して練習するのも有効です。

なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法

  • 図1: \(V_1 = (R+r_A)I_1\) の論理:
    • 選定理由: この式は、電圧計が測定している対象(スコープ)を正しく捉えた結果です。
    • 適用根拠: 電圧計は、端子aと端子bの電位差を測定します。この2つの端子の間には、未知抵抗 \(R\) と電流計 \(r_A\) が直列に存在します。したがって、この2つの抵抗を一個の合成抵抗 (\(R+r_A\)) とみなすことができます。この合成抵抗に流れる電流が \(I_1\) なので、オームの法則をこの「かたまり」に適用すると、この式が導かれます。
  • 図2: \(I_2 = I_R + I_V\) の論理:
    • 選定理由: この式は、電流計が測定している対象を正しく捉えた結果です。
    • 適用根拠: 電流計を通過した電流 \(I_2\) は、その先の分岐点で二手に分かれます。一方は未知抵抗 \(R\) へ (\(I_R\))、もう一方は電圧計 \(r_V\) へ (\(I_V\)) と流れます。これはキルヒホッフの第1法則(電流則)そのものであり、電荷の流れが保存するという物理的な基本原則に基づいています。この分岐を認識することが、図2を解く上での核心です。

計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック

  • 文字式のまま整理する: この問題は文字式で答えるため、計算ミスは主に式の変形過程で起こります。特に(2)のような複雑な分数は、どの部分を計算しているか意識しながら、一行ずつ変形を進めましょう。
  • 極端な場合を考える(思考実験):
    • もし電流計の内部抵抗 \(r_A\) がゼロだったら? (1)の答えは \(R = V_1/I_1\) となり、理想的な測定と一致します。
    • もし電圧計の内部抵抗 \(r_V\) が無限大だったら? (2)の答えの \(V_2/r_V\) の項がゼロになり、\(R = V_2/I_2\) となって理想的な測定と一致します。

    このように、理想的な場合にどうなるかを考えることで、自分の立てた式が妥当かどうかを検証できます。

  • 両回路の比較: 図1では \(R_{\text{測定}} = V_1/I_1 = R+r_A > R\)、図2では \(R_{\text{測定}} = V_2/I_2 < R\) となります(\(R = V_2/I_R\) であり、\(I_2 > I_R\) なので)。このように、どちらの回路が抵抗値を大きく見積もり、どちらが小さく見積もるのかを理解しておくと、問題の構造的理解が深まります。

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共田 誠(まこと先生)

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共田 誠(まこと先生)

高校物理講師・プロ家庭教師 / 指導歴14年

上智大学理工学部物理学科卒。私立高校の非常勤講師として進学クラスから基礎クラスまで幅広く担当。大手家庭教師センター3社でプロ家庭教師を経験し、現在はオンライン専門で全国の高校生を個別指導中。

「暗記物理の撲滅」を掲げ、生徒の思考のクセを診断・矯正するドクター型アプローチで指導。表面的なテクニックではなく、初見の問題に強い思考力を育てる。

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