子供が「物理嫌い」と言い出したら親はどう対応する?高校物理を「分かる」に変える家庭の関わり方

こんなお悩み、ありませんか?
□ ある日とつぜん、子供が「物理、嫌い」と言い出した
□ 文系だった自分には物理がさっぱりで、何と声をかければいいか分からない
□ このまま「嫌い」を放っておくと、進路の選択肢が狭まらないか不安

物理専門のオンライン家庭教師として14年間指導を続ける中で、保護者の方から最も多くいただく相談の一つが、この「子供が物理を嫌いになってしまった」というお悩みです。

高2のお子様が「物理、嫌い」と口にしたとき、多くのお母様は内心で「どうしよう」と固まってしまいます。叱るべきか、励ますべきか、それとも放っておくべきか。ご自身が文系出身で物理に苦手意識がある場合は、なおさら「私には何もしてあげられない」と感じてしまいがちです。

💭 お母さんの心の声
「物理、嫌い」って言われても、
私も物理は中学止まり…。
何て言ってあげればいいんだろう。

ですが、まずお伝えしたいことがあります。「何かしてあげたい」というお母様の気持ちは、お子様にとって最強の応援団です。問題は、その気持ちをどう翻訳して届けるか、という方法論だけなのです。

そして、もう一つ大切なことがあります。「物理嫌い」のほとんどは、才能やセンスの問題ではなく、「分からない」が積み重なった結果の、自然な防衛反応です。「分からない」を「分かる」へ翻訳できれば、「嫌い」は驚くほどあっさり溶けていきます。

この記事を読み終えると、こうなります
☑ 「物理嫌い」と言われたときの、やってはもったいない対応と、効く対応が見分けられる
☑ 「嫌い」を「分かる」へ転換する、家庭でできる具体的な5つの行動が分かる
☑ 文系のお母様でも今日からできる、専門家との関わり方の判断軸が手に入る
まこと
お母様、まず深呼吸してください。
「嫌い」は終わりの合図ではなく、
「ここでつまずいています」という
お子様からのサインです。一緒に翻訳していきましょう。

それでは、まずお母様自身の「今の関わり方」を、5つの質問で確認することから始めましょう。


まずは「今の関わり方」を5問でチェック

叱るためのチェックではありません。「今、自分がどんな立ち位置にいるか」を知るための、現在地の確認です。過去1週間を思い出して、当てはまるものを数えてみてください。

■ 過去1週間で、いくつ当てはまりますか?
□ 1.「物理くらい勉強しなさい」と、具体的な中身のない言葉を1回以上かけた
□ 2.「頭が悪いわけじゃないんだから」「理系に向いてないのかも」と、能力や適性に触れた
□ 3.「私が高校生の頃は、こうやって覚えた」と、自分の経験ややり方を伝えた
□ 4. 点数や答案を見た瞬間に、ため息・無言・表情の変化が出た
□ 5. 本人が言う前に「塾を変えたら」「家庭教師でも」と先に提案した

当てはまった数で、今の関わり方の傾向が見えてきます。

◯ 0〜1個だった方
すでに「戦略的な伴走者」の立ち位置に立てています。この記事の後半で紹介する「家庭でできる5つの行動」を1つ足すだけで十分です。
△ 2〜3個だった方
多くのお母様の標準的な状態です。次の章で「やめると効くこと」と「やると効くこと」を整理すれば、関わり方は自然に整っていきます。
▲ 4個以上だった方
お子様を全力で支えようとするあまり、関わりが「管理」寄りになっているサインかもしれません。これは愛情の深さの裏返しです。次の章を最優先で読んでみてください。
💭 お母さんの心の声
4個も当てはまっちゃった…。
でも、つい言っちゃうんですよね。
まこと
「つい言っちゃう」のは、とても自然なことです。
大切なのは、その一言の目的が
「お子様の前進を助けるため」なのか、
それとも「親自身の不安をしずめるため」なのか、です。

判断の軸はたった一つ。「その言葉の主語は、お子様か、それとも私自身か」です。これを胸に置いておくだけで、次の章の内容がぐっと腑に落ちます。


「物理嫌い」と言われたとき、やめると効く3つの反応

ここで挙げるのは「お母様が間違っている」というお話ではありません。「これらは、よかれと思ってやっても、お子様の意図とは逆方向に作用しがちです」という、現場からの観察結果です。「物理嫌い」と言われた瞬間に出やすい反応を、3つ見ていきましょう。

✕ 反応1:「物理くらい勉強しなさい」をくり返す
中身のない「勉強しなさい」は、お子様にとって「何を・どこから・どうやって」が分からないまま、ただ責められている感覚だけが残ります。「言われたから、一応やる」モードに入り、かえって思考が止まってしまいがちです。
✕ 反応2:「理系に向いてないのかも」と能力や適性のせいにする
物理は、高校で習う科目の中でも、特に「考え方の型」を必要とする科目です。「向いていない」という言葉は、本人がいちばん恐れていることを言葉にしてしまい、「どうせ無理だ」という思い込みを強めてしまいがちです。
✕ 反応3:「私が高校生の頃は、こう覚えた」と自分のやり方を勧める
お母様の成功体験は貴重ですが、時代も教科書も指導法も変わっています。親世代のやり方を勧めても合わないことが多く、「やってみたのに、できなかった」という失敗体験を一つ増やしてしまうことがあります。

そして、お子様を全力で支えようとするお母様にこそ、思いきって手放していただきたい関わりが3つあります。これらを手放すと、不思議とお子様の表情が変わってきます。

🔄 思いきって手放したい3つの関わり
① 「なぜできないの?」と理由を問い詰めること(責める質問は、答えを生みません)
② 「正しい勉強法はこれ」という、自分の価値観への固執
③ テストの点数だけで、お子様のがんばりや価値をはかること
💭 お母さんの心の声
全部、心当たりがあります…。
これって全部、愛情のつもりだったんです。
まこと
愛情が問題なのではありません。
「届け方の向き」を少し変えるだけで、
お母様の愛情はそのまま、
お子様を前へ進める力に変わります。

「嫌い」を「分かる」に変える、家庭でできる5つの行動

「やめる」だけでは、お子様の物理は前に進みません。ここからは、家庭で具体的に何をすれば「嫌い」が「分かる」に変わっていくのか、5つの行動を順番にお伝えします。文系のお母様でも、物理が分からなくても、すべて実行できる内容です。

◯ 行動1:プライドを脇に置いて、「分かるところ」まで戻る
「物理嫌い」の正体は、ほとんどが「分からない」の積み重ねです。今の単元でつまずいているなら、思いきって前の単元、あるいは基礎レベルの参考書まで戻ること。高2なのに前に戻るのは恥ずかしい、と思う必要はまったくありません。分かるところまで戻るのは、後退ではなく、確実に登るための助走です。
◯ 行動2:「長時間うなる」より、まず解説を読んで解き方を覚えさせる
物理が嫌いな段階で、1問を30分も自力で考えさせるのは逆効果です。分からない問題は早めに解説を読み、「こう考えて、こう解く」という流れをまず覚えてしまう。最初は「覚える」でかまいません。型が手に入ると、似た問題が解けるようになり、「分かる」「できる」の小さな成功体験が嫌いを溶かしていきます。
◯ 行動3:「本人が悪い」ではなく「やり方・参考書が合っていないだけ」と考える
同じ内容でも、説明の仕方ひとつで「分かる/分からない」が大きく変わるのが物理です。今の参考書や教え方が、たまたまお子様に合っていないだけかもしれません。別の分かりやすい参考書や、別の指導者を一緒に探す——この「やり方を変えてみる」発想が、行き詰まりを抜ける近道になります。
◯ 行動4:「がんばれ」と言う前に、親も「どうすれば解けるか」を一緒に調べる
「考えなさい」と外から言うだけでなく、「どうすれば解けるようになるのか」をお母様も一緒に調べてみる。文系で物理が分からなくても大丈夫です。「物理 おすすめ 参考書」「物理 苦手 克服」と一緒に検索するだけで、お子様は「お母さんは私の味方なんだ」と感じます。同じ方向を一緒に向く姿勢そのものが、何よりの応援になります。
◯ 行動5:基礎が定着するまでは、点数で焦らず見守る
基礎を固めている間は、模試や定期テストの点数はすぐには伸びません。地面の下で根を張っている時期だからです。ここで「やっぱりダメかも」と焦って方針をコロコロ変えると、せっかくの土台づくりが崩れます。結果が出るまでのタイムラグを理解して待つことも、立派なサポートです。
💭 お母さんの心の声
「一緒に調べる」なら、私にもできそう。
物理が分からなくても、味方にはなれるんですね。
まこと
その通りです。物理を教える必要はありません。
「分かるところまで戻ること」を許してあげて、
「一緒に方法を探す人」でいてあげる。
それだけで、お子様は前を向けます。

「嫌い」が「分かる」に変わる、3つの考え方

ここまでの行動が、なぜ効くのか。少しだけ、考え方の背景をお伝えします。文系のお母様にもイメージしやすいよう、身近なたとえでお話しします。

たとえ1:野菜嫌いの子に、栄養を届ける工夫

野菜が嫌いな子に「体にいいんだから我慢して食べなさい」と無理に食べさせても、嫌いはむしろ強くなります。料理上手なお母様は、野菜を細かく刻んでハンバーグに混ぜたり、好きな味付けにしたりして、気づかないうちに栄養を届けます。

物理もまったく同じです。「嫌いでも我慢してやりなさい」では逆効果。お子様が「分かる」レベルまで内容を小さく刻んで与えること——これが行動1の「分かるところまで戻る」であり、行動2の「まず解き方を覚える」なのです。いきなり丸ごとではなく、飲み込める大きさに分けてあげる。それだけで「嫌い」のハードルはぐっと下がります。

たとえ2:歯医者嫌いの子の、通院のさせ方

歯医者が嫌いな子を、いきなり「今日は抜歯だからね」と連れて行ったら、二度と行きたがらなくなります。上手な親御さんは、まず「見てもらうだけ」「きれいにするだけ」という小さなステップから始め、「思ったほど怖くなかった」という体験を積ませます。

物理嫌いの克服も、この順番です。最初から難しい応用問題に挑ませるのではなく、「これなら解けた」という小さな成功を先に積ませる。たとえば、力学のいちばん基本の問題を1問だけ解いて「できたね」と一緒に喜ぶ。この小さな「怖くなかった」の積み重ねが、「物理=怖い・難しい」という思い込みを少しずつ溶かしていきます。

✕ よくある思い込み
「物理嫌い=理系に向いていない」
「我慢して続ければ、いつか好きになる」
→ 嫌いがどんどん強くなる
◯ 効く考え方
「物理嫌い=分からないが積もっただけ」
「分かる大きさに刻めば、必ず変わる」
→ 小さな成功が嫌いを溶かす

たとえ3:固定観念という「過去のしがらみ」を外す

「物理は難しい科目だ」という思い込みは、お子様だけでなく、ときにお母様自身も縛っています。「文系の私には分からない世界」という前提が、無意識に「だからこの子も大変だろう」という空気を作ってしまうことがあります。

ですが、物理が「分かる」かどうかは、もって生まれた才能ではなく、「考え方の型を身につけたか」だけで決まります。型は、誰でも後から身につけられるものです。「物理=難しい」という過去のしがらみを、お母様の方から先に手放してあげること。それが、お子様の「嫌い」を「やってみようかな」に変える、最初の一歩になります。


家庭の工夫で変わらないときは、専門家の力を借りる

ここまでの家庭での工夫を試しても、「嫌い」がなかなか「分かる」に変わらない。そんなときは、専門家の力を借りるタイミングかもしれません。これは「家庭の努力が足りないから」ではなく、「より速く、確実に軌道修正するため」の前向きな選択です。

「嫌い」の本当の原因を、その場で診断します

まこと先生
共田 誠(ともだ まこと) 物理専門オンライン家庭教師 / 指導歴14年
YouTube物理クイズチャンネル運営

物理嫌いには、必ず「どこでつまずいたか」という起点があります。私は体験授業の中で、お子様がどの単元・どの考え方でつまずいているのかを見つけ出し、「嫌い」を「これなら分かる」へ変える最初のきっかけを、その場でお渡しします。物理を「暗記でしのぐ科目」にせず、考え方の型から立て直す——これが私の「ドクター型」の指導です。

※ 当方が指導した、ある1人の生徒のケースです(仮名・すべての方に同じ結果を保証するものではありません)。
高2の真田くん(偏差値48)は、お母様から「物理を嫌がって手をつけない」とご相談を受けました。体験授業で確認すると、力学の最初の「力の見つけ方」でつまずいたまま、半年分が積み上がっていました。基礎の1単元まで戻り、まず解き方を覚える方針に切り替えたところ、3か月後には「物理、ちょっと分かってきたかも」と本人が言うように。半年後の模試では物理の偏差値が48から58へ上がりました。

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本記事は、指導歴14年・延べ2000人以上の高校生指導の現場で得られた知見を、保護者の方向けに体系化したものです。すべてのお子様に同じ結果が再現される保証はありません。ご家庭の環境・本人の状況・学校環境の違いが大きいため、本記事はあくまで「最初の補助線」としてお使いください。
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共田 誠(まこと先生)

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共田 誠(まこと先生)

高校物理講師・プロ家庭教師 / 指導歴14年

上智大学理工学部物理学科卒。私立高校の非常勤講師として進学クラスから基礎クラスまで幅広く担当。大手家庭教師センター3社でプロ家庭教師を経験し、現在はオンライン専門で全国の高校生を個別指導中。

暗記物理の撲滅」を掲げ、生徒の思考のクセを診断・矯正するドクター型アプローチで指導。表面的なテクニックではなく、初見の問題に強い思考力を育てる。

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