物理専門のオンライン家庭教師として14年間指導を続ける中で、受験が近づくこの時期にいちばん増えるのが、保護者の方からのこうしたご相談です。お子様本人ではなく、お母様・お父様のほうが眠れなくなっている——そんなケースは、けっして珍しくありません。
高3のお子様の物理が、本番3〜6ヶ月前になっても合格ラインに届かない。模試の判定を見るたびに胸が締めつけられ、「失敗しそう」という言葉が頭から離れない。ご自身が理系でも物理だけは苦手だった、あるいは文系だったという場合、「私には何も教えられない」という無力感が、不安をさらに大きくします。
私が物理を教えられたら、と思うけど、
何もできなくて、ただ焦るばかり。
まず、いちばんお伝えしたいことがあります。この直前期に、親が「何をするか」と同じくらい、「何をやめるか」が結果を左右します。残り時間が少ないからこそ、よかれと思った一言が、お子様の集中をかえって奪ってしまうことがあるのです。
そしてもう一つ。親の不安は、想像以上に子供へ伝わります。だからこそ、この時期の親の最大の仕事は「教えること」ではなく、自分の不安を整えて、お子様が落ち着いて走りきれる環境をつくることなのです。この記事では、そのための具体的な方法をお伝えします。
残り時間が少ないときほど、親が落ち着いていることが、
お子様にとって一番の追い風になります。
今からできることを、一緒に整理していきましょう。
それでは、まずお母様自身の「今の状態」を、5つの質問で確認することから始めましょう。これは、お子様ではなく、お母様自身のための現在地チェックです。
まずは親自身の「今の状態」を5問でチェック
直前期は、お子様より先に親のほうが追い込まれていることがよくあります。叱るためのチェックではありません。「今、自分がどんな心の状態にいるか」を知るための確認です。この1週間を思い出して、当てはまるものを数えてみてください。
当てはまった数で、今のお母様の心の状態が見えてきます。
不安を抱えながらも、よく踏みとどまれています。この記事の後半で紹介する「残り期間でやるべき優先順位3つ」を確認して、今の関わり方に自信を持ってください。
直前期の親として、ごく標準的な状態です。次の章で「やめると効くこと」を整理すれば、お子様への伝わり方が変わります。
お子様を思うあまり、不安がお母様自身を飲み込みかけているサインかもしれません。これは愛情の深さの裏返しです。まず親自身の不安を整えることが、結果的にお子様を助けます。最後の章まで読んでみてください。
子供のためと思ってたけど、
いちばん不安なのは私なのかもしれません。
親の不安は悪いものではありません。
大切なのは、その不安に振り回されるのではなく、
「お子様が走りやすい環境」へ変えていくことです。
判断の軸はたった一つ。「この言葉は、お子様の前進のためか、それとも私自身の不安をしずめるためか」です。これを胸に置いて、次の章へ進みましょう。
受験直前期、物理で「失敗しそう」なときに親がやめると効く言動
ここで挙げるのは「お母様が間違っている」というお話ではありません。「残り時間が少ない直前期には、よかれと思っても逆効果になりやすい」という、現場からの観察結果です。不安なときほど出やすい言動を、3つ見ていきましょう。
つい口から出てしまう言葉を、少し言いかえるだけで、お子様への伝わり方は大きく変わります。直前期によくある声かけの「変換表」を用意しました。
| ✕ つい言ってしまう言葉 | ◯ 言いかえると効く言葉 |
| 「もっと勉強しないと間に合わないよ」 | 「今日はどこまで進んだの?」(事実を一緒に確認) |
| 「諦めないで」「長い目で見て」 | 「今日はここまでできたね」(できた事実を返す) |
| 「また同じミスして」(責める) | 「どこで間違えたんだろうね」(一緒に分析) |
| 「失敗したらどうしよう」(不安を見せる) | 「あと○点で届くね」(具体的な数字にする) |
そして、お子様を全力で支えようとするお母様にこそ、思いきって手放していただきたい関わりが3つあります。これらを手放すと、不思議とお子様の表情が少しやわらいできます。
これって全部、応援のつもりだったんです。
「届け方の向き」を少し変えるだけで、
お母様の応援はそのまま、
お子様が最後まで走りきる力に変わります。
残り期間で、親が本当にやるべき優先順位3つ
「やめる」だけでは、不安は晴れません。ここからは、残りの期間で親が具体的に何をすればいいのか、優先順位の高い順に3つお伝えします。物理が分からなくても、すべて今日から実行できる内容です。
そしてもう一つ、不安を行動に変える考え方があります。それは、満点ではなく「合格最低点」を見据えることです。物理で満点を取る必要はありません。志望校が合格ラインに必要とする点数まで、あと何点なのか。漠然と「失敗しそう」と思うより、「物理であと○点取れれば届く」と具体的な数字に置きかえるだけで、不安は驚くほど小さくなります。これは、お母様自身の不安を晴らす考え方でもあります。
それなら、物理が分からない私にもできます。
体調を守り、家を明るく保ち、ミスを一緒に見る。
この3つだけで、お子様は最後の数ヶ月を
ぐっと走りやすくなります。
親自身の「失敗しそう」という不安と、どう向き合うか
ここまでの行動を支える、いちばん大切な土台。それは、お母様自身の不安との向き合い方です。文系のお母様にもイメージしやすいよう、3つの身近なたとえでお話しします。
たとえ1:伴走するマラソンコーチになる
マラソンの伴走コーチは、走者の横で「もっと速く走れ!」と叫んだりはしません。それをやれば、走者は焦って失速します。優れたコーチがするのは、絶妙なタイミングで給水を渡し、タオルで汗をぬぐい、「いいペースだよ」と声をかけること。つまり、走るのは本人、親は最高の伴走者に徹するということです。
受験直前期の親も同じです。問題を解くのはお子様自身。親の仕事は、給水(睡眠・食事・体調管理)を整え、ペースを乱さないこと。「速く走れ」と急かすほど、ゴールは遠ざかります。残り数ヶ月、お母様は最高の伴走者でいてあげてください。
たとえ2:嵐の中で揺れる船の、防波堤になる
受験本番が近づくと、お子様の心は、嵐の海に浮かぶ小舟のように揺れます。そこで親まで一緒にパニックになって揺れてしまうと、波はさらに大きくなります。親に求められるのは、その揺れを静かに吸収する防波堤になることです。
ここで一つ、大切なことをお伝えします。お母様の「失敗しそう」という不安は、ときに「ゆがんだ鏡」のように、現実より大きく映っていることがあります。眠れない夜の不安は、たいてい実際より深刻に感じられるものです。不安を感じること自体は悪いことではありません。ただ、その鏡が少し歪んでいるかもしれない、と知っておくだけで、波に飲まれずにすみます。親が防波堤でいられれば、お子様は安心して本番に向かえます。
「もっとやらせなきゃ」
→ 焦りが子供に伝染し、家が緊張する
「体調だけ整えよう」
→ 落ち着きが子供に伝わり、力を出せる
たとえ3:本番という舞台の、裏方に回る
受験本番は、お子様が主役として立つ大舞台です。直前になってからの「ダメ出し」は、もう必要ありません。本番が近づいたいま、親がすべきなのは、舞台監督や演出家ではなく、裏方に回ること。照明を整え、音響を合わせ、楽屋を居心地よくして、主役が最高の状態で舞台に立てるよう、見えないところで支える役です。
「あれもやらせなきゃ」「これも言っておかなきゃ」と表に出たくなる気持ちを、ぐっとこらえる。残りの期間、お母様は黙って完璧な裏方に徹してください。それが、直前期の親にできる、最も上質なサポートです。
それでも不安が消えないときは、専門家に「現在地」を見てもらう
ここまでの工夫を試しても、「物理が間に合わないかも」という不安がどうしても消えない。そんなときは、専門家に現在地を見てもらうタイミングかもしれません。これは「家庭の努力が足りないから」ではなく、「残り時間で最短のルートを見つけるため」の前向きな選択です。
残り期間で「あと何をすれば届くか」を、その場で診断します
YouTube物理クイズチャンネル運営
直前期の物理は、やみくもに全範囲をやり直す時間はありません。私は体験授業の中で、お子様が「どの単元で・あと何を固めれば合格最低点に届くか」を見極め、残りの期間で最も得点が伸びる一手を、その場でお渡しします。満点ではなく合格点を取りに行く——物理を「暗記でしのぐ科目」にせず、考え方の型から最短で立て直す、これが私の「ドクター型」の指導です。
高3の秋、本番まで約4ヶ月の時点で、宮原さん(仮名)のお母様から「物理だけが足を引っ張っていて、親子で眠れない」とご相談を受けました。体験授業で確認すると、力学と電磁気の基本の型は身についており、点を落としていたのは「設定の読み取り」の数パターンだけでした。そこに絞って演習を重ねた結果、3ヶ月後の本番では物理が得点源に変わり、第一志望に合格。お母様から「あの夜の不安は何だったのか、というくらい落ち着いて見送れました」とお言葉をいただきました。
※ 60分のオンライン体験授業・思考のクセ診断つき・無理な勧誘はありません
※ 保護者の方からのご予約・ご相談も歓迎しています
直前期は、苦手な単元だけをピンポイントで見直せる動画が役立ちます。
全範囲の物理動画が見放題の月額プランを、お子様の「お守り」として開けておくのも一つの手です。
「ドクター・メソッド」の詳細・家庭教師のご案内・3つの関わり方をまとめた保護者専用ページです。
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この問題の「なぜそう解くのか」も
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