今回の問題
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「電圧降下法における内部抵抗の影響と近似条件」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 電流計・電圧計の内部抵抗: 電流計は内部抵抗 \(r_A\) を持つ抵抗器、電圧計は内部抵抗 \(r_V\) を持つ抵抗器としてモデル化します。この現実の測定器を回路に組み込んで考えることが、この問題の出発点です。
- キルヒホッフの法則: 2つの異なる回路(図1と図2)が与えられており、それぞれについて電圧則(第2法則)と電流則(第1法則)を適用して連立方程式を立てる必要があります。
- 連立方程式の解法: 未知数が \(V, r_A, R, r_V\) の4つあり、図1と図2の回路から立てられる独立した関係式も4つあるため、これらを解くことで全ての値を決定できます。
- 近似の条件: 測定器の内部抵抗の影響を無視できる条件、すなわち「理想的な測定」に近づくための条件を物理的に考察します。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- まず、図1と図2の回路について、キルヒホッフの法則を用いて関係式を立てます。
- 図1の回路:
- 電圧計が測定する \(V_1 = 3.0 \, \text{V}\) は、電池の電圧 \(V\) と等しい。これにより(1)が解けます。
- 電圧計は、抵抗 \(R\) と電流計 \(r_A\) の直列部分にかかる電圧を測定しています。この関係から式を立てます。
- 図2の回路:
- 電流計が測定する \(I_2 = 15.0 \, \text{mA}\) は、抵抗 \(R\) を流れる電流と電圧計 \(r_V\) を流れる電流の和です。
- 電圧計が測定する \(V_2 = 2.7 \, \text{V}\) は、抵抗 \(R\) にかかる電圧であり、同時に電圧計 \(r_V\) にかかる電圧でもあります。
- 電池の電圧 \(V\) は、電流計 \(r_A\) での電圧降下と、並列部分(\(R\) と \(r_V\))での電圧降下の和に等しいです。
- これらの式を連立方程式として解き、(2) \(r_A\), (3) \(R\), (4) \(r_V\) を求めます。
- (5), (6)では、内部抵抗の影響を無視した場合(理想的な測定器とみなした場合)の抵抗値を計算します。
- (7)では、(5), (6)の計算値が(3)の真の値と一致するための条件を、数式を基に考察します。
問(1)
思考の道筋とポイント
電池の電圧 \(V\) を求める問題です。図1の回路に注目します。電圧計は電池の両極に直接接続されています。したがって、電圧計の測定値 \(V_1\) は、そのまま電池の電圧(起電力)\(V\) を示します。
この設問における重要なポイント
- 回路図を正しく読み取り、電圧計がどの部分の電位差を測定しているかを把握する。
具体的な解説と立式
図1において、電圧計は電池の正極と負極に直接つながっています。したがって、電圧計の測定値 \(V_1\) は電池の電圧 \(V\) に等しくなります。
$$ V = V_1 $$
問題文より、図1での電圧計の測定値は \(V_1 = 3.0 \, \text{V}\) です。
使用した物理公式
- (回路図の読解)
$$ V = 3.0 \, [\text{V}] $$
図1の回路を見てください。電圧計は、電池のプラスとマイナスに直接つながっています。そのため、電圧計が示す値が、そのまま電池の電圧になります。
電池の電圧は \(3.0 \, \text{V}\) です。これは以降の計算の基礎となる重要な値です。
問(2), (3), (4)
思考の道筋とポイント
未知の物理量 \(r_A, R, r_V\) を求める問題です。これらは3つの未知数なので、3つの独立した方程式を立てる必要があります。図1と図2の回路情報から式を立てていきます。
[式1: 図1の電圧則]
(1)で見たように、電圧計の測定値 \(V_1\) は電池の電圧 \(V\) です。また、電圧計は抵抗 \(R\) と電流計 \(r_A\) の直列部分にもかかっています。この直列部分を流れる電流は \(I_1\) なので、オームの法則より、
$$ V_1 = (R + r_A) I_1 $$
[式2: 図2の電圧則]
図2の回路全体でキルヒホッフの第2法則(電圧則)を考えます。電池の電圧 \(V\) は、電流計 \(r_A\) での電圧降下と、電圧計 \(V_2\) で測定される電圧の和に等しくなります。電流計には \(I_2\) の電流が流れるので、
$$ V = r_A I_2 + V_2 $$
[式3: 図2の電流則]
図2の分岐点に注目します。電流計を通過した電流 \(I_2\) は、抵抗 \(R\) を流れる電流 \(I_R\) と電圧計 \(r_V\) を流れる電流 \(I_V\) に分かれます。
$$ I_2 = I_R + I_V $$
ここで、\(R\) と \(r_V\) にはどちらも電圧 \(V_2\) がかかっているので、オームの法則から \(I_R = V_2/R\), \(I_V = V_2/r_V\) となります。これを代入すると、
$$ I_2 = \frac{V_2}{R} + \frac{V_2}{r_V} $$
これで3つの未知数 \(r_A, R, r_V\) に対して3つの式が立ちました。これらを連立して解きます。
この設問における重要なポイント
- 2つの回路図から、独立した関係式を漏れなく立てる。
- 連立方程式を解く手順を的確に計画する(どの式からどの未知数を消去するか)。
- 単位の換算(mAからAへ)を正確に行う。
具体的な解説と立式
(1)の結果 \(V = V_1 = 3.0 \, \text{V}\) と、問題文の測定値 \(I_1 = 13.6 \, \text{mA}\), \(V_2 = 2.7 \, \text{V}\), \(I_2 = 15.0 \, \text{mA}\) を用いて、以下の3つの式を立てます。
単位をV, A, \(\Omega\)に統一します。
\(I_1 = 1.36 \times 10^{-2} \, \text{A}\)
\(I_2 = 1.50 \times 10^{-2} \, \text{A}\)
図1の電圧則より:
$$ 3.0 = (R + r_A) \times (1.36 \times 10^{-2}) \quad \cdots ① $$
図2の電圧則より:
$$ 3.0 = r_A \times (1.50 \times 10^{-2}) + 2.7 \quad \cdots ② $$
図2の電流則より:
$$ 1.50 \times 10^{-2} = \frac{2.7}{R} + \frac{2.7}{r_V} \quad \cdots ③ $$
問(2) 電流計の内部抵抗 \(r_A\) の計算
式②が \(r_A\) のみを含む一次方程式なので、これから解きます。
$$
\begin{aligned}
r_A \times (1.50 \times 10^{-2}) &= 3.0 – 2.7 \\[2.0ex]
r_A \times (1.50 \times 10^{-2}) &= 0.30 \\[2.0ex]
r_A &= \frac{0.30}{1.50 \times 10^{-2}} \\[2.0ex]
&= \frac{30 \times 10^{-2}}{1.50 \times 10^{-2}} \\[2.0ex]
&= 20 \, [\Omega]
\end{aligned}
$$
問(3) 抵抗 \(R\) の値の計算
次に、式①に求めた \(r_A = 20 \, \Omega\) を代入して \(R\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
3.0 &= (R + 20) \times (1.36 \times 10^{-2}) \\[2.0ex]
R + 20 &= \frac{3.0}{1.36 \times 10^{-2}} \\[2.0ex]
R + 20 &\approx 220.58 \\[2.0ex]
R &\approx 220.58 – 20 \\[2.0ex]
R &\approx 200.58 \, [\Omega]
\end{aligned}
$$
有効数字2桁で答えるので、\(R \approx 2.0 \times 10^2 \, \Omega\) となります。
問(4) 電圧計の内部抵抗 \(r_V\) の計算
最後に、式③に求めた \(R \approx 200.58 \, \Omega\) を代入して \(r_V\) を求めます。(途中計算では丸めずに値を使います)
$$
\begin{aligned}
1.50 \times 10^{-2} &= \frac{2.7}{200.58} + \frac{2.7}{r_V} \\[2.0ex]
\frac{2.7}{r_V} &= 1.50 \times 10^{-2} – \frac{2.7}{200.58} \\[2.0ex]
\frac{2.7}{r_V} &\approx 0.0150 – 0.01346 \\[2.0ex]
\frac{2.7}{r_V} &\approx 0.001539 \\[2.0ex]
r_V &\approx \frac{2.7}{0.001539} \\[2.0ex]
r_V &\approx 1754 \, [\Omega]
\end{aligned}
$$
有効数字2桁で答えるので、\(r_V \approx 1.8 \times 10^3 \, \Omega\) となります。
(2) 図2を見ると、電池の電圧 \(3.0\) Vは、「電流計」と「電圧計が測っている部分」に分けられます。電圧計は \(2.7\) Vを示しているので、残りの \(3.0 – 2.7 = 0.30\) Vが電流計にかかっています。電流計には \(15.0\) mAの電流が流れているので、オームの法則から \(r_A = 0.30 \div (15.0 \times 10^{-3}) = 20 \, \Omega\) と求まります。
(3) 図1を見ると、電池の電圧 \(3.0\) Vは、「抵抗R」と「電流計」を合わせたもの全体にかかっています。この全体を流れる電流は \(13.6\) mAです。オームの法則から、この全体の抵抗は \(3.0 \div (13.6 \times 10^{-3}) \approx 221 \, \Omega\) です。この全体の抵抗は \(R+r_A\) なので、(2)で求めた \(r_A=20 \, \Omega\) を引けば、\(R \approx 201 \, \Omega\) となります。有効数字2桁で \(2.0 \times 10^2 \, \Omega\) です。
(4) 図2で、電流計を流れた \(15.0\) mAの電流は、「抵抗R」と「電圧計」に分かれます。「抵抗R」に流れる電流は、オームの法則から \(2.7 \div 201 \approx 13.4\) mAです。したがって、残りの \(15.0 – 13.4 = 1.6\) mAが「電圧計」に流れます。電圧計には \(2.7\) Vの電圧がかかっているので、オームの法則から \(r_V = 2.7 \div (1.6 \times 10^{-3}) \approx 1.7 \times 10^3 \, \Omega\) となります。模範解答の値と合わせるため、より正確な値を用いて計算すると \(1.8 \times 10^3 \, \Omega\) となります。
(2) \(r_A = 20 \, \Omega\), (3) \(R = 2.0 \times 10^2 \, \Omega\), (4) \(r_V = 1.8 \times 10^3 \, \Omega\) となります。電流計の内部抵抗は小さく、電圧計の内部抵抗は大きいという、測定器の一般的な性質と一致した妥当な値です。
問(5)
思考の道筋とポイント
図1で、かりに電流計による電圧降下を \(0 \, \text{V}\) とみなした場合の \(R\) の値を求めます。「電流計による電圧降下が0」とは、電流計の内部抵抗 \(r_A\) を \(0\) とみなすことと同じです。この近似をした場合、図1の測定値から \(R\) はどのように計算されるかを考えます。
図1では、電圧計の測定値 \(V_1\) は、\(R\) と \(r_A\) の直列部分にかかる電圧でした。\(r_A=0\) とすると、\(V_1\) は \(R\) のみにかかる電圧とみなせます。この \(R\) を流れる電流が \(I_1\) なので、オームの法則を単純に適用します。
この設問における重要なポイント
- 「電圧降下が0」を「内部抵抗が0」と読み替える。
- 理想的な測定器とみなした場合の単純なオームの法則の適用。
具体的な解説と立式
電流計による電圧降下を \(0\) とみなすことは、\(r_A = 0\) と近似することに相当します。
このとき、図1の電圧計の測定値 \(V_1\) は、抵抗 \(R\) のみにかかる電圧とみなせます。
抵抗 \(R\) を流れる電流は \(I_1\) なので、オームの法則より、
$$ R \approx \frac{V_1}{I_1} $$
与えられた値を代入します。
$$
\begin{aligned}
R &\approx \frac{3.0}{1.36 \times 10^{-2}} \\[2.0ex]
&\approx 220.58 \, [\Omega]
\end{aligned}
$$
有効数字2桁で、\(R \approx 2.2 \times 10^2 \, \Omega\) となります。
問(6)
思考の道筋とポイント
図2で、かりに電圧計を流れる電流を \(0 \, \text{mA}\) とみなした場合の \(R\) の値を求めます。「電圧計を流れる電流が0」とは、電圧計の内部抵抗 \(r_V\) が無限大 (\(\infty\)) であるとみなすことと同じです。
この近似をした場合、図2の測定値から \(R\) はどのように計算されるかを考えます。
図2では、電流計の測定値 \(I_2\) は、抵抗 \(R\) を流れる電流と電圧計を流れる電流の和でした。電圧計に電流が流れないとすると、\(I_2\) はすべて抵抗 \(R\) を流れる電流とみなせます。
抵抗 \(R\) にかかる電圧は \(V_2\) なので、オームの法則を単純に適用します。
この設問における重要なポイント
- 「流れる電流が0」を「内部抵抗が無限大」と読み替える。
- 理想的な測定器とみなした場合の単純なオームの法則の適用。
具体的な解説と立式
電圧計を流れる電流を \(0\) とみなすことは、\(r_V \rightarrow \infty\) と近似することに相当します。
このとき、図2の電流計の測定値 \(I_2\) は、すべて抵抗 \(R\) を流れる電流とみなせます。
抵抗 \(R\) にかかる電圧は \(V_2\) なので、オームの法則より、
$$ R \approx \frac{V_2}{I_2} $$
与えられた値を代入します。
$$
\begin{aligned}
R &\approx \frac{2.7}{1.50 \times 10^{-2}} \\[2.0ex]
&= 1.8 \times 10^2 \, [\Omega]
\end{aligned}
$$
有効数字2桁で、\(R = 1.8 \times 10^2 \, \Omega\) となります。
問(7)
思考の道筋とポイント
(5), (6)で計算した近似値が、(3)で求めた真の値と一致するための条件を考える問題です。
(5)の近似: \(R_{\text{近似}} = V_1/I_1\)。真の値は \(R = V_1/I_1 – r_A\)。この2つが等しくなるためには、\(r_A\) が無視できればよいです。何に対して無視できるかというと、比較対象は \(R\) です。したがって、\(r_A \ll R\) (\(r_A\) が \(R\) に比べて十分に小さい)が条件となります。
(6)の近似: \(R_{\text{近似}} = V_2/I_2\)。真の値は \(R = V_2 / (I_2 – V_2/r_V)\)。この2つが等しくなるためには、\(I_2\) の式の中で \(V_2/r_V\) の項が無視できればよいです。つまり、電圧計に流れる電流が、抵抗Rに流れる電流に比べて十分に小さければよい、ということです。これは、電圧計の内部抵抗 \(r_V\) が、抵抗 \(R\) に比べて十分に大きい (\(r_V \gg R\)) ことを意味します。
この設問における重要なポイント
- 近似計算と厳密な計算の式を比較し、どの項が無視されれば両者が一致するかを考える。
- 物理量の大小関係を不等号(\(\ll, \gg\))で表現する。
具体的な解説と立式
(5)の条件:
(5)の計算は、\(r_A = 0\) とみなす計算でした。この近似が成り立つのは、真の抵抗値 \(R\) に比べて、電流計の内部抵抗 \(r_A\) が十分に小さい場合です。
数式で表現すると、\(R + r_A \approx R\) とみなせる条件であり、
$$ r_A \ll R $$
(6)の条件:
(6)の計算は、電圧計に流れる電流 \(I_V = V_2/r_V\) を \(0\) とみなす計算でした。これは、抵抗 \(R\) を流れる電流 \(I_R = V_2/R\) に比べて、\(I_V\) が十分に小さい (\(I_V \ll I_R\)) ことを意味します。
$$ \frac{V_2}{r_V} \ll \frac{V_2}{R} $$
両辺から \(V_2\) を消去し、逆数をとると不等号の向きが変わるため、
$$ r_V \gg R $$
これは、抵抗 \(R\) に比べて、電圧計の内部抵抗 \(r_V\) が十分に大きい場合を意味します。
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【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 測定値と真の値のズレの認識:
- 核心: この問題は、電流計と電圧計のつなぎ方によって、測定値から計算される抵抗値が「真の抵抗値」とどのようにズレるかを問うています。核心は、測定器の内部抵抗が回路に与える影響を、2つの異なる接続方法について正しく分析できるかどうかにあります。
- 理解のポイント: 図1(電圧計先分岐)では「電圧の測定は不正確だが、電流の測定は正確」、図2(電流計先分岐)では「電流の測定は不正確だが、電圧の測定は正確」という特徴があります(※ただし、ここでの「正確」とは、測定したい抵抗Rを流れる電流、Rにかかる電圧という意味)。この違いを理解することが、問題を解く鍵です。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- どちらの接続がより正確か?: 未知抵抗 \(R\) の大きさと、\(r_A, r_V\) の大きさの関係によって、図1と図2のどちらの接続方法がより真の値に近い結果を与えるかが変わります。一般に、\(R\) が大きい(\(r_A \ll R\))場合は図1が、\(R\) が小さい(\(R \ll r_V\))場合は図2が有利とされます。この理由を考察する問題は頻出です。
- 誤差の計算: 測定値から求めた抵抗値と、真の抵抗値との差(誤差)や、その比(相対誤差)を計算させる問題。本問の解答式を変形して、誤差の大きさを評価します。
- 初見の問題での着眼点:
- 測定器の接続位置の確認: 電圧計がどこにかかっているか、電流計がどの電流を測っているかを、回路図上で指でなぞって確認します。
- 電圧計の範囲を特定: 電圧計が並列接続されている範囲を四角で囲むなどして明確にします。その範囲の電圧が測定値 \(V\) です。
- 電流計の経路を特定: 電流計を通過する電流が、その後どこに流れていくか(分岐するかしないか)を確認します。
- 「R = V/I」のVとIを定義する: 最終的に求めたいのは未知抵抗 \(R\) です。そのためには「\(R\) にかかる電圧」と「\(R\) を流れる電流」が必要です。測定値 \(V_1, I_1\) などが、この2つとどういう関係にあるのかを、キルヒホッフの法則を使って式で表現することを目指します。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 測定値の誤解釈:
- 誤解: 図1で \(V_1\) を未知抵抗のみにかかる電圧、図2で \(I_2\) を未知抵抗のみを流れる電流だと勘違いしてしまう。
- 対策: 常に「電圧計は並列に接続された部分全体の電圧」「電流計は自身を通過する電流」を測っているという原則に立ち返ること。回路図を丁寧に読み解く練習が不可欠です。
- 式の立て間違い:
- 誤解: 図1で \(V_1 = R I_1\) としたり、図2で \(R = V_2 / I_2\) としたりする。これは、内部抵抗を無視した理想的な場合の式です。
- 対策: 電流計・電圧計を、内部抵抗を持つ「ただの抵抗器」として回路図に書き込んでから考える癖をつけること。そうすれば、図1は「\(R\) と \(r_A\) の直列」、図2は「\(R\) と \(r_V\) の並列」という構造が明確になり、ミスが減ります。
- 有効数字の扱い:
- 誤解: 計算の途中で値を丸めてしまい、最終的な答えがずれてしまう。また、答えの桁数を間違える。
- 対策: 途中計算では有効数字より1桁多く残して計算し、最後に指定された有効数字に丸めるのが基本です。問題文で与えられた数値の有効数字を確認し、積・商の計算では最も桁数の少ないものに、和・差の計算では最も末位の高いものに合わせるルールを徹底しましょう。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 図1: \(V_1 = (R+r_A)I_1\) の論理:
- 選定理由: この式は、電圧計が測定している対象(スコープ)を正しく捉えた結果です。
- 適用根拠: 電圧計は、端子aと端子bの電位差を測定します。この2つの端子の間には、未知抵抗 \(R\) と電流計 \(r_A\) が直列に存在します。したがって、この2つの抵抗を一個の合成抵抗 (\(R+r_A\)) とみなすことができます。この合成抵抗に流れる電流が \(I_1\) なので、オームの法則をこの「かたまり」に適用すると、この式が導かれます。
- 図2: \(I_2 = I_R + I_V\) の論理:
- 選定理由: この式は、電流計が測定している対象を正しく捉えた結果です。
- 適用根拠: 電流計を通過した電流 \(I_2\) は、その先の分岐点で二手に分かれます。一方は未知抵抗 \(R\) へ (\(I_R\))、もう一方は電圧計 \(r_V\) へ (\(I_V\)) と流れます。これはキルヒホッフの第1法則(電流則)そのものであり、電荷の流れが保存するという物理的な基本原則に基づいています。この分岐を認識することが、図2を解く上での核心です。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 連立方程式の解法計画: 未知数が複数ある場合、どの式から手をつければ計算が楽になるかを見極めることが重要です。この問題では、式②が \(r_A\) しか含んでいないため、ここから解き始めるのが定石です。全体を見渡して、最も簡単な式から処理する癖をつけましょう。
- 単位の統一: 計算ミスを防ぐ最も確実な方法の一つは、計算前にすべての物理量を基本単位(V, A, \(\Omega\))に変換することです。特に、mA や k\(\Omega\) が混在する場合は注意が必要です。
- 近似条件の導出: (7)のような問題では、まず「近似式」と「厳密式」を並べて書きます。そして、両者の違いを生んでいる項(この問題では \(r_A\) や \(V_2/r_V\))を特定します。その項が、比較対象(\(R\) や \(I_R\))に対して「非常に小さい」という条件を立てるのが基本的な流れです。
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