Step 3
144 反射の法則
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(4)の別解: 幾何学的な証明の別アプローチ
- 模範解答が三角形の合同条件(直角三角形の斜辺と他の一辺)を用いるのに対し、別解では三角形の相似や角度の関係を用いた別のアプローチを提示し、幾何学的な理解を深めます。
- 設問(4)の別解: 幾何学的な証明の別アプローチ
- 上記の別解が有益である理由
- 幾何学的直感の強化: 物理現象を幾何学的に証明する際、複数の視点を持つことで、図形の性質(合同、相似、対称性)への理解が深まります。
- 応用力向上: 複雑な光学系の問題において、合同条件が見えにくい場合でも、角度の関係から解を導く力が養われます。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に導かれる結論(\(i=i’\))は模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「ホイヘンスの原理を用いた反射の法則の導出」です。波の反射現象を、波面上の各点から広がる素元波の包絡線として幾何学的に説明し、入射角と反射角が等しくなることを証明します。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- ホイヘンスの原理: 波面上のすべての点は、新しい球面波(素元波)の波源となり、それらの素元波の共通接線(包絡面)が次の瞬間の波面となります。
- 波の速さと距離の関係: 等速運動において、距離 \(x\) は速さ \(v\) と時間 \(t\) の積 \(x=vt\) で表されます。
- 幾何学的証明: 直角三角形の合同条件などを利用して、角度の等価性を証明します。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 文章の空欄を埋める形式ですが、内容は反射の法則の証明プロセスそのものです。
- ①では、ホイヘンスの原理の核心となる用語を答えます。
- ②では、波が進む距離を物理量を用いて表します。
- ③では、図形の幾何学的関係から反射角に対応する角度を特定します。
- ④では、2つの三角形の関係性を答えます。
問(1)
思考の道筋とポイント
ホイヘンスの原理の定義そのものを問う問題です。波面上の各点が新たな波源となって広がる波のことを何と呼ぶかを思い出します。
この設問における重要なポイント
- ホイヘンスの原理: 波面上の各点から出る球面波を「素元波」と呼ぶ。
具体的な解説と立式
ホイヘンスの原理によれば、ある瞬間の波面上のすべての点は、新しい波の源となり、そこから球面状の波が広がっていきます。この小さな波のことを「素元波」といいます。
次の瞬間の波面は、これらの素元波の共通接線(包絡線)として形成されます。
使用した物理公式
- ホイヘンスの原理
なし
波が進んでいく様子を説明するルール(ホイヘンスの原理)では、波の最前線(波面)のあらゆる場所から、小さな波が次々と生まれると考えます。この小さな波のことを「素元波」と呼びます。
文脈から、ホイヘンスの原理における基本的な用語である「素元波」が入ります。
問(2)
思考の道筋とポイント
波が進む距離を計算します。速さと時間が与えられているので、等速直線運動の公式を使います。
この設問における重要なポイント
- 波の速さ: \(v\)
- 経過時間: \(t\)
- 距離 = 速さ × 時間
具体的な解説と立式
波面ABの端点Bが反射面上の点B’に達するまでの時間を \(t\) としています。
この間に、点Aから出た素元波は、速さ \(v\) で時間 \(t\) だけ進みます。
したがって、素元波が広がる半径(進んだ距離) \(r\) は以下の式で表されます。
$$
\begin{aligned}
r &= vt
\end{aligned}
$$
点Aから出た素元波は、Aを中心とする半径 \(vt\) の円周上まで広がります。
使用した物理公式
- 距離の公式: \(x = vt\)
$$
\begin{aligned}
\text{半径} &= \text{速さ} \times \text{時間} \\[2.0ex]
&= vt
\end{aligned}
$$
波の速さが \(v\) で、時間が \(t\) 経過したなら、波が進んだ距離は \(v \times t\) です。
点Aから出た波は四方八方に広がるので、半径 \(vt\) の円になります。
物理的に妥当な距離の表現です。
問(3)
思考の道筋とポイント
反射角 \(i’\) が図中のどの角度に対応するかを幾何学的に特定します。反射波の波面と反射面との関係に着目します。
この設問における重要なポイント
- 反射波の波面: \(A’B’\)
- 反射面: \(AB’\)
- 反射角 \(i’\): 反射線(波の進行方向)と法線のなす角。
- 幾何学的性質: 波面と射線(進行方向)は垂直である。
具体的な解説と立式
反射角 \(i’\) は、反射波の進行方向(射線)と、反射面の法線とのなす角です。
図において、反射波の進行方向は \(B’A’\) に垂直な方向(図の上向き矢印)です。
幾何学的に、以下の関係が成り立ちます。
「射線と法線のなす角(反射角 \(i’\))」は、「波面 \(A’B’\) と反射面 \(AB’\) のなす角」と等しくなります。
図を見ると、波面 \(A’B’\) と反射面 \(AB’\) のなす角は \(\angle AB’A’\) です。
したがって、\(i’ = \angle AB’A’\) となります。
使用した物理公式
- 幾何学的な角度の関係
なし
「反射角」というのは、波が進む方向と、壁から垂直に生えた線(法線)との間の角度のことです。
でも、図形の問題として考えるときは、「波の面(波面)」と「壁(反射面)」との間の角度と同じになる、という性質を使うと便利です。
図を見ると、反射した波の面 \(A’B’\) と壁 \(AB’\) の間の角度は \(\angle AB’A’\) になっています。
図形の性質から、反射角 \(i’\) は \(\angle AB’A’\) に対応します。
問(4)
思考の道筋とポイント
入射角 \(i\) と反射角 \(i’\) が等しいことを証明するために、2つの直角三角形 \(\triangle AA’B’\) と \(\triangle BB’A\) に注目し、それらがどのような関係にあるかを答えます。
この設問における重要なポイント
- \(\triangle AA’B’\) と \(\triangle BB’A\) はともに直角三角形である(波面と射線は垂直なので、\(\angle AA’B’ = \angle BB’A = 90^\circ\))。
- 斜辺 \(AB’\) は共通である。
- \(AA’ = vt\)、\(BB’ = vt\) より、\(AA’ = BB’\) である。
具体的な解説と立式
2つの三角形 \(\triangle A’AB’\) と \(\triangle BB’A\) について考えます。
- 直角: ホイヘンスの原理より、波面と射線は垂直なので、\(\angle AA’B’ = 90^\circ\)、\(\angle BB’A = 90^\circ\)。よって両方とも直角三角形です。
- 斜辺共通: 斜辺 \(AB’\) は共通の辺なので、長さは等しいです。
- 他の一辺: \(AA’\) は点Aから出た素元波の半径なので \(vt\)。\(BB’\) は点Bが入射してくる距離なので \(vt\)。よって \(AA’ = BB’\) です。
直角三角形において、斜辺と他の一辺がそれぞれ等しいので、2つの三角形は「合同」です。
合同な図形の対応する角は等しいので、\(\angle BAB’ = \angle AB’A’\)、すなわち \(i = i’\) が成り立ちます。
使用した物理公式
- 直角三角形の合同条件
なし
2つの三角形 \(\triangle A’AB’\) と \(\triangle BB’A\) を比べっこします。
どちらも直角を持っていて、一番長い辺(斜辺)を共有しています。
さらに、波の速さは同じなので、進んだ距離 \(AA’\) と \(BB’\) も同じ長さです。
これだけの条件が揃えば、2つの三角形は形も大きさも全く同じ、つまり「合同」だと言えます。
合同なら、対応する角度も同じになるので、入射角と反射角は等しくなります。
幾何学的な証明として、合同条件を満たしていることは明白です。
思考の道筋とポイント
合同条件を明示的に使わず、正弦(サイン)の定義を用いて角度の等価性を示します。
この設問における重要なポイント
- \(\sin i = \frac{BB’}{AB’}\)
- \(\sin i’ = \frac{AA’}{AB’}\)
- \(AA’ = BB’ = vt\)
具体的な解説と立式
直角三角形 \(\triangle BB’A\) において、入射角 \(i\) (\(\angle BAB’\))の正弦は、
$$
\begin{aligned}
\sin i &= \frac{BB’}{AB’} \\[2.0ex]
&= \frac{vt}{AB’}
\end{aligned}
$$
一方、直角三角形 \(\triangle A’AB’\) において、反射角 \(i’\) (\(\angle AB’A’\))の正弦は、
$$
\begin{aligned}
\sin i’ &= \frac{AA’}{AB’} \\[2.0ex]
&= \frac{vt}{AB’}
\end{aligned}
$$
右辺が完全に一致するため、
$$
\begin{aligned}
\sin i &= \sin i’
\end{aligned}
$$
\(0^\circ < i, i’ < 90^\circ\) の範囲では、\(\sin\) の値が等しければ角度も等しいので、
$$
\begin{aligned}
i &= i’
\end{aligned}
$$
このアプローチでも、2つの三角形が実質的に同じ形(合同)であることを数式経由で示しています。
合同という言葉を使わずに、三角比の定義から直接 \(i=i’\) を導くことができました。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- ホイヘンスの原理による波の進行の理解
- 核心: 波の進行現象を幾何学的に説明する基本原理です。「ある瞬間の波面上のすべての点が、新しい球面波(素元波)の波源となり、それらの共通接線(包絡面)が次の瞬間の波面になる」というメカニズムを完全に理解することが重要です。
- 理解のポイント:
- 反射現象だけでなく、屈折や回折もこの原理一つで説明できます。
- 「素元波の半径 \(r = vt\)」が作図の鍵となります。媒質が変わって速さ \(v\) が変われば半径が変わり、それが屈折の原因となります。
- 幾何学的証明と物理法則の融合
- 核心: 物理現象(反射の法則 \(i=i’\))が、純粋な幾何学(三角形の合同)によって裏付けられていることを理解することです。
- 理解のポイント:
- 「波面と射線(進行方向)は垂直である」という性質が、直角三角形を作る根拠となります。
- 「入射角=反射角」は単なる暗記事項ではなく、波の速さが一定であることから必然的に導かれる幾何学的帰結です。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 屈折の法則の導出: 反射の法則と同様に、ホイヘンスの原理を使って屈折の法則(スネルの法則)を導出する問題は超頻出です。この場合、媒質IとIIで波の速さが違うため、\(AA’ \neq BB’\) となり、三角形は合同ではなくなりますが、共通の斜辺を利用して \(\frac{\sin i}{\sin r} = \frac{v_1}{v_2}\) を導きます。
- ドップラー効果の作図: 波源が動く場合の波面の作図も、ホイヘンスの原理の応用です。波源の位置が時間とともにずれていくため、素元波の中心が移動し、波面の間隔(波長)が変わります。
- 初見の問題での着眼点:
- 波面と射線の直交性: 作図問題では、必ず「進行方向(矢印)」と「波面(線)」が直角に交わることを確認します。
- 共通の辺を見つける: 幾何学的な証明や計算では、2つの三角形が共有している辺(この問題では \(AB’\))に注目し、その辺を基準に式を立てるとうまくいきます。
- 角度の対応: 「射線と法線のなす角」と「波面と境界面のなす角」が等しいという性質は、反射・屈折の問題を解く上で最強のツールです。図の中で角度を移す練習をしておきましょう。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 入射角・反射角の定義ミス:
- 誤解: 波の進行方向と「境界面」とのなす角を \(i\) や \(i’\) としてしまう。
- 対策: 物理における角度は、基本的に「法線(垂線)」とのなす角です。ただし、幾何学的な計算をする際は、今回のように「波面と境界面のなす角」に読み替えるテクニックが必須となります。定義とテクニックを混同しないように整理しましょう。
- 三角形の対応関係のミス:
- 誤解: 合同条件を考える際、対応する頂点や辺を間違えてしまう。
- 対策: 直角の位置、共通の辺、等しい長さの辺を一つずつ丁寧に確認し、図に記号を書き込みながら対応関係を把握します。特に、図が反転している場合などは注意が必要です。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- (2)での公式選択(\(x=vt\)):
- 選定理由: 波の速さが一定であるという前提があるため、距離は単純に速さと時間の積で表されます。
- 適用根拠: ホイヘンスの原理における素元波の広がりは、媒質中を等速で進む現象として扱えるためです。
- (4)でのアプローチ選択(三角形の合同):
- 選定理由: 角度の等価性(\(i=i’\))を証明するためには、それを含む図形全体の等価性(合同)を示すのが最も論理的で強力な方法だからです。
- 適用根拠: 直角、斜辺、他の一辺という合同条件の要素がすべて物理的条件(垂直性、共通部分、等速性)から揃っているため、迷わず適用できます。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 図を描いて考える:
- このような幾何光学的な問題は、頭の中だけで考えるのは不可能です。必ず大きめの図を描き、直角マークや等しい辺のマーク、角度の記号などを書き込む癖をつけましょう。
- アルファベットの順序:
- 三角形の合同や相似を書くときは、対応する頂点の順序を揃えて書く(例: \(\triangle AA’B’ \equiv \triangle BB’A\))と、辺や角の対応ミスを防げます。
145 波の屈折
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(2)(3)の別解: 絶対屈折率を用いた解法
- 模範解答が相対屈折率 \(n_{12}\) を中心に計算するのに対し、別解では各媒質の絶対屈折率 \(n_1, n_2\) を仮定し、屈折の法則の対称形 \(n_1 \sin i = n_2 \sin r\) や \(n_1 v_1 = n_2 v_2\) を用いて解きます。
- 設問(2)(3)の別解: 絶対屈折率を用いた解法
- 上記の別解が有益である理由
- 物理的本質の理解: 絶対屈折率を用いることで、媒質ごとの光学的な特性(光の進みにくさ)を独立して扱えるようになり、複数の媒質が重なる問題などへの応用力がつきます。
- 計算ミスの低減: \(n_1 \sin i = n_2 \sin r\) のような対称形の式は、分母分子を取り違えるミスが起こりにくく、安全に立式できます。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる数値は模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「水面波の屈折」です。水深の変化によって波の速さが変わることで生じる屈折現象を、幾何学的な関係と物理法則を用いて解析します。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 屈折の法則: 入射角 \(i\)、屈折角 \(r\)、各媒質での速さ \(v_1, v_2\)、波長 \(\lambda_1, \lambda_2\) の間に成り立つ関係式 \(\frac{\sin i}{\sin r} = \frac{v_1}{v_2} = \frac{\lambda_1}{\lambda_2} = n_{12}\)。
- 振動数不変の原理: 波が屈折しても、波源の振動数 \(f\)(および周期 \(T\))は変化しません。
- 水深と波の速さの関係: 問題文より、波の速さ \(v\) は水深 \(h\) の平方根に比例します(\(v \propto \sqrt{h}\))。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)では、振動数不変の原理に基づき、周期の変化を考察します。
- (2)では、図から入射角と屈折角を読み取り、屈折の法則を用いて波長の比を計算します。
- (3)では、屈折の法則と「速さが水深の平方根に比例する」という条件を組み合わせて、水深を求めます。
- (4)では、水深が連続的に変化する場合の屈折の様子を定性的に説明します。
問(1)
思考の道筋とポイント
波が異なる媒質(水深の異なる領域)へ進むとき、速さや波長は変化しますが、振動数(および周期)は変化しません。これは波の基本的な性質です。
この設問における重要なポイント
- 振動数 \(f\) は波源によって決まり、媒質が変わっても変化しない。
- 周期 \(T = \frac{1}{f}\) も同様に変化しない。
具体的な解説と立式
波が屈折して媒質が変わっても、振動数 \(f\) は変化しません。
周期 \(T\) と振動数 \(f\) の関係は \(T = \frac{1}{f}\) なので、振動数が変わらなければ周期も変わりません。
点Pでの周期が \(2.0\,\text{s}\) であれば、点Qでの周期も \(2.0\,\text{s}\) です。
使用した物理公式
- 周期と振動数の関係: \(T = \frac{1}{f}\)
- 振動数不変の原理
なし(原理的な判断のみ)
波の「リズム(振動数や周期)」は、最初に波を作った源(波源)が決めるもので、途中で水深が変わっても変わりません。
深さが変わると波の進むスピードや波の幅(波長)は変わりますが、リズムだけは一定です。だから、点Pで2秒に1回揺れるなら、点Qでも2秒に1回揺れます。
周期は変化せず \(2.0\,\text{s}\) です。
問(2)
思考の道筋とポイント
まず、図から入射角 \(i\) と屈折角 \(r\) を正しく読み取ります。次に、屈折の法則を用いて、波長の比(倍率)を計算します。
この設問における重要なポイント
- 入射角 \(i\): 入射波の波面と境界線のなす角(または法線と射線のなす角)。図より \(60^\circ\)。
- 屈折角 \(r\): 屈折波の波面と境界線のなす角。図より \(30^\circ\)。
- 屈折の法則: \(\frac{\lambda_2}{\lambda_1} = \frac{\sin r}{\sin i}\)。
具体的な解説と立式
図より、入射角 \(i = 60^\circ\)、屈折角 \(r = 30^\circ\) です。
(注:通常、入射角は法線と射線のなす角ですが、幾何学的に「波面と境界線のなす角」と等しくなります。)
屈折の法則より、波長の比は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
\frac{\lambda_2}{\lambda_1} &= \frac{\sin r}{\sin i}
\end{aligned}
$$
これに角度を代入して計算します。
使用した物理公式
- 屈折の法則: \(\frac{\sin i}{\sin r} = \frac{\lambda_1}{\lambda_2}\)
$$
\begin{aligned}
\frac{\lambda_2}{\lambda_1} &= \frac{\sin 30^\circ}{\sin 60^\circ} \\[2.0ex]
&= \frac{1/2}{\sqrt{3}/2} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{\sqrt{3}}
\end{aligned}
$$
\(\sqrt{3} \approx 1.73\) として計算します。
$$
\begin{aligned}
\frac{\lambda_2}{\lambda_1} &\approx \frac{1}{1.73} \\[2.0ex]
&= 0.578\dots
\end{aligned}
$$
有効数字2桁で答えます。
$$
\begin{aligned}
\text{倍率} &\approx 0.58
\end{aligned}
$$
波の進む向きが曲がる(屈折する)とき、角度のサインの比と波長の比は同じになります。
入射角60度、屈折角30度なので、波長は \(\frac{\sin 30^\circ}{\sin 60^\circ}\) 倍になります。
計算すると約0.58倍です。つまり、浅瀬に入ると波長は短くなります。
屈折角が入射角より小さい(\(30^\circ < 60^\circ\))ので、波長も短くなるはずです。計算結果 \(0.58 < 1\) はこれと整合しています。
思考の道筋とポイント
媒質1(深い方)の絶対屈折率を \(n_1\)、媒質2(浅い方)の絶対屈折率を \(n_2\) とおき、屈折の法則の対称形 \(n_1 \sin i = n_2 \sin r\) を用います。また、絶対屈折率と波長の関係 \(n_1 \lambda_1 = n_2 \lambda_2\) を利用します。
この設問における重要なポイント
- 絶対屈折率を用いた屈折の法則: \(n_1 \sin i = n_2 \sin r\)。
- 絶対屈折率と波長の関係: \(n_1 \lambda_1 = n_2 \lambda_2\)。
具体的な解説と立式
屈折の法則より、
$$
\begin{aligned}
n_1 \sin 60^\circ &= n_2 \sin 30^\circ
\end{aligned}
$$
また、波長については、
$$
\begin{aligned}
n_1 \lambda_1 &= n_2 \lambda_2
\end{aligned}
$$
これら2式から \(n_1, n_2\) を消去して波長の比を求めます。
上の式より、
$$
\begin{aligned}
\frac{n_1}{n_2} &= \frac{\sin 30^\circ}{\sin 60^\circ}
\end{aligned}
$$
下の式より、
$$
\begin{aligned}
\frac{\lambda_2}{\lambda_1} &= \frac{n_1}{n_2}
\end{aligned}
$$
よって、
$$
\begin{aligned}
\frac{\lambda_2}{\lambda_1} &= \frac{\sin 30^\circ}{\sin 60^\circ}
\end{aligned}
$$
これはメインの解法と同じ式になります。
使用した物理公式
- 屈折の法則(対称形): \(n_1 \sin i = n_2 \sin r\)
- 絶対屈折率と波長の関係: \(n_1 \lambda_1 = n_2 \lambda_2\)
$$
\begin{aligned}
\frac{\lambda_2}{\lambda_1} &= \frac{1}{\sqrt{3}} \\[2.0ex]
&\approx 0.58
\end{aligned}
$$
「屈折率×角度のサイン」と「屈折率×波長」は、どちらも媒質が変わっても一定の値になります。
この2つの関係式を組み合わせると、波長の比が角度のサインの比と同じになることがわかります。
同じ結果が得られました。
問(3)
思考の道筋とポイント
波の速さと水深の関係式 \(v = k\sqrt{h}\) を利用します。屈折の法則から速さの比を求め、それを水深の比に変換して計算します。
この設問における重要なポイント
- 水深 \(h_1 = 9.0\,\text{m}\)。
- 求める水深を \(h_2\) とする。
- 波の速さ \(v \propto \sqrt{h}\) より、\(\frac{v_1}{v_2} = \frac{\sqrt{h_1}}{\sqrt{h_2}} = \sqrt{\frac{h_1}{h_2}}\)。
- 屈折の法則: \(\frac{v_1}{v_2} = \frac{\sin i}{\sin r}\)。
具体的な解説と立式
屈折の法則より、速さの比は角度のサインの比に等しいです。
$$
\begin{aligned}
\frac{v_1}{v_2} &= \frac{\sin 60^\circ}{\sin 30^\circ} \\[2.0ex]
&= \sqrt{3}
\end{aligned}
$$
一方、速さは水深の平方根に比例するので、
$$
\begin{aligned}
\frac{v_1}{v_2} &= \sqrt{\frac{h_1}{h_2}}
\end{aligned}
$$
これらを等号で結びます。
$$
\begin{aligned}
\sqrt{\frac{h_1}{h_2}} &= \sqrt{3}
\end{aligned}
$$
両辺を2乗して \(h_2\) を求めます。
使用した物理公式
- 屈折の法則: \(\frac{v_1}{v_2} = \frac{\sin i}{\sin r}\)
- 速さと水深の関係: \(v \propto \sqrt{h}\)
$$
\begin{aligned}
\frac{h_1}{h_2} &= 3 \\[2.0ex]
h_2 &= \frac{h_1}{3}
\end{aligned}
$$
\(h_1 = 9.0\,\text{m}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
h_2 &= \frac{9.0}{3} \\[2.0ex]
&= 3.0\,\text{m}
\end{aligned}
$$
波の速さは、水深が深いほど速く、浅いほど遅くなります。具体的には、速さの比は水深のルートの比になります。
(2)の計算から、速さの比(\(v_1/v_2\))は \(\sqrt{3}\) 倍だとわかります。
つまり、水深のルートの比が \(\sqrt{3}\) 倍なので、水深そのものの比は \((\sqrt{3})^2 = 3\) 倍になります。
深い方が \(9.0\,\text{m}\) なので、浅い方はその \(1/3\) で \(3.0\,\text{m}\) です。
浅瀬の水深は \(3.0\,\text{m}\) です。浅い方が波が遅くなり、屈折角が小さくなるという現象と整合しています。
思考の道筋とポイント
絶対屈折率と速さの積が一定 \(n_1 v_1 = n_2 v_2\) であることを利用します。
この設問における重要なポイント
- 絶対屈折率と速さの関係: \(n_1 v_1 = n_2 v_2\)。
- 速さと水深の関係: \(v = k\sqrt{h}\)。
具体的な解説と立式
$$
\begin{aligned}
n_1 v_1 &= n_2 v_2
\end{aligned}
$$
速さ \(v\) を \(k\sqrt{h}\) に置き換えます。
$$
\begin{aligned}
n_1 k\sqrt{h_1} &= n_2 k\sqrt{h_2} \\[2.0ex]
n_1 \sqrt{h_1} &= n_2 \sqrt{h_2}
\end{aligned}
$$
これを変形して \(h_2\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
\sqrt{h_2} &= \frac{n_1}{n_2} \sqrt{h_1}
\end{aligned}
$$
ここで、\(\frac{n_1}{n_2} = \frac{\sin r}{\sin i} = \frac{1}{\sqrt{3}}\) です。
使用した物理公式
- 絶対屈折率と速さの関係: \(n_1 v_1 = n_2 v_2\)
$$
\begin{aligned}
\sqrt{h_2} &= \frac{1}{\sqrt{3}} \sqrt{9.0} \\[2.0ex]
&= \sqrt{\frac{9.0}{3}} \\[2.0ex]
&= \sqrt{3.0}
\end{aligned}
$$
両辺を2乗して、
$$
\begin{aligned}
h_2 &= 3.0\,\text{m}
\end{aligned}
$$
「屈折率×速さ」は一定です。速さは水深のルートに比例するので、「屈折率×水深のルート」も一定になります。
この関係式を使って、深い場所と浅い場所の値をイコールで結べば、水深を計算できます。
同じ結果が得られました。
問(4)
思考の道筋とポイント
遠浅の海岸では、岸に近づくにつれて水深が徐々に浅くなります。これに伴い波の速さが遅くなり、連続的に屈折が起こります。最終的に波面がどうなるかを考察します。
この設問における重要なポイント
- 水深が浅くなる \(\rightarrow\) 波の速さが遅くなる。
- 屈折の法則 \(\frac{\sin i}{\sin r} = \frac{v_1}{v_2}\) において、\(v_2 < v_1\) ならば \(r < i\)。
- 連続的に屈折を繰り返すと、波の進行方向(射線)は法線(海岸線に垂直な線)に近づいていく。
- 波面は射線に垂直なので、波面は海岸線に平行になっていく。
具体的な解説と立式
海岸に近づくにつれて水深 \(h\) が小さくなるため、波の速さ \(v\) も小さくなります。
屈折の法則 \(\frac{\sin i}{\sin r} = \frac{v_{\text{沖}}}{v_{\text{岸}}} > 1\) より、\(\sin i > \sin r\)、つまり入射角より屈折角の方が小さくなります。
これは、波の進む向き(射線)が、等深線(海岸線)の法線方向に近づくように曲げられることを意味します。
この屈折が連続的に起こると、最終的に波の進む向きは海岸線に対して垂直(入射角 \(0^\circ\))に近づきます。
波面は進む向きと垂直なので、波面は海岸線と平行になります。
使用した物理公式
- 屈折の法則(定性的な適用)
なし
沖から斜めに波がやってきたとします。波の「列」のうち、岸に近い側が先に浅瀬に入り、スピードが落ちます。一方、沖側はまだ深いので速いままです。
内輪差のように、遅い方(岸側)に波の列全体が旋回していきます。
岸に近づくほどどんどん遅くなるので、旋回し続け、最終的には波は岸に対して真っ直ぐ向かってくるようになります。だから、波打ち際では波は海岸線と平行に打ち寄せるのです。
現象の定性的な説明として妥当です。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 屈折の法則の完全理解
- 核心: 異なる媒質間での波の振る舞いを記述する最も重要な法則です。入射角、屈折角、速さ、波長、屈折率の間の比例・反比例関係を一挙に表します。
- 理解のポイント:
- \(\frac{\sin i}{\sin r} = \frac{v_1}{v_2} = \frac{\lambda_1}{\lambda_2} = n_{12}\) という一連の等式を暗記するだけでなく、それぞれの項が何を意味するかを理解しましょう。
- 特に「速さが遅くなると、角度(法線とのなす角)は小さくなり、波長は短くなる」という定性的なイメージを持つことが重要です。
- 振動数不変の原理
- 核心: 波が屈折しても、反射しても、媒質が変わっても、振動数 \(f\)(および周期 \(T\))だけは絶対に変化しません。
- 理解のポイント:
- 振動数は「波源」が決めるものであり、一度出た波の振動数は不変です。
- 速さ \(v\) や波長 \(\lambda\) が変わるのは、媒質の性質によるものです。\(v=f\lambda\) の式において、\(f\) が固定されているため、\(v\) と \(\lambda\) は比例して変化します。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 光の屈折: 水面波だけでなく、光が空気からガラスに入射する場合なども全く同じ法則が成り立ちます。ただし、光の場合は「屈折率が大きい=光速が遅い」という定義に注意が必要です(絶対屈折率 \(n = c/v\))。
- 音の屈折: 音波も気温差などによって屈折します。気温が高いほど音速が速くなるため、昼間は上空へ、夜間は地上へ曲がる現象などが説明できます。
- 全反射: 屈折角が \(90^\circ\) になるとき、波は境界面から外に出られなくなります。これは「遅い媒質から速い媒質へ」進むとき(\(v_1 < v_2\))にのみ起こります。
- 初見の問題での着眼点:
- 媒質の「硬さ(疎密)」を見極める: 波の速さが与えられていれば、どちらが「速い(疎)」でどちらが「遅い(密)」かを即座に判断します。
- 法線を引く: 境界面に対して垂直な線(法線)を必ず引きましょう。入射角や屈折角は、境界面ではなく「法線」とのなす角です。ここを間違えると全て計算が狂います。
- 比例関係の確認: 「速いほう=角度が大きい=波長が長い」「遅いほう=角度が小さい=波長が短い」という大小関係を常に意識して、計算結果がそれに合っているか確認します。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 入射角・屈折角の定義ミス:
- 誤解: 波の進行方向と「境界面」とのなす角を \(i\) や \(r\) としてしまう。
- 対策: 物理における角度は、基本的に「法線(垂線)」とのなす角です。ただし、幾何学的な計算をする際は、今回のように「波面と境界面のなす角」に読み替えるテクニックが必須となります。定義とテクニックを混同しないように整理しましょう。
- 相対屈折率の添字の混乱:
- 誤解: \(n_{12}\) が \(\frac{n_1}{n_2}\) なのか \(\frac{n_2}{n_1}\) なのか分からなくなる。
- 対策: \(n_{12}\) は「媒質1に対する媒質2の屈折率」であり、定義は \(\frac{v_1}{v_2}\) です。絶対屈折率との関係は逆比になり、\(\frac{n_2}{n_1}\) です。「1から2へ行くとき、速度は \(v_1/v_2\) 倍、屈折率は \(n_2/n_1\) 倍」と整理して覚えましょう。あるいは、常に \(n_1 \sin i = n_2 \sin r\) の形(屈折の法則の対称形)で使うとミスが減ります。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- (2)での公式選択(屈折の法則):
- 選定理由: 入射角と屈折角が与えられており、波長の比を求める問題なので、これらを直接結びつける屈折の法則が最適です。
- 適用根拠: 角度の情報だけで波長の変化率を決定できる唯一の法則です。
- (3)での公式選択(速さと水深の関係):
- 選定理由: 問題文に「速さは水深の平方根に比例する」という条件が明示されているため、これを使わない手はありません。
- 適用根拠: 屈折の法則から速さの比が求まれば、この条件式を通じて水深の比、ひいては水深そのものを計算できます。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 対称形の式の活用:
- \(n_1 \sin i = n_2 \sin r\) や \(n_1 v_1 = n_2 v_2\) のような対称形の式を使うと、分母分子の取り違えミスを劇的に減らせます。「自分の場所の値を掛ける」と覚えると簡単です。
- ルートの計算:
- 途中計算では \(\sqrt{3}\) などの無理数をそのまま残し、最後の最後で近似値を代入すると、計算誤差が少なくなります。
146 波の反射と干渉
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問の別解: 条件式(不等式)を用いた解法
- 模範解答が腹線の本数を数えてから節線の本数を推測しているのに対し、別解では節の条件式(経路差が半波長の奇数倍)を直接立て、線分OB上でその条件を満たす点の個数を数式的に求めます。
- 設問の別解: 条件式(不等式)を用いた解法
- 上記の別解が有益である理由
- 直接的なアプローチ: 「弱め合う点(節)」を問われているので、節の条件式から直接求める方が論理的にストレートであり、腹線を経由する手間や推測ミスを防げます。
- 汎用性の高さ: 線分の端点が腹や節でない中途半端な位置にある場合でも、不等式を使えば正確に個数を特定できます。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる個数は模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「波の反射と干渉」です。壁による反射波を、壁の向こう側にある仮想的な波源(鏡像)からの波とみなすことで、2つの波源による干渉問題として扱います。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 鏡像の原理: 平面波や球面波が平面壁で反射する場合、反射波は壁に関して対称な位置にある仮想波源から出た波とみなせます。
- 位相の変化: 固定端反射では位相が \(\pi\) ずれ(逆転し)、自由端反射では位相は変わりません。本問では「位相は変わらない」とあるので、自由端反射と同様に扱います。
- 干渉条件(同位相の波源):
- 強め合う(腹): 経路差 \(|l_1 – l_2| = m\lambda\) (\(m = 0, 1, 2, \dots\))
- 弱め合う(節): 経路差 \(|l_1 – l_2| = (m + \frac{1}{2})\lambda\) (\(m = 0, 1, 2, \dots\))
基本的なアプローチは以下の通りです。
- まず、壁に関して波源Oと対称な点O’(鏡像)を設定します。
- 反射波はO’から出た波とみなせるため、問題は「2つの同位相の波源O, O’からの波の干渉」に帰着されます。
- 線分OB上の任意の点Pにおける経路差 \(|O’P – OP|\) を考え、これが節の条件を満たす点がいくつあるかを数えます。
弱め合う点の個数
思考の道筋とポイント
壁での反射を扱うため、鏡像法を用います。波源Oの壁に関する対称点O’を考え、OとO’からの波の干渉として捉えます。壁での反射で位相が変わらないため、OとO’は「同位相」の波源となります。線分OB上の点における経路差を計算し、弱め合う条件(節の条件)を満たす点の数を探します。
この設問における重要なポイント
- 鏡像波源O’の設定: 壁からOまでの距離は \(3\lambda\) なので、OとO’の距離は \(6\lambda\)。
- 同位相の干渉: 壁での反射で位相変化なし \(\rightarrow\) OとO’は同位相。
- 弱め合う条件(節): 経路差 \(|O’P – OP| = (m + \frac{1}{2})\lambda\)。
- 探索範囲: 線分OB上(端点O, Bを含む)。
具体的な解説と立式
壁に関して点Oと対称な点O’をとります。反射波は点O’から出た波とみなすことができます。
壁での反射で位相は変わらないため、点Oと点O’は同位相の波源として振る舞います。
線分OB上の任意の点をPとします。点Pにおける干渉条件は、2つの波源からの距離の差(経路差) \(\Delta l\) で決まります。
$$
\begin{aligned}
\Delta l &= |O’P – OP|
\end{aligned}
$$
点Pが線分OB上をOからBまで移動するとき、経路差がどのように変化するかを調べます。
- 点Oにおける経路差:
\(P=O\) のとき、\(OP=0\)、\(O’P=O’O=6\lambda\) です。
$$
\begin{aligned}
\Delta l_O &= |6\lambda – 0| \\[2.0ex] &= 6\lambda
\end{aligned}
$$ - 点Bにおける経路差:
\(P=B\) のとき、\(OP=OB=8\lambda\) です。
\(O’P=O’B\) は、直角三角形 \(\triangle O’OB\) (\(\angle O’OB = 90^\circ\))の斜辺なので、三平方の定理より、
$$
\begin{aligned}
O’B &= \sqrt{O’O^2 + OB^2} \\[2.0ex] &= \sqrt{(6\lambda)^2 + (8\lambda)^2} \\[2.0ex] &= \sqrt{36\lambda^2 + 64\lambda^2} \\[2.0ex] &= \sqrt{100\lambda^2} \\[2.0ex] &= 10\lambda
\end{aligned}
$$
よって、点Bでの経路差は、
$$
\begin{aligned}
\Delta l_B &= |10\lambda – 8\lambda| \\[2.0ex] &= 2\lambda
\end{aligned}
$$
点PがOからBへ移動すると、経路差は \(6\lambda\) から \(2\lambda\) へと連続的に減少します。
この範囲内で、弱め合う条件(節の条件)を満たす経路差の値を探します。
同位相の場合、節になる条件は、経路差が半波長の奇数倍、つまり \((m + 0.5)\lambda\) となることです。
使用した物理公式
- 鏡像の原理
- 三平方の定理: \(c^2 = a^2 + b^2\)
- 節の条件式: \(\Delta l = (m + \frac{1}{2})\lambda\)
経路差 \(\Delta l\) の範囲は \(2\lambda \le \Delta l \le 6\lambda\) です。
この範囲にある節の条件 \((m + 0.5)\lambda\) を満たす値を列挙します。
- \(m=2\) のとき: \(2.5\lambda\)
- \(m=3\) のとき: \(3.5\lambda\)
- \(m=4\) のとき: \(4.5\lambda\)
- \(m=5\) のとき: \(5.5\lambda\)
\(1.5\lambda\) は \(2\lambda\) より小さいので範囲外、\(6.5\lambda\) は \(6\lambda\) より大きいので範囲外です。
したがって、条件を満たす経路差は \(2.5\lambda, 3.5\lambda, 4.5\lambda, 5.5\lambda\) の4つです。
経路差は単調に減少するので、それぞれの経路差に対応する点Pは線分OB上に1つずつ存在します。
壁の向こう側に、もう一つの波源(鏡像)があると考えます。
スタート地点のOでは、鏡像からの距離との差が \(6\lambda\)(波長6個分)です。これは整数倍なので強め合います。
ゴール地点のBでは、距離の差が \(2\lambda\)(波長2個分)です。これも整数倍なので強め合います。
OからBへ移動する間に、距離の差は \(6\lambda\) から \(2\lambda\) まで減っていきます。
弱め合うのは、距離の差が「整数+半分(x.5)」になるときです。
\(6\) から \(2\) までの間で、末尾が \(.5\) になる数字を探すと、\(5.5, 4.5, 3.5, 2.5\) の4つが見つかります。
だから、弱め合う点は4個あります。
経路差の範囲 \(2\lambda\) から \(6\lambda\) の間に含まれる半波長の奇数倍の値は4つあり、それぞれが線分上の点に対応するため、答えは4個です。
思考の道筋とポイント
線分OB上の点Pの位置を変数 \(x\) で表し、経路差を \(x\) の関数として記述します。その関数が節の条件を満たすような \(x\) の個数を数えます。
この設問における重要なポイント
- 点Oを原点 \(x=0\)、点Bを \(x=8\lambda\) とする座標軸を設定。
- 点Pの座標を \(x\) (\(0 \le x \le 8\lambda\)) とする。
- \(OP = x\)。
- \(O’P = \sqrt{(6\lambda)^2 + x^2}\)。
- 経路差 \(f(x) = \sqrt{36\lambda^2 + x^2} – x\)。
具体的な解説と立式
線分OB上の点PのOからの距離を \(x\) とします。
経路差 \(y\) は \(x\) の関数として次のように表されます。
$$
\begin{aligned}
y &= \sqrt{(6\lambda)^2 + x^2} – x
\end{aligned}
$$
この関数 \(y\) が、節の条件 \(y = (m + 0.5)\lambda\) を満たすような \(x\) (ただし \(0 \le x \le 8\lambda\))がいくつあるかを調べます。
まず、関数 \(y\) の増減を調べます。
\(x\) が増えると、\(\sqrt{36\lambda^2 + x^2}\) も増えますが、\(-x\) は減ります。直感的にはわかりにくいので、微分または端点の値で判断します(単調減少関数です)。
\(x=0\) のとき、\(y = 6\lambda\)。
\(x=8\lambda\) のとき、\(y = 10\lambda – 8\lambda = 2\lambda\)。
\(y\) は \(x\) に対して単調に減少するので、\(y\) の値域は \(2\lambda \le y \le 6\lambda\) です。
使用した物理公式
- 節の条件式: \(\Delta l = (m + \frac{1}{2})\lambda\)
値域 \(2\lambda \le y \le 6\lambda\) に含まれる、節の条件 \(y = (m + 0.5)\lambda\) を満たす値を列挙します。
$$
\begin{aligned}
y &= 2.5\lambda, 3.5\lambda, 4.5\lambda, 5.5\lambda
\end{aligned}
$$
これら4つの値はすべて値域内にあり、\(y\) が単調減少関数であるため、それぞれの \(y\) に対応する \(x\) がただ一つ存在します。
よって、解は4個です。
数式を使って、距離の差がどのように変化するかを詳しく調べます。
計算すると、距離の差はスタート地点で \(6\lambda\)、ゴール地点で \(2\lambda\) になり、その間はずっと減り続けることがわかります。
減り続ける途中で、「\(x.5\lambda\)」という値になる瞬間が何回あるかを数えればよいのです。
\(5.5, 4.5, 3.5, 2.5\) の4回タイミングが来るので、答えは4個になります。
メインの解法と同じく4個という結果が得られました。この方法は、端点での経路差が整数でない場合など、より複雑な状況でも確実に答えを出せます。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 鏡像の原理による反射波の扱い
- 核心: 壁での反射波を、壁の向こう側にある「鏡像(仮想波源)」から出た波とみなすことで、反射の問題を「2つの波源からの干渉」という単純な問題に変換するテクニックです。
- 理解のポイント:
- 鏡像の位置は、壁に関して実波源と対称な点になります。
- 自由端反射(位相変化なし)なら鏡像は同位相、固定端反射(位相変化 \(\pi\))なら鏡像は逆位相の波源として扱います。
- 経路差による干渉条件の判定
- 核心: 2つの波源からの距離の差(経路差)が、波長の何倍かによって、強め合うか弱め合うかが決まります。
- 理解のポイント:
- 同位相の場合: 整数倍なら腹(強め合う)、半整数倍(x.5倍)なら節(弱め合う)。
- 逆位相の場合: 条件が逆転します。
- この問題では、線分上の移動に伴って経路差が連続的に変化することに着目し、その変化範囲内で条件を満たす回数を数えるという視点が重要です。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 音波の干渉(クインケ管など): 経路差を変えて干渉を観測する実験装置の問題でも、経路差の変化範囲と波長の関係から、強め合う・弱め合う回数を数える考え方は共通です。
- 光の干渉(ヤングの実験、薄膜干渉): 光の場合も鏡像(虚像)からの光との干渉として扱える場合があります(ロイド鏡など)。
- 固定端反射の場合: もし壁が固定端なら、反射波の位相が反転するため、鏡像は「逆位相」の波源となります。その場合、経路差が整数倍の点が節、半整数倍の点が腹になります。
- 初見の問題での着眼点:
- 鏡像の設定: 反射面がある場合は、まず鏡像を描いてみましょう。
- 位相の変化: 反射の種類(自由端か固定端か)を確認し、鏡像の位相(同位相か逆位相か)を決定します。
- 端点のチェック: 観測する範囲の端(スタート地点とゴール地点)での経路差を必ず計算します。これにより、解の探索範囲が確定します。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 経路差の増減の誤認:
- 誤解: 観測点が遠ざかると経路差は常に増える(または減る)と思い込んでしまう。
- 対策: 端点での値を計算するだけでなく、経路差が単調に変化するかどうかを確認しましょう。この問題のように、一方の波源(鏡像)からの距離が増え、もう一方(実波源)からの距離も増える場合、その差がどうなるかは自明ではありません(この問題では単調減少でしたが、配置によっては極値を持つこともあります)。
- 端点の扱いのミス:
- 誤解: 端点がちょうど条件を満たす場合(例: 経路差が \(2.0\lambda\))、それを数に含めるかどうか迷う。
- 対策: 問題文の「線分OB上(両端を含む)」という記述を見逃さないようにしましょう。不等号に等号をつけるかどうかが答えを左右します。
- 腹と節の条件の取り違え:
- 誤解: 「整数倍が節だったっけ?」と混乱する。
- 対策: 「経路差0」を基準に考えます。同位相なら経路差0で強め合う(腹)ので、整数倍は腹です。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- (1)でのアプローチ選択(鏡像法):
- 選定理由: 反射波と入射波の干渉を直接考えるのは、反射波の進行方向が場所によって異なるため困難です。鏡像法を使えば、2つの点波源からの球面波の干渉という、扱い慣れたモデルに帰着できるため、この手法が最適です。
- 適用根拠: 壁が平面であり、波が円形波(球面波)として広がっているため、幾何光学的な鏡像の原理がそのまま適用できます。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 範囲の確認:
- 計算で求めた値(例: \(2.5, 3.5, \dots\))が、端点で求めた経路差の範囲(\(2\lambda \sim 6\lambda\))に収まっているかを必ずチェックします。
- 図形的直感の活用:
- 双曲線(腹線・節線)のイメージを持つと、腹線と腹線の間に必ず節線があることや、線分OBを横切る本数がイメージしやすくなり、計算結果の妥当性を検証できます。
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