問題127 一様な磁場内の荷電粒子の運動 (23 群馬大 改)
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(5)の別解: 微積分を用いた体系的解法(運動方程式の解法)
- 模範解答は、運動を「等速円運動」と「等速直線運動」に分解して幾何学的に解いていますが、別解では3次元の運動方程式を直接解くことで、位置座標 \((x, y, z)\) を時間の関数として導出します。
- 設問(5)の別解: 微積分を用いた体系的解法(運動方程式の解法)
- 上記の別解が有益である理由
- 現象の数学的裏付け: 「なぜらせん運動になるのか」を、運動方程式という基本原理から数学的に証明できます。
- 条件の厳密化: 「\(y\) 軸を横切る」という条件を、「\(x\) 座標と \(z\) 座標が共に \(0\) になる」という数式条件として厳密に処理できるため、応用力が身につきます。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「磁場中を運動する荷電粒子が受けるローレンツ力と、その軌跡(円運動・らせん運動)」です。
一様な磁場中での荷電粒子の運動は、速度ベクトルの向きによって「等速円運動」や「らせん運動」になります。これらを支配する力学的な仕組みを理解します。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- ローレンツ力: 磁束密度 \(\vec{B}\) の磁場中を速度 \(\vec{v}\) で運動する電気量 \(q\) の荷電粒子は、力 \(\vec{f} = q(\vec{v} \times \vec{B})\) を受けます。力の向きはフレミングの左手の法則に従います。
- 等速円運動: 磁場と垂直な成分の速度を持つ粒子は、ローレンツ力を向心力として等速円運動を行います。運動方程式は \(m\frac{v^2}{r} = qvB\) です。
- らせん運動: 磁場に対して斜めに打ち出された場合、運動は「磁場に垂直な面内での円運動」と「磁場に平行な方向への等速直線運動」の合成になります。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)(2)では、ローレンツ力の向きと大きさを特定し、軌跡の曲がる方向を判断します。
- (3)では、円運動の運動方程式を立てて半径と周期を導出します。
- (4)(5)では、速度を成分分解し、それぞれの方向の運動を独立して考える「運動の独立性」を利用して、らせん運動を解析します。
問(1)
思考の道筋とポイント
荷電粒子が磁場中を運動するときに受ける力(ローレンツ力)の公式を適用します。
向きについては、フレミングの左手の法則を用いて慎重に判断します。
この設問における重要なポイント
- ローレンツ力の公式: 大きさは \(f = |q|vB \sin\theta\) ですが、今回は \(v \perp B\) なので \(f = QvB\) です。
- フレミングの左手の法則: 中指(電流 \(v\))、人差し指(磁場 \(B\))、親指(力 \(f\))の関係を使います。
具体的な解説と立式
ローレンツ力の大きさ \(f\) は、電気量 \(Q\)、速さ \(v\)、磁束密度 \(B\) を用いて以下の式で表されます(速度と磁場は垂直です)。
$$
\begin{aligned}
f &= QvB
\end{aligned}
$$
向きについては、図1(右手系座標)を用いて考えます。
- 電流の向き(中指): 粒子は正電荷(\(Q>0\))で \(x\) 軸正の向きに動くので、電流の向きも \(x\) 軸正の向き(右向き)です。
- 磁場の向き(人差し指): 問題文より \(y\) 軸正の向き(上向き)です。
- 力の向き(親指): フレミングの左手の法則を適用すると、親指は紙面の裏から表への向き、すなわち \(z\) 軸の正の向き を指します。
使用した物理公式
- ローレンツ力: \(f = qvB\)
- フレミングの左手の法則
式はすでに立式されています。
$$
\begin{aligned}
f &= QvB
\end{aligned}
$$
向きは \(z\) 軸の正の向きです。
磁石の間を電気が流れると力が働くのと同じ原理です。
プラスの電気を持った粒子の動きは「電流」とみなせます。右向きの電流に対し、上向きの磁場がかかっているので、左手を使うと、力は「手前(画面から飛び出す方向)」に向かって働きます。
大きさは \(Q, v, B\) の積で次元も正しく、向きも座標系の定義と法則に矛盾しません。
問(2)
思考の道筋とポイント
(1)で求めた力の向きをもとに、粒子がどちらへ曲がっていくかを判断します。
図2の各選択肢は座標軸の向きが異なるため、それぞれの図において「\(z\) 軸の正の向き」がどちらを向いているかを確認する必要があります。
この設問における重要なポイント
- 力の向きと軌跡: 粒子は進行方向に対して垂直な力(向心力)を受けるため、力の向き側へ曲がっていきます。
- 座標軸の確認: 図2の③、④では、\(z\) 軸が上向き、\(x\) 軸が右向き、\(y\) 軸が奥向き(紙面表から裏)に設定されています。
具体的な解説と立式
(1)より、打ち出された直後の粒子が受ける力は \(z\) 軸の正の向き です。
したがって、粒子の軌跡は \(z\) 軸の正の領域(\(z > 0\))側へ曲がっていくはずです。
図2の選択肢を検討します。
- ①②: \(xy\) 平面内の運動を表しており、\(z\) 軸方向への変位がないため不適です。
- ③④: \(xz\) 平面内の運動を表しています。これらの図では、\(z\) 軸の正の向きは「上向き」に描かれています。
- ③の軌跡: \(z < 0\) 側(下側)へ曲がっています。
- ④の軌跡: \(z > 0\) 側(上側)へ曲がっています。
力は \(z\) 軸正方向(上向き)に働くため、粒子は上側へ曲がります。よって、適切な図は④です。
使用した物理公式
- なし(幾何学的判断)
計算はありません。力の向きと座標軸の定義から判断します。
さっき求めた通り、力は「\(z\) 軸のプラス方向」に働きます。
図2の③と④を見ると、縦軸が \(z\) 軸になっています。つまり、上に行くほど \(z\) がプラスです。
力の方へ引っ張られて曲がるので、上に曲がっている④が正解になります。
初速度ベクトルと磁場ベクトルの外積方向へ曲がるという物理的直感とも一致します。
問(3)
思考の道筋とポイント
ローレンツ力を向心力とする等速円運動の運動方程式を立てます。
半径 \(r\) が求まれば、円周の長さと速さの関係から周期 \(T\) も求まります。
この設問における重要なポイント
- 向心力: 円運動の中心に向かう力はローレンツ力 \(QvB\) です。
- 運動方程式: \(m a = F\) において、円運動の加速度は \(a = \frac{v^2}{r}\) です。
具体的な解説と立式
円運動の半径を \(r\) とします。
中心方向の運動方程式(質量 \(\times\) 加速度 \(=\) 力)を立式します。
$$
\begin{aligned}
m \frac{v^2}{r} &= QvB
\end{aligned}
$$
周期 \(T\) は、「円周の長さ」を「速さ」で割ったものです。
$$
\begin{aligned}
T &= \frac{2\pi r}{v}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 等速円運動の運動方程式: \(m \frac{v^2}{r} = F\)
- 周期の公式: \(T = \frac{2\pi r}{v}\)
運動方程式より \(r\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
m \frac{v^2}{r} &= QvB \\[2.0ex]
\frac{mv}{r} &= QB \\[2.0ex]
r &= \frac{mv}{QB}
\end{aligned}
$$
求めた \(r\) を周期の式に代入します。
$$
\begin{aligned}
T &= \frac{2\pi}{v} \cdot \frac{mv}{QB} \\[2.0ex]
&= \frac{2\pi m}{QB}
\end{aligned}
$$
「遠心力とローレンツ力がつり合っている」と考えても式は同じになりますが、正しくは「ローレンツ力がカーブの内側に引っ張る役割(向心力)をしている」と考えます。
この力のバランスからカーブの半径が決まり、半径とスピードから一周にかかる時間(周期)が決まります。
半径 \(r\) は質量 \(m\) や速さ \(v\) に比例し、磁場 \(B\) や電気量 \(Q\) に反比例します。重くて速いほど曲がりにくく(大回り)、磁場や電気が強いほど曲がりやすい(小回り)という直感と合致します。
周期 \(T\) は速さ \(v\) に依存しない(サイクロトロン運動の特徴)ことも確認できます。
問(4)
思考の道筋とポイント
初速度が磁場に対して斜めになった場合、速度を「磁場に垂直な成分」と「磁場に平行な成分」に分解して考えます。
それぞれの方向でどのような力が働き、どのような運動になるかを個別に検討します。
この設問における重要なポイント
- 運動の独立性: 垂直方向と平行方向の運動は互いに影響せず、独立して扱えます。
- 力の有無:
- 磁場に垂直な速度成分 \(v’_{\perp}\) \(\rightarrow\) ローレンツ力が働く \(\rightarrow\) 円運動。
- 磁場に平行な速度成分 \(v’_{\parallel}\) \(\rightarrow\) ローレンツ力は働かない(\(v \times B = 0\)) \(\rightarrow\) 等速直線運動。
具体的な解説と立式
図3より、初速度 \(v’\) を分解します。
- \(x\) 成分(磁場に垂直): \(v’_x = v’ \cos\theta\)
- \(y\) 成分(磁場に平行): \(v’_y = v’ \sin\theta\)
磁場は \(y\) 軸方向に存在します。
- 磁場に垂直な面内(\(xz\) 平面):
速度成分 \(v’_x\) によりローレンツ力を受け、等速円運動を行います。よって ア は ③ 等速円運動。 - 磁場に平行な方向(\(y\) 軸方向):
速度成分 \(v’_y\) は磁場と平行なため、ローレンツ力は働きません(\(F = Q v’_y B \sin 0^\circ = 0\))。重力も無視できるため、力は一切働かず、慣性の法則により等速直線運動(等速度運動)を続けます。よって イ は ① 等速度運動。 - 合成運動:
円運動しながら一定速度で軸方向に進む運動は、らせん階段のような形になります。よって ウ は ④ らせん運動。
使用した物理公式
- ベクトルの分解
- 慣性の法則
計算は不要で、物理的考察により選択します。
斜めに投げ出すと、粒子は「回る動き」と「進む動き」を同時に行います。
磁場の力は「回る動き」だけを作り出し、「進む動き」には干渉しません。
その結果、グルグル回りながら進んでいく「らせん運動(バネのような形)」になります。
選択肢の組み合わせとして物理的に妥当です。
問(5)
思考の道筋とポイント
「\(y\) 軸を横切る」という状況を幾何学的に解釈します。
粒子は \(xz\) 平面内で円運動しながら \(y\) 軸方向に進んでいます。
原点を出発して再び \(y\) 軸上に来るということは、\(xz\) 平面内での円運動がちょうど1周して、\(x=0, z=0\) の位置に戻ってきた瞬間を意味します。
この設問における重要なポイント
- 到達時間: 円運動が1周する時間、すなわち周期 \(T’\) だけ経過しています。
- 周期の普遍性: 周期 \(T’ = \frac{2\pi m}{QB}\) は、回転の速さ \(v’_{\perp}\) に依存しません((3)の結果と同じ形)。
- 移動距離: \(y\) 軸方向には等速運動をしているので、距離 \(=\) 速さ \(\times\) 時間 で求まります。
具体的な解説と立式
円運動の速さは、磁場に垂直な成分 \(v’_{\perp} = v’ \cos\theta\) です。
このときの円運動の半径 \(r’\) は、(3)の式で \(v\) を \(v’ \cos\theta\) に置き換えたものになります。
$$
\begin{aligned}
r’ &= \frac{m (v’ \cos\theta)}{QB}
\end{aligned}
$$
周期 \(T’\) は、円周 \(2\pi r’\) を速さ \(v’ \cos\theta\) で割ったものです。
$$
\begin{aligned}
T’ &= \frac{2\pi r’}{v’ \cos\theta} \\[2.0ex]
&= \frac{2\pi}{v’ \cos\theta} \cdot \frac{m (v’ \cos\theta)}{QB} \\[2.0ex]
&= \frac{2\pi m}{QB}
\end{aligned}
$$
(※周期は回転速度成分によらず一定です)
\(y\) 軸方向には、速さ \(v’_{\parallel} = v’ \sin\theta\) で等速運動します。
1周する間に進む距離 \(L\) は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
L &= v’_{\parallel} \times T’
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 等速直線運動の距離: \(x = vt\)
値を代入して計算します。
$$
\begin{aligned}
L &= (v’ \sin\theta) \cdot \frac{2\pi m}{QB} \\[2.0ex]
&= \frac{2\pi m v’ \sin\theta}{QB}
\end{aligned}
$$
粒子はバネのような軌跡を描いて進みます。
「次に \(y\) 軸と交わる」というのは、バネのリングが1周回って元の角度に戻ってくる場所のことです。
1周にかかる時間は、回転のスピードに関係なく一定(\(T = 2\pi m / QB\))です。
その時間の間に、横方向(\(y\) 方向)にどれだけ進んだかを計算すれば、求める距離になります。
単位を確認すると、\([\text{m/s}] \cdot [\text{s}] = [\text{m}]\) となり正しいです。
\(\theta \to 0\) (\(x\) 軸打ち出し)のとき \(\sin\theta \to 0\) で距離 \(0\)。これは円運動そのものになり \(y\) 軸に進まないことと一致します。
\(\theta \to 90^\circ\) (\(y\) 軸打ち出し)のとき、円運動の半径が \(0\) になり、単に \(y\) 軸上を直進するため「横切る」という概念がなくなりますが、式の上では1周期分の距離として計算されます。
思考の道筋とポイント
運動方程式を3次元の成分ごとに立て、それを時間 \(t\) について解くことで、粒子の位置 \((x(t), y(t), z(t))\) を完全に記述します。
これにより、「\(y\) 軸を横切る」という条件が「\(x(t)=0\) かつ \(z(t)=0\)」であることを数学的に明確にします。
この設問における重要なポイント
- 運動方程式の成分表示: ローレンツ力 \(\vec{f} = Q(\vec{v} \times \vec{B})\) を成分計算します。
- 初期条件: \(t=0\) で \(\vec{v} = (v’ \cos\theta, v’ \sin\theta, 0)\), \(\vec{r} = (0, 0, 0)\) です。
具体的な解説と立式
磁束密度は \(\vec{B} = (0, B, 0)\) です。速度を \(\vec{v} = (v_x, v_y, v_z)\) とします。
ローレンツ力 \(\vec{f}\) の各成分は外積計算より以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
f_x &= -Q v_z B \\
f_y &= 0 \\
f_z &= Q v_x B
\end{aligned}
$$
運動方程式 \(m\vec{a} = \vec{f}\) を成分ごとに立てます。
$$
\begin{aligned}
m \frac{dv_x}{dt} &= -Q B v_z \quad \cdots ① \\
m \frac{dv_y}{dt} &= 0 \quad \cdots ② \\
m \frac{dv_z}{dt} &= Q B v_x \quad \cdots ③
\end{aligned}
$$
1. \(y\) 軸方向の運動
式②より加速度は \(0\) なので、等速運動です。初期速度 \(v_y(0) = v’ \sin\theta\) より、
$$
\begin{aligned}
v_y(t) &= v’ \sin\theta \\
y(t) &= (v’ \sin\theta) t \quad \cdots ④
\end{aligned}
$$
2. \(xz\) 平面内の運動
\(\omega = \frac{QB}{m}\) と置きます。式①、③は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
\frac{dv_x}{dt} &= -\omega v_z \\
\frac{dv_z}{dt} &= \omega v_x
\end{aligned}
$$
これは単振動の形であり、初期条件 \(v_x(0) = v’ \cos\theta, v_z(0) = 0\) を満たす解は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
v_x(t) &= (v’ \cos\theta) \cos(\omega t) \\
v_z(t) &= (v’ \cos\theta) \sin(\omega t)
\end{aligned}
$$
これを積分して位置を求めます(初期位置原点)。
$$
\begin{aligned}
x(t) &= \frac{v’ \cos\theta}{\omega} \sin(\omega t) \\
z(t) &= \frac{v’ \cos\theta}{\omega} (1 – \cos(\omega t))
\end{aligned}
$$
3. 条件の適用
「\(y\) 軸を横切る」とは、\(x\) 座標と \(z\) 座標が共に \(0\) になることです(原点に戻る)。
\(x(t) = 0 \rightarrow \sin(\omega t) = 0 \rightarrow \omega t = n\pi\)
\(z(t) = 0 \rightarrow \cos(\omega t) = 1 \rightarrow \omega t = 2n\pi\)
両方を満たす最小の \(t > 0\) は、\(\omega t = 2\pi\) のときです。
$$
\begin{aligned}
t &= \frac{2\pi}{\omega} \\[2.0ex]
&= \frac{2\pi m}{QB}
\end{aligned}
$$
この時刻 \(t\) を式④に代入して距離を求めます。
使用した物理公式
- 運動方程式(微分形式)
- 単振動の微分方程式の解
$$
\begin{aligned}
y\left( \frac{2\pi m}{QB} \right) &= (v’ \sin\theta) \cdot \frac{2\pi m}{QB} \\[2.0ex]
&= \frac{2\pi m v’ \sin\theta}{QB}
\end{aligned}
$$
運動方程式を解くと、\(x\) 方向と \(z\) 方向はサイン・コサインで振動し(円運動)、\(y\) 方向は一定速度で進むことが数式から直接わかります。
「\(y\) 軸上に来る」=「\(x\) も \(z\) もゼロになる」という条件から時間を求め、その時間に進んだ距離を計算しました。
幾何学的な考察と同じ結果が得られました。この方法は、らせんの軸がずれている場合や、初速度の向きが複雑な場合にも適用できる強力な手法です。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- ローレンツ力とフレミングの左手の法則
- 核心: 磁場中を運動する荷電粒子は、速度と磁場の両方に垂直な力(ローレンツ力)を受け、その向きはフレミングの左手の法則で決まります。
- 理解のポイント:
- 力の大きさ: \(f = qvB \sin\theta\) ですが、\(v \perp B\) なら \(f = qvB\) となります。
- 力の向き: 正電荷なら電流の向きは速度と同じ、負電荷なら逆向きとして左手を適用します。
- 運動の独立性と成分分解
- 核心: 磁場に対して斜めに打ち出された粒子の運動は、「磁場に垂直な面内での等速円運動」と「磁場に平行な方向への等速直線運動」に分解して考えることができます。
- 理解のポイント:
- 垂直成分: ローレンツ力が向心力となり、円運動を引き起こします。
- 平行成分: ローレンツ力が働かないため、慣性により等速直線運動を続けます。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- サイクロトロン: 磁場中での円運動を利用して粒子を加速する装置。周期 \(T\) が速さ \(v\) に依存しない性質(等時性)が鍵となります。
- らせん運動のピッチ: 1周期の間に磁場方向に進む距離(ピッチ)を問う問題。本問の(5)がまさにこれに当たります。
- 初見の問題での着眼点:
- 速度と磁場の角度: \(v\) と \(B\) が垂直か、平行か、斜めかを確認します。
- 座標軸の定義: \(x, y, z\) 軸の向きと、磁場の向きを正確に把握し、フレミングの法則を適用する際のミスを防ぎます。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- フレミングの左手の法則の適用ミス
- 誤解: 中指(電流)の向きを、負電荷の場合でも速度の向きと同じにしてしまう。
- 対策: 「正電荷なら速度と同じ向き」「負電荷なら速度と逆向き」と、電荷の符号による電流の向きの定義を徹底します。
- 周期 \(T\) の計算ミス
- 誤解: 円運動の速さ \(v\) が変わると周期も変わると思い込む。
- 対策: 周期の公式 \(T = \frac{2\pi m}{qB}\) を導出し、\(v\) が含まれていないことを確認します。速くなると半径も大きくなるため、一周にかかる時間は変わりません。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 運動方程式 \(m\frac{v^2}{r} = qvB\)
- 選定理由: 円運動の半径や周期を求めるための基本式です。向心力がローレンツ力であることを数式で表現します。
- 適用根拠: 粒子が磁場から受ける力は常に速度と垂直であり、速さを変えずに向きだけを変える働きをするため、等速円運動の条件を満たします。
- 運動の分解(成分ごとの考察)
- 選定理由: 3次元的な複雑な運動(らせん運動)を、2つの単純な運動(円運動+直線運動)の組み合わせとして理解するためです。
- 適用根拠: 力のベクトルが成分ごとに独立して作用するため、運動の独立性が成り立ちます。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 文字式の次元確認
- 意識: 答えの式が物理的に正しい次元を持っているかを確認します。
- 実践: 例えば周期 \(T\) なら時間の単位 \([\text{s}]\) になっているか、距離 \(L\) なら長さの単位 \([\text{m}]\) になっているかをチェックします。
- 極限的なケースでの検算
- 意識: 角度 \(\theta\) が \(0^\circ\) や \(90^\circ\) のときに、答えが既知の単純な運動(直線運動や円運動)と一致するかを確認します。
- 実践: 本問(5)で \(\theta \to 0\) とすると \(L \to 0\) となり、円運動のみで \(y\) 軸方向に進まないことと整合します。
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問題128 半導体とホール効果 (19 浜松医大)
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(3)(4)の別解: 微積分を用いた体系的解法(運動方程式と電位の定義)
- 模範解答が「力のつりあい」や公式「\(I=envS\)」を既知として解くのに対し、別解ではキャリアの運動方程式から定常状態を導き、電場の積分によって電位差を定義から導出します。また、電流の定義式も微視的な電荷の移動量から導きます。
- 設問(3)(4)の別解: 微積分を用いた体系的解法(運動方程式と電位の定義)
- 上記の別解が有益である理由
- 公式を暗記するのではなく、ニュートンの運動法則と電磁気学の基本原理(ローレンツ力、電位の定義)から現象を再構成することで、物理現象の深い理解につながります。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「半導体の特性とホール効果」です。半導体素子(ダイオード)の整流作用と、磁場中の導体・半導体内でのキャリアの振る舞い(ホール効果)を扱います。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 半導体のキャリア: n型半導体のキャリアは電子(負電荷)、p型半導体のキャリアは正孔(ホール、正電荷)です。
- pn接合ダイオード: p型を正極側、n型を負極側に接続すると電流が流れます(順方向バイアス)。
- ローレンツ力: 磁場中を運動する荷電粒子は、速度と磁場に垂直な力を受けます。向きはフレミングの左手の法則(または外積)で決まります。
- ホール効果: ローレンツ力によってキャリアが側面に偏り、電場が生じて静電気力とローレンツ力がつりあう現象です。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)では、回路の電流の向きからバイアスの向きを特定し、半導体の種類を決定します。
- (2)では、金属中の自由電子の運動方向とローレンツ力の向きを考え、電荷の蓄積による電位の高低を判断します。
- (3)(4)では、キャリアにはたらく力のつりあいと、電流の微視的な定義式を用いて物理量を導出します。
- (5)では、キャリアの符号(正・負)が変わった場合に、ローレンツ力の向きと電位の高低がどう変化するかを考察します。
問(1)
ここから先が、他の受験生と差がつく重要パートです。
「解法に至る思考プロセス」を
全て言語化した、超詳細解説。
なぜその公式を使うのか?どうしてその着眼点を持てるのか?
市販の解説では省略されてしまう「行間の思考」を、泥臭く解説しています。
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