「すごい!」をやめる声かけ|受験期の子に効く”プロセスをほめる”親の関わり方

こんな声かけ、思い当たりませんか?

□ つい「すごい!」「お利口!」しか言えず、語彙が枯れている気がする
□ 周りの子と比べる言葉を口にしてしまい、夜になって後悔する
□ 叱るときに感情的になり、「私が悪いのかも」と自分を責めている

「ねえ、模試の結果どうだったの?」

夕方、リビングでスマホを見ていたお子さんに、何気なくそう聞いてしまった瞬間、お子さんの表情がスッと曇る——。受験期に入ってから、こんな場面が増えていないでしょうか。

つい口を突いて出る「すごい!」「お利口!」「他の子はもっと頑張ってるよ」。これらは、お子さんを思っての言葉のはずです。けれども最新の心理学研究は、これらの声かけが受験期の子のやる気を逆に削いでしまうことを明らかにしています。

ある調査では、受験中にお子さんへきつい言葉をぶつけて後悔した親は約36.8%に上ります。3人に1人以上です。あなたが感じているその罪悪感は、決して「自分だけのもの」ではありません。

本記事では、教育心理学と現場の指導経験をもとに、「3種類のほめ方の違い」「NG vs OK声かけの具体例」「感情的にならず叱る方法」「子の言葉を引き出す聞き方」を順を追って解説します。今夜から、1つだけでも変えてみませんか。

📋 この記事でわかること

✔ 3種類のほめ方(おざなり/人中心/プロセス)の決定的な違い
✔ 「すごい」をやめて結果を変える OK声かけ集
✔ 比較がなぜ「ステルス悪口」と呼ばれるのか
✔ 「わたしメッセージ」で感情的にならずに叱る方法
✔ 「うん」「別に」しか返ってこない子に効く聞き方

「すごい!」が逆効果になる理由

「すごい!」「お利口!」「天才!」——これらは、お子さんを心から讃える言葉のつもりで使っています。けれども受験期の子に対しては、この種の声かけが逆効果になることが、心理学の研究で繰り返し示されています。

能力をほめると挑戦を避けるようになる

スタンフォード大学の長年の研究で明らかになったのは、こういうことです。「頭がいいね」「才能あるね」と能力そのものをほめられた子は、その後、難しい課題を避けるようになります。なぜなら、もし失敗したら「頭がよくない」と思われてしまうからです。能力をほめる声かけは、子に「失敗してはいけない」というプレッシャーを植え付けます。

受験期は、まさに「難しい問題に挑む期間」です。挑戦を避けるようになると、伸びるはずの実力が伸びません。良かれと思った「すごい!」が、お子さんの可能性を狭めている可能性があるのです。

ほめ言葉には「3種類」ある

では、どうほめればよいのか。ほめ方には大きく3種類あり、効果がまったく違います。

🎯 3種類のほめ方

種類 具体例 効果
①おざなり 「すごい」「いいね」「えらい」 中身がなく、伝わらない
②人中心 「頭がいいね」「才能ある」「お利口」 挑戦を避けるようになる
③プロセス 「あの問題、最後まで諦めなかったね」「やり方を変えてみたんだね」 挑戦と工夫が増える

ポイントは、能力や性格ではなく、取り組んでいる過程の挑戦・やり方・工夫した点に言及することです。これがプロセスをほめるという考え方の核心です。

NG声かけ vs OK声かけ — 受験期の具体例

では、実際の受験期の場面で、どう言い換えればよいのか。よくある場面を5つ取り上げます。

📊 NG声かけ vs OK声かけ 5パターン

場面 ❌ NG(人中心・比較) ⭕ OK(プロセス)
模試で良い点 「すごい!頭いいね!」 「あの単元、苦手って言ってたよね。よく粘ったね」
模試で悪い点 「○○ちゃんはもっと取れたって」 「どこで詰まったのか、一緒に見てみる?」
机に向かったとき 「やっとやる気出した?」 「お、始めたんだ。お茶持ってこようか?」
勉強してないとき 「他の子は今頃やってるよ」 「夕飯、何時にする?」(話題を変える)
頑張った日 「お利口さんだね」 「今日3時間続いたね。集中切れなかったの、すごいと思う」

右列のOK例に共通しているのは、「能力」ではなく「行動」「過程」「工夫」を言葉にしていることです。お子さんは「自分の努力が見られている」と感じ、次の挑戦に向かいやすくなります。

「比較」は最強の毒

5パターンの中でも、特に避けたいのが「比較」です。「○○ちゃんは…」「お兄ちゃんは高3のとき…」——こうした比較の言葉は、ほめ言葉でも叱り言葉でもなく、「ステルス悪口」と呼ばれます。お子さんに伝わるメッセージは、ただ一つ。「あなたは○○より劣っている」です。

ご家庭でこの言葉を使うと、お子さんは「親は他の子のほうがよかったと思っている」と受け取ります。受験期の子の自尊心を最も深く傷つけるのが、この比較なのです。

感情的にならず叱る — わたしメッセージの技術

ほめ方を変えても、叱るべき場面はあります。スマホを長時間使う、約束を破る、寝る時間が遅すぎる——こうした場面で「いい加減にしなさい!」と感情的に怒鳴ってしまった経験は、誰にでもあるでしょう。

「あなたメッセージ」と「わたしメッセージ」の違い

怒りが伝わる声かけには、ある共通点があります。主語が「あなた」になっているのです。

主語の違いで伝わり方が変わる

あなたメッセージ: 「(あなたは)どうして勉強しないの?」「(あなたは)いつもダラダラして」
わたしメッセージ: 「(私は)あなたが心配で眠れない」「(私は)応援したいから、一緒に話したい」

「あなた」を主語にすると、相手を責める言葉になります。「わたし」を主語にすると、自分の感情と願いを伝える言葉になります。叱る場面で「わたしは○○と感じている」と言えるようになると、お子さんは身を守る姿勢ではなく、聞く姿勢になります。

叱る前に「6秒」待つ

怒りの感情のピークは6秒で過ぎると言われています。「いい加減にしなさい!」と口を開きそうになった瞬間、心の中で6秒数えてください。その6秒の間に、「これは『あなた』で言いたいのか、『わたし』で言いたいのか」と問い直すと、出る言葉が変わります。

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「うん」「別に」しか返ってこない子の聞き方

受験期に入って、お子さんとの会話が「うん」「別に」「ふつう」だけになった——多くの保護者が直面する悩みです。けれども、これはお子さんが心を閉ざしたわけではありません。「話しても受け入れてもらえない」と感じている可能性が高いのです。

聞き方を変えると、子は話し始める

聞き方には、5つの拡張技があります。

話を引き出す5つの技

感嘆: 「へえ〜」「そうなんだ」(評価せず受け止める)
反復: 「○○だったんだね」(相手の言葉をそのまま返す)
共感: 「それはきつかったね」(感情に名前をつけて返す)
称賛: 「よく話してくれたね」(話したこと自体をほめる)
質問: 「もう少し聞かせて」(深掘りする)

5つの中で最も即効性があるのは、「反復」です。「模試、ダメだった」と言われたら、評価せず「ダメだったんだね」と返すだけ。それだけで、お子さんは「ちゃんと聞いてくれている」と感じます。

否定のない「安全な空間」を作る

会話が続かない最大の原因は、「話したらどうせ否定される」とお子さんが学習していることです。「そんな考えじゃダメ」「もっと現実を見なさい」——こうした否定が一度でもあると、次に話す気持ちが消えます。

逆に、何を話しても「そう感じたんだね」と受け止めてもらえる環境では、お子さんは少しずつ口を開きます。否定のない空間こそ、受験期の子に最も必要な「燃料補給スポット」です。

今夜から1つだけ変えてみる

ここまで読んで、「全部変えなきゃ」と思った方もいるかもしれません。けれども、それは現実的ではありません。むしろ、明日から急に変わると、お子さんは「お母さん変だぞ」と警戒します。

おすすめは、今夜のうちに、ひとつだけ選ぶことです。

🎯 今夜から始める「1つだけ」変えるリスト

① 「すごい!」を「諦めなかったね」に置き換える
② 比較の言葉を1つでも口に出さない
③ 叱る前に6秒待ち、「わたし」で始める言葉を探す
④ お子さんが話したら、評価せず「○○だったんだね」と反復する
⑤ 模試の結果を聞かない(聞かれたら答える、を待つ)

5つ全部はいりません。1週間に1つでも十分です。声かけは、変えた瞬間にお子さんが察知します。「あれ?お母さん最近怒鳴らなくなった」——その瞬間、お子さんの心の中で何かが動き始めます。

声かけは、親が独学で完璧にする必要はない

ここまで「親が変わる」という話をしてきましたが、ひとつだけ補足させてください。声かけを完璧に独学で身につけようとするのは、相当に難しいことです。

お子さんと毎日同じ家にいる保護者は、距離が近すぎて、自分の声かけを客観視するのが極めて難しい立場にあります。「これはOK声かけになっているかな?」と自問しても、判断が揺らぎます。

そこで力になるのが、家族でも学校の先生でもない「斜めの関係」の第三者です。物理を教える家庭教師は、勉強の指導だけでなく、「お子さんがどんな声かけに反応するか」を毎週の指導の中で観察できる立場にあります。過干渉と適切な距離感の境界線についても、あわせてご覧いただくとイメージが深まるはずです。

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後悔したお母さんへ — 3行の結論

本記事では、受験期に逆効果になりやすい声かけと、その見直し方を解説してきました。最後に、本記事の結論を3行でお伝えします。

📝 本記事の3行結論

① 「すごい」「お利口」は実は逆効果。能力ではなくプロセス(過程・工夫)をほめる
② 比較の言葉は「ステルス悪口」。叱る場面では「わたし」を主語にし、6秒待ってから話す
③ 「うん」「別に」しか返らない子には、反復技で「○○だったんだね」と評価せず受け止める

受験中に36.8%の親が後悔の言葉を残しているという事実は、多くの保護者が同じ壁にぶつかっていることを示しています。それでも、今夜から1つだけ変えてみる決意は、必ず数か月後のお子さんの表情に表れます。

お子さんを愛している事実は、声かけの巧拙とは無関係です。今のお母さんの「後悔したくない」という気持ちこそが、何よりの証拠です。

声かけを変える努力は、一人で抱え込まなくていい。

物理専門家庭教師・まこと先生は、指導歴14年の経験から、お子さんに合う声かけを毎週の指導の中で具体的にお伝えします。今夜の声かけが変わる、最初の一歩を踏み出しませんか。

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執筆者:まこと先生

物理専門オンライン家庭教師(指導歴14年)。私立高校 物理科 非常勤講師。「暗記物理」を排し、思考のクセを診断・矯正するドクター・メソッドで指導。makoto-physics-school.com 運営。

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共田 誠(まこと先生)

高校物理講師・プロ家庭教師 / 指導歴14年

上智大学理工学部物理学科卒。私立高校の非常勤講師として進学クラスから基礎クラスまで幅広く担当。大手家庭教師センター3社でプロ家庭教師を経験し、現在はオンライン専門で全国の高校生を個別指導中。

暗記物理の撲滅」を掲げ、生徒の思考のクセを診断・矯正するドクター型アプローチで指導。表面的なテクニックではなく、初見の問題に強い思考力を育てる。

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