こんなご経験、ありませんか?
受験期のお子さんを持つ保護者の方から、このような相談を毎週のようにいただきます。物理専門の家庭教師として14年間、生徒たちと、そしてその親御さんたちと向き合ってきた中で、はっきり見えてきたことがあります。
それは、受験で苦しんでいる親御さんは、誰よりも「お子さんのために」一生懸命だということです。情報を集めるのも、声をかけるのも、スマホを注意するのも、すべて「受からせてあげたい」という愛情からきています。
ただ、その愛情が「逆効果」になってしまうケースが、現場では本当に多いのです。本記事では、受験生の親が今すぐやめるべき関わり方を5つに絞り、代わりにできる「最強の応援」への切り替え方をお伝えします。
この記事で得られる4つの確信
大前提:あなたは既に十分頑張っている
「やめるべきこと」と言われると、責められているように感じる方もいるかもしれません。でも、本記事の出発点は真逆です。
受験相談の現場では、親が手厚く関わったお子さんの合格率は83%以上というデータがあります。逆に言えば、現代の大学受験は親の関わりなしでは成立しないほど複雑になっているということです。受験校は平均12校、受験料だけで約30万円。出願もオンライン化し、入試制度も毎年のように変わります。これを高校生が一人で乗り切るのは、もはや無理ゲーです。
つまり、あなたが「気にしている」「悩んでいる」こと自体が、既にお子さんの合格率を押し上げています。本記事は、その努力を「もっと効く方向」に向け直すためのものだと思って読んでください。
やめるべきこと① 情報を集めすぎる
最初に挙げたいのが「情報の集めすぎ」です。意外に思われるかもしれませんが、現場で最も親子関係を悪化させているのが、これです。
なぜダメなのか
受験本・YouTube・SNS・口コミ。情報を集めるほど、「あの方法が正しい」「いやこっちだ」と矛盾する声が押し寄せてきます。すると親御さんの中で焦りと不安が膨らみ、最後はその感情がお子さんへの「八つ当たり」として出てしまうのです。
世の中の「合格法」のほとんどは、受かった受験生から逆算した一般論です。目の前のお子さんの性格、得意不得意、現在の学力、志望校までの距離は一切考慮されていません。一般論を我が子に当てはめれば当てはめるほど、「うちの子はなぜできないんだろう」という不安が強くなり、本来の応援から遠ざかります。
⚠️ 情報疲弊のサイン
夜中に受験情報を検索している/見るたびに胸がザワつく/我が子の現在地と一般論のギャップに苛立つ。これらは「情報を集めすぎている」サインです。
代わりにできる3つの応援
1つ目は、情報源を「3つまで」に絞ること。学校の先生・通っている塾・信頼できる専門家、この3者で十分です。雑誌や匿名のSNSアカウントは思い切って閉じてください。
2つ目は、「目の前の子」を観察する時間を作ること。情報収集の時間を、お子さんの様子を見る時間に置き換えるだけで、本当に必要な声かけが見えてきます。
3つ目は、「分からないこと」は専門家に丸投げすること。親が全部抱え込む必要はありません。受験戦略は専門家に任せて、親は心のサポートに集中する役割分担が、現代の合格者家庭の標準形です。
やめるべきこと② 兄弟・他人と比較する
なぜダメなのか
「お兄ちゃんは○○大に行ったのに」「○○ちゃんはもう塾に通ってるのに」。発破をかけるつもりの一言が、お子さんには「ステルス悪口」として届いています。
受験期の子は、すでに自分自身で同級生や兄弟と比較し、嫌になるほど自分のダメさに気づいています。そこに最も信頼している親から「比較」が入ると、「外の敵と内側の味方が同時に攻撃してきた」という構図になってしまうのです。これでやる気が出る子はいません。
❌ 否定の比較
「○○くんは模試A判定だって」
→ お子さんは「自分はダメな子」と受け取る
✅ 承認の比較
「去年はできなかった問題、解けてるじゃない」
→ お子さんは「成長している」と実感
代わりにできる3つの応援
1つ目は、比較対象を「他人」から「過去のその子自身」に切り替えること。先月の模試と今月の模試、去年の今頃と今、と過去の本人と比べると、必ず成長ポイントが見つかります。
2つ目は、「ヨソはヨソ、ウチはウチ」を口癖にすること。これは古くて新しい魔法の言葉です。「あなたはあなたのペースで進めばいい」というメッセージが、お子さんの一番の安心材料になります。
3つ目は、怒りを感じたら、まず紙に書くこと。「他の子と比べてしまいそうになる」感情を、お子さんにぶつける前に紙に書き出してください。書いているうちに冷静になり、本当に伝えたいことが見えてきます。
やめるべきこと③ スマホを頭ごなしに禁止する
なぜダメなのか
受験期、最も親御さんが悩むのが「スマホ問題」です。気持ちはとてもよく分かります。受験生がスマホを長時間使っていれば、合格時間が削られていくのは事実だからです。
ただ、ここで多くの親御さんがやってしまうのが「子どもだけ禁止・自分は自由」というダブルスタンダードです。これでは反発を招くだけで、ルールは絶対に定着しません。お子さん自身も、本当はスマホをやめたいのにやめられないことに後悔しています。「分かっているのにやめられない」苦しさを、頭ごなしの禁止令はさらに悪化させてしまいます。
代わりにできる3つの応援
1つ目は、家族全員で「スマホ断ち時間」を作ること。週に1回、夕食後の2時間だけでもいいので、家族全員でスマホの電源を切る時間を設けます。受験生だけでなく、親も同じルールに参加するのが鉄則です。
2つ目は、スマホ以上に魅力的な家族時間を提供すること。一緒に料理を作る、好きなお菓子を出して雑談する、近所を散歩する。「スマホより楽しい」体験があれば、お子さんは自然にスマホから離れます。
3つ目は、勉強場所からスマホを物理的に離すルールだけ親子で合意すること。「禁止」ではなく「勉強中は別の部屋に置く」という具体的な行動レベルのルールにすると、お子さんも納得しやすくなります。
✅ 視点を変えてみてください
やめるべきこと④ 自分の受験経験を押し付ける
なぜダメなのか
「お母さん(お父さん)の頃はこうだった」「これくらいの努力でなんとかなる」。親御さんご自身の受験経験は、確かに貴重な財産です。ただ、現代の大学受験は親世代とまったく別物になっていることは知っておいてください。
例えば、かつて広く使われた「MARCH」という大学群は、今では「GMARCH」(学習院大学が加わった6大学)が標準呼称です。物理学科の偏差値では東京理科大学が慶應義塾大学を超えるなど、専門ごとの序列も10年単位で変わっています。受験科目も2022年の学習指導要領改訂で「情報」が新設され、コードのエラーを見つける問題まで出題されるようになりました。
「自分の頃は」を基準にしたアドバイスは、現代の入試では的外れになる可能性が高いのです。さらに親自身が「あのとき頑張れたんだから、お前もやれる」と無意識に押し付けると、子どもは追い詰められます。受験相談の現場では、これを「OKR(押し付け・決めつけ・論破)のトリプルアタック」と呼んでいます。
⚠️ 押し付け・決めつけ・論破の3点セット
「自分はこれくらいできた」(押し付け)/「お前にもできるはず」(決めつけ)/「年上の言うことを聞きなさい」(論破)。この3点セットが揃うと、お子さんは黙るか反抗するかの二択になり、本音で話し合う関係は崩れます。
代わりにできる3つの応援
1つ目は、「自分の頃は」という枕詞を一度封印すること。意識して2週間封印するだけで、お子さんの反応が驚くほど変わります。
2つ目は、「現代の入試制度を一緒に学ぶ」姿勢を見せること。GMARCHの序列、共通テスト、総合型選抜の動向。親御さんも知らない情報を、一緒に調べる関係に切り替えます。「教える親」から「並走する親」への転換です。
3つ目は、子どもの不安に「解決」より「共感」を返すこと。お子さんは多くの場合、「答え」を求めているのではなく「気持ちを聞いてほしい」と思っています。「そうか、不安だよね」「大変な時代だよね」の一言が、押し付けの100倍効きます。
やめるべきこと⑤ 受験を「子どもの問題」と捉えて塾任せにする
なぜダメなのか
これは①の裏返しでもあるのですが、「受験はあの子の問題だから、塾と本人に任せる」というスタンスも、実は現代の受験では機能しません。
先ほども触れた通り、現代の大学受験は親の関わり方で7割が決まると言われています。理由は単純で、出願戦略の立案、複数校のスケジュール管理、受験料約30万円の資金計画、滑り止めの入学金管理、当日の体調管理。これらは高校生が一人で抱えきれる量ではないのです。
受験校が平均12校という時代です。学校の担任の先生も、35人の生徒を持っているため、一人当たりに使える労力は3%にもなりません。塾の先生も学習指導が中心で、出願戦略の細部までは見きれないのが現実です。
代わりにできる3つの応援
1つ目は、親の役割を「コンサル兼マネージャー」と定義し直すこと。学習指導は塾や家庭教師に任せ、親は「戦略の意思決定パートナー」「スケジュール・体調・メンタルのマネージャー」として関わります。これが現代の合格者家庭の標準的な役割分担です。
2つ目は、受験を「家族プロジェクト」として可視化すること。模試の日程・出願締切・入金期限・受験校リストを家族で共有するボードやカレンダーを作ります。「あなた一人の戦いじゃない」というメッセージそのものになります。
3つ目は、専門家チームを早めに組むこと。学校の先生・塾・場合によっては家庭教師。一人の専門家にすべてを期待するのではなく、役割の違う専門家を早めに揃えるのが、合格者家庭の共通点です。物理など特定科目で苦戦している場合は、その科目の専門家を入れるだけで、お子さんの自信が大きく回復することがあります。
「やめる」が「最強の応援」になる
ここまで5つの「やめるべきこと」を見てきました。最後に、これらを実践した親御さんが共通して感じる変化をお伝えします。
5つを実践した家庭で起きること
「やめる」というと損をする気がしますが、実は逆です。やめることで、本来注ぐべき場所にエネルギーが集中し、お子さんに届く応援の質が劇的に上がります。
最強のサポーターは、最強の理解者である——これが、14年間の指導で見てきた合格者家庭に共通する一つの真実です。
専門家との二人三脚という選択肢
とはいえ、「分かっていてもやめられない」「自分一人では切り替えられない」のが受験期の難しさです。情報を絞ろうとしても不安に負ける、比較をやめようとしても口をついて出る。これは意志の弱さではなく、「相談できる専門家が身近にいない」状態が原因であることがほとんどです。
私が物理専門のオンライン家庭教師として体験授業を行うとき、お子さんへの指導と同じくらい大切にしているのが、保護者の方の「相談相手」になることです。受験戦略・現状の学力分析・声かけのタイミング——お子さんを直接見ている第三者だからこそ、客観的にお伝えできることがあります。
体験授業の60分は、お子さんのつまずき箇所の診断と、保護者の方への状況フィードバックがセットになっています。「うちの子の今の位置を、専門家の目で教えてほしい」という方は、ぜひお気軽にお試しください。
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