物理専門の家庭教師として14年間指導を続ける中で、保護者の方から最も多くいただくのが、この種の相談です。
お子さんの物理の成績が上がらないとき、多くの親御さんは「やる気の問題」「理系のセンスがないのかも」と考えます。しかし、14年間の指導経験を通じて言えることは、物理への苦手意識の原因は、ほぼ例外なく「別のところ」にあるということです。
その前提として一つ、ぜひ知っておいていただきたい数字があります。2026年の大学入学共通テスト 物理の平均点は45.55点。これは試験開始から37年間で過去最低を記録した数字です(出典: 大学入試センター・予備校各社分析)。お子さんが「努力しているのに点数が上がらない」と感じているのは、お子さんの能力の問題ではなく、試験そのものがかつてない難しさになっているからでもあるのです。
物理が苦手になる「本当の理由」
まず大前提として、お子さんが物理を苦手にしているのは「頭が悪いから」でも「理系センスがないから」でもありません。
物理という科目は、他の科目にはない特殊な構造を持っています。この構造を理解すると、「なぜお子さんがつまずいているのか」がはっきり見えてきます。
物理は「5つの分野が積み上がる一本道」
物理には、力学・熱・波動・電磁気・原子という5つの分野があります。
重要なのは、これらの分野には順番があり、前の分野を理解していないと次に進めないという点です。力学が土台になって熱が成り立ち、熱の概念が波動につながり、波動の考え方が電磁気に応用される——というように、5つの分野がチェーンのようにつながっています。
力学 → 熱 → 波動 → 電磁気 → 原子
(各分野は前の概念を応用して成り立つ。力学の土台が崩れると、全体に影響する)
物理は「公式を覚える科目」から「現象を言葉で説明する科目」へと変化しました。お子さんが点数で苦戦しているのは、根性や暗記の不足ではなく、勉強の「型」を変える必要があるサインです。
つまり、「力学でつまずく → 熱でも波動でも電磁気でも苦労する」という連鎖が起きます。多くの場合、物理全体が苦手に見えても、根っこには力学での初期つまずきがあるのです。
一番の難関は「ファーストステップ」の力学
では、なぜ力学でつまずく子が多いのか。ここに物理の最大の特徴があります。
数学の問題では、「点Pの立場で考える」「自分がその物体になったつもりで考える」というアプローチが使えます。しかし物理は違います。
物理では「自分視点で考える」と間違えてしまいます。
例えば重力なら、人間の感覚では物体は「落ちる」——しかし物理では、地球の中心への力と宇宙へ向かう力の「バランス問題」として捉えなければなりません。この発想の転換ができるかどうかが、物理の最初の分かれ道です。
この「自分視点から物理の概念へ」という発想の切り替えは、教わって理解するというより、自分の中でイメージを掴む感覚に近いものがあります。だからこそ、適切なタイミングで適切なアドバイスがあるかどうかが、非常に重要になります。
「才能の問題ではない」と言える根拠
物理が苦手な子を見て、「うちの子は理系じゃないのかも」と感じる親御さんは少なくありません。しかし、それは少し違います。
14年間の指導を通じて見えてきたのは、学力の差は才能ではなく、「勉強の工夫」にあるということです。具体的には「分析・計画・実行」の繰り返しができているかどうか。これは誰でも身につけられるスキルです。
また、受験相談の専門家たちの調査によれば、大学受験の7割は親の関わり方で決まるとも言われています。子ども自身の「才能」の問題ではなく、どのような環境とサポートがあるかが鍵なのです。
具体的な数字も補強しています。教育研究の調査では、親の「期待する姿勢」は、親の「宿題の監督」よりも約10倍、子どもの成績向上に効果があると報告されています(カストロら2015年の分析調査)。声かけの仕方ひとつ、寄り添う姿勢ひとつで、結果は大きく変わるという裏付けです。
物理を諦めるという選択は、医学部・旧帝大理系・工学部のような難関理系の選択肢を入口で大きく狭めることを意味します。お子さんの将来の可能性を守るためにも、「苦手」のまま放置せず、つまずきを早めに修正する価値は十分にあります。
保護者がすぐにできる3つのサポート
① 「才能論」をやめる
まず最初にやめてほしいのは、「理系センスがないのかも」という言葉です。この言葉は本人の耳に入った瞬間、「どうせ無理だ」という思い込みを強化します。
物理の苦手は「才能」ではなく「どこで詰まっているか」の問題です。どこで詰まっているかが分かれば、対処できます。
② 「どこから苦手になったか」を一緒に確認する
物理の5分野は積み上げ式なので、「どの単元から点数が落ちたか」を確認することで、つまずきの起点が見えてきます。
テストや模試の答案を一緒に見返して、「力学の問題はどうだった?」「熱は?」という形で確認してみてください。責めるのではなく、「一緒に原因を探る」姿勢が大切です。
③ 第三者の力を積極的に使う
親だけで物理の指導を抱え込む必要はありません。
受験サポートの専門家も「親だけで抱え込まず、学校の先生や塾の講師など第三者を巻き込みながら、全包囲網のなかでサポートすることが大切」と述べています。
特に物理は、「思考の視点の切り替え」という感覚的なハードルがある科目です。学校の授業でなかなか掴めなかった感覚を、専門的な指導で掴み直すことで、一気に理解が進むケースは珍しくありません。
数字が示すのは、「正しいサポートを得た子は、平均以下からでも逆転できる」という事実です。お子さんの現在地は、未来を決めません。
物理専門の伴走サポートが「効く」理由
私がオンライン家庭教師として物理を専門に指導しているのは、まさに「物理の苦手は専門的なアプローチで変えられる」という確信があるからです。
一般的な「解き方を教える」指導と私の指導の違いは、思考の「ずれ」を診断・矯正するという点にあります。
「このパターンは公式を当てはめる」
→ 別の問題では応用できない
「どこで発想が自分視点になったか」
→ 思考のクセを根本から矯正する
(暗記中心の指導は26.06%)
(公式に飛びつかない)
物理は「公式の暗記」(宣言的記憶)ではなく「使い方を自動化する」(手続き的記憶)の科目です。だからこそ、答えを覚える指導ではなく、お子さんの思考の手順を可視化して矯正する指導でなければ、点数は伸びません。(出典: Sari et al. 2021 / Chi et al. 1981 / 岡山大学 太田 2014)
「物理の視点の置き方」がどこで歪んでいるかを診断し、そこを直す。これは物理の専門知識と、思考プロセスへの深い理解がないとできません。
体験授業60分の中で、お子さんがどこで「自分視点」に戻ってしまっているかを特定し、その場で修正する体験をしてもらいます。
まとめ:物理の苦手は変えられる
「物理が苦手」という状態は、正しいアプローチで必ず変わります。ただし、変えるためには「どこでつまずいているか」を正確に把握することが最初の一歩です。
その診断を、体験授業の60分で一緒に行います。
初回相談・無料
指導歴14年・物理専門。お子さんのつまずき箇所をその場で診断し、
根本から改善するアプローチをご体験いただけます。
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この問題の「なぜそう解くのか」も
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