「セミナー物理基礎+物理2025」徹底解説!【第 Ⅶ 章 24】発展例題~発展問題593

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発展例題

発展例題50 水素原子の発光

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 別解: リュードベリ定数を用いた解法
      • 模範解答がエネルギー準位の式 \(E_n\) からエネルギー差 \(\Delta E\) を求め、そこから波長 \(\lambda\) を計算しているのに対し、別解ではエネルギー準位の式の係数 \(2.18 \times 10^{-18}\,\text{J}\) が \(hcR\) に相当することを利用し、リュードベリの式 \(\displaystyle\frac{1}{\lambda} = R\left(\frac{1}{m^2} – \frac{1}{n^2}\right)\) の形に帰着させて計算します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 計算の効率化: \(h\) や \(c\) のような定数を何度も掛け算・割り算する手間が省け、計算ミスを減らせます。
    • 物理的背景の理解: エネルギー準位の式とスペクトルの波長の式(リュードベリの式)が本質的に同じものであることを再確認できます。
  3. 結果への影響
    • 数学的に等価な変形であるため、最終的な答えは一致します。

この問題のテーマは「水素原子のエネルギー準位と光の放出・吸収」です。ボーアの原子模型におけるエネルギー準位間の遷移と、それに伴う光子のエネルギー(波長)の関係を定量的に扱います。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. エネルギー準位の式: \(E_n = -\displaystyle\frac{A}{n^2}\) (ここで \(A = 2.18 \times 10^{-18}\,\text{J}\))
  2. ボーアの振動数条件: 準位間のエネルギー差 \(\Delta E\) と光子のエネルギー \(h\nu\) の関係 \(\Delta E = h\nu = \displaystyle\frac{hc}{\lambda}\)。
  3. イオン化エネルギー: 基底状態(\(n=1\))から無限遠(\(n=\infty\))へ電子を遷移させるのに必要なエネルギー。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)では、\(n=3\) と \(n=2\) のエネルギー差 \(\Delta E\) を計算し、\(\Delta E = \displaystyle\frac{hc}{\lambda}\) の関係式から波長 \(\lambda\) を求めます。
  2. (2)では、\(n=1\) から \(n=\infty\) への遷移に必要なエネルギー(イオン化エネルギー)を計算し、そのエネルギーを持つ光子の波長を求めます。エネルギーがそれ「以上」必要ということは、波長はそれ「以下」でなければならない点に注意します。

問(1)

思考の道筋とポイント
電子が高いエネルギー準位(\(n=3\))から低いエネルギー準位(\(n=2\))へ移るとき、そのエネルギー差に相当する光を放出します。
まず、それぞれの準位のエネルギーを計算し、その差 \(\Delta E\) を求めます。
次に、光子のエネルギーの式 \(E = \displaystyle\frac{hc}{\lambda}\) を使って、エネルギー差を波長に変換します。

この設問における重要なポイント

  • \(E_3\) と \(E_2\) の値を正しく計算する。
  • エネルギー差 \(\Delta E = E_3 – E_2\) を求める。
  • \(\lambda = \displaystyle\frac{hc}{\Delta E}\) の計算で、有効数字と指数の扱いに注意する。

具体的な解説と立式
まず、\(n=3\) と \(n=2\) のエネルギー準位の差 \(\Delta E\) を求めます。
与えられた式 \(E_n = -\displaystyle\frac{2.18 \times 10^{-18}}{n^2}\) を用います。
$$
\begin{aligned}
\Delta E &= E_3 – E_2 \\[2.0ex]
&= \left( -\frac{2.18 \times 10^{-18}}{3^2} \right) – \left( -\frac{2.18 \times 10^{-18}}{2^2} \right) \\[2.0ex]
&= 2.18 \times 10^{-18} \left( \frac{1}{2^2} – \frac{1}{3^2} \right) \\[2.0ex]
&= 2.18 \times 10^{-18} \left( \frac{1}{4} – \frac{1}{9} \right) \\[2.0ex]
&= 2.18 \times 10^{-18} \left( \frac{9 – 4}{36} \right) \\[2.0ex]
&= 2.18 \times 10^{-18} \times \frac{5}{36}
\end{aligned}
$$
このエネルギー差が、放出される光子のエネルギー \(\displaystyle\frac{hc}{\lambda}\) と等しくなります。
$$
\begin{aligned}
\frac{hc}{\lambda} &= \Delta E
\end{aligned}
$$
よって、波長 \(\lambda\) は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
\lambda &= \frac{hc}{\Delta E}
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • エネルギー準位: \(E_n = -\displaystyle\frac{A}{n^2}\)
  • 光子のエネルギー: \(E = \displaystyle\frac{hc}{\lambda}\)
計算過程

まず \(\Delta E\) の値を計算しておきます。
$$
\begin{aligned}
\Delta E &= \frac{2.18 \times 5}{36} \times 10^{-18} \\[2.0ex]
&= \frac{10.9}{36} \times 10^{-18} \\[2.0ex]
&\approx 0.30277\dots \times 10^{-18} \\[2.0ex]
&= 3.0277\dots \times 10^{-19}\,\text{J}
\end{aligned}
$$
次に \(\lambda\) を計算します。
\(h = 6.63 \times 10^{-34}\)、\(c = 3.00 \times 10^8\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
\lambda &= \frac{(6.63 \times 10^{-34}) \times (3.00 \times 10^8)}{3.0277\dots \times 10^{-19}} \\[2.0ex]
&= \frac{6.63 \times 3.00}{3.0277\dots} \times \frac{10^{-34} \times 10^8}{10^{-19}} \\[2.0ex]
&= \frac{19.89}{3.0277\dots} \times 10^{-34+8-(-19)} \\[2.0ex]
&= 6.569\dots \times 10^{-7}
\end{aligned}
$$
有効数字3桁で丸めます。
$$
\begin{aligned}
\lambda &\approx 6.57 \times 10^{-7}\,\text{m}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

電子が「3階」から「2階」に降りるとき、その落差分のエネルギーを光として放出します。そのエネルギーの大きさを計算し、それを光の波長(色)に変換しました。計算の結果、赤い光(約 \(657\,\text{nm}\))が出ることがわかりました。

結論と吟味

答えは \(6.57 \times 10^{-7}\,\text{m}\) です。これは水素原子のバルマー系列のH\(\alpha\)線(赤色)に対応しており、物理的に正しい結果です。

解答 (1) \(6.57 \times 10^{-7}\,\text{m}\)

問(2)

思考の道筋とポイント
「電子を取り去る」とは、電子を原子核の束縛から完全に解放すること、つまりエネルギー準位を \(n=1\)(基底状態)から \(n=\infty\)(無限遠)へ遷移させることを意味します。
このために必要なエネルギー(イオン化エネルギー)を計算し、そのエネルギーを持つ光子の波長を求めます。
重要なのは、「エネルギーがこれ以上必要」ということは、「波長はこれ以下でなければならない」という逆の関係になる点です(エネルギーと波長は反比例するため)。

この設問における重要なポイント

  • 基底状態: \(n=1\)、無限遠: \(n=\infty\)(\(E_\infty = 0\))。
  • 必要なエネルギー \(\Delta E’ = E_\infty – E_1\)。
  • 条件: 光子のエネルギー \(h\nu \ge \Delta E’\) \(\iff\) 波長 \(\lambda \le \displaystyle\frac{hc}{\Delta E’}\)。

具体的な解説と立式
基底状態のエネルギー \(E_1\) は、
$$
\begin{aligned}
E_1 &= -\frac{2.18 \times 10^{-18}}{1^2} = -2.18 \times 10^{-18}\,\text{J}
\end{aligned}
$$
無限遠のエネルギー \(E_\infty\) は \(0\) です。
電子を取り去るのに必要な最小エネルギー \(\Delta E’\) は、
$$
\begin{aligned}
\Delta E’ &= E_\infty – E_1 \\[2.0ex]
&= 0 – (-2.18 \times 10^{-18}) \\[2.0ex]
&= 2.18 \times 10^{-18}\,\text{J}
\end{aligned}
$$
このエネルギーに対応する波長 \(\lambda’\) は、
$$
\begin{aligned}
\lambda’ &= \frac{hc}{\Delta E’}
\end{aligned}
$$
光子のエネルギーが \(\Delta E’\) 以上であればよいので、波長 \(\lambda\) は \(\lambda’\) 以下であればよいことになります。

使用した物理公式

  • イオン化エネルギー: \(I = E_\infty – E_1\)
計算過程

$$
\begin{aligned}
\lambda’ &= \frac{(6.63 \times 10^{-34}) \times (3.00 \times 10^8)}{2.18 \times 10^{-18}} \\[2.0ex]
&= \frac{19.89}{2.18} \times 10^{-34+8-(-18)} \\[2.0ex]
&= 9.1238\dots \times 10^{-8}
\end{aligned}
$$
有効数字3桁で丸めます。
$$
\begin{aligned}
\lambda’ &\approx 9.12 \times 10^{-8}\,\text{m}
\end{aligned}
$$
したがって、波長は \(9.12 \times 10^{-8}\,\text{m}\) 以下にする必要があります。

この設問の平易な説明

電子を原子という「井戸」の底(1階)から、外の世界(無限遠)まで引っ張り上げるには、井戸の深さ以上のエネルギーが必要です。光のエネルギーは波長が短いほど大きいので、計算したギリギリの波長よりも「短い」波長の光を当てる必要があります。

結論と吟味

答えは \(9.12 \times 10^{-8}\,\text{m}\) 以下です。この波長は紫外線領域にあり、可視光よりもエネルギーが高い光が必要であることを示しています。

解答 (2) \(9.12 \times 10^{-8}\,\text{m}\) 以下
別解: リュードベリ定数を用いた解法

思考の道筋とポイント
エネルギー準位の式の係数 \(A = 2.18 \times 10^{-18}\,\text{J}\) は、理論的には \(hcR\) (\(R\)はリュードベリ定数)に相当します。
これを利用して、まず \(R\) の値を逆算するか、あるいは式変形の段階で \(hc\) を約分してしまうことで、計算を簡略化できます。

この設問における重要なポイント

  • \(\Delta E = A \left(\displaystyle\frac{1}{m^2} – \frac{1}{n^2}\right)\)。
  • \(\displaystyle\frac{hc}{\lambda} = A \left(\frac{1}{m^2} – \frac{1}{n^2}\right)\) より、\(\lambda = \displaystyle\frac{hc}{A} \frac{1}{(\frac{1}{m^2} – \frac{1}{n^2})}\)。
  • 定数 \(\displaystyle\frac{hc}{A}\) を先に計算しておくと便利。

具体的な解説と立式
定数 \(K = \displaystyle\frac{hc}{A}\) を定義します。
$$
\begin{aligned}
K &= \frac{(6.63 \times 10^{-34}) \times (3.00 \times 10^8)}{2.18 \times 10^{-18}} \\[2.0ex]
&= \frac{19.89}{2.18} \times 10^{-8} \\[2.0ex]
&\approx 9.1238 \times 10^{-8}\,\text{m}
\end{aligned}
$$
実は、この \(K\) は(2)で求めた波長(ライマン系列の限界波長)そのものであり、リュードベリ定数の逆数 \(1/R\) に相当します。

(1) \(n=3 \to 2\) の場合:
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{\lambda} &= \frac{1}{K} \left( \frac{1}{2^2} – \frac{1}{3^2} \right) = \frac{1}{K} \cdot \frac{5}{36}
\end{aligned}
$$
よって、
$$
\begin{aligned}
\lambda &= \frac{36}{5} K = 7.2 \times (9.1238 \times 10^{-8}) \\[2.0ex]
&\approx 65.69 \times 10^{-8} \\[2.0ex]
&= 6.57 \times 10^{-7}\,\text{m}
\end{aligned}
$$

(2) \(n=1 \to \infty\) の場合:
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{\lambda’} &= \frac{1}{K} \left( \frac{1}{1^2} – \frac{1}{\infty^2} \right) = \frac{1}{K}
\end{aligned}
$$
よって、
$$
\begin{aligned}
\lambda’ &= K \approx 9.12 \times 10^{-8}\,\text{m}
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • リュードベリの式(変形版)
計算過程

上記の通り、定数 \(K\) を一度計算すれば、あとは分数の係数を掛けるだけで答えが出ます。

この設問の平易な説明

毎回 \(h\) や \(c\) を掛け算するのは大変なので、それらをまとめた「基準となる波長」を最初に計算しておきます。あとは、「準位の番号」から決まる分数をその基準値に掛けるだけで、どんな遷移の波長も簡単に求まります。

結論と吟味

計算量が減り、ミスも防げます。結果は当然一致します。

解答 (解答自体は本編と同じ)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • エネルギー準位と光の相互作用
    • 核心: 原子のエネルギー準位間の遷移は、光子(エネルギーの塊)の放出または吸収を伴います。このとき、エネルギー保存則 \(\Delta E = h\nu = \displaystyle\frac{hc}{\lambda}\) が厳密に成立します。
    • 理解のポイント:
      • 放出(発光): 高い準位 \(\to\) 低い準位。エネルギー差を光として捨てる。
      • 吸収: 低い準位 \(\to\) 高い準位。エネルギー差分の光をもらって上がる。
      • イオン化: 基底状態 \(\to\) 無限遠。束縛を断ち切るために必要なエネルギー。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 他の系列の計算: ライマン系列(\(n \to 1\))、パッシェン系列(\(n \to 3\))なども、遷移先の \(n\) が変わるだけで計算手順は同じです。
    • 振動数やエネルギーを問う問題: 波長 \(\lambda\) ではなく、振動数 \(\nu\) やエネルギー(\(\text{J}\) または \(\text{eV}\))を直接問われることもあります。\(E = h\nu\) の関係式を自在に操れるようにしましょう。
    • 吸収スペクトル: 「どのような波長の光を吸収するか」という問いは、「どのような波長の光を放出するか」と同じ計算(エネルギー差)になります。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 遷移の向き: 「\(3 \to 2\)」なのか「\(2 \to 3\)」なのか、あるいは「\(1 \to \infty\)」なのか、始点と終点の \(n\) を特定します。
    2. エネルギーと波長の逆相関: 「エネルギーが大きい」\(\iff\) 「波長が短い」という関係を常に意識します。特に不等号の向き(以上・以下)を問われる問題では重要です。
    3. 定数の扱い: \(h, c, A\) などの定数が与えられたら、それらをまとめた値(\(\displaystyle\frac{hc}{A}\) など)を先に計算しておくと効率的です。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • 波長の大小関係:
    • 誤解: 「エネルギーが大きいから波長も大きい(長い)」と直感的に間違える。
    • 対策: \(E = \displaystyle\frac{hc}{\lambda}\) の式を書き、\(E\) と \(\lambda\) が反比例していることを視覚的に確認します。
  • イオン化エネルギーの計算:
    • 誤解: \(n=\infty\) のエネルギーを無限大と考えてしまう。
    • 対策: エネルギー準位の基準(\(0\))は無限遠です。つまり \(E_\infty = 0\) です。基底状態は負の値なので、差は正の値になります。
  • 有効数字の処理:
    • 誤解: 途中の計算で早めに丸めてしまい、最終的な答えに誤差が出る。
    • 対策: 途中計算は常に一桁多く残す(ガードディジット)か、分数のまま計算を進めます。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • \(\Delta E = \displaystyle\frac{hc}{\lambda}\) の選択:
    • 選定理由: エネルギー準位の差(\(\text{J}\))と光の波長(\(\text{m}\))を結びつける唯一の式だからです。
    • 適用根拠: プランクの量子仮説 \(E=h\nu\) と波動の基本式 \(c=\nu\lambda\) から導かれます。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 定数のまとめ計算:
    • 別解で示したように、\(\displaystyle\frac{hc}{A}\) のような定数の塊を先に計算しておくと、その後の計算が「分数を掛けるだけ」になり、劇的に楽になります。
  • 指数の分離:
    • \(10^{-34}\) や \(10^8\) などの指数部分は、数値部分とは別に計算用紙の隅で計算し、最後に合体させるとミスが減ります。
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発展問題

591 α線の散乱実験

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 別解: 電位を用いた解法
      • 模範解答が2点電荷間の位置エネルギーの公式 \(U = k_0 \displaystyle\frac{Qq}{r}\) を直接用いているのに対し、別解では「原子核が作る電位 \(V\)」をまず考え、その電位の中に\(\alpha\)粒子(電荷 \(q\))が存在することで位置エネルギー \(qV\) を持つ、という「場」の視点から立式します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理的視野の拡大: 「2つの物体が力を及ぼし合う(遠隔作用)」という見方から、「一方が場を作り、その場から他方が作用を受ける(近接作用)」という現代物理学的な見方への転換を促します。
    • 応用力の向上: 電荷の配置が複雑になった場合や、電位分布が与えられている問題など、公式の単純適用が難しい場面でも対応できる基礎力が身につきます。
  3. 結果への影響
    • 思考のプロセスが異なるだけで、数式自体は模範解答と等価になり、最終的な答えも完全に一致します。

この問題のテーマは「荷電粒子の衝突とエネルギー保存則」です。ラザフォードの散乱実験をモデルに、静電気力(クーロン力)による位置エネルギーと力学的エネルギー保存則の理解を深めます。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 静電気力による位置エネルギー: 2つの点電荷の間に働く静電気力(クーロン力)による位置エネルギーの公式 \(U = k_0 \displaystyle\frac{q_1 q_2}{r}\) を正しく使えること。
  2. 力学的エネルギー保存則: 静電気力は保存力であるため、摩擦などの非保存力が働かない限り、運動エネルギーと位置エネルギーの和は一定に保たれること。
  3. 無限遠の扱い: 「十分遠方」とは、距離 \(r\) が非常に大きく、位置エネルギーが \(0\) とみなせる状態であることを理解していること。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)では、与えられた電荷量を用いて、静電気力による位置エネルギーの公式に代入します。
  2. (2)では、\(\alpha\)粒子が原子核に近づく運動において、エネルギー保存則を適用します。「はじめ(無限遠)」の状態と、「あと(最も近づいた瞬間)」の状態のそれぞれについて、運動エネルギーと位置エネルギーを書き出し、等式で結びます。
  3. (3)では、(2)で求めた式に具体的な数値を代入して計算します。単位換算(\(\text{MeV} \to \text{J}\))に注意が必要です。

問(1)

ここから先が、他の受験生と差がつく重要パートです。

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