今回の問題
dynamics#58【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「弾性衝突における保存則と仕事とエネルギーの関係」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 力学的エネルギー保存則: 小球Aが高さ\(h\)から最下点まで落下する過程では、重力以外の外力が仕事をしないため、力学的エネルギーが保存されます。
- 運動量保存則: 小球Aと物体Bが衝突する瞬間は、ごく短時間であるため、重力などの外力の影響は無視できます。したがって、AとBを一つの系とみなすと、衝突の直前直後で系の運動量は保存されます。
- 弾性衝突: 問題文に「弾性衝突」とあるため、衝突の前後で系の力学的エネルギーも保存されます。これは、反発係数が\(e=1\)であることと等価です。
- 仕事とエネルギーの関係: 衝突後に物体Bが摩擦力を受けて運動する場面では、力学的エネルギーは保存されません。この場合、「物体の運動エネルギーの変化が、動摩擦力がした仕事に等しい」という関係を用います。
基本的なアプローチは以下の通りです。
この問題は、大きく3つの段階に分けて考えます。
- 段階1(Aの落下): 小球Aが高さ\(h\)から最下点まで落下する過程。力学的エネルギー保存則を用いて、衝突直前のAの速さを求めます。
- 段階2(AとBの弾性衝突): Aが最下点でBと弾性衝突する瞬間。運動量保存則と力学的エネルギー保存則(または反発係数の式)を連立させて、衝突直後のAとBそれぞれの速さを求めます。
- 段階3(Bの減速運動): 衝突後に動き出したBが、動摩擦力によって減速し、静止するまでの過程。仕事とエネルギーの関係を用いて、移動距離を求めます。