「物理重要問題集2026」徹底解説(76〜78問):未来の得点力へ!完全マスター講座

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問題76 気体の状態変化と熱効率 (弘前大)

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(2)(4)の別解: 微積分を用いた体系的解法(熱力学第一法則)
      • 模範解答は定積モル比熱 \(C_V\) や定圧モル比熱 \(C_P\) の公式を既知として計算していますが、別解では熱力学第一法則の微分形 \(dQ = dU + P dV\) と状態方程式から、これらの熱量が導かれる過程を原理的に解説します。
    • 設問(6)の別解: 力学的エネルギー保存則を用いた解法
      • 模範解答は \(p-V\) グラフの面積から仕事を計算していますが、別解では「熱機関が何に対して仕事をしたか(重力による位置エネルギーの変化)」に着目し、力学的な視点から瞬時に仕事を求めます。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 微積分の解法: 公式の丸暗記ではなく、エネルギー保存則(第一法則)と状態方程式という2つの基本原理から全ての熱力学現象を導出できることを理解し、応用力を養います。
    • 力学的エネルギーの解法: 複雑な圧力計算や面積計算を回避し、現象の本質(重力に逆らって物体を持ち上げた)を見抜くことで、計算ミスを減らし速答する能力を身につけます。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「気体の状態変化と熱機関のサイクル」です。ピストンに閉じ込められた気体が、加熱・冷却されることで膨張・収縮し、外部に対して仕事をする一連の流れ(サイクル)を追跡します。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  • 力のつりあい: ピストンが静止しているとき、あるいはゆっくり動いているとき、ピストンにはたらく力はつりあっています。
  • 理想気体の状態方程式: \(PV = nRT\) は、いついかなる平衡状態でも成立します。
  • 熱力学第一法則: 気体に与えた熱量 \(Q\) は、内部エネルギーの変化 \(\Delta U\) と気体が外部にした仕事 \(W\) の和になります(\(Q = \Delta U + W\))。
  • 定積・定圧変化: 体積が一定の変化(定積)と圧力が一定の変化(定圧)の特徴を理解します。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  • (1)では、ピストンの力のつりあいから圧力を求め、状態方程式から温度を決定します。
  • (2)〜(4)では、各変化過程(定積・定圧)に応じて、熱量や温度を計算します。
  • (5)〜(7)では、サイクル全体を \(p-V\) グラフで可視化し、外部への仕事と熱効率を計算します。

問(1)

思考の道筋とポイント
状態1は、ピストンに質量 \(M\) の物体を乗せて加熱し、「動きだしたとき」の状態です。
「動きだした」瞬間、ピストンを押し上げる気体の力は、ピストンを押さえつける下向きの力の総和とちょうどつりあっています。

この設問における重要なポイント

  • 力のつりあい: ピストンには、気体の圧力による力(上向き)、大気圧による力(下向き)、ピストンの重力(下向き)、乗せた物体の重力(下向き)がはたらいています。
  • 状態方程式: 圧力、体積、温度の関係を結びつけます。

具体的な解説と立式
状態1におけるシリンダー内の気体の圧力を \(P_1\)、温度を \(T_1\) とします。
ピストンの断面積を \(S\) とします。

まず、ピストンにはたらく力のつりあいを考えます。
上向きの力は、内部の気体がピストンを押す力 \(P_1 S\) です。
下向きの力は、大気が押す力 \(P_0 S\)、ピストンの重力 \(M_0 g\)、物体の重力 \(Mg\) の合計です。
$$
\begin{aligned}
(\text{上向きの力}) &= (\text{下向きの力}) \\[2.0ex]
P_1 S &= P_0 S + M_0 g + Mg \quad \cdots ①
\end{aligned}
$$

次に、気体の状態変化に注目します。
初期状態(温度 \(T_0\)、圧力 \(P_0\))から状態1(温度 \(T_1\)、圧力 \(P_1\))へ変化する間、ピストンはまだ動いていないため、体積は \(V_0 = S h_0\) で一定です(定積変化)。
ボイル・シャルルの法則(または状態方程式)より、以下の関係が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
\frac{P_0 (S h_0)}{T_0} &= \frac{P_1 (S h_0)}{T_1} \quad \cdots ②
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 力のつりあい: \((\text{力の和}) = 0\)
  • ボイル・シャルルの法則: \(\displaystyle \frac{PV}{T} = \text{一定}\)
計算過程

式①より、\(P_1\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
P_1 S &= P_0 S + (M + M_0)g \\[2.0ex]
P_1 &= P_0 + \frac{(M + M_0)g}{S}
\end{aligned}
$$
これが状態1の圧力です。

次に、式②より \(T_1\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
\frac{P_0}{T_0} &= \frac{P_1}{T_1} \\[2.0ex]
T_1 &= \frac{P_1}{P_0} T_0
\end{aligned}
$$
これに求めた \(P_1\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
T_1 &= \frac{P_0 + \frac{(M + M_0)g}{S}}{P_0} T_0 \\[2.0ex]
&= \left( 1 + \frac{(M + M_0)g}{P_0 S} \right) T_0
\end{aligned}
$$
通分して整理すると、
$$
\begin{aligned}
T_1 &= \left\{ \frac{P_0 S + (M + M_0)g}{P_0 S} \right\} T_0
\end{aligned}
$$
となります。

この設問の平易な説明

ピストンが動き出す直前、中の気体は「大気圧+ピストンの重さ+乗せた重りの重さ」を全部支えるだけの圧力になっています。
体積が変わらないまま圧力が上がったので、温度もそれに比例して上がっています。

結論と吟味

圧力 \(P_1\) は大気圧 \(P_0\) に重力分の圧力が加わった形になっており、妥当です。
温度 \(T_1\) も \(P_1 > P_0\) なので \(T_1 > T_0\) となり、加熱した事実と整合します。

解答 (1) \(\displaystyle \left\{ 1 + \frac{(M + M_0)g}{P_0 S} \right\} T_0\)

問(2)

思考の道筋とポイント
初期状態から状態1までは、ピストンが動かないため体積一定の「定積変化」です。
定積変化では気体は仕事をしないため、与えられた熱量はすべて内部エネルギーの増加に使われます。

この設問における重要なポイント

  • 定積変化: 体積変化 \(\Delta V = 0\) なので、仕事 \(W = P\Delta V = 0\) です。
  • 単原子分子理想気体の内部エネルギー: 変化量は \(\Delta U = \frac{3}{2}nR\Delta T\) で表されます。

具体的な解説と立式
求める熱量を \(Q_{01}\) とします。
熱力学第一法則より、
$$
\begin{aligned}
Q_{01} &= \Delta U_{0 \to 1} + W_{0 \to 1}
\end{aligned}
$$
定積変化なので、気体が外部にする仕事は \(W_{0 \to 1} = 0\) です。
よって、熱量は内部エネルギーの変化に等しくなります。気体の物質量を \(n\)、気体定数を \(R\) とすると、
$$
\begin{aligned}
Q_{01} &= \frac{3}{2} n R (T_1 – T_0) \quad \cdots ③
\end{aligned}
$$
ここで、初期状態の状態方程式 \(P_0 (S h_0) = n R T_0\) を用いて、\(nR\) を既知の量で表す必要があります。

使用した物理公式

  • 熱力学第一法則: \(Q = \Delta U + W\)
  • 単原子分子理想気体の内部エネルギー変化: \(\Delta U = \frac{3}{2}nR\Delta T\)
  • 理想気体の状態方程式: \(PV = nRT\)
計算過程

式③に、問(1)の結果 \(T_1 = \frac{P_1}{P_0} T_0\) を代入して変形します。
$$
\begin{aligned}
Q_{01} &= \frac{3}{2} n R \left( \frac{P_1}{P_0} T_0 – T_0 \right) \\[2.0ex]
&= \frac{3}{2} n R T_0 \left( \frac{P_1}{P_0} – 1 \right)
\end{aligned}
$$
ここで、初期状態の状態方程式より \(n R T_0 = P_0 S h_0\) なので、これを代入します。
$$
\begin{aligned}
Q_{01} &= \frac{3}{2} P_0 S h_0 \left( \frac{P_1 – P_0}{P_0} \right) \\[2.0ex]
&= \frac{3}{2} S h_0 (P_1 – P_0)
\end{aligned}
$$
問(1)の計算過程より、\(P_1 – P_0 = \frac{(M + M_0)g}{S}\) なので、
$$
\begin{aligned}
Q_{01} &= \frac{3}{2} S h_0 \cdot \frac{(M + M_0)g}{S} \\[2.0ex]
&= \frac{3}{2} (M + M_0) g h_0
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

体積が変わらないので、気体は外部に対して仕事をしません。したがって、加えた熱エネルギーはすべて気体の温度を上げる(内部エネルギーを増やす)ために使われました。

結論と吟味

答えは \(\frac{3}{2}(M+M_0)gh_0\) です。次元を確認すると、\([\text{kg}] \cdot [\text{m}/\text{s}^2] \cdot [\text{m}] = [\text{N}\cdot\text{m}] = [\text{J}]\) となり、エネルギーの単位として正しいです。

解答 (2) \(\displaystyle \frac{3}{2}(M + M_0) g h_0\)
別解: 微積分を用いた体系的解法(熱力学第一法則)

思考の道筋とポイント
公式 \(\Delta U = \frac{3}{2}nR\Delta T\) を暗記していなくても、熱力学第一法則の微分形から出発して導出できます。

この設問における重要なポイント

  • 熱力学第一法則の微分形: \(dQ = dU + P dV\)
  • 定積条件: \(dV = 0\)

具体的な解説と立式
熱力学第一法則の微分形は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
dQ &= dU + P dV
\end{aligned}
$$
単原子分子理想気体の内部エネルギーは \(U = \frac{3}{2}nRT\) なので、その微分は \(dU = \frac{3}{2}nR dT\) です。
初期状態から状態1までは定積変化なので、体積変化 \(dV = 0\) です。
よって、微小熱量 \(dQ\) は、
$$
\begin{aligned}
dQ &= \frac{3}{2}nR dT + P \cdot 0 \\[2.0ex]
&= \frac{3}{2}nR dT
\end{aligned}
$$
これを温度 \(T_0\) から \(T_1\) まで積分します。
$$
\begin{aligned}
Q_{01} &= \int_{T_0}^{T_1} \frac{3}{2}nR \, dT
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 熱力学第一法則(微分形): \(dQ = dU + P dV\)
  • 内部エネルギーの微分: \(dU = \frac{3}{2}nR dT\)
計算過程

$$
\begin{aligned}
Q_{01} &= \frac{3}{2}nR [T]_{T_0}^{T_1} \\[2.0ex]
&= \frac{3}{2}nR (T_1 – T_0)
\end{aligned}
$$
これ以降の計算はメインの解法と同じです。
$$
\begin{aligned}
Q_{01} &= \frac{3}{2} (M + M_0) g h_0
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

微小な温度変化に必要な熱量を積み重ねる(積分する)ことで、全体の熱量を求めました。定積変化では仕事の項が消えるため、内部エネルギーの変化だけを考えればよいことが数式から直接分かります。

結論と吟味

公式を前提とせず、第一法則から自然に導かれました。

解答 (2) \(\displaystyle \frac{3}{2}(M + M_0) g h_0\)

問(3)

思考の道筋とポイント
状態1から状態2へは、ピストンが自由に動ける状態でゆっくり加熱されるため、ピストンにはたらく力のつりあいが保たれたまま体積が増加します。
つまり、圧力は \(P_1\) のまま一定の「定圧変化」です。

この設問における重要なポイント

  • 定圧変化: 圧力が一定の変化です。シャルルの法則が適用できます。
  • 体積の変化: 高さが \(h_0\) から \(h\) に変化するので、体積は \(S h_0\) から \(S h\) になります。

具体的な解説と立式
状態2の温度を \(T_2\) とします。
圧力 \(P_1\) が一定のまま、体積が \(V_1 = S h_0\) から \(V_2 = S h\) へ変化します。
シャルルの法則(または状態方程式)より、
$$
\begin{aligned}
\frac{S h_0}{T_1} &= \frac{S h}{T_2} \quad \cdots ④
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • シャルルの法則: \(\displaystyle \frac{V}{T} = \text{一定}\)
計算過程

式④より \(T_2\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
T_2 &= \frac{h}{h_0} T_1
\end{aligned}
$$
これに問(1)の \(T_1\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
T_2 &= \frac{h}{h_0} \left\{ 1 + \frac{(M + M_0)g}{P_0 S} \right\} T_0
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

圧力が一定のまま体積(高さ)が増えたので、温度も体積の増加比率(\(h/h_0\))と同じ倍率で上昇しました。

結論と吟味

\(h > h_0\) なので \(T_2 > T_1\) となり、加熱を続けたことと整合します。

解答 (3) \(\displaystyle \frac{h}{h_0} \left\{ 1 + \frac{(M + M_0)g}{P_0 S} \right\} T_0\)

問(4)

思考の道筋とポイント
状態1から状態2への変化は定圧変化です。
定圧変化における熱量は、定圧モル比熱 \(C_P\) を用いると簡単に計算できます。単原子分子理想気体の場合、\(C_P = \frac{5}{2}R\) です。

この設問における重要なポイント

  • 定圧モル比熱: \(Q = n C_P \Delta T\)
  • マイヤーの関係: \(C_P = C_V + R = \frac{3}{2}R + R = \frac{5}{2}R\)

具体的な解説と立式
求める熱量を \(Q_{12}\) とします。
定圧変化の公式より、
$$
\begin{aligned}
Q_{12} &= n C_P (T_2 – T_1) \\[2.0ex]
&= \frac{5}{2} n R (T_2 – T_1) \quad \cdots ⑤
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 定圧変化の熱量: \(Q = n C_P \Delta T\)
計算過程

式⑤を変形します。
$$
\begin{aligned}
Q_{12} &= \frac{5}{2} n R \left( \frac{h}{h_0} T_1 – T_1 \right) \\[2.0ex]
&= \frac{5}{2} n R T_1 \left( \frac{h}{h_0} – 1 \right) \\[2.0ex]
&= \frac{5}{2} n R T_1 \left( \frac{h – h_0}{h_0} \right)
\end{aligned}
$$
ここで、状態1の状態方程式 \(P_1 (S h_0) = n R T_1\) を用いて \(n R T_1\) を置き換えます。
$$
\begin{aligned}
Q_{12} &= \frac{5}{2} P_1 S h_0 \left( \frac{h – h_0}{h_0} \right) \\[2.0ex]
&= \frac{5}{2} P_1 S (h – h_0)
\end{aligned}
$$
問(1)より \(P_1 S = P_0 S + (M + M_0)g\) なので、これを代入します。
$$
\begin{aligned}
Q_{12} &= \frac{5}{2} \{ P_0 S + (M + M_0)g \} (h – h_0)
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

圧力が一定のまま膨張するとき、気体は温度を上げるだけでなく、ピストンを押して外部へ仕事をします。そのため、定積変化のときよりも多くの熱エネルギー(\(5/2\)倍の比率)が必要になります。

結論と吟味

答えは \(\frac{5}{2} (h – h_0) \{ P_0 S + (M + M_0)g \}\) です。

解答 (4) \(\displaystyle \frac{5}{2} (h – h_0) \{ P_0 S + (M + M_0)g \}\)
別解: 微積分を用いた体系的解法(熱力学第一法則)

思考の道筋とポイント
定圧モル比熱 \(C_P = \frac{5}{2}R\) を公式として使わず、第一法則と状態方程式から導きます。

この設問における重要なポイント

  • 状態方程式の全微分: \(d(PV) = d(nRT)\)
  • 定圧条件: \(dP = 0\)

具体的な解説と立式
熱力学第一法則の微分形 \(dQ = dU + P dV\) において、\(dU = \frac{3}{2}nR dT\) です。
また、状態方程式 \(PV = nRT\) の両辺を微分(全微分)します。
$$
\begin{aligned}
d(PV) &= d(nRT) \\[2.0ex]
P dV + V dP &= nR dT
\end{aligned}
$$
定圧変化では圧力変化 \(dP = 0\) なので、
$$
\begin{aligned}
P dV &= nR dT
\end{aligned}
$$
これを第一法則の式に代入します。
$$
\begin{aligned}
dQ &= \frac{3}{2}nR dT + nR dT \\[2.0ex]
&= \frac{5}{2}nR dT
\end{aligned}
$$
これが定圧変化における微小熱量です。

使用した物理公式

  • 熱力学第一法則(微分形): \(dQ = dU + P dV\)
  • 状態方程式の全微分: \(P dV + V dP = nR dT\)
計算過程

これを \(T_1\) から \(T_2\) まで積分します。
$$
\begin{aligned}
Q_{12} &= \int_{T_1}^{T_2} \frac{5}{2}nR \, dT \\[2.0ex]
&= \frac{5}{2}nR (T_2 – T_1)
\end{aligned}
$$
これ以降はメインの解法と同様に計算できます。

この設問の平易な説明

定圧変化では、熱の一部が内部エネルギーの増加(\(3/2\))に使われ、残りが膨張の仕事(\(1\))に使われます。微積分を使うことで、この配分が自動的に導き出され、合計で \(5/2\) の熱が必要になることが分かります。

結論と吟味

定圧モル比熱の係数 \(5/2\) が、内部エネルギー由来の \(3/2\) と仕事由来の \(1\) の和であることが明確に理解できます。

解答 (4) \(\displaystyle \frac{5}{2} (h – h_0) \{ P_0 S + (M + M_0)g \}\)

問(5)

思考の道筋とポイント
サイクルの各過程を整理してグラフを描きます。
1. 初期状態 \(\to\) 状態1: 体積 \(S h_0\) 一定で、圧力が \(P_0\) から \(P_1\) へ上昇(定積加熱)。
2. 状態1 \(\to\) 状態2: 圧力 \(P_1\) 一定で、体積が \(S h_0\) から \(S h\) へ増加(定圧膨張)。
3. 状態2 \(\to\) 下降開始: 物体を降ろした直後。体積 \(S h\) 一定で、圧力が \(P_1\) から下降開始圧力 \(P_3\) まで低下(定積冷却)。
・ 下降開始圧力 \(P_3\) は、物体がない状態でのつりあい圧力です。
・ \(P_3 S = P_0 S + M_0 g\) より、\(P_3 = P_0 + \frac{M_0 g}{S}\)。
4. 下降開始 \(\to\) 下降終了: 圧力 \(P_3\) 一定で、体積が \(S h\) から \(S h_0\) へ減少(定圧収縮)。
5. 下降終了 \(\to\) 初期状態: 体積 \(S h_0\) 一定で、圧力が \(P_3\) から \(P_0\) へ低下(定積冷却)。

この設問における重要なポイント

  • 圧力の大小関係: \(P_1 > P_3 > P_0\) であることに注意します。
  • サイクルの形状: 2つの定積変化と2つの定圧変化からなる階段状(あるいは旗のような)の閉曲線になります。

具体的な解説と立式
各状態の座標 \((V, P)\) を確認します。

  • 初期状態: \((S h_0, P_0)\)
  • 状態1: \((S h_0, P_1)\)
  • 状態2: \((S h, P_1)\)
  • 下降開始点: \((S h, P_3)\)
  • 下降終了点: \((S h_0, P_3)\)

ここで、
$$
\begin{aligned}
P_1 &= P_0 + \frac{(M + M_0)g}{S} \\[2.0ex]
P_3 &= P_0 + \frac{M_0 g}{S}
\end{aligned}
$$
です。

使用した物理公式

  • 力のつりあい: \(P_3 S = P_0 S + M_0 g\)
計算過程

特になし(座標の確認のみ)。

この設問の平易な説明

グラフは、まず真上に上がり(加熱)、次に右へ水平移動(膨張)、そして真下に下がり(物体除去・冷却)、左へ水平移動(収縮)、最後に真下に下がって元に戻る(冷却)、という経路をたどります。

結論と吟味

圧力の大小関係 \(P_1 > P_3 > P_0\) が正しく反映されたグラフになります。

解答 (5) 模範解答図bを参照

問(6)

思考の道筋とポイント
気体が外部にした仕事は、\(p-V\) グラフの面積で表されます。
膨張するときは正の仕事、収縮するときは負の仕事をします。

この設問における重要なポイント

  • 正の仕事: 状態1 \(\to\) 状態2(定圧膨張)。面積は \(P_1 (V_2 – V_1)\)。
  • 負の仕事: 下降開始 \(\to\) 下降終了(定圧収縮)。面積は \(P_3 (V_1 – V_2)\)。
  • 定積変化: 仕事は \(0\) です。

具体的な解説と立式
サイクル全体で気体が外部にした正味の仕事 \(W_{\text{外}}\) は、膨張時の仕事と収縮時の仕事(負)の和です。
$$
\begin{aligned}
W_{\text{外}} &= W_{1 \to 2} + W_{\text{下降}} \\[2.0ex]
&= P_1 (S h – S h_0) + P_3 (S h_0 – S h) \\[2.0ex]
&= P_1 S (h – h_0) – P_3 S (h – h_0) \\[2.0ex]
&= (P_1 – P_3) S (h – h_0) \quad \cdots ⑥
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 定圧変化の仕事: \(W = P \Delta V\)
計算過程

圧力差 \(P_1 – P_3\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
P_1 – P_3 &= \left\{ P_0 + \frac{(M + M_0)g}{S} \right\} – \left\{ P_0 + \frac{M_0 g}{S} \right\} \\[2.0ex]
&= \frac{Mg}{S}
\end{aligned}
$$
これを式⑥に代入します。
$$
\begin{aligned}
W_{\text{外}} &= \frac{Mg}{S} \cdot S (h – h_0) \\[2.0ex]
&= Mg(h – h_0)
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

グラフの面積計算から、気体がした正味の仕事は、長方形部分の面積に相当することがわかります。計算の結果、これは「物体 \(M\) を高さ \(h – h_0\) だけ持ち上げるのに必要な仕事」と一致します。

結論と吟味

答えは \(Mg(h – h_0)\) です。これは、熱機関が最終的に行った有用な仕事が、重り \(M\) の位置エネルギーを増やすことだったことを意味しており、物理的に非常に明快な結果です。

解答 (6) \(Mg(h – h_0)\)
別解: 力学的エネルギー保存則を用いた解法

思考の道筋とポイント
気体がした仕事は、外界のエネルギー変化に等しいはずです。
サイクルが一巡すると、気体の状態(温度・体積)は元に戻り、ピストン \(M_0\) の位置も元に戻り、大気も元の体積に戻ります。
唯一変化したのは、「物体 \(M\) が低い位置 \(h_0\) から高い位置 \(h\) へ移動したこと」だけです。

この設問における重要なポイント

  • エネルギー保存則: \((\text{気体がした仕事}) = (\text{外界のエネルギー増加})\)
  • 状態復帰: サイクルなので、気体自身の内部エネルギー変化は \(0\) です。

具体的な解説と立式
気体が外部にした仕事 \(W_{\text{外}}\) は、外界の力学的エネルギーの増加分に等しくなります。
外界の構成要素の変化は以下の通りです。

  1. 物体 \(M\): 高さ \(h_0\) で乗せられ、高さ \(h\) で降ろされた。
    • 位置エネルギーの獲得量: \(Mg(h – h_0)\)
  2. ピストン \(M_0\): 高さ \(h_0\) から出発し、\(h_0\) に戻った。
    • 位置エネルギーの変化: \(0\)
  3. 大気: 膨張して収縮し、元の体積に戻った。
    • 大気がされた正味の仕事: \(P_0 \Delta V_{\text{膨張}} + P_0 \Delta V_{\text{収縮}} = P_0(V_2-V_1) + P_0(V_1-V_2) = 0\)

したがって、気体がした正味の仕事は、物体 \(M\) の位置エネルギー増加分のみとなります。
$$
\begin{aligned}
W_{\text{外}} &= Mg(h – h_0)
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 仕事とエネルギーの関係: \(W = \Delta E\)
  • 位置エネルギー: \(U = mgh\)
計算過程

立式そのものが答えとなっているため、追加の計算はありません。
$$
\begin{aligned}
W_{\text{外}} &= Mg(h – h_0)
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

この熱機関が何をしたかを全体で見ると、結局「重りを持ち上げた」ことだけが残ります。ピストンや空気は元の状態に戻っているので、エネルギーの収支は重りの位置エネルギーの変化分だけになります。

結論と吟味

複雑な圧力計算を一切行わず、エネルギーの収支だけで瞬時に答えが得られました。

解答 (6) \(Mg(h – h_0)\)

問(7)

思考の道筋とポイント
熱効率 \(e\) は、吸収した熱量 \(Q_{\text{吸}}\) に対する、外部にした正味の仕事 \(W_{\text{外}}\) の割合です。
\(e = \frac{W_{\text{外}}}{Q_{\text{吸}}}\)
ここで、\(Q_{\text{吸}}\) は「吸熱過程」での熱量の総和であることに注意します。

この設問における重要なポイント

  • 吸熱過程: 温度が上昇する過程です。
    • 初期状態 \(\to\) 状態1(定積加熱): \(Q_{01} > 0\)
    • 状態1 \(\to\) 状態2(定圧加熱): \(Q_{12} > 0\)
  • 放熱過程: 温度が下降する過程です。これらは \(Q_{\text{吸}}\) に含めません。

具体的な解説と立式
吸収した総熱量 \(Q_{\text{吸}}\) は、
$$
\begin{aligned}
Q_{\text{吸}} &= Q_{01} + Q_{12}
\end{aligned}
$$
熱効率 \(e\) は、
$$
\begin{aligned}
e &= \frac{W_{\text{外}}}{Q_{01} + Q_{12}} \quad \cdots ⑦
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 熱効率の定義: \(e = \frac{W_{\text{外}}}{Q_{\text{吸}}}\)
計算過程

問(2)、(4)、(6)の結果を代入します。
$$
\begin{aligned}
Q_{01} &= \frac{3}{2} (M + M_0) g h_0 \\[2.0ex]
Q_{12} &= \frac{5}{2} (h – h_0) \{ P_0 S + (M + M_0)g \} \\[2.0ex]
W_{\text{外}} &= Mg(h – h_0)
\end{aligned}
$$
これらを式⑦に代入して整理します。
$$
\begin{aligned}
e &= \frac{Mg(h – h_0)}{\frac{3}{2}(M + M_0)gh_0 + \frac{5}{2}(h – h_0)\{ P_0 S + (M + M_0)g \}} \\[2.0ex]
&= \frac{2Mg(h – h_0)}{3(M + M_0)gh_0 + 5(h – h_0)\{ P_0 S + (M + M_0)g \}}
\end{aligned}
$$
分母を展開して整理することも可能ですが、この形のままでも十分です。模範解答に合わせて展開します。
$$
\begin{aligned}
(\text{分母}) &= 3(M+M_0)gh_0 + 5(h-h_0)P_0 S + 5(h-h_0)(M+M_0)g \\[2.0ex]
&= 5 P_0 S (h-h_0) + (M+M_0)g \{ 3h_0 + 5(h-h_0) \} \\[2.0ex]
&= 5 P_0 S (h-h_0) + (M+M_0)g (5h – 2h_0)
\end{aligned}
$$
よって、
$$
\begin{aligned}
e &= \frac{2Mg(h – h_0)}{5 P_0 S (h – h_0) + (M + M_0)g (5h – 2h_0)}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

投入したエネルギー(加熱に使った熱)のうち、どれだけが有効な仕事(重りを持ち上げる)に使われたかを計算しました。

結論と吟味

答えは \(\frac{2Mg(h – h_0)}{5 P_0 S (h – h_0) + (M + M_0)g (5h – 2h_0)}\) です。

解答 (7) \(\displaystyle \frac{2Mg(h – h_0)}{5 P_0 S (h – h_0) + (M + M_0)g (5h – 2h_0)}\)

問(8)

思考の道筋とポイント
問(7)の式に、与えられた具体的な条件を代入して値を求めます。
条件: \(M = 2M_0\), \(M_0 = \frac{P_0 S}{g}\), \(h = 2h_0\)

この設問における重要なポイント

  • 代入計算: 複雑な式に条件を正確に代入し、整理します。

具体的な解説と立式
問(7)で求めた熱効率の式に、与えられた条件を代入します。
$$
\begin{aligned}
e &= \frac{2Mg(h – h_0)}{5 P_0 S (h – h_0) + (M + M_0)g (5h – 2h_0)}
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 特になし(代入計算)
計算過程

まず、各変数を \(P_0, S, h_0\) などで表します。
\(M_0 g = P_0 S\) より、
$$
\begin{aligned}
Mg &= 2 M_0 g \\[2.0ex]
&= 2 P_0 S
\end{aligned}
$$
また、
$$
\begin{aligned}
(M + M_0)g &= 3 M_0 g \\[2.0ex]
&= 3 P_0 S
\end{aligned}
$$
さらに、
$$
\begin{aligned}
h – h_0 &= 2h_0 – h_0 \\[2.0ex]
&= h_0
\end{aligned}
$$
これらを問(7)の式の分子・分母に代入します。

分子:
$$
\begin{aligned}
(\text{分子}) &= 2 \cdot (2 P_0 S) \cdot h_0 \\[2.0ex]
&= 4 P_0 S h_0
\end{aligned}
$$

分母:
$$
\begin{aligned}
(\text{分母}) &= 5 P_0 S (h_0) + (3 P_0 S) (5(2h_0) – 2h_0) \\[2.0ex]
&= 5 P_0 S h_0 + 3 P_0 S (8h_0) \\[2.0ex]
&= 5 P_0 S h_0 + 24 P_0 S h_0 \\[2.0ex]
&= 29 P_0 S h_0
\end{aligned}
$$

よって、熱効率は
$$
\begin{aligned}
e &= \frac{4 P_0 S h_0}{29 P_0 S h_0} \\[2.0ex]
&= \frac{4}{29}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

具体的な数値を代入して、熱効率を計算しました。約 \(13.8\%\) 程度の効率であることが分かります。

結論と吟味

答えは \(\frac{4}{29}\) です。無次元数となり、\(0 < e < 1\) を満たしているため妥当です。

解答 (8) \(\displaystyle \frac{4}{29}\)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?

  • 熱力学第一法則とエネルギー保存則
    • 核心: 気体が得た熱量 \(Q\) は、内部エネルギーの変化 \(\Delta U\) と外部への仕事 \(W\) に分配される(\(Q = \Delta U + W\))というエネルギー保存の法則です。
    • 理解のポイント:
      • 定積変化: \(W=0\) なので、熱はすべて温度上昇(\(\Delta U\))に使われます。
      • 定圧変化: 熱は温度上昇(\(\Delta U\))と膨張仕事(\(W\))の両方に使われます。この比率は単原子分子理想気体なら \(3:2\) です。
  • ピストンの力のつりあいと圧力の定義
    • 核心: ピストンが静止または等速で動くとき、気体の圧力 \(P\) は、外部からの力(大気圧 \(P_0 S\) + 重力 \(Mg\))とつりあっています。
    • 理解のポイント:
      • 圧力の決定: 状態方程式 \(PV=nRT\) だけでなく、力学的なつりあい \(PS = P_0 S + Mg\) から圧力が決まるケースが多々あります。
      • 定圧の条件: ピストンにおもりが乗ったまま自由に動けるなら、その過程は定圧変化になります。

応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点

  • 応用できる類似問題のパターン:
    • バネ付きピストン: ピストンにバネがついている場合、弾性力 \(kx\) が加わるため、圧力 \(P\) は体積 \(V\)(または位置 \(x\))の一次関数になります。\(p-V\) グラフは斜めの直線になります。
    • 断熱変化を含むサイクル: 「断熱圧縮」「断熱膨張」という言葉があれば、\(Q=0\) より \(W = -\Delta U\) となり、ポアソンの式 \(PV^{\gamma} = \text{一定}\) を利用します。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 変化の種類の特定: 「固定された」\(\to\) 定積、「自由に動く」\(\to\) 定圧、「熱の出入りなし」\(\to\) 断熱、「温度一定」\(\to\) 等温。キーワードから変化を特定します。
    2. \(p-V\) グラフの描画: 文章だけで考えず、必ず横軸 \(V\)、縦軸 \(P\) のグラフを描き、状態がどう移動するかを矢印で書き込みます。仕事は面積として視覚化されます。

要注意!ありがちなミス・誤解とその対策

  • 熱効率の計算における分母の取り違え:
    • 誤解: 熱効率 \(e = \frac{W_{\text{正味}}}{Q_{\text{吸}}}\) の分母に、放熱過程(\(Q<0\))の熱量まで足し合わせてしまう、あるいは正味の熱量(\(Q_{\text{吸}} – Q_{\text{放}}\))を入れてしまう。
    • 対策: 必ず各過程の \(Q\) の符号を確認し、「プラスのもの(吸熱)」だけをピックアップして分母にする習慣をつけましょう。
  • 圧力計算での大気圧の忘れ:
    • 誤解: ピストンを押す力は重力 \(Mg\) だけだと考え、\(P = \frac{Mg}{S}\) としてしまう。
    • 対策: ピストンの外側には必ず「大気」がいます。力のつりあいの図を描くときは、最初に「大気圧による力 \(P_0 S\)」を矢印で書き込みましょう。

なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法

  • 問(6)での解法選択(\(p-V\) グラフの面積 vs 力学的エネルギー保存則):
    • 選定理由: メイン解法(グラフ面積)は定義に忠実で汎用性が高いですが、計算量が増えます。別解(力学的エネルギー)は、「結局何を持ち上げたか」を見るだけで瞬殺できるため、検算や時短に最適です。
    • 適用根拠: サイクルが一巡して気体の状態が元に戻る場合、気体がした正味の仕事は、外界(おもり等)の力学的エネルギー変化と等しくなります。
  • 問(2)(4)での解法選択(モル比熱の公式 vs 第一法則の微分形):
    • 選定理由: モル比熱の公式(\(Q = nC\Delta T\))は計算が速いですが、公式を忘れると詰みます。第一法則の微分形(\(dQ = dU + PdV\))は、原理から導くため応用が効き、物理的理解も深まります。
    • 適用根拠: 理想気体であれば常に成立する第一法則と状態方程式に基づいているため、どのような変化(例えばバネ付きピストンなど比熱が一定でない場合)でも適用可能です。

計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック

  • 次元解析(ディメンションチェック):
    • 意識: 足し算・引き算をする項同士は、必ず同じ単位(次元)でなければなりません。
    • 実践: \(P_0 S + Mg\) という式を見たとき、\(P_0 S\) は \([\text{Pa}]\cdot[\text{m}^2] = [\text{N}]\)、\(Mg\) も \([\text{kg}]\cdot[\text{m}/\text{s}^2] = [\text{N}]\) で、共に「力」の次元になっていることを確認します。
  • 文字式の「塊(かたまり)」での処理:
    • 意識: 複雑な式を早めに展開すると、項が増えてミスのもとになります。
    • 実践: \(P_1 = P_0 + \frac{(M+M_0)g}{S}\) のような式は、\(P_1\) という文字のまま計算を進め、最後に代入するか、\(P_1 – P_3\) のように差の形を作ってから代入して項を消去します。
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問題77 半透膜で仕切られた2種類の気体 (22 東京大)

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問[A]の別解1: 等方性を用いた解法(模範解答※A)
      • 速度の各成分の二乗平均が等しいこと(等方性)を利用し、圧力の公式を簡潔に導きます。
    • 設問[A]の別解2: 微積分を用いた体系的解法(運動方程式)
      • 個々の衝突による力積の総和ではなく、流体的な視点から運動量変化率として圧力を導出します。
    • 設問[B]の別解: 微積分を用いた体系的解法(全微分)
      • 状態方程式と熱力学第一法則を微分形式で記述し、微小変化の関係式を数学的に厳密かつ機械的に導出します。
    • 設問[C]の別解: 系全体でのエネルギー保存則(模範解答※D)
      • 気体XとYを個別に計算するのではなく、系全体を一つの熱力学的な対象として捉え、エネルギー収支を一括で計算します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 微積分の解法: 複雑な設定(半透膜や複数の気体)においても、基本原理(保存則や状態方程式)に立ち返ることで、迷いなく式を立てられるようになります。特に[B]のような微小変化の問題では、全微分の手法が計算ミスを劇的に減らします。
    • 系全体の視点: 個別の計算を積み上げるよりも計算量が減り、物理的な全体像(エネルギーの流れ)を把握しやすくなります。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「半透膜を含む複合的な気体系の熱力学」です。
気体分子運動論から始まり、断熱変化、そして定圧・定積変化が混在する過程まで、多角的な理解が問われます。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 気体分子運動論: 圧力は、気体分子が壁に衝突する際の運動量変化(力積)の総和として生じます。
  2. 半透膜の性質: 気体Xは膜を自由に通過できるため、領域1と2全体に広がりますが、気体Yは膜を通過できず領域2のみに存在します。
  3. 分圧の法則: 混合気体の全圧は、各成分気体の分圧の和になります。
  4. 熱力学第一法則: \(Q = \Delta U + W\) (吸収した熱量 = 内部エネルギーの変化 + 外部へした仕事)。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. [A]では、分子1個の衝突から受ける力を計算し、それを全分子に拡張して圧力を求めます。XとYの存在領域の違いに注意します。
  2. [B]では、断熱変化における微小量の関係を扱います。熱力学第一法則と状態方程式の微小変化(微分)を連立します。
  3. [C]では、おもりによる定圧条件と、ヒーターによる加熱過程を追跡します。Xは定圧変化、Yは定積変化となることを見抜きます。

[A] 気体分子運動論 問(1)

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