エネルギーのルールと力学的エネルギー保存則【イメージ重視の物理基礎】

  • まずはザックリ理解したい
  • イメージを優先したい
  • 苦手を克服したい

このような方向けに解説をしていきます。

【今回わかること】

  • 物理におけるエネルギーとはなにか
  • 力学で覚えるエネルギーはなにがあるか
  • 力学的エネルギー保存則とはなにか

物理でエネルギーと呼べるものには条件がある

物理におけるエネルギーとは、次の条件を満たすものです。

  • ほかの物体を動かせる
  • ほかの物体を変形させることができる

例えば、店員さんが台車を押している状況について考えてみましょう。

静止していた台車を店員さんが押すことで、台車を動かすことができたということなので、店員さんはエネルギーを持っているということになります。

そのまま台車から手を離し、動いている台車が空の段ボールにぶつかったとします。

ぶつかられた段ボールは衝撃でへこんでしまいますよね。

つまり、台車が段ボールを変形させることができたということなので、台車はエネルギーを持っているということになります。

まこと
エネルギーには「動かせる or 変形させられる」という条件がある!

 

エネルギーの種類とそれぞれの具体例

エネルギーはいろいろな形で存在しています。

エネルギーの種類具体例
運動エネルギー
  • 動いている台車
  • 走っている車
  • 飛んでいるボール
位置エネルギー
  • 高いところにあるもの
  • 縮んでいるばね
  • 伸びているばね
電気エネルギー
  • モーター
  • 電球
  • 電気自動車
熱エネルギー
  • 火力発電
  • トースター
  • アイロン
光エネルギー
  • 太陽光
  • 照明器具
化学エネルギー
  • 電池
  • ガソリンエンジン
  • 人間の筋肉
核エネルギー
  • 太陽
  • 原子力発電

「運動エネルギー」
動いているものが持っているエネルギー

「位置エネルギー」
高いところにある物体、縮んでいる・伸びているばねの持つエネルギー

「電気エネルギー」
電気の持つエネルギー

「熱エネルギー」
熱の持つエネルギー

「光エネルギー」
光の持つエネルギー

「化学エネルギー」
化学変化を起こす前に物質が持つエネルギー

「核エネルギー」
原子核が分裂するときに出てくるエネルギー

  • ほかの物体を動かせる
  • ほかの物体を変形させることができる
まこと

このエネルギーのルールを満たすものが他にもないか、身の回りをよく観察してみましょう!

 

エネルギーが別の種類に変わっても合計の量は変わらない

ある種類のエネルギーが減ったとしても、違う種類のエネルギーが増えています。

例えば「蛍光灯」では、『電気エネルギー』を『光エネルギーと熱エネルギー』に変えています。

電気をつけて時間がたってから蛍光灯を触ると、少し暖かく感じる(つまり熱エネルギーを持っている)のが分かります。

蛍光灯に与えた電気エネルギーを100とした場合、『光エネルギーに80・熱エネルギーに20使う』というように、エネルギーの種類が変わったとしても合計の量は変化しません

1万円札を両替して『1000円札9枚・100円玉10枚』にしたとき、紙幣や硬貨の種類が変わっても合計金額は変わらないというのと同じことです。

まこと
エネルギーの見た目が変わるだけで、量は変わっていない!

 

力学的エネルギーは『運動エネルギー』と『位置エネルギー』

力学分野で扱うエネルギーは次の3つです。

  • 運動エネルギー
  • 重力による位置エネルギー
  • 弾性力による位置エネルギー(弾性エネルギー)

運動エネルギーとは動いているものが持ってるエネルギーのことで、質量動いているときの速さからエネルギーの量を調べることができます。

 

重力による位置エネルギーとは、高いところにあるものが持っているエネルギーのことで、質量重力加速度・高さからエネルギーの量を調べることができます。

 

弾性力による位置エネルギーとは、ばねが持っているエネルギーのことで、ばね定数ばねの伸び縮みの量からエネルギーの量を調べることができます。

まこと
3つのエネルギーは式も含めて覚えましょう!

 

『力学的エネルギー保存則』はエネルギーの合計が変わらないということ

はじめに持っている力学的エネルギーの合計が変わらないことを『力学的エネルギー保存則』と呼びます。

運動エネルギー・重力による位置エネルギー・弾性力による位置エネルギー、それぞれの量が変わっても、合計したときの量はつねに同じになるということです。

バンジージャンプを例にイメージしてみましょう。

飛ぶときは高い位置にいるので「重力による位置エネルギー」を持っています。

このときのエネルギー(力学的エネルギーの合計)を100としましょう。

運動エネルギー重力による位置エネルギー弾性力による位置エネルギー
飛ぶとき01000
ロープがピンと張りはじめた瞬間60400
ロープが伸びきったとき0595
飛ぶときは、まだ動いていないので運動エネルギーは0、ロープがたるんでいて伸び縮みしていないので弾性力による位置エネルギーも0です。

ロープがピンと張りはじめた瞬間は、ある程度の速さで落ちているので運動エネルギー(60という値はなんとなく設定したもの)は増えていて、高さが減っているので重力による位置エネルギーは減っています。

ロープはまだ伸びているわけではないので、弾性力による位置エネルギーは0です。

(力学的エネルギーの合計100)-(運動エネルギー60)という計算をすることで、重力による位置エネルギーが40という値を求めることができます。

ロープが伸びきったときは、一瞬静止するので運動エネルギーは0、地面の近くまで高さが減っているはずなので重力の位置エネルギー(5という値はなんとなく設定したもの)も減っています。

(力学的エネルギーの合計100)-(重力の位置エネルギー5)という計算をすることで、弾性力による位置エネルギーが95という値を求めることができます。

 

ただし、重力と弾性力以外で運動のようすを変えてしまう力が働いていたら力学的エネルギーは保存しないという点に注意が必要です。

例えば、摩擦力が働いて物体を減速させてしまったり、誰かが物体を押して加速させてしまったりする場合には力学的エネルギーは保存されないということになります。

まこと
働いている力をすべてチェックしたうえで、力学的エネルギーが保存するのか判断することが大切!

 

まとめ

エネルギーというものは直感的にもイメージがわきやすいです。

イメージと同時に、物理におけるエネルギーのルールも合わせて覚えておきましょう。

  • ほかの物体を動かせる
  • ほかの物体を変形させることができる

 

エネルギーの公式に数値を代入して値を求める基本問題はこちらからチャレンジしてみましょう!
(はじめの3問のみエネルギーの問題)

エネルギー保存則についてはこちらで練習しましょう!

 

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