問題52 万有引力 (関西学院大)
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問[A](2)の別解: 速さ \(v\) を用いた解法
- 模範解答が角速度 \(\omega\) を用いて周期を求めるのに対し、円運動の速さ \(v\) を経由して周期を求めます。
- 設問[A]の別解: 微積分と保存則を用いた体系的解法(一括解説)
- 運動方程式と万有引力ポテンシャルの定義から出発し、力学的エネルギー保存則やビリアル定理(運動エネルギーとポテンシャルの関係)を導出することで、設問(1)〜(6)を一貫した論理で解きます。
- 設問[B](3)の別解: 重心の定義を用いた解法
- 運動方程式の比較ではなく、質量と距離の逆比関係(重心の性質)を利用して幾何学的に解きます。
- 設問[B]の別解: 換算質量と相対運動方程式を用いた体系的解法(一括解説)
- 2つの天体の運動方程式を「相対運動」の方程式に変換し、連星系を「換算質量を持つ1つの粒子が固定中心の周りを回る運動」として扱うことで、周期の公式を一般化して導きます。
- 設問[A](2)の別解: 速さ \(v\) を用いた解法
- 上記の別解が有益である理由
- 速さを用いる解法: 問題の条件によっては速さが先に求まる場合もあり、柔軟な対応力を養います。
- 微積分の解法: 公式の暗記ではなく、エネルギーと力の関係性を深く理解することで、(5)(6)のような変化を問う問題に対して直感のみに頼らない強固な論理構築力を身につけます。
- 重心の解法: 連星系における天体の配置バランスを直感的に把握でき、計算量を大幅に削減できます。
- 換算質量の解法: 二体問題を一体問題に帰着させる物理学の強力な手法であり、難関大で頻出のテーマへの応用力が飛躍的に向上します。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「万有引力を受ける天体の円運動と連星系」です。
前半[A]では地球が静止している単純なモデルを、後半[B]では互いに引力を及ぼし合いながら共通重心の周りを回る「連星」のモデルを扱います。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 万有引力の法則: 質量 \(M, m\) の2物体間には、距離 \(r\) の2乗に反比例する引力が働きます。\(F = G\frac{Mm}{r^2}\)。
- 等速円運動の運動方程式: 半径 \(r\)、角速度 \(\omega\)(または速さ \(v\))で円運動する物体には、中心向きに \(mr\omega^2\)(または \(m\frac{v^2}{r}\))の向心力が働きます。この向心力の正体が万有引力です。
- 力学的エネルギー保存則: 万有引力による位置エネルギー \(U = -G\frac{Mm}{r}\) を考慮したエネルギー保存則が成立します。
- 連星の運動: 2つの天体は、互いの万有引力を向心力として、共通重心を中心とする同心円上を同じ角速度で回転します。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- [A]: 月の運動方程式を立て、円運動のパラメータ(周期、エネルギー)を計算します。エネルギーの変化に伴う軌道半径や速さの変化は、数式の依存関係から論理的に導きます。
- [B]: 地球と月それぞれの運動方程式を立てます。両者が「同じ角速度」で「共通重心」の周りを回るという拘束条件を利用して連立し、軌道半径や周期を求めます。
【問[A]】問(1)
思考の道筋とポイント
万有引力の法則の公式を適用します。
地球(質量 \(M\))と月(質量 \(m\))の距離は \(r_0\) です。
この設問における重要なポイント
- 万有引力の法則: 2物体間には引力が働き、その大きさは質量の積に比例し、距離の2乗に反比例します。
具体的な解説と立式
万有引力の法則より、月が地球から受ける力の大きさ \(F\) を立式します。
$$
\begin{aligned}
F &= G \frac{Mm}{{r_0}^2}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 万有引力の法則: \(F = G\frac{m_1 m_2}{r^2}\)
立式そのものが答えとなります。
公式の確認問題です。質量 \(M\) と \(m\) の物体が距離 \(r_0\) 離れているとき、お互いに引き合う力の大きさは \(G\frac{Mm}{{r_0}^2}\) になります。
答えは \(G\frac{Mm}{{r_0}^2}\) です。距離の2乗に反比例する形になっており妥当です。
問(2)
思考の道筋とポイント
月は等速円運動をしています。円運動を持続させるためには、中心向きの力(向心力)が必要です。
この向心力の役割を果たしているのが、(1)で求めた万有引力です。
運動方程式を立てて角速度 \(\omega\) を求め、そこから周期 \(T\) を導きます。
この設問における重要なポイント
- 向心力の正体: 「向心力」という特別な力が存在するわけではなく、万有引力が向心力として機能しています。
- 周期と角速度の関係: \(T = \frac{2\pi}{\omega}\) の関係を用います。
具体的な解説と立式
月の角速度を \(\omega\) とします。
月(質量 \(m\))は半径 \(r_0\) の円軌道を運動しています。
円運動の運動方程式(半径方向)を、中心向きを正として立式します。
$$
\begin{aligned}
(\text{質量}) \times (\text{加速度}) &= (\text{中心向きの力}) \\[2.0ex]
m r_0 \omega^2 &= G \frac{Mm}{{r_0}^2} \quad \cdots ①
\end{aligned}
$$
また、周期 \(T\) と角速度 \(\omega\) の関係式は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
T &= \frac{2\pi}{\omega} \quad \cdots ②
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 等速円運動の運動方程式: \(mr\omega^2 = F\)
- 周期の公式: \(T = \frac{2\pi}{\omega}\)
式①より、\(\omega\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
\omega^2 &= \frac{G M}{{r_0}^3} \\[2.0ex]
\omega &= \sqrt{\frac{G M}{{r_0}^3}} \quad (\omega > 0)
\end{aligned}
$$
これを式②に代入して \(T\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
T &= \frac{2\pi}{\sqrt{\frac{G M}{{r_0}^3}}} \\[2.0ex]
&= 2\pi \sqrt{\frac{{r_0}^3}{G M}} \\[2.0ex]
&= 2\pi r_0 \sqrt{\frac{r_0}{G M}}
\end{aligned}
$$
(※根号の中を整理して \(2\pi r_0 \sqrt{\frac{r_0}{GM}}\) としても、\(2\pi \sqrt{\frac{{r_0}^3}{GM}}\) としても正解です。模範解答の形式に合わせます。)
月が地球の周りを回り続けるためには、遠心力で飛んでいかないように、常に地球の方へ引っ張る力が必要です。その力が万有引力です。
「回転に必要な力 = 万有引力」という式を作ることで、回転の速さ(角速度)が決まり、そこから1周にかかる時間(周期)が求まります。
答えは \(2\pi r_0 \sqrt{\frac{r_0}{GM}}\) です。
ケプラーの第3法則 \(T^2 \propto {r_0}^3\) を満たしていることが確認できます。
思考の道筋とポイント
角速度 \(\omega\) ではなく、速さ \(v\) を用いて運動方程式を立てることも可能です。
周期 \(T\) は「円周の長さ \(\div\) 速さ」で求められます。
この設問における重要なポイント
- 運動方程式の形式: 速さ \(v\) を用いる場合、向心加速度は \(\frac{v^2}{r}\) となります。
- 周期の定義: 距離 \(2\pi r\) を速さ \(v\) で移動する時間が周期です。
具体的な解説と立式
月の速さを \(v\) とします。
運動方程式(半径方向)は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
m \frac{v^2}{r_0} &= G \frac{Mm}{{r_0}^2} \quad \cdots ③
\end{aligned}
$$
周期 \(T\) は、円周 \(2\pi r_0\) を速さ \(v\) で回る時間なので、以下の式で表されます。
$$
\begin{aligned}
T &= \frac{2\pi r_0}{v} \quad \cdots ④
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 等速円運動の運動方程式: \(m\frac{v^2}{r} = F\)
- 周期の公式: \(T = \frac{2\pi r}{v}\)
式③より \(v\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
v^2 &= \frac{G M}{r_0} \\[2.0ex]
v &= \sqrt{\frac{G M}{r_0}}
\end{aligned}
$$
これを式④に代入します。
$$
\begin{aligned}
T &= \frac{2\pi r_0}{\sqrt{\frac{G M}{r_0}}} \\[2.0ex]
&= 2\pi r_0 \sqrt{\frac{r_0}{G M}}
\end{aligned}
$$
角速度(1秒間に何度回るか)ではなく、速さ(1秒間に何メートル進むか)を使って計算しました。
「円周の長さ」を「速さ」で割れば、1周にかかる時間(周期)が出ます。
結果は当然、角速度を使った場合と同じになります。
メインの解法と同じ結果が得られました。速さ \(v = \sqrt{\frac{GM}{r_0}}\) は「第一宇宙速度」に対応する重要な式です。
問(3)
思考の道筋とポイント
運動エネルギーの定義は \(K = \frac{1}{2}mv^2\) です。
問(2)の別解で求めた \(v\) を代入するか、運動方程式を変形して \(mv^2\) の形を作ります。
この設問における重要なポイント
- 運動エネルギーの定義: \(K = \frac{1}{2}mv^2\)
- 運動方程式の活用: 運動方程式 \(m\frac{v^2}{r} = F\) の両辺に \(\frac{r}{2}\) を掛けると、左辺が運動エネルギーになります。
具体的な解説と立式
運動エネルギー \(K\) の定義式は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
K &= \frac{1}{2} m v^2 \quad \cdots ⑤
\end{aligned}
$$
ここで、問(2)別解の運動方程式(式③)を再利用します。
$$
\begin{aligned}
m \frac{v^2}{r_0} &= G \frac{Mm}{{r_0}^2}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 運動エネルギー: \(K = \frac{1}{2}mv^2\)
運動方程式の両辺に \(\frac{r_0}{2}\) を掛けます。
$$
\begin{aligned}
\frac{r_0}{2} \cdot \left( m \frac{v^2}{r_0} \right) &= \frac{r_0}{2} \cdot \left( G \frac{Mm}{{r_0}^2} \right) \\[2.0ex]
\frac{1}{2} m v^2 &= \frac{G Mm}{2 r_0}
\end{aligned}
$$
左辺は運動エネルギー \(K\) そのものです。
$$
\begin{aligned}
K &= \frac{G Mm}{2 r_0}
\end{aligned}
$$
運動エネルギーを計算するには速さが必要ですが、わざわざ速さを求めてから代入しなくても、運動方程式を少し変形するだけで直接エネルギーの形を作ることができます。
「万有引力の半分」に相当するエネルギーを持っていることがわかります。
答えは \(\frac{GMm}{2r_0}\) です。正の値であり、距離 \(r_0\) が大きいほど(速さが遅くなるため)小さくなるという性質も妥当です。
問(4)
思考の道筋とポイント
力学的エネルギー \(E\) は、運動エネルギー \(K\) と位置エネルギー \(U\) の和です。
万有引力による位置エネルギーの公式 \(U = -G\frac{Mm}{r}\) を用います(基準は無限遠)。
この設問における重要なポイント
- 力学的エネルギーの定義: \(E = K + U\)
- 万有引力の位置エネルギー: 無限遠を基準とすると \(U = -G\frac{Mm}{r}\) となります。
具体的な解説と立式
力学的エネルギー \(E\) の定義式は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
E &= K + U
\end{aligned}
$$
ここで、位置エネルギー \(U\) は以下の式で与えられます。
$$
\begin{aligned}
U &= -G \frac{Mm}{r_0}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 万有引力による位置エネルギー: \(U = -G\frac{Mm}{r}\)
(3)で求めた \(K\) と、上記の \(U\) を代入して計算します。
$$
\begin{aligned}
E &= \frac{G Mm}{2 r_0} + \left( -G \frac{Mm}{r_0} \right) \\[2.0ex]
&= \frac{G Mm}{2 r_0} – \frac{2 G Mm}{2 r_0} \\[2.0ex]
&= – \frac{G Mm}{2 r_0}
\end{aligned}
$$
運動エネルギー(プラスのエネルギー)と位置エネルギー(マイナスのエネルギー)を合計します。
円運動の場合、位置エネルギーの絶対値は運動エネルギーのちょうど2倍になっています。そのため、合計すると位置エネルギーの半分がマイナスとして残ります。
エネルギーがマイナスであることは、月が地球の引力に束縛されていて、無限遠まで逃げるにはエネルギーが必要であることを意味します。
答えは \(-\frac{GMm}{2r_0}\) です。束縛状態を示す負の値となっており妥当です。
問(5)
思考の道筋とポイント
「力学的エネルギー \(E\) が減少した」という条件から、軌道半径 \(r_0\) の変化を読み取ります。
(4)で求めた \(E\) と \(r_0\) の関係式を利用します。
「減少する」とは、数値直線上で左へ移動すること(負の値なら、絶対値が大きくなること)を意味します。
この設問における重要なポイント
- 負のエネルギーの大小関係: 負の値において「減少する」とは、絶対値が大きくなることを意味します(例: \(-5 \to -10\))。
具体的な解説と立式
(4)の結果より、力学的エネルギー \(E\) は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
E &= – \frac{G Mm}{2 r_0}
\end{aligned}
$$
この式に基づいて、\(E\) が減少したときの \(r_0\) の変化を考察します。
使用した物理公式
- 特になし(前問の結果を利用)
\(E\) は負の値です。\(E\) が減少するということは、より大きなマイナスの値になる(絶対値 \(|E|\) が大きくなる)ことを意味します。
$$
\begin{aligned}
|E| &= \frac{G Mm}{2 r_0}
\end{aligned}
$$
この絶対値が大きくなるためには、分母にある \(r_0\) は小さくなる必要があります。
エネルギーの式を見ると、距離 \(r_0\) が分母にあります。
エネルギーが減る(より深いマイナスになる)ということは、地球に近づいて引力の井戸の底へ落ちていくことを意味します。つまり、距離は小さくなります。
\(r_0\) は小さくなります。よって選択肢は ② です。
問(6)
思考の道筋とポイント
(5)で \(r_0\) が小さくなることがわかりました。
これと、(3)で求めた運動エネルギー \(K\)(または速さ \(v\))と \(r_0\) の関係式を用いて、速さの変化を判断します。
この設問における重要なポイント
- 軌道半径と速さの関係: 円運動では、中心に近いほど速く回る必要があります。
具体的な解説と立式
(2)別解より、速さ \(v\) と半径 \(r_0\) の関係は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
v &= \sqrt{\frac{G M}{r_0}}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 特になし(前問の結果を利用)
(5)より、\(r_0\) は小さくなります。
\(r_0\) が分母にあるため、\(r_0\) が減少すると、全体の値(速さ \(v\))は大きくなります。
地球に近い軌道ほど、強い引力に逆らって落ちないようにするために、猛スピードで回る必要があります。
エネルギーを失って内側の軌道に落ちてくると、月は以前より速く回ることになります。
(※「エネルギーが減るのに速くなる」というのは直感に反するかもしれませんが、位置エネルギーが大きく減少し、その分の一部が運動エネルギーに変わって加速するためです。)
速さは速くなります。よって選択肢は ① です。
思考の道筋とポイント
設問(1)〜(6)は、万有引力場中の円運動という一つの物理モデルで繋がっています。
運動方程式とポテンシャルの定義から出発し、ビリアル定理(運動エネルギーと位置エネルギーの比率関係)を導くことで、全ての設問を一貫して解くことができます。
この設問における重要なポイント
- ポテンシャルの定義: 力の積分として定義されます。
- ビリアル定理: 万有引力(逆2乗力)の下での円運動では、\(2K + U = 0\) が成り立ちます。
具体的な解説と立式
1. 万有引力ポテンシャルの導出
万有引力 \(F(r) = -G\frac{Mm}{r^2}\)(引力なので負)に逆らって、無限遠から距離 \(r\) まで運ぶ外力の仕事を計算し、位置エネルギー \(U(r)\) を定義します。
$$
\begin{aligned}
U(r) &= \int_{\infty}^{r} \left( -F(x) \right) dx
\end{aligned}
$$
2. 運動方程式と運動エネルギー
極座標 \((r, \theta)\) における半径方向の運動方程式 \(m(\ddot{r} – r\dot{\theta}^2) = F_r\) を立てます。
円運動では半径一定(\(\ddot{r}=0\))、角速度一定(\(\dot{\theta}=\omega\))なので、以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
m(0 – r\omega^2) &= -G\frac{Mm}{r^2}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 仕事とエネルギーの定義: \(U = -\int F dx\)
- 極座標の運動方程式: \(m(\ddot{r} – r\dot{\theta}^2) = F_r\)
1. ポテンシャルの計算
$$
\begin{aligned}
U(r) &= \int_{\infty}^{r} G\frac{Mm}{x^2} dx \\[2.0ex]
&= G Mm \left[ -\frac{1}{x} \right]_{\infty}^{r} \\[2.0ex]
&= -G \frac{Mm}{r}
\end{aligned}
$$
2. 運動方程式の整理
$$
\begin{aligned}
m r \omega^2 &= G\frac{Mm}{r^2} \quad \cdots ⑥
\end{aligned}
$$
これが(1)(2)の基礎となります。
ここで \(v = r\omega\) を用いて運動エネルギー \(K\) を作ります。式⑥の両辺に \(r/2\) を掛けます。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{2} m (r\omega)^2 &= \frac{1}{2} G\frac{Mm}{r} \\[2.0ex]
K &= \frac{G Mm}{2r} \quad \cdots ⑦
\end{aligned}
$$
これが(3)の答えです。
3. ビリアル定理と力学的エネルギー
式⑦と位置エネルギー \(U = -G\frac{Mm}{r}\) を比較すると、以下の美しい関係(ビリアル定理)が見つかります。
$$
\begin{aligned}
K &= – \frac{1}{2} U
\end{aligned}
$$
これより、力学的エネルギー \(E\) は次のように表せます。
$$
\begin{aligned}
E &= K + U \\[2.0ex]
&= -\frac{1}{2} U + U \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2} U \\[2.0ex]
&= -K
\end{aligned}
$$
つまり、\(E = -K = \frac{1}{2}U\) という単純な比例関係が成り立ちます。
具体的に書くと、以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
E &= – \frac{G Mm}{2r} \quad \cdots ⑧
\end{aligned}
$$
これが(4)の答えです。
4. エネルギー変化の考察
式⑧ \(E = -K\) より、以下の因果関係が瞬時に導けます。
- \(E\) が減少する(より負になる) \(\rightarrow\) \(-K\) がより負になる \(\rightarrow\) \(K\) は増加する。
- \(K = \frac{1}{2}mv^2\) が増加する \(\rightarrow\) 速さ \(v\) は速くなる(問(6)の答え)。
- \(K = \frac{GMm}{2r}\) が増加する \(\rightarrow\) 分母の \(r\) は小さくなる(問(5)の答え)。
運動方程式から導かれる \(2K + U = 0\) という関係(ビリアル定理)を知っていれば、エネルギー \(E\)、運動エネルギー \(K\)、位置エネルギー \(U\) の増減が連動していることが一目瞭然となります。
「エネルギーを失う(\(E \downarrow\))と、より深く落ち込み(\(r \downarrow\))、その分加速する(\(v \uparrow\))」という人工衛星の挙動を直感的に理解できる強力なツールです。
微積分と保存則を用いることで、個別の設問を解くだけでなく、物理量同士の深い関係性を理解できます。
【問[B]】問(1)
思考の道筋とポイント
月は点Oを中心とする半径 \(r_1\) の円運動を行っています。
向心力の公式 \(F = mr\omega^2\) をそのまま適用します。
この設問における重要なポイント
- 回転半径の確認: 月の回転半径は \(r_1\) です。
具体的な解説と立式
月の質量は \(m\)、回転半径は \(r_1\)、角速度は \(\omega\) です。
向心力の大きさ \(F_1\) を立式します。
$$
\begin{aligned}
F_1 &= m r_1 \omega^2
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 向心力: \(F = mr\omega^2\)
立式そのものが答えとなります。
月は点Oの周りを回っているので、点Oに向かう力が必要です。
その力の大きさは、質量と半径と回転の速さ(角速度)で決まります。
答えは \(mr_1\omega^2\) です。
問(2)
思考の道筋とポイント
月が円運動するための向心力 \(F_1\) は、地球との間の万有引力によって供給されています。
万有引力の距離は、地球と月の間の距離 \(r_0\) であることに注意します。
この設問における重要なポイント
- 力の距離と回転半径の違い: 万有引力の距離は \(r_0\) ですが、回転半径は \(r_1\) です。これらを混同しないことが重要です。
具体的な解説と立式
月の半径方向の運動方程式を立てます。
左辺は(1)の向心力、右辺は万有引力です。
$$
\begin{aligned}
m r_1 \omega^2 &= G \frac{Mm}{{r_0}^2}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 万有引力の法則: \(F = G\frac{Mm}{r^2}\)
この式を \(\omega\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
\omega^2 &= \frac{G M}{{r_1 {r_0}^2}} \\[2.0ex]
\omega &= \sqrt{\frac{G M}{r_1 {r_0}^2}}
\end{aligned}
$$
月を回転させている力は、地球からの引力です。
「回転に必要な力(向心力)」と「実際に働いている力(万有引力)」をイコールで結ぶことで、回転の速さ(角速度)が決まります。
答えは \(\sqrt{\frac{GM}{r_1 {r_0}^2}}\) です。
問(3)
思考の道筋とポイント
地球もまた、点Oを中心とする半径 \(r_2\) の円運動をしています。
地球の運動方程式を立て、月の運動方程式と連立させることで、回転中心Oの位置(つまり \(r_1\))を特定します。
幾何学的な条件 \(r_1 + r_2 = r_0\) も使用します。
この設問における重要なポイント
- 連星の条件: 2つの天体は共通重心の周りを同じ角速度 \(\omega\) で回ります。
- 作用・反作用の法則: 地球が月を引く力と、月が地球を引く力は同じ大きさです。
具体的な解説と立式
地球(質量 \(M\)、半径 \(r_2\))の運動方程式は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
M r_2 \omega^2 &= G \frac{Mm}{{r_0}^2} \quad \cdots ⑨
\end{aligned}
$$
月(質量 \(m\)、半径 \(r_1\))の運動方程式(問(2)より)は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
m r_1 \omega^2 &= G \frac{Mm}{{r_0}^2} \quad \cdots ⑩
\end{aligned}
$$
また、距離の関係式は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
r_1 + r_2 &= r_0 \quad \cdots ⑪
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 運動方程式: \(mr\omega^2 = F\)
式⑨と式⑩の右辺は同じ(作用・反作用の法則により万有引力の大きさは等しい)なので、左辺同士も等しくなります。
$$
\begin{aligned}
M r_2 \omega^2 &= m r_1 \omega^2
\end{aligned}
$$
\(\omega \neq 0\) なので、両辺を \(\omega^2\) で割ります。
$$
\begin{aligned}
M r_2 &= m r_1 \\[2.0ex]
r_2 &= \frac{m}{M} r_1
\end{aligned}
$$
これを式⑪に代入して \(r_2\) を消去します。
$$
\begin{aligned}
r_1 + \frac{m}{M} r_1 &= r_0 \\[2.0ex]
r_1 \left( 1 + \frac{m}{M} \right) &= r_0 \\[2.0ex]
r_1 \left( \frac{M+m}{M} \right) &= r_0 \\[2.0ex]
r_1 &= \frac{M}{M+m} r_0
\end{aligned}
$$
地球と月がお互いに引っ張り合って回るとき、重い地球はあまり動かず、軽い月は大きく動きます。
運動方程式を比べると、「質量 \(\times\) 回転半径」が等しいという関係が出てきます。これは、回転の中心Oが2つの天体の「重心」にあることを意味しています。
この重心の位置を計算すると、重い地球に近い場所になります。
答えは \(\frac{M}{M+m}r_0\) です。
\(M \gg m\) のとき \(r_1 \approx r_0\) となり、地球がほぼ動かず月が回る[A]の状態に近づくため妥当です。
思考の道筋とポイント
外力が働かない系では、全体の重心は等速直線運動(この場合は静止とみなせる点O)をします。
したがって、点Oは地球と月の重心と一致します。
重心の公式を使えば、運動方程式を立てずに \(r_1\) を求められます。
この設問における重要なポイント
- 重心の性質: 2物体の重心は、質量比の逆比に距離を内分する点に位置します。
具体的な解説と立式
点Oを原点とし、地球の位置を \(-r_2\)、月の位置を \(r_1\) とします。
重心の位置 \(x_G\) が原点Oにある(\(x_G=0\))という条件式は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
x_G &= \frac{M(-r_2) + m(r_1)}{M+m} = 0
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 重心の公式: \(x_G = \frac{m_1 x_1 + m_2 x_2}{m_1 + m_2}\)
分子が \(0\) になります。
$$
\begin{aligned}
-M r_2 + m r_1 &= 0 \\[2.0ex]
M r_2 &= m r_1
\end{aligned}
$$
これはメイン解法で導いた関係式と同じです。
あとは \(r_1 + r_2 = r_0\) と連立するだけです。
$$
\begin{aligned}
r_1 : r_2 &= M : m
\end{aligned}
$$
距離 \(r_0\) を質量比の逆比に内分するので、以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
r_1 &= \frac{M}{M+m} r_0
\end{aligned}
$$
回転の中心は、2つの天体の「重心」になります。
重心の位置は、質量の逆比(重い方に近い)になるという性質を使えば、計算なしでいきなり答えを書くこともできます。
計算量が少なく、直感的に理解しやすい解法です。
問(4)
思考の道筋とポイント
(2)で求めた角速度 \(\omega\) の式に、(3)で求めた \(r_1\) を代入して、\(r_1\) を消去します。
その後、\(T = \frac{2\pi}{\omega}\) を用いて周期を求めます。
この設問における重要なポイント
- 変数の消去: 答えに用いてよい文字は \(G, M, m, r_0\) なので、\(r_1\) を消去する必要があります。
具体的な解説と立式
(2)の結果より、以下の式が得られています。
$$
\begin{aligned}
\omega &= \sqrt{\frac{G M}{r_1 {r_0}^2}}
\end{aligned}
$$
これに (3)の結果 \(r_1 = \frac{M}{M+m}r_0\) を代入します。
使用した物理公式
- 周期の公式: \(T = \frac{2\pi}{\omega}\)
まず \(\omega\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
\omega &= \sqrt{\frac{G M}{\left( \frac{M}{M+m} r_0 \right) {r_0}^2}} \\[2.0ex]
&= \sqrt{\frac{G M (M+m)}{M {r_0}^3}} \\[2.0ex]
&= \sqrt{\frac{G (M+m)}{{r_0}^3}}
\end{aligned}
$$
次に周期 \(T\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
T &= \frac{2\pi}{\omega} \\[2.0ex]
&= 2\pi \sqrt{\frac{{r_0}^3}{G (M+m)}} \\[2.0ex]
&= 2\pi r_0 \sqrt{\frac{r_0}{G (M+m)}}
\end{aligned}
$$
連星の場合、お互いの質量が引き合う力を強める効果があるため、回転のペースが変わります。
結果の式を見ると、[A]の周期の式の分母にある \(M\) が、\(M+m\) に置き換わった形になっています。
これは、あたかも中心に「地球+月」の合計質量の天体があるかのように振る舞うことを示唆しています。
答えは \(2\pi r_0 \sqrt{\frac{r_0}{G(M+m)}}\) です。
\(m \to 0\) の極限をとると、[A](2)の答えと一致し、物理的に整合性があります。
思考の道筋とポイント
2つの物体が相互作用する「二体問題」は、相対運動の方程式に書き換えることで、「換算質量 \(\mu\) を持つ1つの粒子が、固定された力の中心の周りを回る問題」(一体問題)に帰着させることができます。
この視点を持つと、[A]の公式における質量 \(M\) を単純に置き換えるだけで[B]の答えが得られる理由が明確になります。
この設問における重要なポイント
- 相対運動方程式: \(\mu \ddot{\vec{r}} = \vec{F}\)
- 換算質量: \(\mu = \frac{Mm}{M+m}\)
具体的な解説と立式
1. 運動方程式の分離
地球(位置 \(\vec{r}_2\))と月(位置 \(\vec{r}_1\))の運動方程式をベクトルで立てます。互いに及ぼし合う力 \(\vec{F}\)(月が受ける引力)と \(-\vec{F}\)(地球が受ける引力)を用います。
$$
\begin{aligned}
m \ddot{\vec{r}}_1 &= \vec{F} \quad \cdots ⑫ \\[2.0ex]
M \ddot{\vec{r}}_2 &= -\vec{F} \quad \cdots ⑬
\end{aligned}
$$
2. 相対運動方程式の導出
相対位置ベクトル \(\vec{r} = \vec{r}_1 – \vec{r}_2\)(大きさは \(r_0\))の加速度 \(\ddot{\vec{r}}\) を求めます。
式⑫を \(m\)、式⑬を \(M\) で割り、差をとります。
$$
\begin{aligned}
\ddot{\vec{r}}_1 – \ddot{\vec{r}}_2 &= \frac{\vec{F}}{m} – \left( -\frac{\vec{F}}{M} \right)
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 運動方程式: \(m\vec{a} = \vec{F}\)
- 相対加速度の定義: \(\vec{a}_{\text{相対}} = \vec{a}_1 – \vec{a}_2\)
$$
\begin{aligned}
\ddot{\vec{r}} &= \left( \frac{1}{m} + \frac{1}{M} \right) \vec{F} \\[2.0ex]
\ddot{\vec{r}} &= \frac{M+m}{Mm} \vec{F}
\end{aligned}
$$
ここで、換算質量 \(\mu = \frac{Mm}{M+m}\) を定義すると、上式は次のように書けます。
$$
\begin{aligned}
\mu \ddot{\vec{r}} &= \vec{F}
\end{aligned}
$$
この式は、「質量 \(\mu\) の物体が、力 \(\vec{F}\) を受けて運動している」と解釈できます。
3. 万有引力場における円運動への適用
力 \(\vec{F}\) は万有引力なので、大きさは \(G\frac{Mm}{r_0^2}\) で、向きは引力(中心向き)です。
この「仮想的な粒子(質量 \(\mu\))」が半径 \(r_0\) で円運動する場合の運動方程式を立てます。
$$
\begin{aligned}
\mu r_0 \omega^2 &= G \frac{Mm}{{r_0}^2}
\end{aligned}
$$
\(\mu = \frac{Mm}{M+m}\) を代入して整理します。
$$
\begin{aligned}
\left( \frac{Mm}{M+m} \right) r_0 \omega^2 &= G \frac{Mm}{{r_0}^2}
\end{aligned}
$$
両辺の \(Mm\) を消去します。
$$
\begin{aligned}
\frac{r_0 \omega^2}{M+m} &= \frac{G}{{r_0}^2} \\[2.0ex]
\omega^2 &= \frac{G(M+m)}{{r_0}^3}
\end{aligned}
$$
これより周期 \(T\) は、以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
T &= \frac{2\pi}{\omega} \\[2.0ex]
&= 2\pi \sqrt{\frac{{r_0}^3}{G(M+m)}}
\end{aligned}
$$
2つの物体が動く複雑な問題を、「換算質量」という仮想的な質量を使うことで、1つの物体が動く単純な問題に置き換えるテクニックです。
これを使うと、[A]の公式の質量を少し書き換えるだけで、[B]の答えが一瞬で導けます。
この解法により、連星の周期公式は、地球静止モデル([A])の公式 \(T = 2\pi \sqrt{\frac{{r_0}^3}{GM}}\) において、中心天体の質量 \(M\) を 全質量 \(M+m\) に置き換えたものに等しいことが体系的に理解できます。
難関大入試において、二体問題を迅速かつ正確に処理するための最強のツールです。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 万有引力と向心力の関係
- 核心: 天体の円運動において、万有引力こそが円運動を維持するための向心力として機能しています。
- 理解のポイント:
- 「向心力」という独立した力があるわけではありません。
- 運動方程式 \(mr\omega^2 = F\) の右辺(力 \(F\))に万有引力 \(G\frac{Mm}{r^2}\) を代入することで、回転の速さや周期が決まります。
- 連星系における共通重心周りの運動
- 核心: 互いに引力を及ぼし合う2つの天体は、その共通重心を中心として、常に反対側に位置しながら同じ角速度で回転します。
- 理解のポイント:
- 重心不動: 外力が働かないため、重心は静止(または等速直線運動)します。
- 角速度の一致: 常に一直線上に並んで回るため、角速度 \(\omega\) と周期 \(T\) は両天体で共通です。
- 回転半径の比: 回転半径 \(r_1, r_2\) は質量の逆比になります(\(Mr_2 = mr_1\))。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 人工衛星の軌道変更: エネルギーの変化に伴う軌道半径や速さの変化を問う問題(問[A](5)(6))は、ビリアル定理(\(2K+U=0\))やエネルギー保存則を用いて定性的に判断するパターンとして頻出です。
- 原子核周りの電子の運動: クーロン力による円運動も、万有引力と全く同じ数式構造(逆2乗力)を持つため、同じ解法がそのまま適用できます。
- 三体問題への拡張: 3つの天体が正三角形の頂点に位置して回転する問題なども、個々の天体について「合力が重心に向かう向心力となる」という基本原理で解けます。
- 初見の問題での着眼点:
- 回転中心の特定: 「誰が止まっているのか?」「どこを中心に回っているのか?」を最初に見極めます。連星なら重心が中心です。
- 力の図示と立式: 回転中心に向かう力をすべて書き出し、運動方程式 \(ma = F\) を立てます。
- 幾何学的条件の確認: 連星の場合、\(r_1 + r_2 = r_0\) のような距離の関係式が必ず必要になります。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 回転半径と距離の混同:
- 誤解: 万有引力の式 \(G\frac{Mm}{r^2}\) の \(r\) と、向心力の式 \(mr\omega^2\) の \(r\) を同じものだと思い込んでしまう。
- 対策: 万有引力の \(r\) は「2物体間の距離(\(r_0\))」、向心力の \(r\) は「回転中心からの距離(\(r_1\))」です。図に明確に書き込み、別の文字でおいて区別しましょう。
- エネルギーと速さの直感的な誤解:
- 誤解: 「エネルギーが減る(ブレーキがかかる)のだから、速さは遅くなるはずだ」と直感で答えてしまう。
- 対策: 天体力学では「落ちると加速する」効果が支配的です。必ず \(E = -K\) や \(v = \sqrt{GM/r}\) などの数式に基づいて論理的に判断する癖をつけましょう。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 問[B]での連立方程式による解法:
- 選定理由: 2つの物体の運動を個別に記述し、幾何学的な拘束条件で結びつける最も基本的で確実な方法だからです。
- 適用根拠: それぞれの物体について運動方程式が成立し、かつ作用・反作用の法則により力が等しいことが保証されているため。
- 別解:換算質量を用いた解法:
- 選定理由: 複雑な連立方程式を解く手間を省き、既知の公式(1体問題の結果)を流用して瞬時に答えを導けるため、検算やスピード勝負に最適だからです。
- 適用根拠: 相互作用のみで運動する2体系は、数学的に1体問題と等価であることが証明されているため。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 次元解析(単位チェック):
- 意識: 答えの式が物理的に正しい次元を持っているか常に確認する。
- 実践: 例えば周期 \(T\) の答えなら、ルートの中身が \(\frac{[\text{L}]^3}{[\text{L}]^3 [\text{M}]^{-1} [\text{T}]^{-2} \cdot [\text{M}]}\) \(\rightarrow\) \([\text{T}]^2\) となり、ルートをとって時間の次元 \([\text{T}]\) になることを確認します。
- 極限の確認:
- 意識: 質量の一方を極端に小さくしたり大きくしたりして、既知の結果と一致するか試す。
- 実践: 連星の周期の式で \(m \to 0\) とすると、地球静止モデルの式と一致するか確認します。一致しなければ計算ミスを疑います。
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問題53 半球内での物体の円運動 (東北大)
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(1)の別解: 微分方程式を用いた単振動の導出
- 模範解答が復元力の比例関係から周期を求めるのに対し、運動方程式を微分方程式として立式し、単振動の一般解から周期を導きます。
- 設問(2)の別解: 慣性系(向心力)を用いた解法
- 模範解答が共に回転する観測者から見た「遠心力とのつり合い」で解くのに対し、静止した観測者から見た「向心力による運動方程式」で解きます。
- 設問(3)の別解: ベクトル図を用いた幾何学的解法
- 数式による成分計算だけでなく、重力と慣性力のベクトル合成を作図し、幾何学的な相似関係から直感的に解を導きます。
- 設問(4)の別解: 幾何学的考察(二等辺三角形の性質)を重視した解法
- 座標計算に頼らず、三角形OPSが二等辺三角形であることを利用して、角度や距離の関係を初等幾何学的に導出します。
- 設問(1)の別解: 微分方程式を用いた単振動の導出
- 上記の別解が有益である理由
- 微分方程式: 物理現象の根本原理から出発するため、公式を忘れても再現できる応用力が身につきます。
- 慣性系の視点: 座標系の取り方によらず物理法則が成立することを確認でき、現象への理解が深まります。
- 幾何学的解法: 複雑な計算を回避し、図形的直感で素早く正解に辿り着くテクニックを養います。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「拘束された物体の運動と慣性力」です。
半球の内面という曲面上での運動を通して、エネルギー保存則、円運動の運動方程式、そして加速系における慣性力(見かけの重力)の扱い方を総合的に問う良問です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 力学的エネルギー保存則: 摩擦がないため、重力による位置エネルギーと運動エネルギーの和は保存されます。
- 円運動の運動方程式: 円運動する物体には、中心向きに \(r\omega^2\)(または \(v^2/r\))の向心力が働きます。
- 単振り子の近似: 微小な振幅での往復運動は、復元力が変位に比例するため単振動とみなせます。
- 慣性力と見かけの重力: 加速している観測者から見ると、物体には加速度と逆向きに \(ma\) の慣性力が働きます。これと重力の合力を「見かけの重力」として扱うと、静止系と同様に解析できます。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 問(1): 鉛直面内の往復運動です。速さはエネルギー保存則、加速度は運動方程式から求めます。周期は単振り子との類似性に着目します。
- 問(2): 水平面内の等速円運動です。鉛直方向の力のつり合いと、水平方向の運動方程式(または遠心力とのつり合い)を連立させます。
- 問(3): 加速する台車上での運動です。慣性力を導入し、重力と合成した「見かけの重力」の方向を新たな鉛直方向とみなして解析します。
- 問(4): ひもで吊るされた状態での円運動です。垂直抗力が \(0\) になる条件(内面から離れる限界)と、張力が \(0\) になる条件(ひもがたるむ限界)をそれぞれ考察します。
問(1)
ここから先が、他の受験生と差がつく重要パートです。
「解法に至る思考プロセス」を
全て言語化した、超詳細解説。
なぜその公式を使うのか?どうしてその着眼点を持てるのか?
市販の解説では省略されてしまう「行間の思考」を、泥臭く解説しています。
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