問題121 発光ダイオードを含む直流回路 (20 大阪工大)
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(5)の後の別解: 微積分を用いた体系的解法(並列回路)
- 図2の並列回路において、電位の定義と電場の線積分からキルヒホッフの法則を導出し、回路方程式の物理的背景を解説します。
- 設問(9)の後の別解: 微積分を用いた体系的解法(直列回路)
- 図3の直列回路において、同様に閉回路積分を用いて回路方程式を導出し、複数の非線形素子が直列接続された場合の解析原理を示します。
- 設問(5)の後の別解: 微積分を用いた体系的解法(並列回路)
- 上記の別解が有益である理由
- 微積分の解法: 「電圧降下」や「起電力」という概念を、電場による仕事(エネルギー保存則)として統一的に理解することで、回路構成が変わっても揺るがない物理的基礎力を養います。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「非線形抵抗(LED)を含む直流回路の解析」です。オームの法則に従わない素子が含まれる場合、数式だけでなくグラフ(特性曲線)を活用して解を求める「負荷直線」の手法が鍵となります。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- キルヒホッフの第2法則(電圧則): 任意の閉回路を一巡したとき、起電力の和と電圧降下の和は等しくなります。
- 非線形抵抗の扱い: 電流 \(I\) と電圧 \(V\) の関係が比例しない素子では、回路方程式(直線)と特性曲線(曲線)の交点として動作点(実際の電圧・電流)を求めます。
- 電力と発光強度: 消費電力 \(P = IV\) が発光強度に比例するという問題設定に基づき、電力を比較します。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- [A] 図2(並列回路): LED1とLED2はそれぞれ独立した閉回路を形成しているとみなせるため、個別に負荷直線を引いて解を求めます。
- [B] 図3(直列回路): LED1とLED2に共通の電流が流れることに着目し、全体の電圧降下の関係式を導いてグラフ上で解を求めます。
問(1)
思考の道筋とポイント
図2の回路において、LED1を含む閉回路に着目します。
電池(起電力 \(E\))、抵抗(抵抗値 \(r\))、LED1(電圧 \(V_1\))が一つの閉回路を作っています。
この閉回路に対してキルヒホッフの第2法則を適用します。
この設問における重要なポイント
- 閉回路の選び方: 電池の正極 \(\rightarrow\) 抵抗 \(\rightarrow\) LED1 \(\rightarrow\) 電池の負極 という経路を考えます。
- 電圧降下の和: 抵抗での電圧降下は \(rI_1\)、LED1での電圧降下は \(V_1\) です。
具体的な解説と立式
図2の左側の閉回路(電池、抵抗 \(r\)、LED1)について考えます。
回路を流れる電流を \(I_1\) とします。
キルヒホッフの第2法則(起電力の和 \(=\) 電圧降下の和)より、以下の式を立てます。
$$
\begin{aligned}
E &= rI_1 + V_1
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- キルヒホッフの第2法則: \(E = \sum RI + \sum V\)
立式そのものが答えとなります。
$$
\begin{aligned}
E &= rI_1 + V_1
\end{aligned}
$$
電池が出した電圧エネルギー \(E\) は、回路の途中で消費されます。
その消費場所は「抵抗」と「LED1」の2箇所です。
抵抗で \(rI_1\) だけ使い、LED1で \(V_1\) だけ使うので、合計が元の \(E\) になるという式です。
次元を確認すると、左辺は電圧 \([\text{V}]\) 、右辺も \([\Omega][\text{A}] + [\text{V}] = [\text{V}]\) となっており正しいです。
問(2)
思考の道筋とポイント
与えられた数値 \(E=3.0\,\text{V}, r=2.5\,\Omega\) を問(1)の式に代入し、電流 \(I_1\) と電圧 \(V_1\) の関係式(負荷直線)を作ります。
この直線と、図1の LED1 の特性曲線との交点が、実際に回路で実現される電流 \(I_1\) です。
この設問における重要なポイント
- 負荷直線の作図: 関係式 \(I_1 = \dots\) をグラフ(図1)に書き込みます。
- 交点の読み取り: グラフの目盛りを正確に読み取ります。
具体的な解説と立式
問(1)の式 \(E = rI_1 + V_1\) に \(E=3.0, r=2.5\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
3.0 &= 2.5 I_1 + V_1
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- オームの法則とキルヒホッフの法則(問1の結果)
上の式を \(I_1\) について解き、グラフに描画しやすい形にします。
$$
\begin{aligned}
2.5 I_1 &= -V_1 + 3.0 \\[2.0ex]
I_1 &= -\frac{1}{2.5}V_1 + \frac{3.0}{2.5} \\[2.0ex]
I_1 &= -0.40 V_1 + 1.2 \quad \cdots ①
\end{aligned}
$$
この直線①を図1(模範解答の図a)に描きます。
- \(V_1 = 0\) のとき \(I_1 = 1.2\,\text{A}\) (縦軸切片)
- \(I_1 = 0\) のとき \(V_1 = 3.0\,\text{V}\) (横軸切片)
この2点を結ぶ直線を引きます。
LED1(左側の曲線)との交点を読み取ります。
交点の座標は、グラフより以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
V_1 &= 2.0\,\text{V} \\[2.0ex]
I_1 &= 0.40\,\text{A}
\end{aligned}
$$
「回路のルール(直線)」と「LEDの性質(曲線)」の両方を満たす場所を探します。
計算で作った直線をグラフの上に定規で引き、LED1のカーブとぶつかった点が正解です。
グラフからの読み取り値 \(0.40\,\text{A}\) は、グラフの目盛り上で明確に読み取れる値であり、妥当です。
問(3)
思考の道筋とポイント
図2の回路は並列回路であり、LED2を含む右側の閉回路も、LED1側と全く同じ電源 \(E\) と抵抗 \(r\) に接続されています。
したがって、回路方程式の形は問(2)と全く同じになります。
異なるのは、交点を求める相手が LED2 の特性曲線である点だけです。
この設問における重要なポイント
- 回路の対称性: 並列接続された各枝(ブランチ)の条件(\(E\) と \(r\))が同じであるため、同じ負荷直線を使えます。
- 対象の曲線: 今度は LED2(右側の曲線)との交点を見ます。
具体的な解説と立式
LED2側の回路についても、キルヒホッフの第2法則より同様の式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
E &= rI_2 + V_2
\end{aligned}
$$
これに数値を代入します。
$$
\begin{aligned}
3.0 &= 2.5 I_2 + V_2
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- キルヒホッフの第2法則
式を変形すると、問(2)と同じ式になります。
$$
\begin{aligned}
I_2 &= 1.2 – 0.40 V_2 \quad \cdots ②
\end{aligned}
$$
この直線(問2で引いたものと同じ)と、図1の LED2 の曲線の交点を求めます。
図1(模範解答の図a)において、先ほどの直線と LED2(右側の曲線)との交点を読み取ります。
交点の座標は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
V_2 &= 2.5\,\text{V} \\[2.0ex]
I_2 &= 0.20\,\text{A}
\end{aligned}
$$
LED2がつながっている回路も、LED1と同じ電池、同じ抵抗を使っています。だから「回路のルールを表す直線」はさっきと同じです。
同じ直線を使い回して、今度はLED2のカーブとぶつかる場所を探せば、LED2の電圧と電流が分かります。
読み取り値 \(V_2 = 2.5\,\text{V}\) は妥当です。
問(4)
思考の道筋とポイント
消費電力の公式 \(P = IV\) を用いて計算します。
問(3)で求めた LED2 の電圧 \(V_2\) と電流 \(I_2\) を使います。
この設問における重要なポイント
- 電力の定義: 消費電力は電流と電圧の積で表されます。
具体的な解説と立式
LED2 の消費電力 \(P_2\) は以下の式で求められます。
$$
\begin{aligned}
P_2 &= I_2 V_2
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 電力の公式: \(P = IV\)
問(3)の結果 \(V_2 = 2.5\,\text{V}, I_2 = 0.20\,\text{A}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
P_2 &= 0.20 \times 2.5 \\[2.0ex]
&= 0.50\,\text{W}
\end{aligned}
$$
電力(ワット)は、電流(アンペア)と電圧(ボルト)の掛け算で求まります。さっき求めた値を掛けるだけです。
計算結果 \(0.50\,\text{W}\) は妥当な大きさです。
問(5)
思考の道筋とポイント
問題文に「発光強度は消費電力に比例する」とあります。
したがって、LED1 の消費電力 \(P_1\) を求め、\(P_2\) との比を計算すれば、それが発光強度の比になります。
この設問における重要なポイント
- 比例関係: 発光強度 \(\propto\) 消費電力 \(P\) なので、強度の比 \(=\) 電力の比 です。
具体的な解説と立式
まず、LED1 の消費電力 \(P_1\) を求めます。問(2)の結果 \(V_1 = 2.0\,\text{V}, I_1 = 0.40\,\text{A}\) を用います。
$$
\begin{aligned}
P_1 &= I_1 V_1
\end{aligned}
$$
求める倍率 \(k\) は、電力の比となります。
$$
\begin{aligned}
k &= \frac{P_1}{P_2}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 電力の公式: \(P = IV\)
まず \(P_1\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
P_1 &= 0.40 \times 2.0 \\[2.0ex]
&= 0.80\,\text{W}
\end{aligned}
$$
次に比を計算します。
$$
\begin{aligned}
k &= \frac{0.80}{0.50} \\[2.0ex]
&= 1.6
\end{aligned}
$$
「明るさは電力に比例する」ので、電力の倍率を計算すれば、そのまま明るさの倍率になります。
LED1の電力を計算して、LED2の電力の何倍になっているかを割り算で求めます。
LED1の方が電流も大きく(電圧は低いが)、電力としては大きくなっているため、明るくなるのは妥当です。
思考の道筋とポイント
図2の回路において、キルヒホッフの法則を「公式」としてではなく、電磁気学の基本原理である「静電場の保存則」から導出します。
この設問における重要なポイント
- 電位の定義: 電位 \(\phi(\vec{r})\) は、基準点からその点まで単位電荷を運ぶ際に電場 \(\vec{E}\) に逆らってする仕事として定義されます。
$$ \phi(\vec{r}) = – \int_{\text{基準}}^{\vec{r}} \vec{E} \cdot d\vec{s} $$ - 周回積分の原理: 静電場は保存力場であるため、任意の閉回路 \(C\) に沿った電場の周回積分は \(0\) になります。
$$ \oint_C \vec{E} \cdot d\vec{s} = 0 $$
具体的な解説と立式
図2の回路には、2つの独立した閉回路が存在します。
1. 経路 \(C_1\): 電池 \(\to\) 抵抗 \(r\) \(\to\) LED1 \(\to\) 電池
2. 経路 \(C_2\): 電池 \(\to\) 抵抗 \(r\) \(\to\) LED2 \(\to\) 電池
経路 \(C_1\) に沿って電場の線積分を行います。
各素子での電位降下(電場の積分値)は以下の通りです。
- 電池: 起電力 \(E\) 分だけ電位が上がる(電場に逆らって仕事をする)ので、積分値は \(-E\)。
- 抵抗: 電流 \(I_1\) が流れる方向への積分は \(+rI_1\)。
- LED1: 電圧降下 \(V_1\) なので、積分は \(+V_1\)。
周回積分の式は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
\oint_{C_1} \vec{E} \cdot d\vec{s} &= 0
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 静電場の周回積分則: \(\oint \vec{E} \cdot d\vec{s} = 0\)
経路 \(C_1\) についての積分を実行します。
$$
\begin{aligned}
-E + rI_1 + V_1 &= 0
\end{aligned}
$$
これを整理すると、
$$
\begin{aligned}
E &= rI_1 + V_1
\end{aligned}
$$
となり、問(1)の式が導かれます。
経路 \(C_2\) についても同様に積分します。
$$
\begin{aligned}
-E + rI_2 + V_2 &= 0
\end{aligned}
$$
これを整理すると、
$$
\begin{aligned}
E &= rI_2 + V_2
\end{aligned}
$$
が導かれます。
「回路を一周して戻ってくると、高さ(電位)の変化はゼロになる」という原理を数式で表しました。
電池で登った高さ \(E\) を、抵抗とLEDという2つの滑り台で降りて元の高さに戻るイメージです。
並列回路では、LED1を通るコースとLED2を通るコースの2つのコースがありますが、どちらのコースを選んでも「登った分だけ降りる」というルールは変わりません。
微積分の原理から出発しても、キルヒホッフの法則と同じ結果が得られます。これにより、並列回路の各枝で独立に式を立てて良い理由が、物理の根本原理から保証されます。
問(6)
思考の道筋とポイント
ここからは図3の直列回路について考えます。
問題文に「LEDが壊れない(電流が \(1.0\,\text{A}\) を超えない)」ための抵抗 \(r\) の最小値を求めよとあります。
抵抗 \(r\) が小さいほど回路全体の抵抗が減り、電流は大きくなります。したがって、電流が限界の \(1.0\,\text{A}\) 流れるときが、抵抗 \(r\) の最小値に対応します。
この設問における重要なポイント
- 直列回路の電流: LED1とLED2は直列なので、共通の電流 \(I\) が流れます。
- 臨界条件: \(I = 1.0\,\text{A}\) のときの状態を考えます。
- 電圧の読み取り: \(I = 1.0\,\text{A}\) のときの各LEDの電圧をグラフから読み取ります。
具体的な解説と立式
回路を流れる電流を \(I\) とします。
直列回路におけるキルヒホッフの第2法則より、以下の式を立てます。
$$
\begin{aligned}
E &= rI + V_1 + V_2
\end{aligned}
$$
ここで、\(E = 8.0\,\text{V}\) です。
電流が最大値 \(I_{\text{最大}} = 1.0\,\text{A}\) となるとき、抵抗 \(r\) は最小値 \(r_{\text{最小}}\) をとります。
このとき、図1より各LEDの電圧は以下のようになります。
- LED1: \(I=1.0\) のとき \(V_1 \approx 2.7\,\text{V}\)
- LED2: \(I=1.0\) のとき \(V_2 \approx 3.7\,\text{V}\)
これらを回路方程式に代入します。
$$
\begin{aligned}
8.0 &= r_{\text{最小}} \times 1.0 + 2.7 + 3.7
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- キルヒホッフの第2法則(直列回路)
$$
\begin{aligned}
8.0 &= r_{\text{最小}} + 6.4 \\[2.0ex]
r_{\text{最小}} &= 8.0 – 6.4 \\[2.0ex]
&= 1.6\,\Omega
\end{aligned}
$$
抵抗 \(r\) は電流を制限するガードマンの役割をしています。
ガードマンが弱すぎると(抵抗値が小さすぎると)、電流が流れすぎてLEDが壊れてしまいます。
LEDが壊れるギリギリの \(1.0\,\text{A}\) が流れているとき、ガードマンは最低限どれくらいの強さ(抵抗値)が必要かを計算します。
\(1.0\,\text{A}\) のとき、LEDたちは合計で \(2.7+3.7=6.4\,\text{V}\) の電圧を使います。電池は \(8.0\,\text{V}\) なので、残りの \(1.6\,\text{V}\) を抵抗が引き受ける必要があります。\(1.0\,\text{A}\) で \(1.6\,\text{V}\) を引き受ける抵抗値は \(1.6\,\Omega\) です。
\(r=1.6\,\Omega\) です。これより小さいと電流が増え、LEDが破損するため、これが最小値として妥当です。
問(7)
思考の道筋とポイント
図3の回路で \(r=2.5\,\Omega\) とした場合の、電流 \(I\) と電圧 \(V_1\) の関係式を求めます。
直列回路なので \(V_1\) と \(V_2\) の両方が式に含まれますが、問題文のヒント(解説文中の記述)にある \(V_2 = V_1 + 1.0\) という関係を利用して、変数 \(V_2\) を消去します。
この設問における重要なポイント
- 関係式の利用: \(V_2 = V_1 + 1.0\) を回路方程式に代入します。
- グラフの描画: 導出した一次関数をグラフ(図1)に書き込みます。
具体的な解説と立式
キルヒホッフの第2法則より、以下の式を立てます。
$$
\begin{aligned}
E &= rI + V_1 + V_2
\end{aligned}
$$
これに \(E=8.0, r=2.5\) および \(V_2 = V_1 + 1.0\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
8.0 &= 2.5 I + V_1 + (V_1 + 1.0)
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- キルヒホッフの第2法則
式を整理して、\(I\) と \(V_1\) の関係式を導きます。
$$
\begin{aligned}
8.0 &= 2.5 I + 2 V_1 + 1.0 \\[2.0ex]
7.0 &= 2.5 I + 2 V_1
\end{aligned}
$$
\(I\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
2.5 I &= -2 V_1 + 7.0 \\[2.0ex]
I &= -\frac{2}{2.5} V_1 + \frac{7.0}{2.5} \\[2.0ex]
I &= -0.80 V_1 + 2.8 \quad \cdots ③
\end{aligned}
$$
関係式は \(I = 2.8 – 0.80 V_1\) です。
この直線をグラフ(図1、模範解答の図a)に描きます。
通る点を2つ求めます。
- \(I = 0\) のとき: \(0 = -0.80 V_1 + 2.8 \Rightarrow 0.80 V_1 = 2.8 \Rightarrow V_1 = 3.5\,\text{V}\) (横軸切片)
- \(V_1 = 2.5\) のとき: \(I = 2.8 – 0.80 \times 2.5 = 2.8 – 2.0 = 0.80\,\text{A}\)
点 \((3.5, 0)\) と 点 \((2.5, 0.80)\) を結ぶ直線を引きます。
(※ \(V_1=0\) のときの切片 \(I=2.8\) はグラフの範囲外なので、範囲内の点を使います)
直列回路全体の電圧のバランスを考えます。
電池の8.0Vは、「抵抗」と「LED1」と「LED2」の3人で分け合います。
LED2はLED1より常に1.0V多く使うというルールがあるので、それを式に入れると、「抵抗」と「LED1」だけの関係式(直線)が作れます。
この直線をグラフに引くことで、LED1がどの電圧のときに電流がいくらになるかという「回路側の都合」が見える化されます。
式変形、計算ともに誤りはありません。
問(8)
思考の道筋とポイント
問(7)で描いた直線(負荷直線)と、LED1 の特性曲線の交点を求めます。
なぜ LED1 の曲線を見るかというと、問(7)で求めた関係式が \(I\) と \(V_1\)(LED1の電圧)の関係式だからです。
この設問における重要なポイント
- 変数の対応: グラフの横軸は \(V\) ですが、直線の式は \(V_1\) に関するものなので、交差させる相手は \(V_1\) の特性を持つ LED1の曲線 です。LED2の曲線と交差させてはいけません。
- 直列回路の電流: 求めた交点の電流 \(I\) は、直列回路なので LED2 に流れる電流でもあります。
具体的な解説と立式
図1(模範解答の図a)において、問(7)の直線と LED1(左側の曲線)との交点を読み取ります。
使用した物理公式
- なし(グラフの読み取り)
交点の座標は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
V_1 &= 2.5\,\text{V} \\[2.0ex]
I &= 0.80\,\text{A}
\end{aligned}
$$
LED2 に流れる電流もこの \(I\) に等しいです。
さっき引いた直線は「LED1の電圧 \(V_1\)」と「電流 \(I\)」の関係を表しています。
だから、この直線とぶつかる相手は「LED1のカーブ」でなければなりません。
そこでぶつかった点の電流が、回路全体を流れる電流になります。直列なのでLED2にも同じ電流が流れます。
読み取り値 \(0.80\,\text{A}\) は妥当です。
問(9)
思考の道筋とポイント
LED2 の発光強度と LED1 の発光強度の比を求めます。
問(5)と同様に、消費電力の比を計算します。
電流 \(I = 0.80\,\text{A}\) は共通なので、電圧の比を求めれば電力の比になります(\(P=IV\) より \(I\) が同じなら \(P \propto V\))。
この設問における重要なポイント
- LED2の電圧: \(I = 0.80\,\text{A}\) のときの LED2 の電圧 \(V_2\) を求めます。
- 方法1: 関係式 \(V_2 = V_1 + 1.0\) を使う。
- 方法2: グラフの LED2 の曲線から \(I=0.80\) のときの電圧を読む。
具体的な解説と立式
LED1 の電圧は \(V_1 = 2.5\,\text{V}\) です。
LED2 の電圧 \(V_2\) は、
$$
\begin{aligned}
V_2 &= V_1 + 1.0
\end{aligned}
$$
消費電力の比 \(k\) は、
$$
\begin{aligned}
k &= \frac{P_2}{P_1} \\[2.0ex]
&= \frac{I V_2}{I V_1} \\[2.0ex]
&= \frac{V_2}{V_1}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 電力の公式: \(P = IV\)
まず \(V_2\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
V_2 &= 2.5 + 1.0 \\[2.0ex]
&= 3.5\,\text{V}
\end{aligned}
$$
(グラフから読み取っても \(3.5\,\text{V}\) となります)
次に比を計算します。
$$
\begin{aligned}
k &= \frac{3.5}{2.5} \\[2.0ex]
&= \frac{35}{25} \\[2.0ex]
&= \frac{7}{5} \\[2.0ex]
&= 1.4
\end{aligned}
$$
直列につないだので、両方のLEDに同じ電流が流れています。
明るさは「電流×電圧」で決まりますが、電流が同じなら「電圧」が高いほうが明るくなります。
LED2の電圧(3.5V)はLED1の電圧(2.5V)の何倍かを計算すれば、それがそのまま明るさの倍率になります。
\(1.4\) 倍。妥当な数値です。
思考の道筋とポイント
図3の直列回路についても、電位の定義と周回積分を用いて回路方程式を導出します。
複数の非線形素子が直列に並んでいる場合でも、電位降下の総和が起電力に等しいという原理は変わりません。
この設問における重要なポイント
- 経路の選択: 電池 \(\to\) 抵抗 \(r\) \(\to\) LED1 \(\to\) LED2 \(\to\) 電池 という一筆書きの閉回路を考えます。
- 電位降下の加算: 各区間での電場の線積分(電位差)を順に足し合わせます。
具体的な解説と立式
閉回路 \(C\) に沿って電場の線積分を行います。
$$
\begin{aligned}
\oint_C \vec{E} \cdot d\vec{s} &= 0
\end{aligned}
$$
各素子での積分値は以下の通りです。
- 電池: \(-E\) (電位上昇)
- 抵抗: \(+rI\) (電位降下)
- LED1: \(+V_1\) (電位降下)
- LED2: \(+V_2\) (電位降下)
これらを合計します。
$$
\begin{aligned}
-E + rI + V_1 + V_2 &= 0
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 静電場の周回積分則: \(\oint \vec{E} \cdot d\vec{s} = 0\)
式を移項して整理します。
$$
\begin{aligned}
E &= rI + V_1 + V_2
\end{aligned}
$$
これが直列回路におけるキルヒホッフの法則の式であり、問(6)や問(7)の立式の根拠となります。
問(7)では、ここに \(V_2 = V_1 + 1.0\) という素子の特性条件(拘束条件)を代入することで、変数を減らして解析を行いました。
直列回路では、電気の粒が抵抗、LED1、LED2という3つの階段を順番に降りていきます。
電池で登った高さ \(E\) は、これら3つの階段の高さの合計と必ず一致します。
微積分の言葉で言えば、一周したときの電場の仕事の合計がゼロになるということです。
直列回路においても、微積分の原理から回路方程式が自然に導かれます。これにより、素子がいくつ増えても「電圧を足し合わせる」という操作の正当性が確認できます。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 非線形抵抗を含む回路の解析手法
- 核心: オームの法則(\(V=RI\))が使えない素子(LEDやダイオード)を含む場合、回路方程式(直線)と素子の特性曲線(グラフ)の交点として解を求めます。
- 理解のポイント:
- 連立方程式の視覚化: 数式で解けない(特性が関数で与えられていない)連立方程式を、グラフの交点という形で解いていることを理解しましょう。
- 負荷直線: 回路の条件(電池や抵抗)によって決まる \(I\) と \(V\) の関係式 \(I = -aV + b\) は、グラフ上で右下がりの直線になります。
- 回路接続による解析の違い
- 核心: 並列接続では「電圧」が共通または独立に決定され、直列接続では「電流」が共通になります。
- 理解のポイント:
- 並列(図2): 各枝が独立した閉回路として扱えるため、個別に負荷直線を引けます。
- 直列(図3): 全体の電圧降下の和を考える必要があり、変数が複数(\(V_1, V_2\))になるため、関係式(\(V_2 = V_1 + \dots\))を用いて変数を減らす工夫が必要です。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 電球を含む回路: LEDと同様に非線形特性を持つ電球の問題も、全く同じ「負荷直線」の手法で解けます。
- 可変抵抗を含む問題: 抵抗値 \(r\) が変わると負荷直線の「傾き」が変わります。グラフ上で直線を回転させて交点の移動を追います。
- 初見の問題での着眼点:
- 閉回路を見つける: キルヒホッフの法則を適用するための「一筆書きのルート」を探します。
- 変数を減らす: 直列回路などで未知の電圧が複数ある場合、問題文のヒントや対称性、あるいはグラフの合成(電圧の足し算)を使って変数を1つに絞り込みます。
- グラフに書き込む: 頭で考えるだけでなく、必ず定規を使ってグラフに直線を書き込み、交点を読み取ります。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 交点を見る相手の間違い:
- 誤解: 直列回路の解析(問8)で、\(V_1\) の関係式を作ったのに、うっかり LED2 の曲線との交点を読んでしまう。
- 対策: 自分が立てた式に含まれる変数が \(V_1\) なのか \(V_2\) なのかを常に意識し、グラフの凡例(LED1, LED2)を指差し確認してから交点を読みましょう。
- グラフ読み取りの精度:
- 誤解: 目分量で適当に読んでしまい、計算結果がずれる。
- 対策: グラフの目盛りが「1目盛りあたりいくらか(例: 0.1V)」を確認し、交点から軸に対して垂直に線を下ろして正確に読み取ります。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 問(7)での関係式 \(V_2 = V_1 + 1.0\) の利用:
- 選定理由: 直列回路では \(E = rI + V_1 + V_2\) となり、未知数が \(I, V_1, V_2\) の3つに対して式が足りません。素子の特性(グラフ)を使う前に、素子間の関係式を使って変数を減らす必要があります。
- 適用根拠: 問題文(解説文)で明示的に与えられている関係式であり、これを使うことで \(I\) と \(V_1\) だけの関係式(描画可能な直線)に帰着できるため。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 切片の計算:
- 意識: 負荷直線を引くための2点(切片)の計算は、単純ですがミスしやすいポイントです。
- 実践: \(V=0\) のときと \(I=0\) のときの値を暗算せず、必ず式に書いて計算します。また、求めた切片がグラフの範囲外にある場合は、範囲内の適当な値(例: \(V=2.0\))を代入して通る点を確保します。
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問題122 コンデンサーを含む直流回路・最大消費電力 (25 徳島大)
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(3)(4)の別解: 微積分を用いた体系的解法(過渡現象の解析)
- 模範解答では与えられた式 \(Q=Q_0e^{-kt}\) を前提としていますが、別解ではキルヒホッフの法則から微分方程式を立て、電荷 \(Q(t)\) の時間変化を数学的に導出します。これにより、定数 \(k\) の物理的意味(時定数の逆数)を明らかにします。
- 設問(5)の別解: 微積分を用いた体系的解法(ジュール熱の積分計算)
- 模範解答ではエネルギー保存則を用いて計算を簡略化していますが、別解では電流の2乗を時間積分することで、発生するジュール熱を定義から直接計算し、結果が一致することを確認します。
- 設問(7)の別解: 微分法を用いた最大値の導出
- 模範解答では相加平均・相乗平均の関係を利用していますが、別解では消費電力 \(P\) を変数 \(R_V\) で微分し、増減表を用いて最大値を求める一般的な手法を提示します。
- 設問(3)(4)の別解: 微積分を用いた体系的解法(過渡現象の解析)
- 上記の別解が有益である理由
- 微積分の解法: 公式の暗記ではなく、物理法則(回路方程式)から現象を導くプロセスを理解することで、未知の設定や複雑な回路にも対応できる応用力を養います。
- 微分の解法: 相加相乗平均が使えない関数形(定数項がある場合など)でも通用する、より汎用性の高い最大値問題の解法を習得できます。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「RC回路の過渡現象と定常状態、および最大消費電力」です。コンデンサーを含む回路では、スイッチ操作直後や十分時間が経過した後の振る舞いを正しく理解することが重要です。また、可変抵抗での消費電力が最大になる条件は、入試頻出のテーマです。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- コンデンサーの過渡特性:
- スイッチを入れた直後(電荷 \(0\)): コンデンサーは電圧降下が \(0\) となり、導線のように振る舞います。
- 十分時間が経過した後(充電完了): 電流が流れなくなり、断線(スイッチOFF)と同じ状態になります。
- キルヒホッフの法則:
- 第2法則(電圧則): 任意の閉回路を一巡したとき、起電力の和と電圧降下の和は等しくなります。
- エネルギー保存則: コンデンサーに蓄えられた静電エネルギーの減少分は、回路内の抵抗で発生するジュール熱に変換されます。
- 最大消費電力定理: 電池の内部抵抗を含む回路において、外部抵抗で消費される電力が最大になるのは、外部抵抗値が内部抵抗値(およびその他の固定抵抗の和)と等しいときです。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- [A]では、コンデンサーの初期状態(導線)と定常状態(断線)の性質を利用して、電流と電圧を求めます。
- [B]では、コンデンサーを電源とみなした放電回路を考えます。与えられた減衰関数の式を利用して時間を求め、エネルギー保存則からジュール熱を計算します。
- [C]では、再び定常状態における回路の電位分布を解析し、コンデンサーの電圧を特定します。
- [D]では、消費電力を抵抗 \(R_V\) の関数として表し、その最大値を求めます。
問(1)
ここから先が、他の受験生と差がつく重要パートです。
「解法に至る思考プロセス」を
全て言語化した、超詳細解説。
なぜその公式を使うのか?どうしてその着眼点を持てるのか?
市販の解説では省略されてしまう「行間の思考」を、泥臭く解説しています。
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