問題136 (富山大+上智大)
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(3)の別解: 積分の平均値を用いた定義からの導出
- 公式 \(P=IV\) を暗記するのではなく、瞬時電力 \(p(t)=v(t)i(t)\) を1周期にわたって積分し、時間平均をとることで消費電力を導出します。
- 設問(4)(6)の別解: 微積分を用いた体系的解法(回路素子の定義)
- リアクタンスの公式 \(1/(\omega C)\) や \(\omega L\) を既知とせず、コンデンサーの定義式 \(v = \frac{1}{C}\int i dt\) やコイルの定義式 \(v = L \frac{di}{dt}\) から、電圧の時間関数と実効値を導きます。
- 設問(7)の別解1: ベクトル図(フェーザ図)を用いた解法
- 数式だけでインピーダンスを計算するのではなく、電圧ベクトルの図形的な合成(ピタゴラスの定理)を用いて最大値を求めます。
- 設問(7)の別解2: 三角関数の合成を用いた解法
- 各素子の瞬時電圧を足し合わせ、数学的な三角関数の合成公式を用いて全体の電圧の最大値を導出します。
- 設問(3)の別解: 積分の平均値を用いた定義からの導出
- 上記の別解が有益である理由
- 微積分の解法: 「位相が90度ずれる」という現象が、数式上の「微分(\(\sin \to \cos\))」や「積分(\(\sin \to -\cos\))」に由来することを深く理解でき、公式を忘れても導出できる力が身につきます。
- 積分の平均値: 交流の消費電力や実効値の定義(二乗平均平方根)の根本的な意味を理解するのに役立ちます。
- ベクトル図: 複雑な交流回路の位相関係を視覚的に把握でき、計算ミスを防ぐ強力なツールとなります。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「RLC直列回路における交流の振る舞い」です。抵抗、コンデンサー、コイルという異なる性質を持つ素子が、交流電源に対してどのように応答するか(電圧と電流の大きさの比、位相のずれ)を解析します。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- オームの法則の拡張: 交流回路では、抵抗 \(R\) に加え、コンデンサーのリアクタンス \(1/(\omega C)\) やコイルのリアクタンス \(\omega L\) を抵抗のようなものとして扱います。
- 位相のずれ: 抵抗では電圧と電流が同位相ですが、コイルでは電圧が電流より \(\pi/2\) 進み、コンデンサーでは \(\pi/2\) 遅れます。
- 実効値と最大値の関係: 正弦波交流において、実効値は最大値の \(1/\sqrt{2}\) 倍です。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)〜(2)では、グラフから周期を読み取り、抵抗の基本法則を用いて電流を決定します。これが回路全体の基準となります。
- (3)では、電力消費の主役が抵抗であることを利用します。
- (4)〜(6)では、電流を基準として、コンデンサーとコイルの電圧(大きさ・位相)を導きます。
- (7)では、各素子の電圧を合成して、電源電圧や部分電圧の最大値を求めます。
問(1)
思考の道筋とポイント
図2は、横軸が時刻 \(t\) の正弦波グラフです。
このグラフから周期 \(T\) を読み取り、角周波数 \(\omega\) との関係式を用います。
この設問における重要なポイント
- 角周波数の定義: 角周波数 \(\omega\) は、単位時間あたりに進む位相(ラジアン)を表します。
- 周期との関係: 1周期 \(T\) の間に位相は \(2\pi\) 進むため、\(\omega T = 2\pi\) が成り立ちます。
具体的な解説と立式
図2より、正弦波の1サイクルにかかる時間が \(T\) であることが示されています。
角周波数 \(\omega\) と周期 \(T\) の関係式は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
\omega T &= 2\pi
\end{aligned}
$$
これを \(\omega\) について解きます。
使用した物理公式
- 角周波数と周期の関係: \(\omega = \frac{2\pi}{T}\)
$$
\begin{aligned}
\omega &= \frac{2\pi}{T}
\end{aligned}
$$
波が1回振動するのにかかる時間が \(T\) 秒です。円運動に例えると、1周(\(2\pi\) ラジアン)するのに \(T\) 秒かかるということです。
1秒あたりどれくらいの角度進むか(角速度)を計算すると、\(2\pi\) を \(T\) で割ればよいことがわかります。
答えは \(\frac{2\pi}{T}\) です。次元を確認すると \([\text{rad}]/[\text{s}]\) となり、角周波数の単位として正しいです。
問(2)
思考の道筋とポイント
抵抗の両端の電圧が図2で与えられています。
抵抗においては、電圧と電流は「同位相」であり、オームの法則 \(V=RI\) が瞬時値でも成立します。
まず図2のグラフを数式で表し、それを抵抗値 \(R\) で割ることで電流の式を求めます。
この設問における重要なポイント
- グラフの数式化: 図2は原点を通る正弦波なので、\(v = V_0 \sin \omega t\) の形になります。
- 抵抗の特性: 抵抗では電圧と電流のタイミング(位相)がずれません。
- 実効値の定義: 正弦波交流の実効値は、最大値を \(\sqrt{2}\) で割ったものです。
具体的な解説と立式
図2より、抵抗にかかる電圧 \(v_R\) の最大値は \(V_0\)、周期は \(T\)(角周波数 \(\omega\))なので、時刻 \(t\) における電圧は次のように表せます。
$$
\begin{aligned}
v_R &= V_0 \sin \omega t \quad \cdots ①
\end{aligned}
$$
抵抗に流れる電流を \(i\) とすると、オームの法則より以下の関係が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
v_R &= R i \quad \cdots ②
\end{aligned}
$$
また、電流の実効値 \(I_{\text{実}}\) は、電流の最大値 \(I_0\) を用いて次のように定義されます。
$$
\begin{aligned}
I_{\text{実}} &= \frac{I_0}{\sqrt{2}} \quad \cdots ③
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- オームの法則: \(V = RI\)
- 実効値の定義: \(I_{\text{実}} = \frac{I_0}{\sqrt{2}}\)
式②を \(i\) について解き、式①を代入します。
$$
\begin{aligned}
i &= \frac{v_R}{R} \\[2.0ex]
&= \frac{V_0}{R} \sin \omega t
\end{aligned}
$$
これが電流の時間関数です。
この式より、電流の最大値 \(I_0\) は \(\sin\) の係数部分であることがわかります。
$$
\begin{aligned}
I_0 &= \frac{V_0}{R}
\end{aligned}
$$
これを式③に代入して実効値を求めます。
$$
\begin{aligned}
I_{\text{実}} &= \frac{1}{\sqrt{2}} \cdot \frac{V_0}{R} \\[2.0ex]
&= \frac{V_0}{\sqrt{2}R}
\end{aligned}
$$
抵抗にかかっている電圧のグラフを見ると、綺麗なサインカーブを描いています。
抵抗は「電圧がかかれば、その瞬間に素直に電流が流れる」という性質を持っています。つまり、電圧が高くなれば電流も増え、電圧が0になれば電流も0になります。
だから、電流の式も電圧と同じサインカーブの形になります。大きさはオームの法則で計算できます。
実効値というのは、「直流で言えば何アンペア分の仕事をするか」という平均的なパワーの指標で、最大値の約0.7倍(\(\frac{1}{\sqrt{2}}\)倍)になります。
電流の式は \(i = \frac{V_0}{R} \sin \omega t\)、実効値は \(I_{\text{実}} = \frac{V_0}{\sqrt{2}R}\) です。
オームの法則の形をしており、単位も \([\text{V}]/[\Omega] = [\text{A}]\) となり妥当です。
問(3)
思考の道筋とポイント
直列回路全体の消費電力を求めます。
理想的なコイルとコンデンサーはエネルギーを一時的に蓄えるだけで、1周期平均での消費電力は \(0\) です。
したがって、回路全体で消費される電力は、抵抗で消費される電力と等しくなります。
この設問における重要なポイント
- リアクタンス素子の消費電力: コイルとコンデンサーの平均消費電力は \(0\) です。
- 抵抗の消費電力: \(P = R I_{\text{実}}^2\) または \(P = V_{\text{実}} I_{\text{実}}\) で計算します。ここで用いる電圧・電流は必ず「実効値」です。
具体的な解説と立式
抵抗での平均消費電力 \(P\) は、抵抗値 \(R\) と電流の実効値 \(I_{\text{実}}\) を用いて次のように表されます。
$$
\begin{aligned}
P &= R I_{\text{実}}^2 \quad \cdots ④
\end{aligned}
$$
これに問(2)で求めた \(I_{\text{実}}\) を代入します。
使用した物理公式
- 交流の消費電力: \(P = R I_{\text{実}}^2\)
式④に \(I_{\text{実}} = \frac{V_0}{\sqrt{2}R}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
P &= R \left( \frac{V_0}{\sqrt{2}R} \right)^2 \\[2.0ex]
&= R \cdot \frac{V_0^2}{2R^2} \\[2.0ex]
&= \frac{V_0^2}{2R}
\end{aligned}
$$
コンデンサーとコイルは、電気を溜めたり吐き出したりするだけで、熱としてエネルギーを捨てたりはしません。
エネルギーを消費して熱に変えるのは抵抗だけです。
抵抗で消費される電力は、直流のときと同じように「抵抗 \(\times\) 電流の2乗」で計算できますが、交流の場合は電流が常に変化しているので、「実効値」という平均的な値を使って計算します。
答えは \(\frac{V_0^2}{2R}\) です。
電圧の実効値 \(V_{R\text{実}} = V_0/\sqrt{2}\) を用いると \(P = V_{R\text{実}}^2 / R\) となり、直流の電力公式 \(V^2/R\) と整合します。
思考の道筋とポイント
公式 \(P=RI_{\text{実}}^2\) を前提とせず、瞬時電力 \(p(t) = v(t)i(t)\) を定義通りに積分して平均値を求めます。
これにより、なぜ実効値に \(\sqrt{2}\) が出てくるのか、なぜコイルやコンデンサーの消費電力が \(0\) なのかが数学的に明らかになります。
この設問における重要なポイント
- 瞬時電力: 時刻 \(t\) における電力は \(p(t) = v(t) i(t)\) です。
- 平均電力: 周期 \(T\) での平均は \(\bar{P} = \frac{1}{T} \int_0^T p(t) dt\) で計算されます。
- 三角関数の積分: \(\int_0^T \sin^2 \omega t \, dt = \frac{T}{2}\) を利用します。
具体的な解説と立式
抵抗にかかる電圧は \(v_R = V_0 \sin \omega t\)、流れる電流は \(i = \frac{V_0}{R} \sin \omega t\) です。
瞬時電力 \(p_R(t)\) は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
p_R(t) &= v_R(t) \cdot i(t) \\[2.0ex]
&= (V_0 \sin \omega t) \cdot \left( \frac{V_0}{R} \sin \omega t \right) \\[2.0ex]
&= \frac{V_0^2}{R} \sin^2 \omega t
\end{aligned}
$$
平均電力 \(P\) はこれを1周期で積分して時間平均をとります。
$$
\begin{aligned}
P &= \frac{1}{T} \int_0^T \frac{V_0^2}{R} \sin^2 \omega t \, dt
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 半角の公式: \(\sin^2 \theta = \frac{1 – \cos 2\theta}{2}\)
半角の公式を用いて被積分関数を変形します。
$$
\begin{aligned}
P &= \frac{V_0^2}{RT} \int_0^T \frac{1 – \cos 2\omega t}{2} \, dt \\[2.0ex]
&= \frac{V_0^2}{2RT} \left[ t – \frac{\sin 2\omega t}{2\omega} \right]_0^T
\end{aligned}
$$
ここで、\(\omega T = 2\pi\) なので、\(\sin 2\omega T = \sin 4\pi = 0\)、\(\sin 0 = 0\) です。
したがって、振動項(\(\cos\)の部分)の積分値は \(0\) になり、定数項だけが残ります。
$$
\begin{aligned}
P &= \frac{V_0^2}{2RT} \cdot (T – 0) \\[2.0ex]
&= \frac{V_0^2}{2R}
\end{aligned}
$$
電力は刻一刻と変化していますが、それをグラフに描くと、常にプラスの値(\(\sin^2\) なので)をとります。
これを「ならす(平均をとる)」計算を積分で行いました。
\(\sin^2\) のグラフは、高さ \(1\) の半分、つまり \(0.5\) の高さに平均線が引けるという数学的性質(\(\sin^2\) の平均は \(1/2\))を使うと、最大電力 \(V_0^2/R\) のちょうど半分になることがわかります。
公式を用いた場合と全く同じ結果 \(\frac{V_0^2}{2R}\) が得られました。
ちなみに、コイルやコンデンサーの場合、電圧と電流の位相が90度ずれるため、\(p(t) \propto \sin \omega t \cos \omega t \propto \sin 2\omega t\) となり、1周期積分するとプラスとマイナスが打ち消し合って完全に \(0\) になります。これが「消費電力0」の数学的な理由です。
問(4)
思考の道筋とポイント
コンデンサーにかかる電圧 \(v_C\) を求めます。
直列回路なので、問(2)で求めた電流 \(i\) がそのままコンデンサーにも流れます。
コンデンサーのリアクタンス(交流抵抗のようなもの)と、電流に対する電圧の位相の遅れを考慮します。
この設問における重要なポイント
- コンデンサーのリアクタンス: \(X_C = \frac{1}{\omega C}\) です。電圧の最大値は \(V_{C0} = X_C I_0\) となります。
- 位相関係: コンデンサーでは、電圧は電流よりも位相が \(\frac{\pi}{2}\) 遅れます(電流が進みます)。
- 覚え方: 「ICE(氷)」→ I(電流) C(コンデンサー) E(電圧) → CではIがEより先。
具体的な解説と立式
電流の実効値は \(I_{\text{実}} = \frac{V_0}{\sqrt{2}R}\) です。
コンデンサーの電圧の実効値 \(V_{C\text{実}}\) は、リアクタンス \(\frac{1}{\omega C}\) を用いて次のように表せます。
$$
\begin{aligned}
V_{C\text{実}} &= \frac{1}{\omega C} I_{\text{実}} \quad \cdots ⑤
\end{aligned}
$$
次に、時刻 \(t\) の関数 \(v_C\) を求めます。
電流 \(i = I_0 \sin \omega t\) に対し、電圧は位相が \(\frac{\pi}{2}\) 遅れるため、以下の形になります。
$$
\begin{aligned}
v_C &= V_{C0} \sin \left( \omega t – \frac{\pi}{2} \right) \quad \cdots ⑥
\end{aligned}
$$
ここで、電圧の最大値 \(V_{C0}\) は \(V_{C0} = \sqrt{2} V_{C\text{実}}\) です。
使用した物理公式
- コンデンサーの電圧と電流の関係: \(V = \frac{1}{\omega C} I\)
- 位相の遅れ: \(\sin(\theta – \pi/2) = -\cos\theta\)
まず実効値 \(V_{C\text{実}}\) を計算します。式⑤に \(I_{\text{実}}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
V_{C\text{実}} &= \frac{1}{\omega C} \cdot \frac{V_0}{\sqrt{2}R} \\[2.0ex]
&= \frac{V_0}{\sqrt{2}\omega CR}
\end{aligned}
$$
次に \(v_C\) の関数を求めます。
最大値 \(V_{C0}\) は、
$$
\begin{aligned}
V_{C0} &= \frac{1}{\omega C} I_0 \\[2.0ex]
&= \frac{1}{\omega C} \cdot \frac{V_0}{R} \\[2.0ex]
&= \frac{V_0}{\omega CR}
\end{aligned}
$$
これを式⑥に代入し、三角関数を変形します。
$$
\begin{aligned}
v_C &= \frac{V_0}{\omega CR} \sin \left( \omega t – \frac{\pi}{2} \right) \\[2.0ex]
&= \frac{V_0}{\omega CR} (-\cos \omega t) \\[2.0ex]
&= – \frac{V_0}{\omega CR} \cos \omega t
\end{aligned}
$$
コンデンサーは、電流が流れ込んで電荷が溜まることで電圧が発生します。つまり、電流が「原因」で電圧が「結果」です。
電流がジャンジャン流れているとき(最大値)ではなく、流れ込んで溜まりきったとき(電流が0になった瞬間)に電圧が最大になります。このタイムラグが「位相の遅れ」です。
計算すると、サイン波の電流に対して、電圧はマイナスのコサイン波(90度遅れた波)になります。
実効値は \(\frac{V_0}{\sqrt{2}\omega CR}\)、瞬時値は \(- \frac{V_0}{\omega CR} \cos \omega t\) です。
\(\omega \to 0\)(直流に近い)とすると、分母が0に近づき電圧は無限大になります。これは直流に対してコンデンサーが絶縁体(抵抗無限大)として振る舞う性質と一致します。
思考の道筋とポイント
「位相が遅れる」「リアクタンスが \(1/\omega C\)」という事実を、コンデンサーの定義式 \(Q=CV\) と電流の定義 \(i = dQ/dt\) から数学的に導出します。
電流 \(i\) を時間積分することで電荷 \(Q\) を求め、そこから電圧 \(v_C\) を求めます。
この設問における重要なポイント
- 微分積分関係: \(i = \frac{dQ}{dt} = C \frac{dv_C}{dt}\) より、\(v_C = \frac{1}{C} \int i \, dt\) です。
- 積分の効果: \(\sin \omega t\) を積分すると \(-\frac{1}{\omega} \cos \omega t\) になります。この「\(1/\omega\)」がリアクタンスの分母に、「マイナスのコサイン」が位相の遅れに対応します。
具体的な解説と立式
電流 \(i = I_0 \sin \omega t\) (ただし \(I_0 = V_0/R\))が流れています。
コンデンサーの電圧 \(v_C\) は、電流の積分を用いて次のように表されます(積分定数は交流の定常状態では無視、あるいは0とします)。
$$
\begin{aligned}
v_C &= \frac{1}{C} \int i \, dt \quad \cdots ⑦
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- コンデンサーの定義: \(v = \frac{1}{C} \int i dt\)
- 三角関数の積分: \(\int \sin ax \, dx = -\frac{1}{a} \cos ax\)
式⑦に電流の式を代入して計算します。
$$
\begin{aligned}
v_C &= \frac{1}{C} \int I_0 \sin \omega t \, dt \\[2.0ex]
&= \frac{I_0}{C} \left( – \frac{1}{\omega} \cos \omega t \right) \\[2.0ex]
&= – \frac{I_0}{\omega C} \cos \omega t
\end{aligned}
$$
ここで \(I_0 = V_0/R\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
v_C &= – \frac{V_0}{\omega CR} \cos \omega t
\end{aligned}
$$
この式の係数部分が電圧の最大値 \(V_{C0}\) です。
$$
\begin{aligned}
V_{C0} &= \frac{V_0}{\omega CR}
\end{aligned}
$$
実効値 \(V_{C\text{実}}\) はこれを \(\sqrt{2}\) で割ります。
$$
\begin{aligned}
V_{C\text{実}} &= \frac{V_0}{\sqrt{2}\omega CR}
\end{aligned}
$$
「電流を積分すると電圧になる」というコンデンサーの性質をそのまま計算しました。
サインを積分するとマイナスコサインになる。これが「位相が90度遅れる」ことの数学的な正体です。
また、積分の際に \(\omega\) が分母に出てくるため、電圧の大きさ(振幅)は \(\omega\) に反比例します。これがリアクタンス \(1/\omega C\) の正体です。
公式を覚える必要なく、微積分計算だけで全く同じ結果が得られました。
問(5)
思考の道筋とポイント
問(4)で求めた \(v_C\) の式を用いて、\(v_C = 0\) となる時刻 \(t\) を探します。
範囲は \(0 \le t \le T\) です。
この設問における重要なポイント
- 三角関数の零点: \(\cos \theta = 0\) となるのは、\(\theta = \frac{\pi}{2}, \frac{3\pi}{2}, \dots\) のときです。
- 変数の変換: \(\theta = \omega t\) と置き換えて考え、最後に \(t\) に戻します。
具体的な解説と立式
問(4)より、\(v_C \propto \cos \omega t\) です。
\(v_C = 0\) となる条件は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
\cos \omega t &= 0 \quad \cdots ⑧
\end{aligned}
$$
ここで、\(0 \le t \le T\) なので、位相 \(\omega t\) の範囲は \(0 \le \omega t \le 2\pi\) です。
使用した物理公式
- 三角関数の性質: \(\cos \theta = 0 \iff \theta = \frac{\pi}{2}, \frac{3\pi}{2}\)
範囲 \(0 \le \omega t \le 2\pi\) において、\(\cos \omega t = 0\) を満たす \(\omega t\) は以下の2つです。
$$
\begin{aligned}
\omega t &= \frac{\pi}{2}, \quad \frac{3\pi}{2}
\end{aligned}
$$
これらを \(t\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
t &= \frac{\pi}{2\omega}, \quad \frac{3\pi}{2\omega}
\end{aligned}
$$
ここで、\(\omega = \frac{2\pi}{T}\) を代入して \(T\) を用いた表現にします。
$$
\begin{aligned}
t &= \frac{\pi}{2(2\pi/T)} \\[2.0ex]
&= \frac{T}{4} \\[2.0ex]
t &= \frac{3\pi}{2(2\pi/T)} \\[2.0ex]
&= \frac{3T}{4}
\end{aligned}
$$
電圧のグラフはマイナスのコサイン波(\(-\cos\))です。
コサインがゼロになるのは、円運動でいうと「真上(90度)」と「真下(270度)」に来たときです。
1周(360度)にかかる時間が \(T\) なので、90度はその1/4の時間、270度はその3/4の時間に対応します。
答えは \(t = \frac{T}{4}, \frac{3T}{4}\) です。
図2の抵抗電圧(サイン波)と比較すると、サイン波が最大になる時刻(\(T/4\))と最小になる時刻(\(3T/4\))で、コンデンサーの電圧(マイナスコサイン波)は0になります。これは位相が90度ずれていることと整合します。
問(6)
思考の道筋とポイント
コイルにかかる電圧 \(v_L\) を求めます。
アプローチはコンデンサーと同様ですが、コイルの特性(リアクタンスと位相)が異なります。
この設問における重要なポイント
- コイルのリアクタンス: \(X_L = \omega L\) です。
- 位相関係: コイルでは、電圧は電流よりも位相が \(\frac{\pi}{2}\) 進みます。
- 覚え方: 「ELI(エリー)」→ E(電圧) L(コイル) I(電流) → LではEがIより先。
具体的な解説と立式
コイルの電圧の実効値 \(V_{L\text{実}}\) は、リアクタンス \(\omega L\) を用いて次のように表せます。
$$
\begin{aligned}
V_{L\text{実}} &= \omega L I_{\text{実}} \quad \cdots ⑨
\end{aligned}
$$
次に、時刻 \(t\) の関数 \(v_L\) を求めます。
電流 \(i = I_0 \sin \omega t\) に対し、電圧は位相が \(\frac{\pi}{2}\) 進むため、以下の形になります。
$$
\begin{aligned}
v_L &= V_{L0} \sin \left( \omega t + \frac{\pi}{2} \right) \quad \cdots ⑩
\end{aligned}
$$
ここで、電圧の最大値 \(V_{L0}\) は \(V_{L0} = \sqrt{2} V_{L\text{実}}\) です。
使用した物理公式
- コイルの電圧と電流の関係: \(V = \omega L I\)
- 位相の進み: \(\sin(\theta + \pi/2) = \cos\theta\)
まず実効値 \(V_{L\text{実}}\) を計算します。式⑨に \(I_{\text{実}} = \frac{V_0}{\sqrt{2}R}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
V_{L\text{実}} &= \omega L \cdot \frac{V_0}{\sqrt{2}R} \\[2.0ex]
&= \frac{\omega L V_0}{\sqrt{2}R}
\end{aligned}
$$
次に \(v_L\) の関数を求めます。
最大値 \(V_{L0}\) は、
$$
\begin{aligned}
V_{L0} &= \omega L I_0 \\[2.0ex]
&= \frac{\omega L V_0}{R}
\end{aligned}
$$
これを式⑩に代入し、三角関数を変形します。
$$
\begin{aligned}
v_L &= \frac{\omega L V_0}{R} \sin \left( \omega t + \frac{\pi}{2} \right) \\[2.0ex]
&= \frac{\omega L V_0}{R} \cos \omega t
\end{aligned}
$$
コイルは、電流の変化を嫌う性質(自己誘導)を持っています。電流が変化しようとすると、それを妨げる方向に電圧が発生します。
電流の変化が一番激しいのは、電流が0で傾きが急な瞬間です。だから、電流が0のときに電圧は最大になります。
計算すると、サイン波の電流に対して、電圧はコサイン波(90度進んだ波)になります。
実効値は \(\frac{\omega L V_0}{\sqrt{2}R}\)、瞬時値は \(\frac{\omega L V_0}{R} \cos \omega t\) です。
\(\omega \to 0\)(直流)では電圧は0になります。これは直流に対してコイルが単なる導線(抵抗0)として振る舞う性質と一致します。
思考の道筋とポイント
コイルの定義式 \(v = L \frac{di}{dt}\) から出発します。
電流 \(i\) を時間微分することで、位相の進みとリアクタンス \(\omega L\) を導出します。
この設問における重要なポイント
- 微分関係: コイルの誘導起電力(逆起電力に逆らって電源がかける電圧)は \(v_L = L \frac{di}{dt}\) です。
- 微分の効果: \(\sin \omega t\) を微分すると \(\omega \cos \omega t\) になります。この「\(\omega\)」がリアクタンスの係数に、「コサイン」が位相の進みに対応します。
具体的な解説と立式
電流 \(i = I_0 \sin \omega t\) が流れています。
コイルの電圧 \(v_L\) は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
v_L &= L \frac{di}{dt} \quad \cdots ⑪
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- コイルの定義: \(v = L \frac{di}{dt}\)
- 三角関数の微分: \(\frac{d}{dt}(\sin ax) = a \cos ax\)
式⑪に電流の式を代入して微分します。
$$
\begin{aligned}
v_L &= L \frac{d}{dt} (I_0 \sin \omega t) \\[2.0ex]
&= L I_0 (\omega \cos \omega t) \\[2.0ex]
&= \omega L I_0 \cos \omega t
\end{aligned}
$$
ここで \(I_0 = V_0/R\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
v_L &= \frac{\omega L V_0}{R} \cos \omega t
\end{aligned}
$$
最大値 \(V_{L0}\) は係数部分なので、
$$
\begin{aligned}
V_{L0} &= \frac{\omega L V_0}{R}
\end{aligned}
$$
実効値 \(V_{L\text{実}}\) は、
$$
\begin{aligned}
V_{L\text{実}} &= \frac{\omega L V_0}{\sqrt{2}R}
\end{aligned}
$$
「電流の変化率(微分)が電圧になる」というコイルの性質を計算しました。
サインを微分するとコサインになる。これが「位相が90度進む」ことの正体です。
また、微分の際に \(\omega\) が前に出てくるため、電圧の大きさは \(\omega\) に比例します。これがリアクタンス \(\omega L\) の正体です。
微積分を用いることで、公式を暗記していなくても、コイルの物理的定義から自然に答えが導かれました。
問(7)
思考の道筋とポイント
回路全体の電源電圧の最大値 \(V_1\) と、ab間(抵抗とコンデンサーの直列部分)の電圧の最大値 \(V_2\) を求めます。
交流回路では、電圧の最大値は単純な足し算(\(V_R + V_C + V_L\))にはなりません。位相がずれているため、インピーダンス \(Z\) を用いて合成する必要があります。
この設問における重要なポイント
- インピーダンスの合成: 直列回路の合成インピーダンス \(Z\) は、抵抗 \(R\) とリアクタンス \(X\) のベクトル和の大きさ \(Z = \sqrt{R^2 + X^2}\) で表されます。
- 全体のリアクタンス: コイル(位相進み)とコンデンサー(位相遅れ)は互いに打ち消し合うため、合成リアクタンスは \(|\omega L – \frac{1}{\omega C}|\) となります。
具体的な解説と立式
まず、電源電圧の最大値 \(V_1\) を求めます。
回路全体のインピーダンス \(Z_{\text{全}}\) は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
Z_{\text{全}} &= \sqrt{R^2 + \left( \omega L – \frac{1}{\omega C} \right)^2} \quad \cdots ⑫
\end{aligned}
$$
電源電圧の最大値は、インピーダンスと電流最大値 \(I_0\) の積です。
$$
\begin{aligned}
V_1 &= Z_{\text{全}} I_0 \quad \cdots ⑬
\end{aligned}
$$
次に、ab間の電圧の最大値 \(V_2\) を求めます。
ab間には抵抗 \(R\) とコンデンサー \(C\) があります。この部分のインピーダンス \(Z_{ab}\) は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
Z_{ab} &= \sqrt{R^2 + \left( \frac{1}{\omega C} \right)^2} \quad \cdots ⑭
\end{aligned}
$$
ab間電圧の最大値は、
$$
\begin{aligned}
V_2 &= Z_{ab} I_0 \quad \cdots ⑮
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- RLC直列回路のインピーダンス: \(Z = \sqrt{R^2 + (\omega L – 1/\omega C)^2}\)
- RC直列回路のインピーダンス: \(Z = \sqrt{R^2 + (1/\omega C)^2}\)
- オームの法則(交流全体): \(V = ZI\)
式⑬に式⑫と \(I_0 = V_0/R\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
V_1 &= \sqrt{R^2 + \left( \omega L – \frac{1}{\omega C} \right)^2} \cdot \frac{V_0}{R} \\[2.0ex]
&= \frac{V_0}{R} \sqrt{R^2 + \left( \omega L – \frac{1}{\omega C} \right)^2}
\end{aligned}
$$
式⑮に式⑭と \(I_0 = V_0/R\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
V_2 &= \sqrt{R^2 + \left( \frac{1}{\omega C} \right)^2} \cdot \frac{V_0}{R} \\[2.0ex]
&= \frac{V_0}{R} \sqrt{R^2 + \frac{1}{\omega^2 C^2}}
\end{aligned}
$$
交流の電圧の足し算は、単純な足し算ではなく「ベクトルの足し算(三平方の定理)」になります。
抵抗は「横向き」、コイルは「上向き」、コンデンサーは「下向き」の矢印だと考えてください。
全体(\(V_1\))では、上向きのコイルと下向きのコンデンサーが喧嘩して、差し引き分だけが縦に残ります。それと横向きの抵抗を三平方の定理で合成します。
ab間(\(V_2\))では、横向きの抵抗と下向きのコンデンサーだけなので、これらを三平方の定理で合成します。
\(V_1 = \frac{V_0}{R} \sqrt{R^2 + (\omega L – \frac{1}{\omega C})^2}\)、\(V_2 = \frac{V_0}{R} \sqrt{R^2 + \frac{1}{\omega^2 C^2}}\) です。
もし \(\omega L = 1/\omega C\)(共振状態)ならば、\(V_1 = V_0\) となり、電源電圧がすべて抵抗にかかることになります。これは物理的に正しい挙動です。
思考の道筋とポイント
数式だけでなく、電圧ベクトルを描いて図形的に解きます。
電流ベクトル \(\vec{I}\) を基準(右向き)にとり、各素子の電圧ベクトルを描き込みます。
この設問における重要なポイント
- 抵抗の電圧 \(\vec{V}_R\): 電流と同位相 \(\rightarrow\) 右向き。大きさ \(RI_0 = V_0\)。
- コイルの電圧 \(\vec{V}_L\): 電流より90度進み \(\rightarrow\) 上向き。大きさ \(\omega L I_0\)。
- コンデンサーの電圧 \(\vec{V}_C\): 電流より90度遅れ \(\rightarrow\) 下向き。大きさ \(\frac{1}{\omega C} I_0\)。
具体的な解説と立式
1. 電源電圧 \(V_1\) の導出
3つのベクトルを合成します。
縦方向(虚軸方向)の成分は、上向きの \(\vec{V}_L\) と下向きの \(\vec{V}_C\) の差です。
$$
\begin{aligned}
|\vec{V}_L – \vec{V}_C| &= \left| \omega L I_0 – \frac{1}{\omega C} I_0 \right|
\end{aligned}
$$
横方向(実軸方向)の成分は \(\vec{V}_R\) で、大きさは \(V_0\) です。
これらは直交するので、三平方の定理より合成ベクトルの大きさ \(V_1\) は、
$$
\begin{aligned}
V_1 &= \sqrt{V_0^2 + \left( \omega L I_0 – \frac{1}{\omega C} I_0 \right)^2}
\end{aligned}
$$
2. ab間電圧 \(V_2\) の導出
抵抗とコンデンサーの電圧ベクトルを合成します。
横方向 \(V_0\) と下向き \(\frac{1}{\omega C} I_0\) の合成です。
$$
\begin{aligned}
V_2 &= \sqrt{V_0^2 + \left( \frac{1}{\omega C} I_0 \right)^2}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- ピタゴラスの定理: \(c = \sqrt{a^2 + b^2}\)
\(I_0 = V_0/R\) を代入して整理します。
$$
\begin{aligned}
V_1 &= \sqrt{V_0^2 + \left( \omega L \frac{V_0}{R} – \frac{1}{\omega C} \frac{V_0}{R} \right)^2} \\[2.0ex]
&= V_0 \sqrt{1 + \frac{1}{R^2} \left( \omega L – \frac{1}{\omega C} \right)^2} \\[2.0ex]
&= \frac{V_0}{R} \sqrt{R^2 + \left( \omega L – \frac{1}{\omega C} \right)^2}
\end{aligned}
$$
同様に \(V_2\) も、
$$
\begin{aligned}
V_2 &= \sqrt{V_0^2 + \left( \frac{1}{\omega C} \frac{V_0}{R} \right)^2} \\[2.0ex]
&= \frac{V_0}{R} \sqrt{R^2 + \frac{1}{\omega^2 C^2}}
\end{aligned}
$$
電圧を矢印(ベクトル)で描くと、直角三角形の斜辺の長さを求める問題に帰着します。
インピーダンスの公式を忘れても、「抵抗は横、コイルは上、コンデンサーは下」という図さえ描ければ、ピタゴラスの定理で確実に答えが出せます。
メインの解法と同じ結果が得られました。視覚的に理解しやすく、計算ミスのチェックにも有効です。
思考の道筋とポイント
各素子の瞬時電圧 \(v_R, v_C, v_L\) をすべて足し合わせ、三角関数の合成公式 \(A \sin \theta + B \cos \theta = \sqrt{A^2+B^2} \sin(\theta + \alpha)\) を用いて、振幅(最大値)を求めます。
この設問における重要なポイント
- キルヒホッフの法則: 瞬時値においては、電圧の和が成立します。\(v = v_R + v_L + v_C\)。
- 三角関数の合成: \(A \sin \theta + B \cos \theta\) の最大値は \(\sqrt{A^2 + B^2}\) です。
具体的な解説と立式
回路全体の瞬時電圧 \(v\) は、キルヒホッフの法則より各電圧の和です。
$$
\begin{aligned}
v &= v_R + v_L + v_C
\end{aligned}
$$
これに問(2)(4)(6)の結果を代入します。
$$
\begin{aligned}
v &= V_0 \sin \omega t + \frac{\omega L V_0}{R} \cos \omega t – \frac{V_0}{\omega CR} \cos \omega t \\[2.0ex]
&= V_0 \sin \omega t + \left( \frac{\omega L V_0}{R} – \frac{V_0}{\omega CR} \right) \cos \omega t
\end{aligned}
$$
ここで、\(\sin \omega t\) の係数を \(A\)、\(\cos \omega t\) の係数を \(B\) と見なして合成します。
$$
\begin{aligned}
A &= V_0 \\[2.0ex]
B &= \frac{V_0}{R} \left( \omega L – \frac{1}{\omega C} \right)
\end{aligned}
$$
合成後の最大値 \(V_1\) は \(\sqrt{A^2 + B^2}\) です。
$$
\begin{aligned}
V_1 &= \sqrt{V_0^2 + \left\{ \frac{V_0}{R} \left( \omega L – \frac{1}{\omega C} \right) \right\}^2}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 三角関数の合成: \(A \sin \theta + B \cos \theta = \sqrt{A^2+B^2} \sin(\theta + \alpha)\)
ルートの中身を整理します。
$$
\begin{aligned}
V_1 &= \sqrt{V_0^2 + \frac{V_0^2}{R^2} \left( \omega L – \frac{1}{\omega C} \right)^2} \\[2.0ex]
&= V_0 \sqrt{1 + \frac{1}{R^2} \left( \omega L – \frac{1}{\omega C} \right)^2} \\[2.0ex]
&= \frac{V_0}{R} \sqrt{R^2 + \left( \omega L – \frac{1}{\omega C} \right)^2}
\end{aligned}
$$
ab間についても同様に \(v_{ab} = v_R + v_C\) を合成すれば求まります。
グラフの足し算を数式で行いました。
サイン波とコサイン波を足すと、タイミング(位相)がずれた新しいサイン波になります。
その新しい波の高さ(振幅)は、元の波の高さを使って計算できます。これが三角関数の合成公式です。
ベクトル図の解法は、実はこの三角関数の合成を幾何学的に表現したものに他なりません。数式変形からも同じ結論が得られることで、解法の正当性がより強固になります。
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最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 交流回路における各素子の振る舞い(位相とリアクタンス)
- 核心: 抵抗 \(R\)、コイル \(L\)、コンデンサー \(C\) は、交流に対してそれぞれ異なる応答を示します。抵抗は電圧と電流が同位相ですが、コイルは電圧が \(\pi/2\) 進み、コンデンサーは \(\pi/2\) 遅れます。また、電流の流れにくさ(リアクタンス)は周波数に依存し、コイルは \(\omega L\)、コンデンサーは \(1/(\omega C)\) となります。
- 理解のポイント:
- 微積分の視点: この位相のずれとリアクタンスの周波数依存性は、コイルの \(v = L \frac{di}{dt}\)(微分)とコンデンサーの \(v = \frac{1}{C} \int i dt\)(積分)という定義式から数学的に必然として導かれます。
- エネルギーの視点: 抵抗は電力を消費しますが、コイルとコンデンサーは電力を消費せず、エネルギーを一時的に蓄えて放出するだけです。
- インピーダンスとベクトル合成
- 核心: 交流回路の電圧やインピーダンスは、単純な足し算ではなく、位相を考慮した「ベクトル合成」で計算する必要があります。
- 理解のポイント:
- 直交性: 抵抗成分(実軸)とリアクタンス成分(虚軸)は直交するため、三平方の定理(ピタゴラスの定理)が適用されます。
- 打ち消し合い: コイル(上向きベクトル)とコンデンサー(下向きベクトル)は互いに打ち消し合う性質があり、これが共振現象の基礎となります。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- RLC並列回路: 直列回路では「電流が共通」でしたが、並列回路では「電圧が共通」となります。ベクトル図を描く際は、電圧ベクトルを基準(横向き)にし、電流ベクトルを合成します。
- 共振回路: インピーダンスが最小(直列共振)または最大(並列共振)になる条件を問う問題です。これは \(\omega L = 1/(\omega C)\) となる条件、つまり虚部が打ち消し合う条件を探すことに他なりません。
- 過渡現象: スイッチを入れた直後や切った直後の振る舞いを問う問題です。交流の定常状態とは異なり、微分方程式を解く必要がありますが、初期条件(コイルは電流連続、コンデンサーは電圧連続)が鍵となります。
- 初見の問題での着眼点:
- 基準を見つける: 直列なら電流 \(I\)、並列なら電圧 \(V\) を基準(位相0)に設定します。
- 素子ごとの変換: 各素子の電圧(または電流)を、基準との位相差とリアクタンスを用いて書き下します。「コイルは微分(進み)、コンデンサーは積分(遅れ)」と唱えましょう。
- 合成: 求めた各成分をベクトルとして合成します。数式で処理するよりも、図を描いた方がミスが減ります。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 位相の進み・遅れの混同:
- 誤解: 「コイルは遅れるんだっけ?進むんだっけ?」と混乱し、逆にしてしまう。
- 対策: 語呂合わせ「ELI the ICE man」(E=電圧, I=電流, L=コイル, C=コンデンサー)を覚えるか、微分 \(\sin \to \cos\)(進み)、積分 \(\sin \to -\cos\)(遅れ)の数学的性質と結びつけて記憶しましょう。
- 最大値と実効値の取り違え:
- 誤解: 電力計算 \(P=IV\) で最大値を使ってしまったり、答えに \(\sqrt{2}\) を付け忘れたりする。
- 対策: 問題文で与えられているのが最大値 \(V_0\) なのか実効値 \(V_e\) なのかを最初に確認し、記号を明確に区別します。電力計算は必ず「実効値」で行うのが鉄則です。
- 単純な足し算の誤り:
- 誤解: 直列回路の全電圧を \(V = V_R + V_L + V_C\) と単純に足してしまう。
- 対策: 交流では「足し算=ベクトル合成」です。必ず \(\sqrt{V_R^2 + (V_L – V_C)^2}\) の形になることを意識してください。瞬時値 \(v(t)\) なら単純和でOKですが、最大値や実効値はベクトル和です。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 問(3)での公式選択(\(P=RI^2\) vs 積分の定義):
- 選定理由: 実戦的には \(P=RI_{\text{実}}^2\) が最速です。しかし、なぜそうなるのか(特に \(\cos^2\) の平均が \(1/2\) になること)を積分の定義から理解しておくと、非正弦波(矩形波や三角波)の実効値を求める応用問題にも対応できます。
- 適用根拠: 抵抗以外の素子は消費電力が0であるため、回路全体の消費電力は抵抗の消費電力と等価になります。
- 問(7)での公式選択(インピーダンス公式 vs ベクトル図):
- 選定理由: インピーダンス公式 \(Z = \sqrt{R^2 + X^2}\) は強力ですが、式が複雑になると計算ミスのリスクがあります。ベクトル図は視覚的に「直角三角形」が見えるため、\(V_L\) と \(V_C\) の引き算の順序などを間違えにくく、検算としても非常に有効です。
- 適用根拠: 線形素子(R, L, C)で構成される回路では、電圧と電流の関係は複素平面上のベクトル回転として記述できるため、幾何学的な合成が物理的に正しい解を与えます。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 次元確認(ディメンションチェック):
- リアクタンスの単位はすべてオーム \([\Omega]\) です。\(\omega L\) は \([1/\text{s}] \cdot [\text{H}] = [\Omega]\)、\(1/(\omega C)\) は \(1 / ([1/\text{s}] \cdot [\text{F}]) = [\Omega]\) となっているか確認しましょう。答えの式において、\(\omega\) が分子にあるか分母にあるかで迷ったら、単位を確認するのが有効です。
- 極限的なケースでの検算:
- \(\omega \to 0\) (直流)のとき、コイルのリアクタンス \(\omega L \to 0\)(導線)、コンデンサーのリアクタンス \(1/\omega C \to \infty\)(断線)となります。求めた式がこの挙動と一致するか確認しましょう。例えば問(7)の \(V_2\) は \(\omega \to 0\) で無限大になりますが、これは直流電圧がすべてコンデンサー(断線部)にかかることを意味し、正しい挙動です。
- 三角関数の合成の確認:
- \(A \sin \theta + B \cos \theta\) の合成において、\(\sqrt{A^2+B^2}\) を計算する際、\(A\) と \(B\) の次元が揃っているか(両方とも電圧、または電流)を確認します。次元が異なるものを足していたら間違いです。
問題137 (横浜市立大+奈良女子大)
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(1)(イ)の別解: 回路方程式(微分方程式)を用いた厳密解法
- 模範解答が定常状態や過渡的な一瞬の状態を切り取って解くのに対し、別解ではキルヒホッフの法則から微分方程式を立て、電流 \(I(t)\) と電荷 \(q(t)\) の時間変化を完全に導出します。
- 設問(2)の別解: LC回路の微分方程式による単振動の導出
- エネルギー保存則を前提とせず、キルヒホッフの第2法則から2階微分方程式(単振動の方程式)を導き、電流 \(i(t)\) や電荷 \(q(t)\) の関数形を数学的に決定します。これにより、周期や最大値、グラフの形状が論理的に導かれます。
- 設問(1)(イ)の別解: 回路方程式(微分方程式)を用いた厳密解法
- 上記の別解が有益である理由
- 微分方程式の解法: 「なぜ振動するのか」「なぜ電流が指数関数的に減衰するのか」といった現象の根本原因を数式から理解できます。特に難関大入試では、この時間変化のプロセス自体が問われることが多いため、必須のスキルとなります。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「RC回路の過渡現象とLC回路の電気振動」です。
前半はコンデンサーの充電過程(過渡現象)、後半はコイルとコンデンサーによるエネルギーの往復運動(電気振動)を扱います。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- コンデンサーの過渡的性質: スイッチを入れた直後、電荷のないコンデンサーは「導線(電圧降下0)」とみなせます。十分に時間が経過すると「断線(電流0)」とみなせます。
- キルヒホッフの第2法則: 閉回路において、起電力の和は電圧降下の和に等しくなります。
- エネルギー保存則: LC回路では、抵抗がないためジュール熱が発生せず、コンデンサーの静電エネルギーとコイルの磁気エネルギーの総和が保存されます。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)では、時間経過に伴うコンデンサーの状態変化(導線 \(\to\) 断線)に着目し、回路方程式を立てて電流や電荷を求めます。
- (2)では、エネルギー保存則を用いて電流の最大値を求めるとともに、電気振動の周期性を利用してグラフや時間を求めます。
問(1)(ア)
思考の道筋とポイント
スイッチ \(\text{S}_1\) を閉じた「直後」の状態を考えます。
初期状態においてコンデンサーの電荷は \(0\) です。
電荷が \(0\) なので、コンデンサーの両端の電位差 \(V_C = Q/C\) も \(0\) になります。
つまり、回路的にはコンデンサーは単なる「導線」と同じ扱いができます。
この設問における重要なポイント
- スイッチ直後のコンデンサー: 電荷 \(Q=0\) ならば電圧 \(V=0\) であり、導線とみなせます。
- 回路の認識: コンデンサー部分を導線に置き換えると、電池 \(V\) と抵抗 \(R\) だけの単純な回路になります。
具体的な解説と立式
スイッチ \(\text{S}_1\) を閉じた直後、コンデンサーの電荷 \(q=0\) より、コンデンサーにかかる電圧は \(0\) です。
キルヒホッフの第2法則(回路方程式)を、時計回りの閉回路に適用します。
抵抗にかかる電圧は \(R I_0\) です。
$$
\begin{aligned}
V &= R I_0 \quad \cdots ①
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- キルヒホッフの第2法則: \((\text{起電力の和}) = (\text{電圧降下の和})\)
- オームの法則: \(V = RI\)
式①を \(I_0\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
I_0 &= \frac{V}{R}
\end{aligned}
$$
スイッチを入れた瞬間、コンデンサーにはまだ電気が溜まっていません。電気が溜まっていないコンデンサーは、電気的な反発力(電圧)を持たないので、電流にとっては何の障害物でもありません。ただの通り道(導線)です。
だから、回路全体で見ると、邪魔者は抵抗 \(R\) だけになります。オームの法則で計算すれば一発です。
答えは \(I_0 = \frac{V}{R}\) です。
次元を確認すると \([\text{V}]/[\Omega] = [\text{A}]\) であり、電流の単位として正しいです。
問(1)(イ)
思考の道筋とポイント
スイッチを入れてから少し時間が経ち、電流が \(I\) (\(0 \le I \le I_0\))になった瞬間を考えます。
このとき、コンデンサーにはある程度の電荷 \(q\) が溜まっており、電圧 \(v_C = q/C\) が発生しています。
キルヒホッフの法則を用いて、この瞬間の回路の状態を式にします。
この設問における重要なポイント
- 電圧降下の内訳: 電池の電圧 \(V\) は、抵抗での電圧降下 \(RI\) と、コンデンサーの電圧 \(q/C\) に分配されます。
具体的な解説と立式
キルヒホッフの第2法則より、以下の式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
V &= R I + \frac{q}{C} \quad \cdots ②
\end{aligned}
$$
この式を \(q\) について解きます。
使用した物理公式
- キルヒホッフの第2法則: \(V = V_R + V_C\)
- コンデンサーの電圧: \(V_C = \frac{q}{C}\)
式②を変形します。
$$
\begin{aligned}
\frac{q}{C} &= V – R I \\[2.0ex]
q &= C(V – R I)
\end{aligned}
$$
電池が頑張って \(V\) という電圧で電気を押し出していますが、抵抗を通るときに \(RI\) だけエネルギーを使います(電圧降下)。
残ったエネルギー(電圧)がコンデンサーに溜まります。つまり、コンデンサーにかかる電圧は \(V – RI\) です。
コンデンサーの公式 \(Q=CV\) に当てはめれば、溜まっている電気量 \(q\) が求まります。
答えは \(q = C(V – RI)\) です。
\(I=I_0=V/R\)(初期状態)を代入すると \(q = C(V – V) = 0\) となり、初期条件と一致します。
\(I=0\)(十分時間が経った後)を代入すると \(q = CV\) となり、満充電の状態と一致します。
問(1)(ウ)
思考の道筋とポイント
「十分時間が経過した」とは、回路が定常状態に達したことを意味します。
コンデンサーに電荷が溜まりきると、それ以上電荷は移動できなくなり、電流は \(0\) になります。
この設問における重要なポイント
- 定常状態: コンデンサーを含む直流回路では、十分時間が経つと電流 \(I = 0\) になります。
- 電圧のバランス: 電流が \(0\) なので抵抗での電圧降下 \(RI\) も \(0\) になり、電池の電圧 \(V\) がすべてコンデンサーにかかります。
具体的な解説と立式
十分時間が経過すると、電流 \(I = 0\) となります。
これを問(1)(イ)で求めた式 \(q = C(V – RI)\) に代入します。
あるいは、キルヒホッフの法則より改めて立式します。
$$
\begin{aligned}
V &= R \cdot 0 + \frac{Q}{C} \quad \cdots ③
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 定常状態の条件: \(I = 0\)
式③より、
$$
\begin{aligned}
V &= \frac{Q}{C} \\[2.0ex]
Q &= CV
\end{aligned}
$$
時間が経つとコンデンサーは満タンになります。もうこれ以上電気は入れないので、電流は止まります。
電流が流れていないので、抵抗では電圧が下がりません。
つまり、電池の電圧 \(V\) がそのままコンデンサーにかかっている状態です。
答えは \(Q = CV\) です。
これはコンデンサーの基本公式そのものであり、物理的に妥当です。
思考の道筋とポイント
回路方程式(キルヒホッフの法則)を微分方程式として立て、それを解くことで電流 \(I(t)\) と電荷 \(q(t)\) の時間変化を関数として完全に導出します。
これにより、(ア)(イ)(ウ)の全ての答えが、一つの関数の特定の時刻の値として求まります。
この設問における重要なポイント
- 電流と電荷の関係: 電流 \(I\) は電荷 \(q\) の時間変化率です。\(I = \frac{dq}{dt}\)。
- 変数分離形: 微分方程式を解く際の基本的な手法です。
具体的な解説と立式
キルヒホッフの第2法則より、任意の時刻 \(t\) において以下の式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
V &= R I + \frac{q}{C} \quad \cdots ④
\end{aligned}
$$
ここで \(I = \frac{dq}{dt}\) を代入し、\(q\) に関する微分方程式を作ります。
$$
\begin{aligned}
V &= R \frac{dq}{dt} + \frac{q}{C} \quad \cdots ⑤
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 電流の定義: \(I = \frac{dq}{dt}\)
- 微分の公式: \(\int \frac{1}{x} dx = \log |x|\)
式⑤を変形して変数分離します。
$$
\begin{aligned}
R \frac{dq}{dt} &= V – \frac{q}{C} \\[2.0ex]
R \frac{dq}{dt} &= \frac{CV – q}{C} \\[2.0ex]
\frac{1}{CV – q} dq &= \frac{1}{RC} dt
\end{aligned}
$$
両辺を積分します。初期条件は \(t=0\) で \(q=0\) です。
$$
\begin{aligned}
\int_0^q \frac{1}{CV – q’} dq’ &= \int_0^t \frac{1}{RC} dt’ \\[2.0ex]
\left[ – \log |CV – q’| \right]_0^q &= \left[ \frac{t’}{RC} \right]_0^t \\[2.0ex]
– \log (CV – q) + \log (CV) &= \frac{t}{RC} \quad (q < CV \text{より}) \\[2.0ex]
\log \frac{CV – q}{CV} &= – \frac{t}{RC}
\end{aligned}
$$
指数関数になおして \(q\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
\frac{CV – q}{CV} &= e^{-\frac{t}{RC}} \\[2.0ex]
q(t) &= CV \left( 1 – e^{-\frac{t}{RC}} \right) \quad \cdots ⑥
\end{aligned}
$$
電流 \(I(t)\) はこれを時間微分して求めます。
$$
\begin{aligned}
I(t) &= \frac{dq}{dt} \\[2.0ex]
&= CV \cdot \left( – \left( – \frac{1}{RC} \right) e^{-\frac{t}{RC}} \right) \\[2.0ex]
&= \frac{V}{R} e^{-\frac{t}{RC}} \quad \cdots ⑦
\end{aligned}
$$
各設問への適用:
- (ア) 直後 (\(t=0\)): 式⑦に \(t=0\) を代入。
$$
\begin{aligned}
I(0) &= \frac{V}{R} \cdot 1 \\[2.0ex]
&= \frac{V}{R}
\end{aligned}
$$ - (イ) 電流が \(I\) のとき: 式④ \(V = RI + q/C\) を変形すれば、微分方程式を解かずとも直接導けます。
$$
\begin{aligned}
q &= C(V – RI)
\end{aligned}
$$ - (ウ) 十分時間が経過 (\(t \to \infty\)): 式⑥で \(t \to \infty\) とすると \(e^{-\infty} \to 0\)。
$$
\begin{aligned}
Q &= CV (1 – 0) \\[2.0ex]
&= CV
\end{aligned}
$$
「ある瞬間のスナップショット」ではなく、「時間の流れ全体」を数式で表しました。
電流は最初ドカンと流れて、だんだん減っていき、最後はゼロになる。
電荷は最初はゼロで、だんだん溜まっていき、最後は \(CV\) になる。
この様子が、指数関数 \(e\) を使った式で完璧に記述されています。
微分方程式から導いた一般解は、全ての設問の答えを包含しており、物理的にも数学的にも最も完全な記述です。
問(2)(ア)
思考の道筋とポイント
スイッチ \(\text{S}_1\) を開き、\(\text{S}_2\) を閉じると、充電されたコンデンサー \(C\) とコイル \(L\) だけの閉回路(LC回路)ができます。
抵抗がないためエネルギーの損失がなく、コンデンサーの静電エネルギーとコイルの磁気エネルギーの間でエネルギーの受け渡しが永遠に続く「電気振動」が起こります。
エネルギー保存則を用いて、電流が最大になるときの値を求めます。
この設問における重要なポイント
- 初期状態: コンデンサーの電荷は \(Q=CV\)、電流は \(0\)。エネルギーは全て静電エネルギー。
- 電流最大の状態: 電流が最大になるとき、コンデンサーの電荷は \(0\) になります(エネルギーが全て磁気エネルギーに移動した瞬間)。
- エネルギー保存則: \(\frac{1}{2}CV^2 + \frac{1}{2}Li^2 = \text{一定}\)。
具体的な解説と立式
スイッチ \(\text{S}_2\) を閉じた直後(初期状態)のエネルギー \(E_{\text{初}}\) は、コンデンサーの静電エネルギーのみです。
$$
\begin{aligned}
E_{\text{初}} &= \frac{1}{2} C V^2 + 0 \quad \cdots ⑧
\end{aligned}
$$
電流が最大値 \(i_m\) になったとき、コンデンサーの電荷は \(0\) になり、エネルギー \(E_{\text{後}}\) はコイルの磁気エネルギーのみになります。
$$
\begin{aligned}
E_{\text{後}} &= 0 + \frac{1}{2} L i_m^2 \quad \cdots ⑨
\end{aligned}
$$
エネルギー保存則より \(E_{\text{初}} = E_{\text{後}}\) です。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{2} C V^2 &= \frac{1}{2} L i_m^2 \quad \cdots ⑩
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 静電エネルギー: \(U_C = \frac{1}{2} CV^2 = \frac{q^2}{2C}\)
- 磁気エネルギー: \(U_L = \frac{1}{2} Li^2\)
- エネルギー保存則: \(U_C + U_L = \text{一定}\)
式⑩を \(i_m\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
L i_m^2 &= C V^2 \\[2.0ex]
i_m^2 &= \frac{C}{L} V^2 \\[2.0ex]
i_m &= V \sqrt{\frac{C}{L}}
\end{aligned}
$$
(\(i_m > 0\) なので正の平方根をとります)
最初はコンデンサーにエネルギーが満タンに入っています。
スイッチを入れると、コンデンサーから電気が流れ出し、コイルを通って反対側の極板へ移動しようとします。
このとき、コンデンサーのエネルギーが減る代わりに、コイルに「電流の勢い」としてのエネルギーが溜まっていきます。
コンデンサーが空っぽになった瞬間、全てのエネルギーがコイルに移っています。このとき電流の勢い(電流値)は最大になります。
バネ振り子で言うと、「バネが一番伸びた状態(位置エネルギー最大)」から手を離し、「自然長を通過する瞬間(運動エネルギー最大)」の状態に対応します。
答えは \(i_m = V \sqrt{\frac{C}{L}}\) です。
単位を確認すると、\([\text{V}] \cdot \sqrt{[\text{F}]/[\text{H}]}\) です。インピーダンスの次元 \(\sqrt{L/C}\) の逆数になっているので、\([\text{V}]/[\Omega] = [\text{A}]\) となり正しいです。
問(2)(イ)
思考の道筋とポイント
電流 \(i\) の時間変化をグラフにします。
LC回路の電流は単振動(正弦波)になります。
初期条件(\(t=0\) で \(i=0\))と、電流の向き(時計回りが正)を考慮してグラフの形(サインかコサインか、プラスかマイナスか)を決定します。
この設問における重要なポイント
- 初期条件: \(t=0\) で \(i=0\) なので、原点から始まります。
- 電流の向き: コンデンサーの上側極板Aがプラス(\(+Q\))、下側極板Bがマイナス(\(-Q\))に帯電しています。スイッチ \(\text{S}_2\) を閉じると、プラス電荷はAから出てコイルを通ってBへ向かいます。これは「時計回り」の電流です。したがって、電流は「正」の方向へ増加し始めます。
- グラフの形: 原点スタートで正の方向へ増えるので、サインカーブ(\(\sin\))になります。
具体的な解説と立式
電流 \(i(t)\) は、最大値 \(i_m\)、角周波数 \(\omega\) の正弦波になります。
$$
\begin{aligned}
i(t) &= i_m \sin \omega t \quad \cdots ⑪
\end{aligned}
$$
ここで、LC回路の固有角周波数 \(\omega\) は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
\omega &= \frac{1}{\sqrt{LC}} \quad \cdots ⑫
\end{aligned}
$$
周期 \(T\) は、
$$
\begin{aligned}
T &= \frac{2\pi}{\omega} \\[2.0ex]
&= 2\pi \sqrt{LC} \quad \cdots ⑬
\end{aligned}
$$
グラフは、振幅 \(i_m\)、周期 \(T\) のサインカーブを描きます。
使用した物理公式
- LC回路の角周波数: \(\omega = \frac{1}{\sqrt{LC}}\)
- 周期: \(T = 2\pi \sqrt{LC}\)
グラフの概形を描くために必要な要素は以下の通りです。
1. 波形: \(t=0\) で \(0\) から始まり、正の領域へ増加する正弦波(サインカーブ)。
2. 最大値: \(i_m = V \sqrt{\frac{C}{L}}\)。
3. 周期: \(T = 2\pi \sqrt{LC}\)。グラフが横軸と交わる(半周期)点は \(\pi \sqrt{LC}\)、1周期の終わりは \(2\pi \sqrt{LC}\)。
コンデンサーの上側にプラスの電気が溜まっているので、スイッチを入れると、そこから電気が溢れ出して時計回りに流れます。だからグラフはプラス側からスタートします。
コイルとコンデンサーのキャッチボール(振動)なので、波の形になります。
最初はゼロからスタートして増えていくので、サインカーブになります。
縦軸に \(i\)、横軸に \(t\) をとり、原点を通るサインカーブを描きます。
最大値 \(i_m\)、最小値 \(-i_m\)、周期 \(2\pi\sqrt{LC}\) を明記します。
(グラフの概形)
縦軸:電流 \(i\)、横軸:時刻 \(t\)
原点から正の向きに立ち上がる正弦波(サインカーブ)。
最大値:\(i_m\)、最初のゼロクロス(半周期):\(\pi\sqrt{LC}\)、1周期:\(2\pi\sqrt{LC}\)。
問(2)(ウ)
思考の道筋とポイント
「下側極板Bの電荷が正で最大となる」状態を考えます。
初期状態では上側Aが正で最大(\(+Q\))でした。
電気振動により、電荷は A(\(+Q\)) \(\to\) \(0\) \(\to\) B(\(+Q\)) \(\to\) \(0\) \(\to\) A(\(+Q\)) と移動します。
これは単振動の半周期分に相当します。
この設問における重要なポイント
- 電荷の移動サイクル:
- \(t=0\): Aが最大(\(+Q\))、Bは最小(\(-Q\))。
- \(t=T/4\): 電荷 \(0\)(電流最大)。
- \(t=T/2\): Aが最小(\(-Q\))、Bが最大(\(+Q\))。
- 求める時間: \(t=0\) から \(t=T/2\) までの時間です。
具体的な解説と立式
求める時間を \(t_1\) とします。
初期状態(Aが正で最大)から、電荷が逆転してBが正で最大になるまでの時間は、振動の半周期 \(T/2\) に相当します。
$$
\begin{aligned}
t_1 &= \frac{T}{2} \quad \cdots ⑭
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 周期: \(T = 2\pi \sqrt{LC}\)
式⑭に周期の式を代入します。
$$
\begin{aligned}
t_1 &= \frac{1}{2} \cdot 2\pi \sqrt{LC} \\[2.0ex]
&= \pi \sqrt{LC}
\end{aligned}
$$
ブランコに例えると、最初に一番高いところ(A側)からスタートして、一番低いところ(電流最大)を通り過ぎ、反対側の一番高いところ(B側)に到達するまでの時間です。
これは「行って帰ってくる(1周期)」の半分、「片道」の時間なので、半周期になります。
答えは \(\pi \sqrt{LC}\) です。
次元は \([\text{s}]\) となり、時間の単位として正しいです。
思考の道筋とポイント
LC回路のキルヒホッフの法則から微分方程式を立て、電流 \(i(t)\) と電荷 \(q(t)\) の関数形を数学的に導出します。
これにより、エネルギー保存則や「半周期」といった物理的直感に頼らずとも、計算だけで全ての答えが出せます。
この設問における重要なポイント
- 回路方程式: \(L \frac{di}{dt} + \frac{q}{C} = 0\)。
- 電流と電荷の関係: ここで注意が必要です。電流 \(i\) は時計回りを正としています。コンデンサーの上側極板の電荷を \(q\) とすると、電流が流れる(\(i>0\))と電荷 \(q\) は減ります。したがって、\(i = – \frac{dq}{dt}\) となります。
- ※もし下側極板の電荷を \(q\) とすれば \(i = \frac{dq}{dt}\) ですが、初期条件 \(q(0)=CV\) を使うために上側を \(q\) とするのが自然です。
具体的な解説と立式
コンデンサーの上側極板の電荷を \(q(t)\) とします。初期条件は \(q(0) = CV\)、\(i(0) = 0\) です。
キルヒホッフの第2法則より、
$$
\begin{aligned}
0 &= L \frac{di}{dt} + \frac{q}{C} \quad \cdots ⑮
\end{aligned}
$$
電流の定義より、電荷 \(q\) が減る方向が電流 \(i\) の正の向きなので、
$$
\begin{aligned}
i &= – \frac{dq}{dt} \quad \cdots ⑯
\end{aligned}
$$
式⑯を式⑮に代入して \(q\) の微分方程式を作ります。
$$
\begin{aligned}
L \frac{d}{dt} \left( – \frac{dq}{dt} \right) + \frac{q}{C} &= 0 \\[2.0ex]
– L \frac{d^2q}{dt^2} + \frac{q}{C} &= 0 \\[2.0ex]
\frac{d^2q}{dt^2} &= – \frac{1}{LC} q \quad \cdots ⑰
\end{aligned}
$$
これは単振動の方程式 \(\frac{d^2x}{dt^2} = – \omega^2 x\) と同じ形です。
角周波数 \(\omega = \frac{1}{\sqrt{LC}}\) とおけます。
使用した物理公式
- 単振動の微分方程式: \(\ddot{x} = -\omega^2 x\)
- 一般解: \(x(t) = A \cos \omega t + B \sin \omega t\)
微分方程式⑰の一般解は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
q(t) &= A \cos \omega t + B \sin \omega t
\end{aligned}
$$
初期条件 \(t=0\) で \(q=CV\) より、
$$
\begin{aligned}
CV &= A \cdot 1 + B \cdot 0 \quad \text{よって} \quad A = CV
\end{aligned}
$$
初期条件 \(t=0\) で \(i=0\) より、\(q'(0)=0\) なので、
$$
\begin{aligned}
q'(t) &= -A\omega \sin \omega t + B\omega \cos \omega t \\[2.0ex]
0 &= 0 + B\omega \quad \text{よって} \quad B = 0
\end{aligned}
$$
よって、電荷の式が確定します。
$$
\begin{aligned}
q(t) &= CV \cos \omega t \quad \cdots ⑱
\end{aligned}
$$
電流 \(i(t)\) はこれを微分してマイナスをつけます(式⑯)。
$$
\begin{aligned}
i(t) &= – \frac{d}{dt} (CV \cos \omega t) \\[2.0ex]
&= – CV (-\omega \sin \omega t) \\[2.0ex]
&= CV \omega \sin \omega t \\[2.0ex]
&= CV \frac{1}{\sqrt{LC}} \sin \omega t \\[2.0ex]
&= V \sqrt{\frac{C}{L}} \sin \omega t \quad \cdots ⑲
\end{aligned}
$$
各設問への適用:
- (ア) 最大値: 式⑲の係数部分が最大値 \(i_m\) です。
$$
\begin{aligned}
i_m &= V \sqrt{\frac{C}{L}}
\end{aligned}
$$ - (イ) グラフ: 式⑲は \(i_m \sin \omega t\) なので、原点スタートの正弦波です。
- (ウ) 時間: 「下側極板Bの電荷が正で最大」とは、「上側極板Aの電荷 \(q\) が負で最大(\(-CV\))」になることです。
式⑱ \(q(t) = CV \cos \omega t\) において、\(\cos \omega t = -1\) となる最小の \(t\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
\omega t &= \pi \\[2.0ex]
t &= \frac{\pi}{\omega} \\[2.0ex]
&= \pi \sqrt{LC}
\end{aligned}
$$
バネ振り子の運動方程式 \(ma = -kx\) と全く同じ形の式が、電気回路でも出てきました。
「電荷 \(q\)」が「位置 \(x\)」、「電流 \(i\)」が「速度 \(v\)」に対応します。
位置 \(x\) がコサイン(端っこからスタート)なら、速度 \(v\) はサイン(ゼロからスタートして加速)になります。
数式ですべての動きが予言できました。
微分方程式を解くことで、電流の最大値、波形、特定の状態になる時刻が全て自動的に求まりました。
エネルギー保存則などの個別のテクニックを使わなくても、原理原則(キルヒホッフの法則)だけで解ける強力な方法です。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- コンデンサーの過渡現象(時間変化)の理解
- 核心: コンデンサーは、スイッチを入れた直後は「導線(電圧0)」、十分時間が経つと「断線(電流0)」として振る舞います。この二面性がRC回路の解法の基礎です。
- 理解のポイント:
- 直後: 電荷 \(Q=0\) なので、\(V=Q/C=0\) となり、抵抗のないただの線と同じになります。
- 定常状態: 充電が完了すると、電池の電圧とコンデンサーの電圧が釣り合い(\(V=Q/C\))、電位差がなくなるため電流が止まります。
- LC回路におけるエネルギー保存則と電気振動
- 核心: 抵抗のないLC回路では、エネルギーの散逸がなく、コンデンサーの静電エネルギー \(\frac{1}{2}CV^2\) とコイルの磁気エネルギー \(\frac{1}{2}Li^2\) の総和が保存されます。
- 理解のポイント:
- エネルギーのキャッチボール: コンデンサーが空っぽ(\(Q=0\))のときコイルの電流は最大(\(i=i_m\))、電流が止まったとき(\(i=0\))コンデンサーは満タン(\(Q=Q_{\text{最大}}\))になります。この関係を使えば、微分方程式を解かなくても最大値を瞬時に求められます。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- RL回路の過渡現象: コイルを含む回路の場合、スイッチ直後は「断線(電流0)」、十分時間が経つと「導線(電圧0)」となります。コンデンサーとは逆の挙動を示すので、対比して覚えましょう。
- RLC直列回路(減衰振動): 抵抗 \(R\) が入ると、エネルギーがジュール熱として消費されるため、振動しながら振幅が小さくなっていく「減衰振動」になります。この場合、エネルギー保存則は成り立ちませんが、エネルギー収支の式(減少分=ジュール熱)は立てられます。
- 初見の問題での着眼点:
- スイッチ操作のタイミング: 「直後」なのか「十分時間が経過」なのかを必ずチェックします。
- 保存則の適用可否: 抵抗がある区間ではエネルギー保存則は使えません。抵抗がない閉回路(LC回路など)を見つけたら、保存則のチャンスです。
- 電流と電荷の正負: 特に電気振動のグラフを描く問題では、「電流の正の向き」と「電荷の増減」の関係(\(i = dq/dt\) か \(i = -dq/dt\) か)を慎重に見極める必要があります。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 初期条件の取り違え:
- 誤解: スイッチを入れた直後のコンデンサーを「断線」と勘違いしたり、コイルを「導線」と勘違いする。
- 対策: 「コンデンサーは空っぽなら電圧ゼロ(導線)」「コイルは急に電流を変えられない(断線)」と、物理的な理由とセットで記憶しましょう。
- 電気振動の周期のミス:
- 誤解: 周期 \(T = 2\pi\sqrt{LC}\) を、角周波数 \(\omega = 1/\sqrt{LC}\) と混同したり、ルートの中身を逆にしてしまう。
- 対策: 次元解析が有効です。\(\sqrt{LC}\) の単位は「秒」です(\(L\) は \([\text{V}\cdot\text{s}/\text{A}]\)、\(C\) は \([\text{A}\cdot\text{s}/\text{V}]\) なので積は \([\text{s}^2]\))。
- グラフの位相ズレ:
- 誤解: 電流のグラフをコサインカーブで描いてしまったり、プラスマイナスを逆にしてしまう。
- 対策: \(t=0\) の瞬間の値を必ず確認します。\(i=0\) なら原点スタート(サイン)、\(i=i_m\) なら頂点スタート(コサイン)です。また、最初の変化の向き(プラスに増えるかマイナスに増えるか)を回路図の電流の向きから判断します。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 問(1)での公式選択(回路方程式 vs 定性理解):
- 選定理由: (ア)(ウ)のような特定の瞬間だけを問う問題では、「導線」「断線」とみなす定性的なアプローチが圧倒的に速いです。一方、(イ)のような途中経過や、時間変化の関数を問われた場合は、回路方程式(キルヒホッフ)を立てる必要があります。
- 適用根拠: キルヒホッフの法則は、定常・非定常に関わらず常に成立する万能の法則だからです。
- 問(2)での公式選択(エネルギー保存則 vs 微分方程式):
- 選定理由: 最大値 \(i_m\) だけを求めるなら、エネルギー保存則が最速です。計算量が少なくミスも減ります。しかし、グラフの概形や特定の時刻を求める場合は、単振動のアナロジー(\(\omega\) や周期 \(T\))を利用するか、微分方程式で関数形を特定する方が確実です。
- 適用根拠: 抵抗がないためエネルギー散逸がなく、保存則が成立することが保証されているからです。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 次元確認(ディメンションチェック):
- \(CR\) の単位は「秒(時定数)」、\(\sqrt{LC}\) の単位も「秒」です。答えの式において、時間がこれらの組み合わせになっているか確認しましょう。例えば \(t = \pi \sqrt{LC}\) は正しいですが、\(t = \pi / \sqrt{LC}\) は単位が \([1/\text{s}]\) になるので間違いです。
- 極限的なケースでの検算:
- 問(1)(イ)の式 \(q = C(V – RI)\) において、\(I=0\) を代入すると \(q=CV\) になります。これは(ウ)の答えと一致します。このように、求めた一般式が特殊な状況(初期状態や定常状態)と矛盾しないかを常にチェックする癖をつけましょう。
- 符号の確認:
- キルヒホッフの法則を立てる際、電池の向きと電流の向き、コンデンサーの極板の正負を指差し確認します。特に \(V – RI – q/C = 0\) なのか \(V – RI + q/C = 0\) なのか、符号一つで結果が大きく変わります。一周して元の電位に戻るイメージを持つとミスが減ります。
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問題138 (自治医科大+山形大)
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(1)(2)の別解: 回路方程式(微分方程式)を用いた厳密解法
- 模範解答が「直後」「十分時間経過後」という特定の瞬間の状態を定性的に判断して解くのに対し、別解ではキルヒホッフの法則から微分方程式を立て、電流 \(I(t)\) の時間変化を関数として完全に導出します。これにより、なぜコイルが直後に電流を通さないのか、なぜコンデンサーが定常状態で電流を通さないのかを数式から理解できます。
- 設問(3)(4)の別解: LC回路の微分方程式による単振動の導出
- エネルギー保存則を前提とせず、キルヒホッフの第2法則から2階微分方程式(単振動の方程式)を導き、電流 \(i(t)\) や電圧 \(v(t)\) の関数形を数学的に決定します。これにより、周期や最大値が論理的に導かれます。
- 設問(1)(2)の別解: 回路方程式(微分方程式)を用いた厳密解法
- 上記の別解が有益である理由
- 微分方程式の解法: 過渡現象や電気振動のメカニズムを根本から理解でき、定性的な暗記に頼らない応用力が身につきます。特に、スイッチ操作後の任意の時刻における状態を問われるような難問にも対応できるようになります。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「RLC並列回路の過渡現象と電気振動」です。
前半はスイッチを入れた後の過渡的な変化(コイルとコンデンサーの振る舞いの違い)、後半はスイッチを切った後に生じるLC回路の電気振動を扱います。問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- コイルの過渡的性質: 電流の変化を妨げるため、急激な変化に対しては「断線(電流0)」、定常状態では「導線(電圧降下0)」として振る舞います。
- コンデンサーの過渡的性質: 電荷が空のときは「導線(電圧0)」、満充電では「断線(電流0)」として振る舞います。
- 並列回路の特性: 並列接続された素子には、常に等しい電圧がかかります。
- エネルギー保存則: 抵抗のないLC回路では、電気振動においてエネルギーの総和が保存されます。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)(2)では、コイルとコンデンサーの「直後」と「定常状態」における振る舞い(導線か断線か)を見極め、等価回路を描いて電流を求めます。
- (3)(4)では、LC回路の電気振動の周期性とエネルギー保存則を利用して、時間や最大電圧を求めます。
問(1)
ここから先が、他の受験生と差がつく重要パートです。
「解法に至る思考プロセス」を
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なぜその公式を使うのか?どうしてその着眼点を持てるのか?
市販の解説では省略されてしまう「行間の思考」を、泥臭く解説しています。
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