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講義ノート
【今回のポイント】
- 力学の目的は「いつ」「どこに」物体があるかを予測すること
- MKS単位系(\(M\): メートル、\(K\): キログラム、\(S\): 秒)が物理の基本単位
- 「位置」は点、「距離」は点と点の幅、「変位」は最終的な位置の変化
- 「時刻」は一瞬の「いつ」、「時間」は時刻と時刻の差
- 速さは \(v = \displaystyle\frac{\Delta x}{\Delta t}\)(距離÷時間)で求められる
- 「速さ」は大きさのみ、「速度」は大きさ+向きを含む
- 速度の合成は符号をつけて足し算、相対速度は「相手−自分」
【講義解説】
力学の目的
力学の目的は大きく2つある。
1つ目は、物体が「いつ」「どこに」あるかを予測することである。たとえば、ボールを投げたとき、\(1\) 秒後にそのボールが何メートル地点にあるのかを計算できるようにする。これが力学で扱う中心的な問いである。
2つ目は、力とは何かを知ることである。力は目に見えないため、その種類・大きさ・向きを1つずつ調べていく必要がある。
MKS単位系
物理では長さ・質量・時間の3つを基本の単位として使う。これをMKS単位系と呼ぶ。
- \(M\)(メートル): 場所・距離・長さを表す基本単位
- \(K\)(キログラム): 質量を表す基本単位
- \(S\)(セコンド=秒): 時間を表す基本単位
この3つの頭文字をとって「MKS」である。力学のあらゆる計算は、この単位系を基本に進めていく。
位置・距離・変位の違い
物体がどこにあるのかを表すには、まず座標を用意する。x軸を引き、正の向きをしっかり決めることが出発点である。
- 位置: 「点」のこと。原点を基準とした点の場所を表す。
- 距離: 「点と点の幅」のこと。2つの位置がどれだけ離れているかを表す。
- 変位: 「最終的な位置の変化」のこと。途中の経路は関係なく、スタートからゴールまでどれだけ位置が変化したかだけを見る。

たとえば、スタート地点からゴール地点までぐねぐね曲がって移動したとしても、変位はスタートとゴールを直線で結んだ矢印で表される。途中どんな経路を通ったかは一切関係ない。
時刻と時間の違い
日常では「時刻」と「時間」を同じ意味で使うことが多いが、物理ではこの2つを明確に区別する。
- 時刻: ある一瞬の「いつ」を表す。時計の針が指す値そのものである。たとえば「\(t = 3\,\text{s}\)」は、スタートから \(3\) 秒が経過した瞬間を指す。
- 時間: 時刻と時刻の「差」を表す。ある瞬間からある瞬間までの長さである。たとえば \(t = 3\,\text{s}\) から \(t = 8\,\text{s}\) までの時間は \(8 – 3 = 5\,\text{s}\) となる。
位置と距離の関係と同じ考え方である。「位置」が点で「距離」が幅であるように、「時刻」が点で「時間」が幅にあたる。
速さのイメージと公式
速さは「距離÷時間」で求められるが、計算方法よりもまずイメージをつかむことが大切である。
たとえば「秒速 \(5\,\text{m}\)」とは、\(1\) 秒間に \(5\,\text{m}\) だけ位置が変化するということである。\(50\,\text{m}\) 走ならちょうど \(10\) 秒で走り切るスピードにあたる。

これを文字で表すと、次の公式になる。
$$
\begin{aligned}
v &= \displaystyle\frac{\Delta x}{\Delta t}
\end{aligned}
$$
ここで \(v\) は velocity(速度・速さ)の頭文字である。\(\Delta\)(デルタ)は「差」を意味し、\(\Delta x\) は位置の差(距離・変位)、\(\Delta t\) は時間の差を表す。
また、速さには「瞬間の速さ」と「平均の速さ」の2種類がある。瞬間の速さとは、ある一瞬のスピードメーターの値を読み取ったものである。一方、平均の速さとは、全体の距離を全体の時間で割ったものである。
これは、クラス全員のテストの点数がバラバラでも「全員が同じ点数だとしたら何点になるか」が平均点であるのと同じ考え方である。速さがバラバラでも「ずっと同じ速さで進んだとしたらいくらか」が平均の速さである。
速さと速度の違い
日常では「速さ」と「速度」を同じ意味で使うことが多いが、物理ではこの2つを明確に区別する。
- 速さ: 大きさのみを表す。「\(5\,\text{m}/\text{s}\)」のように数値だけで答える。
- 速度: 大きさと向きの両方を含む。「東向きに \(5\,\text{m}/\text{s}\)」のように、必ず向きも答える。

速度を答えるときは、向きを忘れないことが鉄則である。
速度の合成
歩いている最中に風が吹いたら、実際の速さはどうなるだろうか。
\(v_1\) を無風状態で人が歩く速度、\(v_2\) を風の速度、\(v\) を実際の速度とする。
- 追い風のとき: 後ろから風が吹くので、自分が思っているスピードよりも少し速く歩ける。自分の速度に風の速度が足される。
- 向かい風のとき: 前から風が吹くので、自分の速度から風の速度が差し引かれて遅くなる。

どちらの場合も、速度に符号をつけて足し算すれば正しい結果が得られる。
$$
\begin{aligned}
v &= v_1 + v_2
\end{aligned}
$$
ここで重要なのは、速度には必ず符号をつけるということである。正の向きに進むなら正、逆向きなら負の符号をつけて計算する。
= (15) + (10) = 25 m/s
相対速度
走っている電車に乗っている人から、外を走る車を見たらどう見えるだろうか。
自分が足の遅い人で、隣の友達の方が足が速ければ、友達は前にどんどん進んでいくように見える。逆に、自分が足が速くて友達が遅ければ、友達は後ろに下がっていくように見える。このように、自分から見た相手の速度を「相対速度」という。

$$
\begin{aligned}
v_{\text{相対}} &= v_{\text{相手}} – v_{\text{自分}}
\end{aligned}
$$
相対速度も、必ず符号をつけて引き算することがポイントである。
= (-10) - (15) = -25 m/s
【練習問題の解説】
① 位置の図示(問1)
【問題】
原点からx軸方向に \(3\,\text{m}\)、\(5\,\text{m}\)、\(-2\,\text{m}\)、\(-6\,\text{m}\) の位置に点を書き、位置を示せ。

【解説】
位置は「点」のことである。数直線上の該当する座標に点を打てばよい。
\(x = 3\)、\(5\)、\(-2\)、\(-6\) の目盛りの位置にそれぞれ点を描き込む。

② 瞬間の速さと平均の速さ(問2)
【問題】
速さには「瞬間の速さ」と「平均の速さ」がある。2つの違いについて考えよう。

【解説】
瞬間の速さは、その瞬間のスピードメーターの値を読み取るだけである。
- \(t=0\) のとき: \(0\,\text{m}/\text{s}\)
- \(t=10\) のとき: \(10\,\text{m}/\text{s}\)
- \(t=20\) のとき: \(30\,\text{m}/\text{s}\)
- \(t=30\) のとき: \(15\,\text{m}/\text{s}\)
- \(t=40\) のとき: \(0\,\text{m}/\text{s}\)
一方、平均の速さは全体の距離をかかった時間で割って求める。
$$
\begin{aligned}
v_{\text{平均}} &= \displaystyle\frac{800}{40} \\[2.0ex]
&= 20\,\text{m}/\text{s}
\end{aligned}
$$
③ 速度の表現(問3)
【問題】
東西方向の高速道路を、自動車Aは東向きに \(20\,\text{m}/\text{s}\)、自動車Bは西向きに \(25\,\text{m}/\text{s}\) の速さで走っている。東向きを正の向きとして、自動車A、Bのそれぞれの速度を表せ。
【解説】
東向きを正とするので、西向きは負になる。速度は向きと大きさの両方を答えるか、符号をつけて答える。

- 自動車A: 正の向きに \(20\,\text{m}/\text{s}\)
- 自動車B: 負の向きに \(25\,\text{m}/\text{s}\)
④ 平均の速度(問4)
【問題】
止まっていた自動車が動き出して、\(10\,\text{s}\) 後には止まっていたところから東に \(50\,\text{m}\) のところ、\(15\,\text{s}\) 後には \(120\,\text{m}\) の所を走っていた。東向きを正として、動き出して \(10\,\text{s}\) 後から \(15\,\text{s}\) 後の間の平均の速度を求めよ。
【解説】

\(10\) 秒後から \(15\) 秒後までの \(5\) 秒間に注目する。この間に位置は \(50\,\text{m}\) から \(120\,\text{m}\) へ変化しているので、変位は次のようになる。
$$
\begin{aligned}
\Delta x &= 120 – 50 \\[2.0ex]
&= 70\,\text{m}
\end{aligned}
$$
これをかかった時間 \(5\,\text{s}\) で割る。
$$
\begin{aligned}
v_{\text{平均}} &= \displaystyle\frac{70}{5} \\[2.0ex]
&= 14\,\text{m}/\text{s}
\end{aligned}
$$
東向きを正としているので、答えは正の向きに \(14\,\text{m}/\text{s}\) である。
瞬間の速さ
平均の速さ
⑤ 速度の合成の計算(問5)
【問題】
\(20\,\text{m}/\text{s}\) の速さで走っている自動車に乗った人が、ボールを投げた。次の各場合について、地面に対するボールの(投げ出した直後の)速さを求めよ。
(1) 進行方向に、自動車に対して \(30\,\text{m}/\text{s}\) で投げる。
(2) 進行方向後方に、自動車に対して \(20\,\text{m}/\text{s}\) で投げる。
【解説】
進行方向(右向き)を正とする。自動車の速度は \(+20\,\text{m}/\text{s}\) である。
(1) ボールを進行方向に投げるので、ボールの速度は \(+30\,\text{m}/\text{s}\) である。

$$
\begin{aligned}
v &= (+20) + (+30) \\[2.0ex]
&= +50\,\text{m}/\text{s}
\end{aligned}
$$
速さを聞かれているので、大きさのみ答える。答えは \(50\,\text{m}/\text{s}\) である。
(2) ボールを後方に投げるので、ボールの速度は \(-20\,\text{m}/\text{s}\) である。

$$
\begin{aligned}
v &= (+20) + (-20) \\[2.0ex]
&= 0\,\text{m}/\text{s}
\end{aligned}
$$
答えは \(0\,\text{m}/\text{s}\) である。
⑥ 相対速度の計算1(問6)
【問題】
東向きに \(60\,\text{km}/\text{h}\) の速さで進んでいる電車Aから、東向きに \(80\,\text{km}/\text{h}\) の速さで進む自動車Bを見ると、Bはどちらの向きにいくらの速さで進むように見えるか。
【解説】
東向きを正とする。Aの速度は \(+60\,\text{km}/\text{h}\)、Bの速度は \(+80\,\text{km}/\text{h}\) である。

Aから見たBの相対速度 \(v_{AB}\) を求める。
$$
\begin{aligned}
v_{AB} &= v_B – v_A \\[2.0ex]
&= (+80) – (+60) \\[2.0ex]
&= +20\,\text{km}/\text{h}
\end{aligned}
$$
正なので東向きである。答えは東向きに \(20\,\text{km}/\text{h}\) である。
⑦ 相対速度の計算2(問7)
【問題】
上の電車Aから、東向きに \(40\,\text{km}/\text{h}\) の速さで進むバスCはどちらの向きにいくらの速さで進むように見えるか。
【解説】
Cの速度は \(+40\,\text{km}/\text{h}\) である。

$$
\begin{aligned}
v_{AC} &= v_C – v_A \\[2.0ex]
&= (+40) – (+60) \\[2.0ex]
&= -20\,\text{km}/\text{h}
\end{aligned}
$$
負なので西向きである。答えは西向きに \(20\,\text{km}/\text{h}\) である。
⑧ 相対速度の計算3(問8)
【問題】
電車Aから、西向きに \(50\,\text{km}/\text{h}\) で進むバイクDを見るとどちらの向きにいくらの速さで進むように見えるか。
【解説】
Dは西向きなので速度は \(-50\,\text{km}/\text{h}\) である。

$$
\begin{aligned}
v_{AD} &= v_D – v_A \\[2.0ex]
&= (-50) – (+60) \\[2.0ex]
&= -110\,\text{km}/\text{h}
\end{aligned}
$$
負なので西向きである。答えは西向きに \(110\,\text{km}/\text{h}\) である。
⑨ 相対速度の逆算(問9)
【問題】
北向きに \(80\,\text{km}/\text{h}\) の速さで進んでいる電車Aから見ると、電車Bは南向きに \(30\,\text{km}/\text{h}\) の速さで進むように見えた。電車Bはどちらの向きに何 \(\text{km}/\text{h}\) の速さで進んでいるか。
【解説】
北向きを正とする。自分(A)の速度は \(+80\,\text{km}/\text{h}\)、Aから見たBの相対速度は南向きに \(30\) なので \(-30\,\text{km}/\text{h}\) である。

相手(B)の速度を \(v_B\) とすると、公式より次の式が立つ。
$$
\begin{aligned}
-30 &= v_B – (+80)
\end{aligned}
$$
これを解く。
$$
\begin{aligned}
v_B &= -30 + 80 \\[2.0ex]
&= +50\,\text{km}/\text{h}
\end{aligned}
$$
正なので北向きである。答えは北向きに \(50\,\text{km}/\text{h}\) である。
【重要公式まとめ】
速さの定義
$$
\begin{aligned}
v &= \displaystyle\frac{\Delta x}{\Delta t}
\end{aligned}
$$
\(v\): 速さ、\(\Delta x\): 位置の差(距離・変位)、\(\Delta t\): 時間の差
速度の合成
$$
\begin{aligned}
v &= v_1 + v_2
\end{aligned}
$$
\(v\): 実際の速度、\(v_1\): 物体の速度、\(v_2\): 風などの速度。必ず符号をつけて足し算する。
相対速度
$$
\begin{aligned}
v_{\text{相対}} &= v_{\text{相手}} – v_{\text{自分}}
\end{aligned}
$$
自分から見た相手の速度。必ず符号をつけて引き算する。
以下のテキストをコピーして、「まことAI」にそのまま貼り付けてみてください。別の角度からわかりやすく解説してくれます。
タップ(クリック)すると答えが表示されます。
Q1. 物理において、ある瞬間からある瞬間までの「長さ(差)」を表すのは「時刻」と「時間」のどちらでしょうか?
「時刻」は時計の針が指すその一瞬の点(いつ)のこと、「時間」は時刻と時刻の間隔(幅)のことを指します。
Q2. 「速さ」と「速度」の違いについて。「速さ」は数値(大きさ)のみを表しますが、「速度」は大きさに加えて何を含めて答える必要があるでしょうか?
「速さ」は数値だけ(例:\(5\,\text{m}/\text{s}\))ですが、「速度」は「東向きに」といった向きを必ずセットにして答えます。計算時はこれをプラスマイナスの符号で表現します。
Q3. 自分から見た相手の速度を「相対速度」と言います。計算式は「( ① )の速度 −( ② )の速度」となります。①と②に入る言葉をそれぞれ答えてください。
相対速度は常に「相手 − 自分」で計算します。お互いの速度にしっかりと符号(プラスやマイナス)をつけてから引き算をすることが最大のポイントです。
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