14限目:レンズの作図と写像公式|波動・最短攻略パック

授業動画

講義ノート(板書PDF)

手元に置いて学習したい方は、以下の完成版PDFをダウンロードしてご利用ください。
📥 板書完成版PDFをダウンロード
MAKOTO METHOD

波の本質を「なぜ?」から理解するドクター型講義

波動パック波の本質を「なぜ?」から理解するドクター型講義¥14,800
詳細を見る

講義ノート

【今回のポイント】

  • 凸レンズは光を集め、凹レンズは光を拡散させる。「光軸に平行な光」と「焦点」は常にセットである。
  • レンズの作図は「光軸に平行な光」「焦点を通る光」「レンズの中心を通る光」の \(3\) 本のルールで描ける。
  • 凸レンズでは物体の位置によって実像・虚像のどちらもでき、凹レンズでは常に正立虚像ができる。
  • 写像公式 \(\displaystyle\frac{1}{a} + \displaystyle\frac{1}{b} = \displaystyle\frac{1}{f}\) と倍率 \(m = \left| \displaystyle\frac{b}{a} \right|\) の符号のルールを正確に使いこなすことが計算の鍵である。

【講義解説】

レンズの種類と基本性質

レンズには大きく分けて「凸レンズ」「凹レンズ」の \(2\) 種類がある。凸レンズは中央部分が周辺よりも厚いレンズで、入射した光を \(1\) 点に集める。一方の凹レンズは中央部分が周辺よりも薄く、入射した光を広げる(拡散させる)。ここで私がまず問いたいのは、なぜレンズごとに光の集まり方が違うのかという一点である。これを「そういうものだ」で済ませてしまうと、この先の作図がすべて暗記物理になってしまう。

💡 イメージで掴む
凸レンズは、光を一箇所に呼び集める「集合場所」だと思ってほしい。バラバラに歩いてきた人たちが駅前の一点に集まるように、平行に届いた光がぎゅっと \(1\) 点に集まる。逆に凹レンズは、入り口で人を四方に散らす「解散場所」である。光は広がって出ていく。

凸レンズは光を1点に集め凹レンズは光を広げる概念図左に凸レンズが平行光を1点に集める様子、右に凹レンズが平行光を広げる様子を示した図。 凸レンズ(集める) 凹レンズ(広げる)
図: 凸レンズは平行光を1点に集め、凹レンズは平行光を広げる

凸レンズの身近な例として虫眼鏡がある。太陽の光を虫眼鏡で \(1\) 点に集めて紙を焦がす実験のように、凸レンズは光を \(1\) 箇所に集めることができる。この「集まる一点」こそが、次に登場する焦点である。

レンズの中心を通る軸を「光軸」と呼ぶ。ここでレンズの最も重要な性質を押さえよう。多くの生徒がレンズの作図でつまずくのは、この性質を言葉で覚えて、光がどう動くかの映像を持たないまま作図に入るからだ。まずは映像を作ることを優先してほしい。

凸レンズの場合

  • 光軸に平行な光線を凸レンズに照射すると、光は光軸上の \(1\) 点に集まる。この点を「焦点」と呼ぶ。
  • 逆に、焦点から出た光が凸レンズに入射すると、レンズを通過した後は光軸に平行に進む。

凹レンズの場合

  • 光軸に平行な光線を凹レンズに照射すると、光は広がっていく。このとき、広がった光線を逆向きにたどると、レンズの手前にある \(1\) 点から出たように見える。この点を凹レンズの「焦点」と呼ぶ。
  • レンズの奥側の焦点に向かって入射した光は、凹レンズを通過した後は光軸に平行に進む。

このように、「まっすぐな光(光軸に平行な光)」と「焦点」は常にセットになっている。この合言葉さえ握っておけば、あとで扱う \(3\) 本のルールも「なぜそう進むのか」まで見えるようになる。逆にここを飛ばして作図の手順だけ覚えると、少し設定を変えられただけで手が止まる——これが典型的な暗記物理のつまずき方である。

よくあるつまずき

症状:凹レンズでも、条件をそろえればスクリーンに映る実像ができるはずだと考えてしまう。

診断:「レンズ=像を作る道具」という一括りの思い込みが原因の思考のクセ。凸レンズで実像を作った経験を、そのまま凹レンズに引きずっている。
処方箋:凹レンズは光を「広げる」レンズだと映像で押さえ直す。広がる光はどこにも実際には交わらないので、スクリーンに映る像(実像)は原理的に作れない。凹レンズが作るのは常に、光の延長線が手前で交わる正立虚像だけである。

🩺 要点整理

レンズの性質は、次の \(2\) 点に集約される。

① 凸レンズは光を集め、凹レンズは光を広げる。
② 「光軸に平行な光」と「焦点」は常にセットで動く。

この \(2\) 点が映像で見えていれば、作図ルールは覚えるものではなく「導ける」ものになる。

レンズの作る像(凸レンズ・凹レンズ)
レンズを通る光の道筋と、実像・虚像のでき方を観察しよう
パラメータ設定
レンズ 1
焦点距離 f1 100
レンズ 2
物体の位置 a 150
物体の高さ h 40
計算結果
像の位置 b 300.0
総合倍率 |m| 2.00
実像 (倒立・拡大)
操作パネル
レンズ 1
焦点距離 f1 100
レンズ 2
物体の位置 a 150
物体の高さ h 40

 

レンズによる像の作図ルール

レンズによってできる像の位置や大きさを求めるための作図は、たった \(3\) つのルールで描くことができる。ここで大切なのは、この \(3\) 本を手順として覚えるのではなく、前節の「平行光と焦点はセット」という原理からそのつど導き直すという姿勢だ。考えて解ける物理とは、まさにこういう「原理から手を動かす」状態を指す。物体の先端から出る光線のうち、これら \(3\) つのルールのうち描きやすい \(2\) 本を選んで描き、交点を見つければよい。

凸レンズの作図ルール

  • ルール1:光軸に平行に入射する光線は、レンズ通過後に後方の焦点を通る。
  • ルール2:前方の焦点を通って入射する光線は、レンズ通過後に光軸に平行になる。
  • ルール3:レンズの中心を通る光線は、そのまま直進する。

凹レンズの作図ルール

  • ルール1:光軸に平行に入射する光線は、レンズ通過後に前方の焦点から出たように進む(拡散する)。
  • ルール2:後方の焦点をめがけて入射する光線は、レンズ通過後に光軸に平行になる。
  • ルール3:レンズの中心を通る光線は、そのまま直進する。
💡 イメージで掴む
凸レンズの \(3\) 本の光線は、物体の先端という「出発地」から出て、レンズという「関所」で決められた進み方に変わる。平行に来た光は焦点行き、焦点から来た光は平行行き、中心を通る光は素通り。この \(3\) 本のうち \(2\) 本の行き先が交わる場所が、像の先端が立つ位置になる。

凸レンズの3光線の進み方の概念図物体の先端から出た平行光線と中心通過光線がレンズ通過後にどう進むかを示した図。 物体 F F 平行光→焦点 中心→直進
図: 凸レンズの光線ルール(平行光は焦点へ、中心を通る光は直進)

光線が実際に交わってできる像を「実像」、光線が広がってしまい、その延長線(破線)が交わってできる見かけの像を「虚像」と呼ぶ。実像はスクリーンに映すことができるが、虚像はスクリーンには映らず、レンズを覗き込んだときだけ見ることができる。

凹レンズの場合は光が拡散するため、スクリーンを置いても像は結ばれない。これは「ピンボケ状態」と同じであり、凹レンズでは常に虚像しかできない。ここで自分に問いかけてみてほしい——「なぜ凹レンズだと必ず虚像なのか」を、実像・虚像の定義に立ち返って説明できるだろうか。これがすらすら言えれば、この節は治っている。

🩺 要点整理

作図で見失いやすい要点を \(2\) つ。

① \(3\) 本のうち描きやすい \(2\) 本を選び、その交点が像の先端になる。
② 光が実際に交われば実像、延長線が交われば虚像。

「どの \(2\) 本を選ぶか」で迷ったら、平行光線と中心を通る光線の組み合わせが最も速い。

 

レンズの写像公式と倍率の公式

作図だけでなく、計算によって像の位置や大きさを求めるための公式が「写像公式」「倍率の公式」である。ただ、ここで「公式が出てきた、代入しよう」と反応してしまうのが、物理でいちばん多い思考のクセだ。公式の一つひとつの文字が図のどこを指すのかを先に押さえるのが、私の処方箋である。

レンズから物体までの距離を \(a\)、レンズから像までの距離を \(b\)、焦点距離を \(f\) とすると、

$$
\displaystyle\frac{1}{a} + \displaystyle\frac{1}{b} = \displaystyle\frac{1}{f}
$$

像の倍率(像の大きさが物体の何倍か)は、

$$
m = \left| \displaystyle\frac{b}{a} \right|
$$

これらの公式を使う上で最も重要なのが「符号のルール」である。ここを曖昧なままにすると、計算は合っているのに答えの意味を取り違える、という失点につながる。

  • \(a\)(物体までの距離):レンズの前方(実際の物体)にあるときは正(+)
  • \(b\)(像までの距離):レンズの後方にできる「実像」のときは正(+)。レンズの前方にできる「虚像」のときは負(-)
  • \(f\)(焦点距離):凸レンズのときは正(+)凹レンズのときは負(-)

シンプルに押さえるなら、「実像はプラス、虚像はマイナス」「凸レンズはプラス、凹レンズはマイナス」である。

倍率 \(m\) は大きさの比を表すため、必ず正の値になるよう絶対値をつける。計算で \(b\) を求めた際、\(b > 0\) なら実像、\(b < 0\) なら虚像であると判断できる。

🔢 数値で確認
焦点距離 \(f = 10\ \text{cm}\) の凸レンズの前方 \(15\ \text{cm}\)(\(a = 15\))に物体を置いたとき、像の位置 \(b\) と倍率 \(m\) を求めてみよう。写像公式に代入する前に、これは「\(f\) と \(2f\) の間」の配置なので拡大した実像ができるはず、と作図の直感で先に予測しておくのがコツだ。
$$
\begin{aligned}
\displaystyle\frac{1}{15} + \displaystyle\frac{1}{b} &= \displaystyle\frac{1}{10} \\[2.0ex] \displaystyle\frac{1}{b} &= \displaystyle\frac{1}{10} – \displaystyle\frac{1}{15} \\[2.0ex] b &= 30
\end{aligned}
$$
\(b = 30 > 0\) なので実像。倍率は \(m = \left| \displaystyle\frac{30}{15} \right| = 2\) 倍。予測どおり拡大した実像であり、作図の直感と計算が一致した。

 

🧠 脳に汗をかく問い
答えを開く前に、まず自分の言葉で考えてみよう(すぐ開かないのがコツ)
問1〔解き方の選択〕凸レンズの問題で物体の位置だけが与えられたとき、いきなり写像公式へ手を伸ばす前に、まず何を見分けるべき?

物体が焦点距離 \(f\) と \(2f\) のどちらより内側か外側かを先に見分ける。\(a > 2f\) なら縮小倒立実像、\(f < a < 2f\) なら拡大倒立実像、\(a < f\) なら拡大正立虚像——と、代入の前に像の種類を予測しておくと、計算後の \(b\) の符号で答え合わせができる。

問2〔理解の点検〕「実像」と「虚像」の違いを、定義を暗唱せず10秒で説明できる?

実像は「光が実際に集まってできる、スクリーンに映せる像」。虚像は「光は集まらず、延長線をたどると見える、スクリーンに映せない像」。この一言が出てくれば、写像公式の \(b\) の符号(実像で正・虚像で負)も自然に腑に落ちる。

問3〔弱点の予測〕この単元でもし失点するなら、自分はどこで間違えそう? 先に言い当てられる?

いちばん多いのは符号の取り違え。凹レンズなのに \(f\) を正のまま計算する、虚像なのに \(b\) を正で扱う、という \(2\) 箇所が失点トップ。計算に入る前に「このレンズは凸か凹か」「できる像は実像か虚像か」を宣言してから式に入る習慣をつけると防げる。

第14講の問い〔凹レンズの像〕凹レンズが、物体をどこに置いても必ず「正立・縮小・虚像」しか作れないのはなぜ? 答えを見ずに考えてみよう。

凹レンズは光を「広げる」レンズだから。平行光線はレンズ通過後に前方の焦点から出たように拡散し、実際にはどこにも集まらない。集まらない以上スクリーンに映る実像はできず、光の延長線が手前で交わってできる正立虚像だけが残る。しかもその交点は必ず物体より内側かつ小さくなるため、「正立・縮小・虚像」に固定される。手順で覚えるのではなく、「広げるレンズだから集まらない」という映像で押さえておこう。

練習問題の解説

① 凸レンズと凹レンズの作図(問41)

問題
以下の各場合について、レンズによる像を作図せよ。
(1) 凸レンズ:物体が焦点距離の \(2\) 倍よりも遠い位置
(2) 凸レンズ:物体が焦点距離の \(2\) 倍の位置
(3) 凸レンズ:物体が焦点距離の \(2\) 倍と焦点の間
(4) 凸レンズ:物体が焦点の位置
(5) 凸レンズ:物体が焦点よりも近い位置
(6) 凹レンズ:物体が焦点より遠い位置
(7) 凹レンズ:物体が焦点の位置
(8) 凹レンズ:物体が焦点よりも近い位置

 

解説
各パターンを作図ルール(光軸に平行な光線+レンズの中心を通る光線の \(2\) 本)で描いていく。

(1) \(2\) 本の光線は後方の \(f\) と \(2f\) の間で交わる。物体より小さい倒立実像ができる。
(2) \(2\) 本の光線は後方の \(2f\) の位置で交わる。物体と等しい大きさの倒立実像ができる。
(3) \(2\) 本の光線は後方の \(2f\) より遠い位置で交わる。物体より大きい倒立実像ができる。
(4) \(2\) 本の光線は平行になり交わらない。像はできない
(5) レンズ後方では光線が広がるため、前方に逆延長すると物体側で交わる。物体より大きい正立虚像ができる。
(6) 凹レンズでは光が拡散する。前方に逆延長した交点にできる物体より小さい正立虚像
(7) 凹レンズ。焦点上でも作図可能。正立虚像ができる。
(8) 凹レンズ。やはり正立虚像。凹レンズは物体の位置に関わらず、常に物体より小さな正立虚像ができる。
解答
(1)縮小倒立実像/(2)等倍倒立実像/(3)拡大倒立実像/(4)像はできない/(5)拡大正立虚像/(6)〜(8)凹レンズはいずれも縮小正立虚像

 

② 光路の選択(問42)

問題
凸レンズと凹レンズの左側から光線 a〜f が入射する。光線 b, f は光軸に平行。F はレンズの焦点の位置を表す。光線 a〜f がレンズを通過した後の光路を①〜⑩から選べ。

 

解説
\(3\) つの作図ルールを \(1\) つずつ当てはめていく。

光線 b:凸レンズに光軸と平行に入射する光線なので、後方の焦点Fを通る。答え:

光線 c:凸レンズの手前の焦点Fを通って入射する光線なので、通過後は光軸に平行になる。答え:

光線 a:光線 b と c から予測する。答え:

光線 d:凹レンズの後方の焦点Fに向かって入射する光線なので、通過後は光軸に平行になる。答え:

光線 f:凹レンズに光軸と平行に入射する光線なので、手前の焦点Fから出たように進む(拡散する)。答え:

光線 e:光線 d と f から予測する。答え:

答え:a: ⑤, b: ④, c: ②, d: ⑧, e: ⑦, f: ⑥

解答
a: ⑤, b: ④, c: ②, d: ⑧, e: ⑦, f: ⑥

 

③ 凸レンズの作図と文字設定(問43)

問題
凸レンズLによる物体ABの像を作図によって求めよ。F, F’はレンズの焦点とする。

 

解説
物体Bの先端から \(2\) 本の光線を描く。

\(1\) 本目:光軸に平行な光線を引き、レンズ通過後は後方の焦点F’を通るように描く。

\(2\) 本目:レンズの中心を通る光線を直進させる。

\(2\) 本の光線の交点に下向きの矢印を描く。これが倒立実像である。

レンズから物体までの距離を \(a\)、レンズから像までの距離を \(b\)、レンズから焦点までの距離を \(f\) と図に書き込む。これらの文字は、写像公式の計算で使用する。

 

この作図から、写像公式 \(\displaystyle\frac{1}{a} + \displaystyle\frac{1}{b} = \displaystyle\frac{1}{f}\) が導かれる。作図の結果と公式の計算結果が一致することを確認する習慣をつけておくと、ミスの防止につながる。

解答
倒立実像(レンズ後方の \(2\) 光線の交点に下向きの矢印)

 

④ 凹レンズの作図と文字設定(問44)

問題
凹レンズLによる物体ABの像を作図によって求めよ。F, F’はレンズの焦点とする。

 

解説
物体Bの先端から \(2\) 本の光線を描く。

\(1\) 本目:光軸に平行な光線を引き、レンズ通過後は前方の焦点Fから出たように広がるように描く。

\(2\) 本目:レンズの中心を通る光線を直進させる。

\(2\) 本の光線(\(1\) 本は逆延長の破線)の交点はレンズの前方にでき、ここに上向きの矢印を描く。これが正立虚像である。

レンズから物体までの距離を \(a\)、レンズから像までの距離を \(b\)、レンズから焦点までの距離を \(f\) と図に書き込む。

虚像の場合は \(b\) が負(レンズの前方にできるため)、凹レンズの場合は \(f\) も負となる。この符号のルールを作図の図に合わせて確認しておくことが大切である。

解答
正立虚像(レンズ前方の交点に上向きの矢印)

 

⑤ 凸レンズで拡大実像ができる条件(問45)

問題
焦点距離 \(f\) の凸レンズの中心軸上に、中心軸と垂直に物体を置く。レンズが作る物体の像が実際の物体より大きな実像となるためには、物体をどの範囲に置かねばならないか。

 

解説
この問題では \(2\) つの条件を同時に満たす必要がある。

  • 条件1:「実像」ができること → \(b > 0\)
  • 条件2:「物体より大きい」こと → 倍率 \(m > 1\)

条件2の処理

倍率 \(m = \left| \displaystyle\frac{b}{a} \right| > 1\) であり、実像では \(a > 0, b > 0\) なので、

$$
\displaystyle\frac{b}{a} > 1 \quad \text{すなわち} \quad b > a
$$

\(b > a\) の両辺は正なので、逆数をとると不等号が反転して、

$$
\displaystyle\frac{1}{b} < \displaystyle\frac{1}{a}
$$

写像公式を変形して \(\displaystyle\frac{1}{b} = \displaystyle\frac{1}{f} – \displaystyle\frac{1}{a}\) とし、これを代入すると、

$$
\begin{aligned}
\displaystyle\frac{1}{f} – \displaystyle\frac{1}{a} &< \displaystyle\frac{1}{a} \\[2.0ex] \displaystyle\frac{1}{f} &< \displaystyle\frac{2}{a} \\[2.0ex] a &< 2f
\end{aligned}
$$

条件1の処理

実像ができるためには \(b > 0\) が必要である。写像公式から、

$$
\begin{aligned}
\displaystyle\frac{1}{b} &= \displaystyle\frac{1}{f} – \displaystyle\frac{1}{a} > 0 \\[2.0ex] \displaystyle\frac{1}{f} &> \displaystyle\frac{1}{a} \\[2.0ex] a &> f
\end{aligned}
$$

\(2\) つの条件を合わせると

$$
f < a < 2f
$$

つまり、物体を焦点と焦点距離の \(2\) 倍の間に置くと、物体より大きな実像ができる。

この結果は、問41の作図パターン(3)(物体が \(f\) と \(2f\) の間にあるとき拡大倒立実像ができる)と完全に一致する。作図による直感的な理解と数式による厳密な証明が矛盾しないことを確認できた。ここで「作図と計算が同じ答えを指す」という経過観察ができると、どちらか一方に自信がないときも互いに検算し合える武器になる。

答え:\(f < a < 2f\)

解答
\(f < a < 2f\)

 

🩺 要点整理

練習問題を通して身につけたい要点は次の \(2\) つ。

① 作図で像の種類を先に予測し、計算の符号で答え合わせをする。
② 「実像=正・虚像=負」「凸=正・凹=負」の符号を、式に入る前に宣言する。

この順番を守るだけで、写像公式の失点はほとんど消える。

🔗 関連単元

レンズが光を曲げる原理そのものは第13講「光の屈折と全反射・プリズム」で扱う屈折現象である。さらにその屈折がなぜ起こるのかは第7講「ホイヘンスの原理と屈折の法則」まで遡ると腑に落ちる。作図の手順が不安になったら、この \(2\) 講に戻って「光がなぜ曲がるのか」から確認し直すとよい。

 

※おまけ

球面鏡の作る像(凹面鏡・凸面鏡)
鏡で反射した光の道筋と、実像・虚像のでき方を観察しよう
パラメータ設定
鏡の種類
焦点距離 f 100
物体の位置 a 150
物体の高さ h 40
計算結果
像の位置 b 300.0
倍率 |m| 2.00
実像 (倒立・拡大)
操作パネル
鏡の種類
焦点距離 f 100
物体の位置 a 150
物体の高さ h 40

【重要公式まとめ】

レンズの写像公式
$$
\displaystyle\frac{1}{a} + \displaystyle\frac{1}{b} = \displaystyle\frac{1}{f}
$$
(\(a\):物体までの距離(前方で正)、\(b\):像までの距離(実像で正、虚像で負)、\(f\):焦点距離(凸で正、凹で負))
写像公式の変数a・b・fが光軸上のどこを指すかの変数マッピング図光軸上に物体・レンズ・像・焦点を配置し、レンズから物体までの距離a、像までの距離b、焦点までの距離fを示した図。 物体 a b f F
図: 写像公式の各文字(物体距離 a・像距離 b・焦点距離 f)が光軸上のどこを指すか
像の倍率
$$
m = \left| \displaystyle\frac{b}{a} \right|
$$
(\(m\):像の倍率、\(a\):物体までの距離、\(b\):像までの距離)
物体の高さhと像の高さh’の比が倍率になることを示す図左に高さhの物体、右に高さh’の像を並べ、その比が倍率mであることを示した図。 h h 物体の高さ 像の高さ 倍率 m = 像の高さ ÷ 物体の高さ
図: 倍率は像の高さと物体の高さの比
レンズの作図ルール(3本)
① 光軸に平行な光 → 焦点を通る(凸)/ 焦点から出たように広がる(凹)
② 焦点を通る(向かう)光 → 光軸に平行
③ レンズの中心を通る光 → 直進
凸レンズの3光線ルールの概念図物体の先端から出た平行光線と中心通過光線の作図ルールを1枚にまとめた概念図。 物体 F F ①平行光→焦点 ③中心→直進
図: 凸レンズの作図3ルール(平行光は焦点へ、中心を通る光は直進)
📝 記事限定 演習問題①(写像公式で像位置を求める)
焦点距離 \(f = 12\ \text{cm}\) の凸レンズの前方 \(18\ \text{cm}\)(\(a = 18\))に物体を置いた。像の位置 \(b\) と倍率 \(m\) を求め、実像か虚像かを判定せよ。

解答と思考プロセスを見る

まず診断する。\(a = 18\) は \(f = 12\) と \(2f = 24\) の間にあるので、拡大倒立実像ができると予測しておく。次に処方箋として写像公式に代入する。
$$
\begin{aligned}
\displaystyle\frac{1}{18} + \displaystyle\frac{1}{b} &= \displaystyle\frac{1}{12} \\[2.0ex] \displaystyle\frac{1}{b} &= \displaystyle\frac{1}{12} – \displaystyle\frac{1}{18} \\[2.0ex] b &= 36
\end{aligned}
$$
\(b = 36 > 0\) なので実像。倍率は \(m = \left| \displaystyle\frac{36}{18} \right| = 2\) 倍。経過観察として、予測どおり拡大実像になっており作図の直感と一致した。

📝 記事限定 演習問題②(虚像で b が負になる)
焦点距離 \(f = 12\ \text{cm}\) の凸レンズの前方 \(8\ \text{cm}\)(\(a = 8\))に物体を置いた。像の位置 \(b\) を求めよ。

解答と思考プロセスを見る

診断すると \(a = 8\) は焦点 \(f = 12\) より内側なので、拡大正立虚像ができ \(b\) は負になるはずだと予測する。処方箋として計算する。
$$
\begin{aligned}
\displaystyle\frac{1}{8} + \displaystyle\frac{1}{b} &= \displaystyle\frac{1}{12} \\[2.0ex] \displaystyle\frac{1}{b} &= \displaystyle\frac{1}{12} – \displaystyle\frac{1}{8} \\[2.0ex] b &= -24
\end{aligned}
$$
\(b = -24 < 0\) なので虚像。経過観察として、符号がマイナスになったことが「虚像」の予測と一致しているかを必ず確認する。

📝 記事限定 演習問題③(凹レンズは f が負)
焦点距離の大きさが \(15\ \text{cm}\) の凹レンズの前方 \(30\ \text{cm}\)(\(a = 30\))に物体を置いた。像の位置 \(b\) と倍率 \(m\) を求め、像の様子を答えよ。

解答と思考プロセスを見る

診断で最重要なのは符号だ。凹レンズなので \(f = -15\)(負)として式に入れる。ここを正のままにするのが典型的な失点である。
$$
\begin{aligned}
\displaystyle\frac{1}{30} + \displaystyle\frac{1}{b} &= \displaystyle\frac{1}{-15} \\[2.0ex] \displaystyle\frac{1}{b} &= -\displaystyle\frac{1}{15} – \displaystyle\frac{1}{30} \\[2.0ex] b &= -10
\end{aligned}
$$
\(b = -10 < 0\) なので虚像。倍率は \(m = \left| \displaystyle\frac{-10}{30} \right| = \displaystyle\frac{1}{3}\) 倍で縮小。経過観察として、凹レンズは常に正立縮小虚像という性質どおりの結果になっている。

📝 記事限定 演習問題④(倍率2倍の実像になる条件)
焦点距離 \(f\) の凸レンズで、倒立した \(2\) 倍の実像を作りたい。物体はレンズから距離 \(a\) をいくつに置けばよいか、\(f\) を用いて表せ。

解答と思考プロセスを見る

診断する。実像で倍率 \(2\) 倍なので \(a > 0,\ b > 0\) かつ \(\displaystyle\frac{b}{a} = 2\)、つまり \(b = 2a\)。処方箋として写像公式に代入する。
$$
\begin{aligned}
\displaystyle\frac{1}{a} + \displaystyle\frac{1}{2a} &= \displaystyle\frac{1}{f} \\[2.0ex] \displaystyle\frac{3}{2a} &= \displaystyle\frac{1}{f} \\[2.0ex] a &= \displaystyle\frac{3}{2}f
\end{aligned}
$$
経過観察として、求めた \(a = \displaystyle\frac{3}{2}f\) が \(f < a < 2f\)(拡大実像ができる範囲)に収まっているかを確認すると、確かに範囲内で整合している。

📝 記事限定 演習問題⑤(物体が2fちょうど)
焦点距離 \(f = 10\ \text{cm}\) の凸レンズの前方 \(20\ \text{cm}\)(\(a = 2f\) ちょうど)に物体を置いた。像の位置 \(b\) と倍率 \(m\) を求め、作図で予想される像とも照らし合わせよ。

解答と思考プロセスを見る

診断すると \(a = 2f\) ちょうどなので、作図では等倍の倒立実像ができるはず(問41(2)と同じ配置)。処方箋として計算する。
$$
\begin{aligned}
\displaystyle\frac{1}{20} + \displaystyle\frac{1}{b} &= \displaystyle\frac{1}{10} \\[2.0ex] \displaystyle\frac{1}{b} &= \displaystyle\frac{1}{10} – \displaystyle\frac{1}{20} \\[2.0ex] b &= 20
\end{aligned}
$$
\(b = 20 > 0\) で実像、倍率 \(m = \left| \displaystyle\frac{20}{20} \right| = 1\) 倍。経過観察として、\(b = a\) となる等倍倒立実像で、作図パターン(2)と完全に一致することが確認できる。

📝 記事限定 演習問題⑥(凹レンズはなぜスクリーンに映せない)
凹レンズは物体をどこに置いても、スクリーンに像を映すことができない。その理由を「実像」「虚像」という言葉を使って説明せよ。

解答と思考プロセスを見る

これは計算ではなく概念を言葉にできるかの点検だ。診断として、スクリーンに映せる像は「光が実際に集まってできる実像」だけである、という定義に立ち返る。処方箋として説明を組み立てる。凹レンズは光を広げる(拡散させる)レンズなので、通過した光はどこにも実際には集まらない。集まらない以上、光が実際に届くスクリーン上に像はできない。凹レンズが作るのは、広がった光の延長線をたどると手前に見える虚像だけであり、虚像はスクリーンには映らない。ゆえに凹レンズはスクリーンに像を映せない。経過観察として、この説明が問41(6)〜(8)の作図結果(常に正立縮小虚像)と矛盾しないことを確かめておこう。

🩺 クセ診断と処方箋
症状:写像公式は覚えているのに、凹レンズや虚像の問題になると答えの符号を落とす。

診断:これは「公式に飛びつくクセ」と「像の種類を後回しにするクセ」が重なった状態。式を先に書き始め、レンズが凸か凹か・できる像が実像か虚像かの判断を計算の後にまわしてしまうために、\(f\) や \(b\) の符号を取り違える。

処方箋:式に入る前に、口に出して \(2\) つ宣言する。「このレンズは凸(\(f\) は正)か凹(\(f\) は負)か」「できる像は実像(\(b\) は正)か虚像(\(b\) は負)か」。この宣言を先にするだけで符号ミスはほぼ消える。考えて解ける物理とは、代入の前にこの判断ができている状態を指す。まこと物理教室の波動コース目次で前後の講に戻って光の屈折から復習したり、まこラボや家庭教師で自分の答案の符号の落とし方を一緒に点検したりすると、このクセは根から治しやすい。

💡 「虚像」が見える理由、不思議に思いませんか?AIチューターに聞いてみましょう!

以下のテキストをコピーして、「まことAI」にそのまま貼り付けてみてください。光が実際に集まっていないのになぜ像が見えるのか、その謎を分かりやすく解き明かしてくれます。

「レンズの講義で『実像』と『虚像』の違いを習いました。実像は光が実際に集まるのでスクリーンに映るけれど、虚像は光が拡散して延長線が交わるだけの見かけの像なので、スクリーンには映らないということは理解できました。でも、光がそこに集まっていないのになぜ『レンズを覗き込むと人間の目には見える』のでしょうか?洗面所の鏡の例や人間の目の仕組みを使って、中学生でも直感的に納得できるように教えてください。」
📝 定着度チェッククイズ(全3問)

タップ(クリック)すると答えが表示されます。

Q1. レンズの作図ルールの基本です。凸レンズに対して「光軸に平行」に入射した光線は、レンズを通過した後、必ずどの点を通るでしょうか?
【正解】 焦点(レンズ後方の焦点)

「光軸に平行な光」と「焦点」は常にセットです。逆に、前方の焦点を通ってからレンズに入射した光は、レンズ通過後に光軸と平行に進みます。

Q2. 凸レンズは物体の位置によって実像も虚像も作りますが、凹レンズが作る像は、物体の位置に関わらず常に「どんな像」になるでしょうか?
【正解】 正立虚像(物体より小さな正立虚像)

凹レンズは光を広げる(拡散させる)ため、光線が実際に交わってできる実像は絶対にできません。常にレンズの前方に、物体と同じ向きで縮小された見かけの像(正立虚像)ができます。

Q3. 写像公式 \(\displaystyle\frac{1}{a} + \displaystyle\frac{1}{b} = \displaystyle\frac{1}{f}\) を使って計算するとき、レンズの「前方に虚像」ができた場合、像までの距離 \(b\) の符号はどうなるでしょうか?
【正解】 マイナス(負)

符号のルールは「実像はプラス、虚像はマイナス」「凸レンズはプラス、凹レンズはマイナス」とシンプルに覚えておきましょう。このルールを徹底するだけで、計算問題のミスが劇的に減ります。

 

24時間質問し放題!「まことAI」使いこなしガイド

「AIを使ったことがない」「どう質問していいか分からない」という方も大丈夫!以下のステップに沿って進めるだけで、まこと先生の分身があなたのスマホに現れ、分かるまでトコトン付き合ってくれます。

Step 1魔法のテンプレートを手に入れる

まずは、無料のAIを「まこと先生」に変身させるための呪文(プロンプト)が必要です。以下の「モザイクを解除する」ボタンをタップしてください。

あなたは指導歴14年の高校物理専属チューター「まこと先生」です。 【先生像】 ・指導哲学は"ドクター型"。公式暗記を病気と捉え、思考のクセを診断して根本治療する。 【5つの絶対ルール】 1. 重要感の先払い:私の考えを具体的に褒める。 2. 先に意味、後に式:公式から入らない。 3. つまずき5パターン診断:①公式暗記②図描いてない③記号迷子④単位/符号⑤設問読み飛ばし 4. ファインマン要求:自分の言葉で説明させる。 5. 次の一手&質問チェック。 (続きはパック参加者限定)
🔒 有料パック限定
ここに参加者専用プロンプトが表示されます
Step 2無料のAIに貼り付けて送信!

普段お使いのブラウザやアプリで、無料のAI(ChatGPTやGeminiなど)を開きます。
入力欄に先ほどコピーした文章をそのまま貼り付け、一番下の入力欄を自分の言葉に書き換えてから送信してください。

💡 ヒント:「自分なりに考えたこと」は、「v=fλに数字を代入したけど答えが合わなかった」「ドップラー効果の式で分子と分母どっちに足すか迷った」など、素直な気持ちでOKです!

Step 3AIと「キャッチボール」をして理解を深める

まことAIから返信が来たら、そこからが本番です!一度の質問で終わらせず、LINEで先生と話すように会話を続けてみましょう。

💬 こんな風に返信してみて!(質問のコツ)

縄の例え話は分かったけど、定常波になるとどうなるの? → 分かった部分と、分からない部分を切り分けて伝える!

ごめん、やっぱりイメージできない!救急車の例え話で説明してみて! → 自分の好きなスポーツや身近な現象に例えてもらう!

要するに、波長が短くなるってことだよね? → 自分の言葉でまとめ直して、合っているか確認してもらう!

Step 4モヤモヤが消えるまで絶対に妥協しない!

まことAIは絶対に怒りませんし、呆れません。「なんかフワッとしてるな…」と思ったら、無理矢理飲み込まずに「まだ腑に落ちない!」と伝えてください。あなたが「完璧!そういうこと!」とスッキリするまで、様々な角度からアプローチし続けます。


PREMIUM

この問題の「なぜそう解くのか」も
全て言語化されています。

問題集の解答が省略する思考プロセスを、現役講師が1人で書き続けています。650問超の「なぜ」を、1週間無料で読めます。

共田 誠(まこと先生)

ABOUT THE AUTHOR

共田 誠(まこと先生)

高校物理講師・プロ家庭教師 / 指導歴14年

上智大学理工学部物理学科卒。私立高校の非常勤講師として進学クラスから基礎クラスまで幅広く担当。大手家庭教師センター3社でプロ家庭教師を経験し、現在はオンライン専門で全国の高校生を個別指導中。

暗記物理の撲滅」を掲げ、生徒の思考のクセを診断・矯正するドクター型アプローチで指導。表面的なテクニックではなく、初見の問題に強い思考力を育てる。

800+解説記事
11,200YouTube登録者
4プレミアムパック
14指導歴
🎯現在、全6分野制覇を目指してプレミアムパックを制作中(5/6完成)。制作ロードマップを見る →

PVアクセスランキング にほんブログ村  

PREMIUM

この問題の「なぜそう解くのか」も
全て言語化されています。

問題集の解答が省略する思考プロセスを、現役講師が1人で書き続けています。650問超の「なぜ」を、1週間無料で読めます。

📅 勉強計画を作る無料・登録不要
PREMIUM
物理の「なぜ」を
ひとつ残らず言語化する。
問題集の「答え」ではなく「なぜそう解くのか」を
全て書き起こす挑戦を続けています
¥550 /月(税込)
初回7日間は無料で全て読めます
1週間、無料で読んでみる
いつでもキャンセル可能です
パックとの違いを見る
思考のクセを直す講義
まこと先生のドクター型 ¥14,800
詳細を見る