- 1 §0. この解説の使い方
- 2 §1. 大問1 ─ 小問集(仕事・仕事率・エネルギー)
- 2.1 §1.1 仕事(力と移動方向が同じ)
- 2.2 §1.2 仕事(力と移動方向が逆・負の仕事)
- 2.3 §1.3 仕事(力と移動方向が垂直・仕事0)
- 2.4 §1.4 仕事(斜面上・力の分解)
- 2.5 §1.5 仕事率
- 2.6 §1.6 仕事率(クレーン)
- 2.7 §1.7 運動エネルギー
- 2.8 §1.8 仕事と運動エネルギーの関係
- 2.9 §1.9 重力による位置エネルギー
- 2.10 §1.10 弾性力による位置エネルギー
- 2.11 §1.11 保存力・非保存力の仕事(重力と外力・曲面)
- 2.12 §1.12 弾性力の仕事(弾性力と外力)
- 2.13 §1.13 力学的エネルギー保存(鉛直ばね振り子・表埋め)
- 2.14 §1.14 力学的エネルギー保存(2物体・定滑車)
- 2.15 §1.15 力学的エネルギーと動摩擦(斜面→あらい面)
- 2.16 §1.16 等速円運動(回転数・角速度・速さ)
- 2.17 §1.17 等速円運動(周期・半径・加速度)
- 2.18 §1.18 等速円運動(角速度・加速度・向心力)
- 2.19 §1.19 円運動(回転座標・静止摩擦力)
- 2.20 §1.20 鉛直面内の円運動(半円筒面の速さ・垂直抗力)
- 3 §2. 大問2 ─ 斜面をすべってばねを縮める(力学的エネルギー保存)
- 4 §3. 大問3 ─ 振り子の実験でエネルギー保存を確かめる(記号選択)
- 5 §4. 大問4 ─ 円錐振り子(回転する立場での力のつり合い)
- 6 §5. 大問5 ─ 斜面・ばね・摩擦(2023 共通テスト物理基礎)
- 7 §6. 大問6 ─ 円筒面をすべる小物体(2018 センター物理)
- 8 §7. テスト全体の振り返り ─ 5大「思考のクセ」処方箋
- 9 §8. このテストの得点分布・出題傾向分析(採点データ 全12名)
- 10 §9. 次のステップ
§0. この解説の使い方
これは、文化学園杉並 高2(進学)1学期期末テスト(大問1〜6・全34問)の全問解説です。答え合わせをして終わりにするのではなく、「なぜ自分はそこで間違えたのか」という思考のクセを1つ見つけて、次のテストで直すことをねらいにしています。
今回の範囲は「仕事・仕事率」「運動エネルギー・位置エネルギー」「力学的エネルギー保存」「円運動(等速円運動・円錐振り子・鉛直面内の円運動)」です。公式を覚えて数字を入れるだけの解き方では、少しひねられると手が止まります。この解説は、どの問題も「なぜその式を立てるのか」から一緒に考えます。
問題文と図はこの記事には載せていません。手元の答案と問題冊子を横に置いて読み進めてください。各問では、問われている内容と与えられた数値だけを1〜2行で示します。
📋 読む前に用意するもの
① 返ってきた自分の答案
② テストの問題冊子(図つき)
③ 配られた模範解答
各問の読み方 ─ 2階建てになっています
すべての設問が、次の2階建てで書かれています。
1階:答え(グレーの枠): 答えと、1〜2行のサクッと解説。テスト直前の最終確認にも使えます。
2階:▶ 完全解説(緑の折りたたみ)
クリックで開くと「一見の罠(みんなが引っかかる誤答と、その思考のクセ)→ 正しい思考プロセス → この問題が教えてくれること」まで、じっくり深掘りします。
おすすめの使い方:まず自分の答案と「1階の答え」を照らし合わせ、間違えた問・迷った問だけ「2階の完全解説」を開いてください。最後に §7「テスト全体の振り返り」で、自分の弱点のクセを1つに絞ります。
§1. 大問1 ─ 小問集(仕事・仕事率・エネルギー)
※ この大問の問題文・図は手元の答案/問題冊子を参照してください。ここでは各小問のテーマと与えられた数値だけを示します。
§1.1 仕事(力と移動方向が同じ)
※ 手元プリント参照。与えられた量: 物体が\(25 \, \text{N}\)の力を受けながら点Aから点Bまで\(3.0 \, \text{m}\)移動(力も移動も同じ右向き)。
答え: \(W=75 \, \text{J}\)。仕事は「力×移動距離」で計算でき、力と移動が同じ向きなので\(W=25\times3.0=75 \, \text{J}\)と、そのまま掛け算した正の値になります。
▶ クリックして完全解説を開く ─ 思考のクセ診断つき
一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 仕事という量が「力(\(\text{N}\))と距離(\(\text{m}\))を掛けて生まれる新しい量」だという意識が薄い。\(\text{N}\times\text{m}=\text{J}\)という単位の掛け算の感覚が育っていないと、単位がすっぽり抜け落ちます。
診断: 「仕事=力×距離×\(\cos\theta\)」という公式だけを丸暗記して、力と移動が同じ向きなら\(\cos0^\circ=1\)でそのまま掛けるだけ、という一番やさしい場合の意味を押さえていません。
診断: 「仕事は掛け算で決まる量」という土台が抜けている。力を大きくしても、移動距離を長くしても仕事は増える、という「二つの量の掛け合わせ」の感覚が育っていません。
正しい思考プロセス
Step 1: まず絵にします。物体が右向きに動いている矢印を書き、同じ右向きに力の矢印を重ねる。二つが同じ向きだと一目でわかります。Step 2: 使う公式を選びます。「仕事」と言われたら\(W=Fx\)(力と移動が同じ向きのとき)。力と距離が両方与えられているので、これで解けます。Step 3: 式の意味を確認します。\(W=Fx\)は「強い力で・長い距離を押すほど、たくさん仕事をした」という素直な掛け算です。Step 4: 代入します。\(W=25\times3.0=75\)。Step 5: 妥当性チェック。単位は\(\text{N}\times\text{m}=\text{J}\)、力と移動が同じ向きなので符号はプラス。桁数も与えられた数値と揃って\(75 \, \text{J}\)で確定です。
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 仕事の単位\(\text{J}\)は運動エネルギーや位置エネルギーの単位とまったく同じです。つまり「した仕事の分だけエネルギーが移る」という後半の話に、この\(\text{J}\)がそのまま橋渡しになります。
§1.2 仕事(力と移動方向が逆・負の仕事)
※ 手元プリント参照。与えられた量: 物体が左向きに\(15 \, \text{N}\)の力を受けながら、点Aから点Bまで右向きに\(4.0 \, \text{m}\)移動(力と移動が逆向き)。
答え: \(W=-60 \, \text{J}\)。力と移動が逆向きのとき仕事は負になります。移動の向きを正とすると力は\(-15 \, \text{N}\)なので、\(W=-15\times4.0=-60 \, \text{J}\)と、マイナスがついた値です。
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一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 「仕事は力×距離だから、掛ければプラスに決まっている」と思い込んでいる。力と移動が逆向きなら仕事はマイナスになる、という「向きの関係が符号を決める」という発想が抜けています。
診断: 問題文の「左向き」「右向き」という言葉を図に落とし込んでいない。文字を読むだけで、実際に矢印を二本書いて向きを見比べる、という基本動作を飛ばしています。
診断: 負の仕事=「物体の動きにブレーキをかける向きの仕事=エネルギーを奪う仕事」という意味を押さえていない。マイナスは「向きが逆」を表すだけで、ちゃんと仕事は存在するのです。
正しい思考プロセス
Step 1: 絵にします。物体は右向きに\(4.0 \, \text{m}\)動く。力の矢印は左向き。二本の矢印が反対を向いているのが一目でわかります。Step 2: 公式を選びます。「仕事」なので\(W=Fx\)。ただし力と移動が逆向きなので符号に注意します。Step 3: 式の意味。移動の向きを正と決めると、逆向きの力は負の値\(-15 \, \text{N}\)。負の力を掛けると仕事も負になり、これは「動きを妨げる仕事」を表します。Step 4: 代入します。\(W=(-15)\times4.0=-60\)。Step 5: 妥当性チェック。力が動きにブレーキをかける向きなので仕事は負でつじつまが合う。大きさは\(60 \, \text{J}\)、単位は\(\text{J}\)。答えは\(-60 \, \text{J}\)です。
📖 計算過程を1つずつ丁寧に見る
$$\begin{aligned}
W &= Fx \\
W &= (-15)\times4.0 \\ &= -60
\end{aligned}$$
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 「向きが逆なら符号がマイナス」という感覚は、仕事だけでなく力積や運動量でも同じです。ここで負の値に慣れておくと、正負が入り混じる衝突やエネルギー収支の計算でつまずかなくなります。
§1.3 仕事(力と移動方向が垂直・仕事0)
※ 手元プリント参照。与えられた量: 物体が鉛直上向きに\(10 \, \text{N}\)の力を受けながら、点Aから点Bまで水平に\(1.5 \, \text{m}\)移動(力と移動が垂直)。
答え: \(W=0 \, \text{J}\)。力の向きと移動の向きが垂直のとき、その力は仕事をしません。\(\cos90^\circ=0\)なので、いくら力が大きく距離が長くても仕事は\(0\)です。
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一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 「仕事=力×距離」を無条件で当てはめている。掛けてよいのは力と移動が同じ向き(の成分)のときだけ、という前提条件をすっ飛ばしています。数字が二つあると反射的に掛けてしまうクセです。
診断: 「鉛直上向き」と「水平」という言葉を図にせず、向きの関係を見ていない。二本の矢印を直角に書けば、力が移動方向にまったく寄与していないことが一目でわかります。
診断: 「力があること」と「仕事をすること」を混同している。物体を持って水平に歩いても、重力に逆らう向き(縦)には動いていないので重力は仕事をしない、という日常の感覚とつながっていません。
正しい思考プロセス
Step 1: 絵にします。移動は水平右向きの矢印、力は鉛直上向きの矢印。二本が直角に交わっているのを確認します。Step 2: 公式を確認します。仕事は\(W=Fx\cos\theta\)。ここで\(\theta\)は力と移動のなす角です。Step 3: 式の意味。\(\cos\theta\)は「力のうち、移動方向にどれだけ効いているか」を表す割合。角度が\(90^\circ\)なら移動方向への効きはゼロです。Step 4: 代入します。\(\theta=90^\circ\)、\(\cos90^\circ=0\)なので\(W=10\times1.5\times0=0\)。Step 5: 妥当性チェック。力は移動を助けても妨げてもいない(真横を向いている)ので、仕事が\(0\)なのは自然です。答えは\(0 \, \text{J}\)。
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 水平な床の上を物体が滑るとき、重力(下向き)と垂直抗力(上向き)はどちらも移動(水平)と垂直なので仕事をしません。仕事を考えるとき「どの力が本当に効いているか」を見分ける目が、この問題で養われます。
§1.4 仕事(斜面上・力の分解)
※ 手元プリント参照。与えられた量: \(30^\circ\)の斜面上で、物体に鉛直下向きの重力\(30 \, \text{N}\)がはたらき、物体は点A(斜面の上方)から点B(下方)へ斜面に沿って\(0.20 \, \text{m}\)移動する。
答え: \(W=3.0 \, \text{J}\)。重力がする仕事は「重力×真下に落ちた距離」で決まります。斜面に沿って\(0.20 \, \text{m}\)動くと真下には\(0.20\times\sin30^\circ=0.10 \, \text{m}\)落ちるので、\(W=30\times0.10=3.0 \, \text{J}\)です。
▶ クリックして完全解説を開く ─ 思考のクセ診断つき
一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 力(真下)と移動(斜面に沿う)が同じ向きだと思い込んでいる。二つは斜めにずれているので、そのまま掛けてはいけない、という向きのチェックが抜けています。
診断: 角度\(30^\circ\)が斜面の傾きを表すことと、真下への落下量は\(\sin\)で出ることを図で確認していない。「斜面に沿った移動のうち、縦にどれだけ落ちたか」を三角比で正しく取り出せていません。
診断: 重力のうち「斜面に沿う成分」は\(30\sin30^\circ\)、「斜面に垂直な成分」が\(30\cos30^\circ\)という分解を、図なしで感覚的にやっている。どちらが移動方向に効く成分かを絵で確かめる習慣がありません。
正しい思考プロセス
Step 1: 絵にします。\(30^\circ\)傾いた斜面を書き、物体が斜面に沿って\(0.20 \, \text{m}\)下る矢印と、真下を向く重力\(30 \, \text{N}\)の矢印を入れます。Step 2: 考え方を選びます。重力がする仕事は「真下に落ちた距離」だけで決まる、という性質を使います。Step 3: 落下距離を出します。斜面に沿って\(0.20 \, \text{m}\)進むと、真下には\(0.20\times\sin30^\circ=0.10 \, \text{m}\)落ちます(\(\sin30^\circ=0.50\))。Step 4: 代入します。\(W=30\times0.10=3.0\)。別解として、力を斜面方向に分解し\(30\sin30^\circ=15 \, \text{N}\)、これに移動\(0.20\)を掛けて\(15\times0.20=3.0\)としても同じ答えになります。Step 5: 妥当性チェック。そのまま掛けた\(6.0\)より小さく、向きのずれの分だけ減っている。単位は\(\text{J}\)。答えは\(3.0 \, \text{J}\)です。
📖 計算過程を1つずつ丁寧に見る
真下に落ちた距離を求めます。
$$\begin{aligned}
h &= 0.20\times\sin30^\circ \\ &= 0.20\times0.50 \\ &= 0.10
\end{aligned}$$
重力がする仕事は「重力×落下距離」なので、
$$\begin{aligned}
W &= 30\times0.10 \\ &= 3.0
\end{aligned}$$
別解として力を斜面方向に分解すると、
$$\begin{aligned}
W &= 30\sin30^\circ\times0.20 \\ &= 15\times0.20 \\ &= 3.0
\end{aligned}$$
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 力と移動が斜めのときは「移動方向の成分だけ取り出す」か「力の向きに落ちた距離だけ取り出す」か、どちらで分解しても答えは一致します。この二通りの見方を持てると、斜面・斜方投射・斜め衝突など「斜め」がからむ問題全般に強くなります。
§1.5 仕事率
※ 手元プリント参照。与えられた量: \(5.0 \, \text{s}\)の間に\(90 \, \text{J}\)の仕事をする。
答え: \(P=18 \, \text{W}\)。仕事率は「単位時間あたりの仕事」なので、仕事を時間で割ります。\(P=\displaystyle\frac{90}{5.0}=18 \, \text{W}\)です。
▶ クリックして完全解説を開く ─ 思考のクセ診断つき
一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 「仕事率」という言葉の意味を「時間あたり」=割り算、と結びつけられていない。速さが「距離÷時間」なのと同じで、率とつく量は割り算だ、という感覚がまだ育っていません。
診断: 仕事率は「仕事÷時間」なのに、分子と分母を取り違えている。単位が\(\text{W}=\text{J}/\text{s}\)(1秒あたり何\(\text{J}\)か)だと知っていれば、仕事が上・時間が下、と決められます。
診断: 仕事率の単位はワット\(\text{W}\)で、\(\text{J}/\text{s}\)と同じものだ、という対応を覚えていない。単位の言い換えを押さえていないと、答えの形が問われている形と揃いません。
正しい思考プロセス
Step 1: 場面を整理します。\(5.0 \, \text{s}\)かけて\(90 \, \text{J}\)の仕事をした。「どれくらいのペースで仕事をしたか」を聞かれています。Step 2: 公式を選びます。仕事率は\(P=\displaystyle\frac{W}{t}\)(仕事÷時間)。Step 3: 式の意味。分子が仕事、分母が時間で、「1秒あたり何\(\text{J}\)働いたか」を表します。Step 4: 代入します。\(P=\displaystyle\frac{90}{5.0}=18\)。Step 5: 妥当性チェック。単位は\(\text{J}/\text{s}=\text{W}\)。\(90 \, \text{J}\)を\(5\)秒で割るのだから\(18\)前後で妥当。答えは\(18 \, \text{W}\)です。
📖 計算過程を1つずつ丁寧に見る
$$\begin{aligned}
P &= \displaystyle\frac{W}{t} \\
P &= \displaystyle\frac{90}{5.0} \\ &= 18
\end{aligned}$$
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 仕事率\(P=\displaystyle\frac{W}{t}\)を変形すると\(P=Fv\)(力×速さ)とも書けます。この先「一定の力で引き続けるときのパワー」を考える問題で、この言い換えが効いてきます。
§1.6 仕事率(クレーン)
※ 手元プリント参照。与えられた量: クレーンが物体を\(2.0\times10^{4} \, \text{N}\)の力で\(15 \, \text{s}\)かけて\(30 \, \text{m}\)持ち上げる。
答え: \(P=4.0\times10^{4} \, \text{W}\)。まず仕事\(W=2.0\times10^{4}\times30=6.0\times10^{5} \, \text{J}\)を出し、それを時間で割って\(P=\displaystyle\frac{6.0\times10^{5}}{15}=4.0\times10^{4} \, \text{W}\)。「先に仕事、次に時間で割る」の二段構えです。
▶ クリックして完全解説を開く ─ 思考のクセ診断つき
一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 仕事率は「仕事÷時間」なのに、仕事を作る前の「力」をいきなり時間で割っている。まず力と距離を掛けて仕事を作る、という一段目を飛ばしています。何を時間で割るのかの対象を取り違えるクセです。
診断: \(10^{4}\)や\(10^{5}\)といった大きな数の扱いに慣れておらず、指数の足し引きが不安定。順番を変えても答えは同じですが、桁の管理を丁寧にやる手順が身についていません。
診断: 「仕事」と「仕事率」を混同している。問われているのは1秒あたりのペース(仕事率)なので、必ず時間で割る最後の一手が必要です。単位が\(\text{J}\)か\(\text{W}\)かで見分けられます。
正しい思考プロセス
Step 1: 場面を整理します。\(2.0\times10^{4} \, \text{N}\)の力で\(30 \, \text{m}\)持ち上げ、それに\(15 \, \text{s}\)かかった。Step 2: 手順を決めます。仕事率は\(P=\displaystyle\frac{W}{t}\)なので、まず仕事\(W\)を作ってから時間で割る二段構え。Step 3: 一段目、仕事を出します。持ち上げる力と持ち上げた距離を掛けて\(W=2.0\times10^{4}\times30=6.0\times10^{5} \, \text{J}\)。Step 4: 二段目、時間で割ります。\(P=\displaystyle\frac{6.0\times10^{5}}{15}=4.0\times10^{4}\)。Step 5: 妥当性チェック。単位は\(\text{J}/\text{s}=\text{W}\)。桁は\(\displaystyle\frac{10^{5}}{10}\)くらいで\(10^{4}\)台、係数は\(\displaystyle\frac{6.0}{15}=0.4\)なので\(4.0\times10^{4}\)。つじつまが合います。
📖 計算過程を1つずつ丁寧に見る
まず仕事を求めます。
$$\begin{aligned}
W &= Fx \\
W &= 2.0\times10^{4}\times30 \\ &= 6.0\times10^{5}
\end{aligned}$$
次に仕事を時間で割って仕事率を求めます。
$$\begin{aligned}
P &= \displaystyle\frac{W}{t} \\
P &= \displaystyle\frac{6.0\times10^{5}}{15} \\ &= 4.0\times10^{4}
\end{aligned}$$
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 大きな数は\(10\)の累乗(指数)で扱うと、係数どうし・指数どうしを別々に計算できて見通しが良くなります。クレーン・発電機・エンジンなど、大きなエネルギーを扱う場面ではこの指数の計算が必須の道具になります。
§1.7 運動エネルギー
※ 手元プリント参照。与えられた量: 質量\(4.0 \, \text{kg}\)、速さ\(2.0 \, \text{m}/\text{s}\)の物体。
答え: \(K=8.0 \, \text{J}\)。運動エネルギーは\(K=\displaystyle\frac{1}{2}mv^2\)。\(K=\displaystyle\frac{1}{2}\times4.0\times2.0^2=8.0 \, \text{J}\)です。\(\displaystyle\frac{1}{2}\)を忘れず、速さは二乗するのがポイントです。
▶ クリックして完全解説を開く ─ 思考のクセ診断つき
一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 公式\(K=\displaystyle\frac{1}{2}mv^2\)の頭の\(\displaystyle\frac{1}{2}\)を「飾り」だと思って落としている。運動エネルギーには必ず\(\displaystyle\frac{1}{2}\)がつく、という形をそのまま覚えられていません。
診断: 運動量\(mv\)と運動エネルギー\(\displaystyle\frac{1}{2}mv^2\)を混同している。運動エネルギーは速さの「二乗」に比例する、という一番大事な特徴が抜けています。
診断: 二乗がかかるのは速さ\(v\)だけ、という式の構造を読めていない。どこまでが二乗の対象なのかを、式を左から順にたどって確認する習慣がありません。
正しい思考プロセス
Step 1: 場面を整理します。質量\(4.0 \, \text{kg}\)の物体が速さ\(2.0 \, \text{m}/\text{s}\)で動いている。その「動きの勢いが持つエネルギー」を求めます。Step 2: 公式を選びます。運動エネルギーは\(K=\displaystyle\frac{1}{2}mv^2\)。Step 3: 式の意味。速さが二乗で効くので、速さが2倍になるとエネルギーは4倍。だからスピードは危険、という直感ともつながります。Step 4: 代入します。まず\(v^2=2.0^2=4.0\)、次に\(K=\displaystyle\frac{1}{2}\times4.0\times4.0=8.0\)。Step 5: 妥当性チェック。単位は\(\text{kg}\times(\text{m}/\text{s})^2=\text{J}\)。\(\displaystyle\frac{1}{2}\)と二乗を両方使えているか最後に確認。答えは\(8.0 \, \text{J}\)です。
📖 計算過程を1つずつ丁寧に見る
$$\begin{aligned}
K &= \displaystyle\frac{1}{2}mv^2 \\
K &= \displaystyle\frac{1}{2}\times4.0\times2.0^2 \\
K &= \displaystyle\frac{1}{2}\times4.0\times4.0 \\ &= 8.0
\end{aligned}$$
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 運動量\(mv\)(速さの1乗)と運動エネルギー\(\displaystyle\frac{1}{2}mv^2\)(速さの2乗)の違いは、力学の頻出テーマです。「時間が絡めば運動量、距離が絡めばエネルギー」という使い分けと合わせて、二つを混同しない目を持てると失点が減ります。
§1.8 仕事と運動エネルギーの関係
※ 手元プリント参照。与えられた量: なめらかな水平面上で、運動エネルギー\(20 \, \text{J}\)の物体に\(10 \, \text{J}\)の仕事をする。
答え: \(30 \, \text{J}\)。「物体にした仕事は、その物体の運動エネルギーの変化に等しい」という関係を使います。もとの\(20 \, \text{J}\)に、した仕事\(10 \, \text{J}\)が足されて\(20+10=30 \, \text{J}\)になります。
▶ クリックして完全解説を開く ─ 思考のクセ診断つき
一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: した仕事が正(動きを助ける向き)なら運動エネルギーは増える、という符号の向きを取り違えている。正の仕事はエネルギーを与える、負の仕事は奪う、という対応が定着していません。
診断: 「仕事=運動エネルギーの変化」という橋渡しの関係を知らない、または使えていない。仕事とエネルギーが同じ\(\text{J}\)という単位で結ばれている意味を押さえていません。
診断: 「変化」という言葉を「足し引き」ではなく別の演算に結びつけている。もとの量にどれだけ加わったか(差・和)を考えるのが「変化」だ、という基本が曖昧です。
正しい思考プロセス
Step 1: 場面を整理します。もともと\(20 \, \text{J}\)の運動エネルギーで動いている物体に、\(10 \, \text{J}\)の仕事をする(なめらかなので摩擦の損失はなし)。Step 2: 使う関係を選びます。「した仕事=運動エネルギーの変化」。式で書くと\(W=K_{\text{後}}-K_{\text{前}}\)。Step 3: 式の意味。した仕事の分だけ運動エネルギーが増減する、という素直な足し算・引き算です。今回は正の仕事なので増えます。Step 4: 代入します。\(K_{\text{後}}=K_{\text{前}}+W=20+10=30\)。Step 5: 妥当性チェック。正の仕事をしたのだから運動エネルギーは増えるはず。\(30 \, \text{J}\)はもとの\(20 \, \text{J}\)より大きいのでつじつまが合います。
📖 計算過程を1つずつ丁寧に見る
$$\begin{aligned}
W &= K_{\text{後}} – K_{\text{前}} \\
K_{\text{後}} &= K_{\text{前}} + W \\
K_{\text{後}} &= 20 + 10 \\ &= 30
\end{aligned}$$
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 仕事が負(摩擦・ブレーキ)なら運動エネルギーは減ります。§1.2の負の仕事とこの関係を組み合わせると、「摩擦がした負の仕事の分だけ物体は速さを失って止まる」という現象が一つの式で説明できます。
§1.9 重力による位置エネルギー
※ 手元プリント参照。与えられた量: 質量\(2.0 \, \text{kg}\)、基準の水平面から高さ\(2.5 \, \text{m}\)、重力加速度\(g=9.8 \, \text{m}/\text{s}^2\)。
答え: \(U=49 \, \text{J}\)。重力による位置エネルギーは\(U=mgh\)。\(U=2.0\times9.8\times2.5=49 \, \text{J}\)です。基準面からの高さ\(h\)を使うのがポイントです。
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一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 位置エネルギーの公式\(U=mgh\)から重力加速度\(g\)を落としている。高さがあるだけでは足りず、重力がどれだけ強く引くか(\(g\))を掛けて初めてエネルギーになる、という構造を押さえていません。
診断: 運動エネルギー\(\displaystyle\frac{1}{2}mv^2\)の\(\displaystyle\frac{1}{2}\)を、位置エネルギーにも反射的に持ち込んでいる。位置エネルギー\(mgh\)には\(\displaystyle\frac{1}{2}\)はつかない、と二つの公式を区別できていません。
診断: 位置エネルギーは「どこを高さ\(0\)とするか(基準面)」を決めて初めて値が決まる、という前提を意識していない。問題文の「基準の水平面から」という指定を図に落とし込む習慣が抜けています。
正しい思考プロセス
Step 1: 場面を整理します。質量\(2.0 \, \text{kg}\)の物体が、基準の水平面から\(2.5 \, \text{m}\)の高さにある。Step 2: 公式を選びます。重力による位置エネルギーは\(U=mgh\)。質量・重力加速度・高さの三つを掛けます。Step 3: 式の意味。重い物ほど・高い所ほど、落ちたときに大きなエネルギーになる、という素直な掛け算です。Step 4: 代入します。\(U=2.0\times9.8\times2.5\)。まず\(2.0\times9.8=19.6\)、次に\(19.6\times2.5=49\)。Step 5: 妥当性チェック。単位は\(\text{kg}\times(\text{m}/\text{s}^2)\times\text{m}=\text{J}\)。\(\displaystyle\frac{1}{2}\)をつけていないか、\(g\)を掛け忘れていないかを確認。答えは\(49 \, \text{J}\)です。
📖 計算過程を1つずつ丁寧に見る
$$\begin{aligned}
U &= mgh \\
U &= 2.0\times9.8\times2.5 \\
U &= 19.6\times2.5 \\ &= 49
\end{aligned}$$
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 位置エネルギーは基準面の取り方で値が変わりますが、「二点間の高さの差」で考えれば基準によらず同じになります。ジェットコースターやふりこで「どれだけ落ちたか(高さの差)」に注目すればよい理由が、ここから見えてきます。
§1.10 弾性力による位置エネルギー
※ 手元プリント参照。与えられた量: 自然の長さ\(0.30 \, \text{m}\)・ばね定数\(40 \, \text{N}/\text{m}\)のばねで、物体の位置は自然長の端から\(0.40 \, \text{m}\)の位置(=伸び\(0.10 \, \text{m}\))。
答え: \(U=0.20 \, \text{J}\)。弾性力による位置エネルギーは\(U=\displaystyle\frac{1}{2}kx^2\)で、\(x\)は自然長からの「伸び」です。伸びは\(x=0.40-0.30=0.10 \, \text{m}\)なので、\(U=\displaystyle\frac{1}{2}\times40\times0.10^2=0.20 \, \text{J}\)です。
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一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: \(x\)は「ばね全体の長さ」ではなく「自然長からどれだけ伸びたか」だ、という定義を押さえていない。自然長を引いて伸びだけを取り出す、という一手を飛ばしています。
診断: 弾性力による位置エネルギーは伸びの「二乗」に比例する、という特徴が抜けている。運動エネルギーの\(v^2\)と同じで、ここも二乗だ、という形を覚えられていません。
診断: 公式\(U=\displaystyle\frac{1}{2}kx^2\)の頭の\(\displaystyle\frac{1}{2}\)を落としている。ばねを引くほど手ごたえが増していくので、平均をとって\(\displaystyle\frac{1}{2}\)がつく、という成り立ちを理解していないと落としやすいです。
正しい思考プロセス
Step 1: 場面を整理します。自然長\(0.30 \, \text{m}\)のばねが、物体のせいで端から\(0.40 \, \text{m}\)の位置まで伸びている。Step 2: まず伸びを出します。伸び\(x\)は全体の長さから自然長を引いて\(x=0.40-0.30=0.10 \, \text{m}\)。Step 3: 公式を選びます。弾性力による位置エネルギーは\(U=\displaystyle\frac{1}{2}kx^2\)。\(x\)は今出した伸びを使います。Step 4: 代入します。まず\(x^2=0.10^2=0.010\)、次に\(U=\displaystyle\frac{1}{2}\times40\times0.010=0.20\)。Step 5: 妥当性チェック。自然長を引いたか、二乗したか、\(\displaystyle\frac{1}{2}\)をつけたかの三点を確認。単位は\((\text{N}/\text{m})\times\text{m}^2=\text{N}\cdot\text{m}=\text{J}\)。答えは\(0.20 \, \text{J}\)です。
📖 計算過程を1つずつ丁寧に見る
まず自然長からの伸びを求めます。
$$\begin{aligned}
x &= 0.40 – 0.30 \\ &= 0.10
\end{aligned}$$
弾性力による位置エネルギーを求めます。
$$\begin{aligned}
U &= \displaystyle\frac{1}{2}kx^2 \\
U &= \displaystyle\frac{1}{2}\times40\times0.10^2 \\
U &= \displaystyle\frac{1}{2}\times40\times0.010 \\ &= 0.20
\end{aligned}$$
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 弾性力の位置エネルギー\(\displaystyle\frac{1}{2}kx^2\)と重力の位置エネルギー\(mgh\)は、どちらも「たくわえて、あとで運動エネルギーに変える」貯金のような役割です。ばねをはじいて物が飛ぶ・落として跳ねる、といった現象を力学的エネルギー保存で一本につなぐ準備がここで整います。
§1.11 保存力・非保存力の仕事(重力と外力・曲面)
※ 手元プリント参照。与えられた量: 質量\(2.0 \, \text{kg}\)の物体に外力を加え、なめらかな曲面にそって物体を点O(高さ\(1.40 \, \text{m}\))から点A(高さ\(0.90 \, \text{m}\))までゆっくり運ぶ。\(g=9.8 \, \text{m}/\text{s}^2\)。(a)重力のする仕事\(W_1\)、(b)外力のする仕事\(W_2\)を求めよ。
答え: (a)\(W_1=9.8 \, \text{J}\)、(b)\(W_2=-9.8 \, \text{J}\)。O→Aは\(0.50 \, \text{m}\)下降するので、重力は動く向きに正の仕事をします。「ゆっくり運ぶ=速さがほぼ変わらない」うえに「なめらか=摩擦なし」なので、重力と外力の仕事の合計はゼロ。だから外力の仕事は重力とちょうど逆符号になります。
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一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 重力の仕事は「移動距離」ではなく「高さの変化」だけで決まる、という保存力の性質が身についていない。曲がりくねった道でも、下がった高さ\(0.50 \, \text{m}\)だけが仕事に効きます。道の長さを持ち出した時点で、遠回りしています。
診断: 「ゆっくり運ぶ=運動エネルギーが変わらない」という条件を式に翻訳できていない。運動エネルギーが増えないなら仕事の合計は\(0\)。重力が\(+9.8 \, \text{J}\)した分を、外力が\(-9.8 \, \text{J}\)で打ち消しているのです。
診断: 高さの数値を見比べる前に符号を決めてしまうクセ。\(1.40 \gt 0.90\)なのでO→Aは下降。物体が下がる向きに重力ははたらくので、重力の仕事は正です。数値の大小を先に確認する習慣が処方箋です。
正しい思考プロセス
Step 1: 絵にします。高さ\(1.40 \, \text{m}\)のOから高さ\(0.90 \, \text{m}\)のAへ、曲面にそって下りていく物体を描きます。Step 2: どの公式を使うか。重力の仕事は「重力の大きさ×下がった高さ」。道の形は無関係で、高さの差だけが効きます。下がった高さは\(1.40-0.90=0.50 \, \text{m}\)。Step 3: 式の意味。重力は下向き、物体も下がるので、力と移動の向きが同じ=正の仕事。\(W_1=mg\times0.50\)。Step 4: 代入計算。\(W_1=2.0\times9.8\times0.50=9.8 \, \text{J}\)。外力は、ゆっくり&摩擦なしから「仕事の合計\(=0\)」なので\(W_2=-W_1=-9.8 \, \text{J}\)。Step 5: 妥当性。外力は物体をそっと支えながら下ろす向き(上向き寄り)にはたらくのに、物体は下へ動く。力と移動が逆向き気味=負の仕事、と符号が合っています。
📖 計算過程を1つずつ丁寧に見る
下がった高さを先に出します。
$$\begin{aligned}
\Delta h &= 1.40 – 0.90 \\
\Delta h &= 0.50
\end{aligned}$$
重力の仕事は「重力×下がった高さ」です。
$$\begin{aligned}
W_1 &= mg\Delta h \\
W_1 &= 2.0\times9.8\times0.50 \\
W_1 &= 9.8
\end{aligned}$$
ゆっくり&摩擦なしなので仕事の合計はゼロ。
$$\begin{aligned}
W_1 + W_2 &= 0 \\
W_2 &= -9.8
\end{aligned}$$
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 「ゆっくり運ぶ=運動エネルギー変化ゼロ=仕事の合計ゼロ」というつながりは、物を持ち上げる・そっと下ろすあらゆる場面で使えます。外力が重力とちょうど逆符号になる、という関係は、この先の位置エネルギーの考え方にそのまま直結します。
§1.12 弾性力の仕事(弾性力と外力)
※ 手元プリント参照。与えられた量: \(0.20 \, \text{m}\)だけ引き伸ばした、ばね定数\(40 \, \text{N}/\text{m}\)のばねに物体をつけ、外力を加えてゆっくりと自然の長さにもどす。(a)弾性力のする仕事\(W_1\)、(b)外力のする仕事\(W_2\)を求めよ。
答え: (a)\(W_1=0.80 \, \text{J}\)、(b)\(W_2=-0.80 \, \text{J}\)。伸びていたばねが自然の長さにもどる間、ばねは縮む向き(物体が動く向き)に物体を引くので、弾性力は正の仕事をします。ゆっくりもどす=運動エネルギー変化ゼロなので、外力はそれと逆符号の仕事になります。
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一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 「ばねを伸ばすとき」と「ばねがもどるとき」で力と移動の向きの関係が変わることを見落としているクセ。今回はばねがもどる場面。ばねは縮もうとして物体を引き、物体も同じ向きに動くので、弾性力は正の仕事をします。
診断: ゆっくりもどす=運動エネルギーが増えない=仕事の合計ゼロ、という条件を式に反映できていない。弾性力が\(+0.80 \, \text{J}\)する分を、外力が\(-0.80 \, \text{J}\)でブレーキをかけて打ち消しているのです。
診断: ばねにたくわえられるエネルギーは\(\displaystyle\frac{1}{2}kx^2\)で、伸び\(x\)は必ず2乗。公式を「\(\displaystyle\frac{1}{2}kx\)」と勘違いすると桁がずれます。伸びが2倍になるとエネルギーは4倍、という感覚を持てば防げます。
正しい思考プロセス
Step 1: 絵にします。\(0.20 \, \text{m}\)伸びた状態のばねが、自然の長さまで縮んでいく様子を描きます。Step 2: どの量を使うか。伸びていたばねにたくわえられていた弾性エネルギー\(\displaystyle\frac{1}{2}kx^2\)が、もどる間にそっくり弾性力の仕事として放出されます。Step 3: 式の意味。ばねは物体を縮む向きに引き、物体も同じ向きに動く=正の仕事。その大きさはたくわえられていたエネルギーに等しい。Step 4: 代入計算。\(W_1=\displaystyle\frac{1}{2}\times40\times0.20^2=0.80 \, \text{J}\)。ゆっくりもどすので外力は\(W_2=-0.80 \, \text{J}\)。Step 5: 妥当性。外力は物体が飛び出さないよう引き止める向き(動きと逆向き)なので負の仕事、と符号が合います。
📖 計算過程を1つずつ丁寧に見る
たくわえられていた弾性エネルギー=弾性力がする仕事です。
$$\begin{aligned}
W_1 &= \displaystyle\frac{1}{2}kx^2 \\
W_1 &= \displaystyle\frac{1}{2}\times40\times0.20^2 \\
W_1 &= \displaystyle\frac{1}{2}\times40\times0.040 \\
W_1 &= 0.80
\end{aligned}$$
ゆっくりもどすので仕事の合計はゼロ。
$$\begin{aligned}
W_1 + W_2 &= 0 \\
W_2 &= -0.80
\end{aligned}$$
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 重力でも弾性力でも「ゆっくり動かすと外力は保存力とちょうど逆符号の仕事をする」という関係は共通です。§1.11の重力とまったく同じ論理がばねでも成り立つ、と気づけると、位置エネルギーの正体がすっと見えてきます。
§1.13 力学的エネルギー保存(鉛直ばね振り子・表埋め)
※ 手元プリント参照。与えられた量: ばね定数\(k \, [\text{N}/\text{m}]\)のばねの一端に固定した質量\(m \, [\text{kg}]\)の物体。ばねが\(a \, [\text{m}]\)伸びた点Aで物体はつりあう。ばねが自然の長さとなる点Bまで物体を持ち上げて静かにはなすと、点Aを通過するときの速さは\(v_{\text{A}} \, [\text{m}/\text{s}]\)だった。重力による位置エネルギーの基準を点Bとする。\(g \, [\text{m}/\text{s}^2]\)。点B・点Aの運動エネルギー・重力による位置エネルギー・弾性力による位置エネルギーを表にまとめ、力学的エネルギー保存の式を立てよ。
答え: 表は下のとおり。【点B】運動エネルギー\(=0\)、重力による位置エネルギー\(=0\)、弾性力による位置エネルギー\(=0\)。【点A】運動エネルギー\(=\displaystyle\frac{1}{2}mv_{\text{A}}{}^2\)、重力による位置エネルギー\(=-mga\)、弾性力による位置エネルギー\(=\displaystyle\frac{1}{2}ka^2\)。保存の式は\(0=\displaystyle\frac{1}{2}mv_{\text{A}}{}^2-mga+\displaystyle\frac{1}{2}ka^2\)。点B(自然の長さ・基準の高さ)は速さゼロ・両方の位置エネルギーもゼロ、という「全部ゼロの出発点」を先に押さえるのがコツです。
| 点 | 運動エネルギー | 重力による位置エネルギー | 弾性力による位置エネルギー |
| 点B(自然の長さ・基準) | \(0\) | \(0\) | \(0\) |
| 点A(\(a\)だけ伸びた点) | \(\displaystyle\frac{1}{2}mv_{\text{A}}{}^2\) | \(-mga\) | \(\displaystyle\frac{1}{2}ka^2\) |
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一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 基準(点B)より下にある点は、重力による位置エネルギーが負になる、という符号の約束を見落としているクセ。点Aは点Bより\(a\)だけ低いので、高さがマイナス。だから\(-mga\)です。基準より下=負、を毎回確認しましょう。
診断: 点Bは「ばねが自然の長さ」の点だ、という設定を表に反映できていない。自然の長さ=ばねは伸びも縮みもしていない=たくわえたエネルギーはゼロ。点Bは弾性力の位置エネルギーもゼロが正解です。
診断: 「静かにはなす」という言葉を式に翻訳できていない。静かにはなす=はなした瞬間の速さはゼロ。だから点Bの運動エネルギーは\(0\)。問題文の「静かに」は速さゼロの合図です。
正しい思考プロセス
Step 1: 絵にします。上に自然の長さの点B、そこから\(a\)だけ下がったところにつりあいの点A。物体を点Bまで持ち上げて手をはなす図です。Step 2: 各点でエネルギーを3種類(運動・重力の位置・弾性力の位置)に分けて数え上げる。表の枠を先に作るのがコツ。Step 3: 式の意味を1マスずつ。点Bは速さ\(0\)・基準の高さ・自然の長さなので3つとも\(0\)。点Aは速さ\(v_{\text{A}}\)なので運動エネルギー\(\displaystyle\frac{1}{2}mv_{\text{A}}{}^2\)、基準より\(a\)低いので重力の位置エネルギー\(-mga\)、\(a\)伸びているので弾性力の位置エネルギー\(\displaystyle\frac{1}{2}ka^2\)。Step 4: 保存の式。点Bの合計(全部ゼロ)=点Aの合計、だから\(0=\displaystyle\frac{1}{2}mv_{\text{A}}{}^2-mga+\displaystyle\frac{1}{2}ka^2\)。Step 5: 妥当性。物体は下がって速くなる(運動エネルギー増)一方、重力の位置エネルギーは減り、ばねの位置エネルギーは増える。増減が打ち消し合って合計が保たれる、という形になっています。
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 「基準より下は位置エネルギーが負」という符号の約束は、ジェットコースター・振り子・投げ上げなど高さが絡む全問題に共通します。基準の高さをどこに置くかを最初に宣言し、上か下かで符号を決める、という手順を徹底してください。
§1.14 力学的エネルギー保存(2物体・定滑車)
※ 手元プリント参照。与えられた量: 質量\(m \, [\text{kg}]\)の物体Pと質量\(M \, [\text{kg}]\)の物体Q(\(M \gt m\))を定滑車に取りつけて支える。状態1ではQが高さ\(h \, [\text{m}]\)、Pが床にある。支えを静かにはなすと2物体は動きだし、状態2でQがPと入れ替わり、Qが床に速さ\(v \, [\text{m}/\text{s}]\)で衝突する。位置エネルギーの基準は床。\(g \, [\text{m}/\text{s}^2]\)。(a)各状態のエネルギーを表にまとめ、(b)PとQを合わせた力学的エネルギー保存の式を立て、(c)\(v\)を\(m,M,h,g\)で表せ。
答え: 表は下のとおり。(b)\(Mgh=\displaystyle\frac{1}{2}mv^2+mgh+\displaystyle\frac{1}{2}Mv^2\)。(c)\(v=\sqrt{\displaystyle\frac{2(M-m)gh}{m+M}}\)。糸でつながれているのでPとQの速さは同じ\(v\)。Qが\(h\)だけ下がり、Pが\(h\)だけ上がる、という「入れ替わり」を高さの変化としてきちんと数えるのがカギです。
| 状態 | Pの運動エネルギー | Pの位置エネルギー | Qの運動エネルギー | Qの位置エネルギー |
| 状態1(はなす前) | \(0\) | \(0\) | \(0\) | \(Mgh\) |
| 状態2(衝突の瞬間) | \(\displaystyle\frac{1}{2}mv^2\) | \(mgh\) | \(\displaystyle\frac{1}{2}Mv^2\) | \(0\) |
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一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 定滑車と1本の糸でつながれた2物体は、必ず同じ速さで動く、という拘束条件を見落としているクセ。糸がのびちぢみしないなら、片方が動いた分だけもう片方も動く。速さは共通の\(v\)、と最初に決めてしまいましょう。
診断: 「入れ替わる」=Qが下がると同時にPが上がる、という両方の動きを追えていない。Qが失う位置エネルギーの一部は、Pを持ち上げる位置エネルギーに変わります。上がる側も必ず数える、が処方箋です。
診断: 「動きを生み出す力の源」を取り違えているクセ。QはPより重いから動く。動かす原動力は重さの差\(M-m\)で、動かされる全体の重さは合計\(m+M\)。分子が差、分母が和、という役割分担を意識すれば逆転しません。
正しい思考プロセス
Step 1: 絵にします。定滑車の左右にP(床)とQ(高さ\(h\))。はなすと重いQが下り、軽いPが上がる。状態1(前)と状態2(衝突の瞬間)の2枚を描きます。Step 2: 速さは共通\(v\)、と拘束条件を宣言。使う道具は力学的エネルギー保存です。Step 3: 表の各マスの意味。状態1は両方静止なので運動エネルギーゼロ、Qだけ高さ\(h\)で\(Mgh\)。状態2は両方が速さ\(v\)、Pが\(h\)上がって\(mgh\)、Qは床で\(0\)。Step 4: 保存の式。状態1の合計=状態2の合計で\(Mgh=\displaystyle\frac{1}{2}mv^2+mgh+\displaystyle\frac{1}{2}Mv^2\)。これを\(v^2\)について解くと\(v=\sqrt{\displaystyle\frac{2(M-m)gh}{m+M}}\)。Step 5: 妥当性。もし\(M=m\)なら分子が\(0\)で\(v=0\)=つり合って動かない、と現実に合います。\(M\)が\(m\)より大きいほど速くなるのも自然です。
📖 計算過程を1つずつ丁寧に見る
保存の式を\(v^2\)について整理します。
$$\begin{aligned}
Mgh &= \displaystyle\frac{1}{2}mv^2 + mgh + \displaystyle\frac{1}{2}Mv^2 \\
Mgh – mgh &= \displaystyle\frac{1}{2}(m+M)v^2 \\
(M-m)gh &= \displaystyle\frac{1}{2}(m+M)v^2
\end{aligned}$$
両辺を入れかえて\(v^2\)を単独にします。
$$\begin{aligned}
v^2 &= \displaystyle\frac{2(M-m)gh}{m+M} \\
v &= \sqrt{\displaystyle\frac{2(M-m)gh}{m+M}}
\end{aligned}$$
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 答えの\(\displaystyle\frac{M-m}{m+M}\)という形は「差÷和」の典型。重さの差が動きを生み、全体の重さが動きにくさを決める、という力学の基本構造が式に表れています。極端な場合(\(M=m\)なら動かない)で検算する習慣もここで身につけましょう。
§1.15 力学的エネルギーと動摩擦(斜面→あらい面)
※ 手元プリント参照。与えられた量: なめらかな斜面上の高さ\(2.0 \, \text{m}\)の点から、質量\(0.50 \, \text{kg}\)の物体を初速度\(0 \, \text{m}/\text{s}\)ですべらせたところ、水平面上のあらい部分に進入して停止した。\(g=9.8 \, \text{m}/\text{s}^2\)。動摩擦力のした仕事\(W\)を求めよ。
答え: \(W=-9.8 \, \text{J}\)。出発点で持っていた力学的エネルギー\(mgh=9.8 \, \text{J}\)が、最後は停止して運動エネルギー\(0\)になっています。消えた\(9.8 \, \text{J}\)は、すべてあらい面での動摩擦力が奪った(負の仕事をした)ぶんです。
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一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 摩擦力は物体の動きと必ず逆向きにはたらく=負の仕事をする、という向きの感覚が抜けているクセ。摩擦は物体をブレーキするもの。エネルギーを奪う側なので符号は負。大きさは\(9.8\)でも、符号は必ずマイナスです。
診断: 「なめらかな斜面」「あらい水平面」という設定を読み分けられていないクセ。斜面はなめらか=摩擦なしなので、斜面ではエネルギーは減りません。摩擦が効くのは水平のあらい面だけ。設定文を1語ずつ確認する習慣が処方箋です。
診断: 問われているのは「仕事」であって「力」ではない、という区別ができていないクセ。仕事はエネルギーの目減り分から直接求まり、距離も摩擦力の大きさも要りません。何を問われているかを先に確認しましょう。
正しい思考プロセス
Step 1: 絵にします。高さ\(2.0 \, \text{m}\)のなめらかな斜面を下り、水平のあらい面に入って止まる物体を描きます。Step 2: どの考え方を使うか。「はじめの力学的エネルギー」から「終わりの力学的エネルギー」への目減り分=摩擦がした仕事。Step 3: 式の意味。出発点は高さ\(2.0\)で速さ\(0\)なので、エネルギーは\(mgh\)。終点は水平面で速さ\(0\)なので、エネルギーは\(0\)。Step 4: 代入計算。はじめのエネルギー\(mgh=0.50\times9.8\times2.0=9.8 \, \text{J}\)。これが\(0\)になったので、失われた\(9.8 \, \text{J}\)が摩擦の仕事の大きさ。奪う向きなので\(W=-9.8 \, \text{J}\)。Step 5: 妥当性。摩擦が正の仕事をするなら物体は勝手に速くなるはずで、それはありえない。止まった=エネルギーを奪われた、と負符号がぴったり合います。
📖 計算過程を1つずつ丁寧に見る
出発点で持っていた力学的エネルギーを出します。
$$\begin{aligned}
E_{はじめ} &= mgh \\
E_{はじめ} &= 0.50\times9.8\times2.0 \\
E_{はじめ} &= 9.8
\end{aligned}$$
終わりは停止しているのでエネルギーはゼロ。摩擦の仕事はその差です。
$$\begin{aligned}
W &= E_{おわり} – E_{はじめ} \\
W &= 0 – 9.8 \\
W &= -9.8
\end{aligned}$$
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 「止まった=運動エネルギーが\(0\)」「静かにはなす=はじめの速さが\(0\)」のように、問題文の言葉を速さゼロの合図に翻訳する練習は全問題に効きます。文章のキーワードを式の数値に置きかえる力が、物理の得点を大きく左右します。
§1.16 等速円運動(回転数・角速度・速さ)
※ 手元プリント参照。与えられた量: 周期\(2.0 \, \text{s}\)、半径\(0.80 \, \text{m}\)で等速円運動をしている物体。円周率は\(\pi\)とする。(a)回転数\(n \, [\text{Hz}]\)、(b)角速度\(\omega \, [\text{rad}/\text{s}]\)、(c)速さ\(v \, [\text{m}/\text{s}]\)を求めよ。
答え: (a)\(n=0.50 \, \text{Hz}\)、(b)\(\omega=1.0\pi \, \text{rad}/\text{s}\)、(c)\(v=0.80\pi \, \text{m}/\text{s}\)。回転数は「1秒あたり何周するか」で\(n=\displaystyle\frac{1}{T}\)、角速度は「1秒あたり何ラジアン回るか」で\(\omega=\displaystyle\frac{2\pi}{T}\)、速さは半径×角速度で\(v=r\omega\)。3つの量の意味を言葉で言えれば公式は迷いません。
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一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 「回転数=1秒あたりの周回数(単位Hz)」「角速度=1秒あたりの回転角(単位rad/s)」という意味の違いを押さえていないクセ。1周は\(2\pi \, \text{rad}\)なので\(\omega=2\pi n\)。単位を見れば、どちらに\(2\pi\)が付くか分かります。
診断: 円運動の公式に出てくる\(r\)は必ず「半径」だ、という基本を取り違えているクセ。直径を使うと速さが2倍になってしまいます。図に半径を書き込んで、公式の\(r\)=中心から物体までの距離、と毎回確認しましょう。
診断: 「円周率は\(\pi\)とする」という指示を読み飛ばしているクセ。\(\pi\)のまま答える指定なら、無理に数値化しないほうがミスも減り、採点でも安全。指定された表記をそのまま使う、が処方箋です。
正しい思考プロセス
Step 1: 絵にします。半径\(0.80 \, \text{m}\)の円周上を\(2.0 \, \text{s}\)で1周する物体を描きます。Step 2: どの公式か。回転数は周期の逆数\(n=\displaystyle\frac{1}{T}\)、角速度は1周\(2\pi\)を周期で割った\(\omega=\displaystyle\frac{2\pi}{T}\)、速さは\(v=r\omega\)。Step 3: 式の意味。\(2.0\)秒で1周なら1秒では半周=\(0.50\)周、これが回転数。1周\(2\pi\)を\(2.0\)秒で回るから1秒で\(1.0\pi\)、これが角速度。Step 4: 代入計算。\(n=\displaystyle\frac{1}{2.0}=0.50\)、\(\omega=\displaystyle\frac{2\pi}{2.0}=1.0\pi\)、\(v=0.80\times1.0\pi=0.80\pi\)。Step 5: 妥当性。半径\(0.80\)の円周は\(2\pi\times0.80=1.6\pi \, \text{m}\)。これを\(2.0\)秒で回るから速さは\(0.80\pi \, \text{m}/\text{s}\)。円周÷周期でも同じ答えになり、検算が合います。
📖 計算過程を1つずつ丁寧に見る
$$\begin{aligned}
n &= \displaystyle\frac{1}{T} \\
n &= \displaystyle\frac{1}{2.0} \\
n &= 0.50
\end{aligned}$$
$$\begin{aligned}
\omega &= \displaystyle\frac{2\pi}{T} \\
\omega &= \displaystyle\frac{2\pi}{2.0} \\
\omega &= 1.0\pi
\end{aligned}$$
$$\begin{aligned}
v &= r\omega \\
v &= 0.80\times1.0\pi \\
v &= 0.80\pi
\end{aligned}$$
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: \(v=r\omega\)は「回る速さ(角速度)×うでの長さ(半径)=進む速さ」という意味。同じ角速度でも、中心から遠いほど速く動きます。観覧車やレコード盤で外側ほど速い理由が、この一本の式に詰まっています。
§1.17 等速円運動(周期・半径・加速度)
※ 手元プリント参照。与えられた量: 角速度\(4.0 \, \text{rad}/\text{s}\)、速さ\(8.0 \, \text{m}/\text{s}\)で等速円運動をしている物体。円周率は\(\pi\)とする。(a)周期\(T \, [\text{s}]\)、(b)半径\(r \, [\text{m}]\)、(c)加速度の大きさ\(a \, [\text{m}/\text{s}^2]\)を求めよ。
答え: (a)\(T=0.50\pi \, \text{s}\)、(b)\(r=2.0 \, \text{m}\)、(c)\(a=32 \, \text{m}/\text{s}^2\)。周期は\(T=\displaystyle\frac{2\pi}{\omega}\)、半径は\(v=r\omega\)を\(r\)について解いた\(r=\displaystyle\frac{v}{\omega}\)、加速度は\(a=\displaystyle\frac{v^2}{r}\)(または\(r\omega^2\))。\(v\)と\(\omega\)の2つがあれば残りは芋づる式に出せます。
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一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 加速度の公式\(a=\displaystyle\frac{v^2}{r}=r\omega^2\)を、速さの1乗と混同しているクセ。加速度は速さの2乗に比例します。単位で確認すると\(\displaystyle\frac{(\text{m}/\text{s})^2}{\text{m}}=\text{m}/\text{s}^2\)ときれいに合う。単位チェックが誤りを防ぎます。
診断: 「1周は\(2\pi \, \text{rad}\)」という事実が周期の式に反映できていないクセ。角速度は1秒あたりの回転角なので、1周\(2\pi\)を回りきる時間が周期\(T=\displaystyle\frac{2\pi}{\omega}\)。\(2\pi\)を落とすと時間が\(2\pi\)分の1になってしまいます。
診断: \(v=r\omega\)を\(r\)について解く操作を間違えているクセ。\(r\)を出すには\(v\)を\(\omega\)で「割る」のが正しく、\(r=\displaystyle\frac{v}{\omega}\)。式変形は掛けるか割るかを1回ずつ紙で確認しましょう。
正しい思考プロセス
Step 1: 絵にします。角速度\(4.0\)・速さ\(8.0\)で円周上を回る物体を描き、中心へ向かう加速度の矢印を書き込みます。Step 2: どの公式か。周期\(T=\displaystyle\frac{2\pi}{\omega}\)、半径\(r=\displaystyle\frac{v}{\omega}\)、向心加速度\(a=\displaystyle\frac{v^2}{r}\)。Step 3: 式の意味。\(\omega=4.0\)だから1周\(2\pi\)を回るのに\(\displaystyle\frac{2\pi}{4.0}\)秒。半径は速さを角速度で割れば出る。加速度は速さの2乗を半径で割る。Step 4: 代入計算。\(T=\displaystyle\frac{2\pi}{4.0}=0.50\pi\)、\(r=\displaystyle\frac{8.0}{4.0}=2.0\)、\(a=\displaystyle\frac{8.0^2}{2.0}=\displaystyle\frac{64}{2.0}=32\)。Step 5: 妥当性。\(a=r\omega^2=2.0\times4.0^2=2.0\times16=32\)と別式でも同じ。2通りで一致したので安心です。
📖 計算過程を1つずつ丁寧に見る
$$\begin{aligned}
T &= \displaystyle\frac{2\pi}{\omega} \\
T &= \displaystyle\frac{2\pi}{4.0} \\
T &= 0.50\pi
\end{aligned}$$
$$\begin{aligned}
r &= \displaystyle\frac{v}{\omega} \\
r &= \displaystyle\frac{8.0}{4.0} \\
r &= 2.0
\end{aligned}$$
$$\begin{aligned}
a &= \displaystyle\frac{v^2}{r} \\
a &= \displaystyle\frac{64}{2.0} \\
a &= 32
\end{aligned}$$
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 向心加速度が速さの2乗に比例する(\(a=\displaystyle\frac{v^2}{r}\))ことは、カーブを2倍の速さで曲がると必要な向心力が4倍になる、という意味。車がカーブで急に曲がりきれなくなる理由も、この2乗の効き方で説明できます。
§1.18 等速円運動(角速度・加速度・向心力)
※ 手元プリント参照。与えられた量: 軽い糸の一端に質量\(0.20 \, \text{kg}\)の物体をつなぎ、なめらかな水平面上で半径\(0.80 \, \text{m}\)、速さ\(4.0 \, \text{m}/\text{s}\)の等速円運動をさせる。(a)角速度\(\omega \, [\text{rad}/\text{s}]\)、(b)加速度の大きさ\(a \, [\text{m}/\text{s}^2]\)、(c)向心力の大きさ\(F \, [\text{N}]\)を求めよ。
答え: (a)\(\omega=5.0 \, \text{rad}/\text{s}\)、(b)\(a=20 \, \text{m}/\text{s}^2\)、(c)\(F=4.0 \, \text{N}\)。角速度は\(\omega=\displaystyle\frac{v}{r}\)、加速度は\(a=\displaystyle\frac{v^2}{r}\)、向心力は運動方程式\(F=ma\)。加速度を先に出してから、力は\(F=ma\)で仕上げる、という順番が安全です。
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一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 運動エネルギーの\(\displaystyle\frac{1}{2}mv^2\)と、運動方程式\(F=ma\)を混同しているクセ。力を出す式に\(\displaystyle\frac{1}{2}\)は付きません。「力=質量×加速度」はそのまま掛けるだけ。エネルギーと力は別物、と切り分けましょう。
診断: 「まず加速度、次に\(F=ma\)」という2段構えの手順が身についていないクセ。加速度\(a=\displaystyle\frac{v^2}{r}\)を先に確定してから\(F=ma\)に入れば、迷わず\(F=\displaystyle\frac{mv^2}{r}\)にたどり着きます。手順を分けるのが処方箋です。
診断: どの長さが半径かを図で確認していないクセ。ここでは糸の長さ=半径\(0.80 \, \text{m}\)。\(\omega=\displaystyle\frac{4.0}{0.80}=5.0\)。数値を入れる前に「\(r\)は中心から物体までの距離」と唱える習慣をつけましょう。
正しい思考プロセス
Step 1: 絵にします。中心に糸の端、半径\(0.80\)の円周上を速さ\(4.0\)で回る物体。糸が物体を中心へ引く矢印(向心力)を書きます。Step 2: どの公式か。角速度\(\omega=\displaystyle\frac{v}{r}\)、向心加速度\(a=\displaystyle\frac{v^2}{r}\)、向心力は運動方程式\(F=ma\)。Step 3: 式の意味。円運動で物体は中心へ加速し続けている。その加速度を生む力が糸の張力=向心力。だから\(F=ma\)で求まる。Step 4: 代入計算。\(\omega=\displaystyle\frac{4.0}{0.80}=5.0\)、\(a=\displaystyle\frac{4.0^2}{0.80}=\displaystyle\frac{16}{0.80}=20\)、\(F=0.20\times20=4.0\)。Step 5: 妥当性。\(F=\displaystyle\frac{mv^2}{r}=\displaystyle\frac{0.20\times16}{0.80}=4.0\)と直接式でも一致。向きは中心向き(糸が引く向き)で、円運動の常識どおりです。
📖 計算過程を1つずつ丁寧に見る
$$\begin{aligned}
\omega &= \displaystyle\frac{v}{r} \\
\omega &= \displaystyle\frac{4.0}{0.80} \\
\omega &= 5.0
\end{aligned}$$
$$\begin{aligned}
a &= \displaystyle\frac{v^2}{r} \\
a &= \displaystyle\frac{16}{0.80} \\
a &= 20
\end{aligned}$$
$$\begin{aligned}
F &= ma \\
F &= 0.20\times20 \\
F &= 4.0
\end{aligned}$$
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 向心力は\(F=ma\)から\(F=\displaystyle\frac{mv^2}{r}\)と書けます。速いほど・重いほど・半径が小さいほど強い力が要る。ハンマー投げで速く回すほど糸を強く握らねばならない理由が、この式にそのまま表れています。
§1.19 円運動(回転座標・静止摩擦力)
※ 手元プリント参照。与えられた量: 物体とともに回転する立場で考える。水平なあらい回転台に置かれた物体が、回転台とともに半径\(r \, [\text{m}]\)、角速度\(\omega \, [\text{rad}/\text{s}]\)の等速円運動をしている。物体の質量は\(m \, [\text{kg}]\)、\(g \, [\text{m}/\text{s}^2]\)。物体にはたらく静止摩擦力の大きさ\(F \, [\text{N}]\)を求めよ。
答え: \(F=mr\omega^2 \, [\text{N}]\)。「物体とともに回転する立場」では、外向きに遠心力\(mr\omega^2\)という見かけの力がはたらきます。物体は台の上で滑らず静止しているので、内向きの静止摩擦力がこの遠心力とちょうどつり合う、と考えて\(F=mr\omega^2\)。誰の立場で見ているかで、登場する力が変わるのがポイントです。
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一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 「回転する立場(遠心力を使う)」と「外から見る立場(向心力を使う)」を混ぜてしまうクセ。回転する立場で解くなら、登場するのは遠心力(見かけの力)と静止摩擦力の2つだけ。向心力はもう一方の立場の言葉なので、同じ式に混ぜてはいけません。
診断: 立場を最初に1つに固定していないクセ。「物体とともに回転する立場」では物体は静止=つり合いの式。「地面から見る立場」では物体は加速=運動方程式。問題文が指定した立場を守り、途中で乗りかえないことが処方箋です。
診断: 摩擦力を「いつも\(\mu mg\)」と丸暗記しているクセ。\(\mu mg\)はあくまで滑る直前の最大摩擦力の話。ここで問われているのは、遠心力とつり合うために実際に生じている静止摩擦力で、その大きさは遠心力に等しく\(mr\omega^2\)です。
正しい思考プロセス
Step 1: 絵にします。回転台の上の物体を、物体と一緒に回る目線で描きます。この立場では物体は止まって見えます。Step 2: 立場を固定。「物体とともに回転する立場」なので、見かけの力=遠心力を導入し、物体はつり合っていると考えます。Step 3: 力を数える。外向きに遠心力\(mr\omega^2\)、内向きに静止摩擦力\(F\)。物体は滑らず静止しているので、この2つがつり合います。Step 4: 式を立てて解く。\(F=mr\omega^2\)。Step 5: 妥当性。速く回す(\(\omega\)大)ほど、遠く(\(r\)大)ほど、外へ飛ばされそうになり、それを押さえる摩擦も大きく要る。\(\omega\)と\(r\)が増えると\(F\)も増える、と直感に合います。ある\(\omega\)を超えると摩擦の限界を超えて物体は滑り出す、という現象ともつながります。
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 遠心力は「一緒に回る立場でだけ現れる見かけの力」です。バスが曲がると体が外へ押される感じ、洗濯機の脱水で水が外へ飛ぶ理由、これらは回る立場に立ったときの遠心力で説明できます。「誰から見た話か」を意識すると、見かけの力の正体がクリアになります。
§1.20 鉛直面内の円運動(半円筒面の速さ・垂直抗力)
※ 手元プリント参照。与えられた量: 曲面ACは点Oを中心とする半径\(r \, [\text{m}]\)のなめらかな半円筒面。点Bは\(\angle\text{AOB}=90^\circ\)の点。点AはOの真下(Oより高さ\(r\)だけ低い)、点BはOと同じ高さ、点Cは上にある。質量\(m \, [\text{kg}]\)の小球を点Aから大きさ\(v_0 \, [\text{m}/\text{s}]\)の初速度ですべらせたところ、鉛直面内で曲面AC上を運動し点Cに達した。\(g \, [\text{m}/\text{s}^2]\)。小球が点Bを通るときの速さ\(v \, [\text{m}/\text{s}]\)と、そのとき面から受ける垂直抗力の大きさ\(N \, [\text{N}]\)を求めよ。
答え: \(v=\sqrt{v_0{}^2-2gr} \, [\text{m}/\text{s}]\)、\(N=m\left(\displaystyle\frac{v_0{}^2}{r}-2g\right) \, [\text{N}]\)。A→Bで高さが\(r\)だけ上がるので、力学的エネルギー保存で速さ\(v\)を出します。点Bでは中心Oが真横(水平方向)にあるため、向心方向は水平で、その向きの力=垂直抗力\(N\)が向心力そのものになります。
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一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 図の位置関係を高さに翻訳できていないクセ。点AはOの真下で\(r\)だけ低く、点BはOと同じ高さ。だからA→Bの上昇は「\(r\)だけ低い所」から「Oと同じ高さ」まで=ちょうど\(r\)。図に高さの基準線を引いて差を測る習慣が処方箋です。
診断: 点Bで「中心Oがどの向きにあるか」を確認していないクセ。点BではOは真横(水平方向)にあるので、向心方向は水平。重力は真下(鉛直)で向心方向と直角なので、向心力には効きません。点Bで向心力になるのは水平向きの垂直抗力\(N\)だけです。
診断: 「垂直抗力=いつも上向き」と決めつけているクセ。垂直抗力は「面に垂直な向き」の力。点Bでは面(円筒面)に垂直な向き=中心Oを向く水平方向です。面の向きが変われば垂直抗力の向きも変わる、と押さえましょう。
正しい思考プロセス
Step 1: 絵にします。中心O、真下に点A、真横に点B、上に点C。小球が点Aから\(v_0\)ですべり出し、円筒面にそって点Bを通る図です。Step 2: 速さは何で出すか。面はなめらか(摩擦なし)なので、A→Bは力学的エネルギー保存。A→Bで高さが\(r\)上がることに注目します。Step 3: 式の意味。エネルギー保存\(\displaystyle\frac{1}{2}mv_0{}^2=\displaystyle\frac{1}{2}mv^2+mgr\)から\(v^2=v_0{}^2-2gr\)。次に点Bでの向心方向は水平で、その向きの力は垂直抗力\(N\)だけ。だから向心力の式\(N=\displaystyle\frac{mv^2}{r}\)。Step 4: 代入計算。\(v=\sqrt{v_0{}^2-2gr}\)。これを向心力の式に入れて\(N=\displaystyle\frac{m(v_0{}^2-2gr)}{r}=m\left(\displaystyle\frac{v_0{}^2}{r}-2g\right)\)。Step 5: 妥当性。点Bまで上がると速さは初速より遅くなる(\(v \lt v_0\))、と\(-2gr\)の符号が合っています。また初速が小さすぎると\(N\)が負になり、それは「点Bまで届かない」合図。式が物理の限界も教えてくれます。
📖 計算過程を1つずつ丁寧に見る
A→Bは高さ\(r\)の上昇。力学的エネルギー保存です。
$$\begin{aligned}
\displaystyle\frac{1}{2}mv_0{}^2 &= \displaystyle\frac{1}{2}mv^2 + mgr \\
v^2 &= v_0{}^2 – 2gr \\
v &= \sqrt{v_0{}^2-2gr}
\end{aligned}$$
点Bでは向心方向が水平で、その向きの力は垂直抗力だけです。
$$\begin{aligned}
N &= \displaystyle\frac{mv^2}{r} \\
N &= \displaystyle\frac{m(v_0{}^2-2gr)}{r} \\
N &= m\left(\displaystyle\frac{v_0{}^2}{r}-2g\right)
\end{aligned}$$
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 円運動の各点で「中心Oがどちら向きにあるか」で、重力が向心力に効くかどうかが決まります。真横の点Bでは重力は向心方向と直角で効かない、頂点や最下点では重力が向心方向に一直線に効く。点ごとに図でOの向きを確認する癖が、鉛直円運動を制する鍵です。
§2. 大問2 ─ 斜面をすべってばねを縮める(力学的エネルギー保存)
※ この大問の問題文・図は手元の答案/問題冊子を参照してください。設定: ともになめらかな斜面ABと水平面BCがつながっており、点Cにばね定数 \(50 \, \text{N}/\text{m}\) の長いばねがつけてある。水平面BCから \(2.5 \, \text{m}\) の高さの点Aに質量 \(2.0 \, \text{kg}\) の物体を置き、静かにすべり落とす。重力加速度は \(9.8 \, \text{m}/\text{s}^2\)、水平面BCを高さの基準にとる。
§2.1 力学的エネルギー(斜面上)
※ 手元プリント参照。問われていること: 点Aでの物体の力学的エネルギーは何Jか。与えられた量: 質量 \(2.0 \, \text{kg}\)、高さ \(2.5 \, \text{m}\)、静かに置く(初速ゼロ)。
答え: \(49 \, \text{J}\)。静かに置くので速さは \(0\) → 運動エネルギーは \(0\)。高さ \(2.5 \, \text{m}\) の位置エネルギー \(mgh=2.0\times9.8\times2.5=49 \, \text{J}\)。力学的エネルギーは「運動エネルギー+位置エネルギー」なので \(0+49=49 \, \text{J}\)。
▶ クリックして完全解説を開く ─ 思考のクセ診断つき
一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 「静かに置く」=その瞬間の速さは \(0\)、を読み飛ばしている。エネルギーは「いつの時点の」値かで変わる。まず時刻(点Aにいる瞬間)を固定してから式を立てるクセが必要。
診断: 運動エネルギー \(\displaystyle\frac{1}{2}mv^2\) の「\(\displaystyle\frac{1}{2}\)」を、別物である位置エネルギー \(mgh\) に持ち込んでいる。2つの式を混ぜず、それぞれの形を分けて覚える。
診断: どの数字が質量でどの数字が高さかを、単位をつけて確認していない。\(m\) は \(\text{kg}\)、\(h\) は \(\text{m}\)、と単位を書き添えれば取り違えは消える。
正しい思考プロセス
Step 1: 「点Aでの」=物体が点Aにいる瞬間、と時刻を固定する。Step 2: その瞬間、静かに置いたので速さは \(0\) → 運動エネルギーは \(0\) と確認する。Step 3: 位置エネルギーを求める。基準は水平面BCなので高さは \(2.5 \, \text{m}\)、\(mgh=2.0\times9.8\times2.5\)。Step 4: 計算して \(49 \, \text{J}\) を得る。Step 5: 力学的エネルギー=運動エネルギー+位置エネルギー \(=0+49=49 \, \text{J}\)。この \(49 \, \text{J}\) がこの後の問題で「もとの残高」として効いてくる、と意識しておく。
途中式を見る
$$\begin{aligned}
E &= \frac{1}{2}mv^2 + mgh \\
&= \frac{1}{2}\times2.0\times0^2 + 2.0\times9.8\times2.5 \\
&= 0 + 49 \\
&= 49 \, \text{J}
\end{aligned}$$
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 位置エネルギーは必ず「どこを高さの基準にするか」とセット。問題文の「水平面BCを基準」を最初に確認してから高さを読む習慣をつける。
§2.2 力学的エネルギー保存(水平面での速さ)
※ 手元プリント参照。問われていること: 水平面BCに達したときの物体の速さ \(v\) は何 \(\text{m}/\text{s}\) か。与えられた量: 斜面はなめらか、点Aでの力学的エネルギーは \(49 \, \text{J}\)、質量 \(2.0 \, \text{kg}\)。
答え: \(7.0 \, \text{m}/\text{s}\)。斜面はなめらかなので力学的エネルギーは保存する。点Aの \(49 \, \text{J}\) が水平面ではすべて運動エネルギーに変わる。\(\displaystyle\frac{1}{2}mv^2=49\) に \(m=2.0\) を入れて \(v^2=49\)、よって \(v=7.0 \, \text{m}/\text{s}\)。
▶ クリックして完全解説を開く ─ 思考のクセ診断つき
一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 水平面BCは高さの基準なので、そこでの位置エネルギーはゼロ。基準の場所では位置エネルギーが \(0\) になる、を式に反映できていない。基準を先に決めて、その場所での高さを \(0\) と書き込む。
診断: 運動エネルギーの公式 \(\displaystyle\frac{1}{2}mv^2\) の「\(\displaystyle\frac{1}{2}\)」を書き忘れている。公式は略さず丸ごと書いてから数を入れる。
診断: 平方根と「2で割る」を混同している。\(\sqrt{49}\) は「2乗して \(49\) になる数」なので \(7\)。求めた \(v\) を2乗して \(49\) に戻るか、最後に検算する。
正しい思考プロセス
Step 1: 使う法則を選ぶ。斜面がなめらか=摩擦の熱損失なし、なので力学的エネルギー保存。Step 2: 保存の式を立てる。点Aの力学的エネルギー \(49 \, \text{J}\)=水平面での力学的エネルギー。Step 3: 水平面は基準の高さなので位置エネルギーは \(0\)、力学的エネルギーは運動エネルギーだけ。\(\displaystyle\frac{1}{2}mv^2=49\)。Step 4: \(m=2.0\) を代入して \(\displaystyle\frac{1}{2}\times2.0\times v^2=49\)、整理すると \(v^2=49\)。Step 5: \(v=\sqrt{49}=7.0 \, \text{m}/\text{s}\)。2乗して \(49\) に戻ることを確かめて完了。
途中式を見る
$$\begin{aligned}
\frac{1}{2}mv^2 &= 49 \\
\frac{1}{2}\times2.0\times v^2 &= 49 \\
v^2 &= 49 \\
v &= 7.0 \, \text{m}/\text{s}
\end{aligned}$$
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 速さを求める式はたいてい \(v^2=\)(何か)の形になる。最後の平方根の一手を雑にしない。求めた値を2乗して戻すのが一番確実な検算。
§2.3 力学的エネルギー保存(ばねの最大の縮み)
※ 手元プリント参照。問われていること: 物体がばねに当たり、ばねを押し縮めていくとき、ばねの最大の縮み \(x\) は何 \(\text{m}\) か。与えられた量: ばね定数 \(50 \, \text{N}/\text{m}\)、水平面に達した時点の力学的エネルギー \(49 \, \text{J}\)。
答え: \(1.4 \, \text{m}\)。最大に縮んだ瞬間、物体は一瞬止まる(速さ \(0\))ので運動エネルギーは \(0\) になり、\(49 \, \text{J}\) はすべてばねの弾性エネルギーに変わる。\(\displaystyle\frac{1}{2}kx^2=49\) に \(k=50\) を入れて \(x^2=1.96\)、よって \(x=1.4 \, \text{m}\)。
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一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 「最大の縮み」の瞬間は、物体が押し返され始める折り返し点=速さが一瞬 \(0\)、という物理のイメージを持てていない。「最大」「最下点」「折り返し」は速さゼロの合図、と結びつけておく。
診断: 弾性エネルギー \(\displaystyle\frac{1}{2}kx^2\) の形を正確に覚えていない。2乗されるのは「縮み \(x\)」で、ばね定数 \(k\) は2乗しない。文字の役割を式の形とセットで固定する。
診断: 平方根の計算をあいまいにしている。\(1.4\) を2乗すると \(1.96\) になる、を確かめれば答えが確定する。求めた \(x\) を2乗して戻す検算を必ず入れる。
正しい思考プロセス
Step 1: 場面を絵にする。物体がばねに当たり、押し込み、いちばん縮んだところで折り返す。Step 2: その「いちばん縮んだ瞬間」に注目し、物体は一瞬止まる(速さ \(0\))と確認する → 運動エネルギーは \(0\)。Step 3: エネルギー保存を立てる。水平面での運動エネルギー \(49 \, \text{J}\) がすべて弾性エネルギーに移るので \(\displaystyle\frac{1}{2}kx^2=49\)。Step 4: \(k=50\) を代入して \(\displaystyle\frac{1}{2}\times50\times x^2=49\)、整理して \(x^2=1.96\)。Step 5: \(x=\sqrt{1.96}=1.4 \, \text{m}\)。\(1.4\) を2乗して \(1.96\) に戻ることを確かめて完了。
途中式を見る
$$\begin{aligned}
\frac{1}{2}kx^2 &= 49 \\
\frac{1}{2}\times50\times x^2 &= 49 \\
25x^2 &= 49 \\
x^2 &= 1.96 \\
x &= 1.4 \, \text{m}
\end{aligned}$$
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: エネルギーは「運動 → 位置 → 弾性」と何度でも姿を変えるが、なめらかな系では合計は変わらない。斜面の高さ \(→\) 水平面の速さ \(→\) ばねの縮み、と \(49 \, \text{J}\) が引っ越していく流れで一連の問題をつかむ。
§3. 大問3 ─ 振り子の実験でエネルギー保存を確かめる(記号選択)
※ この大問の問題文・図は手元の答案/問題冊子を参照してください。設定: 力学スタンドに取りつけた木片に糸を固定し、糸の他端に質量 \(0.50 \, \text{kg}\) のおもりをつける。糸が張った状態でおもりを点Aまで持ち上げ、静かに手をはなす。おもりが最下点Bを通過するときの速さを速さ測定器で測定する実験を考える。
§3.1 仕事の符号(張力と重力)
※ 手元プリント参照。問われていること: 点Bから点Aまで、糸が張った状態でおもりをゆっくり持ち上げるとき、糸の張力と重力がおもりにする仕事の符号の最も適当な組合せを①〜⑨から1つ選ぶ。選択肢は「糸の張力がする仕事/重力がする仕事」の組。
答え: ⑥(張力=\(0\)、重力=負)。おもりは円弧を描いて動くので、糸の張力はつねに運動の向き(円の接線方向)と直角 → 仕事は \(0\)。持ち上げるとおもりは上昇するので、下向きの重力は運動と逆向きの成分をもつ → 負の仕事。よって⑥。
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一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 「力の大きさ」だけを見て「向き」を見ていない。仕事は力と運動の向きが同じ向きの成分だけで決まる。張力は円の中心を向き、運動は接線方向なので、両者は直角=仕事ゼロ。絵に力と速度の矢印を描いて角度を確かめる習慣が要る。
診断: 「向きが逆=仕事ゼロ」と誤解している。運動と逆向きの力は、ゼロではなく負の仕事をする。重力に逆らって持ち上げた分、負の仕事として必ず現れる。
診断: それぞれの力について「運動の向きとの角度」を別々に判定していない。張力は接線と直角(=0)、重力は運動と逆向き(=負)、と1つずつ切り分ける。
正しい思考プロセス
Step 1: 仕事の符号のルールを思い出す。力と運動が同じ向きなら正、直角なら \(0\)、逆向きなら負。Step 2: おもりの運動を描く。糸が張ったまま円弧を描いて上がる。Step 3: 張力の向きを見る。糸に沿って円の中心を向く=運動の向き(接線)とつねに直角 → 仕事は \(0\)。Step 4: 重力の向きを見る。真下向き。持ち上げているので運動は上向き成分をもち、重力とは逆向き → 負の仕事。Step 5: 「張力 \(=0\)、重力 \(=\) 負」の組合せ⑥を選ぶ。番号を覚えるのではなく、力ごとに角度で判定して組み立てる。
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 仕事の符号は「力の向き」と「運動の向き」の角度で決まる。大きい・小さいや、上げる・下げるの印象ではなく、必ず2本の矢印の角度で判定する。
§3.2 実験・グラフ(横軸にとる変数)ア
※ 手元プリント参照。問われていること: 表1のデータをグラフにして力学的エネルギー保存が成立しているか確かめるとき、横軸にとる変数として最も適当なものを①〜③から選ぶ。選択肢は ①初めの高さ ②初めの高さの2乗 ③初めの高さの逆数。
| おもりの初めの高さ \((\text{m})\) | 最下点Bにおける速さ \((\text{m}/\text{s})\) |
| 0.05 | 0.98 |
| 0.10 | 1.38 |
| 0.15 | 1.68 |
| 0.20 | 1.92 |
答え: ①初めの高さ。力学的エネルギー保存 \(mgh=\displaystyle\frac{1}{2}mv^2\) を整理すると \(v^2=2gh\)。つまり \(v^2\) と \(h\) が比例する。横軸に \(h\)、縦軸に \(v^2\) をとれば原点を通る直線になり、保存を確かめられる。よって横軸は①。
▶ クリックして完全解説を開く ─ 思考のクセ診断つき
一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 比例するのは「\(h\) と \(v^2\)」なのに、2乗する対象を高さ側だと取り違えている。式 \(v^2=2gh\) を見れば、2乗がつくのは速さ側。どの量が比例関係にあるかを式から読む。
診断: 高さが増えれば速さも増える(増加どうし)のに、逆数(反比例)を持ち込んでいる。増える/減るの向きをデータで確認していない。表1で高さが増えると速さも増えているので反比例ではない。
診断: 答えは合っていても理由が「なんとなく」。直線になる根拠(\(v^2=2gh\) で \(v^2\) が \(h\) に比例)を言えて初めて正解。結果ではなく根拠を言葉にする。
正しい思考プロセス
Step 1: 何を確かめたいかを言葉にする。「最初の位置エネルギーが最下点で全部運動エネルギーになっているか」=力学的エネルギー保存。Step 2: 式で書く。\(mgh=\displaystyle\frac{1}{2}mv^2\)。Step 3: 両辺の \(m\) を消して整理する。\(gh=\displaystyle\frac{1}{2}v^2\) すなわち \(v^2=2gh\)。Step 4: この式は「\(v^2\) が \(h\) に比例」の形。比例を直線で見せるには横軸 \(h\)・縦軸 \(v^2\)。Step 5: よって横軸にとる変数は①初めの高さ。式を「\(y=(\)定数\()\times x\)」の形に直してから軸を決める。
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 物理では「そのままの量」より「2乗した量」が比例することが多い(速さより速さの2乗など)。式変形で2乗の位置を確かめてから軸を選ぶ。
§3.3 実験・グラフ(縦軸にとる変数)イ
※ 手元プリント参照。問われていること: 同じグラフの縦軸にとる変数として最も適当なものを④〜⑥から選ぶ。選択肢は ④最下点Bにおける速さ ⑤最下点Bにおける速さの2乗 ⑥最下点Bにおける速さの逆数。
答え: ⑤最下点Bにおける速さの2乗。\(v^2=2gh\) より、高さ \(h\) に比例するのは速さそのものではなく速さの2乗 \(v^2\)。実際、表1で \(h=0.05\) のとき \(v^2=0.98^2\approx0.96\)、\(h=0.20\) のとき \(v^2=1.92^2\approx3.69\) とほぼ4倍で、高さが4倍になると \(v^2\) も4倍=比例。よって縦軸は⑤。
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一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 測定した量と、グラフを直線にするためにとる量を混同している。\(v\) と \(h\) は比例せず、\(v\) を縦軸にとると曲線(放物線状)になって直線判定ができない。式 \(v^2=2gh\) の左辺の形(\(v^2\))をそのまま縦軸にする。
診断: 高さが増えると速さも増える関係なのに、逆数(反比例)を持ち込んでいる。逆数をとるのは「一方が増えると他方が減る」場面。データの増減の向きを見れば逆数でないと分かる。
診断: 横軸を \(h\) にした以上、直線にするには縦軸は \(h\) に比例する量=\(v^2\) でなければならない、という横軸・縦軸のセット意識がない。2つの軸は必ずペアで決める。
正しい思考プロセス
Step 1: アで整理した式 \(v^2=2gh\) を用意する。Step 2: 横軸を \(h\)(アで①)に決めたことを踏まえ、\(h\) に比例するのはどの量かを式で見る。左辺が \(v^2\) なので \(v^2\) が \(h\) に比例。Step 3: よって縦軸は速さの2乗=⑤。Step 4: データで裏づける。\(h\) が \(0.05\to0.20\) と4倍のとき、\(v^2\) は \(0.96\to3.69\) とやはり約4倍。Step 5: 比例が確認できるので縦軸⑤で正しい。式の形と実データの両方で確かめる。
データで比例を確かめる
高さ \(0.05 \, \text{m}\) のとき、
$$\begin{aligned}
v^2 &= 0.98^2 \\ &\approx 0.96
\end{aligned}$$
高さ \(0.20 \, \text{m}\) のとき、
$$\begin{aligned}
v^2 &= 1.92^2 \\ &\approx 3.69
\end{aligned}$$
高さは \(0.05\to0.20\) で4倍。速さの2乗の比は
$$\begin{aligned}
\displaystyle\frac{3.69}{0.96} &\approx 3.8 \\ &\approx 4
\end{aligned}$$
となり、やはり約4倍。高さ4倍で速さの2乗も4倍=比例が確かめられる。
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 式だけでなく実データでも「何倍で何倍か」を確かめると、選んだ軸が正しいか二重にチェックできる。高さ4倍で速さの2乗も4倍、が比例の証拠。
§3.4 実験・グラフ(グラフの形状・保存の検証)ウ
※ 手元プリント参照。問われていること: 横軸を初めの高さ、縦軸を最下点の速さの2乗にとったとき、力学的エネルギー保存が成立していると考えられるグラフの形として最も適当なものを⑦〜⑨から選ぶ。選択肢は ⑦横ばい(水平な直線)⑧原点を通り右上がりの直線 ⑨右下がりの直線。
答え: ⑧原点を通り右上がりの直線。\(v^2=2gh\) は「\(v^2\) が \(h\) に比例」する関係なので、横軸 \(h\)・縦軸 \(v^2\) のグラフは原点を通る右上がりの直線になる。この直線が得られれば力学的エネルギー保存が成立していると言える。よって⑧。
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一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 縦軸に何をとったか(\(v^2\) なのか \(v\) なのか)と、グラフの形が対応していない。縦軸が \(v\) なら曲線、\(v^2\) なら直線。軸の選択とグラフの形はセットで判断する。ここでは縦軸 \(v^2\) だから直線でよい。
診断: 「高さが増えると速さの2乗も増える」=右上がり、なのに右下がりにしている。比例なら右上がり、反比例なら右下がり(曲線)。増減の向きを式とデータで確認する。表1でも高さが増えると \(v^2\) は増えている。
診断: 「保存」を「値が一定」と誤解している。保存されるのは力学的エネルギーの合計であって、速さの2乗は高さに応じて変わる。\(v^2=2gh\) は \(h\) が変われば \(v^2\) も変わる比例式で、横ばいにはならない。
正しい思考プロセス
Step 1: アイの結論を確認する。横軸 \(h\)、縦軸 \(v^2\)。Step 2: 両者の関係式 \(v^2=2gh\) を「\(y=(\)定数\()\times x\)」と読む。\(y=v^2\)、\(x=h\)、傾き \(2g\)。Step 3: この形は原点を通る直線(\(h=0\) なら \(v^2=0\))で、傾きが正なので右上がり。Step 4: よってグラフの形は⑧原点を通り右上がりの直線。Step 5: 実測点がこの直線にきれいに乗れば、位置エネルギーが過不足なく運動エネルギーに変わった=力学的エネルギー保存が成立、と結論できる。
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: グラフの形には意味がある。原点を通る直線は比例、水平な直線は一定、右下がりは減少(反比例なら曲線)。式を「\(y=\)(定数)\(\times x\)」の形に直せば、形は自動的に決まる。
§4. 大問4 ─ 円錐振り子(回転する立場での力のつり合い)
※ この大問の問題文・図は手元の答案/問題冊子を参照してください。設定: 軽い糸の上端を固定し、下端につるした質量 \(m\) の小球を水平面内で半径 \(r\) で等速円運動させる。糸が鉛直方向となす角を \(\theta\)、重力加速度の大きさを \(g\) とする。問いには、小球とともに回転する立場(円錐振り子)で答える。
§4.1 円錐振り子(力のつり合いの式)
※ 手元プリント参照。問われていること: 糸が小球を引く力の大きさを \(S\)、角速度を \(\omega\) として、水平方向と鉛直方向について小球にはたらく力のつり合いの式をそれぞれ立てる。
答え: 水平方向 \(S\sin\theta=mr\omega^2\)、鉛直方向 \(S\cos\theta=mg\)。小球とともに回転する立場では外向きに遠心力 \(mr\omega^2\) がはたらく。糸の張力 \(S\) を水平成分(中心向き \(S\sin\theta\))と鉛直成分(上向き \(S\cos\theta\))に分け、それぞれ遠心力・重力とつり合わせます。
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一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 角度 \(\theta\) は「糸が鉛直方向となす角」。鉛直軸に隣り合う成分(=鉛直成分)が \(S\cos\theta\)、鉛直軸から離れる成分(=水平成分)が \(S\sin\theta\)。「どの軸から測った角か」を確認せずに機械的に当てはめるクセです。糸・鉛直線・水平成分でできる直角三角形を毎回かいて、\(\theta\) に隣り合う辺が \(\cos\) と確かめる習慣が処方箋です。
診断: 遠心力(向心力)の大きさは \(mr\omega^2\)(速さで書くなら \(\displaystyle\frac{mv^2}{r}\))。\(\omega\) の2乗を落としたり、\(v^2\) をそのまま置いて半径 \(r\) で割り忘れたりするクセです。円運動の加速度は \(r\omega^2\)(=\(\displaystyle\frac{v^2}{r}\))と、まず加速度の形を正しく思い出してから質量 \(m\) を掛ける、という順番にすると崩れません。
診断: 立場を1つに決めきれていないクセです。回転する立場に立つなら「遠心力(外向き)と張力の水平成分(内向き)がつり合う」でつり合いの式になり、地面の立場に立つなら「張力の水平成分が向心力になって加速度を生む」で運動方程式になります。どちらも中身は同じですが、今回は「回転する立場で答える」と指定されているので、外向きに遠心力を描いてつり合いにする、と立場を固定します。
正しい思考プロセス
Step 1: 立場を決める。問題文の指定どおり「小球とともに回転する立場」に立つ。この立場では、実際の力(張力 \(S\)・重力 \(mg\))に加えて、外向きの遠心力 \(mr\omega^2\) を描き込みます。
Step 2: 力を全部かき出す。糸の張力 \(S\)(糸に沿って上向き・鉛直から \(\theta\) 傾く)、重力 \(mg\)(真下)、遠心力 \(mr\omega^2\)(円の中心から外向き・水平)。この3つです。
Step 3: 張力を成分に分ける。鉛直となす角が \(\theta\) なので、鉛直成分は \(S\cos\theta\)(上向き)、水平成分は \(S\sin\theta\)(中心向き)。
Step 4: 水平方向のつり合い。中心向きの張力の水平成分と、外向きの遠心力がつり合うので \(S\sin\theta=mr\omega^2\)。
Step 5: 鉛直方向のつり合い。上向きの張力の鉛直成分が重力を支えるので \(S\cos\theta=mg\)。番号を覚えるのではなく、「立場を決める→力をかき出す→分解→水平・鉛直で並べる」の順番で毎回作れることが大事です。
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 成分分解の \(\sin\)・\(\cos\) は「どの軸から測った角か」だけで決まります。鉛直から測った角なら鉛直成分が \(\cos\)。角の基準を言葉で確認してから三角比を当てる癖が、あらゆる力の分解で効きます。
§4.2 円錐振り子(張力 \(S\)・角速度 \(\omega\))
※ 手元プリント参照。問われていること: 糸が小球を引く力の大きさ \(S\)、角速度 \(\omega\) を求める。
答え: \(S=\displaystyle\frac{mg}{\cos\theta}\)、\(\omega=\sqrt{\displaystyle\frac{g\tan\theta}{r}}\)。§4.1の鉛直式 \(S\cos\theta=mg\) から \(S\) が出て、水平式を鉛直式で割ると \(\omega\) が出ます。新しい発想はいらず、2式を組み合わせるだけです。
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一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: \(S\) を \(m,g,\theta\) だけできれいに出したいなら、\(\omega\) を含まない鉛直式 \(S\cos\theta=mg\) を選ぶのが最短です。どの式に未知数 \(\omega\) が入っていて、どの式なら知りたい文字だけで解けるかを見比べていないクセ。まず「求めたい文字と、すでに分かっている文字だけで書けている式はどれか」を探す一手を入れましょう。
診断: 2式を割って出るのは \(\omega^2=\displaystyle\frac{g\tan\theta}{r}\)。ここで2乗を外し忘れるクセです。\(\omega\) を求めよ、と言われたら、\(\omega^2\) が出た時点で「まだ2乗のままだ、平方根をとる一手が残っている」と声に出して確認すると防げます。
診断: 「水平式を鉛直式で割る」のか「鉛直式を水平式で割る」のかを決めずに手を動かしているクセ。\(\displaystyle\frac{S\sin\theta}{S\cos\theta}=\displaystyle\frac{mr\omega^2}{mg}\) と、左辺・右辺それぞれ同じ順で割ると \(\tan\theta=\displaystyle\frac{r\omega^2}{g}\) が正しく出ます。割り算は「上に来るのはどちらの式か」を先に宣言してから実行しましょう。
正しい思考プロセス
Step 1: 使う式をそろえる。§4.1の水平式 \(S\sin\theta=mr\omega^2\) と鉛直式 \(S\cos\theta=mg\)。
Step 2: \(S\) を求める。\(\omega\) を含まない鉛直式を選び、\(S\) について解いて \(S=\displaystyle\frac{mg}{\cos\theta}\)。
Step 3: \(\omega\) を出す準備として、水平式を鉛直式で割る。左辺は \(\displaystyle\frac{S\sin\theta}{S\cos\theta}=\tan\theta\)、右辺は \(\displaystyle\frac{mr\omega^2}{mg}=\displaystyle\frac{r\omega^2}{g}\)。共通の \(S\) と \(m\) が消えるのがねらいです。
Step 4: 等号でつなぐ。\(\tan\theta=\displaystyle\frac{r\omega^2}{g}\)。これを \(\omega^2\) について解いて \(\omega^2=\displaystyle\frac{g\tan\theta}{r}\)。
Step 5: 平方根をとる。\(\omega=\sqrt{\displaystyle\frac{g\tan\theta}{r}}\)。2乗のまま止めないことが最後の関門です。下のDC-09で1行ずつ追いましょう。
📖 計算過程を1つずつ丁寧に見る
鉛直式を \(S\) について解きます。
$$\begin{aligned}
S\cos\theta &= mg \\
S &= \displaystyle\frac{mg}{\cos\theta}
\end{aligned}$$
水平式を鉛直式で割り、\(S\) と \(m\) を消します。
$$\begin{aligned}
\displaystyle\frac{S\sin\theta}{S\cos\theta} &= \displaystyle\frac{mr\omega^2}{mg} \\
\tan\theta &= \displaystyle\frac{r\omega^2}{g}
\end{aligned}$$
\(\omega^2\) について解き、最後に平方根をとります。
$$\begin{aligned}
\omega^2 &= \displaystyle\frac{g\tan\theta}{r} \\
\omega &= \sqrt{\displaystyle\frac{g\tan\theta}{r}}
\end{aligned}$$
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 「\(\omega\) を求めよ」で式から出るのはたいてい \(\omega^2\)。2乗の量が出たら平方根をとる一手が残っている、と身構える癖が、円運動・単振動を通じてずっと効きます。
§5. 大問5 ─ 斜面・ばね・摩擦(2023 共通テスト物理基礎)
※ この大問の問題文・図は手元の答案/問題冊子を参照してください。設定: なめらかな斜面となめらかな水平面の上で小物体をすべらせ、一端が壁に固定されたばねに衝突させる(図1)。まず、水平面からの高さ \(h\) の位置に小物体を置き初速度 \(0\) ですべらせると、ばねが自然の長さから \(a\) だけ縮んだところで小物体の速度が \(0\) になった。
§5.1 力学的エネルギー保存(ばね・高さ \(2h\))
※ 手元プリント参照。問われていること: 高さ \(2h\) の位置から初速度 \(0\) ですべらせたとき、ばねが自然の長さから縮んだ長さ \(d\) を表す式を、①\(a\) ②\(\sqrt{2}\,a\) ③\(2a\) ④\(4a\) から1つ選ぶ。
答え: ② \(\sqrt{2}\,a\)。力学的エネルギー保存で「重力による位置エネルギー=ばねにたくわえられるエネルギー」。高さが \(2\) 倍でエネルギーも \(2\) 倍になりますが、ばねのエネルギーは縮みの2乗に比例するので、縮みは \(\sqrt{2}\) 倍にしかなりません。
▶ クリックして完全解説を開く ─ 思考のクセ診断つき
一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 「入力が2倍なら出力も2倍」という比例のイメージを、2乗が絡む量にまで当てはめてしまうクセです。ばねのエネルギーは \(\displaystyle\frac{1}{2}kx^2\) と縮み \(x\) の2乗に比例します。エネルギーが2倍でも、2乗して2倍になる縮みは \(\sqrt{2}\) 倍。「2乗に比例する量は、比例では動かない」と最初に旗を立てるのが処方箋です。
診断: エネルギー比 \(2\) を、縮みの比にそのまま2乗して当てはめてしまうクセです。関係は逆で、エネルギー比が \(2\)、縮みの比を \(k\) とすると \(k^2=2\)、つまり \(k=\sqrt{2}\)。2乗するのはエネルギー側ではなく縮み側、という向きを式で確認しましょう。
診断: 条件が変わったのに、変化を数式に翻訳していないクセです。高さ \(h\) のとき \(mgh=\displaystyle\frac{1}{2}ka^2\)、高さ \(2h\) のとき \(mg(2h)=\displaystyle\frac{1}{2}kd^2\)、と2つの場面を式で並べれば、両者を割るだけで縮みの比が出ます。まず「2つの場面の保存則を書き並べる」一手を必ず入れましょう。
正しい思考プロセス
Step 1: 保存則を確認する。斜面もばねまでの床もなめらかなので、重力による位置エネルギーがまるごとばねのエネルギーに変わる。
Step 2: 高さ \(h\) の場面を式にする。\(mgh=\displaystyle\frac{1}{2}ka^2\)。
Step 3: 高さ \(2h\) の場面を式にする。縮みを \(d\) として \(mg(2h)=\displaystyle\frac{1}{2}kd^2\)。
Step 4: 2式を割って共通の \(m,g,h,k\) を消す。\(\displaystyle\frac{2h}{h}=\displaystyle\frac{d^2}{a^2}\)、すなわち \(2=\displaystyle\frac{d^2}{a^2}\)。
Step 5: \(d\) について解く。\(d^2=2a^2\) より \(d=\sqrt{2}\,a\)。②を選びます。「エネルギーは縮みの2乗に比例」を式で使えたかが分かれ道です。
📖 計算過程を1つずつ丁寧に見る
2つの場面の力学的エネルギー保存を書き並べます。
$$\begin{aligned}
mgh &= \displaystyle\frac{1}{2}ka^2 \\
mg(2h) &= \displaystyle\frac{1}{2}kd^2
\end{aligned}$$
下の式を上の式で割り、共通因子を消します。
$$\begin{aligned}
\displaystyle\frac{2h}{h} &= \displaystyle\frac{d^2}{a^2} \\
2 &= \displaystyle\frac{d^2}{a^2}
\end{aligned}$$
\(d\) について解きます。
$$\begin{aligned}
d^2 &= 2a^2 \\
d &= \sqrt{2}\,a
\end{aligned}$$
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 条件だけ変えて同じ現象をもう一度起こす問題は、「2つの場面の保存則を書き並べて割る」が定石。割ると共通の定数(ばね定数や質量)が消えて、知りたい量の比だけが残ります。
§5.2 摩擦のある運動(\(v\)-\(t\) グラフ)
※ 手元プリント参照。問われていること: なめらかな斜面を高さ \(h\) から初速度 \(0\) ですべり、あらい水平面上をすべって停止する(図2)。あらい水平面上をすべり始めた時刻を \(0\) として、小物体の速さ \(v\) と時刻 \(t\) の関係を、①上に凸で減少する曲線 ②下に凸で減少する曲線 ③一定(長方形) ④\(0\) でない高さから直線的に減少(右下がりの直線)から1つ選ぶ。
答え: ④。あらい水平面では大きさの一定な動摩擦力がはたらき、一定の割合で減速する等加速度運動になります。速さは時刻の1次関数なので、右下がりの直線を選びます。
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一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 「摩擦は速いほど強い」と思い込んでいるクセです。動摩擦力は速さによらず大きさが一定(\(\mu’ N\))。力が一定なら加速度も一定で、速さは同じ傾きでまっすぐ減ります。曲がる(=加速度が変化する)には力が変化する理由が必要で、ここにはそれがありません。「力が一定か、変化するか」をまず問う癖をつけましょう。
診断: こちらも「摩擦力が途中で変わる」と暗に仮定してしまうクセです。①②のような曲線になるのは、空気抵抗のように速さに応じて力が変わる場合。乾いた床の動摩擦は速さに関係なく一定なので、グラフは必ず直線になります。「曲線=力が変化」「直線=力が一定」の対応を絵で持っておきましょう。
診断: 「なめらかな水平面では等速」の知識を、あらい水平面にそのまま流用してしまうクセです。あらい=摩擦ありなので、水平でも減速します。摩擦の有無で結論が正反対になるので、「なめらか/あらい」を読んだ瞬間に色分けする習慣が処方箋です。
正しい思考プロセス
Step 1: どんな力がはたらくかを確認する。あらい水平面上では、進行方向と逆向きに動摩擦力がはたらく。
Step 2: その力が一定か変化するかを判断する。動摩擦力 \(\mu’ N\) は速さによらず一定(面が水平なので垂直抗力 \(N\) も一定)。
Step 3: 力が一定なら加速度も一定、と結ぶ。運動方程式より、一定の力は一定の(負の)加速度を生む。
Step 4: 速さと時刻の関係を書く。等加速度運動なので \(v=v_0-(\text{一定})\times t\)、これは右下がりの直線。
Step 5: グラフを選ぶ。\(t=0\) で速さは \(0\) でない値からスタートし、まっすぐ減って \(0\) になる④。「一定の力→一定の加速度→速さは直線」の連鎖を絵で描けたかが勝負です。
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 「なめらか」「あらい」という一語が結論を正反対にします。問題文の摩擦の有無を読んだ瞬間に、等速か減速かの見当をつける。言葉の条件を運動の様子に翻訳する練習が、グラフ選択でも計算問題でも効きます。
§5.3 力学的エネルギーと摩擦(すべる距離)
※ 手元プリント参照。問われていること: 図2の装置で、高さ \(2h\) の位置から初速度 \(0\) ですべらせたとき、小物体が停止するまでにあらい水平面上をすべった距離を、①\(L\) ②\(\sqrt{2}\,L\) ③\(2L\) ④\(4L\) から1つ選ぶ(高さ \(h\) のときの距離を \(L\) とする)。
答え: ③ \(2L\)。はじめにもっていた重力による位置エネルギーが、すべて動摩擦力のした仕事で消費されます。摩擦の仕事は「一定の摩擦力×距離」なので、エネルギーが2倍なら距離も2倍。高さと距離は比例します。
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一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 「高さ2倍→ルート2倍」を、条件を確かめずにこの問題にも流用するクセです。ばねのエネルギーは縮みの2乗に比例するのでルートが出ましたが、摩擦の仕事は「摩擦力×距離」と距離の1乗に比例します。相手が距離の何乗かが違うので結論も変わる。「今回のエネルギーは距離の何乗か」を毎回問い直しましょう。
診断: エネルギー比 \(2\) を距離の比に2乗で当てはめてしまうクセです。摩擦の仕事は距離の1乗比例なので、エネルギー比 \(2\) はそのまま距離比 \(2\)。2乗する必要はありません。ここでも「距離の1乗か2乗か」の確認が効きます。
診断: 「摩擦力が一定なら止まる距離も一定」と早合点するクセです。摩擦力は一定でも、たくわえて始めるエネルギーが増えれば、それを使い切るまでの距離は伸びます。エネルギーが2倍なら、同じ力で消費するのに2倍の距離が必要。「入力エネルギー→消費距離」のつながりを式で追いましょう。
正しい思考プロセス
Step 1: エネルギーの収支を立てる。はじめの重力による位置エネルギーが、すべて動摩擦力の仕事で消える。
Step 2: 高さ \(h\) の場面を式にする。摩擦力を \(\mu’ mg\)、距離を \(L\) として \(mgh=\mu’ mg\,L\)。ここから \(L=\displaystyle\frac{h}{\mu’}\)。
Step 3: 高さ \(2h\) の場面を式にする。距離を \(x\) として \(mg(2h)=\mu’ mg\,x\)、すなわち \(x=\displaystyle\frac{2h}{\mu’}\)。
Step 4: 2つを比べる。\(\displaystyle\frac{x}{L}=\displaystyle\frac{2h/\mu’}{h/\mu’}=2\)。距離は高さに比例しています。
Step 5: 距離を答える。\(x=2L\)。③を選びます。ばねの縮み(2乗比例=§5.1)と摩擦の距離(1乗比例=本問)を混同しないことが最大のポイントです。
📖 計算過程を1つずつ丁寧に見る
2つの場面のエネルギー収支を書き並べます。
$$\begin{aligned}
mgh &= \mu’ mg\,L \\
mg(2h) &= \mu’ mg\,x
\end{aligned}$$
下の式を上の式で割り、共通因子を消します。
$$\begin{aligned}
\displaystyle\frac{2h}{h} &= \displaystyle\frac{x}{L} \\
2 &= \displaystyle\frac{x}{L}
\end{aligned}$$
距離 \(x\) について解きます。
$$\begin{aligned}
x &= 2L
\end{aligned}$$
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 同じ「高さ2倍」でも、ばねの縮みは \(\sqrt{2}\) 倍、摩擦の距離は \(2\) 倍と答えが変わります。公式の暗記ではなく「エネルギーがどの量の何乗に化けるか」を式で追う癖が、見た目のそっくりな問題を取り違えない盾になります。
§6. 大問6 ─ 円筒面をすべる小物体(2018 センター物理)
※ この大問の問題文・図は手元の答案/問題冊子を参照してください。設定: 摩擦がない曲面と、点Oを中心とする半径 \(r\) の円筒面が点Aでなめらかにつながっている。点Aは円筒面の頂点(点Oの真上、水平面からの高さ \(r\))で、点Aでの速度は水平向き。水平面から高さ \(h\) の曲面上の点で質量 \(m\) の小物体を静かにはなすと、曲面上をすべり落ち、速さ \(v\) で点Aを通過する。重力加速度を \(g\) とする。
§6.1 力学的エネルギー保存(円筒面での速さ)
※ 手元プリント参照。問われていること: 点Aを通過するときの速さ \(v\) を表す式を、①\(\sqrt{gh}\) ②\(\sqrt{g(h-r)}\) ③\(\sqrt{g(h+r)}\) ④\(\sqrt{2gh}\) ⑤\(\sqrt{2g(h-r)}\) ⑥\(\sqrt{2g(h+r)}\) から1つ選ぶ。
答え: ⑤ \(\sqrt{2g(h-r)}\)。曲面はなめらかなので力学的エネルギーが保存します。出発点の高さは \(h\)、点Aの高さは \(r\) なので、実際に下がった高さは \(h-r\)。この分の位置エネルギーが運動エネルギーに変わります。
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一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 「はなした高さ \(h\)」をそのまま落下量だと思い込むクセです。点Aは地面ではなく、地面から \(r\) の高さにあります。位置エネルギーの変化は「出発の高さ − 到達の高さ」=\(h-r\)。図の中で点Aの高さがどこかを指さして確認する一手が処方箋です。
診断: 運動エネルギー \(\displaystyle\frac{1}{2}mv^2\) の \(\displaystyle\frac{1}{2}\) を書き忘れるクセです。\(\displaystyle\frac{1}{2}mv^2=mg(h-r)\) の両辺から \(m\) を消し、\(v^2\) について解くと \(v^2=2g(h-r)\) と2が現れます。\(\displaystyle\frac{1}{2}\) を右に移すと2倍になる、という操作を丁寧にたどりましょう。
診断: 点Aの高さ \(r\) を、引くべきところで足してしまうクセです。小物体は高い所(\(h\))から低い所(\(r\))へ下るので、落差は差の \(h-r\)。和 \(h+r\) になるのは基準の取り方を取り違えたときです。「高い方から低い方を引く」と口に出して確認しましょう。
正しい思考プロセス
Step 1: 使う法則を決める。曲面はなめらか(摩擦なし)なので力学的エネルギー保存が使える。
Step 2: 高さの基準を決めて、出発点と点Aの高さを読む。出発点は \(h\)、点Aは \(r\)。
Step 3: 落差を出す。下がった高さは \(h-r\)。
Step 4: 保存則を書く。減った位置エネルギー \(mg(h-r)\) が運動エネルギー \(\displaystyle\frac{1}{2}mv^2\) になる。\(\displaystyle\frac{1}{2}mv^2=mg(h-r)\)。
Step 5: \(v\) について解く。両辺の \(m\) を消して \(v^2=2g(h-r)\)、平方根をとって \(v=\sqrt{2g(h-r)}\)。⑤を選びます。「点Aは地面でなく高さ \(r\)」を図で確認できたかが決め手です。
📖 計算過程を1つずつ丁寧に見る
力学的エネルギー保存を書きます。落差は \(h-r\) です。
$$\begin{aligned}
\displaystyle\frac{1}{2}mv^2 &= mg(h-r)
\end{aligned}$$
両辺から \(m\) を消し、\(v^2\) について解きます。
$$\begin{aligned}
v^2 &= 2g(h-r)
\end{aligned}$$
平方根をとります。
$$\begin{aligned}
v &= \sqrt{2g(h-r)}
\end{aligned}$$
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 「速さを求めよ」の保存則からはたいてい \(v^2\) が出て、\(\displaystyle\frac{1}{2}\) を移すと2倍になります。答えの根号の中に2が入るかどうかは、\(\displaystyle\frac{1}{2}mv^2\) の \(\displaystyle\frac{1}{2}\) の扱いで決まる、と身構えておくと符号や係数の取りこぼしを防げます。
§6.2 鉛直円運動(面から離れる条件)
※ 手元プリント参照。問われていること: はなす高さ \(h\) を徐々に大きくすると、ある高さで初めて小物体が点Aで面から離れて空中に飛び出した。このときの点Aでの速さ \(v\) を、①\(\displaystyle\frac{\sqrt{gr}}{2}\) ②\(\sqrt{\displaystyle\frac{gr}{2}}\) ③\(\sqrt{\displaystyle\frac{2gr}{3}}\) ④\(\sqrt{gr}\) ⑤\(\sqrt{\displaystyle\frac{3gr}{2}}\) ⑥\(2\sqrt{gr}\) から1つ選ぶ。
答え: ④ \(\sqrt{gr}\)。「面から離れる」=面が小物体を押す力(垂直抗力)\(N\) が \(0\) になる瞬間。点A(頂点)では中心Oが真下にあるので、向心方向は鉛直下向き。\(N=0\) のときは重力だけが向心力を担い、\(mg=\displaystyle\frac{mv^2}{r}\) から \(v=\sqrt{gr}\)。
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一見の罠 ─ ほとんどの人がこう考える
診断: 「離れる=垂直抗力 \(N=0\)」という言い換えができていないクセです。面に接している間は面が押す力 \(N\) がありますが、離れる瞬間はその力がちょうど \(0\) になります。日本語の条件を「\(N=0\)」という式の一行に翻訳する。この翻訳が円運動の山場です。
診断: 円運動の向心力 \(\displaystyle\frac{mv^2}{r}\) を、運動エネルギー \(\displaystyle\frac{1}{2}mv^2\) と混同して \(\displaystyle\frac{1}{2}\) を持ち込むクセです。向心力(向心方向の運動方程式)には \(\displaystyle\frac{1}{2}\) はつきません。\(mg=\displaystyle\frac{mv^2}{r}\) をそのまま解くと \(v^2=gr\) で、根号の中に係数は出ません。エネルギーの式と力の式を混ぜないよう分けて書きましょう。
診断: 頂点で中心Oがどちら向きかを図で確認していないクセです。点Aは円の頂点で中心Oは真下、つまり向心方向は下向き。下向きにはたらくのは重力 \(mg\) と、面が上側から押す垂直抗力 \(N\) の両方(どちらも中心へ向かう)で、\(mg+N=\displaystyle\frac{mv^2}{r}\)。ここで \(N=0\) を代入すれば \(mg=\displaystyle\frac{mv^2}{r}\)。まず中心の向きを矢印で描くのが処方箋です。
正しい思考プロセス
Step 1: 条件を数式に翻訳する。「点Aで初めて面から離れる」=点Aで垂直抗力 \(N=0\)。
Step 2: 点Aでの向心方向を確認する。点Aは円筒面の頂点で中心Oが真下なので、向心方向は鉛直下向き。
Step 3: 向心方向の運動方程式を書く。下向き(中心向き)にはたらく力は重力 \(mg\) と垂直抗力 \(N\) で、\(mg+N=\displaystyle\frac{mv^2}{r}\)。
Step 4: 離れる条件 \(N=0\) を代入する。\(mg=\displaystyle\frac{mv^2}{r}\)。
Step 5: \(v\) について解く。両辺の \(m\) を消して \(v^2=gr\)、平方根をとって \(v=\sqrt{gr}\)。④を選びます。「離れる=垂直抗力 \(0\)」の翻訳ができたかがすべてです。
📖 計算過程を1つずつ丁寧に見る
点A(頂点)での向心方向の運動方程式を書きます。中心は真下です。
$$\begin{aligned}
mg+N &= \displaystyle\frac{mv^2}{r}
\end{aligned}$$
面から離れる条件 \(N=0\) を代入します。
$$\begin{aligned}
mg &= \displaystyle\frac{mv^2}{r}
\end{aligned}$$
両辺の \(m\) を消し、\(v\) について解きます。
$$\begin{aligned}
v^2 &= gr \\
v &= \sqrt{gr}
\end{aligned}$$
この問題が教えてくれること ─ 一般化
波及②: 円運動では「向心方向の運動方程式(力=\(\displaystyle\frac{mv^2}{r}\))」と「エネルギー保存」を役割で分けて使います。速さと高さを結ぶのはエネルギー保存、離れる条件を出すのは向心方向の運動方程式。どちらの道具を使う場面かを見分けられると、鉛直円運動が一気に整理できます。
§7. テスト全体の振り返り ─ 5大「思考のクセ」処方箋
ここまでの34問を通して、失点の裏にある「思考のクセ」は大きく5つに整理できます。自分がどのクセで落としたかを確かめ、次のテストで直す1つを決めましょう。
§7.1 クセ①:公式に飛びつくクセ(保存する/しないの見極め)
症状: どの法則を使うか考える前に、覚えている式へ数値を入れてしまう。
典型的な現れ: §1.15(摩擦があるのに力学的エネルギー保存で済ませようとする)/§5.1(エネルギーは縮みの2乗に比例するのに、高さが2倍だから縮みも2倍と早合点する)/§2.3(ばねの最大の縮みで物体はまだ動いていると思い込む)。
診断: 「この現象では何が保存し、何が保存しないか」を最初に判定していない。
処方箋: 立式の前に「なめらか(保存する)/あらい・摩擦あり(保存しない)」を声に出して仕分ける。エネルギーは「縮みや速さの2乗」に比例する量だと意識し、単純な比例と混同しない。
§7.2 クセ②:仕事の「向き・符号」を後回しにするクセ
症状: 大きさは合っているのに、仕事の正負・向きで点を落とす。
典型的な現れ: §1.2(力と移動が逆向きなのに負号を落とす)/§1.3(力と移動が垂直なら仕事は0)/§3.1(張力は運動に垂直で0、重力は上昇に対して負)。
診断: 「力の向きと、動いた向きのなす角度」で仕事の符号が決まることを絵で確認していない。
処方箋: 仕事を計算する前に、力の矢印と移動の矢印を並べて描く。同じ向きなら正、逆向きなら負、垂直なら0、と角度で判断してから式にする。
§7.3 クセ③:力の分解と角度を雑にするクセ(斜面・円錐振り子)
症状: 斜めの力・斜めの糸で、\(\sin\) と \(\cos\) を取り違える、分解を忘れる。
典型的な現れ: §1.4(斜面上で重力のする仕事=鉛直の落下分だけ)/§4.1(円錐振り子で糸の張力を水平成分 \(S\sin\theta\) と鉛直成分 \(S\cos\theta\) に分ける)。
診断: 図に成分の矢印を描かず、頭の中だけで \(\sin\) / \(\cos\) を決めている。
処方箋: 斜めの力は必ず図に直角三角形を描き足す。角度がどこにあるかを図で確定してから、その角に対して \(\sin\)・\(\cos\) のどちらが対応するかを決める。
§7.4 クセ④:「誰から見た」を忘れるクセ(向心力・遠心力・回転する立場)
症状: 円運動で、向心力を新しい力だと思ったり、遠心力を実在の力として二重に足したりする。
典型的な現れ: §1.19(回転する立場では遠心力と静止摩擦がつりあう)/§4.1(回転する立場での力のつり合い)/§1.20・§6.2(向心方向がどちらを向いているか)。
診断: 「今、地面から見ているのか、回転する物体とともに見ているのか」を決めないまま式を書いている。
処方箋: 円運動の問題は、まず「どちらの立場で書くか」を1つに固定する。回転する立場なら遠心力を足して力のつり合い、地面の立場なら向心力=中心向きの合力、と決めてから立式する。
§7.5 クセ⑤:文字・記号で答える問題に手が止まるクセ
症状: 数値なら解けるのに、\(m\)・\(M\)・\(g\) などの文字だけ、あるいは記号選択になると立式で固まる。
典型的な現れ: §1.13・§1.14(文字式で表を埋め、保存則の式を立てる)/§4.2(\(S\)・\(\omega\) を文字で表す)/§5・§6(式を自分で立ててから選択肢を選ぶ)。
診断: 「数値が来たら計算する」練習にかたより、文字のまま最後まで運ぶ経験や、式を立ててから選択肢と照らす手順が足りない。
処方箋: 文字式でも数値問題とまったく同じ手順で進める。記号選択は、選択肢を眺める前に自分で式を立て、その式と一致する選択肢を選ぶ。約分で消える文字に注目すると、文字式こそ式の構造が見えると体感できる。
§7.6 自分のクセを1つに絞ろう
間違えた設問の番号を、上の①〜⑤に振り分けてみてください。一番多かったクセが、いまのあなたの伸びしろです。それを1つだけ、次のテストの合言葉にしましょう。「1つに絞る」のが、確実に直すコツです。
§8. このテストの得点分布・出題傾向分析(採点データ 全12名)
ここからは、クラス全体の採点結果を数字で振り返ります。個人の点数や誰がどうだったかは一切扱いません。「クラスとしてどこが取れて・どこでつまずいたか」を見て、次のテストの復習の優先順位を決めるためのセクションです。
読むときの注意:このクラスは受験者12名です。人数が少ないため、1人の増減でも割合(%)が大きく動きます。数字は「大まかな傾向」として読み、細かい%の差はあまり気にしないでください。
§8.1 全体統計
| 受験者数 | 満点 | 平均点 | 中央値 | 最高点 | 最低点 | 標準偏差 |
| 12名 | 100点 | 46.6点 | 49.0点 | 89点 | 12点 | 25.8 |
平均は約47点。ただし特進と違い、標準偏差が25.8とかなり大きいのが特徴です。これは「点数が平均のまわりに集まっていない=ばらつきが大きい」ことを意味します。下の分布を見ると、その正体がはっきりします。
§8.2 得点分布(10点刻み)
10点台 ▌▌▌ 3人 ← 最も多い
20点台 ▌ 1人
30点台 ▌ 1人
40点台 ▌ 1人
50点台 ▌ 1人
60点台 ▌▌ 2人
70点台 ▌ 1人
80点台 ▌▌ 2人
低い層(10点台に3人)と高い層(80点台に2人)に割れる「二極化」の形です。真ん中がへこんでいます。つまり基礎の入口でつまずいて崩れた層と、応用まで到達できた層がくっきり分かれた、ということ。次にどこで差がついたかを見ます。
§8.3 大問別の得点率
| 大問 | テーマ | 配点 | 得点率 |
| 大問1 | 小問集(仕事・エネルギー・円運動) | 72点 | 49.9% |
| 大問2 | 斜面をすべってばねを縮める(力学的エネルギー保存) | 6点 | 27.8% |
| 大問3 | 振り子の実験でエネルギー保存を確かめる(記号選択) | 8点 | 47.9% |
| 大問4 | 円錐振り子(回転する立場での力のつり合い) | 4点 | 29.2% |
| 大問5 | 斜面・ばね・摩擦(共通テスト物理基礎) | 6点 | 44.4% |
| 大問6 | 円筒面をすべる小物体(センター物理) | 4点 | 33.3% |
このテストは大問1だけで100点中72点を占めます。その大問1が49.9%=ここで落とした分が平均を大きく下げています。大問1の中身は「仕事(前半)」と「円運動・力学的エネルギー保存(後半)」で、下のベスト5/ワースト5がその内訳を教えてくれます。
§8.4 つまずきが集中した設問ワースト5
| 設問 | テーマ | 得点率 | つまずきの正体(§7のクセ) |
| 大問2 | 力学的エネルギー保存で速さを出す | 0% | クセ① 保存則の立式(※全員未得点=要再確認) |
| 大問2 | 斜面上での力学的エネルギー | 8.3% | クセ③ 斜面の分解・高さの取り方 |
| 大問6 | 鉛直円運動で面から離れる条件 | 8.3% | クセ④ 垂直抗力=0 の条件を立てられない |
| 大問4 | 円錐振り子(張力S・角速度ω) | 16.7% | クセ④+⑤ 回転する立場+文字での立式 |
| 大問1 | 小問集の応用部分(力学的エネルギー保存・円運動) | 20.8% | クセ①+⑤ 保存則を選んで記号で立式できない |
2つの「要再確認」設問について:ワースト5の最下位(大問2「速さを出す」)は全員が0点、また大問5「ばね・高さ2h」(得点率25%)は点数の高い生徒ほど落とす(統計上の識別指数がマイナス)という、通常とは逆の動きをしています。これは問題や配点・採点基準の側を一度見直す価値があるサインです(学校の集計表でも再確認が推奨されています)。純粋な「難問」とは切り分けて考えてください。
§8.5 取れていた設問ベスト5
| 設問 | テーマ | 得点率 |
| 大問1 | 仕事(力と移動が同じ向き) | 91.7% |
| 大問1 | 仕事率 | 91.7% |
| 大問1 | 運動エネルギー | 87.5% |
| 大問1 | 仕事と運動エネルギーの関係 | 83.3% |
| 大問1 | 仕事(逆向き・負の仕事) | 75% |
ベスト5は全て大問1の前半=「仕事」の基本問題。公式に数値を入れて答えを出す形は、多くの生徒が取れています。土台はできている、ということです。
§8.6 興味深い対比 ─ 「仕事の基本」は取れて「保存則・立式」で割れる
同じ大問1の中でも、前半と後半で得点がはっきり割れています。
・前半「仕事」の数値問題 … 75〜92%(取れる)
・後半「円運動・力学的エネルギー保存」+大問2〜6の「保存則を選んで立式・記号・回転する立場」 … 28〜44%(落とす)
二極化の正体はここです。「仕事=数値をあてはめる」はできるが、「どの保存則を・どの区間に使うか選ぶ」「回転する立場で力を考える」応用の一歩で崩れる。§7 で挙げたクセ①(保存則の見極め)とクセ④(誰から見た)が、そのまま点差になっています。
§8.7 次のテストへの重点復習(金・銀・銅)
🥇 金=大問1の後半(等速円運動・鉛直円運動・力学的エネルギー保存の表うめ):配点が最も大きい大問1で、点を落としているのはこの後半。ここを動画で固めるのが最も効率的な得点アップです。
🥈 銀=保存則を「選んで立式」する問題(大問2 斜面ばね/大問4 円錐振り子):どの区間にどの式を使うか、回転する立場での力のつり合いを、記号のまま立てる練習。
🥉 銅=鉛直円運動の「離れる条件」(大問6):垂直抗力=0 を境目に立てる考え方を、動画でもう一度。
§8.8 このデータから言える、たった1つのこと
「仕事の計算」という土台は取れている。差がついたのは、そこから先の「保存則を選ぶ・記号で立式する・回転する立場で考える」応用の一歩。二極化は才能の差ではなく、この一歩を練習したかどうかの差です。まず金=大問1後半から、動画で埋めていきましょう。
§9. 次のステップ
この期末で出た「仕事とエネルギー」「力学的エネルギー保存」「円運動(等速円運動・円錐振り子・鉛直面内の円運動)」は、どれも入試の頻出単元です。つまずいた単元は、動画でもう一度、考え方から確認しておきましょう。
▶ 単元ごとの授業動画で復習する
各単元の授業動画・共通テスト解説・演習解説は、YouTubeチャンネル「まことの高校物理教室」で公開しています。
まことの高校物理教室(YouTube)
PREMIUM
この問題の「なぜそう解くのか」も
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