「物理重要問題集2026」徹底解説(85〜87問):未来の得点力へ!完全マスター講座

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問題85 気柱の共鳴 (19 佐賀大 改)

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(1)〜(5)の別解: 波動方程式(微積分)を用いた体系的解法
      • 模範解答が定在波の腹と節の配置を図形的に捉えて解くのに対し、別解では音波の変位を波動関数 \(y(x,t)\) として設定し、境界条件(開口端と閉口端)から固有振動数や節の位置を一括して数学的に導出します。
    • 設問(7)の別解: 波長と管長の関係を用いた解法
      • 模範解答が振動数の比(基本振動の3倍など)を利用して計算するのに対し、別解では共鳴条件から波長を直接求め、そこから振動数を計算します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 体系的理解: 「腹」「節」の位置関係を暗記するのではなく、境界条件という物理的制約から全ての振動モードが自然に導かれることを理解できます。
    • 視点の転換: 振動数の倍数関係だけでなく、波長と管長の幾何学的な関係からもアプローチできるようになり、検算の手段が増えます。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「閉管における気柱の共鳴」です。
片側が開いていて(開口端)、もう片側が閉じている(閉口端)管内の空気の振動を扱います。
振動数を変化させる操作と、管の長さを変化させる操作の2つの局面があり、それぞれの変化で何が一定(不変量)であるかを見極めることが重要です。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  • 定在波の境界条件: 開口端は自由に振動できるため「腹」、閉口端は壁があるため空気が動けず「節」になります(開口端補正は無視)。
  • 波の基本公式: 音速 \(V\)、振動数 \(f\)、波長 \(\lambda\) の間に \(V = f\lambda\) が成り立ちます。
  • 閉管の振動モード: 閉管では、基本振動、3倍振動、5倍振動……と、奇数倍の振動モードのみが発生します。
  • 密度変化と変位の関係: 空気の密度(圧力)の変化が最も激しい場所は、空気の移動(変位)が全くない「節」の位置です。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  • (1)〜(5)では、管の長さ \(l\) を固定し、振動数を上げていく過程を追います。定在波の図を描き、管の長さと波長の関係式を立てて解きます。
  • (6)では、振動数を固定し、管の長さを変える操作を扱います。波長が一定であることに着目します。
  • (7)では、管の長さを固定し、再び振動数を上げる操作を扱います。閉管の固有振動の規則性を利用します。

問(1)

思考の道筋とポイント
振動数を \(0\) から徐々に上げていき、最初に共鳴する状態(基本振動)を考えます。
閉管の共鳴では、管口が「腹」、ピストン(閉端)が「節」となります。
最も波長が長い(振動数が小さい)モードは、管の中に「腹から節まで」の \(\frac{1}{4}\) 波長分がちょうど収まる状態です。

この設問における重要なポイント

  • 基本振動の波形: 管口が腹、閉端が節となり、その間に節や腹は存在しません。
  • 幾何学的関係: 管の長さ \(l\) が波長 \(\lambda\) の \(\frac{1}{4}\) 倍に等しくなります。

具体的な解説と立式
最初の共鳴(基本振動)において、管の長さ \(l\) は波長 \(\lambda\) の \(\frac{1}{4}\) に相当します(図a参照)。
よって、以下の関係が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
l &= \frac{\lambda}{4} \quad \cdots ①
\end{aligned}
$$
また、波の基本公式より、振動数 \(f\) は以下のように表されます。
$$
\begin{aligned}
V &= f \lambda \\[2.0ex]
f &= \frac{V}{\lambda} \quad \cdots ②
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 波の基本公式: \(V = f\lambda\)
計算過程

式①より、波長 \(\lambda\) を \(l\) で表します。
$$
\begin{aligned}
\lambda &= 4l
\end{aligned}
$$
これを式②に代入して振動数を求めます。
$$
\begin{aligned}
f &= \frac{V}{4l}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

一番低い音で共鳴するとき、管の中の空気は一番単純な揺れ方をしています。入り口が大きく揺れて(腹)、奥の壁で止まっている(節)状態です。この形は波1つ分の長さのちょうど4分の1になります。
「速さ=振動数×波長」の式を使って、振動数を計算します。

結論と吟味

答えは \(\frac{V}{4l}\) です。分母に長さ \(l\) があるため、管が長いほど低い音になるという直感と一致します。

解答 (1) \(\displaystyle \frac{V}{4l}\)

問(2)

思考の道筋とポイント
共鳴の回数 \(n\) と、そのときにできる定在波の節の数の関係を調べます。
図を描いて規則性を見つけます。

  • 1回目(基本振動): 閉端に1個。
  • 2回目(3倍振動): 閉端と途中に1個、計2個。
  • 3回目(5倍振動): 閉端と途中に2個、計3個。

この設問における重要なポイント

  • 帰納的推論: \(n=1, 2, 3\) の具体的なケースから一般則を導きます。
  • 節の位置: 閉端は必ず節になります。

具体的な解説と立式
図bを参考に、共鳴の次数 \(n\) と節の数 \(N_{\text{節}}\) の関係を整理します。

  • \(n=1\) のとき(基本振動): 節は閉端の \(1\) 個。
  • \(n=2\) のとき(3倍振動): 節は閉端と管内の \(1\) 個で、計 \(2\) 個。
  • \(n=3\) のとき(5倍振動): 節は閉端と管内の \(2\) 個で、計 \(3\) 個。

この規則性から、\(n\) 回目の共鳴における節の数は \(n\) 個であると推測できます。

使用した物理公式

  • なし(図形的考察)
計算過程

(考察により直ちに導出)
$$
\begin{aligned}
N_{\text{節}} &= n
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

図を描いて数えてみると、「1回目の共鳴で節は1個」「2回目で2個」「3回目で3個」となっていることがわかります。このルール通りなら、\(n\) 回目の共鳴では節は \(n\) 個になります。

結論と吟味

共鳴の次数が増えるごとに、定在波の「山・谷」のセットが増えていくため、節の数も1つずつ増えていきます。妥当な結果です。

解答 (2) \(n\)

問(3)

思考の道筋とポイント
\(n\) 回目の共鳴状態における波長 \(\lambda_n\) を求めます。
管の中に節が \(n\) 個ある状態を図(図c)でイメージし、管の長さ \(l\) を波長 \(\lambda_n\) で表す式を立てます。
定在波では、「腹から節までの距離」は \(\frac{\lambda}{4}\)、「節から隣の節までの距離」は \(\frac{\lambda}{2}\) です。

この設問における重要なポイント

  • 距離の分解: 管の長さ \(l\) は、「管口(腹)から最初の節までの距離」と「最初の節から最後の節(閉端)までの距離」の和と考えます。
  • 節の間隔: 節は等間隔 \(\frac{\lambda}{2}\) で並びます。

具体的な解説と立式
\(n\) 回目の共鳴では、管内に節が \(n\) 個あります。
管口(腹)から最も近い節までの距離は \(\frac{\lambda_n}{4}\) です。
その節から、閉端にある \(n\) 番目の節までの間には、節の間隔 \(\frac{\lambda_n}{2}\) が \((n-1)\) 個分並んでいます。
よって、管の長さ \(l\) は以下のように表せます。
$$
\begin{aligned}
l &= \frac{\lambda_n}{4} + (n-1) \frac{\lambda_n}{2} \quad \cdots ③
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 定在波の腹と節の間隔: \(\frac{\lambda}{4}\)
  • 定在波の節と節の間隔: \(\frac{\lambda}{2}\)
計算過程

式③を \(\lambda_n\) について解きます。
右辺を \(\frac{\lambda_n}{4}\) でくくります。
$$
\begin{aligned}
l &= \frac{\lambda_n}{4} \left\{ 1 + 2(n-1) \right\} \\[2.0ex]
l &= \frac{\lambda_n}{4} (1 + 2n – 2) \\[2.0ex]
l &= \frac{\lambda_n}{4} (2n – 1)
\end{aligned}
$$
よって、
$$
\begin{aligned}
\lambda_n &= \frac{4l}{2n – 1}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

管の中には、波の「4分の1」のパーツが1つと、「半分」のパーツが \((n-1)\) 個入っています。これらを全部足すと管の長さ \(l\) になります。この足し算の式を作って、波長 \(\lambda_n\) を計算します。

結論と吟味

\(n=1\) を代入すると \(\lambda_1 = 4l\) となり、問(1)の結果と一致します。\(n\) が増えると分母が大きくなり波長は短くなるので、物理的に妥当です。

解答 (3) \(\displaystyle \frac{4l}{2n-1}\)

問(4)

思考の道筋とポイント
問(3)で求めた波長 \(\lambda_n\) を用いて、振動数 \(f_n\) を求めます。
音速 \(V\) は一定です。

この設問における重要なポイント

  • 波の基本公式の適用: \(f = \frac{V}{\lambda}\) に代入するだけです。

具体的な解説と立式
波の基本公式 \(V = f_n \lambda_n\) より、以下の式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
f_n &= \frac{V}{\lambda_n} \quad \cdots ④
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 波の基本公式: \(V = f\lambda\)
計算過程

式④に問(3)の結果 \(\lambda_n = \frac{4l}{2n – 1}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
f_n &= \frac{V}{\frac{4l}{2n – 1}} \\[2.0ex]
&= \frac{(2n – 1)V}{4l}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

波長がわかったので、「速さ÷波長」で振動数を計算します。

結論と吟味

\(n=1\) のとき \(\frac{V}{4l}\) となり問(1)と一致します。\(2n-1\) は奇数なので、基本振動数の奇数倍(1倍, 3倍, 5倍…)になるという閉管の性質を示しています。

解答 (4) \(\displaystyle \frac{(2n-1)V}{4l}\)

問(5)

思考の道筋とポイント
「密度変化が最大になる場所」が定在波のどこに対応するかを問う問題です。
音波は縦波(疎密波)です。
媒質の変位が大きく動く「腹」では、空気は左右に大きく揺れますが、密度(圧力)は周囲と同じままで変化しません(密度の節)。
逆に、媒質が動かない「節」では、両側から空気が押し寄せたり遠ざかったりするため、密度(圧力)の変化が最も激しくなります(密度の腹)。
つまり、求める場所は「変位の節」です。

この設問における重要なポイント

  • 密度変化最大 = 変位の節: これを正しく認識することが全てです。
  • 位置の特定: 管口(変位の腹)から最も近い「変位の節」までの距離を求めます。

具体的な解説と立式
密度変化が最大になる場所は、定在波の「変位の節」の位置です。
管口は「変位の腹」です。
腹から最も近い節までの距離 \(x\) は、波長の \(\frac{1}{4}\) です。
$$
\begin{aligned}
x &= \frac{\lambda_n}{4} \quad \cdots ⑤
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 定在波の腹と節の間隔: \(\frac{\lambda}{4}\)
計算過程

式⑤に問(3)の結果 \(\lambda_n = \frac{4l}{2n – 1}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
x &= \frac{1}{4} \times \frac{4l}{2n – 1} \\[2.0ex]
&= \frac{l}{2n – 1}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

空気の密度がギュウギュウになったりスカスカになったりするのは、空気が動けない「壁」のような場所(節)です。
入り口(腹)から一番近い「節」までの距離は、波長の4分の1です。さっき求めた波長を使って計算します。

結論と吟味

\(n=1\) のとき \(x=l\) となり、閉端(ピストン)の位置になります。基本振動では閉端のみが節なので正しいです。

解答 (5) \(\displaystyle \frac{l}{2n-1}\)
別解: 波動方程式(微積分)を用いた体系的解法

思考の道筋とポイント
問(1)〜(5)を一括して解きます。
音波の変位 \(y(x,t)\) を波動方程式の解として設定し、境界条件(\(x=0\) で腹、\(x=l\) で節)を適用することで、固有振動数や節の位置を数学的に導出します。

この設問における重要なポイント

  • 波動関数の設定: 定在波は \(y(x,t) = A \cos(kx + \phi) \sin(\omega t)\) の形で表されます。
  • 境界条件:
    • \(x=0\)(管口)は自由端(腹) \(\rightarrow\) 変位最大 \(\rightarrow\) 空間微分が0(圧力の節)ではなく、変位の振幅が最大。ここでは単純に \(\cos\) 関数を選んで \(x=0\) で最大値をとるようにします。
    • \(x=l\)(ピストン)は固定端(節) \(\rightarrow\) 変位 \(0\)。

具体的な解説と立式
管口を原点 \(x=0\)、右向きを正とし、ピストン位置を \(x=l\) とします。
定在波の変位 \(y(x,t)\) を以下のように置きます。
$$
\begin{aligned}
y(x,t) &= A \cos(kx) \sin(\omega t)
\end{aligned}
$$
ここで、\(x=0\) のとき \(\cos(0)=1\) となり振幅が最大(腹)となる条件を満たしています。
次に、\(x=l\) で変位が常に \(0\)(節)となる条件(境界条件)を適用します。
$$
\begin{aligned}
\cos(kl) &= 0
\end{aligned}
$$
これを満たす \(kl\) の値は、以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
kl &= \frac{\pi}{2}(2n – 1) \quad (n=1, 2, 3, \dots) \quad \cdots ⑥
\end{aligned}
$$
ここで、波数 \(k = \frac{2\pi}{\lambda}\) です。

使用した物理公式

  • 波動方程式の変数分離解
  • 波数と波長の関係: \(k = \frac{2\pi}{\lambda}\)
計算過程

問(3) 波長 \(\lambda_n\) の導出:
式⑥に \(k = \frac{2\pi}{\lambda_n}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
\frac{2\pi}{\lambda_n} l &= \frac{\pi}{2}(2n – 1) \\[2.0ex]
\frac{2l}{\lambda_n} &= \frac{2n – 1}{2} \\[2.0ex]
\lambda_n &= \frac{4l}{2n – 1}
\end{aligned}
$$
問(4) 振動数 \(f_n\) の導出:
\(f_n = \frac{V}{\lambda_n}\) より、
$$
\begin{aligned}
f_n &= \frac{(2n – 1)V}{4l}
\end{aligned}
$$
問(1) 最初の共鳴:
\(n=1\) を代入して、\(f_1 = \frac{V}{4l}\)。
問(5) 密度変化最大の位置:
密度変化最大は「変位の節」です。
変位 \(y \propto \cos(kx)\) が \(0\) になる最小の正の \(x\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
\cos(kx) &= 0 \\[2.0ex]
kx &= \frac{\pi}{2}
\end{aligned}
$$
\(k = \frac{2\pi}{\lambda_n} = \frac{2\pi (2n-1)}{4l} = \frac{\pi(2n-1)}{2l}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
\frac{\pi(2n-1)}{2l} x &= \frac{\pi}{2} \\[2.0ex]
x &= \frac{l}{2n – 1}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

波の形をコサイン関数(\(\cos\))で表しました。\(x=0\) で最大値(腹)になり、\(x=l\) で \(0\)(節)になるという条件から、波の形を決める定数 \(k\) が自動的に決まります。これを使えば、波長も振動数も節の位置も、すべて計算だけで導き出せます。

結論と吟味

全ての設問において、幾何学的な解法と完全に一致する結果が得られました。

解答 (1)〜(5) メイン解法と同じ

問(6)

思考の道筋とポイント
設定が変わります。

  1. 振動数を \(n=2\) のときの値 \(f_2\) に固定します。
  2. ピストンを左端(管口)から右へ動かします。
  3. 「最初の共鳴」が起こる距離 \(l’\) を求めます。

振動数が固定されているので、音波の波長 \(\lambda\) は一定です。
「最初の共鳴」とは、管の長さが最も短くて済む共鳴、つまり「基本振動」の状態になることを意味します。

この設問における重要なポイント

  • 不変量: 振動数 \(f\) が固定されているため、波長 \(\lambda\) も固定されます。
  • 共鳴条件の変化: 振動モードが「3倍振動(\(n=2\))」から「基本振動」に変わります。

具体的な解説と立式
まず、固定された振動数 \(f\) に対応する波長 \(\lambda\) を求めます。
問(3)より、\(n=2\) のときの波長 \(\lambda_2\) は、元の管長 \(l\) を用いて以下のように表されます。
$$
\begin{aligned}
\lambda_2 &= \frac{4l}{2 \times 2 – 1} \\[2.0ex]
&= \frac{4l}{3} \quad \cdots ⑦
\end{aligned}
$$
この波長の音波に対して、ピストン位置 \(l’\) で「最初の共鳴(基本振動)」が起こります。
基本振動の条件(管長が波長の \(\frac{1}{4}\))より、以下の式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
l’ &= \frac{\lambda_2}{4} \quad \cdots ⑧
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 基本振動の条件: \(l = \frac{\lambda}{4}\)
計算過程

式⑧に式⑦を代入します。
$$
\begin{aligned}
l’ &= \frac{1}{4} \times \frac{4l}{3} \\[2.0ex]
&= \frac{l}{3}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

まず、スピーカーから出ている音の波長を計算します。\(n=2\) の状態だったので、波長は管の長さ \(l\) の \(\frac{4}{3}\) 倍ではなく、式から \(\frac{4l}{3}\) です。
次に、ピストンを動かして、この波長の音で一番短い共鳴(基本振動)を作ります。基本振動では管の長さは波長の4分の1になるので、さっき求めた波長を4で割れば答えが出ます。

結論と吟味

元の長さ \(l\) の \(\frac{1}{3}\) の位置です。\(n=2\)(3倍振動)の状態から、波長を変えずに基本振動にするには、管の長さを \(\frac{1}{3}\) にすればよい(波が3つ入っていたのを1つにするイメージ)ので、直感的にも正しいです。

解答 (6) \(\displaystyle \frac{l}{3}\)

問(7)

思考の道筋とポイント
さらに設定が変わります。

  1. ピストンを問(6)の位置 \(l’ = \frac{l}{3}\) に固定します。
  2. 振動数をゆっくり大きくしていきます。
  3. 「次に共鳴する」振動数を求めます。

現在の状態は、管長 \(l’\) での「基本振動」です。
閉管では、振動数を上げていくと、基本振動 \(\rightarrow\) 3倍振動 \(\rightarrow\) 5倍振動……と共鳴します。
したがって、次に起こるのは「3倍振動」です。

この設問における重要なポイント

  • 閉管の振動系列: 奇数倍(1, 3, 5…)の振動数で共鳴します。偶数倍はありません。
  • 基準の振動数: 現在の振動数 \(f_{\text{start}}\) が、この管長 \(l’\) における基本振動数です。

具体的な解説と立式
現在の振動数 \(f_{\text{start}}\) は、問(4)の \(n=2\) のときの値 \(f_2\) です。
$$
\begin{aligned}
f_{\text{start}} &= f_2 \\[2.0ex]
&= \frac{3V}{4l}
\end{aligned}
$$
この状態で、管長 \(l’\) の気柱は基本振動しています。
閉管において、基本振動の次に共鳴するのは「3倍振動」です。
よって、求める振動数 \(f_{\text{next}}\) は、現在の振動数の 3倍になります。
$$
\begin{aligned}
f_{\text{next}} &= 3 \times f_{\text{start}} \quad \cdots ⑨
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 閉管の固有振動数: \(f_m = m f_1\) (\(m=1, 3, 5, \dots\))
計算過程

式⑨に \(f_{\text{start}} = \frac{3V}{4l}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
f_{\text{next}} &= 3 \times \frac{3V}{4l} \\[2.0ex]
&= \frac{9V}{4l}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

今、この短い管(長さ \(l/3\))は基本振動しています。
閉じた管では、振動数を上げていくと、今の振動数の3倍、5倍、7倍……のときに共鳴します(2倍や4倍はありません)。
だから、次は今の振動数を3倍にするだけです。

結論と吟味

元の基本振動数 \(\frac{V}{4l}\) と比べると9倍になっています。管が \(\frac{1}{3}\) になって基本振動数が3倍になり、さらにその3倍振動を見ているので \(3 \times 3 = 9\) 倍。辻褄が合います。

解答 (7) \(\displaystyle \frac{9V}{4l}\)
別解: 波長と管長の関係を用いた解法

思考の道筋とポイント
振動数の倍数関係を使わず、波長の変化から直接計算します。
「次に共鳴する」状態は、管長 \(l’\) が波長 \(\lambda’\) の \(\frac{3}{4}\) 倍になる状態(3倍振動の波形)です。

この設問における重要なポイント

  • 3倍振動の幾何学的条件: 管の長さ \(l’\) の中に、\(\frac{\lambda’}{4}\) が3つ入ります。

具体的な解説と立式
次の共鳴(3倍振動)における波長を \(\lambda’\) とします。
図d(下)のように、管長 \(l’\) が波長の \(\frac{3}{4}\) に等しくなるので、以下の関係が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
l’ &= \frac{3}{4} \lambda’ \quad \cdots ⑩
\end{aligned}
$$
ここで、\(l’ = \frac{l}{3}\) です。

使用した物理公式

  • 3倍振動の条件: \(l = \frac{3}{4}\lambda\)
  • 波の基本公式: \(V = f\lambda\)
計算過程

式⑩より \(\lambda’\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
\frac{l}{3} &= \frac{3}{4} \lambda’ \\[2.0ex]
\lambda’ &= \frac{4l}{9}
\end{aligned}
$$
振動数 \(f_{\text{next}}\) は \(V = f\lambda\) より、
$$
\begin{aligned}
f_{\text{next}} &= \frac{V}{\lambda’} \\[2.0ex]
&= \frac{V}{\frac{4l}{9}} \\[2.0ex]
&= \frac{9V}{4l}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

次の共鳴では、管の中に波が「0.75個分(4分の3個分)」入ります。
管の長さ \(l/3\) が波長の \(\frac{3}{4}\) になることから新しい波長を計算し、それを使って振動数を求めました。

結論と吟味

メインの解法と全く同じ結果が得られました。

解答 (7) \(\displaystyle \frac{9V}{4l}\)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?

  • 閉管における定在波の境界条件
    • 核心: 閉管では、開口端が常に「腹(変位最大)」、閉口端が常に「節(変位ゼロ)」となる定在波のみが安定して存在できます。
    • 理解のポイント:
      • 幾何学的制約: この境界条件により、管の長さ \(l\) は必ず \(\frac{\lambda}{4}\) の奇数倍(1倍, 3倍, 5倍…)になります。偶数倍(2倍, 4倍…)の振動モードは存在しません。
      • 節と腹の配置: 「腹から節まで」の距離は \(\frac{\lambda}{4}\)、「節から節まで」の距離は \(\frac{\lambda}{2}\) です。これを組み合わせることで、任意の振動モードにおける管長と波長の関係式を作れます。
  • 音波の変位と密度の関係
    • 核心: 音波(疎密波)において、媒質の変位が最も激しい「腹」では密度変化は最小(0)であり、媒質が動かない「節」では密度変化が最大になります。
    • 理解のポイント:
      • 直感的理解: 満員電車で全員が同じ方向に動けば(腹)混雑度は変わりませんが、壁際で動けない人(節)のところに周りから人が押し寄せると、そこだけ猛烈に混雑(密度大)します。

応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点

  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 開管の共鳴: 両端が開いている場合、両端とも「腹」になります。管長 \(l\) は \(\frac{\lambda}{2}\) の整数倍(1倍, 2倍, 3倍…)となり、偶数倍振動も存在します。
    • 弦の振動: 両端固定の弦は、両端が「節」になります。数学的には開管(両端腹)と同じく、\(l\) は \(\frac{\lambda}{2}\) の整数倍になります。
    • クインケ管: 管の長さを変えて干渉させる問題でも、「経路差が半波長の偶数倍か奇数倍か」という条件式を作るアプローチは共通です。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 不変量の特定: 「振動数を変える(\(l\) 一定)」「管の長さを変える(\(f, \lambda\) 一定)」「気体を変える(\(V\) 変化)」など、操作によって何が変わり何が変わらないかを最初に見極めます。
    2. 図を描く: \(n\) 回目の共鳴など一般化された問題でも、\(n=1, 2\) の具体的な図を描いて規則性(節の数や波の個数)を見つけることが突破口になります。

要注意!ありがちなミス・誤解とその対策

  • 「基本振動の \(n\) 倍」の誤解:
    • 誤解: 閉管の振動数を \(f_n\) と書いたとき、それが「基本振動の \(n\) 倍」だと思い込んでしまう(実際は \(2n-1\) 倍などの奇数倍)。
    • 対策: 閉管には「偶数倍振動がない」ことを強く意識し、\(f_1, f_3, f_5 \dots\) と奇数の添字を使うか、\(f_n = (2n-1)f_1\) のように奇数を作る式を必ず書く癖をつけましょう。
  • 密度変化と変位の混同:
    • 誤解: 「大きく揺れているところ(腹)ほど、激しく変化しているから密度変化も大きい」と直感的に間違える。
    • 対策: 「変位の腹=密度の節」「変位の節=密度の腹」という逆の関係を、満員電車の例えや微分の関係(変位の空間微分が密度変化)として論理的に記憶しましょう。

なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法

  • 波動方程式を用いた解析(別解):
    • 選定理由: \(n\) 回目の共鳴のように一般化された状況では、図を描いて波の数を数えるよりも、数式(三角関数)の周期性を利用する方が、計算ミスが少なく確実だからです。
    • 適用根拠: 定在波は正弦波の重ね合わせであり、境界条件(\(x=0\) で最大、\(x=l\) で \(0\))を満たす関数形は一意に定まるため、数学的に厳密な解が得られます。
  • 波長と管長の関係式(\(l = \frac{\lambda}{4} \times \text{奇数}\)):
    • 選定理由: 振動数 \(f\) を直接求めるよりも、目に見える「長さ」と「波長」の関係式を立てる方が、図との対応が取れてミスに気づきやすいため。
    • 適用根拠: 定在波の腹と節の位置関係は幾何学的に決まっており、物理的な曖昧さがないため。

計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック

  • \(n=1\) での検算:
    • 意識: 一般項(\(n\) を含む式)を求めたら、必ず \(n=1\) を代入して、基本振動(一番単純なケース)の結果と一致するか確認する。
    • 実践: 問(3)で \(\lambda_n = \frac{4l}{2n-1}\) が出たら、\(n=1\) で \(\lambda_1 = 4l\) となり、図aの「管長は波長の1/4」と合っているか瞬時にチェックします。
  • 次元解析(単位チェック):
    • 意識: 答えの分母分子が逆になっていないか確認する。
    • 実践: 振動数 \(f\) の答えが \(\frac{V}{l}\) の形なら、単位は \([\text{m/s}] / [\text{m}] = [1/\text{s}] = [\text{Hz}]\) で正しい。もし \(\frac{l}{V}\) なら秒 \([\text{s}]\) になってしまうので間違い、と気づけます。
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問題86 反射板がある場合のドップラー効果 (19 京都府大)

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(1)〜(6)の別解: 位相関数(微積分)を用いた体系的解法
      • 模範解答がドップラー効果の公式や幾何学的な波の個数計算を用いるのに対し、別解では波の位相 \(\Phi(t)\) を定義し、その時間微分から瞬時振動数を導出する原理的なアプローチをとります。
    • 設問(6)の別解: 鏡像法を用いた解法
      • 模範解答が反射板を「観測者かつ音源」として2段階で計算するのに対し、別解では壁の向こう側に「鏡像の音源」を想定し、1段階で計算します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 位相関数の解法: 公式暗記に頼らず、「振動数とは位相の時間変化率である」という定義から出発するため、変速運動や複雑な配置の問題にも応用できる物理的基礎体力を養います。
    • 鏡像法の解法: 反射の問題を直感的に捉えやすくし、計算量を大幅に削減できるため、実戦的な得点力向上に直結します。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「反射板を含むドップラー効果」です。
音源、観測者、反射板(壁)がそれぞれ動く状況において、直接音と反射音の振動数変化、およびそれらが干渉して生じるうなりを扱います。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. ドップラー効果の公式: 音速 \(V\)、音源の速さ \(v_{\text{音源}}\)、観測者の速さ \(v_{\text{観測者}}\) のとき、観測される振動数 \(f’\) は \(f’ = \frac{V-v_{\text{観測者}}}{V-v_{\text{音源}}}f_0\) となります(音源から観測者への向きを正とする)。
  2. 反射板の扱い: 反射板は「音を受け取る観測者」と「音を再放射する音源」の2つの役割を同時に果たします。
  3. うなり: 振動数がわずかに異なる2つの波 \(f_1, f_2\) が重なると、\(|f_1 – f_2|\) の振動数でうなりが生じます。
  4. 斜め方向のドップラー効果: 音源と観測者を結ぶ直線方向の速度成分のみがドップラー効果に寄与します。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)(2)では、音源が動く場合の基本的なドップラー効果(波長と振動数)を求めます。
  2. (3)では、反射板(壁)が動く場合の反射音の振動数を、2段階のドップラー効果として計算します。
  3. (4)では、直接音と反射音の振動数差からうなりの回数を求めます。
  4. (5)では、音源と反射板が逆向きに動く場合の反射音を計算します。
  5. (6)では、斜め方向に動く音源からの反射音を扱います。

問(1)

ここから先が、他の受験生と差がつく重要パートです。

「解法に至る思考プロセス」
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