「物理重要問題集2026」徹底解説(61〜63問):未来の得点力へ!完全マスター講座

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問題61 ばねに連結された2物体 (佐賀大)

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(2)の別解: エネルギー分配則を用いた解法
      • 模範解答が運動量保存則と力学的エネルギー保存則を連立して解くのに対し、別解では「重心系において、運動エネルギーは質量の逆比に分配される」という特性を利用して、計算なしで瞬時に速度を求めます。
    • 設問(4)〜(6)の別解: 微積分を用いた体系的解法(2体問題の重心運動と相対運動の分離)
      • 模範解答が誘導に従って逐次的に解くのに対し、別解では運動方程式を「重心座標」と「相対座標」に変数変換し、微分方程式を直接解くことで、一般解から全ての物理量(位置、速度)を一括して導出します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • エネルギー分配則: 2体問題におけるエネルギー配分の法則を知っていると、検算やマーク式試験での時短に極めて有効です。
    • 微積分の解法: 2体問題の本質が「重心の等速運動」と「換算質量を用いた相対運動(単振動)」の重ね合わせであることを数学的に理解でき、原子物理などの他分野への応用力が身につきます。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「ばねで連結された2物体の運動(2体問題)」です。
外力を受けない系において、2つの物体が相互作用しながら運動する様子を、重心運動と相対運動に分解して解析します。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 運動量保存則: 水平面がなめらかで外力が働かないため、系全体の運動量は保存されます。特に初期状態で静止していれば、重心は常に静止し続けます。
  2. 力学的エネルギー保存則: 摩擦がないため、ばねの弾性エネルギーと2物体の運動エネルギーの総和は保存されます。
  3. 単振動の基礎: 復元力 \(F = -Kx\) が働くとき、物体は角振動数 \(\omega = \sqrt{K/M}\) の単振動を行います。
  4. 相対運動と換算質量: 2体問題は、換算質量 \(M = \frac{m_A m_B}{m_A + m_B}\) を用いることで、1つの物体の単振動として扱うことができます。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)〜(3)では、保存則と重心の定義を用いて、特定の状態(自然長など)における物理量を求めます。
  2. (4)〜(5)では、運動方程式を立式し、相対加速度に着目することで、2物体の運動を「1つの物体の単振動」に帰着させます。
  3. (6)では、単振動の解(三角関数)を用いて、任意時刻の位置を記述します。

問(1)

思考の道筋とポイント
ばねの弾性エネルギーを求める基本問題です。
ばねの自然の長さは \(l\) であり、手を放す直前の長さは \(L\) です。
弾性エネルギーは、ばねの「伸び」または「縮み」の2乗に比例します。

この設問における重要なポイント

  • ばねの伸び: 現在の長さ \(L\) から自然長 \(l\) を引いた値 \(x = L – l\) が「伸び」となります。

具体的な解説と立式
ばねの伸び \(x\) は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
x &= L – l
\end{aligned}
$$
求める弾性エネルギー \(U\) は、ばね定数 \(k\) を用いて次のように立式できます。
$$
\begin{aligned}
U &= \frac{1}{2}kx^2
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • ばねの弾性エネルギー: \(U = \frac{1}{2}kx^2\)
計算過程

伸び \(x = L – l\) を式に代入します。
$$
\begin{aligned}
U &= \frac{1}{2}k(L – l)^2
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

ばねに蓄えられるエネルギーは、どれだけ伸びたか(あるいは縮んだか)で決まります。今回は長さ \(L\) まで引っ張ったので、自然長 \(l\) からの伸びは \(L-l\) です。これを公式に入れるだけで求まります。

結論と吟味

答えは \(\frac{1}{2}k(L – l)^2\) です。
次元を確認すると、\([k] = \text{N}/\text{m}\)、\([x] = \text{m}\) なので、\([kx^2] = \text{N} \cdot \text{m} = \text{J}\) となり、エネルギーの単位として正しいです。

解答 (1) \(\displaystyle \frac{1}{2}k(L-l)^2\)

問(2)

思考の道筋とポイント
手を放した後、ばねが自然の長さ(\(l\))に戻った瞬間の速度 \(v_A, v_B\) を求めます。
この系には外力(水平方向)が働かないため、運動量保存則が成立します。
また、摩擦がないため、力学的エネルギー保存則も成立します。
未知数は \(v_A, v_B\) の2つなので、これら2つの保存則を連立させて解きます。

この設問における重要なポイント

  • 運動量保存則: 初速度が \(0\) なので、全運動量は常に \(0\) です。
  • エネルギー変換: 手を放す直前の弾性エネルギーが、自然長に戻った瞬間には全て2物体の運動エネルギーに変換されます(自然長なので弾性エネルギーは \(0\))。
  • 速度の向き: 図1の状態から手を放すと、ばねは縮もうとするため、Aは右向き(正)、Bは左向き(負)に動きます。

具体的な解説と立式
求める速度を \(v_A, v_B\) とします(右向き正)。
運動量保存則より、以下の式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
(\text{Aの運動量}) + (\text{Bの運動量}) &= (\text{初期運動量}) \\[2.0ex]
m_A v_A + m_B v_B &= 0 \quad \cdots ①
\end{aligned}
$$
力学的エネルギー保存則より、以下の式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
(\text{Aの運動エネ}) + (\text{Bの運動エネ}) + (\text{弾性エネ}) &= (\text{初期の全エネ}) \\[2.0ex]
\frac{1}{2}m_A {v_A}^2 + \frac{1}{2}m_B {v_B}^2 + 0 &= \frac{1}{2}k(L – l)^2 \quad \cdots ②
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 運動量保存則: \(p_{\text{後}} = p_{\text{前}}\)
  • 力学的エネルギー保存則: \(E_{\text{後}} = E_{\text{前}}\)
計算過程

式①より、\(v_B\) を \(v_A\) で表します。
$$
\begin{aligned}
m_B v_B &= -m_A v_A \\[2.0ex]
v_B &= -\frac{m_A}{m_B}v_A \quad \cdots ③
\end{aligned}
$$
これを式②に代入します。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{2}m_A {v_A}^2 + \frac{1}{2}m_B \left( -\frac{m_A}{m_B}v_A \right)^2 &= \frac{1}{2}k(L – l)^2
\end{aligned}
$$
両辺を2倍して整理します。
$$
\begin{aligned}
m_A {v_A}^2 + m_B \cdot \frac{{m_A}^2}{{m_B}^2}{v_A}^2 &= k(L – l)^2 \\[2.0ex]
m_A {v_A}^2 + \frac{{m_A}^2}{m_B}{v_A}^2 &= k(L – l)^2 \\[2.0ex]
m_A \left( 1 + \frac{m_A}{m_B} \right) {v_A}^2 &= k(L – l)^2 \\[2.0ex]
m_A \left( \frac{m_B + m_A}{m_B} \right) {v_A}^2 &= k(L – l)^2
\end{aligned}
$$
\(v_A\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
{v_A}^2 &= \frac{m_B}{m_A(m_A + m_B)} k(L – l)^2
\end{aligned}
$$
手を放した直後、Aは右向きに引かれるため \(v_A > 0\) です。また \(L > l\) より \(L-l > 0\) です。
$$
\begin{aligned}
v_A &= \sqrt{\frac{m_B k}{m_A(m_A + m_B)}} (L – l)
\end{aligned}
$$
求めた \(v_A\) を式③に代入して \(v_B\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
v_B &= -\frac{m_A}{m_B} \sqrt{\frac{m_B k}{m_A(m_A + m_B)}} (L – l) \\[2.0ex]
&= -\sqrt{\frac{{m_A}^2}{{m_B}^2} \cdot \frac{m_B k}{m_A(m_A + m_B)}} (L – l) \\[2.0ex]
&= -\sqrt{\frac{m_A k}{m_B(m_A + m_B)}} (L – l)
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

AとBはお互いに引っ張り合って近づいていきます。
「運動量保存則」は、重い物体ほど動きにくく、軽い物体ほど速く動くという速度の比率(逆比)を教えてくれます。
「エネルギー保存則」は、最初にばねに溜まっていたエネルギーが、最終的にどれくらいの激しさ(運動エネルギー)に変わったかを教えてくれます。
この2つのルールを組み合わせることで、それぞれの速度が確定します。

結論と吟味

\(v_A\) は正、\(v_B\) は負となり、互いに近づく向きで妥当です。
また、質量 \(m_A\) が非常に大きい場合、\(v_A \approx 0\) となり、壁に繋がれたばねのような振る舞いになることも確認できます。

解答 (2)
\(\displaystyle v_A = \sqrt{\frac{m_B k}{(m_A + m_B)m_A}}(L-l)\)
\(\displaystyle v_B = -\sqrt{\frac{m_A k}{(m_A + m_B)m_B}}(L-l)\)
別解: エネルギー分配則を用いた解法

思考の道筋とポイント
運動量が保存される系(重心が静止している系)において、2物体の運動エネルギーの比は、質量の逆比になるという性質を利用します。
これにより、連立方程式を解く手間を省き、エネルギーの総量から直接各物体のエネルギーを求め、速度を導出できます。

この設問における重要なポイント

  • エネルギー分配則: 運動量の和が \(0\) のとき、運動エネルギー \(K\) の比は \(K_A : K_B = \frac{1}{m_A} : \frac{1}{m_B} = m_B : m_A\) となります。
  • 全エネルギー: 全エネルギー \(E = \frac{1}{2}k(L-l)^2\) が、この比率で分配されます。

具体的な解説と立式
運動量保存則 \(m_A v_A + m_B v_B = 0\) より、速さの比は \(|v_A| : |v_B| = m_B : m_A\) です。
よって、運動エネルギーの比は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
K_A : K_B &= \frac{1}{2}m_A {v_A}^2 : \frac{1}{2}m_B {v_B}^2 \\[2.0ex]
&= m_A (m_B)^2 : m_B (m_A)^2 \\[2.0ex]
&= m_B : m_A
\end{aligned}
$$
全エネルギー \(E = \frac{1}{2}k(L-l)^2\) は、この比率で分配されます。
Aの運動エネルギー \(K_A\) とBの運動エネルギー \(K_B\) を立式します。
$$
\begin{aligned}
K_A &= \frac{m_B}{m_A + m_B} E \\[2.0ex]
K_B &= \frac{m_A}{m_A + m_B} E
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 運動エネルギー: \(K = \frac{1}{2}mv^2\)
  • 比例配分
計算過程

Aの運動エネルギー \(K_A = \frac{1}{2}m_A {v_A}^2\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{2}m_A {v_A}^2 &= \frac{m_B}{m_A + m_B} \cdot \frac{1}{2}k(L – l)^2
\end{aligned}
$$
両辺の \(\frac{1}{2}\) を消去し、\(v_A\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
{v_A}^2 &= \frac{m_B}{m_A(m_A + m_B)} k(L – l)^2 \\[2.0ex]
v_A &= \sqrt{\frac{m_B k}{m_A(m_A + m_B)}} (L – l) \quad (v_A > 0)
\end{aligned}
$$
同様に B についても、
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{2}m_B {v_B}^2 &= \frac{m_A}{m_A + m_B} \cdot \frac{1}{2}k(L – l)^2 \\[2.0ex]
{v_B}^2 &= \frac{m_A}{m_B(m_A + m_B)} k(L – l)^2 \\[2.0ex]
v_B &= -\sqrt{\frac{m_A k}{m_B(m_A + m_B)}} (L – l) \quad (v_B < 0)
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

「軽いものほど速く動くので、エネルギーもたくさん持っていく」という直感的な理解を数式化したものです。
全財産(弾性エネルギー)を、質量の逆比というルールで山分けすると考えれば、連立方程式を解かずにいきなり答えにたどり着けます。

結論と吟味

メインの解法と全く同じ結果が得られました。計算量が大幅に減るため、検算用としても非常に強力です。

解答 (2)
\(\displaystyle v_A = \sqrt{\frac{m_B k}{(m_A + m_B)m_A}}(L-l)\)
\(\displaystyle v_B = -\sqrt{\frac{m_A k}{(m_A + m_B)m_B}}(L-l)\)

問(3)

思考の道筋とポイント
重心の座標 \(x_G\) を求める定義の問題です。
重心の定義式をそのまま適用します。

この設問における重要なポイント

  • 重心の定義: 2物体の場合、重心座標は質量の重み付き平均で表されます。

具体的な解説と立式
物体Aの位置を \(x_A\)、物体Bの位置を \(x_B\) とします。
重心の座標 \(x_G\) の定義式は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
x_G &= \frac{m_A x_A + m_B x_B}{m_A + m_B}
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 重心の定義式: \(x_G = \frac{m_1 x_1 + m_2 x_2}{m_1 + m_2}\)
計算過程

定義式そのものが答えとなります。これ以上の計算はありません。

この設問の平易な説明

重心とは、物体の配置における「質量の中心点」のことです。重い物体の方に近い位置になります。この式は、それぞれの位置を質量で重み付けして平均をとったものです。

結論と吟味

この系には外力が働かないため、重心の速度は一定(今回は初期静止なので常に静止)ですが、座標の定義式自体は時刻によらず常にこの形です。

解答 (3) \(\displaystyle \frac{m_A x_A + m_B x_B}{m_A + m_B}\)

問(4)

思考の道筋とポイント
物体A、Bそれぞれの運動方程式を立てます。
ばねの伸びを \(X\) としたとき、ばねが及ぼす弾性力の大きさは \(kX\) です。
力の向きに注意して立式します。

この設問における重要なポイント

  • ばねの伸び \(X\): 問題文より \(X = x_B – x_A – l\) です。\(X > 0\) のときばねは伸びています。
  • 力の向き: ばねが伸びているとき、ばねは縮もうとするので、左側の物体Aを右向き(正)に引き、右側の物体Bを左向き(負)に引きます。

具体的な解説と立式
ばねの伸びが \(X\) のとき、弾性力の大きさは \(kX\) です。
図bを参照して、それぞれの物体にはたらく力を考えます。

  • 物体A: 右向きに弾性力 \(kX\) を受けます。
  • 物体B: 左向きに弾性力 \(kX\) を受けます。

運動の向き(右向き)を正として、それぞれの運動方程式を立てます。
$$
\begin{aligned}
\text{A}: \quad m_A a_A &= kX \\[2.0ex]
\text{B}: \quad m_B a_B &= -kX
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 運動方程式: \(ma = F\)
  • フックの法則: \(F = kx\)
計算過程

立式した式がそのまま答えとなります。

この設問の平易な説明

ニュートンの運動方程式「質量 \(\times\) 加速度 \(=\) 力」をそれぞれの物体について書くだけです。
ポイントは力の向きです。ばねが伸びているとき、両端の物体は内側に引っ張られます。右向きをプラスとしているので、Aにはプラスの力、Bにはマイナスの力が働きます。

結論と吟味

作用・反作用の法則により、AとBに働く力は大きさ等しく逆向き(\(kX\) と \(-kX\))になっています。これは物理的に正しいです。

解答 (4)
A: \(m_A a_A = kX\)
B: \(m_B a_B = -kX\)

問(5)

思考の道筋とポイント
2つの物体の運動方程式から、相対運動(距離の変化)に関する方程式を導きます。
相対加速度 \(a = a_B – a_A\) を計算し、それが単振動の式 \(Ma = -kX\) の形になることを示します。
これにより、2体問題を「質量 \(M\) の1つの物体がばね定数 \(k\) のばねで振動している」とみなすことができます。

この設問における重要なポイント

  • 相対加速度: \(a = a_B – a_A\) です。
  • 式の変形: (4)の運動方程式から \(a_A, a_B\) を求め、相対加速度の定義式に代入します。

具体的な解説と立式
(4)の運動方程式より、それぞれの加速度は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
a_A &= \frac{kX}{m_A} \\[2.0ex]
a_B &= -\frac{kX}{m_B}
\end{aligned}
$$
相対加速度 \(a\) を立式します。
$$
\begin{aligned}
a &= a_B – a_A
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 相対加速度の定義: \(a_{\text{相対}} = a_{\text{相手}} – a_{\text{自分}}\)
計算過程

\(a_A, a_B\) を代入して整理します。
$$
\begin{aligned}
a &= \left( -\frac{kX}{m_B} \right) – \left( \frac{kX}{m_A} \right) \\[2.0ex]
&= – \left( \frac{1}{m_B} + \frac{1}{m_A} \right) kX \\[2.0ex]
&= – \left( \frac{m_A + m_B}{m_A m_B} \right) kX
\end{aligned}
$$
この式を、指定された形 \(Ma = -kX\) と比較するために変形します。
両辺に \(\frac{m_A m_B}{m_A + m_B}\) を掛けます。
$$
\begin{aligned}
\frac{m_A m_B}{m_A + m_B} a &= -kX
\end{aligned}
$$
これより、質量に相当する \(M\) は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
M &= \frac{m_A m_B}{m_A + m_B}
\end{aligned}
$$
また、単振動の加速度の式 \(a = -\omega^2 X\) と比較します。
先ほどの式 \(a = – \frac{m_A + m_B}{m_A m_B} kX\) より、
$$
\begin{aligned}
\omega^2 &= \frac{m_A + m_B}{m_A m_B} k
\end{aligned}
$$
したがって、角振動数 \(\omega\) は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
\omega &= \sqrt{\frac{m_A + m_B}{m_A m_B} k}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

2つの物体が動く複雑な問題を、「相手から見た自分の動き(相対運動)」に注目することでシンプルにしました。
計算の結果、この相対運動は「換算質量 \(M\)」という特別な質量を持つ1つの物体が、ばねにつながれて振動しているのと同じ式になりました。
これにより、2つの物体の動きをまとめて1つの単振動として扱えるようになります。

結論と吟味

求まった \(M\) は「換算質量」と呼ばれ、2体問題では頻出の量です。
\(m_A \to \infty\) のとき \(M \to m_B\) となり、壁(無限大質量)につながれた物体Bの振動と一致するため、妥当です。

解答 (5)
\(\displaystyle M = \frac{m_A m_B}{m_A + m_B}\)
\(\displaystyle \omega = \sqrt{\frac{m_A + m_B}{m_A m_B}k}\)

問(6)

思考の道筋とポイント
相対変位 \(X\) と物体Aの位置 \(x_A\) を時間の関数として求めます。
\(X\) は単振動を行いますが、初期条件(時刻 \(t=0\) の定義)に注意が必要です。
\(x_A\) は、重心座標 \(x_G\) と相対座標 \(X\) の関係式から導きます。

この設問における重要なポイント

  • 時刻 \(t=0\) の定義: 「手をはなしたあと、最初にばねが自然の長さになった時刻を \(0\) とし」とあります。
    • 手を放した瞬間(最大伸び \(L-l\))から自然長までは \(1/4\) 周期です。
    • \(t=0\) で \(X=0\) であり、その後ばねは縮む(\(X\) が負になる)方向へ運動します。
    • したがって、\(X\) のグラフは原点からマイナス方向へ進む正弦波(\(-\sin\) 型)になります。
  • 座標変換: \(x_A\) を求めるには、\(x_G\) と \(X\) を使って \(x_A\) を表す式を作ります。

具体的な解説と立式
1. \(X\) の導出
単振動の振幅 \(A\) は、最大伸びである \(L-l\) です。
時刻 \(t=0\) で \(X=0\) を通り、その後 \(X\) は減少(縮む方向、負の方向)します。
よって、\(X\) は以下の形の関数になります。
$$
\begin{aligned}
X &= -A \sin \omega t \\[2.0ex]
&= -(L – l) \sin \omega t
\end{aligned}
$$
2. \(x_A\) の導出
重心の定義式と相対変位の定義式を連立して \(x_A\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
x_G &= \frac{m_A x_A + m_B x_B}{m_A + m_B} \quad \cdots ④ \\[2.0ex]
X &= x_B – x_A – l \quad \cdots ⑤
\end{aligned}
$$
式⑤より \(x_B\) を消去する形に変形します。
$$
\begin{aligned}
x_B &= x_A + X + l
\end{aligned}
$$
これを式④に代入して \(x_A\) について解きます。

使用した物理公式

  • 単振動の変位: \(x = A \sin(\omega t + \phi)\)
  • 重心と相対座標の関係
計算過程

\(x_B = x_A + X + l\) を式④に代入します。
$$
\begin{aligned}
x_G &= \frac{m_A x_A + m_B (x_A + X + l)}{m_A + m_B} \\[2.0ex]
(m_A + m_B) x_G &= (m_A + m_B) x_A + m_B X + m_B l
\end{aligned}
$$
\(x_A\) について整理します。
$$
\begin{aligned}
(m_A + m_B) x_A &= (m_A + m_B) x_G – m_B l – m_B X \\[2.0ex]
x_A &= x_G – \frac{m_B}{m_A + m_B} l – \frac{m_B}{m_A + m_B} X
\end{aligned}
$$
ここで、求めた \(X = -(L – l) \sin \omega t\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
x_A &= x_G – \frac{m_B}{m_A + m_B} l – \frac{m_B}{m_A + m_B} \left\{ -(L – l) \sin \omega t \right\} \\[2.0ex]
&= x_G – \frac{m_B}{m_A + m_B} l + \frac{m_B}{m_A + m_B} (L – l) \sin \omega t
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

まず、ばねの伸び縮み \(X\) の動きを決めます。自然長を通過した瞬間をスタートとして、その後縮んでいくので、サインカーブをひっくり返した形(マイナスサイン)になります。
次に、Aの位置 \(x_A\) を求めます。Aの位置は、「動かない重心の位置」から「重心とAの距離」を引いた場所にあると考えられます。
計算の結果、Aもまた単振動(サインカーブ)の動きをすることがわかります。

結論と吟味

\(X\) は振幅 \(L-l\) の単振動であり、初期条件を満たしています。
\(x_A\) の式を見ると、定数項(振動の中心)と振動項(\(\sin\) の項)に分かれています。
振動項の振幅は \(\frac{m_B}{m_A+m_B}(L-l)\) となり、重心から見たAの振幅として正しい比率(質量の逆比)になっています。

解答 (6)
\(\displaystyle X = -(L-l)\sin \omega t\)
\(\displaystyle x_A = x_G – \frac{m_B}{m_A+m_B}l + \frac{m_B}{m_A+m_B}(L-l)\sin \omega t\)
別解: 問(4)〜(6) 微積分を用いた体系的解法

思考の道筋とポイント
設問(4)〜(6)の流れを、運動方程式の変数変換によって一気に解く体系的な手法です。
2つの物体の座標 \(x_A, x_B\) を、重心座標 \(x_G\)相対座標 \(x_r\) という新しい変数に変換することで、連立微分方程式を独立した2つの微分方程式に分離します。

この設問における重要なポイント

  • 変数の定義:
    • 重心座標: \(x_G = \frac{m_A x_A + m_B x_B}{m_A + m_B}\)
    • 相対座標: \(x_r = x_B – x_A\) (問題文の \(X\) との関係は \(x_r = X + l\))
  • 運動方程式の分離:
    • 重心運動: 外力が \(0\) なので等速直線運動(\(\ddot{x}_G = 0\))。
    • 相対運動: 換算質量 \(\mu\) を用いた単振動(\(\mu \ddot{x}_r = -k(x_r – l)\))。

具体的な解説と立式
運動方程式は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
m_A \ddot{x}_A &= k(x_B – x_A – l) \quad \cdots ⑥ \\[2.0ex]
m_B \ddot{x}_B &= -k(x_B – x_A – l) \quad \cdots ⑦
\end{aligned}
$$
1. 重心運動の導出
式⑥ \(+\) 式⑦ を計算します。
$$
\begin{aligned}
m_A \ddot{x}_A + m_B \ddot{x}_B &= 0 \\[2.0ex]
\frac{d^2}{dt^2}(m_A x_A + m_B x_B) &= 0
\end{aligned}
$$
ここで \(x_G\) の定義より \(m_A x_A + m_B x_B = (m_A + m_B)x_G\) なので、
$$
\begin{aligned}
(m_A + m_B) \ddot{x}_G &= 0
\end{aligned}
$$
これは重心が等速直線運動(今回は初期静止なので静止)することを示します。

2. 相対運動の導出
式⑦ \(/ m_B\) \(-\) 式⑥ \(/ m_A\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
\ddot{x}_B – \ddot{x}_A &= -k \left( \frac{1}{m_B} + \frac{1}{m_A} \right) (x_B – x_A – l)
\end{aligned}
$$
相対座標 \(x_r = x_B – x_A\) を用いると、\(\ddot{x}_r = \ddot{x}_B – \ddot{x}_A\) なので、
$$
\begin{aligned}
\ddot{x}_r &= -k \left( \frac{m_A + m_B}{m_A m_B} \right) (x_r – l)
\end{aligned}
$$
換算質量 \(\mu = \frac{m_A m_B}{m_A + m_B}\) を用いて整理すると、
$$
\begin{aligned}
\mu \ddot{x}_r &= -k(x_r – l)
\end{aligned}
$$
これは、平衡点 \(l\)、ばね定数 \(k\)、質量 \(\mu\) の単振動の方程式です。

使用した物理公式

  • 運動方程式の変数変換
  • 単振動の微分方程式: \(m\ddot{x} = -K(x – x_0)\)
計算過程

一般解の導出と初期条件の適用
相対運動の角振動数は \(\omega = \sqrt{\frac{k}{\mu}} = \sqrt{\frac{m_A + m_B}{m_A m_B}k}\) です。
\(x_r\) の一般解は、平衡点 \(l\) を中心として以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
x_r(t) &= l + C_1 \sin(\omega t + \phi)
\end{aligned}
$$
問題文の \(X\) は \(X = x_r – l\) なので、
$$
\begin{aligned}
X(t) &= C_1 \sin(\omega t + \phi)
\end{aligned}
$$
ここで、時刻 \(t=0\) の条件「ばねが自然の長さ(\(X=0\))になり、その後縮む(速度負)」を適用します。
\(t=0\) で \(X=0\) より \(\sin \phi = 0\)、よって \(\phi = 0\) または \(\pi\)。
その後縮む(速度 \(v < 0\))ためには、傾きが負である必要があるため、\(\phi = \pi\) を選びます(あるいは係数を負にします)。
振幅は最大伸び \(L-l\) なので \(C_1 = L-l\)。
よって、
$$
\begin{aligned}
X(t) &= (L-l) \sin(\omega t + \pi) \\[2.0ex]
&= -(L-l) \sin \omega t
\end{aligned}
$$
これにより、設問(6)の \(X\) の式が得られました。
\(x_A\) については、\(x_A = x_G – \frac{m_B}{m_A+m_B}x_r\) の関係(重心定義からの逆変換)を用いれば、同様に導出できます。

この設問の平易な説明

2つの物体が動く問題を、「全体の移動(重心)」と「2物体の間隔の変化(相対)」という2つの独立した動きに分解しました。
数学的には、変数を変換することで、絡み合った連立方程式を、それぞれ単独で解ける単純な方程式にバラしたことになります。
この手法は、天体の運動や原子の振動など、物理学のあらゆる場面で使われる強力なツールです。

結論と吟味

誘導に従わずに原理から解くことで、\(M\) や \(\omega\) の意味、そして \(X\) の時間変化が自然に導かれました。結果は全て模範解答と一致します。

解答 (4)〜(6) メイン解法と同じ

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?

  • 運動量保存則と重心の運動
    • 核心: 水平面がなめらかで水平方向の外力が働かないため、系全体の運動量は保存され、重心は等速直線運動(初期静止なら常に静止)を続けます。
    • 理解のポイント:
      • 個々の物体は複雑に動いても、「重心」という代表点は単純な動きをします。
      • 重心座標 \(x_G\) は、質量の重み付き平均で求まり、時間変化しません。
  • 2体問題の相対運動と換算質量
    • 核心: 相互作用する2つの物体の運動は、重心運動と分離することで、「換算質量 \(M\) を持つ1つの物体がばねにつながれて振動する問題」に帰着できます。
    • 理解のポイント:
      • 相対加速度 \(a = a_B – a_A\) を考えることで、2つの運動方程式を1つに統合できます。
      • 換算質量 \(M = \frac{m_A m_B}{m_A + m_B}\) は、2体問題特有の「動きにくさ」を表す質量です。

応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点

  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 天体の連星運動: 万有引力で引き合う2つの星の運動も、力は異なりますが「重心運動+相対運動」という解析手法は全く同じです。
    • 静止した物体からの分裂: ばねではなく火薬の爆発などで2物体が分裂する場合も、運動量保存則とエネルギー分配則(質量の逆比)がそのまま使えます。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 外力の有無を確認: 水平方向に外力がなければ「運動量保存則」と「重心等速」が確定します。
    2. 初期条件の時系列整理: 「手を放した瞬間」「自然長に戻った瞬間」「最大伸びの瞬間」など、どのタイミングを問われているか、どこが時刻 \(t=0\) かを正確に把握します。

要注意!ありがちなミス・誤解とその対策

  • 時刻 \(t=0\) の取り違えによる三角関数の選択ミス:
    • 誤解: 「単振動といえば \(\cos\) 型」や「手を放した瞬間が \(t=0\)」と思い込み、\(X = (L-l)\cos \omega t\) と答えてしまう。
    • 対策: 問題文の「自然の長さになった時刻を \(0\) とし」という条件を必ずマーカーで強調します。グラフの概形(\(0\) から始まりマイナス方向へ進む)を描いて、\(-\sin\) 型であることを視覚的に確認します。
  • 力の向きと符号の混乱:
    • 誤解: ばねが伸びているとき、右側の物体Bにも「右向き」の力が働くと勘違いしたり、符号を逆に立式してしまう。
    • 対策: 必ず図を描き、ばねが「縮もうとしている」ことを矢印で書き込みます。その矢印の向きが、設定した座標軸の正負と合っているかを確認してから立式します。

なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法

  • 設問(2)別解でのエネルギー分配則:
    • 選定理由: 運動量保存則とエネルギー保存則の連立方程式を解く計算手間を省き、瞬時に答えを導くため。検算としても最強のツールです。
    • 適用根拠: 重心が静止している(運動量の総和が \(0\))系において、運動エネルギーは質量の逆比に分配されるという物理法則に基づいています。
  • 設問(5)での相対運動方程式の導出:
    • 選定理由: 2つの物体個別の動きを追うよりも、相対距離 \(X\) の変化(ばねの伸縮)に注目したほうが、単振動としての特性(周期や振動数)が見えやすいため。
    • 適用根拠: 運動方程式の線形性を利用し、辺々を引くことで内力(ばねの力)のみに依存する式を作れるため。

計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック

  • 極限的なケースでの検算(極限チェック):
    • 意識: 導出した式が、極端な条件下でも物理的に正しい振る舞いをするか確認する。
    • 実践: 例えば \(m_A \to \infty\) (Aが巨大な壁になる)とすると、換算質量 \(M \to m_B\) となり、角振動数 \(\omega \to \sqrt{k/m_B}\) となります。これは壁につながれたばね振り子の式と一致するため、計算が正しいと確信できます。
  • 次元解析(単位チェック):
    • 意識: 文字式の計算結果が、求められている物理量の単位(次元)を持っているか確認する。
    • 実践: 速度 \(v\) の式なら \(\sqrt{\frac{k}{m}} \cdot L\) の形(\([T^{-1}] \cdot [L] = [LT^{-1}]\)) になっているか、エネルギーなら \(kL^2\) の形になっているかを常に見る癖をつけます。
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問題62 地球のトンネル (23 東北大 改)

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(3)(b)の別解: 定積分の計算による仕事の導出
      • 模範解答が \(F-r\) グラフの面積(三角形の面積)として仕事を求めているのに対し、別解では力の式を位置 \(r\) で積分することで仕事を計算します。
    • 設問(2)〜(3)の別解: 微積分を用いた体系的解法(万有引力ポテンシャルの接続)
      • 模範解答が各設問ごとに幾何学的・代数的に解いているのに対し、別解では「万有引力場の積分によるポテンシャルの定義」から出発し、地球外部と内部のポテンシャルを滑らかに接続することで、位置エネルギーや速度を一貫した原理から導出します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 積分の解法: 力が一定でない場合(変位に伴って変化する場合)の仕事の定義が \(\int F dx\) であることを再確認でき、グラフが直線にならない一般的なケースにも対応できる力がつきます。
    • 微積分の解法: 「無限遠を基準とする位置エネルギー」の物理的意味を、積分の経路として視覚的・数式的に深く理解できます。特に地球内部のポテンシャルは公式暗記ではなく導出過程が重要です。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「地球内外における万有引力とエネルギー」です。
地球を均質な球体とみなし、その外部での円運動と、内部トンネルでの単振動、そして外部から内部へ落下する運動をエネルギーの観点から解析します。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 万有引力の法則: 2物体間には \(F = G\frac{Mm}{r^2}\) の引力が働きます。
  2. 円運動の運動方程式: 向心方向の運動方程式 \(m\frac{v^2}{r} = F\) を立てます。
  3. 地球内部の重力: 一様な球殻からの引力は内部で打ち消し合うため、中心から距離 \(r\) の地点での引力は、半径 \(r\) の内側の質量のみが中心に集中していると考えて計算できます。
  4. 単振動: 復元力 \(F = -Kx\) が働くとき、周期 \(T = 2\pi\sqrt{\frac{m}{K}}\) の単振動をします。
  5. 力学的エネルギー保存則: 万有引力による位置エネルギーと運動エネルギーの和は保存されます。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)では、通常の万有引力の公式を用いて円運動を解析します。
  2. (2)では、地球内部の質量分布を考慮して万有引力を求め、それが距離に比例する復元力となることを示し、単振動の周期を求めます。
  3. (3)では、万有引力がする仕事を計算し、エネルギー保存則を用いて速度や位置エネルギーを導出します。内部の仕事は力が変化するため、グラフの面積または積分を用います。

問(1)

ここから先が、他の受験生と差がつく重要パートです。

「解法に至る思考プロセス」
全て言語化した、超詳細解説。

なぜその公式を使うのか?どうしてその着眼点を持てるのか?
市販の解説では省略されてしまう「行間の思考」を、泥臭く解説しています。
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