「物理重要問題集2026」徹底解説(34〜36問):未来の得点力へ!完全マスター講座

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問題34 液体の抵抗を受ける物体 (24 名古屋大)

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(2)の別解1: 系全体の運動方程式を用いた解法
      • 模範解答が「金属球」と「水槽+液体」を別々の物体として扱い、作用・反作用の法則を用いて垂直抗力を求めるのに対し、別解1ではこれら全体を一つの「系」として捉え、重心の運動方程式(系の運動方程式)を用いて一発で垂直抗力を導出します。
    • 設問(2)〜(4)の別解2: 微積分を用いた体系的解法(運動方程式の積分)
      • 運動方程式を微分方程式として扱い、数学的に解くことで速度 \(v(t)\) の時間変化を厳密に導出します。これにより、垂直抗力 \(N(t)\) のグラフの形状(指数関数的な変化)を定量的かつ論理的に説明します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 系全体の解法: 液体と球の間で及ぼし合う抵抗力(内力)を考慮する必要がなくなり、計算ミスを減らせるほか、物体系の重心運動という高度な視点を養えます。
    • 微積分の解法: 「速度が一定になる」という結果だけでなく、「どのように一定値に近づくか」という過渡現象を理解でき、グラフ選択問題での確信度を高めます。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「粘性抵抗を受ける物体の落下運動と、それを含む系全体の力のつりあい」です。
流体中を落下する物体が受ける抵抗力と、その反作用が容器(水槽)に及ぼす影響を考察します。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 作用・反作用の法則: 物体Aが物体Bに力を及ぼすと、物体Bは物体Aに「大きさ等しく、向きが逆の力」を及ぼします。特に、球が液体から受ける抵抗力の反作用として、液体(および水槽)は球から力を受けます。
  2. 運動方程式: 物体の加速度と力の関係を記述します。
  3. 終端速度: 抵抗力が速度に依存して大きくなり、重力とつりあって加速度が \(0\) になった状態の速度です。
  4. 系全体の運動方程式(重心運動方程式): 複数の物体を一つの系とみなすと、内力(物体間で及ぼし合う力)は相殺され、外力のみを考慮すればよくなります。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)では、糸を切る前後の瞬間における力のつりあいを考えます。速度が \(0\) なら抵抗力も \(0\) である点に注意します。
  2. (2)では、落下中の金属球の運動方程式を立てます。また、水槽が床から受ける垂直抗力を求めるために、水槽と液体にはたらく力を列挙し、つりあいの式を立てます。
  3. (3)では、加速度が \(0\) になる条件を用いて終端速度を求め、そのときの垂直抗力を計算します。
  4. (4)では、速度 \(v\) の変化に伴って垂直抗力 \(N\) がどう変化するかをグラフから選びます。

問(1)

思考の道筋とポイント
まずは「糸を切る直前」と「糸を切った直後」のそれぞれの状態を整理します。
どちらの状態でも、金属球の速度は \(0\) です。
抵抗力の大きさは \(kv\) なので、速度 \(v=0\) のときは抵抗力も \(0\) となります。
また、金属球の体積は無視できるため、浮力も無視します。

この設問における重要なポイント

  • 速度0なら抵抗なし: \(v=0\) なので、液体と球の間には抵抗力による相互作用はありません。
  • 直前の状態: 球は糸で吊られており、水槽には触れていません。水槽と液体は床に乗っています。
  • 直後の状態: 糸は切れましたが、一瞬なので球の位置も速度も変わっていません(\(v=0\))。球は宙に浮いていますが、液体との相互作用(抵抗力)はまだ発生していません。

具体的な解説と立式
1. 糸を切る直前 (\(N_1\))
図a(模範解答の図a参照)のように考えます。
水槽と液体をひとまとめにした物体(質量 \(M + \rho V\))に着目します。
この物体にはたらく力は以下の通りです。

  • 重力: \((M + \rho V)g\) (鉛直下向き)
  • 床からの垂直抗力: \(N_1\) (鉛直上向き)

球は糸で吊られており、液体に対して力を及ぼしていません(浮力も抵抗力もなし)。
したがって、水槽と液体についての鉛直方向の力のつりあいの式を立てます。
$$
\begin{aligned}
(\text{上向きの力}) &= (\text{下向きの力}) \\[2.0ex]
N_1 &= (M + \rho V)g
\end{aligned}
$$
2. 糸を切った直後 (\(N_2\))
図b(模範解答の図b参照)のように考えます。
糸が切れた瞬間ですが、球の速度はまだ \(0\) です。
速度が \(0\) なので、抵抗力 \(kv\) も \(0\) です。
したがって、液体が球から受ける力(抵抗力の反作用)も \(0\) です。
水槽と液体にはたらく力は、直前と全く変わりません。
水槽と液体についての鉛直方向の力のつりあいの式を立てます。
$$
\begin{aligned}
(\text{上向きの力}) &= (\text{下向きの力}) \\[2.0ex]
N_2 &= (M + \rho V)g
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 力のつりあい: \((\text{力の和}) = 0\)
  • 抵抗力: \(f = kv\) (\(v=0\) のとき \(f=0\))
計算過程

立式した式をそのまま整理します。
$$
\begin{aligned}
N_1 &= (M + \rho V)g
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
N_2 &= (M + \rho V)g
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

糸を切る前、水槽は自分自身の重さと中の液体の重さを支えています。球は糸が支えているので関係ありません。
糸を切った瞬間、球は落ち始めようとしますが、まだスピードが出ていません。
液体の抵抗力は「動いている物体」に対してはたらくので、止まっている(スピード0の)球からは何の力も受けません。
つまり、水槽にとっては、球が糸で吊られていようが、糸が切れてその場に浮いていようが、球から押されたり引かれたりしない限り、支える重さは変わりません。

結論と吟味

\(N_1\) と \(N_2\) は等しく、\((M + \rho V)g\) となります。
これは、球と液体の間に相互作用がないため、水槽が支えるのは「水槽+液体」の重力のみであるという物理的直感と一致します。

解答 (1) \(N_1 = (M + \rho V)g\), \(N_2 = (M + \rho V)g\)

問(2)

思考の道筋とポイント
時刻 \(0 < t < t_1\) では、金属球は速度 \(v\) で落下しています。
このとき、球は液体から上向きの抵抗力 \(kv\) を受けます。
同時に、作用・反作用の法則により、液体(水槽側)は球から下向きの力 \(kv\) を受けます。
この「反作用」を見落とさないことが最大のポイントです。

この設問における重要なポイント

  • 金属球の運動方程式: 球には重力と抵抗力がはたらき、加速しています。
  • 作用・反作用: 球が受ける抵抗力 \(kv\)(上向き)に対し、液体は反作用 \(kv\)(下向き)を受けます。
  • 水槽のつりあい: 水槽は動いていないので、力のつりあいが成立します。

具体的な解説と立式
1. 金属球の運動方程式
図c(模範解答の図c参照)のように、金属球(質量 \(m\))にはたらく力を考えます。

  • 重力: \(mg\) (鉛直下向き)
  • 抵抗力: \(kv\) (鉛直上向き)

鉛直下向きを正として、加速度 \(a\) で運動する球の運動方程式を立てます。
$$
\begin{aligned}
ma &= (\text{運動方向の力}) – (\text{逆方向の力}) \\[2.0ex]
ma &= mg – kv \quad \cdots ①
\end{aligned}
$$
2. 水槽が床から受ける垂直抗力 \(N_3\)
図d(模範解答の図d参照)のように、水槽と液体(質量 \(M + \rho V\))にはたらく力を考えます。

  • 重力: \((M + \rho V)g\) (鉛直下向き)
  • 球からの抵抗力の反作用: \(kv\) (鉛直下向き)
  • 床からの垂直抗力: \(N_3\) (鉛直上向き)

水槽は静止しているので、鉛直方向の力のつりあいの式を立てます。
$$
\begin{aligned}
(\text{上向きの力}) &= (\text{下向きの力}) \\[2.0ex]
N_3 &= (M + \rho V)g + kv \quad \cdots ②
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 運動方程式: \(ma = F\)
  • 作用・反作用の法則
  • 力のつりあい
計算過程

式①は既に運動方程式の形になっています。
$$
\begin{aligned}
ma &= mg – kv
\end{aligned}
$$
式②も既に \(N_3\) について解かれています。
$$
\begin{aligned}
N_3 &= (M + \rho V)g + kv
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

球が液体の中を落ちていくとき、球は液体を押しのけて進むので、液体から「邪魔だ!」という抵抗力を受けます。
逆に言えば、球は液体を「どけ!」と下向きに押しながら進んでいることになります。
水槽はこの「球が液体を下向きに押す力」も支えなければなりません。
だから、水槽が床を押す力(=床からの垂直抗力)は、もともとの重さに加えて、この抵抗力の分だけ増えることになります。

結論と吟味

運動方程式は \(ma = mg – kv\)、垂直抗力は \(N_3 = (M + \rho V)g + kv\) です。
速度 \(v\) が増えると抵抗力 \(kv\) が増し、垂直抗力 \(N_3\) も増加するという関係は、球が液体をより強く押すことになるため妥当です。

解答 (2) 運動方程式: \(ma = mg – kv\), \(N_3 = (M + \rho V)g + kv\)
別解: 系全体の運動方程式を用いた解法

思考の道筋とポイント
「金属球」と「水槽+液体」を個別に考えるのではなく、これら全てを一つの「系」として捉えます。
系全体にはたらく外力と、系の重心運動の関係(系全体の運動方程式)に着目します。
この方法では、球と液体の間の抵抗力 \(kv\) は「内力」となり、式に現れません。

この設問における重要なポイント

  • 内力の相殺: 系全体で見ると、抵抗力とその反作用は互いに打ち消し合います。
  • 重心の加速度: 水槽と液体は静止(加速度 \(0\))、球は加速度 \(a\) で運動しています。

具体的な解説と立式
系全体(球+水槽+液体)の全質量は \(m + M + \rho V\) です。
系全体にはたらく外力は以下の通りです。

  • 全重力: \((m + M + \rho V)g\) (鉛直下向き)
  • 床からの垂直抗力: \(N_3\) (鉛直上向き)

鉛直下向きを正とします。
球の加速度は \(a\)、水槽と液体の加速度は \(0\) です。
系全体の運動方程式(全質量 \(\times\) 重心加速度 \(=\) 外力の総和)は、個々の物体の \((\text{質量} \times \text{加速度})\) の和が外力の和に等しいという式になります。
$$
\begin{aligned}
ma + (M + \rho V) \cdot 0 &= (\text{下向きの外力}) – (\text{上向きの外力}) \\[2.0ex]
ma &= (m + M + \rho V)g – N_3 \quad \cdots ③
\end{aligned}
$$
ここで、球単体の運動方程式 \(ma = mg – kv\) (式①)を代入することで \(N_3\) を求めます。

使用した物理公式

  • 系全体の運動方程式: \(\sum m_i a_i = \sum F_{\text{外力}}\)
計算過程

式③に \(ma = mg – kv\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
mg – kv &= (m + M + \rho V)g – N_3
\end{aligned}
$$
\(N_3\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
N_3 &= (m + M + \rho V)g – (mg – kv) \\[2.0ex]
&= mg + Mg + \rho Vg – mg + kv \\[2.0ex]
&= (M + \rho V)g + kv
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

「球」と「水槽」をまとめて一つのグループと考えます。
このグループの中で、球だけが下向きに加速しようとしています。
「加速する」ということは、トータルの力が下向きに余っているということです。
つまり、「重力(下向き)」が「床からの支え(上向き)」よりも大きいから、その差額分で球が加速できているわけです。
この関係式を作ると、内力(抵抗力)を気にせずに垂直抗力を計算できます。

結論と吟味

メインの解法と同じ結果 \(N_3 = (M + \rho V)g + kv\) が得られました。
内力を考えなくて済むため、計算ミスが減る強力な手法です。

解答 (2) \(N_3 = (M + \rho V)g + kv\)

問(3)

思考の道筋とポイント
「終端速度に到達した」とは、速度が一定になった、つまり加速度が \(0\) になった状態を指します。
問(2)で立てた運動方程式において \(a=0\) とすることで、そのときの速度(終端速度 \(v_{\text{f}}\))が求まります。
さらに、その \(v_{\text{f}}\) を \(N_3\) の式に代入すれば、そのときの垂直抗力 \(N_4\) が求まります。

この設問における重要なポイント

  • 終端速度の条件: 加速度 \(a=0\)、速度 \(v = v_{\text{f}}\)(一定)。
  • 力のつりあい: 球については、重力と抵抗力が完全につりあっています。

具体的な解説と立式
時刻 \(t=t_1\) において、球の速度は \(v_{\text{f}}\)、加速度は \(0\) です。
問(2)の運動方程式(式①)において、\(a=0, v=v_{\text{f}}\) とします。
$$
\begin{aligned}
m \cdot 0 &= mg – k v_{\text{f}} \quad \cdots ④
\end{aligned}
$$
また、垂直抗力 \(N_4\) は、問(2)の \(N_3\) の式(式②)において \(v=v_{\text{f}}\) としたものです。
$$
\begin{aligned}
N_4 &= (M + \rho V)g + k v_{\text{f}} \quad \cdots ⑤
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 力のつりあい(終端速度状態): \(mg = kv_{\text{f}}\)
計算過程

式④より、終端速度 \(v_{\text{f}}\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
0 &= mg – k v_{\text{f}} \\[2.0ex]
k v_{\text{f}} &= mg \\[2.0ex]
v_{\text{f}} &= \frac{mg}{k}
\end{aligned}
$$
これを式⑤に代入して \(N_4\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
N_4 &= (M + \rho V)g + mg \\[2.0ex]
&= (M + m + \rho V)g
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

球がどんどん速くなると、抵抗力も大きくなります。やがて抵抗力が重力と同じ大きさになると、球はそれ以上加速しなくなります(終端速度)。
このとき、球にはたらく重力 \(mg\) は、抵抗力 \(kv_{\text{f}}\) によって完全に支えられています。
そして、その抵抗力の反作用として、液体(水槽)は下向きに \(kv_{\text{f}} = mg\) の力を受けます。
つまり、水槽は「自分の重さ」+「液体の重さ」+「球の重さ相当の力」を支えることになります。
結果として、全体の重さ \((M + m + \rho V)g\) がそのまま床にかかることになります。

結論と吟味

\(N_4 = (M + m + \rho V)g\) となりました。
これは、球が一定速度で落ちているとき、系全体としては加速度が \(0\) なので、外力の総和(重力と垂直抗力)がつりあっている状態、すなわち \(N = \text{全重力}\) となることと完全に一致します。

解答 (3) \(N_4 = (M + m + \rho V)g\)

問(4)

思考の道筋とポイント
垂直抗力 \(N\) の時間変化をグラフから選びます。
これまでの結果を整理します。

  • \(t=0\) (直後): \(N = N_2 = (M + \rho V)g\)
  • \(0 < t < t_1\) : \(N = N_3 = (M + \rho V)g + kv\)
    • 速度 \(v\) は \(0\) から \(v_{\text{f}}\) まで増加します。したがって \(N\) も増加します。
  • \(t=t_1\) (終端速度): \(N = N_4 = (M + m + \rho V)g\)
    • \(t_1 < t < t_2\) の間、速度は \(v_{\text{f}}\) で一定なので、\(N\) も \(N_4\) で一定です。
  • \(t > t_2\) (底面で静止): 球は床(水槽の底)に乗って静止します。

この設問における重要なポイント

  • 増加の様子: \(v\) が増加するにつれて \(N\) も増加します。
  • 最終状態: 底に落ちて静止した後は、単に物体が積み重なっているだけなので、全重力が垂直抗力になります。

具体的な解説と立式
1. \(0 < t < t_1\) の変化
\(N = (M + \rho V)g + kv\) です。
速度 \(v\) は時間とともに増加しますが、その増加の勢い(加速度)は徐々に小さくなり、一定値 \(v_{\text{f}}\) に近づきます(上に凸のグラフ)。
したがって、\(N\) も同様に、急激に増えた後、徐々に一定値 \(N_4\) に近づく曲線を描きます。

2. \(t_1 < t < t_2\) の変化
速度が \(v_{\text{f}}\) で一定なので、\(N\) も \(N_4 = (M + m + \rho V)g\) で一定となります。

3. \(t > t_2\) の変化
球が底に着いて静止しました。
図e(模範解答の図e参照)のように、水槽の底が球を支える垂直抗力を \(R\) とすると、球のつりあいより \(R=mg\) です。
水槽は、球から反作用 \(R=mg\) を下向きに受けます。
水槽と液体にはたらく力のつりあいを考えます。
$$
\begin{aligned}
(\text{上向きの力}) &= (\text{下向きの力}) \\[2.0ex]
N_5 &= (M + \rho V)g + R \\[2.0ex]
&= (M + \rho V)g + mg \\[2.0ex]
&= (M + m + \rho V)g
\end{aligned}
$$
つまり、\(t > t_2\) における垂直抗力 \(N_5\) は、\(t_1 < t < t_2\) における \(N_4\) と全く同じ値です。

使用した物理公式

  • これまでの結果の統合
計算過程

グラフの特徴をまとめます。

  • \(t=0\) で \(N = (M + \rho V)g\) からスタート。
  • \(t_1\) まで増加し、\(N = (M + m + \rho V)g\) に達する。
  • \(t_1\) から \(t_2\) まで一定値 \((M + m + \rho V)g\) をキープ。
  • \(t_2\) 以降も同じ値 \((M + m + \rho V)g\) をキープ。

つまり、\(t_1\) 以降はずっと一定値(最大値)となるグラフを探します。
選択肢の中で、\(t_1\) まで増加し、その後ずっと横ばいになっているのは ⑧ です。

この設問の平易な説明

最初は球が止まっているので、水槽は自分の重さだけを支えています。
球が落ち始めると、抵抗力の反作用で水槽は下向きに押され、支える力が徐々に増えます。
球が最高速度(終端速度)になると、抵抗力は球の重さと同じになり、水槽は「自分の重さ+球の重さ」を支える状態になります。
その後、球が底に着いても、結局水槽は「自分の重さ+球の重さ」を支えることになるので、床からの垂直抗力は変わりません。
したがって、最初は低い値から始まり、増えていって一定になり、その後もずっと変わらないグラフを選びます。

結論と吟味

選択肢⑧が、導き出した挙動(増加 \(\to\) 一定 \(\to\) そのまま一定)と一致します。
特に \(t_2\) 前後で値が変わらない(不連続にならない)点が重要です。終端速度での抵抗力による押し付け(\(kv_{\text{f}}=mg\))と、底に着いてからの接触力による押し付け(\(R=mg\))が同じ大きさだからです。

解答 (4)
別解: 微積分を用いた体系的解法

思考の道筋とポイント
運動方程式 \(ma = mg – kv\) は、加速度 \(a = \frac{dv}{dt}\) を含む微分方程式です。
これを数学的に解くことで、速度 \(v(t)\) の関数形を完全に決定できます。
これにより、\(N(t)\) のグラフがどのような曲線(指数関数的アプローチ)を描くかを厳密に示すことができます。

この設問における重要なポイント

  • 変数分離形: 微分方程式を \(\frac{dv}{mg – kv} = \frac{1}{m} dt\) の形に変形して積分します。
  • 初期条件: \(t=0\) で \(v=0\) を用いて積分定数を決定します。
  • グラフの形状: \(1 – e^{-\alpha t}\) の形になり、徐々に一定値に漸近することが分かります。

具体的な解説と立式
運動方程式 \(m \frac{dv}{dt} = mg – kv\) を変形します。
$$
\begin{aligned}
\frac{m}{mg – kv} dv &= dt
\end{aligned}
$$
両辺を \(t=0\) から \(t\) まで、速度は \(0\) から \(v\) まで積分します。
$$
\begin{aligned}
\int_{0}^{v} \frac{m}{mg – kv’} dv’ &= \int_{0}^{t} dt
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 運動方程式の微分形: \(m \frac{dv}{dt} = F\)
  • 積分の公式: \(\int \frac{1}{A – Bx} dx = -\frac{1}{B} \log|A – Bx|\)
計算過程

左辺の積分を実行します。置換積分または公式を用います。
$$
\begin{aligned}
\left[ -\frac{m}{k} \log|mg – kv’| \right]_{0}^{v} &= t \\[2.0ex]
-\frac{m}{k} (\log(mg – kv) – \log(mg)) &= t
\end{aligned}
$$
(\(mg > kv\) なので絶対値は外れます)
整理して \(v\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
\log \frac{mg – kv}{mg} &= -\frac{k}{m} t \\[2.0ex]
\frac{mg – kv}{mg} &= e^{-\frac{k}{m}t} \\[2.0ex]
mg – kv &= mg e^{-\frac{k}{m}t} \\[2.0ex]
kv &= mg (1 – e^{-\frac{k}{m}t}) \\[2.0ex]
v(t) &= \frac{mg}{k} (1 – e^{-\frac{k}{m}t})
\end{aligned}
$$
これが速度の時間変化です。
垂直抗力 \(N(t)\) は \(N_3 = (M + \rho V)g + kv(t)\) なので、
$$
\begin{aligned}
N(t) &= (M + \rho V)g + mg (1 – e^{-\frac{k}{m}t})
\end{aligned}
$$
となります。

この設問の平易な説明

計算の結果、垂直抗力 \(N\) は「ある値に向かって、最初は急に、だんだんゆっくりと近づいていく」という変化をすることが分かりました(指数関数的変化)。
\(t=0\) を代入すると \(e^0=1\) なので \(N = (M + \rho V)g\) となり、問(1)と一致します。
\(t \to \infty\) (十分時間が経つと) \(e^{-\infty} = 0\) なので \(N \to (M + \rho V)g + mg\) となり、問(3)と一致します。
この数式からも、グラフが滑らかに一定値につながることが確認できます。

結論と吟味

導出した関数 \(N(t)\) は単調増加であり、上に凸の曲線を描いて最大値に漸近します。
これは選択肢⑧の \(0 < t < t_1\) の部分の形状と数学的に完全に一致します。

解答 (4)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?

  • 作用・反作用の法則と系の概念
    • 核心: 物体Aが物体Bに力を及ぼせば、必ずBもAに逆向きの同じ力を及ぼすという法則が、流体抵抗においても成立すること。
    • 理解のポイント:
      • 見えない力: 接触していなくても、流体を介して力が伝わることを理解する。
      • 系の選択: 「球だけ」「水槽だけ」を見るか、「全体」を見るかで、内力(抵抗力)の扱いが変わることを認識する。
  • 終端速度と力のつりあい
    • 核心: 速度に依存する抵抗力が重力とつりあうことで、加速度がなくなり一定速度になる現象。
    • 理解のポイント:
      • プロセスの理解: 加速 \(\to\) 抵抗増 \(\to\) 加速度減 \(\to\) つりあい(加速度0)という一連の流れを追う。
      • グラフの形状: 速度や抵抗力が、ある値に「漸近」していく(徐々に近づく)変化をイメージする。

応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点

  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 気球や泡の浮上: 重力と浮力と抵抗力の3力が関わる問題。向きが変わるだけで、運動方程式の立て方は同じ。
    • 電磁誘導による導体棒の運動: 抵抗力が速度に比例するローレンツ力に置き換わるだけで、終端速度に至るプロセスやグラフの形は全く同じ(指数関数的変化)。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 「十分時間が経過した」のキーワード: 加速度 \(a=0\) と置いて、力のつりあいの式を立てる合図。
    2. 容器ごとの重量計測: 中で何かが動いていても、系全体を一つの箱として見れば、重心運動方程式で床への力を計算できる。

要注意!ありがちなミス・誤解とその対策

  • 抵抗力の反作用の見落とし:
    • 誤解: 球が受ける抵抗力 \(kv\) は考えるが、水槽(液体)が受ける下向きの力 \(kv\) を忘れてしまう。
    • 対策: 「球が液体を押しのける」\(\to\)「液体も球を押す」という相互作用を常にペアで描く習慣をつける。あるいは、別解のように「系全体」で考えて内力を消去する。
  • \(t=0\) での抵抗力の扱い:
    • 誤解: 糸を切った直後だから、すぐに抵抗力がはたらくと思い込み、\(N_2\) に \(kv\) を足してしまう。
    • 対策: 抵抗力は \(f=kv\) なので、速度 \(v=0\) なら力も \(0\) であることを数式から冷静に判断する。

なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法

  • 問(2)での個別の運動方程式とつりあい:
    • 選定理由: 設問が球の運動方程式と水槽の垂直抗力を別々に求めているため、それぞれの物体に着目する基本に忠実な方法が最適。
    • 適用根拠: それぞれの物体について、はたらく力を漏れなく列挙できれば、ニュートンの運動法則がそのまま適用できる。
  • 問(2)別解での系全体の運動方程式:
    • 選定理由: 抵抗力 \(kv\) という内力を計算せずに、外部への影響(垂直抗力)だけを素早く正確に求めたい場合に有効。
    • 適用根拠: 複数の物体からなる系であっても、外力の総和は重心の運動(全質量 \(\times\) 重心加速度)を決定するという法則は常に成立する。

計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック

  • 極限状態でのチェック:
    • 意識: 求めた式が、極端な場合(\(v=0\) や \(v=v_{\text{f}}\))でも矛盾しないか確認する。
    • 実践: 問(2)の \(N_3\) の式に \(v=0\) を代入して \(N_2\) になるか、\(v=v_{\text{f}}\) を代入して \(N_4\) になるかを検算する。
  • 次元解析(単位チェック):
    • 意識: 足し算している項同士の単位が合っているか。
    • 実践: \(Mg\)(力)と \(kv\)(力)は足せるが、\(M\)(質量)と \(kv\) は足せない。式の各項がすべて「力(ニュートン)」の次元になっているか確認する。
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問題35 ばねにつながれた物体の運動と運動エネルギー (東京工大)

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(3)〜(5)の別解: 微積分を用いた体系的解法(運動方程式の空間積分)
      • 模範解答が「エネルギー保存則(仕事とエネルギーの関係)」を公式として適用しているのに対し、別解では運動方程式を立式し、それを空間積分することでエネルギー原理を数学的に導出します。
      • これにより、摩擦力がはたらく区間とはたらかない区間でのエネルギー変化の根拠を、ニュートンの運動法則から直接的に示します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 微積分の解法: 公式の暗記に頼らず、「力学的エネルギーの変化=非保存力がした仕事」という関係が、運動方程式の積分から必然的に導かれることを理解できます。これにより、複雑な経路や未知の設定に対しても、第一原理から式を立てる応用力が身につきます。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「摩擦のある面上でのばね振り子の運動とエネルギー収支」です。
摩擦力という非保存力が仕事をする系において、力学的エネルギーがどのように減少していくかを追跡します。また、衝突によるエネルギー損失や、静止摩擦力による停止条件など、力学の重要要素が複合的に組み合わされています。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 仕事とエネルギーの関係: 物体の運動エネルギーの変化量は、その間に物体にはたらくすべての力がした仕事の和に等しいです。特に、非保存力(摩擦力)が仕事をする場合、力学的エネルギーは保存されず、その仕事の分だけ変化します。
  2. 運動量保存則: 外力がはたらかない(または無視できる)瞬間的な衝突現象において、系の全運動量は保存されます。
  3. 完全非弾性衝突: 衝突後に2つの物体が一体となって運動する場合、反発係数は \(0\) とみなせます。このとき力学的エネルギーは減少します。
  4. 静止摩擦力と最大静止摩擦力: 物体が静止し続ける条件は、外力の大きさが最大静止摩擦力以下であることです。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)では、摩擦力による負の仕事を計算し、エネルギーの減少を求めます。
  2. (2)では、完全非弾性衝突における運動量保存則を用いて、衝突直後の速度とエネルギーを求めます。
  3. (3)〜(5)では、ばねの弾性エネルギーと摩擦による仕事を含めたエネルギー収支の式(ワーク・エネルギー定理)を立て、停止位置を求めます。
  4. (6)では、これまでの結果を統合し、初期エネルギー \(E\) に応じた停止位置 \(x\) の変化をグラフ化します。

問(1)

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