「重要問題集」徹底解説(71〜75問):未来の得点力へ!完全マスター講座

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問題71 (東北学院大 改)

【問題の確認】まずは問題文をしっかり読み解こう

この問題は、ばね付きピストンに封じられた理想気体を加熱する際の、圧力、体積、温度、仕事、熱量の変化を追う問題です。
核心は、各状態におけるピストンの「力のつりあい」と、気体の状態を結びつける「理想気体の状態方程式」、そしてエネルギーの出入りを記述する「熱力学第一法則」を正しく適用することです。

与えられた条件
  • 気体: 単原子分子理想気体、\(n=1\,\text{mol}\)
  • ピストン: 断面積\(S\)、なめらかに動く
  • ばね: ばね定数\(k\)
  • 初期状態 (添字0):
    • ばねは自然長
    • ピストンの位置: \(L\)
    • 圧力: \(P_0\) (大気圧)
    • 体積: \(V_0 = SL\)
    • 温度: \(T_0\)
  • 最終状態 (添字1):
    • ばねの縮み: \(2L\)
    • ピストンの位置: \(L+2L=3L\)
    • 圧力: \(P_1\)
    • 体積: \(V_1 = S(3L) = 3SL\)
    • 温度: \(T_1\)
  • その他: 気体定数\(R\)、容器とピストンは断熱材
問われていること
  • (1) 初期の温度 \(T_0\)
  • (2) 最終状態の圧力 \(P_1\)
  • (3) 最終状態の温度 \(T_1\)
  • (4) 変化過程の\(P-V\)グラフ
  • (5) 気体が外部にした仕事 \(W_{\text{した}}\)
  • (6) 気体が受け取った熱量 \(Q\)

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】

本解説は、模範解答で採用されている解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。

  1. 提示する別解
    • 問(3) 温度\(T_1\)の別解: ボイル・シャルルの法則を用いる解法
      • 主たる解法が最終状態について単独で状態方程式を立式するのに対し、別解では初期状態と最終状態の2状態間の関係式であるボイル・シャルルの法則から直接導出します。
    • 問(5) 仕事\(W_{\text{した}}\)の別解: エネルギーの内訳から求める解法
      • 主たる解法が\(P-V\)グラフの面積(数学的な積分計算)から仕事を求めるのに対し、別解では気体がした仕事が「大気を押しのけた仕事」と「ばねの弾性エネルギーの増加」という物理的なエネルギー変化の和に等しい、という観点から求めます。
    • 問(6) 熱量\(Q\)の別解: \(\Delta U = \displaystyle\frac{3}{2}\Delta(PV)\) を用いる解法
      • 主たる解法が温度変化\(\Delta T\)を計算してから内部エネルギー変化\(\Delta U\)を求めるのに対し、別解では状態方程式\(PV=nRT\)を利用して、圧力と体積の変化量から直接\(\Delta U\)を計算します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理モデルの深化: 特に問(5)の別解は、仕事という抽象的な概念を、大気やばねといった具体的な対象へのエネルギー供給として捉え直すことができ、エネルギー保存則へのより深い理解に繋がります。
    • 計算の効率化: 特に問(6)の別解は、気体定数\(R\)の計算を介さず、与えられた圧力や体積の値から直接内部エネルギー変化を求められるため、計算過程を簡略化できる場合があります。
    • 異なる視点の学習: 同じ現象に対して、個別の状態に着目する方法(状態方程式)と、状態間の関係に着目する方法(ボイル・シャルルの法則)の両方を学ぶことで、問題解決の思考の柔軟性が養われます。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「ばねで繋がれたピストン内の気体の状態変化」です。熱力学の基本法則を組み合わせて解いていきます。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 力のつりあい: ピストンが静止している各状態で、気体の圧力による力、大気圧による力、ばねの弾性力がつりあっています。
  2. 理想気体の状態方程式: 気体の圧力(\(P\))、体積(\(V\))、温度(\(T\))の関係を \(PV=nRT\) で結びつけます。
  3. 気体のした仕事: 変化の過程で気体が外部にする仕事は、\(P-V\)グラフと\(V\)軸で囲まれた面積で求められます。
  4. 熱力学第一法則: 気体の内部エネルギーの変化(\(\Delta U\))、気体が外部にした仕事(\(W_{\text{した}}\))、気体が吸収した熱量(\(Q\))の関係を \(Q = \Delta U + W_{\text{した}}\) で記述します。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. まず、初期状態と最終状態について、それぞれ「力のつりあい」と「状態方程式」を立式し、未知の物理量(\(T_0, P_1, T_1\))を求めます(問1, 2, 3)。
  2. 次に、変化の途中における圧力と体積の関係を導き、\(P-V\)グラフの概形を明らかにします(問4)。
  3. \(P-V\)グラフの面積を計算することで、気体がした仕事を求めます(問5)。
  4. 最後に、内部エネルギーの変化量を計算し、熱力学第一法則を用いて吸収した熱量を求めます(問6)。

問(1)

思考の道筋とポイント
初期状態について、理想気体の状態方程式を立てて温度\(T_0\)を求めます。このとき、圧力と体積の値を正しく把握することが重要です。
この設問における重要なポイント

  • 初期状態では、ばねが自然長であるため、ばねによる力は働いていません。
  • ピストンは静止しているので、内部の気体の圧力と外部の大気圧が等しくなっています (\(P=P_0\))。
  • 初期の体積は、断面積\(S\)と距離\(L\)から \(V_0=SL\) となります。

具体的な解説と立式
初期状態において、気体の圧力は\(P_0\)、体積は\(V_0=SL\)、物質量は\(n=1\,\text{mol}\)です。理想気体の状態方程式 \(PV=nRT\) を適用します。
$$P_0 (SL) = 1 \cdot R T_0 \quad \cdots ①$$

使用した物理公式

  • 理想気体の状態方程式: \(PV=nRT\)
計算過程

式①を\(T_0\)について解きます。
$$T_0 = \frac{P_0SL}{R}$$

この設問の平易な説明

気体の状態を表す基本ルールである「状態方程式」に、問題文で与えられた初期状態の圧力(\(P_0\))、体積(\(SL\))、物質量(\(1\,\text{mol}\))を当てはめることで、初期温度\(T_0\)を計算します。

結論と吟味

初期温度は \(T_0 = \displaystyle\frac{P_0SL}{R}\) です。これは与えられた物理量のみで表されており、妥当な結果です。

解答 (1) \(T_0 = \displaystyle\frac{P_0SL}{R}\)

問(2)

思考の道筋とポイント
気体を加熱した後の最終状態で、ピストンにはたらく力のつりあいを考えます。これにより、最終状態での気体の圧力\(P_1\)を求めることができます。
この設問における重要なポイント

  • ピストンは水平方向に置かれており、重力は考慮不要です。
  • ピストンにはたらく力は、(a)内部の気体が押す力(右向き)、(b)外部の大気が押す力(左向き)、(c)ばねが引く力(左向き)の3つです。
  • ばねは\(2L\)だけ縮んでいる(問題文の表現。図を見ると伸びている)ので、弾性力の大きさは \(k(2L)\) です。

具体的な解説と立式
最終状態において、ピストンは静止しているので、水平方向の力がつりあっています。右向きを正とすると、力のつりあいの式は以下のようになります。

  • 気体が押す力: \(P_1S\) (右向き)
  • 大気が押す力: \(P_0S\) (左向き)
  • ばねの弾性力: \(k(2L)\) (左向き)

つりあいの式:
$$P_1S = P_0S + 2kL \quad \cdots ②$$

使用した物理公式

  • 力のつりあい
  • ばねの弾性力: \(F=kx\)
計算過程

式②を\(P_1\)について解きます。両辺を\(S\)で割ると、
$$P_1 = P_0 + \frac{2kL}{S}$$

この設問の平易な説明

ピストンが止まっているということは、ピストンを右に押す力と、左に押す(引く)力の合計が等しいということです。この力のバランスの式を立て、未知の圧力\(P_1\)を求めます。

結論と吟味

最終状態の圧力は \(P_1 = P_0 + \displaystyle\frac{2kL}{S}\) です。加熱によって気体が膨張し、ばねを縮めた結果、圧力は大気圧\(P_0\)よりも \(\displaystyle\frac{2kL}{S}\) だけ大きくなっています。これは物理的に妥当な結果です。

解答 (2) \(P_1 = P_0 + \displaystyle\frac{2kL}{S}\)

問(3)

思考の道筋とポイント
最終状態について、理想気体の状態方程式を立てて温度\(T_1\)を求めます。問(2)で求めた圧力\(P_1\)と、問題文から読み取れる体積\(V_1\)を使用します。
この設問における重要なポイント

  • 最終状態の体積は、ピストンが初期位置\(L\)から\(2L\)移動した結果、\(V_1 = S(L+2L) = 3SL\) となります。
  • 圧力は問(2)で求めた\(P_1\)です。

具体的な解説と立式
最終状態において、気体の圧力は\(P_1\)、体積は\(V_1=3SL\)、物質量は\(n=1\,\text{mol}\)です。理想気体の状態方程式 \(PV=nRT\) を適用します。
$$P_1 (3SL) = 1 \cdot R T_1$$

使用した物理公式

  • 理想気体の状態方程式: \(PV=nRT\)
計算過程

状態方程式から\(T_1\)を求めます。
$$T_1 = \frac{3P_1SL}{R}$$
ここに、問(2)で求めた \(P_1 = P_0 + \displaystyle\frac{2kL}{S}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
T_1 &= \frac{3 \left( P_0 + \displaystyle\frac{2kL}{S} \right) SL}{R} \\[2.0ex]
&= \frac{3(P_0S + 2kL)L}{R}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

最終状態での気体の圧力、体積がわかったので、再び状態方程式にこれらの値を当てはめることで、最終的な温度\(T_1\)を計算できます。

結論と吟味

最終温度は \(T_1 = \displaystyle\frac{3(P_0S+2kL)L}{R}\) です。初期温度\(T_0\)と比較すると、圧力も体積も増加しているため、温度が上昇していることがわかります。

別解: ボイル・シャルルの法則を用いる解法

思考の道筋とポイント
初期状態と最終状態の間で気体の物質量が一定であることに着目し、ボイル・シャルルの法則を適用して\(T_1\)を求めます。
この設問における重要なポイント

  • 初期状態(\(P_0, V_0, T_0\))と最終状態(\(P_1, V_1, T_1\))の関係式 \(\displaystyle\frac{P_0V_0}{T_0} = \frac{P_1V_1}{T_1}\) を利用します。
  • これまでに求めた各物理量を代入します。

具体的な解説と立式
初期状態と最終状態の間で、ボイル・シャルルの法則が成り立ちます。
$$\frac{P_0V_0}{T_0} = \frac{P_1V_1}{T_1}$$
ここに \(V_0=SL\), \(V_1=3SL\) を代入すると、
$$\frac{P_0(SL)}{T_0} = \frac{P_1(3SL)}{T_1}$$

使用した物理公式

  • ボイル・シャルルの法則: \(\displaystyle\frac{PV}{T} = \text{一定}\)
計算過程

上の式を\(T_1\)について解くと、
$$T_1 = \frac{3P_1}{P_0} T_0$$
ここに、\(T_0 = \displaystyle\frac{P_0SL}{R}\) と \(P_1 = P_0 + \displaystyle\frac{2kL}{S}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
T_1 &= \frac{3 \left( P_0 + \displaystyle\frac{2kL}{S} \right)}{P_0} \cdot \frac{P_0SL}{R} \\[2.0ex]
&= 3 \left( P_0 + \displaystyle\frac{2kL}{S} \right) \frac{SL}{R} \\[2.0ex]
&= \frac{3(P_0S+2kL)L}{R}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

気体の状態が変わる前と後で、「圧力×体積÷温度」の値は一定である、という法則を使います。この法則に分かっている値を当てはめて、未知の温度\(T_1\)を計算します。

結論と吟味

主たる解法と完全に同じ結果が得られました。状態方程式を個別に立てるか、2状態間の関係式を使うかの違いであり、どちらも物理的に正しいアプローチです。

解答 (3) \(T_1 = \displaystyle\frac{3(P_0S+2kL)L}{R}\)

問(4)

思考の道筋とポイント
この変化の過程における、任意の時点での圧力\(P\)と体積\(V\)の関係を導き出します。これにより、\(P-V\)グラフがどのような形の線になるかがわかります。
この設問における重要なポイント

  • 変化の途中、ばねの自然長からの伸び(縮み)を\(x\)とします。
  • このときのピストンの位置は \(L+x\) であり、体積は \(V=S(L+x)\) です。
  • このときの力のつりあいは \(PS = P_0S + kx\) です。
  • これら2つの式から変数\(x\)を消去し、\(P\)と\(V\)の関係式を求めます。

具体的な解説と立式
ばねの伸びが\(x\)のときの体積\(V\)と圧力\(P\)は、
$$V = S(L+x) \quad \cdots ③$$
$$PS = P_0S + kx \quad \cdots ④$$
と表せます。式③から \(x = \displaystyle\frac{V}{S} – L\) となります。これを式④に代入して\(x\)を消去します。
$$PS = P_0S + k \left( \frac{V}{S} – L \right)$$

使用した物理公式

  • 力のつりあい
  • 体積の定義
計算過程

上の式を\(P\)について解きます。
$$
\begin{aligned}
P &= P_0 + \frac{k}{S} \left( \frac{V}{S} – L \right) \\[2.0ex]
&= P_0 + \frac{k}{S^2}V – \frac{kL}{S} \\[2.0ex]
&= \frac{k}{S^2}V + \left( P_0 – \frac{kL}{S} \right)
\end{aligned}
$$
この式は \(P = aV+b\) の形をしており、\(P\)が\(V\)の1次関数であることを示しています。したがって、\(P-V\)グラフは直線になります。
この直線は、初期状態の点\((V_0, P_0) = (SL, P_0)\)と、最終状態の点\((V_1, P_1) = (3SL, P_1)\)の2点を通ります。

この設問の平易な説明

変化の途中のある瞬間を切り取って、そのときの圧力と体積の関係を調べます。すると、圧力と体積が一次関数(直線のグラフ)の関係にあることがわかります。したがって、グラフはスタート地点とゴール地点をまっすぐ結んだ線になります。

結論と吟味

\(P-V\)グラフは、点\((SL, P_0)\)と点\((3SL, P_1)\)を結ぶ右上がりの直線となります。体積が増えるにつれてばねの伸びが大きくなり、それに対抗するために圧力も線形に増加していく様子を表しており、物理的に妥当です。

解答 (4) 点\((SL, P_0)\)と点\((3SL, P_1)\)を結ぶ直線。(グラフは省略)

問(5)

思考の道筋とポイント
気体が外部にした仕事\(W_{\text{した}}\)は、\(P-V\)グラフと\(V\)軸で囲まれた部分の面積に等しくなります。問(4)でグラフが直線(台形)になることがわかったので、台形の面積を計算します。
この設問における重要なポイント

  • 仕事\(W_{\text{した}}\)は、\(P-V\)グラフの面積で計算します。
  • 台形の面積 = (上底 + 下底) × 高さ ÷ 2
    • 上底: \(P_0\)
    • 下底: \(P_1\)
    • 高さ: \(V_1 – V_0 = 3SL – SL = 2SL\)

具体的な解説と立式
\(P-V\)グラフから、仕事\(W_{\text{した}}\)は台形の面積として求められます。
$$W_{\text{した}} = \frac{1}{2}(P_0 + P_1)(V_1 – V_0)$$
ここに、\(V_0=SL\), \(V_1=3SL\) を代入します。
$$W_{\text{した}} = \frac{1}{2}(P_0 + P_1)(3SL – SL) = (P_0 + P_1)SL$$

使用した物理公式

  • 気体のする仕事: \(W = \int P dV\) (\(P-V\)グラフの面積)
計算過程

台形の面積の式に、問(2)で求めた \(P_1 = P_0 + \displaystyle\frac{2kL}{S}\) を代入して計算します。
$$
\begin{aligned}
W_{\text{した}} &= (P_0 + P_1)SL \\[2.0ex]
&= \left( P_0 + \left(P_0 + \frac{2kL}{S}\right) \right)SL \\[2.0ex]
&= \left( 2P_0 + \frac{2kL}{S} \right)SL \\[2.0ex]
&= (2P_0S + 2kL)L \\[2.0ex]
&= 2(P_0S + kL)L
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

気体が膨らむとき、外部に「仕事」をします。その仕事量は、\(P-V\)グラフに描かれた図形の面積を計算することで求められます。今回は台形なので、台形の面積公式を使って計算します。

結論と吟味

気体がした仕事は \(W_{\text{した}} = 2(P_0S+kL)L\) です。次の別解で示すように、エネルギーの観点から計算した結果とも一致し、妥当性が確認できます。

別解: エネルギーの内訳から求める解法

思考の道筋とポイント
気体がした仕事は、外部の系(大気とばね)のエネルギー増加分に等しいという物理的な観点から計算します。
この設問における重要なポイント

  • 気体がした仕事は、「大気を押しのける仕事」と「ばねの弾性エネルギーを増やす仕事」の合計です。
  • 大気圧は一定なので、大気にする仕事は \(P_0\Delta V\) で計算できます。
  • ばねにする仕事は、ばねの弾性エネルギーの増加量 \(\displaystyle\frac{1}{2}kx^2\) に等しくなります。

具体的な解説と立式
気体がした仕事の内訳を考えます。

  • 大気に対してした仕事 \(W_{\text{大気}}\): 圧力\(P_0\)に逆らって体積を\(\Delta V = 2SL\)だけ増やしたので、\(W_{\text{大気}} = P_0 \Delta V = P_0(2SL) = 2P_0SL\)。
  • ばねに対してした仕事 \(W_{\text{ばね}}\): これはばねの弾性エネルギーの増加分に等しい。ばねは自然長から\(2L\)伸びたので、\(W_{\text{ばね}} = \displaystyle\frac{1}{2}k(2L)^2 = 2kL^2\)。

よって、気体がした仕事の合計は、これらの和となります。
$$W_{\text{した}} = W_{\text{大気}} + W_{\text{ばね}}$$

使用した物理公式

  • 定圧変化の仕事: \(W=P\Delta V\)
  • 弾性エネルギー: \(U = \displaystyle\frac{1}{2}kx^2\)
計算過程

$$
\begin{aligned}
W_{\text{した}} &= 2P_0SL + 2kL^2 \\[2.0ex]
&= 2(P_0S + kL)L
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

気体が膨らむ力は、外部にある「大気」と「ばね」を押し返します。大気を押し返すのに使ったエネルギーと、ばねを伸ばすのに使ったエネルギーをそれぞれ計算し、足し合わせることで、気体がした仕事の合計を求めることができます。

結論と吟味

主たる解法の結果と完全に一致します。\(P-V\)グラフの面積という数学的なアプローチと、エネルギーの内訳という物理的なアプローチの両方で同じ結論に至ることは、解の正しさを強く裏付けます。

解答 (5) \(W_{\text{した}} = 2(P_0S+kL)L\)

問(6)

思考の道筋とポイント
気体が受け取った熱量\(Q\)は、熱力学第一法則 \(Q = \Delta U + W_{\text{した}}\) を用いて求めます。内部エネルギーの変化\(\Delta U\)と、問(5)で求めた仕事\(W_{\text{した}}\)が必要です。
この設問における重要なポイント

  • 単原子分子理想気体なので、内部エネルギーの変化は \(\Delta U = \displaystyle\frac{3}{2}nR\Delta T\) で計算できます。
  • 温度変化 \(\Delta T = T_1 – T_0\) は、問(1)と問(3)の結果から計算します。
  • 仕事 \(W_{\text{した}}\) は問(5)の結果を利用します。

具体的な解説と立式
熱力学第一法則は \(Q = \Delta U + W_{\text{した}}\) です。
まず、内部エネルギーの変化 \(\Delta U\) を求めます。
温度変化 \(\Delta T = T_1 – T_0\) は、
$$
\begin{aligned}
\Delta T &= T_1 – T_0 \\[2.0ex]
&= \frac{3(P_0S+2kL)L}{R} – \frac{P_0SL}{R} \\[2.0ex]
&= \frac{(3P_0SL+6kL^2) – P_0SL}{R} \\[2.0ex]
&= \frac{2P_0SL + 6kL^2}{R} \\[2.0ex]
&= \frac{2(P_0S+3kL)L}{R}
\end{aligned}
$$
となります。よって、内部エネルギーの変化は、
$$\Delta U = \frac{3}{2}nR\Delta T = \frac{3}{2}(1)R\Delta T$$

使用した物理公式

  • 熱力学第一法則: \(Q = \Delta U + W_{\text{した}}\)
  • 単原子分子理想気体の内部エネルギー: \(U = \displaystyle\frac{3}{2}nRT\)
計算過程

\(\Delta U\)を計算します。
$$
\begin{aligned}
\Delta U &= \frac{3}{2} R \left( \frac{2(P_0S+3kL)L}{R} \right) \\[2.0ex]
&= 3(P_0S+3kL)L
\end{aligned}
$$
これと問(5)で求めた \(W_{\text{した}} = 2(P_0S+kL)L\) を熱力学第一法則の式に代入します。
$$
\begin{aligned}
Q &= \Delta U + W_{\text{した}} \\[2.0ex]
&= 3(P_0S+3kL)L + 2(P_0S+kL)L \\[2.0ex]
&= (3P_0SL + 9kL^2) + (2P_0SL + 2kL^2) \\[2.0ex]
&= 5P_0SL + 11kL^2 \\[2.0ex]
&= (5P_0S + 11kL)L
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

気体に与えられた熱エネルギー(\(Q\))は、2つのことに使われます。1つは気体の内部エネルギーを増やすこと(\(\Delta U\))、もう1つは外部に仕事をすること(\(W_{\text{した}}\))です。この関係式(熱力学第一法則)を使って、\(\Delta U\)と\(W_{\text{した}}\)を足し合わせることで\(Q\)を求めます。

結論と吟味

気体が受け取った熱量は \(Q = (5P_0S+11kL)L\) です。加熱によって内部エネルギーの増加と外部への仕事の両方が行われた結果であり、物理的に妥当な結論です。

別解: \(\Delta U = \displaystyle\frac{3}{2}\Delta(PV)\) を用いる解法

思考の道筋とポイント
内部エネルギーの変化\(\Delta U\)を、状態方程式 \(PV=nRT\) を利用して、温度\(T\)を介さずに圧力\(P\)と体積\(V\)から直接計算します。
この設問における重要なポイント

  • 理想気体の内部エネルギーの公式 \(U=\displaystyle\frac{3}{2}nRT\) と状態方程式 \(PV=nRT\) を組み合わせると、\(U=\displaystyle\frac{3}{2}PV\) となります。
  • したがって、内部エネルギーの変化は \(\Delta U = \displaystyle\frac{3}{2}\Delta(PV) = \displaystyle\frac{3}{2}(P_1V_1 – P_0V_0)\) で計算できます。

具体的な解説と立式
内部エネルギーの変化を圧力と体積で表します。
$$\Delta U = \frac{3}{2}(P_1V_1 – P_0V_0)$$
ここに \(P_1 = P_0 + \displaystyle\frac{2kL}{S}\), \(V_1=3SL\), \(P_0\), \(V_0=SL\) を代入します。

使用した物理公式

  • 内部エネルギーの変化(圧力・体積表現): \(\Delta U = \displaystyle\frac{3}{2}(P_1V_1 – P_0V_0)\)
計算過程

$$
\begin{aligned}
\Delta U &= \frac{3}{2} \left( \left(P_0 + \frac{2kL}{S}\right)(3SL) – P_0(SL) \right) \\[2.0ex]
&= \frac{3}{2} (3P_0SL + 6kL^2 – P_0SL) \\[2.0ex]
&= \frac{3}{2} (2P_0SL + 6kL^2) \\[2.0ex]
&= 3(P_0S + 3kL)L
\end{aligned}
$$
この結果は主たる解法で求めた\(\Delta U\)と完全に一致します。この\(\Delta U\)を用いて\(Q = \Delta U + W_{\text{した}}\)を計算すると、同じ最終結果が得られます。

この設問の平易な説明

気体の内部エネルギーは、実は「圧力と体積の積」に比例します。そのため、温度をいちいち計算しなくても、変化の前後の「圧力×体積」の値の差を求めることで、内部エネルギーの変化量を計算できます。

結論と吟味

別解によっても同じ\(\Delta U\)が算出され、最終的な熱量\(Q\)も一致します。このアプローチは、途中で温度を計算する必要がないため、計算の見通しが良くなる場合があります。

解答 (6) \(Q = (5P_0S+11kL)L\)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?

  • 力のつりあい:
    • 核心: ピストンが静止している状態では、気体がピストンを押す力、大気圧がピストンを押す力、そしてばねがピストンを引く(または押す)力がつりあっています。この力の関係式が、各状態における気体の圧力を決定する鍵となります。
    • 理解のポイント: \(P_1S = P_0S + 2kL\) のように、目に見えない「圧力」を「力」(\(F=PS\))に変換して力学の問題として捉えることが重要です。
  • 理想気体の状態方程式 (\(PV=nRT\)):
    • 核心: 気体の「圧力 \(P\)」「体積 \(V\)」「温度 \(T\)」という3つの状態量を結びつける普遍的な法則です。この問題では、力のつりあいから求めた圧力や、図から読み取れる体積を使って、未知の温度を求めるために用いられます。
    • 理解のポイント: 熱力学の問題では、状態方程式は「力のつりあい」や「エネルギー保存則」と並ぶ、最も基本的な立式の柱の一つです。
  • 熱力学第一法則 (\(Q = \Delta U + W_{\text{した}}\)):
    • 核心: エネルギー保存則の熱力学バージョンです。気体に加えられた熱量(\(Q\))が、内部エネルギーの増加(\(\Delta U\))と外部への仕事(\(W_{\text{した}}\))にどのように分配されるかを示します。
    • 理解のポイント: この法則を使うためには、\(\Delta U\)と\(W_{\text{した}}\)をそれぞれ個別に計算する必要があります。
      • \(\Delta U\) は温度変化 \(\Delta T\) から (\(\Delta U = \frac{3}{2}nR\Delta T\))、あるいは圧力・体積の変化から (\(\Delta U = \frac{3}{2}\Delta(PV)\)) 求めます。
      • \(W_{\text{した}}\) は \(P-V\) グラフの面積から求めます。

応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点

  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 鉛直に置かれたピストン: ピストンが鉛直に置かれている場合、力のつりあいにピストン自身の重力(\(mg\))が加わります。
    • 定圧変化・定積変化・断熱変化: この問題は圧力が体積の一次関数として変化しましたが、より単純な「定圧変化」(圧力が一定)や「定積変化」(体積が一定)の問題は基本です。また、「断熱変化」(\(Q=0\))ではポアソンの法則が関わってきます。
    • 循環過程(サイクル): 気体の状態が変化して元の状態に戻る問題。一周で \(\Delta U = 0\) となるため、\(Q = W_{\text{した}}\) となり、サイクルが外部にした仕事は吸収した正味の熱量に等しくなります。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 状態変化の特定: まず、初期状態と最終状態の圧力、体積、温度を整理します。未知の量があれば、それを求めるのが最初のステップです。
    2. 力のつりあいの確認: ピストンが動く問題では、必ず「力のつりあい」を考えます。これにより、圧力と外部条件(大気圧、ばね、重力など)の関係が明らかになります。
    3. 変化過程の分析: 状態変化の途中で、圧力と体積がどのような関係にあるか(\(P-V\)グラフの形は何か)を考えます。これが仕事を計算する上で重要になります。この問題のように、ばねが絡むと\(P\)が\(V\)の一次関数になることが多いです。
    4. エネルギー収支の確認: 最終的に熱量を問われたら、熱力学第一法則の出番です。\(\Delta U\)と\(W_{\text{した}}\)をそれぞれ計算し、足し合わせるという流れを意識します。

要注意!ありがちなミス・誤解とその対策

  • ばねの伸び(縮み)の誤解:
    • 誤解: ばねの伸びをピストンの位置そのものと勘違いする。例えば、最終位置が\(3L\)だからばねの伸びも\(3L\)としてしまう。
    • 対策: ばねの伸び(縮み)は、常に「自然長の位置からの変化量」です。この問題では、初期位置\(L\)が自然長なので、最終位置\(3L\)までの移動距離\(2L\)がばねの縮みになります。図を丁寧に描き、どこが自然長かを明確にしましょう。
  • 仕事の計算ミス:
    • 誤解: 圧力が変化するのに、仕事の計算で \(W = P\Delta V\) のように、初期圧力や最終圧力のどちらか一方だけを使ってしまう。
    • 対策: 圧力が変化する場合、仕事は \(P-V\) グラフの面積で求めるのが鉄則です。グラフの形(この問題では台形)を正確に把握し、面積を計算しましょう。
  • 内部エネルギーの式の混同:
    • 誤解: 単原子分子でない気体なのに \(\Delta U = \frac{3}{2}nR\Delta T\) を使ってしまう。あるいは、\(U\) と \(\Delta U\) を混同する。
    • 対策: 内部エネルギーの係数(\(\frac{3}{2}\))は、気体の種類(単原子分子、二原子分子など)によって変わることを覚えておきましょう。また、\(U\)は「その瞬間の内部エネルギー」、\(\Delta U\)は「状態変化による内部エネルギーの変化量」であり、熱力学第一法則で使うのは後者(\(\Delta U\))です。

なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法

  • 力のつりあい:
    • 選定理由: 問題が「圧力」を問うており、ピストンが静止しているという力学的な条件が与えられているため。
    • 適用根拠: ニュートンの運動法則(加速度が0の場合、合力は0)に基づきます。
  • 理想気体の状態方程式:
    • 選定理由: 問題が「温度」を問うており、気体のP, V, Tを結びつける必要があるため。
    • 適用根拠: 閉じ込められた気体の量が一定(\(n=1\,\text{mol}\))であるという物理的状況。
  • 仕事の面積計算 (\(W_{\text{した}} = \text{台形の面積}\)):
    • 選定理由: 問題が「仕事」を問うており、変化の過程で圧力が一定ではないため。
    • 適用根拠: 仕事の定義 \(W = \int P dV\) が、\(P-V\)グラフ上の面積に相当するという数学的な事実にに基づきます。
  • 熱力学第一法則:
    • 選定理由: 問題が「熱量」を問うており、エネルギーの出入りを総合的に計算する必要があるため。
    • 適用根拠: エネルギー保存則という、物理学の最も基本的な原理に基づきます。

計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック

  • 文字式の整理:
    • 特に注意すべき点: この問題は文字が多く複雑です。特に(6)の計算では、\(P_0S\)や\(kL\)といった塊を一つの単位として意識すると、式全体の見通しが良くなります。例えば、\(\Delta U = 3(P_0S+3kL)L\) と \(W_{\text{した}} = 2(P_0S+kL)L\) を足す際に、\(P_0SL\)の項と\(kL^2\)の項を別々に集計するとミスが減ります。
    • 日頃の練習: 途中式を省略せず、丁寧に書く。似たような文字の組み合わせが出てきたら、一つの塊として捉えて計算を進める練習をする。
  • 単位の確認と検算:
    • 特に注意すべき点: 最終的な答えの単位が、問われている物理量の単位(温度なら[K]、仕事や熱量なら[J])と一致しているかを確認する。
    • 日頃の練習: 式の各項の単位をチェックする習慣をつける。例えば、(2)で求めた\(P_1\)の第2項 \(\displaystyle\frac{2kL}{S}\) の単位は \(\displaystyle\frac{[\text{N/m}][\text{m}]}{[\text{m}^2]} = [\text{N/m}^2] = [\text{Pa}]\) となり、圧力の単位と一致する。(5)や(6)のように別解がある場合は、両方で計算して結果が一致するかを確認する(検算)。

解きっぱなしはNG!解答の妥当性を吟味する習慣をつけよう

  • 得られた答えの物理的妥当性の検討:
    • \(P_1 > P_0\) か?: 気体を加熱して膨張させ、ばねを縮めているので、内部の圧力が大気圧より高くなるのは当然です。
    • \(T_1 > T_0\) か?: 加熱しているので、温度が上がるのは当然です。
    • \(W_{\text{した}}\) の符号は?: 気体は膨張(\(\Delta V > 0\))しているので、外部に正の仕事をしたことになります。
    • \(Q\) の符号は?: 気体は加熱されている(温度調節器で温めた)ので、熱を吸収している(\(Q>0\))はずです。計算結果の符号がプラスになっていることを確認します。
  • 極端な場合や既知の状況との比較:
    • もし、ばねがなかったら(\(k=0\))どうなるかを考えてみましょう。
      • (2)の式は \(P_1 = P_0\) となります。これは、ばねがなければピストン内外の圧力がつりあうだけの「定圧変化」になることを示しており、直感と一致します。
      • (5)の式は \(W_{\text{した}} = 2P_0SL\) となります。これは定圧変化の仕事 \(P_0\Delta V\) に \(\Delta V = 2SL\) を代入した結果と一致します。
      • (6)の式は \(Q = 5P_0SL\) となります。単原子分子の定圧モル比熱 \(C_P = \frac{5}{2}R\) を使うと、定圧変化で吸収する熱量は \(Q = nC_P\Delta T = 1 \cdot \frac{5}{2}R(T_1-T_0) = \frac{5}{2}(RT_1 – RT_0) = \frac{5}{2}(P_1V_1-P_0V_0)\) となります。ここに \(P_1=P_0, V_1=3SL, V_0=SL\) を代入すると、\(Q=\frac{5}{2}(P_0(3SL)-P_0(SL)) = \frac{5}{2}(2P_0SL)=5P_0SL\) となり、見事に一致します。

問題72 (岐阜大)

【問題の確認】まずは問題文をしっかり読み解こう

この問題は、理想気体の状態変化、特に断熱変化、定圧変化、定積変化を組み合わせたサイクル(オットーサイクルに類似)を扱い、仕事、熱量、内部エネルギー、そして熱効率について考察するものです。
前半の[A]は、内部エネルギーが温度のみに依存することの確認、後半の[B]がメインの設問群となります。核心は、各過程の性質を正しく理解し、熱力学第一法則、状態方程式、そしてモル比熱の定義を的確に適用することです。

与えられた条件
  • 気体: 理想気体、\(n=1\,\text{mol}\)
  • 状態変化(図2のサイクル A→B→C→A):
    • A→B: 断熱変化(\(Q_{AB}=0\))
    • B→C: 定圧変化(圧力\(p_2\)で一定)
    • C→A: 定積変化(体積\(V_1\)で一定)
  • 各状態の物理量:
    • 状態A: (\(p_1, V_1, T_A\))
    • 状態B: (\(p_2, V_2, T_B\))
    • 状態C: (\(p_2, V_1, T_C\))
  • 物理定数・比:
    • 定積モル比熱: \(C_V\)
    • 定圧モル比熱: \(C_p\)
    • 比熱比: \(\gamma = \displaystyle\frac{C_p}{C_V}\)
    • 気体定数: \(R\)
  • 前提となる関係式:
    • \(\Delta U_{ab} = C_V(T’-T)\) … ① (内部エネルギー変化は温度変化のみに依存)
問われていること
  • (1) 関係式①の導出。
  • (2) A→Bで気体がされる仕事 \(W_{AB}\)。
  • (3) B→Cで得る熱量 \(Q_{BC}\) と C→Aで得る熱量 \(Q_{CA}\)。
  • (4) B→C→Aでされる仕事 \(W_{BCA}\) と、マイヤーの関係式(\(C_p – C_V = R\))の導出。
  • (5) サイクルの熱効率 \(e\)。
  • (6) 逆サイクル(A→C→B→A)の性質と、熱力学第二法則との関連。

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】

本解説は、模範解答で採用されている解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。

  1. 提示する別解
    • 問(4) マイヤーの関係式の別解: 定圧変化(B→C)のみに着目する解法
      • 主たる解法がB→C→Aという2つの過程をまとめて熱力学第一法則に適用するのに対し、別解では定圧変化B→Cという単一の過程に熱力学第一法則を適用し、より直接的に関係式を導出します。
    • 問(5) 熱効率\(e\)の別解: \(e = \text{仕事} / \text{吸収熱}\) の定義から求める解法
      • 主たる解法が \(e = 1 + Q_{\text{out}}/Q_{\text{in}}\) の公式を用いるのに対し、別解では熱効率の最も基本的な定義である「サイクル全体で外部にした正味の仕事」と「吸収した熱量」の比、\(e = W_{\text{net}} / Q_{\text{in}}\) から出発して計算します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理的本質の深化: 問(4)の別解は、定圧変化において加えられた熱が「内部エネルギーの増加」と「外部への仕事」に分配される様子を明確に示しており、定圧モル比熱\(C_p\)が定積モル比熱\(C_V\)より大きい理由を直接的に理解できます。
    • 定義からの出発: 問(5)の別解は、熱効率の公式を暗記に頼るのではなく、「投入した熱エネルギーのうち、どれだけを仕事に変換できたか」という最も根源的な定義から出発するため、応用力が養われます。
    • 解法の多様性: 同じ関係式や物理量を、異なる切り口(単一過程か複数過程か、熱量の比か仕事と熱の比か)から導出する経験を通じて、思考の柔軟性を高めることができます。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「熱力学サイクル」の解析です。各過程の特性を理解し、法則を適用することが鍵となります。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 熱力学第一法則: \(\Delta U = Q + W_{\text{された}}\) (または \(Q = \Delta U + W_{\text{した}}\))。気体のエネルギー収支の基本です。
  2. 理想気体の状態方程式: \(PV=nRT\)。各状態のP, V, Tを結びつけます。
  3. 各変化の定義:
    • 断熱変化: \(Q=0\)。
    • 定積変化: \(W=0\)。熱量は \(\Delta U\) に等しい (\(Q=nC_V\Delta T\))。
    • 定圧変化: 仕事は \(W_{\text{した}}=P\Delta V\)。熱量は \(Q=nC_p\Delta T\)。
  4. 内部エネルギー: 理想気体の場合、温度のみに依存します (\(\Delta U = nC_V\Delta T\))。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)は誘導に従い、内部エネルギーが状態量であることを利用して式を導きます。
  2. (2)以降は、A→B、B→C、C→Aの各過程について、熱力学第一法則を適用します。
  3. (4)では、(2)(3)の結果を組み合わせ、仕事と熱量の関係から物理法則(マイヤーの関係式)を導出します。
  4. (5)では、熱効率の定義式 \(e = \displaystyle\frac{W_{\text{正味}}}{Q_{\text{in}}}\) に、(3)で求めた熱量を代入して計算を進めます。
  5. (6)は、逆サイクルの働き(ヒートポンプや冷凍機)について、熱力学第二法則の観点から考察します。

問(1)

思考の道筋とポイント
問題文の誘導に従い、状態aから状態bへの内部エネルギーの変化 \(\Delta U_{ab}\) を、状態cを経由する経路 a→c→b で考えます。理想気体の内部エネルギーは温度のみに依存するため、経路によらず始点と終点の温度が同じなら内部エネルギーの変化も同じになります。
この設問における重要なポイント

  • \(\Delta U_{ab} = \Delta U_{ac} + \Delta U_{cb}\) という関係を使います。
  • a→cは定積変化、c→bは等温変化です。
  • 等温変化では温度が変わらないため、内部エネルギーも変化しません (\(\Delta U_{cb}=0\))。

具体的な解説と立式
状態aから状態bへの内部エネルギー変化 \(\Delta U_{ab}\) を考えます。
ここで、状態c(体積はaと同じ、温度はbと同じ\(T’\))を経由する経路 a→c→b を考えます。
内部エネルギーは状態量なので、経路に依らず、
$$\Delta U_{ab} = \Delta U_{ac} + \Delta U_{cb}$$
と書けます。

  • 過程 a→c: 体積一定(定積変化)で温度が\(T\)から\(T’\)に変化します。
    • 気体がされた仕事は \(W_{ac} = 0\)。
    • 気体が吸収する熱量は、定積モル比熱の定義より \(Q_{ac} = nC_V(T’-T) = C_V(T’-T)\) (\(n=1\)のため)。
    • 熱力学第一法則 \(\Delta U = Q + W\) より、\(\Delta U_{ac} = Q_{ac} + W_{ac} = C_V(T’-T) + 0 = C_V(T’-T)\)。
  • 過程 c→b: 温度\(T’\)で一定(等温変化)です。
    • 理想気体の内部エネルギーは温度のみに依存するため、温度変化がないこの過程では内部エネルギーは変化しません。よって \(\Delta U_{cb} = 0\)。

以上より、
$$
\begin{aligned}
\Delta U_{ab} &= \Delta U_{ac} + \Delta U_{cb} \\[2.0ex]
&= C_V(T’-T) + 0
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 熱力学第一法則: \(\Delta U = Q + W\)
  • 定積モル比熱の定義: \(Q = nC_V\Delta T\)
  • 理想気体の内部エネルギーは温度のみに依存する。
計算過程

上記の立式を整理すると、
$$\Delta U_{ab} = C_V(T’-T)$$
となり、式①が導出されます。

この設問の平易な説明

aからbへ直接内部エネルギーの変化を考える代わりに、計算しやすい「定積変化(a→c)」と「等温変化(c→b)」に分けて考えます。定積変化での内部エネルギー変化は熱量そのものであり、等温変化では内部エネルギーは変化しません。この2つを足し合わせることで、どんな経路でも温度が\(T\)から\(T’\)に変わるときの内部エネルギー変化がわかる、という論法です。

結論と吟味

これにより、理想気体の内部エネルギーの変化は、途中の圧力や体積の変化の仕方によらず、最初と最後の温度だけで決まること、そしてその変化量は \(nC_V\Delta T\) で与えられることが示されました。

解答 (1) 上記の通り。

問(2)

思考の道筋とポイント
過程A→Bは断熱変化です。熱力学第一法則 \(\Delta U = Q + W\) を適用します。断熱変化では \(Q=0\) であることと、問(1)で確立した内部エネルギーの式 \(\Delta U = nC_V\Delta T\) を使います。
この設問における重要なポイント

  • A→Bは断熱変化なので、熱の出入りはありません (\(Q_{AB}=0\))。
  • 気体が「される」仕事 \(W_{AB}\) を問われています。
  • 内部エネルギーの変化 \(\Delta U_{AB}\) は、温度変化 \(T_A \to T_B\) を使って \(\Delta U_{AB} = C_V(T_B – T_A)\) と表せます。

具体的な解説と立式
過程A→Bについて、熱力学第一法則 \(\Delta U_{AB} = Q_{AB} + W_{AB}\) を立てます。

  • 断熱変化なので \(Q_{AB} = 0\)。
  • 内部エネルギーの変化は、式①より \(\Delta U_{AB} = C_V(T_B – T_A)\)。

これらを熱力学第一法則の式に代入します。
$$C_V(T_B – T_A) = 0 + W_{AB}$$

使用した物理公式

  • 熱力学第一法則: \(\Delta U = Q + W\)
  • 内部エネルギー変化: \(\Delta U = nC_V\Delta T\)
計算過程

上の式から、\(W_{AB}\)は、
$$W_{AB} = C_V(T_B – T_A)$$
と求まります。

この設問の平易な説明

断熱変化では、外部との熱のやりとりがありません。そのため、気体が外部から仕事をされると、そのエネルギーはすべて内部エネルギーの増加に使われます。逆に気体が外部に仕事をすると、内部エネルギーを消費して行います。この関係を式にしたものが答えとなります。

結論と吟味

A→Bは断熱膨張なので、気体は外部に仕事をし(した仕事は正)、その分だけ内部エネルギーが減少して温度が下がります(\(T_B < T_A\))。したがって、\((T_B – T_A) < 0\) となり、気体が「された」仕事 \(W_{AB}\) は負になります。これは物理的に妥当です。答えは \(W_{AB} = C_V(T_B – T_A)\) です。

解答 (2) \(W_{AB} = C_V(T_B – T_A)\)

問(3)

思考の道筋とポイント
過程B→C(定圧変化)と過程C→A(定積変化)で気体が得る熱量を、それぞれのモル比熱の定義式を使って求めます。
この設問における重要なポイント

  • B→Cは圧力が\(p_2\)で一定の「定圧変化」です。得られる熱量は定圧モル比熱 \(C_p\) を使って \(Q = nC_p\Delta T\) で計算します。
  • C→Aは体積が\(V_1\)で一定の「定積変化」です。得られる熱量は定積モル比熱 \(C_V\) を使って \(Q = nC_V\Delta T\) で計算します。

具体的な解説と立式

  • 過程B→C (定圧変化):
    気体が得る熱量 \(Q_{BC}\) は、定圧モル比熱の定義より、
    $$Q_{BC} = nC_p(T_C – T_B)$$
    \(n=1\,\text{mol}\) なので、
    $$Q_{BC} = C_p(T_C – T_B)$$
  • 過程C→A (定積変化):
    気体が得る熱量 \(Q_{CA}\) は、定積モル比熱の定義より、
    $$Q_{CA} = nC_V(T_A – T_C)$$
    \(n=1\,\text{mol}\) なので、
    $$Q_{CA} = C_V(T_A – T_C)$$

使用した物理公式

  • 定圧モル比熱の定義: \(Q = nC_p\Delta T\)
  • 定積モル比熱の定義: \(Q = nC_V\Delta T\)
計算過程

立式そのものが答えとなります。

この設問の平易な説明

定圧変化と定積変化では、熱量を計算するための専用公式があります。それぞれの変化に対応するモル比熱(\(C_p\)または\(C_V\))と温度変化を掛け合わせるだけで、得た熱量が計算できます。

結論と吟味

\(Q_{BC} = C_p(T_C – T_B)\) と \(Q_{CA} = C_V(T_A – T_C)\) が得られました。
B→Cは定圧圧縮なので温度は下がり(\(T_C < T_B\))、\(Q_{BC}<0\)となり熱を放出します。 C→Aは定積加熱なので温度は上がり(\(T_A > T_C\))、\(Q_{CA}>0\)となり熱を吸収します。これらは物理的に妥当な結果です。

解答 (3) \(Q_{BC} = C_p(T_C – T_B)\), \(Q_{CA} = C_V(T_A – T_C)\)

問(4)

思考の道筋とポイント
まず、過程B→C→Aで気体が外部からされる仕事 \(W_{BCA}\) を求めます。次に、模範解答のアプローチに従い、過程B→C→A全体に熱力学第一法則を適用することで、\(C_p, C_V, R\) の関係式(マイヤーの関係式)を導出します。
この設問における重要なポイント

  • 仕事は \(W_{BCA} = W_{BC} + W_{CA}\) のように、各過程の和で計算できます。
  • B→Cは定圧変化なので、された仕事は \(W_{BC} = -p_2(V_1 – V_2)\) です。
  • C→Aは定積変化なので、された仕事は \(W_{CA} = 0\) です。
  • 理想気体の状態方程式 \(pV=RT\) を使うと、仕事の式を温度で表すことができます。

具体的な解説と立式
Step 1: 仕事 \(W_{BCA}\) の計算
過程B→C→Aで気体がされる仕事 \(W_{BCA}\) は、各過程でされる仕事の和で表せます。
$$W_{BCA} = W_{BC} + W_{CA}$$

  • 過程B→C (定圧変化): された仕事 \(W_{BC}\) は、
    $$W_{BC} = -p_2(V_1 – V_2) = p_2(V_2 – V_1)$$
  • 過程C→A (定積変化): 体積が変化しないので、仕事は0です。\(W_{CA} = 0\)。

したがって、
$$W_{BCA} = p_2(V_2 – V_1) + 0 = p_2(V_2 – V_1)$$
状態方程式 \(pV=RT\) を状態BとCに適用すると、\(p_2V_2 = RT_B\), \(p_2V_1 = RT_C\) となるので、
$$W_{BCA} = p_2V_2 – p_2V_1 = RT_B – RT_C = R(T_B – T_C)$$

Step 2: マイヤーの関係式の導出
過程B→C→Aという2段階の変化全体に、熱力学第一法則を適用します。
$$\Delta U_{BA} = Q_{BCA} + W_{BCA}$$
各項は以下の通りです。

  • \(\Delta U_{BA} = C_V(T_A – T_B)\)
  • \(Q_{BCA} = Q_{BC} + Q_{CA} = C_p(T_C – T_B) + C_V(T_A – T_C)\)
  • \(W_{BCA} = R(T_B – T_C)\)

これらを代入すると、
$$C_V(T_A – T_B) = \left( C_p(T_C – T_B) + C_V(T_A – T_C) \right) + R(T_B – T_C)$$

使用した物理公式

  • 熱力学第一法則: \(\Delta U = Q + W\)
  • 定圧変化の仕事: \(W_{\text{された}} = -P\Delta V\)
  • 理想気体の状態方程式: \(PV=nRT\)
計算過程

仕事 \(W_{BCA}\) は、
$$W_{BCA} = R(T_B – T_C)$$
マイヤーの関係式を導出します。
$$C_V(T_A – T_B) = C_p(T_C – T_B) + C_V(T_A – T_C) + R(T_B – T_C)$$
式を展開し、整理します。
$$C_V T_A – C_V T_B = C_p T_C – C_p T_B + C_V T_A – C_V T_C + R T_B – R T_C$$
両辺の \(C_V T_A\) を消去します。
$$-C_V T_B = C_p T_C – C_p T_B – C_V T_C + R T_B – R T_C$$
\(T_B\) と \(T_C\) の項でまとめます。
$$(-C_V + C_p – R)T_B = (C_p – C_V – R)T_C$$
$$(C_p – C_V – R)T_B = (C_p – C_V – R)T_C$$
$$(C_p – C_V – R)(T_B – T_C) = 0$$
\(T_B \neq T_C\) なので、
$$C_p – C_V – R = 0$$
よって、
$$C_p – C_V = R$$

この設問の平易な説明

BからAへの変化について、エネルギー保存則(熱力学第一法則)を考えます。この変化の間に「もらった熱の合計」と「された仕事の合計」を足すと、「内部エネルギーの変化」に等しくなります。それぞれの項を温度とモル比熱を使って表し、式を整理すると、有名なマイヤーの関係式が導かれます。

結論と吟味

仕事は \(W_{BCA} = R(T_B – T_C)\) で、関係式は \(C_p – C_V = R\) です。定圧変化では、加えた熱が内部エネルギーの増加だけでなく外部への仕事にも使われるため、温度を1K上げるのにより多くの熱量が必要になります。その差が気体定数\(R\)に相当するという、物理的に重要な関係が導かれました。

別解: 定圧変化(B→C)のみに着目する解法

思考の道筋とポイント
より標準的なアプローチとして、定圧変化B→Cという単一の過程に熱力学第一法則を適用します。
具体的な解説と立式
過程B→Cについて熱力学第一法則 \(\Delta U_{BC} = Q_{BC} + W_{BC}\) を考えます。

  • \(\Delta U_{BC} = C_V(T_C – T_B)\)
  • \(Q_{BC} = C_p(T_C – T_B)\)
  • \(W_{BC} = -p_2(V_1 – V_2) = p_2(V_2 – V_1) = R(T_B – T_C) = -R(T_C – T_B)\)

これらを代入します。
$$C_V(T_C – T_B) = C_p(T_C – T_B) – R(T_C – T_B)$$
\(T_C – T_B \neq 0\) なので、両辺を \((T_C – T_B)\) で割ると、
$$C_V = C_p – R$$
整理して \(C_p – C_V = R\) が得られます。
結論と吟味
この別解は、定圧変化という1つの過程の中でのエネルギーの分配(熱が内部エネルギーと仕事にどう分かれるか)を直接的に示しており、マイヤーの関係式の物理的意味を理解しやすいという利点があります。

解答 (4) 仕事: \(W_{BCA} = R(T_B – T_C)\), 関係式: \(C_p – C_V = R\)

問(5)

思考の道筋とポイント
熱効率\(e\)は、サイクルが吸収した熱量 \(Q_{\text{in}}\) と放出した熱量 \(Q_{\text{out}}\) を用いて、\(e = 1 + \displaystyle\frac{Q_{\text{out}}}{Q_{\text{in}}}\) と表せます。このサイクルでは、C→Aで熱を吸収し、B→Cで熱を放出します。
この設問における重要なポイント

  • 熱を吸収する過程は C→A のみです。よって \(Q_{\text{in}} = Q_{CA}\)。
  • 熱を放出する過程は B→C のみです。よって \(Q_{\text{out}} = Q_{BC}\)。
  • 問(3)で求めた \(Q_{CA}\) と \(Q_{BC}\) を使います。
  • 最終的に \(\gamma, \displaystyle\frac{p_1}{p_2}, \displaystyle\frac{V_2}{V_1}\) で表すため、状態方程式を使って温度を圧力と体積の式に変換します。

具体的な解説と立式
熱効率\(e\)の定義式に、各熱量を代入します。
$$e = 1 + \frac{Q_{BC}}{Q_{CA}}$$
問(3)の結果を代入すると、
$$e = 1 + \frac{C_p(T_C – T_B)}{C_V(T_A – T_C)} = 1 – \frac{C_p}{C_V} \frac{T_B – T_C}{T_A – T_C}$$
\(\gamma = \displaystyle\frac{C_p}{C_V}\) を使うと、
$$e = 1 – \gamma \frac{T_B – T_C}{T_A – T_C}$$
次に、温度を圧力と体積で表すために状態方程式 \(pV=RT\) を使います。
\(T_A = \displaystyle\frac{p_1V_1}{R}\), \(T_B = \displaystyle\frac{p_2V_2}{R}\), \(T_C = \displaystyle\frac{p_2V_1}{R}\)
これらを代入します。
$$
\begin{aligned}
e &= 1 – \gamma \frac{\frac{p_2V_2}{R} – \frac{p_2V_1}{R}}{\frac{p_1V_1}{R} – \frac{p_2V_1}{R}} = 1 – \gamma \frac{\frac{p_2}{R}(V_2 – V_1)}{\frac{V_1}{R}(p_1 – p_2)} \\[2.0ex]
&= 1 – \gamma \frac{p_2(V_2 – V_1)}{V_1(p_1 – p_2)}
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 熱効率の定義: \(e = 1 + \displaystyle\frac{Q_{\text{out}}}{Q_{\text{in}}}\)
  • 理想気体の状態方程式: \(PV=nRT\)
計算過程

与えられた変数 \(\displaystyle\frac{p_1}{p_2}, \displaystyle\frac{V_2}{V_1}\) を使って変形するために、分母分子を \(p_2V_1\) で割ります。
$$
\begin{aligned}
e &= 1 – \gamma \frac{\frac{p_2(V_2 – V_1)}{p_2V_1}}{\frac{V_1(p_1 – p_2)}{p_2V_1}} = 1 – \gamma \frac{\frac{V_2}{V_1} – 1}{\frac{p_1}{p_2} – 1}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

熱効率は「1 + (放出した熱量) / (吸収した熱量)」で計算します。このサイクルではC→Aで熱を吸収し、B→Cで熱を放出します。それぞれの熱量を(3)の結果から代入し、あとは気体の状態方程式などを使って、問題で指定された物理量(\(\gamma, p_1/p_2, V_2/V_1\))だけの式に整理していきます。

結論と吟味

熱効率は \(e = 1 – \gamma \displaystyle\frac{V_2/V_1 – 1}{p_1/p_2 – 1}\) となります。この式は、サイクルの形状(圧力比や体積比)と気体の性質(比熱比\(\gamma\))だけで熱効率が決まることを示しています。

別解: \(e = \text{仕事} / \text{吸収熱}\) の定義から求める解法

思考の道筋とポイント
熱効率の基本定義 \(e = \displaystyle\frac{W_{\text{net}}}{Q_{\text{in}}}\) から出発します。サイクル全体の正味の仕事 \(W_{\text{net}}\) は、熱力学第一法則から \(W_{\text{net, した}} = Q_{\text{in}} + Q_{\text{out}}\) と等しくなります。
具体的な解説と立式
$$ e = \frac{W_{\text{net, した}}}{Q_{\text{in}}} = \frac{Q_{CA} + Q_{BC}}{Q_{CA}} = 1 + \frac{Q_{BC}}{Q_{CA}} $$
これは主たる解法と同じ式になり、以降の計算も同様です。このアプローチは、熱効率の物理的意味である「投入した熱のうち、仕事に変換された割合」を直接的に計算するものであり、理解を深める上で有益です。

解答 (5) \(e = 1 – \gamma \displaystyle\frac{\frac{V_2}{V_1} – 1}{\frac{p_1}{p_2} – 1}\)

問(6)

思考の道筋とポイント
サイクルを逆向き(A→C→B→A)に運転する場合を考えます。これは元のサイクルの熱と仕事の出入りがすべて逆になることを意味します。元のサイクルが「熱を仕事に変える熱機関」だったので、逆サイクルは「仕事を消費して熱を移動させる機関」となります。
この設問における重要なポイント

  • A→C: 定積冷却。気体は熱を放出。
  • C→B: 定圧膨張。気体は熱を吸収。
  • B→A: 断熱圧縮。外部から仕事をされる。
  • 全体として、低温側で熱を吸収し、高温側で熱を放出します。これを実現するために外部から仕事を加える必要があります。これは冷凍機やヒートポンプ(エアコン)の原理です。
  • 熱力学第二法則: 「熱は外部からの仕事なしに、低温の物体から高温の物体へ自発的に移動することはない」という法則。この逆サイクルが成立するためには、外部から正味の仕事を加える必要があります。

具体的な解説と立式
逆サイクル A→C→B→A の各過程は以下のようになります。

  • A→C: 定積冷却。気体は熱量 \(|Q_{CA}|\) を高温熱源へ放出します。
  • C→B: 定圧膨張。気体は熱量 \(|Q_{BC}|\) を低温熱源から吸収します。
  • B→A: 断熱圧縮。気体は外部から仕事 \(|W_{AB}|\) をされます。

サイクル全体で見ると、低温の熱源から熱を吸収し、高温の熱源へ熱を放出しています。この熱の「汲み上げ」を行うために、外部から正味の仕事をする必要があります(サイクルが描く面積分の仕事をされる)。これは冷凍機やエアコン(ヒートポンプ)の動作原理です。
この機関が成立するための条件は、熱力学第二法則に反しないことです。すなわち、この熱の移動は自発的には起こらず、必ず外部から仕事を加える(エネルギーを消費する)ことによってのみ可能となります。

この設問の平易な説明

元のサイクルの逆回転を考えます。熱の出入りや仕事の向きがすべて逆になります。その結果、低温の場所から熱を奪い、高温の場所へ熱を運ぶ装置になります。これはエアコンや冷蔵庫の仕組みです。ただし、これはタダではできず、「外部から仕事を加える」というエネルギーの投入が必要です。これが熱力学の重要なルール(第二法則)に反しないための条件です。

結論と吟味

解答の要旨:
低温熱源から熱を吸収し、高温熱源に熱を放出する、エアコンのような機関となる。気体がする仕事は負になるので、外部から仕事をされる必要があり、そのことが熱力学第二法則に反しない条件となる。

解答 (6) 低温熱源から熱を吸収し、高温熱源に熱を放出する、エアコンのような機関となる。気体がする仕事は負になるので、外部から仕事をされる必要があり、そのことが熱力学第二法則に反しない条件となる。

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?

  • 熱力学第一法則 (\(\Delta U = Q + W_{\text{された}}\)):
    • 核心: 気体のエネルギー保存則であり、すべての熱力学の問題を貫く基本原理です。内部エネルギーの変化(\(\Delta U\))は、外部から供給された熱量(\(Q\))と、外部からされた仕事(\(W_{\text{された}}\))の和に等しい。この法則を各過程(断熱、定圧、定積)に正しく適用することが全ての基本です。
    • 理解のポイント: 問題に応じて \(W_{\text{された}}\) を使うか \(W_{\text{した}}\) (\(Q = \Delta U + W_{\text{した}}\)) を使うか柔軟に切り替えることが重要です。本解説では「された仕事」で統一しています。
  • 理想気体の内部エネルギー (\(\Delta U = nC_V\Delta T\)):
    • 核心: 理想気体の内部エネルギーは、体積や圧力にはよらず、温度だけで決まる「状態量」であるという極めて重要な性質です。これにより、どんな複雑な変化でも、最初と最後の温度さえ分かれば内部エネルギーの変化量を計算できます。
    • 理解のポイント: (1)の証明はまさにこの性質に基づいています。定圧変化や断熱変化であっても、内部エネルギーの変化を計算する際は、常にこの式(\(nC_V\Delta T\))を使います。
  • 各状態変化の定義と性質:
    • 核心: 断熱(\(Q=0\))、定積(\(W=0\))、定圧(\(W_{\text{した}}=P\Delta V\))という各過程の物理的な制約を理解し、熱力学第一法則に適用することが、具体的な立式の鍵となります。
    • 理解のポイント:
      • 断熱変化: \(\Delta U = W_{\text{された}}\) (仕事が直接内部エネルギーに変わる)
      • 定積変化: \(\Delta U = Q\) (熱が直接内部エネルギーに変わる)
      • 定圧変化: \(\Delta U = Q + W_{\text{された}}\) (熱が内部エネルギーと仕事の両方に分配される)

応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点

  • 応用できる類似問題のパターン:
    • ディーゼルサイクル: 断熱圧縮→定圧膨張→断熱膨張→定積冷却という過程からなるサイクル。本問題と構成要素が似ています。
    • カルノーサイクル: 等温変化と断熱変化のみで構成される、理論上最も熱効率が高いサイクル。
    • スターリングサイクル、ブレイトンサイクル: 様々な熱力学サイクルが存在しますが、いずれも「各過程の性質を理解し、熱力学第一法則を適用する」という基本アプローチは共通です。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. サイクルの過程を特定する: まず、サイクルがどのような過程(定積、定圧、等温、断熱)の組み合わせでできているかを\(P-V\)図から読み取ります。
    2. 熱の吸収・放出過程を特定する: サイクルの中で、どの過程で熱を吸収し(\(Q_{\text{in}} > 0\))、どの過程で熱を放出するのか(\(Q_{\text{out}} < 0\))を特定します。これは熱効率の計算に不可欠です。一般に、温度が上がる過程で熱を吸収し、下がる過程で熱を放出します(断熱変化を除く)。
    3. 仕事と内部エネルギーの関係を整理する: 各過程について、\(Q, W, \Delta U\) のうち、どれが0になるか、あるいは簡単に計算できるかを考え、熱力学第一法則の式を簡略化します。
    4. 状態方程式を使いこなす: \(P, V, T\) の関係は常に状態方程式 \(PV=nRT\) で結びつけられています。温度を圧力・体積で表したり、その逆を行ったりして、式を整理する際に活用します。

要注意!ありがちなミス・誤解とその対策

  • 仕事の符号の混同:
    • 誤解: 「気体がした仕事」と「気体がされた仕事」を混同し、熱力学第一法則の式の符号を間違える。
    • 対策: 自分で「\(\Delta U = Q + W_{\text{された}}\)」か「\(Q = \Delta U + W_{\text{した}}\)」のどちらか一方の形を基準として決め、常にその式に立ち返る習慣をつけましょう。膨張すれば「した仕事」は正、「された仕事」は負、圧縮されればその逆、と物理的なイメージと結びつけることも有効です。
  • モル比熱の使い分けミス:
    • 誤解: 定圧変化なのに \(C_V\) を使って熱量を計算する、あるいはその逆。
    • 対策: 「定“積”変化の熱量は\(C_V\)」「定“圧”変化の熱量は\(C_p\)」と、名前と対応させて覚えましょう。内部エネルギーの変化 \(\Delta U\) の計算は、どんな変化でも常に \(C_V\) を使う、という点も重要です。
  • 熱効率の式の誤解:
    • 誤解: 吸収した熱量 \(Q_{\text{in}}\) ではなく、吸収と放出を合計した正味の熱量で仕事を割ってしまう。
    • 対策: 熱効率の定義は「投入したエネルギー(吸収した熱)のうち、どれだけを有効な仕事に変換できたか」という割合です。したがって、分母は必ず「吸収した熱量の合計 \(Q_{\text{in}}\)」になります。

なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法

  • 熱力学第一法則:
    • 選定理由: 仕事、熱、内部エネルギーという3つの量の関係性を問うているため。エネルギー保存則として、全ての過程の基本となります。
    • 適用根拠: エネルギー保存則。
  • \(Q=nC\Delta T\) (モル比熱の定義):
    • 選定理由: 問題が「熱量」を問うており、かつ定積変化・定圧変化という条件が与えられているため。これらの変化における熱量を最も直接的に計算できる公式です。
    • 適用根拠: モル比熱の物理的な定義そのものです。
  • マイヤーの関係式 (\(C_p-C_V=R\)):
    • 選定理由: (4)で関係式を導出するよう求められているため。また、\(C_p\)と\(C_V\)という異なる物理定数を結びつける際に必要となります。
    • 適用根拠: 定圧変化における熱力学第一法則に、状態方程式を適用することで導出される、理想気体の普遍的な性質です。
  • 熱効率の定義式 (\(e = W_{\text{net}}/Q_{\text{in}}\)):
    • 選定理由: (5)で「熱効率」という指標そのものが問われているため。
    • 適用根拠: 熱機関の性能を評価するための物理的な定義です。

計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック

  • 添字の確認:
    • 特に注意すべき点: \(T_A, T_B, T_C\) など、多くの状態が出てくるため、温度変化 \(\Delta T\) を計算する際に「(後) – (前)」の順番を間違えないように注意しましょう。(\(T_C-T_B\) なのか \(T_B-T_C\) なのか)
    • 日頃の練習: 式を立てるたびに、添字が変化の向きと合っているかを確認する癖をつける。
  • 文字式の整理:
    • 特に注意すべき点: (5)のように、多くの文字を含む式を整理する際は、一気に代入するのではなく、段階的に進めましょう。例えば、まず \(e\) を \(T\) と \(C_p, C_V\) で表し、次に \(T\) を \(P, V\) で表す、というように手順を分けると、間違いが減ります。
    • 日頃の練習: 複雑な式変形が予想される場合は、計算の最終目標(どの変数で表すか)を常に意識し、どの変数をどのタイミングで消去するか計画を立てる練習をしましょう。
  • 比熱比 \(\gamma\) の導入タイミング:
    • 特に注意すべき点: \(\gamma = C_p/C_V\) は、式がある程度整理されてから最後に導入すると見通しが良くなることが多いです。
    • 日頃の練習: 複数の物理定数(この問題では\(C_p, C_V, R\))を含む式では、どの定数を基準に整理するかを考えてから計算を始めると良い。

解きっぱなしはNG!解答の妥当性を吟味する習慣をつけよう

  • 得られた答えの物理的妥当性の検討:
    • (3) 熱量の符号: B→Cは圧縮され温度が下がるので \(Q_{BC}<0\) (放出)、C→Aは加熱され温度が上がるので \(Q_{CA}>0\) (吸収) となり、計算結果の符号と物理現象が一致することを確認します。
    • (4) マイヤーの関係式: \(C_p > C_V\) であることは、「定圧下では熱が仕事にも使われる分、温度を上げるのにより多くの熱が必要」という物理的イメージと合致します。
    • (5) 熱効率 \(e\): 熱効率は必ず \(0 < e < 1\) の範囲にあるはずです。得られた式の変数が物理的に妥当な範囲にあるとき、この条件を満たすかを確認します。
  • 既知の状況との比較:
    • (4)で導出したマイヤーの関係式 \(C_p-C_V=R\) は、熱力学における最も基本的な関係式の一つです。これが正しく導出できたかで、それまでの計算の妥当性を検証できます。
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問題73 (神戸大 改)

【問題の確認】まずは問題文をしっかり読み解こう

この問題は、断熱変化と定積変化を組み合わせた「オットーサイクル」と呼ばれる熱力学サイクルを扱います。1molの単原子分子理想気体を対象に、サイクルの図示、熱の出入り、仕事、そして熱効率を段階的に求めていきます。
核心は、各過程(断熱・定積)の性質を正確に理解し、熱力学第一法則とポアソンの法則を的確に適用することです。

与えられた条件
  • 気体: 単原子分子理想気体、\(n=1\,\text{mol}\)
  • サイクル (a→b→c→d→a):
    • a→b: 断熱膨張
    • b→c: 定積冷却(体積\(V_1\))
    • c→d: 断熱圧縮
    • d→a: 定積加熱(体積\(V_2\))
  • 各状態の温度: \(T_a, T_b, T_c, T_d\)
  • 物理定数・関係式:
    • 定積モル比熱: \(C_V\)
    • ポアソンの法則: \(pV^\gamma = \text{一定}\)
    • 比熱比: \(\gamma\)(定圧モル比熱 / 定積モル比熱)
問われていること
  • (1) サイクルの\(p-V\)図。
  • (2) 熱を吸収・放出する過程とその熱量。
  • (3) 1サイクルで気体が外部にする仕事の総和 \(W\)。
  • (4) 温度間の関係式 \(\displaystyle\frac{T_a}{T_b} = \frac{T_d}{T_c}\) の証明。
  • (5) 熱効率 \(e\)。

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】

本解説は、模範解答で採用されている解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。

  1. 提示する別解
    • 問(3) 仕事の総和\(W\)の別解: サイクル全体の熱収支を利用する解法
      • 主たる解法が各過程の仕事(断熱過程の仕事)を足し合わせるのに対し、別解ではサイクル全体で内部エネルギーの変化がゼロであることを利用し、気体が吸収した正味の熱量がそのまま仕事になる、という熱力学第一法則の応用で解きます。
    • 問(5) 熱効率\(e\)の別解: 吸収熱と放出熱の比を利用する解法
      • 主たる解法が熱効率の定義式 \(e = W/Q_{\text{吸収}}\) に従って計算するのに対し、別解ではそれと等価な公式 \(e = 1 – |Q_{\text{放出}}|/Q_{\text{吸収}}\) を用いて計算します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 計算の効率化: 特に問(3)の別解は、問(2)で求めた熱量を足し合わせるだけで仕事が求まるため、断熱過程の仕事を別途計算する必要がなく、大幅に計算が簡略化されます。
    • 物理モデルの深化: 「サイクルでは内部エネルギーは元に戻る」という状態量の概念や、「仕事は吸収した熱と放出した熱の差額である」というエネルギー変換の考え方がより明確に理解できます。
    • 公式の多角的理解: 熱効率を求める2つの公式が、数学的にだけでなく物理的にも等価であることを実践的に確認することで、公式への理解が深まります。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「オットーサイクル」の解析です。熱力学の基本法則を体系的に適用して解き進めます。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 熱力学第一法則: \(Q = \Delta U + W_{\text{した}}\)。気体のエネルギー収支の基本です。
  2. 各変化の性質:
    • 断熱変化: \(Q=0\)。したがって \(\Delta U = -W_{\text{した}}\)。
    • 定積変化: \(W_{\text{した}}=0\)。したがって \(Q = \Delta U\)。
  3. 内部エネルギー: 単原子分子理想気体の場合、\(\Delta U = nC_V\Delta T = C_V\Delta T\)。
  4. ポアソンの法則: 断熱変化では \(pV^\gamma = \text{一定}\) が成り立ちます。状態方程式 \(pV=RT\) を使うと、\(TV^{\gamma-1} = \text{一定}\) という形にも変形できます。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)は各過程の性質(断熱、定積)を\(p-V\)図上に表現します。
  2. (2)は熱の出入りがある定積過程について、熱力学第一法則から熱量を求めます。
  3. (3)は熱力学第一法則のサイクル全体への適用 (\(W = Q_{\text{吸収}} + Q_{\text{放出}}\))、または各過程の仕事の和として計算します。
  4. (4)は2つの断熱過程にポアソンの法則を適用し、式を整理して関係を導きます。
  5. (5)は熱効率の定義式 \(e = \displaystyle\frac{W}{Q_{\text{吸収}}}\) に、(2)(3)の結果と(4)の関係式を適用して計算します。

問(1)

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