「リードα 物理基礎・物理 改訂版」徹底解説!【第27章】応用問題

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473 R, L, C直列の交流回路

【問題の確認】まずは問題文をしっかり読み解こう

この問題は、抵抗、コイル、コンデンサーを直列に接続した基本的な交流回路(RLC直列回路)における、電流と電圧の関係を問う問題です。各素子の電圧の位相が電流に対してどのように変化するかを理解し、それらを正しく合成する能力が試されます。また、特定の周波数で電流が最大になる「共振」という重要な現象についても扱います。

与えられた条件
  • 回路構成: 抵抗(\(R\))、コイル(\(L\))、コンデンサー(\(C\))の直列接続
  • 交流電源の角周波数: \(\omega\)
  • 回路を流れる電流の瞬時値: \(I = I_0 \sin(\omega t)\)
  • 各素子の電圧の瞬時値: \(V_R, V_L, V_C\)
  • 電源電圧\(V\)と電流\(I\)の位相差: \(V\)は\(I\)より\(\theta\)だけ進む
  • 三角関数の合成公式: \(A\sin x + B\cos x = \sqrt{A^2 + B^2} \sin(x+\alpha)\), ただし \(\tan\alpha = \displaystyle\frac{B}{A}\)
問われていること
  • (1) 電流の実効値 \(I_e\)
  • (2) 各素子の電圧の瞬時値 \(V_R, V_L, V_C\)
  • (3) 電源電圧の最大値 \(V_0\) と実効値 \(V_e\)
  • (4) 回路に大きな電流が流れる現象名と、そのときの周波数 \(f_0\)

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】

本解説は、模範解答で採用されている解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。

  1. 提示する別解
    • 設問(3)の別解: ベクトル図を用いて電源電圧の最大値を求める解法
      • 模範解答が各素子の電圧の瞬時値を三角関数の合成公式で合成するのに対し、別解では各電圧の最大値と位相差をベクトルとして扱い、幾何学的に合成して電源電圧の最大値を求めます。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 直感的理解の促進: RLC回路における電圧の位相関係(コイルは進み、コンデンサーは遅れる)を視覚的なベクトル図で捉えることで、合成電圧の大きさと位相がどのように決まるかを直感的に理解できます。
    • 計算の簡略化: 複雑な三角関数の合成計算を、三平方の定理を用いた単純な幾何計算に置き換えることができ、計算ミスを減らすことにつながります。
    • 応用的思考力の養成: ベクトル図は交流回路理論の基本であり、より複雑な回路(並列回路など)を解析する際の基礎となる考え方です。この段階で習熟しておくことは非常に有益です。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「RLC直列回路における交流電圧と電流の関係」です。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. オームの法則の拡張: 交流回路では、抵抗だけでなく、コイルのリアクタンス \(\omega L\) とコンデンサーのリアクタンス \(\displaystyle\frac{1}{\omega C}\) も電圧と電流の比を決定する要素となります。
  2. 電圧と電流の位相差: 抵抗では電圧と電流は同位相ですが、コイルでは電圧が電流より \(\displaystyle\frac{\pi}{2}\) 進み、コンデンサーでは電圧が \(\displaystyle\frac{\pi}{2}\) 遅れます。
  3. キルヒホッフの第2法則: 直列回路であるため、任意の時刻における電源電圧 \(V\) は、各素子にかかる電圧 \(V_R, V_L, V_C\) の和に等しくなります (\(V = V_R + V_L + V_C\))。
  4. 交流の実行値と最大値の関係: 正弦波交流において、実効値は最大値の \(\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}\) 倍になります。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. まず、与えられた電流の式を基に、各素子の電圧の瞬時値を、それぞれの位相関係を考慮して数式で表現します(問2)。
  2. 次に、キルヒホッフの法則に従って各素子の電圧を合成し、電源電圧の瞬時値と最大値を求めます(問3)。
  3. 最後に、回路全体のインピーダンスが最小になる条件を考え、共振現象について考察します(問4)。

問(1)

思考の道筋とポイント
交流電流の実効値を求める問題です。実効値の定義は、その交流が直流と同じ仕事率(消費電力)を生じさせるときの直流電流の値です。正弦波交流の場合、実効値と最大値の間には決まった関係があります。
この設問における重要なポイント

  • 実効値と最大値の関係: 正弦波交流において、実効値は最大値の \(\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}\) 倍です。
  • 電流の最大値の特定: 問題文で与えられた電流の瞬時値の式 \(I = I_0 \sin(\omega t)\) から、電流の最大値(振幅)が \(I_0\) であることを読み取ります。

具体的な解説と立式
問題文より、回路を流れる電流の瞬時値は \(I = I_0 \sin(\omega t)\) と与えられています。
この式の形から、電流の最大値は \(I_0\) であることがわかります。
正弦波交流における実効値 \(I_e\) と最大値 \(I_0\) の関係は、
$$ I_e = \frac{I_0}{\sqrt{2}} \quad \cdots ① $$
で与えられます。

使用した物理公式

  • 交流の実効値と最大値の関係: \(I_e = \displaystyle\frac{I_0}{\sqrt{2}}\)
計算過程

立式した①式がそのまま答えとなります。特に計算は必要ありません。

この設問の平易な説明

交流の電流や電圧は常に変動しているので、「平均的な強さ」を表すために「実効値」というものを使います。家庭用のコンセントが「100V」というのは、この実効値のことです。サインカーブを描くようなきれいな交流の場合、この実効値は一番大きい値(最大値)を \(\sqrt{2}\) (およそ1.414) で割った値になる、というルールがあります。この問題では電流の最大値が \(I_0\) なので、実効値はそれを \(\sqrt{2}\) で割ったものになります。

結論と吟味

電流の実効値は \(I_e = \displaystyle\frac{I_0}{\sqrt{2}}\) です。
これは実効値の定義そのものであり、問題なく妥当です。

解答 (1) \(\displaystyle\frac{I_0}{\sqrt{2}}\)

問(2)

思考の道筋とポイント
抵抗、コイル、コンデンサーそれぞれにかかる電圧の瞬時値を求める問題です。各素子における電圧と電流の位相関係を正しく理解し、オームの法則を拡張した関係式を適用することが鍵となります。
この設問における重要なポイント

  • 抵抗の電圧 \(V_R\): 電流 \(I\) と同位相です。最大値は \(R I_0\) です。
  • コイルの電圧 \(V_L\): 電流 \(I\) より位相が \(\displaystyle\frac{\pi}{2}\) 進みます。最大値はリアクタンス \(\omega L\) を用いて \(\omega L I_0\) です。
  • コンデンサーの電圧 \(V_C\): 電流 \(I\) より位相が \(\displaystyle\frac{\pi}{2}\) 遅れます。最大値はリアクタンス \(\displaystyle\frac{1}{\omega C}\) を用いて \(\displaystyle\frac{1}{\omega C} I_0\) です。

具体的な解説と立式
電流の瞬時値は \(I = I_0 \sin(\omega t)\) です。
各素子の電圧の最大値をそれぞれ \(V_{R0}, V_{L0}, V_{C0}\) とします。

1. 抵抗の電圧 \(V_R\)
電圧と電流は同位相なので、\(V_R\) の位相は \(\omega t\) となります。電圧の最大値は \(V_{R0} = R I_0\) です。よって、瞬時値 \(V_R\) は、
$$ V_R = R I_0 \sin(\omega t) \quad \cdots ① $$
2. コイルの電圧 \(V_L\)
電圧は電流より位相が \(\displaystyle\frac{\pi}{2}\) 進むので、\(V_L\) の位相は \(\omega t + \displaystyle\frac{\pi}{2}\) となります。電圧の最大値は \(V_{L0} = (\omega L) I_0\) です。よって、瞬時値 \(V_L\) は、
$$ V_L = \omega L I_0 \sin\left(\omega t + \frac{\pi}{2}\right) \quad \cdots ② $$
三角関数の性質 \(\sin(x + \displaystyle\frac{\pi}{2}) = \cos x\) を用いると、次のように表すこともできます。
$$ V_L = \omega L I_0 \cos(\omega t) $$
3. コンデンサーの電圧 \(V_C\)
電圧は電流より位相が \(\displaystyle\frac{\pi}{2}\) 遅れるので、\(V_C\) の位相は \(\omega t – \displaystyle\frac{\pi}{2}\) となります。電圧の最大値は \(V_{C0} = \left(\displaystyle\frac{1}{\omega C}\right) I_0\) です。よって、瞬時値 \(V_C\) は、
$$ V_C = \frac{1}{\omega C} I_0 \sin\left(\omega t – \frac{\pi}{2}\right) \quad \cdots ③ $$
三角関数の性質 \(\sin(x – \displaystyle\frac{\pi}{2}) = -\cos x\) を用いると、次のように表すこともできます。
$$ V_C = -\frac{1}{\omega C} I_0 \cos(\omega t) $$

使用した物理公式

  • 抵抗の電圧: \(V_R = RI\) (位相は \(I\) と同じ)
  • コイルの電圧: \(V_L = (\omega L) I\) (位相は \(I\) より \(\displaystyle\frac{\pi}{2}\) 進む)
  • コンデンサーの電圧: \(V_C = \left(\displaystyle\frac{1}{\omega C}\right) I\) (位相は \(I\) より \(\displaystyle\frac{\pi}{2}\) 遅れる)
計算過程

立式した①、②、③式がそのまま答えとなります。特に計算は必要ありません。

この設問の平易な説明

交流回路では、抵抗・コイル・コンデンサーはそれぞれ個性的な振る舞いをします。

  • 抵抗は「真面目」で、電流の波と電圧の波がピッタリ同じタイミングで動きます。
  • コイルは「せっかち」で、電圧の波が電流の波より少し(4分の1周期)早くやってきます。
  • コンデンサーは「のんびり屋」で、電圧の波が電流の波より少し(4分の1周期)遅れてやってきます。

この問題では、それぞれの「個性」と、電圧の大きさ(最大値)を計算して、数式で表現します。

結論と吟味

各電圧の瞬時値は以下の通りです。
\(V_R = R I_0 \sin(\omega t)\)
\(V_L = \omega L I_0 \sin\left(\omega t + \displaystyle\frac{\pi}{2}\right)\) (または \(\omega L I_0 \cos(\omega t)\))
\(V_C = \displaystyle\frac{1}{\omega C} I_0 \sin\left(\omega t – \displaystyle\frac{\pi}{2}\right)\) (または \(-\displaystyle\frac{1}{\omega C} I_0 \cos(\omega t)\))
各素子の電圧と電流の位相関係の定義に忠実に従っており、妥当な結果です。

解答 (2) \(V_R = R I_0 \sin(\omega t)\), \(V_L = \omega L I_0 \sin\left(\omega t + \displaystyle\frac{\pi}{2}\right)\), \(V_C = \displaystyle\frac{1}{\omega C} I_0 \sin\left(\omega t – \displaystyle\frac{\pi}{2}\right)\)

問(3)

思考の道筋とポイント
電源電圧 \(V\) の最大値 \(V_0\) と実効値 \(V_e\) を求める問題です。直列回路なので、電源電圧 \(V\) は各素子の電圧 \(V_R, V_L, V_C\) の和になります。ただし、これらは位相が異なるため、単純な足し算ではなく、三角関数の合成として計算する必要があります。
この設問における重要なポイント

  • キルヒホッフの第2法則: \(V = V_R + V_L + V_C\)。これは瞬時値の関係式です。
  • 三角関数の合成: (2)で求めた \(V_R, V_L, V_C\) を代入すると、\(\sin(\omega t)\) と \(\cos(\omega t)\) の項が現れます。問題文で与えられた合成公式を用いて、一つの \(\sin\) の形にまとめます。
  • 最大値と実効値の関係: (1)と同様に、\(V_e = \displaystyle\frac{V_0}{\sqrt{2}}\) の関係を使います。

具体的な解説と立式
キルヒホッフの第2法則より、電源電圧の瞬時値 \(V\) は、各素子の電圧の和で表されます。
$$ V = V_R + V_L + V_C $$
(2)の結果を代入し、計算しやすいように \(\cos\) で表した形を用います。
$$
\begin{aligned}
V &= R I_0 \sin(\omega t) + \omega L I_0 \cos(\omega t) – \frac{1}{\omega C} I_0 \cos(\omega t) \\[2.0ex]
&= R I_0 \sin(\omega t) + \left(\omega L – \frac{1}{\omega C}\right) I_0 \cos(\omega t) \quad \cdots ①
\end{aligned}
$$
ここで、問題文で与えられた合成公式 \(A\sin x + B\cos x = \sqrt{A^2 + B^2} \sin(x+\alpha)\) を用います。
この式で \(A = R I_0\), \(B = \left(\omega L – \displaystyle\frac{1}{\omega C}\right) I_0\), \(x = \omega t\) と対応させると、
$$ V = \sqrt{(R I_0)^2 + \left\{\left(\omega L – \frac{1}{\omega C}\right) I_0\right\}^2} \sin(\omega t + \alpha) $$
\(I_0\) をルートの外に出すと、
$$ V = \sqrt{R^2 + \left(\omega L – \frac{1}{\omega C}\right)^2} I_0 \sin(\omega t + \alpha) \quad \cdots ② $$
この式の形から、電源電圧の最大値 \(V_0\) は \(\sin\) の係数部分であることがわかります。
$$ V_0 = \sqrt{R^2 + \left(\omega L – \frac{1}{\omega C}\right)^2} I_0 \quad \cdots ③ $$
次に、実効値 \(V_e\) を求めます。実効値は最大値の \(\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}\) 倍なので、
$$ V_e = \frac{V_0}{\sqrt{2}} $$
これに③式を代入すると、
$$ V_e = \frac{1}{\sqrt{2}} \sqrt{R^2 + \left(\omega L – \frac{1}{\omega C}\right)^2} I_0 \quad \cdots ④ $$

使用した物理公式

  • キルヒホッフの第2法則: \(V = V_R + V_L + V_C\)
  • 三角関数の合成公式: \(A\sin x + B\cos x = \sqrt{A^2 + B^2} \sin(x+\alpha)\)
  • 実効値と最大値の関係: \(V_e = \displaystyle\frac{V_0}{\sqrt{2}}\)
計算過程

上記「具体的な解説と立式」で計算は完了しています。
最大値 \(V_0\) は③式、実効値 \(V_e\) は④式となります。

この設問の平易な説明

電源が生み出す全体の電圧は、抵抗・コイル・コンデンサーにかかる3つの電圧を足し合わせたものです。しかし、(2)で見たように、これら3つの電圧は波のタイミングがずれています。タイミングのずれた波の足し算は、三角関数の「合成公式」という数学の道具を使って行います。この計算の結果、全体の電圧も一つのきれいなサインカーブの波になることがわかり、その波の高さ(最大値)が計算できます。実効値は、その最大値を \(\sqrt{2}\) で割れば求まります。

結論と吟味

電源電圧の最大値は \(V_0 = \sqrt{R^2 + \left(\omega L – \displaystyle\frac{1}{\omega C}\right)^2} I_0\)、実効値は \(V_e = \displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}} \sqrt{R^2 + \left(\omega L – \displaystyle\frac{1}{\omega C}\right)^2} I_0\) です。
この結果は、回路全体の交流に対する「抵抗のようなもの」(インピーダンス)が \(Z = \sqrt{R^2 + \left(\omega L – \displaystyle\frac{1}{\omega C}\right)^2}\) であることを示しており、\(V_0 = Z I_0\) というオームの法則に似た関係が成り立っていることを意味します。物理的に妥当な結果です。

別解: ベクトル図を用いて電源電圧の最大値を求める解法

思考の道筋とポイント
各素子の電圧の最大値 \(V_{R0}, V_{L0}, V_{C0}\) とその位相関係を、ベクトルで表現した図を描いて考えます。電源電圧の最大値 \(V_0\) は、これらの電圧ベクトルを合成したベクトルの大きさに対応します。
この設問における重要なポイント

  • 基準ベクトル: 回路に共通して流れる電流の最大値 \(I_0\) を基準とし、水平右向きのベクトルで表します。
  • 各電圧ベクトルの向き:
    • \(V_{R0}\) は \(I_0\) と同位相なので、\(I_0\) と同じ向き(水平右向き)。
    • \(V_{L0}\) は \(I_0\) より \(\displaystyle\frac{\pi}{2}\) 進むので、真上向き。
    • \(V_{C0}\) は \(I_0\) より \(\displaystyle\frac{\pi}{2}\) 遅れるので、真下向き。
  • ベクトルの合成: これら3つのベクトルを合成し、合成ベクトルの大きさを三平方の定理で求めます。

具体的な解説と立式
各電圧の最大値は、(2)で考えたように以下の通りです。
\(V_{R0} = R I_0\)
\(V_{L0} = \omega L I_0\)
\(V_{C0} = \displaystyle\frac{1}{\omega C} I_0\)

これらの電圧の最大値を、電流を基準としたベクトル図で考えます。

  • \(V_{R0}\) は、水平右向きで大きさ \(R I_0\) のベクトル。
  • \(V_{L0}\) は、真上向きで大きさ \(\omega L I_0\) のベクトル。
  • \(V_{C0}\) は、真下向きで大きさ \(\displaystyle\frac{1}{\omega C} I_0\) のベクトル。

電源電圧の最大値 \(V_0\) は、これらのベクトルを合成したベクトルの大きさです。
まず、真上向きの \(V_{L0}\) と真下向きの \(V_{C0}\) を合成します。これらは一直線上で逆向きなので、合成ベクトルの大きさは \(|V_{L0} – V_{C0}| = \left|\omega L – \displaystyle\frac{1}{\omega C}\right| I_0\) となります。
次に、この合成ベクトルと、それに垂直な \(V_{R0}\) を合成します。合成後のベクトルが \(V_0\) を表すベクトルとなり、その大きさは三平方の定理を用いて計算できます。
$$
\begin{aligned}
V_0^2 &= V_{R0}^2 + (V_{L0} – V_{C0})^2 \\[2.0ex]
&= (R I_0)^2 + \left(\omega L I_0 – \frac{1}{\omega C} I_0\right)^2 \\[2.0ex]
&= \left[ R^2 + \left(\omega L – \frac{1}{\omega C}\right)^2 \right] I_0^2
\end{aligned}
$$
両辺の正の平方根をとって、\(V_0\) を求めます。
$$ V_0 = \sqrt{R^2 + \left(\omega L – \frac{1}{\omega C}\right)^2} I_0 $$
これは主たる解法で得られた③式と完全に一致します。
実効値 \(V_e\) は、この \(V_0\) を \(\sqrt{2}\) で割ることで同様に求められます。

使用した物理公式

  • 三平方の定理
  • 各素子の電圧の最大値: \(V_{R0}=RI_0, V_{L0}=\omega L I_0, V_{C0}=\frac{1}{\omega C}I_0\)
計算過程

上記「具体的な解説と立式」で計算は完了しています。

この設問の平易な説明

タイミングのずれた電圧の足し算を、矢印(ベクトル)の足し算で考えてみる方法です。抵抗の電圧を右向きの矢印とすると、コイルの電圧は上向き、コンデンサーの電圧は下向きの矢印で表せます。この3本の矢印を全部足し合わせると、全体の電圧を表す新しい矢印ができます。この新しい矢印の長さを、直角三角形の斜辺の長さを求める「三平方の定理」を使って計算することで、全体の電圧の最大値がわかります。

結論と吟味

ベクトル図と三平方の定理を用いることで、三角関数の合成公式を使わずに、より直感的に電源電圧の最大値 \(V_0\) を求めることができました。結果は主たる解法と完全に一致し、このアプローチの正しさが確認できます。

解答 (3) \(V_0 = \sqrt{R^2 + \left(\omega L – \displaystyle\frac{1}{\omega C}\right)^2} I_0\), \(V_e = \displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}\sqrt{R^2 + \left(\omega L – \displaystyle\frac{1}{\omega C}\right)^2} I_0\)

問(4)

思考の道筋とポイント
電流が最大になる条件を考える問題です。電流の最大値 \(I_0\) は、(3)で求めた \(V_0\) の式を \(I_0\) について解くことで得られます。その式から、\(I_0\) が最大になるのは、分母に来るインピーダンスが最小になるときであることがわかります。
この設問における重要なポイント

  • 電流の最大値 \(I_0\): (3)の③式 \(V_0 = Z I_0\) の関係から、\(I_0 = \displaystyle\frac{V_0}{Z}\) となります。
  • 電流が最大になる条件: 電源電圧の最大値 \(V_0\) が一定のとき、\(I_0\) が最大になるのは、分母のインピーダンス \(Z\) が最小になるときです。
  • インピーダンスの最小値: \(R\) は定数なので、インピーダンス \(Z = \sqrt{R^2 + \left(\omega L – \frac{1}{\omega C}\right)^2}\) が最小になるのは \(\left(\omega L – \displaystyle\frac{1}{\omega C}\right)^2\) の項が \(0\) になるとき、すなわち \(\omega L = \displaystyle\frac{1}{\omega C}\) のときです。
  • 角周波数と周波数の関係: \(\omega = 2\pi f\) の関係を用いて、角周波数 \(\omega_0\) から周波数 \(f_0\) を求めます。

具体的な解説と立式
(3)で求めた電源電圧の最大値 \(V_0\) と電流の最大値 \(I_0\) の関係式③から、\(I_0\) は次のように表せます。
$$ I_0 = \frac{V_0}{\sqrt{R^2 + \left(\omega L – \frac{1}{\omega C}\right)^2}} \quad \cdots ① $$
電源の \(V_0\) が一定の条件で周波数(すなわち角周波数 \(\omega\))を変化させるとき、\(I_0\) が最大になるのは、分母が最小になるときです。
分母の根号の中の \(R^2\) は正の定数なので、分母が最小になるのは \(\left(\omega L – \displaystyle\frac{1}{\omega C}\right)^2\) が最小値である \(0\) をとるときです。
したがって、電流が最大になる条件は、
$$ \omega L – \frac{1}{\omega C} = 0 $$
これを変形すると、
$$ \omega L = \frac{1}{\omega C} \quad \cdots ② $$
このときの角周波数を \(\omega_0\) とすると、
$$ \omega_0^2 = \frac{1}{LC} $$
$$ \omega_0 = \frac{1}{\sqrt{LC}} \quad \cdots ③ $$
この現象を電気共振または単に共振といいます。

求めたいのは周波数 \(f_0\) なので、\(\omega_0 = 2\pi f_0\) の関係を使って変換します。
$$ 2\pi f_0 = \frac{1}{\sqrt{LC}} $$
$$ f_0 = \frac{1}{2\pi\sqrt{LC}} \quad \cdots ④ $$

使用した物理公式

  • RLC直列回路のインピーダンス: \(Z = \sqrt{R^2 + \left(\omega L – \frac{1}{\omega C}\right)^2}\)
  • 角周波数と周波数の関係: \(\omega = 2\pi f\)
計算過程

上記「具体的な解説と立式」で計算は完了しています。
現象名は「共振」、周波数は④式となります。

この設問の平易な説明

この回路には、コイルとコンデンサーという、互いに反対の性質を持つ素子が入っています。コイルは周波数が高いほど電流を妨げ、コンデンサーは周波数が低いほど電流を妨げます。ちょうど良い特定の周波数になると、コイルの妨害効果とコンデンサーの妨害効果が打ち消し合い、回路全体の妨害(インピーダンス)が最小になります。このとき、回路には抵抗だけの妨害しかなくなり、非常に大きな電流が流れることができます。この現象が「共振」で、ラジオのチューニングなどに使われている原理です。

結論と吟味

現象名は共振(または電気共振)、そのときの周波数は \(f_0 = \displaystyle\frac{1}{2\pi\sqrt{LC}}\) です。
共振時、コイルのリアクタンスとコンデンサーのリアクタンスが等しくなり、互いの電圧が打ち消し合うため、回路は純粋な抵抗回路のように振る舞います。このとき電流は最大値 \(I_{0, \text{最大}} = \displaystyle\frac{V_0}{R}\) となり、物理的に妥当です。この周波数は共振周波数として知られており、正しい結果です。

解答 (4) 共振, \(f_0 = \displaystyle\frac{1}{2\pi\sqrt{LC}}\)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?

  • 交流回路における各素子の電圧と電流の位相関係:
    • 核心: RLC直列回路の挙動を理解する上で最も重要なのは、電流を基準としたときの各素子の電圧の位相です。抵抗は同位相(ズレなし)、コイルは \(\displaystyle\frac{\pi}{2}\) 進み、コンデンサーは \(\displaystyle\frac{\pi}{2}\) 遅れる。この三者の位相関係が、回路全体の電圧と電流の位相差、そしてインピーダンスの大きさを決定します。
    • 理解のポイント: なぜ位相がズレるのかをイメージで掴むことが重要です。コイルは電流の変化を妨げる(自己誘導)ため、電流を流そうとする電圧が先にピークを迎えます。コンデンサーは電荷を溜めてから電圧が発生するため、電流が流れて電荷が溜まった後に電圧がピークを迎えます。
  • キルヒホッフの法則とベクトルの合成:
    • 核心: 直列回路では、各瞬間の電圧の和が電源電圧に等しい(\(V = V_R + V_L + V_C\))というキルヒホッフの法則が成り立ちます。しかし、各電圧は位相が異なるため、単純なスカラー量として足し算はできません。最大値や実効値を扱う際は、位相を考慮したベクトルの和として計算する必要があります。
    • 理解のポイント: \(V_L\) と \(V_C\) は常に逆向きのベクトルとなるため、互いに打ち消し合います。回路全体の性質は、この打ち消し合いの結果、コイルとコンデンサーのどちらの性質が強く残るかによって決まります。

応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点

  • 応用できる類似問題のパターン:
    • RLC並列回路: 各素子にかかる電圧が共通になるため、今度は電圧を基準ベクトルとして、各素子を流れる電流のベクトルを合成します。コイルの電流は電圧より遅れ、コンデンサーの電流は進むという逆の関係になる点に注意が必要です。
    • フィルタ回路: RLC回路は、特定の周波数の信号を選択的に通したり(バンドパスフィルタ)、遮断したり(バンドストップフィルタ)するのに使われます。共振周波数 \(f_0\) 付近の信号だけを強く通す性質は、ラジオの同調回路そのものです。
    • 電力の計算: 回路の消費電力を問う問題。交流回路では、実際に電力を消費するのは抵抗のみです。消費電力 \(P\) は \(P = V_e I_e \cos\theta = R I_e^2\) で計算されます。ここで \(\cos\theta\) は力率と呼ばれ、電圧と電流の位相差 \(\theta\) で決まります。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 回路の接続方法を確認する: 直列か並列かで、共通な物理量(直列なら電流、並列なら電圧)が異なります。これが解析の基準点になります。
    2. 基準となる量を設定する: 直列回路なら電流 \(I = I_0 \sin(\omega t)\) を、並列回路なら電圧 \(V = V_0 \sin(\omega t)\) を基準に置くと、他の量の位相関係を考えやすくなります。
    3. リアクタンスを計算する: まず角周波数 \(\omega\) を用いて、コイルのリアクタンス \(\omega L\) とコンデンサーのリアクタンス \(\displaystyle\frac{1}{\omega C}\) の値を把握します。この大小関係で回路の性質(誘導性か容量性か)が決まります。
    4. ベクトル図を描く: 複雑な計算に入る前に、電圧や電流の関係をベクトル図で視覚化することで、立式の見通しが格段に良くなります。

要注意!ありがちなミス・誤解とその対策

  • 電圧の単純な足し算:
    • 誤解: 電源電圧の最大値 \(V_0\) を、各電圧の最大値の和 \(V_{R0} + V_{L0} + V_{C0}\) としてしまう。
    • 対策: 交流回路の和は「位相を考慮した和」であることを徹底する。必ずベクトル図を描くか、三角関数の合成を行う習慣をつけましょう。「\(V_L\) と \(V_C\) は逆向きだから引き算になる」とイメージすることが重要です。
  • コイルとコンデンサーの位相の混同:
    • 誤解: コイルで電圧が遅れる、コンデンサーで進む、と逆に覚えてしまう。
    • 対策: 「コイル(L)はCIVILのVILの部分、コンデンサー(C)はCIVILのCIVの部分」と覚える方法があります。C(コンデンサー)ではI(電流)がV(電圧)より進み、L(コイル)ではV(電圧)がI(電流)より進む、という意味です。
  • 実効値と最大値の混同:
    • 誤解: 問題で問われているのが実効値なのに最大値で答えたり、その逆をしてしまう。
    • 対策: 問題文を注意深く読み、「瞬時値」「最大値」「実効値」のどの値を問われているのかを明確に区別しましょう。特に指定がなければ、交流電圧・電流の値は実効値を指すことが多いです。

物理の眼を養う:現象のイメージ化と図解の極意

  • この問題での有効なイメージ化と図示:
    • ベクトル図の活用: この問題の物理現象を最も直感的に理解する方法がベクトル図です。
      1. 水平右向きに基準となる電流 \(I_0\) を描く。
      2. 同じ向きに抵抗の電圧 \(V_{R0}\) を描く。
      3. 真上向きにコイルの電圧 \(V_{L0}\) を描く。
      4. 真下向きにコンデンサーの電圧 \(V_{C0}\) を描く。

      この図を描くことで、\(V_{L0}\) と \(V_{C0}\) の綱引きと、それに垂直な \(V_{R0}\) との合成によって全体の電圧 \(V_0\) が決まる様子が一目瞭然となります。

    • 共振のイメージ: ブランコをタイミングよく押すイメージと重ね合わせることができます。ブランコの固有振動数(最も揺れやすい周期)と、押す力の周期が一致すると、小さな力でも揺れが非常に大きくなります。これと同様に、回路が持つ固有の周波数(共振周波数)と、電源の周波数が一致すると、回路に非常に大きな電流(エネルギーの振動)が励起されます。

なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法

  • 各素子の電圧・電流関係式(\(V_R=RI\), etc.):
    • 選定理由: これらは抵抗、コイル、コンデンサーという各素子の電気的性質を定義する基本法則だからです。交流回路におけるオームの法則の拡張版と位置づけられます。
    • 適用根拠: それぞれ直流におけるオームの法則、ファラデーの電磁誘導の法則、コンデンサーの基本式 \(Q=CV\) から導出される、実験的に確立された関係式です。
  • 三角関数の合成公式 / ベクトル合成(三平方の定理):
    • 選定理由: 位相の異なる複数の正弦波を合成し、一つの正弦波として表現するために必要だからです。電源電圧 \(V\) は \(V_R, V_L, V_C\) の和であり、これらはすべて位相の異なる正弦波(または余弦波)です。
    • 適用根拠: 数学的に同値な変形であり、物理現象の重ね合わせを正しく数式で表現する方法です。ベクトル合成は、この三角関数の合成を幾何学的に表現したもので、物理的には等価なアプローチです。

思考を整理する:立式から計算までのロジカルフロー

  1. (1) 実効値の計算:
    • 戦略: 定義に従う。
    • フロー: ①電流の瞬時値の式から最大値 \(I_0\) を読み取る → ②公式 \(I_e = I_0 / \sqrt{2}\) に代入。
  2. (2) 各電圧の瞬時値の計算:
    • 戦略: 電流を基準に、各素子の位相の進み・遅れを考慮して立式。
    • フロー: ①抵抗は同位相、コイルは \(\pi/2\) 進み、コンデンサーは \(\pi/2\) 遅れ、というルールを確認 → ②各素子の電圧の最大値(\(RI_0, \omega L I_0, I_0/\omega C\))を計算 → ③最大値と位相を組み合わせて \(\sin\) の形で表現。
  3. (3) 電源電圧の計算:
    • 戦略: キルヒホッフの法則に基づき、(2)で求めた3つの電圧を合成する。
    • フロー: ① \(V = V_R + V_L + V_C\) として式を立てる → ② \(\sin\) と \(\cos\) の項に整理する → ③三角関数の合成公式を適用し、\(V = V_0 \sin(\omega t + \alpha)\) の形に変形 → ④係数部分を \(V_0\) と特定 → ⑤ \(V_e = V_0 / \sqrt{2}\) で実効値を計算。
  4. (4) 共振条件の計算:
    • 戦略: 電流の最大値 \(I_0\) の式を立て、それが最大になる条件(分母のインピーダンスが最小になる条件)を見つける。
    • フロー: ① \(I_0 = V_0 / Z\) の式を立てる → ②インピーダンス \(Z = \sqrt{R^2 + (\omega L – 1/\omega C)^2}\) が最小になる条件を考える → ③ \(\omega L – 1/\omega C = 0\) がその条件であると特定 → ④この式を \(\omega\) について解き、共振角周波数 \(\omega_0\) を求める → ⑤ \(\omega_0 = 2\pi f_0\) の関係から共振周波数 \(f_0\) を求める。

計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック

  • リアクタンスの逆数: コンデンサーのリアクタンスは \(\omega C\) ではなく \(\displaystyle\frac{1}{\omega C}\) です。この逆数を忘れるミスが非常に多いので注意しましょう。
  • 単位の確認: 角周波数 \(\omega\) [rad/s] と周波数 \(f\) [Hz] は \(2\pi\) の関係で結ばれています。問題でどちらが問われているかを正確に把握し、最後の変換を忘れないようにしましょう。
  • 二乗の展開を丁寧に: \(\left(\omega L – \displaystyle\frac{1}{\omega C}\right)^2\) のような項は、そのままの形で扱うのが基本です。無理に展開すると計算が複雑になり、ミスを誘発します。
  • ベクトル図の活用: 計算に行き詰まったら、一度ベクトル図を描いてみましょう。図から立式することで、複雑な式の意味が明確になり、符号ミスなどを防ぐことができます。

解きっぱなしはNG!解答の妥当性を吟味する習慣をつけよう

  • 得られた答えの物理的妥当性の検討:
    • (3) 電源電圧: \(V_0\) の式を見ると、\(\omega L > 1/\omega C\) のとき(高周波)、回路はコイルの性質が強くなり(誘導性)、電圧は電流より進みます。逆に \(\omega L < 1/\omega C\) のとき(低周波)、コンデンサーの性質が強くなり(容量性)、電圧は電流より遅れます。これは物理的な振る舞いと一致します。
    • (4) 共振周波数: 共振周波数 \(f_0 = \displaystyle\frac{1}{2\pi\sqrt{LC}}\) は、\(L\) や \(C\) が大きいほど低くなることを示しています。これは、コイルやコンデンサーの「慣性」が大きいほど、ゆっくりとした振動にしか追随できなくなるという直感に合致します。また、この式に抵抗 \(R\) が含まれていないことも重要です。共振の「タイミング」は \(L\) と \(C\) だけが決まり、\(R\) は共振の「鋭さ」(電流の最大値)にのみ影響します。
  • 別解との比較:
    • (3)の電圧合成を「三角関数の合成」と「ベクトル図」の2通りで解き、同じ結果になることを確認することで、計算の正しさと物理的理解の両方を検証できます。一方が代数的なアプローチ、もう一方が幾何学的なアプローチであり、両者が一致することは、その物理法則が多角的に見ても正しいことを裏付けています。

474 R, L, C並列の交流回路

【問題の確認】まずは問題文をしっかり読み解こう

この問題は、抵抗、コイル、コンデンサーを並列に接続した交流回路における、電圧と電流の関係を問う問題です。並列回路では各素子に共通の電圧がかかることを理解し、電圧を基準として各素子を流れる電流の位相関係を正しく計算し、それらを合成する能力が試されます。

与えられた条件
  • 回路構成: 抵抗(\(R\))、コイル(\(L\))、コンデンサー(\(C\))の並列接続
  • 交流電源の電圧の瞬時値: \(V = V_0 \sin(\omega t)\)
  • 各素子を流れる電流の瞬時値: \(I_R, I_L, I_C\)
  • 電源を流れる全電流の瞬時値: \(I = I_0 \sin(\omega t + \beta)\)
  • 三角関数の合成公式: \(A\sin x + B\cos x = \sqrt{A^2 + B^2} \sin(x+\alpha)\), ただし \(\tan\alpha = \displaystyle\frac{B}{A}\)
問われていること
  • (1) 各素子を流れる電流の瞬時値 \(I_R, I_L, I_C\)
  • (2) 電源を流れる全電流の最大値 \(I_0\) と位相に関する \(\tan\beta\)
  • (3) 全電流の最大値 \(I_0\) が最小になるときの角周波数 \(\omega\)

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】

本解説は、模範解答で採用されている解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。

  1. 提示する別解
    • 設問(2)の別解: ベクトル図を用いて電源電流の最大値を求める解法
      • 模範解答が各素子の電流の瞬時値を三角関数の合成公式で合成するのに対し、別解では各電流の最大値と位相差をベクトルとして扱い、幾何学的に合成して電源電流の最大値を求めます。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 直感的理解の促進: 並列回路における電流の位相関係(コイルは遅れ、コンデンサーは進む)を視覚的なベクトル図で捉えることで、合成電流の大きさと位相がどのように決まるかを直感的に理解できます。
    • 計算の簡略化: 複雑な三角関数の合成計算を、三平方の定理を用いた単純な幾何計算に置き換えることができ、計算ミスを減らすことにつながります。
    • 物理概念の深化: 直列回路のベクトル図と比較することで、電圧基準と電流基準の違い、リアクタンスとサセプタンス(リアクタンスの逆数)の役割の違いなど、交流理論への理解がより深まります。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「RLC並列回路における交流電圧と電流の関係」です。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 並列回路の特性: 並列に接続された各素子には、共通の電圧(この場合は電源電圧 \(V = V_0 \sin(\omega t)\))がかかります。
  2. 電圧と電流の位相差: 電圧を基準にしたとき、抵抗の電流は同位相、コイルの電流は \(\displaystyle\frac{\pi}{2}\) 遅れ、コンデンサーの電流は \(\displaystyle\frac{\pi}{2}\) 進みます。これは直列回路の場合と見方が逆になる点に注意が必要です。
  3. キルヒホッフの第1法則: 回路の分岐点において、流れ込む電流の和と流れ出す電流の和は等しくなります。したがって、電源から流れ出す電流 \(I\) は、各素子を流れる電流 \(I_R, I_L, I_C\) の和に等しくなります (\(I = I_R + I_L + I_C\))。
  4. 三角関数の合成: 位相の異なる複数の電流を合成するために、三角関数の合成公式を用います。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. まず、並列回路の特性から、各素子に共通の電圧がかかることを確認します。この電圧を基準に、各素子を流れる電流の瞬時値を、それぞれの位相関係を考慮して数式で表現します(問1)。
  2. 次に、キルヒホッフの法則に従って各素子の電流を合成し、電源から流れる全電流の瞬時値と最大値、位相を求めます(問2)。
  3. 最後に、全電流の大きさが最小になる条件を考え、並列共振について考察します(問3)。

問(1)

思考の道筋とポイント
抵抗、コイル、コンデンサーそれぞれを流れる電流の瞬時値を求める問題です。並列回路であるため、すべての素子に電源電圧 \(V = V_0 \sin(\omega t)\) がそのままかかります。この共通の電圧を基準として、各素子の電流の位相がどうなるかを考えます。
この設問における重要なポイント

  • 共通の電圧: 並列回路なので、\(V_R = V_L = V_C = V = V_0 \sin(\omega t)\) です。
  • 抵抗の電流 \(I_R\): 電圧 \(V\) と同位相です。最大値は \(\displaystyle\frac{V_0}{R}\) です。
  • コイルの電流 \(I_L\): 電圧 \(V\) より位相が \(\displaystyle\frac{\pi}{2}\) 遅れます。最大値はリアクタンス \(\omega L\) を用いて \(\displaystyle\frac{V_0}{\omega L}\) です。
  • コンデンサーの電流 \(I_C\): 電圧 \(V\) より位相が \(\displaystyle\frac{\pi}{2}\) 進みます。最大値はリアクタンス \(\displaystyle\frac{1}{\omega C}\) を用いて \(\displaystyle\frac{V_0}{1/\omega C} = \omega C V_0\) です。

具体的な解説と立式
電源電圧の瞬時値は \(V = V_0 \sin(\omega t)\) です。並列回路なので、この電圧が各素子に共通してかかります。
各素子を流れる電流の最大値をそれぞれ \(I_{R0}, I_{L0}, I_{C0}\) とします。

1. 抵抗の電流 \(I_R\)
電流と電圧は同位相なので、\(I_R\) の位相は \(\omega t\) となります。電流の最大値は \(I_{R0} = \displaystyle\frac{V_0}{R}\) です。よって、瞬時値 \(I_R\) は、
$$ I_R = \frac{V_0}{R} \sin(\omega t) \quad \cdots ① $$
2. コイルの電流 \(I_L\)
電流は電圧より位相が \(\displaystyle\frac{\pi}{2}\) 遅れるので、\(I_L\) の位相は \(\omega t – \displaystyle\frac{\pi}{2}\) となります。電流の最大値は \(I_{L0} = \displaystyle\frac{V_0}{\omega L}\) です。よって、瞬時値 \(I_L\) は、
$$ I_L = \frac{V_0}{\omega L} \sin\left(\omega t – \frac{\pi}{2}\right) \quad \cdots ② $$
三角関数の性質 \(\sin(x – \displaystyle\frac{\pi}{2}) = -\cos x\) を用いると、次のように表すこともできます。
$$ I_L = -\frac{V_0}{\omega L} \cos(\omega t) $$
3. コンデンサーの電流 \(I_C\)
電流は電圧より位相が \(\displaystyle\frac{\pi}{2}\) 進むので、\(I_C\) の位相は \(\omega t + \displaystyle\frac{\pi}{2}\) となります。電流の最大値は \(I_{C0} = \displaystyle\frac{V_0}{1/\omega C} = \omega C V_0\) です。よって、瞬時値 \(I_C\) は、
$$ I_C = \omega C V_0 \sin\left(\omega t + \frac{\pi}{2}\right) \quad \cdots ③ $$
三角関数の性質 \(\sin(x + \displaystyle\frac{\pi}{2}) = \cos x\) を用いると、次のように表すこともできます。
$$ I_C = \omega C V_0 \cos(\omega t) $$

使用した物理公式

  • 抵抗の電流: \(I_R = \displaystyle\frac{V}{R}\) (位相は \(V\) と同じ)
  • コイルの電流: \(I_L = \displaystyle\frac{V}{\omega L}\) (位相は \(V\) より \(\displaystyle\frac{\pi}{2}\) 遅れる)
  • コンデンサーの電流: \(I_C = \displaystyle\frac{V}{1/\omega C}\) (位相は \(V\) より \(\displaystyle\frac{\pi}{2}\) 進む)
計算過程

立式した①、②、③式がそのまま答えとなります。特に計算は必要ありません。

この設問の平易な説明

この回路は並列つなぎなので、抵抗・コイル・コンデンサーの三兄弟みんなに、電源から同じ大きさ・同じタイミングの電圧がかかります。この電圧を基準にして、三兄弟がそれぞれどんな電流を流すかを見ていきます。

  • 抵抗は「真面目」なので、電圧の波と電流の波は同じタイミングです。
  • コイルは電流の変化を嫌うので、電圧がかかってもすぐには電流が流れず、タイミングが少し(4分の1周期)遅れます。
  • コンデンサーは電圧がかかるとすぐに充電電流が流れるので、タイミングが少し(4分の1周期)早くなります。

それぞれの電流の大きさ(最大値)と、このタイミングのズレを数式で表現します。

結論と吟味

各電流の瞬時値は以下の通りです。
\(I_R = \displaystyle\frac{V_0}{R} \sin(\omega t)\)
\(I_L = \displaystyle\frac{V_0}{\omega L} \sin\left(\omega t – \displaystyle\frac{\pi}{2}\right)\)
\(I_C = \omega C V_0 \sin\left(\omega t + \displaystyle\frac{\pi}{2}\right)\)
並列回路における各素子の電圧と電流の位相関係の定義に忠実に従っており、妥当な結果です。

解答 (1) \(I_R = \displaystyle\frac{V_0}{R} \sin(\omega t)\), \(I_L = \displaystyle\frac{V_0}{\omega L} \sin\left(\omega t – \displaystyle\frac{\pi}{2}\right)\), \(I_C = \omega C V_0 \sin\left(\omega t + \displaystyle\frac{\pi}{2}\right)\)

問(2)

思考の道筋とポイント
電源を流れる全電流 \(I\) の最大値 \(I_0\) と位相に関する \(\tan\beta\) を求める問題です。キルヒホッフの第1法則により、全電流 \(I\) は各素子を流れる電流 \(I_R, I_L, I_C\) の和になります。これらは位相が異なるため、(1)で求めた瞬時値を足し合わせ、三角関数の合成公式を使って一つの \(\sin\) の形にまとめます。
この設問における重要なポイント

  • キルヒホッフの第1法則: \(I = I_R + I_L + I_C\)。これは瞬時値の関係式です。
  • 三角関数の合成: (1)で求めた \(I_R, I_L, I_C\) を代入すると、\(\sin(\omega t)\) と \(\cos(\omega t)\) の項が現れます。問題文で与えられた合成公式を用いて、\(I = I_0 \sin(\omega t + \beta)\) の形にまとめます。
  • 係数の比較: 合成後の式と \(I = I_0 \sin(\omega t + \beta)\) を比較して、\(I_0\) と \(\tan\beta\) を特定します。

具体的な解説と立式
キルヒホッフの第1法則より、電源から流れる電流の瞬時値 \(I\) は、
$$ I = I_R + I_L + I_C $$
(1)の結果を代入します。計算しやすいように \(\cos\) で表した形を用います。
$$
\begin{aligned}
I &= \frac{V_0}{R} \sin(\omega t) – \frac{V_0}{\omega L} \cos(\omega t) + \omega C V_0 \cos(\omega t) \\[2.0ex]
&= \frac{V_0}{R} \sin(\omega t) + \left(\omega C – \frac{1}{\omega L}\right) V_0 \cos(\omega t)
\end{aligned}
$$
ここで、問題文で与えられた合成公式 \(A\sin x + B\cos x = \sqrt{A^2 + B^2} \sin(x+\alpha)\) を用います。
この式で \(A = \displaystyle\frac{V_0}{R}\), \(B = \left(\omega C – \displaystyle\frac{1}{\omega L}\right) V_0\), \(x = \omega t\) と対応させると、
$$ I = \sqrt{\left(\frac{V_0}{R}\right)^2 + \left\{\left(\omega C – \frac{1}{\omega L}\right) V_0\right\}^2} \sin(\omega t + \beta) $$
\(V_0\) をルートの外に出すと、
$$ I = V_0 \sqrt{\left(\frac{1}{R}\right)^2 + \left(\omega C – \frac{1}{\omega L}\right)^2} \sin(\omega t + \beta) \quad \cdots ① $$
この式を、問題で与えられている \(I = I_0 \sin(\omega t + \beta)\) と比較します。
まず、電流の最大値 \(I_0\) は \(\sin\) の係数部分なので、
$$ I_0 = V_0 \sqrt{\left(\frac{1}{R}\right)^2 + \left(\omega C – \frac{1}{\omega L}\right)^2} \quad \cdots ② $$
次に、位相 \(\beta\) について考えます。合成公式の定義 \(\tan\alpha = \displaystyle\frac{B}{A}\) に対応させると、\(\tan\beta\) は、
$$
\begin{aligned}
\tan\beta &= \frac{\left(\omega C – \frac{1}{\omega L}\right) V_0}{\frac{V_0}{R}} \\[2.0ex]
&= R \left(\omega C – \frac{1}{\omega L}\right) \quad \cdots ③
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • キルヒホッフの第1法則: \(I = I_R + I_L + I_C\)
  • 三角関数の合成公式: \(A\sin x + B\cos x = \sqrt{A^2 + B^2} \sin(x+\alpha)\)
計算過程

上記「具体的な解説と立式」で計算は完了しています。
\(I_0\) は②式、\(\tan\beta\) は③式となります。

この設問の平易な説明

電源から見た全体の電流は、抵抗・コイル・コンデンサーの三兄弟を流れる電流を全部足し合わせたものです。しかし、(1)で見たように、これらの電流はタイミングがずれています。タイミングのずれた波の足し算は、数学の「三角関数の合成公式」を使って行います。この計算の結果、全体の電流も一つのきれいなサインカーブの波になることがわかり、その波の高さ(最大値 \(I_0\))と、基準となる電圧の波からのタイミングのズレ(位相 \(\beta\))を計算することができます。

結論と吟味

全電流の最大値は \(I_0 = V_0 \sqrt{\left(\displaystyle\frac{1}{R}\right)^2 + \left(\omega C – \displaystyle\frac{1}{\omega L}\right)^2}\)、位相に関する量は \(\tan\beta = R \left(\omega C – \displaystyle\frac{1}{\omega L}\right)\) です。
この結果は、並列回路全体の交流に対する「流れやすさ」(アドミタンス)が \(Y = \sqrt{\left(\displaystyle\frac{1}{R}\right)^2 + \left(\omega C – \displaystyle\frac{1}{\omega L}\right)^2}\) であることを示しており、\(I_0 = Y V_0\) という関係が成り立っています。これは直列回路のインピーダンスの逆数に対応する概念で、物理的に妥当な結果です。

別解: ベクトル図を用いて電源電流の最大値を求める解法

思考の道筋とポイント
各素子を流れる電流の最大値 \(I_{R0}, I_{L0}, I_{C0}\) とその位相関係を、ベクトル図で描いて考えます。電源から流れる全電流の最大値 \(I_0\) は、これらの電流ベクトルを合成したベクトルの大きさに対応します。
この設問における重要なポイント

  • 基準ベクトル: 回路に共通の電圧の最大値 \(V_0\) を基準とし、水平右向きのベクトルで表します。
  • 各電流ベクトルの向き:
    • \(I_{R0}\) は \(V_0\) と同位相なので、\(V_0\) と同じ向き(水平右向き)。
    • \(I_{C0}\) は \(V_0\) より \(\displaystyle\frac{\pi}{2}\) 進むので、真上向き。
    • \(I_{L0}\) は \(V_0\) より \(\displaystyle\frac{\pi}{2}\) 遅れるので、真下向き。
  • ベクトルの合成: これら3つのベクトルを合成し、合成ベクトルの大きさを三平方の定理で求めます。合成ベクトルと基準ベクトル(\(V_0\))のなす角が \(\beta\) となります。

具体的な解説と立式
各電流の最大値は、(1)で考えたように以下の通りです。
\(I_{R0} = \displaystyle\frac{V_0}{R}\)
\(I_{L0} = \displaystyle\frac{V_0}{\omega L}\)
\(I_{C0} = \omega C V_0\)

これらの電流の最大値を、電圧を基準としたベクトル図で考えます。

  • \(I_{R0}\) は、水平右向きで大きさ \(\displaystyle\frac{V_0}{R}\) のベクトル。
  • \(I_{C0}\) は、真上向きで大きさ \(\omega C V_0\) のベクトル。
  • \(I_{L0}\) は、真下向きで大きさ \(\displaystyle\frac{V_0}{\omega L}\) のベクトル。

全電流の最大値 \(I_0\) は、これらのベクトルを合成したベクトルの大きさです。
まず、真上向きの \(I_{C0}\) と真下向きの \(I_{L0}\) を合成します。合成ベクトルの大きさは \(|I_{C0} – I_{L0}| = \left|\omega C – \displaystyle\frac{1}{\omega L}\right| V_0\) となります。
次に、この合成ベクトルと、それに垂直な \(I_{R0}\) を合成します。合成後のベクトルが \(I_0\) を表すベクトルとなり、その大きさは三平方の定理を用いて計算できます。
$$
\begin{aligned}
I_0^2 &= I_{R0}^2 + (I_{C0} – I_{L0})^2 \\[2.0ex]
&= \left(\frac{V_0}{R}\right)^2 + \left(\omega C V_0 – \frac{V_0}{\omega L}\right)^2 \\[2.0ex]
&= \left[ \left(\frac{1}{R}\right)^2 + \left(\omega C – \frac{1}{\omega L}\right)^2 \right] V_0^2
\end{aligned}
$$
両辺の正の平方根をとって、\(I_0\) を求めます。
$$ I_0 = V_0 \sqrt{\left(\frac{1}{R}\right)^2 + \left(\omega C – \frac{1}{\omega L}\right)^2} $$
これは主たる解法で得られた②式と完全に一致します。
また、\(\tan\beta\) は、ベクトル図において、縦成分の大きさを横成分の大きさで割ったものに等しいので、
$$
\begin{aligned}
\tan\beta &= \frac{I_{C0} – I_{L0}}{I_{R0}} \\[2.0ex]
&= \frac{\left(\omega C – \frac{1}{\omega L}\right)V_0}{\frac{V_0}{R}} \\[2.0ex]
&= R\left(\omega C – \frac{1}{\omega L}\right)
\end{aligned}
$$
となり、③式と完全に一致します。

使用した物理公式

  • 三平方の定理
  • 各素子の電流の最大値: \(I_{R0}=\frac{V_0}{R}, I_{L0}=\frac{V_0}{\omega L}, I_{C0}=\omega C V_0\)
計算過程

上記「具体的な解説と立式」で計算は完了しています。

この設問の平易な説明

タイミングのずれた電流の足し算を、矢印(ベクトル)の足し算で考えてみる方法です。基準となる電圧を右向きの矢印とすると、抵抗の電流も右向き、コンデンサーの電流は上向き、コイルの電流は下向きの矢印で表せます。この3本の矢印を全部足し合わせると、全体の電流を表す新しい矢印ができます。この新しい矢印の長さを「三平方の定理」で計算すると最大値 \(I_0\) が、基準の矢印との角度を計算すると位相のズレ \(\beta\) がわかります。

結論と吟味

ベクトル図を用いることで、三角関数の合成公式を使わずに、より直感的に全電流の最大値 \(I_0\) と位相 \(\beta\) を求めることができました。結果は主たる解法と完全に一致し、このアプローチの正しさが確認できます。

解答 (2) \(I_0 = V_0 \sqrt{\left(\displaystyle\frac{1}{R}\right)^2 + \left(\omega C – \displaystyle\frac{1}{\omega L}\right)^2}\), \(\tan\beta = R \left(\omega C – \displaystyle\frac{1}{\omega L}\right)\)

問(3)

思考の道筋とポイント
全電流の最大値 \(I_0\) が最小になる条件を考える問題です。(2)で求めた \(I_0\) の式から、\(I_0\) が最小になるのは、どのようなときかを考察します。
この設問における重要なポイント

  • 電流の最大値 \(I_0\): (2)の②式 \(I_0 = V_0 \sqrt{\left(\displaystyle\frac{1}{R}\right)^2 + \left(\omega C – \displaystyle\frac{1}{\omega L}\right)^2}\) を使います。
  • 電流が最小になる条件: 電源電圧の最大値 \(V_0\) が一定のとき、\(I_0\) が最小になるのは、根号の中の \(\left(\displaystyle\frac{1}{R}\right)^2 + \left(\omega C – \displaystyle\frac{1}{\omega L}\right)^2\) が最小になるときです。
  • アドミタンスの最小値: \(\left(\displaystyle\frac{1}{R}\right)^2\) は正の定数なので、この式全体が最小になるのは \(\left(\omega C – \displaystyle\frac{1}{\omega L}\right)^2\) の項が \(0\) になるとき、すなわち \(\omega C = \displaystyle\frac{1}{\omega L}\) のときです。

具体的な解説と立式
(2)で求めた全電流の最大値 \(I_0\) の式は、
$$ I_0 = V_0 \sqrt{\left(\frac{1}{R}\right)^2 + \left(\omega C – \frac{1}{\omega L}\right)^2} \quad \cdots ① $$
電源の \(V_0\) が一定の条件で角周波数 \(\omega\) を変化させるとき、\(I_0\) が最小になるのは、根号の中の式が最小になるときです。
根号の中の \(\left(\displaystyle\frac{1}{R}\right)^2\) は正の定数なので、式全体が最小になるのは、\(\left(\omega C – \displaystyle\frac{1}{\omega L}\right)^2\) が最小値である \(0\) をとるときです。
したがって、電流が最小になる条件は、
$$ \omega C – \frac{1}{\omega L} = 0 $$
これを変形すると、
$$ \omega C = \frac{1}{\omega L} $$
この式を \(\omega\) について解くと、
$$ \omega^2 = \frac{1}{LC} $$
\(\omega > 0\) なので、
$$ \omega = \frac{1}{\sqrt{LC}} \quad \cdots ② $$
このときの現象も、直列回路の場合と同様に共振(特に並列共振)と呼ばれます。

使用した物理公式

  • RLC並列回路のアドミタンス: \(Y = \sqrt{\left(\displaystyle\frac{1}{R}\right)^2 + \left(\omega C – \displaystyle\frac{1}{\omega L}\right)^2}\)
計算過程

上記「具体的な解説と立式」で計算は完了しています。
求める角周波数は②式となります。

この設問の平易な説明

並列回路では、コイルとコンデンサーに流れる電流が互いに逆向きのタイミング(位相が180度違い)になります。ちょうど良い特定の周波数になると、コイルに流れる電流の大きさとコンデンサーに流れる電流の大きさがピッタリ同じになり、互いに打ち消し合います。その結果、電源から見ると、まるでコイルとコンデンサーが存在しないかのように見え、抵抗だけに電流を流せばよくなります。このとき、電源が供給する全体の電流は最小になります。この現象が「並列共振」です。

結論と吟味

電流の最大値 \(I_0\) が最小になるときの角周波数は \(\omega = \displaystyle\frac{1}{\sqrt{LC}}\) です。
この角周波数は、直列回路で電流が最大になる「共振周波数」と全く同じ式です。しかし、現象としては逆で、直列共振ではインピーダンスが最小になって電流が最大になるのに対し、並列共振ではアドミタンスが最小(インピーダンスが最大)になって電流が最小になります。物理的に正しい結果です。

解答 (3) \(\displaystyle\frac{1}{\sqrt{LC}}\)

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最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?

  • 並列回路における共通電圧と電流の位相関係:
    • 核心: RLC並列回路の解析では、すべての素子に共通の電圧がかかることが出発点となります。この共通電圧を基準(位相0)としたとき、各素子を流れる電流の位相がどうなるかを正しく把握することが最も重要です。抵抗の電流は同位相、コイルの電流は \(\displaystyle\frac{\pi}{2}\) 遅れ、コンデンサーの電流は \(\displaystyle\frac{\pi}{2}\) 進みます。
    • 理解のポイント: 直列回路では「電流が共通」で「電圧を合成」したのに対し、並列回路では「電圧が共通」で「電流を合成」します。この対照的な構造を理解することが、交流回路全体の理解につながります。
  • キルヒホッフの法則と電流のベクトル合成:
    • 核心: 回路の分岐点に流れ込む電流の和は、流れ出す電流の和に等しい(\(I = I_R + I_L + I_C\))というキルヒホッフの第1法則が成り立ちます。各電流は位相が異なるため、その合成はベクトル(または複素数)の和として計算する必要があります。
    • 理解のポイント: ベクトル図を描くと、コイルの電流 \(I_L\) とコンデンサーの電流 \(I_C\) は常に真逆を向いており、互いに打ち消し合う関係にあることが視覚的にわかります。回路全体を流れる電流は、この打ち消し合いの結果と、抵抗を流れる電流との合成によって決まります。

応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点

  • 応用できる類似問題のパターン:
    • RLC直列回路: この問題と対になる最も基本的な回路。直列と並列で、電圧と電流の役割がどのように入れ替わるか(双対性)を比較検討する問題は頻出です。
    • 力率改善: 並列回路にコンデンサーを接続して、回路全体の力率(\(\cos\beta\))を1に近づける(無効電力を減らす)問題。これは、コイル(モーターなど)による電流の遅れを、コンデンサーによる電流の進みで打ち消す応用例であり、本問の共振の考え方と直結しています。
    • アドミタンスとサセプタンス: インピーダンスの逆数であるアドミタンス \(Y\)、リアクタンスの逆数であるサセプタンス \(B\) といった概念を導入して、より形式的に並列回路を解く問題。本問の \(I_0 = V_0 \sqrt{(\dots)}\) の \(\sqrt{(\dots)}\) 部分がアドミタンスに相当します。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 回路の接続方法を最優先で確認: 直列か並列かで、基準にすべき物理量(電流か電圧か)と、適用すべきキルヒホッフの法則(第2か第1か)が根本的に変わります。
    2. 基準ベクトルを明確に設定する: 並列回路では、まず「電圧 \(V\)”) を水平右向きの基準ベクトルとして描くことから始めます。
    3. 各電流のベクトルを配置する: 基準の電圧ベクトルに対して、\(I_R\) は同方向、\(I_C\) は90度進む方向(上向き)、\(I_L\) は90度遅れる方向(下向き)に配置します。
    4. 電流のベクトル合成を行う: ベクトル図上で、幾何学的に電流ベクトルを合成します。これにより、全体の電流の大きさと位相を直感的に把握できます。

要注意!ありがちなミス・誤解とその対策

  • 直列回路との混同:
    • 誤解: 並列回路なのに、直列回路のインピーダンスの公式 \(Z = \sqrt{R^2 + (\omega L – 1/\omega C)^2}\) を使おうとしてしまう。
    • 対策: 「並列回路では電流を合成する」と強く意識すること。各素子の電流を \(I_R = V/R\), \(I_L = V/(\omega L)\), \(I_C = V/(1/\omega C)\) のように個別に計算し、それらをベクトル的に足し合わせる、という手順を徹底しましょう。
  • 電流の位相の進み・遅れの混同:
    • 誤解: 電圧を基準にしたとき、コイルの電流が進み、コンデンサーの電流が遅れる、と直列回路の場合と逆にしてしまう。
    • 対策: 「CIVIL」の法則を正しく適用しましょう。CではIがVより進み、LではVがIより進む(=IがVより遅れる)。この法則は不変です。基準がVに変わっただけだと理解することが重要です。
  • 共振条件の誤解:
    • 誤解: 並列共振で「電流が最大になる」と、直列共振のイメージに引きずられてしまう。
    • 対策: 並列共振では、コイルとコンデンサーの電流が互いに打ち消し合うため、電源から供給すべき全体の電流は「最小」になります。ベクトル図で \(I_L\) と \(I_C\) が逆向きに打ち消し合うイメージを持つと、間違いにくくなります。

物理の眼を養う:現象のイメージ化と図解の極意

  • この問題での有効なイメージ化と図示:
    • 電流のベクトル図: 並列回路の理解には、電流のベクトル図が不可欠です。
      1. 水平右向きに、全素子に共通の電圧 \(V_0\) を基準として描く(これは描かなくても良いが、頭の中で意識する)。
      2. 同じ向きに抵抗の電流 \(I_{R0}\) を描く。
      3. 真上向きにコンデンサーの電流 \(I_{C0}\) を描く(電圧より \(\pi/2\) 進む)。
      4. 真下向きにコイルの電流 \(I_{L0}\) を描く(電圧より \(\pi/2\) 遅れる)。

      この図を描くことで、\(I_{C0}\) と \(I_{L0}\) の綱引き(打ち消し合い)と、それに垂直な \(I_{R0}\) との合成によって、全体の電流 \(I_0\) が決まる様子が明確に理解できます。

    • 共振のイメージ: 水路の分岐のイメージが有効です。電源という水源から流れてきた水(電流)が、抵抗・コイル・コンデンサーという3つの水路に分かれます。共振のとき、コイルとコンデンサーの水路は、互いに水をやり取りするだけで完結するループ(循環電流)のようになり、水源からはこのループに水を補給する必要がなくなります。結果、水源は抵抗という水路にだけ水を流せばよくなり、全体の流量(電流)は最小になります。

なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法

  • キルヒホッフの第1法則 (\(I = I_R + I_L + I_C\)):
    • 選定理由: これは並列回路における電流の流れ方を記述する基本法則だからです。電源から出た電荷は、各分岐路に分かれて流れ、再び合流するため、その瞬間の総量は保存されます。
    • 適用根拠: 電荷量保存則に基づく、電気回路における最も基本的な法則の一つです。
  • 三角関数の合成公式 / 電流のベクトル合成:
    • 選定理由: 位相が異なる複数の電流 \(I_R, I_L, I_C\) を合成し、一つの電流として表現するために必要だからです。
    • 適用根拠: 直列回路の電圧合成と同様に、数学的に同値な変形であり、物理的な重ね合わせの原理を正しく数式で表現する方法です。ベクトル図を用いた合成は、この計算を幾何学的に可視化したものであり、等価なアプローチです。

思考を整理する:立式から計算までのロジカルフロー

  1. (1) 各分岐電流の計算:
    • 戦略: 共通の電圧 \(V\) を基準に、各素子の性質に従って電流の瞬時値を求める。
    • フロー: ①並列なので \(V\) は共通と認識 → ②抵抗は \(I_R = V/R\)、コイルは \(I_L = V/(\omega L)\)、コンデンサーは \(I_C = V/ (1/\omega C)\) の関係を使う → ③電圧を基準に、コイルは \(\pi/2\) 遅れ、コンデンサーは \(\pi/2\) 進む位相を考慮して \(\sin\) の形で表現。
  2. (2) 全電流の計算:
    • 戦略: キルヒホッフの第1法則に基づき、(1)で求めた3つの電流を合成する。
    • フロー: ① \(I = I_R + I_L + I_C\) として式を立てる → ② \(\sin\) と \(\cos\) の項に整理する → ③三角関数の合成公式を適用し、\(I = I_0 \sin(\omega t + \beta)\) の形に変形 → ④係数部分を \(I_0\) と、位相項を \(\tan\beta\) と特定する。
  3. (3) 並列共振条件の計算:
    • 戦略: (2)で求めた全電流の最大値 \(I_0\) の式が、最小になる条件を見つける。
    • フロー: ① \(I_0\) の式を立てる → ② \(I_0\) が最小になるのは、根号の中の \((\omega C – 1/\omega L)^2\) の項がゼロになるときだと判断する → ③ \(\omega C – 1/\omega L = 0\) を \(\omega\) について解き、共振角周波数を求める。

計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック

  • 逆数の扱いに注意: 並列回路では、抵抗 \(R\) やリアクタンス \(\omega L\) が分母に来ることが多くなります。分数の計算、特に \(\displaystyle\frac{1}{1/\omega C} = \omega C\) のような逆数の逆数の計算を間違えないようにしましょう。
  • サセプタンスの正負: 電流のベクトル図で、コンデンサーの電流(容量性サセプタンス)を上向き(正)、コイルの電流(誘導性サセプタンス)を下向き(負)と定義することが多いです。このため、合成の際には \(B_C – B_L = \omega C – 1/\omega L\) という形になります。この符号の順番を間違えないようにしましょう。
  • ベクトル図を必ず描く: 並列回路は直列回路より直感的に分かりにくい場合があります。計算を始める前に、必ず電圧を基準とした電流のベクトル図を描く習慣をつけましょう。図が正しく描けていれば、立式のミスを大幅に減らせます。

解きっぱなしはNG!解答の妥当性を吟味する習慣をつけよう

  • 得られた答えの物理的妥当性の検討:
    • (2) 全電流: \(\tan\beta\) の式を見ると、\(\omega C > 1/\omega L\) のとき(高周波)、回路はコンデンサーの性質が強くなり、電流は電圧より進みます。逆に \(\omega C < 1/\omega L\) のとき(低周波)、コイルの性質が強くなり、電流は電圧より遅れます。これは物理的な振る舞いと一致します。
    • (3) 共振周波数: 共振周波数 \(\omega = 1/\sqrt{LC}\) は、直列回路の場合と全く同じ式になりました。これは、どちらの共振も「コイルの誘導性とコンデンサーの容量性が互いに打ち消し合う」という同じ物理的条件から生じるため、当然の結果です。ただし、その結果として起こる現象(電流が最大になるか最小になるか)は正反対である、という点をしっかり区別して理解することが重要です。
  • 別解との比較:
    • (2)の電流合成を「三角関数の合成」と「ベクトル図」の2通りで解き、同じ結果になることを確認することで、計算の正しさと物理的理解の両方を検証できます。特に並列回路では、ベクトル図による幾何学的なアプローチの方が、現象を直感的に捉えやすく、計算ミスも減らせるというメリットがあります。
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475 電気振動

【問題の確認】まずは問題文をしっかり読み解こう

この問題は、コンデンサーの充電・放電とLC電気振動を組み合わせた、スイッチの切り替え問題です。スイッチ操作の「直後」と「十分な時間が経過した後」で、コンデンサーが回路の中でどのように振る舞うかを正しく理解しているかが問われます。また、LC回路におけるエネルギー保存則も重要なテーマです。

与えられた条件
  • 電源: 起電力 \(V\) の直流電源
  • 抵抗: 抵抗値 \(R\) の抵抗1と抵抗2
  • コンデンサー: 電気容量 \(C\)
  • コイル: 自己インダクタンス \(L\)
  • 初期状態: スイッチは開いており、コンデンサーの電荷は \(0\)
問われていること
  • (1) スイッチをAに閉じた直後の抵抗1の電流
  • (2) スイッチをAに閉じて十分時間が経過した後の抵抗1の電流
  • (3) (2)の状態でのコンデンサーの電気量と静電エネルギー
  • (4) スイッチをBに切り替えた後のLC振動における、電流の最大値と周期
  • (5) 半周期の振動後、再びスイッチをAに閉じた直後の抵抗1の電流

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】

本解説は、模範解答で採用されている解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。

  1. 提示する別解
    • 設問(4)の別解: LC回路の微分方程式(単振動との比較)を用いる解法
      • 模範解答がエネルギー保存則を用いて振動電流の最大値を求めるのに対し、別解ではLC回路を支配する微分方程式を立て、それを単振動の運動方程式と同じ形であると見なして解くことにより、電流の瞬時値を求め、その最大値を導出します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理法則の対応関係の深化: 電気振動における電荷\(Q\)が力学の単振動における変位\(x\)に、電流\(I\)が速度\(v\)に、自己インダクタンス\(L\)が質量\(m\)に、電気容量\(C\)の逆数\(1/C\)がばね定数\(k\)に対応するという、物理現象の美しい対応関係を深く理解できます。
    • 現象の時間変化の理解: エネルギー保存則では最大値しか分かりませんが、微分方程式を解くアプローチでは、電荷や電流が時間と共にどのように変化するか(cos型かsin型か)まで含めて理解することができます。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「コンデンサーの充電・放電とLC電気振動」です。スイッチの切り替えによって回路の状態が段階的に変化するため、各瞬間の回路の性質を正しく見抜くことが重要です。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. キルヒホッフの第2法則(電圧則): 閉回路を一周するときの電位の変化の和は0になる、という法則は、直流回路のあらゆる場面で基本となります。
  2. コンデンサーの過渡現象: スイッチを入れた直後の未充電のコンデンサーは「短絡(ショート)状態」、十分に時間が経過し充電が完了したコンデンサーは「断線状態」とみなせることを理解しているかが問われます。
  3. LC回路におけるエネルギー保存則: 抵抗を含まないLC回路では、コンデンサーの静電エネルギーとコイルの磁気エネルギーの和は一定に保たれます。
  4. 電気振動の周期: LC回路で起こる電気振動の周期は、\(T = 2\pi\sqrt{LC}\) で与えられます。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. スイッチをAに閉じた「直後」と「十分後」の回路の状態を、コンデンサーの性質から正しくモデル化し、キルヒホッフの法則を適用して電流を求めます(問1, 2)。
  2. (2)の状態でコンデンサーに蓄えられている電気量と静電エネルギーを計算します(問3)。
  3. スイッチをBに切り替えた後のLC回路について、エネルギー保存則を用いて振動電流の最大値と周期を求めます(問4)。
  4. 半周期後のコンデンサーの状態を考え、再びスイッチをAに閉じた直後の回路についてキルヒホッフの法則を適用します(問5)。

問(1)

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