基礎CHECK
1 直線電流がつくる磁場
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「直線電流がつくる磁場の計算」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 直線電流がつくる磁場の公式の理解。
- アンペールの法則(右ねじの法則)による磁場の向きの決定。
- 物理量(電流、距離、磁場の強さ)の単位の確認。
- 与えられた数値を公式に正しく代入する能力。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 問題文から電流 \(I\) と距離 \(r\) の値を読み取る。
- 直線電流がつくる磁場の強さの公式 \(H = \displaystyle\frac{I}{2\pi r}\) を用いる。
- 公式に値を代入し、計算を実行する。
- 問題文の有効数字を考慮して、最終的な答えをまとめる。
思考の道筋とポイント
この問題は、無限に長い直線状の導線に流れる電流が、その周囲につくる磁場の強さを求める、電磁気学の基本的な計算問題です。物理法則を正しく理解し、公式を適用することができれば、確実に得点できます。ポイントは、直線電流がつくる磁場の強さが、電流の大きさに比例し、電流からの距離に反比例するという関係を公式を通して理解することです。
この設問における重要なポイント
- 磁場の強さ \(H\) の単位は[\(\text{A/m}\)](アンペア毎メートル)です。
- 電流 \(I\) の単位は[\(\text{A}\)](アンペア)です。
- 距離 \(r\) の単位は[\(\text{m}\)](メートル)です。問題で与えられる値の単位が異なる場合は、計算前に必ず基本単位に換算する必要があります。
- 円周率 \(\pi\) の値は、問題で特に指定がなければ、一般的に \(3.14\) として計算します。
- 計算結果の有効数字は、問題文で与えられた数値の有効数字の桁数に合わせるのが原則です。この問題では「\(2.0\)\(\text{A}\)」「\(0.10\)\(\text{m}\)」であり、どちらも有効数字\(2\)桁なので、答えも有効数字\(2\)桁で表します。
具体的な解説と立式
問題文より、電流の大きさは \(I = 2.0 \, \text{A}\)、電流が流れる直線導線からの距離は \(r = 0.10 \, \text{m}\) と与えられています。
無限に長い直線電流がつくる磁場の強さ \(H\) は、電流の大きさを \(I\)、電流からの距離を \(r\) とすると、次の公式で与えられます。
$$ H = \displaystyle\frac{I}{2\pi r} \quad \cdots ① $$
この公式は、アンペールの法則から導かれる重要な関係式です。この式に、与えられた数値を代入することで、磁場の強さ \(H\) を求めることができます。
使用した物理公式
- 直線電流がつくる磁場の強さ: \(H = \displaystyle\frac{I}{2\pi r}\)
式\((①)\)に、問題文で与えられた \(I = 2.0 \, \text{A}\)、\(r = 0.10 \, \text{m}\) と、円周率 \(\pi \approx 3.14\) を代入して \(H\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
H &= \displaystyle\frac{2.0}{2 \times 3.14 \times 0.10} \\[2.0ex]&= \displaystyle\frac{2.0}{0.628} \\[2.0ex]&\approx 3.1847…
\end{aligned}
$$
問題文で与えられている数値「\(2.0\)」「\(0.10\)」の有効数字はともに\(2\)桁です。したがって、計算結果も有効数字\(2\)桁に丸めます。小数点以下第\(2\)位の「\(8\)」を四捨五入すると、
$$ H \approx 3.2 \, [\text{A/m}] $$
となります。
電線に電気が流れると、その周りには目に見えない磁石の力(磁場)ができます。この力の強さは、流れる電気(電流)が強いほど強くなり、電線から離れるほど弱くなります。
この関係は、「磁場の強さ = 電流の大きさ ÷ (\(2 \times 3.14\) × 電線からの距離)」という簡単な公式で計算できます。
今回の問題では、電流の大きさが「\(2.0\)\(\text{A}\)」、電線からの距離が「\(0.10\)\(\text{m}\)」と分かっているので、これらの数字を公式に当てはめて計算するだけで、答えの「約\(3.2\)\(\text{A/m}\)」が求められます。
2 円形電流がつくる磁場
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「円形電流が中心につくる磁場の計算」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 円形電流が中心につくる磁場の公式の理解。
- アンペールの法則(右ねじの法則)による磁場の向きの決定。
- 物理量(電流、半径、磁場の強さ)の単位の確認。
- 与えられた数値を公式に正しく代入する能力。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 問題文から電流 \(I\) と半径 \(r\) の値を読み取る。
- 円形電流が中心につくる磁場の強さの公式 \(H = \displaystyle\frac{I}{2r}\) を用いる。
- 公式に値を代入し、計算を実行する。
- 問題文の有効数字を考慮して、最終的な答えをまとめる。
思考の道筋とポイント
この問題は、円形コイルに流れる電流が、その中心につくる磁場の強さを求める問題です。直線電流がつくる磁場の問題と同様に、公式を正しく覚えて適用することが求められます。特に、直線電流の公式 \(H = \displaystyle\frac{I}{2\pi r}\) との形の区別が重要です。円形電流の中心磁場を求める公式には \(\pi\) が含まれないことを明確に覚えておきましょう。
この設問における重要なポイント
- 磁場の強さ \(H\) の単位は[\(\text{A/m}\)](アンペア毎メートル)です。
- 電流 \(I\) の単位は[\(\text{A}\)](アンペア)です。
- 半径 \(r\) の単位は[\(\text{m}\)](メートル)です。
- 円形電流の中心における磁場の公式 \(H = \displaystyle\frac{I}{2r}\) を正確に適用します。直線電流の公式と混同しないように注意が必要です。
- 問題で与えられた数値「\(0.20\)\(\text{m}\)」「\(0.80\)\(\text{A}\)」は、どちらも有効数字が\(2\)桁です。したがって、計算結果も有効数字\(2\)桁で答える必要があります。
具体的な解説と立式
問題文より、円形コイルの半径は \(r = 0.20 \, \text{m}\)、コイルに流れる電流の大きさは \(I = 0.80 \, \text{A}\) と与えられています。
\(1\)回巻きの円形コイルに電流 \(I\) が流れるとき、その中心にできる磁場の強さ \(H\) は、次の公式で表されます。
$$ H = \displaystyle\frac{I}{2r} \quad \cdots ① $$
この公式に、与えられた数値を代入することで、磁場の強さ \(H\) を計算できます。
使用した物理公式
- 円形電流が中心につくる磁場の強さ: \(H = \displaystyle\frac{I}{2r}\)
式\((①)\)に、問題文で与えられた \(I = 0.80 \, \text{A}\)、\(r = 0.20 \, \text{m}\) を代入して \(H\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
H &= \displaystyle\frac{0.80}{2 \times 0.20} \\[2.0ex]&= \displaystyle\frac{0.80}{0.40} \\[2.0ex]&= 2.0
\end{aligned}
$$
計算結果は \(2.0\) となります。単位を付けて、
$$ H = 2.0 \, [\text{A/m}] $$
と求められます。これは有効数字\(2\)桁の条件を満たしています。
輪っかの形をした電線(円形コイル)に電気を流すと、その輪の中心に磁石の力(磁場)が集中して発生します。
この力の強さは、流す電気が強いほど、また輪っかが小さい(半径が小さい)ほど強くなります。
この関係は、「磁場の強さ = 電流の大きさ ÷ (\(2\) × 輪の半径)」という非常にシンプルな公式で計算できます。
今回の問題では、電流の大きさが「\(0.80\)\(\text{A}\)」、半径が「\(0.20\)\(\text{m}\)」なので、これらの数字を公式に当てはめると「\(0.80 \div (2 \times 0.20) = 0.80 \div 0.40 = 2.0\)」となり、答えは「\(2.0\)\(\text{A/m}\)」となります。
3 ソレノイド内部の磁場
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「ソレノイド内部の磁場の計算」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- ソレノイド内部の磁場の公式の理解。
- 単位長さあたりの巻数(巻数密度)の計算方法。
- 単位の換算(cmからmへ)。
- 有効数字の取り扱いと指数表記。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 問題文から総巻数 \(N\)、ソレノイドの長さ \(L\)、電流 \(I\) の値を読み取る。
- 長さ \(L\) の単位をセンチメートル[\(\text{cm}\)]からメートル[\(\text{m}\)]に換算する。
- 単位長さあたりの巻数 \(n = \displaystyle\frac{N}{L}\) を計算する。
- ソレノイド内部の磁場の強さの公式 \(H = nI\) に値を代入して計算する。
思考の道筋とポイント
この問題は、ソレノイド(コイルを長く密に巻いたもの)の内部にできる磁場の強さを求める、電磁気学の典型的な問題です。ソレノイドがつくる磁場は、その内部でほぼ一様(場所によらず強さと向きが同じ)になるという特徴があり、一様な磁場を作る装置として非常に重要です。
問題を解く鍵は、磁場の強さが電流の大きさと「単位長さあたりの巻数(巻線の密度)」に比例するという関係式 \(H=nI\) を正しく理解し、適用することです。
この設問における重要なポイント
- 公式 \(H=nI\) の \(n\) は、ソレノイドの「総巻数」ではなく、「\(1\)\(\text{m}\)あたりの巻数」である点を正確に理解することが最も重要です。
- 計算の前に、与えられた物理量の単位を基本単位(この場合はメートル[\(\text{m}\)])に揃える必要があります。\(10 \, \text{cm} = 0.10 \, \text{m}\) の換算を忘れないようにしましょう。
- 問題文で与えられた数値「\(10\)\(\text{cm}\)」「\(0.50\)\(\text{A}\)」の有効数字は\(2\)桁です。(「\(200\)回」は測定値ではなく回数ですが、他の数値に合わせて計算を進めます。)したがって、最終的な答えも有効数字\(2\)桁で、\(a \times 10^b\) の形で表すのが適切です。
具体的な解説と立式
問題文より、ソレノイドの総巻数は \(N = 200\) 回、長さは \(L = 10 \, \text{cm}\)、流れる電流の大きさは \(I = 0.50 \, \text{A}\) です。
まず、ソレノイドの長さ \(L\) の単位をメートル[\(\text{m}\)]に換算します。
$$ L = 10 \, \text{cm} = 0.10 \, \text{m} $$
次に、ソレノイドの単位長さあたりの巻数 \(n\) を求めます。\(n\) は、総巻数 \(N\) をソレノイドの長さ \(L\) で割ることで計算できます。
$$ n = \displaystyle\frac{N}{L} \quad \cdots ① $$
ソレノイド内部の磁場の強さ \(H\) は、この単位長さあたりの巻数 \(n\) と電流 \(I\) の積で与えられます。
$$ H = nI \quad \cdots ② $$
使用した物理公式
- 単位長さあたりの巻数: \(n = \displaystyle\frac{N}{L}\)
- ソレノイド内部の磁場の強さ: \(H = nI\)
まず、式\((①)\)を用いて、単位長さあたりの巻数 \(n\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
n &= \displaystyle\frac{200}{0.10} \\[2.0ex]&= 2000 \\[2.0ex]&= 2.0 \times 10^3 \, [\text{回/m}]\end{aligned}
$$
次に、この \(n\) の値と \(I = 0.50 \, \text{A}\) を式\((②)\)に代入して、磁場の強さ \(H\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
H &= (2.0 \times 10^3) \times 0.50 \\[2.0ex]&= 1.0 \times 10^3 \, [\text{A/m}]\end{aligned}
$$
計算結果は有効数字\(2\)桁で正しく表現されています。
ソレノイドは、導線をバネのようにたくさん巻いたものです。これに電気を流すと、その内部には強力で、向きが揃ったまっすぐな磁場(一様な磁場)ができます。
この磁場の強さは、2つの要素で決まります。一つは「流す電気の強さ(電流)」、もう一つは「どれだけ密に巻かれているか(巻数密度)」です。
「巻数密度」は、「\(1\)\(\text{m}\)あたり何回巻いてあるか」で表します。この問題では、長さ\(10\)\(\text{cm}\)(つまり\(0.10\)\(\text{m}\))に\(200\)回巻いてあるので、\(1\)\(\text{m}\)あたりに換算すると \(200 \div 0.10 = 2000\) 回巻いていることになります。
あとは、この巻数密度に電流の強さ \(0.50\)\(\text{A}\) を掛けるだけです。
\(2000 \times 0.50 = 1000\) となり、答えは \(1.0 \times 10^3 \, \text{A/m}\) となります。
4 直線電流が磁場から受ける力
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「磁場中の電流が受ける力(電磁力)の向きの決定」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- フレミングの左手の法則の理解。
- 電流、磁場、力の3つのベクトルの向きの関係。
- 図中の記号(\(\otimes\))が紙面の表から裏への向きを示すことの理解。
- 電磁力の概念。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 問題の図から、電流の向きと磁場の向きを特定する。
- フレミングの左手の法則を適用する。
- 左手の中指(電流)、人差し指(磁場)、親指(力)をそれぞれの向きに合わせ、力の向きを決定する。
思考の道筋とポイント
磁場の中で導線に電流を流すと、導線には力が働きます。この力を「電磁力」といい、モーターの回転原理などに利用されています。この力の向きは、電流の向きと磁場の向きの両方に対して垂直な方向になります。この\(3\)つの向き(電流、磁場、力)の関係を簡単に見つけるための便利な道具が「フレミングの左手の法則」です。法則を適用する際は、それぞれの指が何を表すかを正確に覚え、図の状況に合わせて正しく手を動かすことが重要です。
この設問における重要なポイント
- フレミングの左手の法則: 左手の親指、人差し指、中指を互いに直角に開いたとき、それぞれの指は以下の物理量の向きに対応します。
- 中指: 電流の向き (\(I\))
- 人差し指: 磁場の向き (\(B\))
- 親指: 力の向き (\(F\))
- 磁場の向きを表す記号:
- \(\otimes\): 紙面の表から裏へ向かう向き(矢が遠ざかっていくときの羽根を見るイメージ)。
- \(\odot\): 紙面の裏から表へ向かう向き(矢が自分に向かってくるときの先端を見るイメージ)。
- この問題では、電流、磁場、力は互いに垂直な関係にあります。
具体的な解説と立式
この問題は力の向きを特定するものであり、計算式を立てる必要はありません。フレミングの左手の法則を、図で与えられた状況に適用するプロセスを考えます。
- 電流の向きの確認: 問題の図より、電流 \(I\) は上から下へ向かって流れています。
- 磁場の向きの確認: 磁場 \(B\) は記号 \(\otimes\) で示されています。これは、磁場が紙面の表側から裏側へ向かって貫いていることを意味します。
- フレミングの左手の法則の適用:
- まず、左手の中指を電流の向き、すなわち「下向き」に合わせます。
- 次に、その状態を保ったまま、人差し指を磁場の向き、すなわち「紙面の奥へ突き刺す向き」に合わせます。
- このとき、自然に親指が向く方向が、導線が受ける力の向きとなります。実際に手を動かしてみると、親指は「右向き」を指すことがわかります。
したがって、導線が受ける力の向きは右向きとなります。
使用した物理公式
- フレミングの左手の法則(電流・磁場・力の向きの関係を示す法則)
この問題には計算過程はありません。上記の「具体的な解説と立式」で述べた、フレミングの左手の法則を適用する手順そのものが解答プロセスとなります。
磁石の世界(磁場)の中に置いた電線に電気(電流)を流すと、電線は力を受けて動こうとします。これは、リニアモーターカーやスピーカーなどが動く原理にもなっています。
どの向きに力が働くかは、「フレミングの左手の法則」という手の形で簡単に調べることができます。
左手でピストルのような形を作ってみましょう。
- 人差し指を、磁場の向きに合わせます。今回は紙の奥に突き刺す向きです。
- 中指を、電流の向きに合わせます。今回は上から下向きです。
- すると、親指が向いた方向が、電線が受ける力の向きになります。
実際にやってみると、親指は自然と「右」を向くはずです。これが答えの「右向き」です。
5 電流が磁場から受ける力
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「磁場中の電流が受ける力(電磁力)の大きさの計算」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 電磁力の公式 \(F=IBl\sin\theta\) の理解。
- 特に、電流と磁場が垂直な場合の公式 \(F=IBl\) の適用。
- 物理量(電流、磁束密度、長さ、力)の単位の確認。
- 有効数字の取り扱いと指数表記。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 問題文から電流 \(I\)、磁束密度 \(B\)、導線の長さ \(l\) の値を読み取る。
- 電流と磁場が垂直である条件を確認し、適切な公式を選択する。
- 公式 \(F=IBl\) に値を代入して計算する。
- 有効数字を考慮して答えをまとめる。
思考の道筋とポイント
この問題は、一様な磁場中に置かれた直線電流が受ける力の大きさ、すなわち電磁力の大きさを計算する基本的な問題です。力の向きを問われた場合はフレミングの左手の法則を使いますが、大きさを求める場合は公式 \(F=IBl\sin\theta\) を使います。この問題では、電流と磁場が垂直であるという条件が与えられているため、計算が最もシンプルな形になります。公式を正しく覚え、各物理量を正確に代入することが重要です。
この設問における重要なポイント
- 電磁力の公式: 電流 \(I\) が流れる長さ \(l\) の導線が、磁束密度 \(B\) の磁場から受ける力の大きさ \(F\) は、\(F = IBl\sin\theta\) で与えられます。ここで \(\theta\) は、電流の向きと磁場の向きのなす角です。
- 垂直な場合: この問題では、導線は磁場に対して「垂直に」置かれているため、\(\theta = 90^\circ\) となり、\(\sin 90^\circ = 1\) です。したがって、用いる公式は \(F=IBl\) となります。
- 単位の確認:
- 力の大きさ \(F\): [\(\text{N}\)] (ニュートン)
- 電流 \(I\): [\(\text{A}\)] (アンペア)
- 磁束密度 \(B\): [\(\text{T}\)] (テスラ)
- 導線の長さ \(l\): [\(\text{m}\)] (メートル)
- 有効数字: 問題文で与えられた数値「\(5.0 \times 10^{-3}\)」「\(2.0\)」「\(0.10\)」は、すべて有効数字\(2\)桁です。したがって、最終的な答えも有効数字\(2\)桁で表します。
具体的な解説と立式
問題文から、各物理量の値を読み取ります。
- 電流: \(I = 2.0 \, \text{A}\)
- 磁束密度: \(B = 5.0 \times 10^{-3} \, \text{T}\)
- 導線の長さ: \(l = 0.10 \, \text{m}\)
導線は磁場に対して垂直に置かれているため、電流の向きと磁場の向きのなす角は \(\theta = 90^\circ\) です。
したがって、導線が受ける力の大きさ \(F\) を求める公式は、
$$ F = IBl \quad \cdots ① $$
となります。この式に上記の値を代入して \(F\) を求めます。
使用した物理公式
- 電流が磁場から受ける力の大きさ: \(F = IBl\) (電流と磁場が垂直な場合)
式\((①)\)に、与えられた \(I = 2.0 \, \text{A}\)、\(B = 5.0 \times 10^{-3} \, \text{T}\)、\(l = 0.10 \, \text{m}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
F &= 2.0 \times (5.0 \times 10^{-3}) \times 0.10 \\[2.0ex]&= (2.0 \times 5.0 \times 0.10) \times 10^{-3} \\[2.0ex]&= 1.0 \times 10^{-3}
\end{aligned}
$$
したがって、力の大きさは \(1.0 \times 10^{-3} \, \text{N}\) となります。
磁石の世界(磁場)の中に置かれた電線に電気(電流)を流すと、電線は力を受けます。
この力の大きさは、とてもシンプルに「電流の強さ」「磁場の強さ(磁束密度)」「電線が磁場の中にある部分の長さ」の\(3\)つをすべて掛け合わせることで計算できます。(ただし、電線と磁場が垂直な場合に限ります。今回はそのケースです。)
問題文から、
- 電流の強さ = \(2.0 \, \text{A}\)
- 磁場の強さ = \(5.0 \times 10^{-3} \, \text{T}\)
- 長さ = \(0.10 \, \text{m}\)
とわかっているので、これらを掛け算します。
\(2.0 \times (5.0 \times 10^{-3}) \times 0.10 = 1.0 \times 10^{-3}\)
となり、答えは \(1.0 \times 10^{-3} \, \text{N}\) です。
6 平行導線間にはたらく力
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「平行な直線電流間にはたらく力の計算」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 直線電流がつくる磁場の公式 (\(H = \displaystyle\frac{I}{2\pi r}\))
- 磁束密度と磁場の関係式 (\(B = \mu H\))
- 磁場中の電流が受ける力の公式 (\(F = IBl\))
- 上記を組み合わせた、平行電流間にはたらく力の公式 (\(F = \displaystyle\frac{\mu I_1 I_2}{2\pi r} l\))
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 問題文から2つの電流 \(I_1\), \(I_2\)、導線間の距離 \(r\)、力の計算対象となる長さ \(l\)、透磁率 \(\mu\) の値を読み取る。
- 平行な直線電流間にはたらく力の公式に、これらの値を代入する。
- 計算を実行し、力の大きさを求める。
思考の道筋とポイント
\(2\)本の平行な導線に電流を流すと、互いに力を及ぼしあいます。これは、一方の電流が磁場をつくり、その磁場の中にあるもう一方の電流が力を受ける、という現象が相互に起こるためです。この力の大きさは、両方の電流の大きさに比例し、導線間の距離に反比例します。
この問題では力の向きは問われていませんが、一般に、同じ向きの電流間には引力、逆向きの電流間には斥力がはたらくことも重要なポイントです。
公式 \(F = \displaystyle\frac{\mu I_1 I_2}{2\pi r} l\) を直接使うのが最も効率的です。
この設問における重要なポイント
- 平行電流間にはたらく力の公式: \(F = \displaystyle\frac{\mu I_1 I_2}{2\pi r} l\)
- \(F\): 力の大きさ [\(\text{N}\)]
- \(\mu\): 透磁率 [\(\text{N/A}^2\)] または [\(\text{H/m}\)]
- \(I_1, I_2\): 各導線を流れる電流 [\(\text{A}\)]
- \(r\): 導線間の距離 [\(\text{m}\)]
- \(l\): 力がはたらく導線の長さ [\(\text{m}\)]
- 透磁率 \(\mu\): 問題文で与えられているのは真空の透磁率 \(\mu_0 = 4\pi \times 10^{-7} \, \text{N/A}^2\) です。
- 計算の工夫: 公式の分子に \(\mu\)、分母に \(2\pi\) があるため、\(\mu = 4\pi \times 10^{-7}\) を代入すると、\(4\pi\) と \(2\pi\) が約分でき、計算が簡潔になります。
- 作用・反作用: 導線\(1\)が導線\(2\)に及ぼす力と、導線\(2\)が導線\(1\)に及ぼす力は、作用・反作用の関係にあり、大きさは等しく向きは逆になります。
具体的な解説と立式
問題文から各物理量の値を読み取ります。
- 電流: \(I_1 = 2 \, \text{A}\), \(I_2 = 4 \, \text{A}\)
- 導線間の距離: \(r = 0.2 \, \text{m}\)
- 対象となる長さ: \(l = 1 \, \text{m}\)
- 透磁率: \(\mu = 4\pi \times 10^{-7} \, \text{N/A}^2\)
平行な直線電流間にはたらく力の大きさ \(F\) を求める公式は以下の通りです。
$$ F = \displaystyle\frac{\mu I_1 I_2}{2\pi r} l \quad \cdots ① $$
この式に上記の値を代入して \(F\) を求めます。
使用した物理公式
- 平行な直線電流間にはたらく力の大きさ: \(F = \displaystyle\frac{\mu I_1 I_2}{2\pi r} l\)
式\((①)\)に、与えられた値を代入します。
$$
\begin{aligned}
F &= \displaystyle\frac{(4\pi \times 10^{-7}) \times 2 \times 4}{2\pi \times 0.2} \times 1 \\[2.0ex]&= \displaystyle\frac{2 \times 10^{-7} \times 2 \times 4}{0.2} \times 1 \\[2.0ex]&= \displaystyle\frac{16 \times 10^{-7}}{0.2} \\[2.0ex]&= 80 \times 10^{-7} \\[2.0ex]&= 8 \times 10^{-6} \, [\text{N}]\end{aligned}
$$
\(2\)本の電線に電気を流すと、お互いに引き合ったり、反発し合ったりする力が働きます。
この現象は、片方の電線が磁場を作り、もう片方の電線がその磁場から力を受ける、という仕組みで起こります。
この力の大きさは、公式「\(F = (\text{透磁率} \times \text{電流1} \times \text{電流2}) \div (2 \times \pi \times \text{距離}) \times \text{長さ}\)」で計算できます。
問題で与えられた数字をこの公式に当てはめます。
- 透磁率: \(4\pi \times 10^{-7}\)
- 電流1: \(2 \, \text{A}\)
- 電流2: \(4 \, \text{A}\)
- 距離: \(0.2 \, \text{m}\)
- 長さ: \(1 \, \text{m}\)
計算すると、\(F = \displaystyle\frac{(4\pi \times 10^{-7}) \times 2 \times 4}{2\pi \times 0.2} \times 1\) となり、\(\pi\) の部分がうまく消えて、最終的に \(8 \times 10^{-6} \, \text{N}\) という答えが出てきます。
7 ローレンツ力
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「磁場中を運動する荷電粒子が受けるローレンツ力」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- ローレンツ力の公式 \(f = qvB\sin\theta\) の理解。
- フレミングの左手の法則の適用。
- 円運動における向心力の概念。
- 荷電粒子の電荷の正負と電流の向きの関係。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- ローレンツ力の公式を用いて、力の大きさを文字式で表す。
- 粒子の運動の軌跡(円運動)から、力が働く向き(円の中心方向)を特定する。
- フレミングの左手の法則を用いて、力の向き、磁場の向き、電流の向きの関係を調べることで、粒子の電荷の正負を判断する。
思考の道筋とポイント
磁場中を運動する荷電粒子は「ローレンツ力」という力を受けます。この力は常に粒子の運動方向(速度)に対して垂直にはたらくため、磁場は荷電粒子に対して仕事をしません。その結果、粒子の運動エネルギー、すなわち速さは変化せず、運動の向きだけが変化します。
特に、磁場に対して垂直に粒子が入射した場合、ローレンツ力は常に運動方向と垂直で、円の中心を向く「向心力」として働き、粒子は等速円運動を行います。電荷の正負を判断する際は、フレミングの左手の法則における「電流の向き」の定義が鍵となります。
この設問における重要なポイント
- ローレンツ力の大きさ: 電気量 \(q\) の荷電粒子が、速さ \(v\) で磁束密度 \(B\) の磁場に、磁場と \(\theta\) の角度をなして入射したとき、受ける力の大きさ \(f\) は \(f = qvB\sin\theta\) で与えられます。
- 垂直入射: この問題では、粒子は磁場(紙面の裏から表向き)に垂直な平面内で運動しているため、速度 \(\vec{v}\) と磁場 \(\vec{B}\) は常に垂直です。よって \(\theta = 90^\circ\)、\(\sin 90^\circ = 1\) となり、力の大きさは \(f = qvB\) となります。
- フレミングの左手の法則と電荷の正負:
- フレミングの左手の法則の中指は「電流の向き」を示します。
- 正電荷の場合: 電流の向きは、粒子の運動の向きと一致します。
- 負電荷の場合: 電流の向きは、粒子の運動の向きと逆向きになります。
- 円運動と向心力: 等速円運動をしている物体には、常に円の中心を向く力(向心力)がはたらいています。この問題では、ローレンツ力が向心力の役割を担っています。
具体的な解説と立式
1. 力の大きさ \(f\) の導出
荷電粒子が磁場から受ける力(ローレンツ力)の大きさ \(f\) は、電気量の大きさを \(q\)、速さを \(v\)、磁束密度を \(B\) とすると、\(f = qvB\) で与えられます。これは、粒子の速度が常に磁場と垂直であるためです。
2. 電荷の正負の判断
- 力の向きの特定: 粒子は等速円運動をしているため、常に円の中心に向かって力がはたらいています。図の瞬間において、粒子が受ける力(ローレンツ力)の向きは、円の中心方向、すなわち図の右下向きです。
- フレミングの左手の法則の適用:
- 人差し指(磁場の向き): 問題の図より、磁場は紙面の裏から表向き (\(\odot\)) です。人差し指を自分の方に向けます。
- 親指(力の向き): 上記より、力の向きは円の中心(右下向き)です。親指を右下向きに合わせます。
- 中指(電流の向き): このとき、中指が指す方向を調べると、図の粒子の速度 \(\vec{v}\) の向き(左上向き)と一致します。
- 結論: 「電流の向き」と「粒子の運動の向き」が一致したので、この荷電粒子は正の電荷を持っていると判断できます。
使用した物理公式
- ローレンツ力の大きさ: \(f = qvB\) (速度と磁場が垂直な場合)
- フレミングの左手の法則
この問題は、力の大きさを文字式で答え、電荷の正負を判断するものであり、具体的な数値計算はありません。
- 力の大きさ: \(f = qvB\)
- 電荷の正負: 上記の「具体的な解説と立式」で述べたフレミングの左手の法則の適用により「正」と判断されます。
磁石の世界(磁場)に電気を帯びた粒(荷電粒子)が飛び込むと、進路を曲げられます。この時に働く力を「ローレンツ力」と呼びます。
- 力の大きさ: 力の大きさは「電気の量(\(q\))」「速さ(\(v\))」「磁場の強さ(\(B\))」の\(3\)つを掛け合わせた \(qvB\) で計算できます。これが一つ目の答えです。
- 電荷の正負: 粒子がどちらに曲がるかは、フレミングの左手の法則でわかります。
- 粒子は円を描いて運動しているので、常に円の中心に向かって力が働いています。
- 左手の人差し指を磁場の向き(今回は紙面の手前向き)に合わせます。
- 親指を力の向き(円の中心である右下向き)に合わせます。
- すると、中指が粒子の進む向きと一致しました。
- 中指は「(プラスの電気の)電流の向き」を表すので、粒子の進む向きと電流の向きが同じということは、この粒子がプラス(正)の電気を持っている証拠です。これが二つ目の答えです。もしマイナス(負)の粒子なら、中指と逆の方向に進むはずです。
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