基本問題
382 合成容量
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
本解説は、模範解答で採用されている解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。
- 提示する別解
- 設問(2), (3)の別解: 全体の合成容量から総電気量を先に求める解法
- 模範解答が電圧と電気量の関係式を連立させるのに対し、別解では(1)で求めた回路全体の合成容量を利用して総電気量を算出し、そこから各部分の電圧を順に求めていきます。
- 設問(2), (3)の別解: 全体の合成容量から総電気量を先に求める解法
- 上記の別解が有益である理由
- 思考の効率化: 連立方程式を回避し、段階的に計算できるため、見通しが良く、計算ミスを減らすことができます。
- 物理的理解の深化: 回路全体を一つのコンデンサと見なす「合成容量」の概念の有用性を体感できます。
- 解法の多角化: 問題に応じて、どの未知数から求めると効率的かを判断する訓練になります。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「コンデンサーの合成と回路計算」です。複数のコンデンサーが組み合わさった回路において、部分的な合成を繰り返して全体の性質を把握し、各コンデンサーにかかる電圧や蓄えられる電気量を正しく計算できるかが問われます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- コンデンサーの並列接続: 並列部分の合成容量は、各コンデンサーの電気容量の和で与えられる。\(C_{\text{並列}} = C_1 + C_2 + \dots\)
- コンデンサーの直列接続: 直列部分の合成容量の逆数は、各コンデンサーの電気容量の逆数の和で与えられる。\(\displaystyle\frac{1}{C_{\text{直列}}} = \displaystyle\frac{1}{C_1} + \displaystyle\frac{1}{C_2} + \dots\)
- 電圧の関係(キルヒホッフの第2法則): 閉回路を一周したときの電位の変化の和は0である。本問では、電源電圧は各部分の電圧降下の和に等しい。
- 電気量保存則: 回路の分岐点において、流入する電気量の和と流出する電気量の和は等しい。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)では、まず並列接続されている\(C_2\)と\(C_3\)を合成し、次にその合成コンデンサーと\(C_1\)の直列接続として回路全体の合成容量を求めます。
- (2), (3)では、回路全体の電圧の関係式と、分岐点での電気量保存則から連立方程式を立てて、未知の電圧\(V_1\), \(V_2\)を求めます。
- (4)では、(2), (3)で求めた電圧を用いて、\(Q=CV\)の公式から各コンデンサーの電気量を計算します。
問(1)
思考の道筋とポイント
複雑なコンデンサー回路の合成容量を求める際は、計算しやすい部分から段階的に単純化していくのが基本です。この回路では、まず\(C_2\)と\(C_3\)が並列に接続されている部分を一つの合成コンデンサー\(C_{23}\)と見なします。次に、この\(C_{23}\)と\(C_1\)が直列に接続されていると考えて、回路全体の合成容量\(C\)を計算します。
この設問における重要なポイント
- 並列接続の合成容量は単純な足し算: \(C_{\text{並列}} = C_2 + C_3\)
- 直列接続の合成容量は逆数の和: \(\displaystyle\frac{1}{C_{\text{直列}}} = \displaystyle\frac{1}{C_1} + \displaystyle\frac{1}{C_{23}}\)
- 単位をμFのまま計算し、最後に必要であればFに変換すると計算が楽になる。
具体的な解説と立式
まず、コンデンサー\(C_2\)と\(C_3\)の並列接続部分の合成容量を\(C_{23}\)とします。並列接続の公式より、
$$ C_{23} = C_2 + C_3 $$
次に、この合成コンデンサー\(C_{23}\)とコンデンサー\(C_1\)は直列に接続されています。したがって、回路全体の合成容量を\(C\)とすると、直列接続の公式より、
$$ \frac{1}{C} = \frac{1}{C_1} + \frac{1}{C_{23}} $$
使用した物理公式
- コンデンサーの並列接続の合成容量: \(C_{\text{並列}} = C_1 + C_2\)
- コンデンサーの直列接続の合成容量: \(\displaystyle\frac{1}{C_{\text{直列}}} = \displaystyle\frac{1}{C_1} + \displaystyle\frac{1}{C_2}\)
与えられた値を代入して計算します。単位は[μF]で統一して計算を進めます。
まず、\(C_{23}\)を求めます。
$$
\begin{aligned}
C_{23} &= C_2 + C_3 \\[2.0ex]
&= 2.0 + 4.0 \\[2.0ex]
&= 6.0 \, [\text{μF}]
\end{aligned}
$$
次に、この結果を使って全体の合成容量\(C\)を求めます。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{C} &= \frac{1}{C_1} + \frac{1}{C_{23}} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{3.0} + \frac{1}{6.0} \\[2.0ex]
&= \frac{2}{6.0} + \frac{1}{6.0} \\[2.0ex]
&= \frac{3}{6.0} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2.0}
\end{aligned}
$$
したがって、両辺の逆数をとって、
$$ C = 2.0 \, [\text{μF}] $$
ごちゃごちゃした回路は、まず「合体」できる部分を探して、少しずつシンプルな形にしていくのがコツです。この問題では、横に並んでいる\(C_2\)と\(C_3\)をまず合体させて一つの大きなコンデンサ\(C_{23}\)にします(並列の合体は単純な足し算)。すると、回路は\(C_1\)と合体後の\(C_{23}\)が一直線に並んだだけのシンプルな形になります。最後にこの2つを直列として合体させれば(直列の合体は逆数の足し算)、回路全体の合成容量が求まります。
ad間の合成容量は\(C = 2.0 \, \text{μF}\)と求められました。この値は、直列接続した\(C_1=3.0 \, \text{μF}\)や\(C_{23}=6.0 \, \text{μF}\)のどちらよりも小さい値です。直列接続では合成容量が元のどのコンデンサーよりも小さくなるという性質と一致しており、妥当な結果です。
問(2), (3)
思考の道筋とポイント
ab間の電位差\(V_1\)とbc間の電位差\(V_2\)という2つの未知数を求めるため、これらを含む独立した方程式を2本立てる必要があります。
1本目は、電圧に関する式です。電源電圧\(V\)は、\(C_1\)にかかる電圧\(V_1\)と、\(C_2\), \(C_3\)の並列部分にかかる電圧\(V_2\)の和に等しくなります(キルヒホッフの第2法則)。
2本目は、電気量に関する式です。点bに注目すると、\(C_1\)から流れ込んだ電気量\(Q_1\)が、\(C_2\)と\(C_3\)にそれぞれ\(Q_2\), \(Q_3\)として分かれていきます(電気量保存則)。
これらの式を\(Q=CV\)の関係を使って\(V_1\)と\(V_2\)の式に直し、連立させて解きます。
この設問における重要なポイント
- 直列部分の電圧の和は全体の電圧: \(V_1 + V_2 = V\)
- 分岐点での電気量の保存: \(Q_1 = Q_2 + Q_3\)
- 各コンデンサーにおける関係式: \(Q_1=C_1V_1\), \(Q_2=C_2V_2\), \(Q_3=C_3V_2\)
- \(C_2\)と\(C_3\)は並列接続なので、かかる電圧は共通で\(V_2\)である。
具体的な解説と立式
まず、回路全体の電圧の関係から、
$$ V_1 + V_2 = V \quad \cdots ① $$
次に、コンデンサーに蓄えられる電気量について考えます。各コンデンサーの電気量を\(Q_1, Q_2, Q_3\)とすると、\(Q=CV\)の関係から、
$$ Q_1 = C_1 V_1 $$
$$ Q_2 = C_2 V_2 $$
$$ Q_3 = C_3 V_2 $$
点bと点cで囲まれた導線部分に注目すると、充電完了後、この部分は電気的に孤立しています。点bに流入する電気量\(Q_1\)は、点bから\(C_2\)と\(C_3\)へ流出する電気量の和に等しくなります。
$$ Q_1 = Q_2 + Q_3 \quad \cdots ② $$
②式に\(Q=CV\)の関係を代入すると、
$$ C_1 V_1 = C_2 V_2 + C_3 V_2 $$
右辺を\(V_2\)でまとめると、
$$ C_1 V_1 = (C_2 + C_3) V_2 \quad \cdots ③ $$
これで、未知数\(V_1, V_2\)に関する2つの式①と③が立ちました。
使用した物理公式
- キルヒホッフの第2法則(電圧則): \(V = V_1 + V_2\)
- 電気量保存則: \(Q_1 = Q_2 + Q_3\)
- コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
式③に\(C_1=3.0 \, \text{μF}\), \(C_2=2.0 \, \text{μF}\), \(C_3=4.0 \, \text{μF}\)を代入します。電気容量の単位(μF)は両辺で打ち消し合うので、数値のみで計算できます。
$$
\begin{aligned}
3.0 V_1 &= (2.0 + 4.0) V_2 \\[2.0ex]
3.0 V_1 &= 6.0 V_2 \\[2.0ex]
V_1 &= 2.0 V_2 \quad \cdots ④
\end{aligned}
$$
次に、この関係式④を、電圧の式① (\(V_1 + V_2 = 3.0 \times 10^2\)) に代入します。
$$
\begin{aligned}
(2.0 V_2) + V_2 &= 3.0 \times 10^2 \\[2.0ex]
3.0 V_2 &= 3.0 \times 10^2 \\[2.0ex]
V_2 &= 1.0 \times 10^2 \, [\text{V}]
\end{aligned}
$$
最後に、求まった\(V_2\)を④に代入して\(V_1\)を求めます。
$$
\begin{aligned}
V_1 &= 2.0 V_2 \\[2.0ex]
&= 2.0 \times (1.0 \times 10^2) \\[2.0ex]
&= 2.0 \times 10^2 \, [\text{V}]
\end{aligned}
$$
知りたいものが\(V_1\)と\(V_2\)の2つなので、中学校で習った連立方程式のように、式を2本作って解くことを目指します。
1本目の式は簡単で、電圧の合計の式です。「\(V_1\)と\(V_2\)を足すと、全体の電圧\(V\)になる」という式 (\(V_1+V_2=V\))。
2本目の式は電気の流れに関する式です。\(C_1\)を通過した電気\(Q_1\)が、その後\(C_2\)と\(C_3\)の2つに分かれて流れるので、「\(Q_1 = Q_2 + Q_3\)」という式が作れます。このままだと文字が違うので、\(Q=CV\)を使ってすべて電圧の式に書き換えてあげると、2本目の式が完成します。あとはこの2本を連立させて解けばOKです。
ab間の電位差は\(V_1 = 2.0 \times 10^2 \, \text{V}\)、bc間の電位差は\(V_2 = 1.0 \times 10^2 \, \text{V}\)と求まりました。
和は\(V_1+V_2 = 200 + 100 = 300 \, \text{V}\)となり、電源電圧\(V=3.0 \times 10^2 \, \text{V}\)と一致します。
また、\(C_1\)と合成容量\(C_{23}\)は直列接続されており、その容量は\(C_1=3.0 \, \text{μF}\), \(C_{23}=6.0 \, \text{μF}\)で、比は\(1:2\)です。直列接続では電気量が等しいため、\(Q=CV\)より電圧は容量の逆比になります。したがって、電圧の比\(V_1:V_2\)は\(2:1\)となるはずで、計算結果(\(V_1=200V, V_2=100V\))と一致しており、物理的に妥当です。
思考の道筋とポイント
(1)で回路全体の合成容量\(C\)を求めたことを利用するアプローチです。回路全体を、容量が\(C\)である一つのコンデンサーと見なします。この仮想的なコンデンサーに電源電圧\(V\)がかかっていると考え、まず回路全体に蓄えられる総電気量\(Q_{\text{全体}}\)を\(Q_{\text{全体}}=CV\)で計算します。
この\(Q_{\text{全体}}\)は、直列部分である\(C_1\)に蓄えられる電気量\(Q_1\)と等しくなります。\(Q_1\)が分かれば、\(V_1 = Q_1/C_1\)として\(V_1\)を直接計算できます。\(V_1\)が求まれば、残りの\(V_2\)は全体の電圧\(V\)から引き算するだけで求まります。
この設問における重要なポイント
- 回路全体の総電気量は \(Q_{\text{全体}} = C_{\text{合成}} \times V_{\text{全体}}\) で計算できる。
- 直列に接続されたコンデンサーに蓄えられる電気量は等しい。(\(Q_1 = Q_{\text{全体}}\))
具体的な解説と立式
(1)で求めた回路全体の合成容量 \(C = 2.0 \, \text{μF} = 2.0 \times 10^{-6} \, \text{F}\) を用います。
まず、回路全体で蓄えられる総電気量\(Q_{\text{全体}}\)を求めます。
$$ Q_{\text{全体}} = C \times V $$
コンデンサー\(C_1\)は電源と直列につながっているため、\(C_1\)に蓄えられる電気量\(Q_1\)は\(Q_{\text{全体}}\)に等しくなります。
$$ Q_1 = Q_{\text{全体}} $$
\(Q_1\)がわかれば、\(C_1\)にかかる電圧\(V_1\)は\(Q=CV\)の式から求められます。
$$ V_1 = \frac{Q_1}{C_1} $$
最後に、電圧の関係式 \(V_1 + V_2 = V\) を使って\(V_2\)を求めます。
$$ V_2 = V – V_1 $$
使用した物理公式
- コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
- 合成容量の概念
- キルヒホッフの第2法則(電圧則): \(V = V_1 + V_2\)
まず、総電気量\(Q_{\text{全体}}\)を計算します。
$$
\begin{aligned}
Q_{\text{全体}} &= C \times V \\[2.0ex]
&= (2.0 \times 10^{-6} \, \text{F}) \times (3.0 \times 10^2 \, \text{V}) \\[2.0ex]
&= 6.0 \times 10^{-4} \, \text{C}
\end{aligned}
$$
この値が\(Q_1\)と等しいので、\(Q_1 = 6.0 \times 10^{-4} \, \text{C}\)です。
次に、\(V_1\)を計算します。
$$
\begin{aligned}
V_1 &= \frac{Q_1}{C_1} \\[2.0ex]
&= \frac{6.0 \times 10^{-4} \, \text{C}}{3.0 \times 10^{-6} \, \text{F}} \\[2.0ex]
&= 2.0 \times 10^2 \, \text{V}
\end{aligned}
$$
最後に、\(V_2\)を計算します。
$$
\begin{aligned}
V_2 &= V – V_1 \\[2.0ex]
&= (3.0 \times 10^2 \, \text{V}) – (2.0 \times 10^2 \, \text{V}) \\[2.0ex]
&= 1.0 \times 10^2 \, \text{V}
\end{aligned}
$$
まず、この回路全体を一つの巨大なコンデンサーと見なして、そこに蓄えられる電気の総量を計算します。この総量は、入口にある\(C_1\)を必ず通過するはずなので、\(C_1\)に蓄えられる電気量と同じになります。\(C_1\)の電気量が分かれば、「\(Q=CV\)」の公式から\(C_1\)の電圧\(V_1\)が逆算できます。全体の電圧は300Vと決まっているので、\(V_1\)が分かれば、残りの電圧\(V_2\)は引き算(300 – \(V_1\))で簡単に求まります。連立方程式を使わない、スマートな解き方です。
主たる解法と全く同じ結果(\(V_1 = 2.0 \times 10^2 \, \text{V}\), \(V_2 = 1.0 \times 10^2 \, \text{V}\))が得られました。この方法は、連立方程式を解く手間が省け、計算の見通しが良いため、合成容量が分かっている場合には非常に有効なアプローチです。
問(4)
思考の道筋とポイント
各コンデンサーに蓄えられる電気量\(Q_1, Q_2, Q_3\)を求める問題です。(2), (3)で各部分にかかる電圧\(V_1, V_2\)がすでに求まっているので、あとはそれぞれのコンデンサーについて\(Q=CV\)の公式を適用するだけです。
この設問における重要なポイント
- \(C_1\)にかかる電圧は\(V_1\)である。
- \(C_2\)と\(C_3\)は並列接続なので、両方にかかる電圧は共通で\(V_2\)である。
- 計算の際は、電気容量をF(ファラド)の単位に直す (\(1 \text{μF} = 10^{-6} \text{F}\))。
具体的な解説と立式
各コンデンサーについて、\(Q=CV\)の公式を立てます。
コンデンサー\(C_1\)について:
$$ Q_1 = C_1 V_1 $$
コンデンサー\(C_2\)について:
$$ Q_2 = C_2 V_2 $$
コンデンサー\(C_3\)について:
$$ Q_3 = C_3 V_2 $$
使用した物理公式
- コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
(2), (3)で求めた\(V_1 = 2.0 \times 10^2 \, \text{V}\), \(V_2 = 1.0 \times 10^2 \, \text{V}\)と、与えられた電気容量の値を代入します。
\(C_1 = 3.0 \, \text{μF} = 3.0 \times 10^{-6} \, \text{F}\)
\(C_2 = 2.0 \, \text{μF} = 2.0 \times 10^{-6} \, \text{F}\)
\(C_3 = 4.0 \, \text{μF} = 4.0 \times 10^{-6} \, \text{F}\)
$$
\begin{aligned}
Q_1 &= C_1 V_1 \\[2.0ex]
&= (3.0 \times 10^{-6} \, \text{F}) \times (2.0 \times 10^2 \, \text{V}) \\[2.0ex]
&= 6.0 \times 10^{-4} \, \text{C}
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
Q_2 &= C_2 V_2 \\[2.0ex]
&= (2.0 \times 10^{-6} \, \text{F}) \times (1.0 \times 10^2 \, \text{V}) \\[2.0ex]
&= 2.0 \times 10^{-4} \, \text{C}
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
Q_3 &= C_3 V_2 \\[2.0ex]
&= (4.0 \times 10^{-6} \, \text{F}) \times (1.0 \times 10^2 \, \text{V}) \\[2.0ex]
&= 4.0 \times 10^{-4} \, \text{C}
\end{aligned}
$$
それぞれのコンデンサーがどれくらいの電気を蓄えているかを知る問題です。電気の量は「容量 × 電圧」で決まります。前の問題で各コンデンサーにかかる電圧(\(V_1\)と\(V_2\))はもう分かっているので、それぞれの容量と電圧を掛け算してあげるだけで答えが出ます。\(C_2\)と\(C_3\)には同じ電圧\(V_2\)がかかっていることに注意しましょう。
各コンデンサーの電気量は、\(Q_1 = 6.0 \times 10^{-4} \, \text{C}\), \(Q_2 = 2.0 \times 10^{-4} \, \text{C}\), \(Q_3 = 4.0 \times 10^{-4} \, \text{C}\)と求められました。
ここで検算として、電気量保存則\(Q_1 = Q_2 + Q_3\)が成り立っているか確認します。
\(Q_2 + Q_3 = (2.0 \times 10^{-4}) + (4.0 \times 10^{-4}) = 6.0 \times 10^{-4} \, \text{C}\)
これは\(Q_1\)の値と一致しており、計算が正しいことが裏付けられます。
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最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- コンデンサーの接続ルールと基本公式の組み合わせ:
- 核心: この問題の根幹は、コンデンサーの「直列接続」と「並列接続」のルールを正しく理解し、それらを基本公式 \(Q=CV\) やキルヒホッフの法則と組み合わせて、回路の未知量を体系的に解き明かす能力にあります。
- 理解のポイント:
- 合成容量(回路の単純化): 複雑な回路も、部分的な合成を繰り返すことで、最終的に一つのコンデンサーと見なせます。並列は \(C = C_1+C_2\)、直列は \(\displaystyle\frac{1}{C} = \displaystyle\frac{1}{C_1}+\displaystyle\frac{1}{C_2}\) というルールは、回路を分析するための第一歩です。
- 電圧則(キルヒホッフ第2法則): 直列部分では、各部分にかかる電圧の和が全体の電圧に等しくなります (\(V = V_1+V_2\))。これはエネルギー保存則の一つの現れです。
- 電気量保存則(キルヒホッフ第1法則): 回路の分岐点では、流れ込む電気量と流れ出す電気量の和が等しくなります (\(Q_1 = Q_2+Q_3\))。これは電荷が勝手に消えたり生まれたりしないという大原則に基づいています。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- スイッチの切り替え問題: 充電後にスイッチを切り替えて別の回路に接続する問題。この場合、「切り替えによって電気的に孤立した部分の電気量の和は保存される」という法則が鍵になります。
- コンデンサーへの誘電体の挿入: 充電後にコンデンサーの極板間に誘電体を挿入する問題。誘電体を入れると電気容量\(C\)が変化するため、\(Q=CV\)の関係から電圧\(V\)や電気量\(Q\)がどう変化するかを追跡します。電池に繋がったままか、切り離されているかで条件が変わる点に注意が必要です。
- 抵抗を含むRC回路: コンデンサーと抵抗が混在する回路の過渡現象(充電・放電の途中過程)を扱う問題。微分方程式を解くか、時定数 \(\tau=CR\) の概念を用いて電流や電圧の時間変化を考えます。
- 初見の問題での着眼点:
- 回路図の接続関係を把握: まず、どのコンデンサーが直列で、どれが並列かを正確に色分けするなどして把握します。
- 解法のルート選択:
- ルートA(模範解答): 未知の電圧や電気量を文字で置き、電圧則と電気量保存則で連立方程式を立てる。最も正攻法で、どんな問題にも適用しやすい。
- ルートB(別解): まず全体の合成容量を求め、総電気量を計算し、そこから部分の電圧・電気量を逆算していく。計算がシンプルになる場合が多く、特に合成容量を問う設問がある場合に有効。
- 電気的に孤立した部分を探す: スイッチ操作や複雑な回路では、「どの部分の電荷の合計が保存されるか」を見抜くことが突破口になることが多いです。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 直列と並列の公式の混同:
- 誤解: 直列接続と並列接続の合成容量の公式を逆に覚えてしまう。抵抗の合成公式と混同しやすい。
- 対策: 「並列にすると板の面積が増えるイメージ \(\rightarrow\) 容量は増える(単純な和)」、「直列にすると極板間隔が広がるイメージ \(\rightarrow\) 容量は減る(逆数の和)」のように、物理的なイメージと結びつけて覚えましょう。
- 電圧と電気量の分配の勘違い:
- 誤解: 直列接続で「電圧」が等しく、並列接続で「電気量」が等しいと勘違いする。
- 対策: 正しくは「直列 \(\rightarrow\) 電気量が等しい」「並列 \(\rightarrow\) 電圧が等しい」です。直列は一本道なので流れる電気は同じ、並列は同じ高さ(電位)の場所に繋がっているので電圧が同じ、と覚えましょう。
- 単位のミス:
- 誤解: 電気容量の単位をμF(マイクロファラド)のまま、電圧V(ボルト)と掛けて電気量C(クーロン)を計算してしまう。
- 対策: 計算の際は、必ずSI基本単位に変換する癖をつけます。\(C=3.0 \, \text{μF}\) を見たら、即座に \(C=3.0 \times 10^{-6} \, \text{F}\) と書き直すことを徹底しましょう。ただし、容量の比を計算する場合など、単位が約分される場合はその限りではありません。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 連立方程式アプローチ(主たる解法):
- 選定理由: (2), (3)で未知数が\(V_1, V_2\)の2つあったため、数学の基本に立ち返り「未知数が2つなら、独立した式が2本必要」と考えます。物理法則の中で、この回路に適用できる独立した法則は「電圧則」と「電気量保存則」の2つです。これらを用いることで、確実に解けるという論理的な必然性からこのアプローチが選ばれます。
- 適用根拠: キルヒホッフの法則は、どのような定常状態の電気回路にも普遍的に成り立つ基本法則です。したがって、これに基づいて立式すれば、必ず物理的に正しい関係を記述できます。
- 合成容量アプローチ(別解):
- 選定理由: (1)でわざわざ「回路全体の合成容量」を計算させた、という問題の流れに着目します。この結果を使わない手はない、と考えるのが自然です。回路全体を一つのコンデンサーと見なすことで、問題をよりマクロな視点から捉え直し、連立方程式というミクロな計算を回避できます。
- 適用根拠: 「合成容量」という概念自体が、複数のコンデンサーの集まりを、同じ電圧をかけたときに同じ総電気量を蓄える「等価な一つのコンデンサー」に置き換える、という考え方に基づいています。したがって、\(Q_{\text{全体}} = C_{\text{合成}}V\) という関係は定義そのものであり、物理的に完全に正当です。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 単位付きの計算: (1)のように、単位が相殺されない場合は、式の途中に[μF]などの単位を書き込むと、最終的な答えの単位を間違えにくくなります。
- 連立方程式の整理:
- まずは物理法則から\(V_1, V_2, Q_1, Q_2, Q_3\)など多くの文字を使って素直に立式する。
- \(Q=CV\)の関係を使って、求めるべき変数(この場合は\(V_1, V_2\))だけで式を整理し直す。
- 代入する前に、一方の変数をもう一方の変数で表す(例: \(V_1 = 2.0 V_2\))など、できるだけ式を簡単な形にしてから代入すると、計算ミスが減ります。
- 検算の習慣化:
- (4)で求めた\(Q_2, Q_3\)を足して\(Q_1\)と一致するか確認する、といった検算は非常に有効です。
- (2),(3)の別解のように、直列接続では電気量が等しいことから、電圧は容量の逆比 (\(V_1:V_2 = C_{23}:C_1\)) になるはずだ、という物理的な性質を使って答えの妥当性をチェックする癖をつけましょう。今回の場合は \(V_1:V_2 = 6.0:3.0 = 2:1\) となり、計算結果 \(200\text{V}:100\text{V}\) と一致することを確認できます。
383 耐電圧
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
本解説は、模範解答で採用されている解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。
- 提示する別解
- 設問(2)の別解: 耐電気量で考える解法
- 模範解答が電圧の比を求めて、どちらかのコンデンサーが耐電圧に達したときのもう一方の電圧を計算するのに対し、別解では各コンデンサーが蓄えられる「最大の電気量(耐電気量)」を先に計算し、より小さい方の電気量を基準として全体の耐電圧を求めます。
- 設問(2)の別解: 耐電気量で考える解法
- 上記の別解が有益である理由
- 物理的本質の深化: 直列接続では「電気量」が共通であるため、回路の限界を決めるのは「最も少ない電気量しか蓄えられないコンデンサー」である、という物理的本質をより直接的に理解できます。
- 思考の簡略化: 電圧の比を計算して場合分けするよりも、「耐電気量を計算して小さい方を採用する」という一本道の思考プロセスで解けるため、混乱が少なくなります。
- 応用力の向上: この「耐電気量」という考え方は、より複雑な回路の限界を考える際にも応用できる強力な視点です。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「コンデンサーの耐電圧」です。コンデンサーには安全に使用できる電圧の上限(耐電圧)があり、それを超えると壊れてしまいます。複数のコンデンサーを接続した際に、回路全体としてどこまで電圧をかけられるのかを、接続方法(並列・直列)に応じて正しく判断できるかが問われます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 耐電圧の定義: コンデンサーが壊れずに耐えられる電圧の最大値。
- 並列接続の特徴: 各コンデンサーにかかる電圧は等しい。
- 直列接続の特徴: 各コンデンサーに蓄えられる電気量は等しい。
- 電圧の分圧: 直列接続では、全体の電圧は各コンデンサーの電気容量の逆比に分配される。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)では、並列接続の特性を考えます。両方のコンデンサーに同じ電圧がかかるため、先に耐電圧に達してしまうコンデンサーが全体の限界を決めます。
- (2)では、直列接続の特性を考えます。両方のコンデンサーに蓄えられる電気量が同じになるため、どちらかのコンデンサーが先に耐電圧(あるいは耐電気量)に達する状況を考え、そのときの全体の電圧を計算します。
問(1)
思考の道筋とポイント
AとBを並列に接続した場合、両者には全く同じ電圧\(V\)がかかります。コンデンサーAは\(3.0 \times 10^2 \, \text{V}\)まで、Bは\(6.0 \times 10^2 \, \text{V}\)まで耐えられます。もし、かけた電圧\(V\)が\(3.0 \times 10^2 \, \text{V}\)を超えると、Bは耐えられますがAは壊れてしまいます。したがって、回路全体として安全にかけられる電圧は、2つの耐電圧のうち、より小さい方によって決まります。
この設問における重要なポイント
- 並列接続では、各要素にかかる電圧は等しい。
- 回路全体の耐電圧は、構成要素のうち最も耐電圧が低いものによって制限される。
具体的な解説と立式
コンデンサーAの耐電圧を\(V_{\text{A,最大}}\)、コンデンサーBの耐電圧を\(V_{\text{B,最大}}\)とします。
\(V_{\text{A,最大}} = 3.0 \times 10^2 \, \text{V}\)
\(V_{\text{B,最大}} = 6.0 \times 10^2 \, \text{V}\)
並列接続したとき、全体にかかる電圧を\(V_1\)とすると、Aにかかる電圧もBにかかる電圧も\(V_1\)です。
回路が壊れないためには、AとBの両方がそれぞれの耐電圧を超えないことが条件となります。
$$ V_1 \le V_{\text{A,最大}} $$
$$ V_1 \le V_{\text{B,最大}} $$
この2つの条件を同時に満たす\(V_1\)の最大値が、全体としての耐電圧です。したがって、
$$ V_{1, \text{最大}} = \min(V_{\text{A,最大}}, V_{\text{B,最大}}) $$
ここで、\(\min(a, b)\)はaとbのうち小さい方の値を表します。
使用した物理公式
- 並列接続の電圧の性質
与えられた値を比較します。
$$ V_{\text{A,最大}} = 3.0 \times 10^2 \, \text{V} $$
$$ V_{\text{B,最大}} = 6.0 \times 10^2 \, \text{V} $$
このうち小さい方の値を選ぶので、
$$ V_{1, \text{最大}} = 3.0 \times 10^2 \, \text{V} $$
AさんとBさんがいて、Aさんは30kgまで、Bさんは60kgまで荷物を持てるとします。この2人が並んで、同じ一つの荷物を持つ場合、何kgまでなら安全に運べるでしょうか? もし30kgを超える荷物を持たせたら、Bさんは平気でもAさんは潰れてしまいます。なので、安全なのはAさんの限界である30kgまでです。コンデンサーの並列接続もこれと同じで、2つの耐電圧のうち、低い方の電圧までしかかけることができません。
並列接続したときの全体の耐電圧は\(3.0 \times 10^2 \, \text{V}\)となります。これはコンデンサーAの耐電圧と同じ値です。この電圧をかけたとき、Aはちょうど限界ですが、Bは耐電圧\(6.0 \times 10^2 \, \text{V}\)の半分しか電圧がかかっていないので安全です。理にかなった結果です。
問(2)
思考の道筋とポイント
AとBを直列に接続した場合、両者に蓄えられる電気量\(Q\)が等しくなります。しかし、かかる電圧\(V_A, V_B\)は電気容量が異なるため、等しくありません。\(Q=C_A V_A = C_B V_B\)の関係から、電圧は電気容量の逆比に分配されます。
全体の電圧を上げていくと、AかBのどちらかが先に自身の耐電圧に達します。どちらが先に限界に達するかを判断し、その瞬間の全体の電圧(\(V_2 = V_A + V_B\))を計算することが、この問題のゴールです。
この設問における重要なポイント
- 直列接続では、各コンデンサーに蓄えられる電気量\(Q\)が等しい。
- 各コンデンサーにかかる電圧は、\(Q=CV\)より\(V=Q/C\)となり、電気容量に反比例する。(\(V_A : V_B = \displaystyle\frac{1}{C_A} : \displaystyle\frac{1}{C_B}\))
- どちらかのコンデンサーが耐電圧に達したときが回路全体の限界となる。
具体的な解説と立式
直列接続なので、各コンデンサーに蓄えられる電気量を\(Q\)とすると、これは共通です。
Aにかかる電圧を\(V_A\)、Bにかかる電圧を\(V_B\)とすると、
$$ Q = C_A V_A $$
$$ Q = C_B V_B $$
したがって、\(C_A V_A = C_B V_B\)が成り立ちます。この式から、電圧の比を求めます。
$$ \frac{V_A}{V_B} = \frac{C_B}{C_A} $$
ここで、どちらが先に耐電圧に達するかを調べるために、2つのケースを考えます。
ケース1: Aが先に耐電圧に達する場合
\(V_A = 3.0 \times 10^2 \, \text{V}\)と仮定します。このときの\(V_B\)を計算し、Bの耐電圧(\(6.0 \times 10^2 \, \text{V}\))を超えていないか確認します。
ケース2: Bが先に耐電圧に達する場合
\(V_B = 6.0 \times 10^2 \, \text{V}\)と仮定します。このときの\(V_A\)を計算し、Aの耐電圧(\(3.0 \times 10^2 \, \text{V}\))を超えていないか確認します。
両方の耐電圧を超えない、より厳しい条件の方が、実際に起こる限界の状況です。そのときの電圧の和 \(V_2 = V_A + V_B\) が求める耐電圧となります。
使用した物理公式
- コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
- 直列接続の電気量の性質
まず、電圧の比を計算します。
\(C_A = 4.0 \, \text{μF}\), \(C_B = 1.0 \, \text{μF}\) なので、
$$ \frac{V_A}{V_B} = \frac{C_B}{C_A} = \frac{1.0}{4.0} = \frac{1}{4} $$
よって、\(V_B = 4V_A\) という関係があります。
ケース1: Aが耐電圧 \(V_A = 3.0 \times 10^2 \, \text{V}\) に達したと仮定する。
このとき、Bにかかる電圧は、
$$
\begin{aligned}
V_B &= 4 V_A \\[2.0ex]
&= 4 \times (3.0 \times 10^2) \\[2.0ex]
&= 12 \times 10^2 \, \text{V} = 1.2 \times 10^3 \, \text{V}
\end{aligned}
$$
この値はBの耐電圧 \(6.0 \times 10^2 \, \text{V}\) を超えてしまっています。したがって、この状況は実現する前にBが壊れてしまうため不適です。
ケース2: Bが耐電圧 \(V_B = 6.0 \times 10^2 \, \text{V}\) に達したと仮定する。
このとき、Aにかかる電圧は、
$$
\begin{aligned}
V_A &= \frac{1}{4} V_B \\[2.0ex]
&= \frac{1}{4} \times (6.0 \times 10^2) \\[2.0ex]
&= 1.5 \times 10^2 \, \text{V}
\end{aligned}
$$
この値はAの耐電圧 \(3.0 \times 10^2 \, \text{V}\) を超えていません。したがって、この状況は安全に実現可能です。
よって、回路の限界はBが耐電圧に達したときであり、そのときの各電圧は \(V_A = 1.5 \times 10^2 \, \text{V}\), \(V_B = 6.0 \times 10^2 \, \text{V}\) です。
全体の耐電圧\(V_2\)はこれらの和なので、
$$
\begin{aligned}
V_2 &= V_A + V_B \\[2.0ex]
&= (1.5 \times 10^2) + (6.0 \times 10^2) \\[2.0ex]
&= 7.5 \times 10^2 \, \text{V}
\end{aligned}
$$
直列につなぐと、電気の通り道は一本なので、AとBを流れる電気の量(電気量)は同じになります。しかし、コンデンサーの性能(電気容量)が違うため、かかる電圧は異なります。性能が低い(容量が小さい)Bの方に、より多くの電圧がかかります(具体的には4倍)。
全体の電圧を上げていくと、どちらが先に限界の電圧に達するか?というチキンレースです。計算してみると、電圧が多くかかるBの方が、Aよりも先に自分の耐電圧に達してしまうことがわかります。したがって、回路全体の限界は「Bが耐電圧に達した瞬間」で決まります。その瞬間のAの電圧とBの電圧を足したものが、全体の耐電圧になります。
直列接続したときの全体の耐電圧は \(7.5 \times 10^2 \, \text{V}\) となりました。このとき、コンデンサーBには限界の\(6.0 \times 10^2 \, \text{V}\)がかかり、Aには\(1.5 \times 10^2 \, \text{V}\)がかかっています。Aはまだ余裕がありますが、これ以上全体の電圧を上げるとBが壊れてしまう、という限界状態を正しく表しており、妥当な結果です。
思考の道筋とポイント
直列接続では、各コンデンサーに蓄えられる電気量\(Q\)が等しい、という性質に着目します。回路全体にかけられる電圧を上げていくと、蓄えられる電気量\(Q\)も増加していきます。この\(Q\)が、AかBのどちらかが蓄えられる限界の電気量(耐電気量)に達したとき、回路全体も限界に達します。
したがって、まず各コンデンサーが個別に蓄えられる最大の電気量(耐電気量)を\(Q=CV\)で計算します。直列回路では、両方のコンデンサーに同じ電気量しか蓄えられないので、実際に蓄えられる電気量の最大値は、2つの耐電気量のうち「小さい方」になります。この限界の電気量が分かれば、それをもとに各コンデンサーにかかる電圧を計算し、最後にそれらを足し合わせることで全体の耐電圧を求めます。
この設問における重要なポイント
- 各コンデンサーが蓄えられる最大の電気量(耐電気量)は \(Q_{\text{最大}} = C \times V_{\text{最大}}\) で計算できる。
- 直列接続の回路全体が蓄えられる電気量の最大値は、各コンデンサーの耐電気量のうち、最も小さい値に等しい。 \(Q_{\text{回路,最大}} = \min(Q_{\text{A,最大}}, Q_{\text{B,最大}})\)
具体的な解説と立式
まず、コンデンサーA、Bがそれぞれ蓄えることのできる最大の電気量(耐電気量)\(Q_{\text{A,最大}}\), \(Q_{\text{B,最大}}\)を計算します。
$$ Q_{\text{A,最大}} = C_A V_{\text{A,最大}} $$
$$ Q_{\text{B,最大}} = C_B V_{\text{B,最大}} $$
直列接続では、両方のコンデンサーに同じ電気量\(Q\)が蓄えられます。回路が壊れないためには、この\(Q\)が両方の耐電気量を超えてはいけません。
$$ Q \le Q_{\text{A,最大}} $$
$$ Q \le Q_{\text{B,最大}} $$
したがって、回路全体として蓄えられる電気量の最大値\(Q_{\text{回路,最大}}\)は、2つの耐電気量のうち小さい方になります。
$$ Q_{\text{回路,最大}} = \min(Q_{\text{A,最大}}, Q_{\text{B,最大}}) $$
この限界の電気量が蓄えられているとき、A, Bにかかる電圧をそれぞれ\(V_A, V_B\)とすると、
$$ V_A = \frac{Q_{\text{回路,最大}}}{C_A} $$
$$ V_B = \frac{Q_{\text{回路,最大}}}{C_B} $$
求める全体の耐電圧\(V_2\)は、これらの和となります。
$$ V_2 = V_A + V_B $$
使用した物理公式
- コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
- 直列接続の電気量の性質
まず、各コンデンサーの耐電気量を計算します。単位をF, Vに変換します。
\(C_A = 4.0 \times 10^{-6} \, \text{F}\), \(V_{\text{A,最大}} = 3.0 \times 10^2 \, \text{V}\)
\(C_B = 1.0 \times 10^{-6} \, \text{F}\), \(V_{\text{B,最大}} = 6.0 \times 10^2 \, \text{V}\)
$$
\begin{aligned}
Q_{\text{A,最大}} &= C_A V_{\text{A,最大}} \\[2.0ex]
&= (4.0 \times 10^{-6}) \times (3.0 \times 10^2) \\[2.0ex]
&= 12 \times 10^{-4} \, \text{C} = 1.2 \times 10^{-3} \, \text{C}
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
Q_{\text{B,最大}} &= C_B V_{\text{B,最大}} \\[2.0ex]
&= (1.0 \times 10^{-6}) \times (6.0 \times 10^2) \\[2.0ex]
&= 6.0 \times 10^{-4} \, \text{C}
\end{aligned}
$$
この2つの値を比較すると、\(Q_{\text{B,最大}}\)の方が小さいです。したがって、回路全体で蓄えられる電気量の限界は、
$$ Q_{\text{回路,最大}} = 6.0 \times 10^{-4} \, \text{C} $$
このとき、各コンデンサーにかかる電圧は、
$$
\begin{aligned}
V_A &= \frac{Q_{\text{回路,最大}}}{C_A} = \frac{6.0 \times 10^{-4}}{4.0 \times 10^{-6}} = 1.5 \times 10^2 \, \text{V} \\[2.0ex]
V_B &= \frac{Q_{\text{回路,最大}}}{C_B} = \frac{6.0 \times 10^{-4}}{1.0 \times 10^{-6}} = 6.0 \times 10^2 \, \text{V}
\end{aligned}
$$
全体の耐電圧\(V_2\)はこれらの和なので、
$$
\begin{aligned}
V_2 &= V_A + V_B \\[2.0ex]
&= (1.5 \times 10^2) + (6.0 \times 10^2) \\[2.0ex]
&= 7.5 \times 10^2 \, \text{V}
\end{aligned}
$$
直列接続では、AとBに同じ量の電気が溜まります。Aは最大12単位、Bは最大6単位の電気を溜められるとします。この2つを直列につないだ場合、溜められる電気は最大で何単位でしょうか? もし7単位の電気を流したら、Aは平気でもBは容量オーバーで壊れてしまいます。なので、安全なのはBの限界である6単位までです。
この「限界の電気量(6単位)」が分かれば、あとは\(Q=CV\)の公式を逆算して、「そのときAとBの電圧はそれぞれいくつか?」を計算し、最後にそれらを足し合わせれば、全体の耐電圧が求まります。
主たる解法と全く同じ結果 \(V_2 = 7.5 \times 10^2 \, \text{V}\) が得られました。このとき、\(V_A = 1.5 \times 10^2 \, \text{V}\)(耐電圧300V以下でOK)、\(V_B = 6.0 \times 10^2 \, \text{V}\)(耐電圧600Vちょうどで限界)となり、物理的な状況とも一致します。この解法は、直列接続の本質である「電気量の共通性」に直接アプローチするため、より直感的で間違いにくい方法と言えます。
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最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 接続方法による制約条件の変化
- 核心: この問題の根幹は、コンデンサーの接続方法(並列か直列か)によって、回路の限界を決定する「制約条件」が根本的に異なることを理解する点にあります。
- 理解のポイント:
- 並列接続の制約: 「電圧が共通」であるため、回路の限界は各コンデンサーの「耐電圧」のうち、最も小さいものによって決まります。一番先に電圧の限界に達するコンデンサーが、全体の限界を決定します。
- 直列接続の制約: 「電気量が共通」であるため、回路の限界は各コンデンサーが蓄えられる「最大の電気量(耐電気量)」のうち、最も小さいものによって決まります。一番先に電気量の限界(お腹がいっぱいになる状態)に達するコンデンサーが、全体の限界を決定します。
- マクロな限界とミクロな状態の連携
- 核心: 回路全体としての限界(マクロな耐電圧)を考えるには、その瞬間に個々のコンデンサー(ミクロな要素)がどのような状態(電圧、電気量)にあるかを正確に把握し、それらを足し合わせる必要があります。
- 理解のポイント:
- (2)では、まず「Bが限界に達する」というミクロな限界点を特定しました。
- 次に、そのときの相方であるAの状態(\(V_A = 1.5 \times 10^2 \, \text{V}\))を計算しました。
- 最後に、これらのミクロな電圧を合計することで、マクロな全体の耐電圧 \(V_2 = V_A + V_B\) を導き出しました。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 異なる種類の素子との接続: コンデンサーとダイオード(順方向・逆方向で性質が異なる)や、豆電球(一定の電圧・電流で切れる)などを接続した場合の回路全体の限界を求める問題。各素子の限界条件(電圧、電流、電力など)を正しく理解し、接続方法に応じてどの制約が支配的になるかを考える点で本問と共通します。
- 3つ以上のコンデンサーの耐電圧: 3つ以上のコンデンサーが複雑に接続された回路の耐電圧を求める問題。部分的な合成(並列・直列)を行いながら、どの部分が最初に限界に達するかを段階的に絞り込んでいく必要があります。
- 初見の問題での着眼点:
- 「耐電圧」という言葉に反応: 問題文に「耐電圧」とあったら、それは「最大値・限界を考える問題」であると即座に認識します。
- 接続方法を確認: まず、並列か直列かを確認します。
- 並列なら思考はシンプル: 「一番弱い奴に合わせる」→ 耐電圧の最小値が答え。
- 直列なら一手間かかる: 「電圧は等しくない」と認識し、限界を決めるのが電圧なのか電気量なのかを考えます。
- 直列接続での思考ルート選択:
- ルートA(電圧比で考える): \(V_A:V_B\)の比を求め、どちらが先に耐電圧に達するか場合分けで検証する。
- ルートB(耐電気量で考える): 各々の\(Q_{\text{最大}}\)を計算し、小さい方を回路の限界\(Q_{\text{回路,最大}}\)として採用する。こちらの方が見通しが良い場合が多い。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 直列接続の耐電圧の誤解:
- 誤解: 直列接続の耐電圧を、単純に個々の耐電圧の和 (\(V_{\text{A,最大}} + V_{\text{B,最大}}\)) だと勘違いしてしまう。
- 対策: 直列接続では電圧は均等に分配されない(分圧される)ことを常に意識します。\(V_A + V_B\) が全体の電圧になるのは正しいですが、その限界値は、AとBが「同時に」それぞれの耐電圧に達するときだけではありません。本問のように、片方が限界に達したとき、もう片方はまだ余裕がある、という状況が普通です。
- 容量と電圧の関係の混同:
- 誤解: 電気容量が大きいコンデンサーほど、多くの電圧がかかると勘違いする。
- 対策: 直列接続では電気量\(Q\)が一定なので、\(V=Q/C\) の関係から「電気容量\(C\)が小さいほど、かかる電圧\(V\)は大きくなる」という逆比の関係を正確に理解することが重要です。容量が小さいコンデンサーは「電圧がかかりやすい」と覚えましょう。
- 場合分けの論理ミス:
- 誤解: (2)の主たる解法で、ケース1(Aが先に限界)を計算し、そのときの\(V_B\)がBの耐電圧を超えたから「これが答えだ」と勘違いし、\(V_A+V_B\)を計算してしまう。
- 対策: 「不適」と判断したケースは、「その状況は物理的に起こり得ない」という意味です。必ず、もう一方の「適した」ケースが答えの根拠になることを理解しましょう。両方のケースを検討し、矛盾なく成立する方を選ぶ、という手順を徹底します。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 並列接続での最小値選択:
- 選定理由: (1)では、並列接続の物理的定義「各要素にかかる電圧は等しい」という一点から論理的に導かれます。回路にかけた電圧\(V_1\)が、そのまま\(V_A\)であり\(V_B\)でもあるため、\(V_1\)が\(V_{\text{A,最大}}\)と\(V_{\text{B,最大}}\)の両方を超えないための条件は、数学的に「\(V_1 \le \min(V_{\text{A,最大}}, V_{\text{B,最大}})\)」となります。
- 適用根拠: これは「鎖の強度は、最も弱い輪で決まる」という原則と同じです。並列回路というシステム全体の強度は、最も電圧に弱い部品によって決まります。
- 直列接続での耐電気量アプローチ:
- 選定理由: (2)の別解では、直列接続の物理的定義「各要素を流れる(蓄えられる)電気量は等しい」という本質に直接アプローチしています。回路の限界を電圧ではなく、より根源的な「電気量」という共通の指標で評価することで、場合分けという複雑な思考を回避できます。
- 適用根拠: 回路に流せる電気量の上限は、ボトルネックとなるコンデンサー、すなわち最も少ない電気量しか蓄えられないコンデンサーによって決まります。この限界電気量\(Q_{\text{回路,最大}}\)が定まれば、\(V=Q/C\)という基本法則に従って、そのときの各部の電圧、ひいては全体の電圧が一意に決まる、という論理に基づいています。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 情報の整理: 問題を解き始める前に、与えられた情報をコンデンサーごとに整理して書き出すと有効です。
- A: \(C_A = 4.0 \, \text{μF}\), \(V_{\text{A,最大}} = 3.0 \times 10^2 \, \text{V}\)
- B: \(C_B = 1.0 \, \text{μF}\), \(V_{\text{B,最大}} = 6.0 \times 10^2 \, \text{V}\)
- (別解のように) ここからさらに \(Q_{\text{A,最大}}\), \(Q_{\text{B,最大}}\) を計算して書き加えておくと、思考が整理されます。
- 指数の計算を丁寧に: \(10^n\) の計算はミスの温床です。特に、\( (4.0 \times 10^{-6}) \times (3.0 \times 10^2) = (4.0 \times 3.0) \times 10^{-6+2} = 12 \times 10^{-4} \) のように、係数部分と指数部分を分けて計算する癖をつけましょう。
- 比の計算を有効活用: (2)の主たる解法のように、\(V_A:V_B = C_B:C_A = 1:4\) という比の関係を最初に確定させることで、その後の計算の見通しが非常に良くなります。「どちらか一方の電圧が決まれば、もう一方も自動的に決まる」という関係性を利用することで、思考をシンプルに保てます。
384 金属板の挿入
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
本解説は、模範解答で採用されている解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。
- 提示する別解
- 設問(2)の別解(模範解答記載): 2つの直列コンデンサーと見なす解法
- 主たる解法が電場と電位の関係から直接グラフを描くのに対し、この別解では金属板を挟んだコンデンサーを「極板間隔が狭い2つのコンデンサーの直列接続」と見なして、各コンデンサーにかかる電圧を計算し、グラフを作成します。
- 設問(3)の別解(模範解答記載): 2つの直列コンデンサーの合成容量から求める解法
- 主たる解法が「実効的な極板間隔」から容量の変化を考えるのに対し、この別解では(2)の別解の考え方を引き継ぎ、2つの直列コンデンサーの合成容量を計算することで、全体の電気容量を求めます。
- 設問(4)の別解(独自考案): エネルギー保存則の観点から考察する解法
- 主たる解法が電気量保存則(\(Q=CV\))を用いて解くのに対し、この別解では「スイッチを開いた後に金属板を抜き去る仕事」が「コンデンサーの静電エネルギーの増加」に等しいというエネルギー保存則の観点から、最終的な電位差を考察します。
- 設問(2)の別解(模範解答記載): 2つの直列コンデンサーと見なす解法
- 上記の別解が有益である理由
- 物理モデルの多角化: 金属板の挿入を「実効的な距離の変化」と見るか、「2つのコンデンサーの直列」と見るか、複数の物理モデルを使い分ける能力が養われます。
- 法則間の連携理解: (4)の独自考案の別解のように、電気量保存だけでなく、エネルギー保存という異なる物理法則からも同じ結論が導かれることを確認でき、物理法則の普遍性への理解が深まります。
- 解法の選択肢拡大: 問題の条件によって、どのモデルや法則を使うと見通しが良くなるかを判断する力が身につきます。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「コンデンサーへの金属板の挿入とスイッチの操作」です。コンデンサーの極板間に金属板を挿入したときの電気容量の変化や、スイッチを開閉することで「電圧一定」なのか「電気量一定」なのかという条件がどう変わるのかを正しく理解し、電気量、電位、エネルギーなどを計算できるかが問われます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- コンデンサーの基本公式: \(Q=CV\), 電気容量 \(C=\epsilon \displaystyle\frac{S}{d}\), 静電エネルギー \(U=\displaystyle\frac{1}{2}CV^2 = \displaystyle\frac{1}{2}QV = \displaystyle\frac{Q^2}{2C}\)。
- 金属板の挿入の効果: 厚さ\(x\)の金属板を挿入すると、間隔が\(x\)だけ狭くなったコンデンサーと等価と見なせる。あるいは、2つのコンデンサーの直列接続と見なせる。
- スイッチの操作と保存量:
- スイッチを閉じている(電池に接続されている)間は、極板間の電位差が電池の電圧\(V\)に保たれる。
- スイッチを開いた(電池から切り離した)後は、コンデンサーは電気的に孤立し、蓄えられた電気量\(Q\)が一定に保たれる。
- 電場と電位の関係: 一様な電場\(E\)の中では、距離\(x\)だけ離れた2点間の電位差は\(V=Ex\)。電位のグラフの傾きは電場の強さを表す。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)では、与えられた文字を使って静電エネルギーの公式を適用します。
- (2)では、金属板挿入後の電場の様子を考えます。金属板の内部は電場が0、極板と金属板の間には電場が存在することから、Aからの距離と電位の関係をグラフに描きます。
- (3)では、金属板挿入後の電気容量の変化を考え、\(Q=CV\)の公式を使って電気量を求めます。
- (4)では、スイッチを開いて電気量が保存される条件の下で、金属板を取り去って電気容量が元に戻ったときの電位差を計算します。
問(1)
思考の道筋とポイント
スイッチSを閉じた直後の、図1の状態におけるコンデンサーの静電エネルギーを求める問題です。問題文で電気容量が\(C\)、電池の起電力が\(V\)と与えられています。これらの文字を使って静電エネルギーを表す公式を選択して適用します。
この設問における重要なポイント
- 静電エネルギーの公式は \(U=\displaystyle\frac{1}{2}CV^2\), \(U=\displaystyle\frac{1}{2}QV\), \(U=\displaystyle\frac{Q^2}{2C}\) の3つがある。
- 問題で与えられている文字(\(C\)と\(V\))を直接使える公式を選ぶのが最も効率的。
具体的な解説と立式
コンデンサーに蓄えられる静電エネルギーを表す公式は3種類あります。
$$ U = \frac{1}{2}CV^2 $$
$$ U = \frac{1}{2}QV $$
$$ U = \frac{Q^2}{2C} $$
この問題では、電気容量\(C\)と極板間の電位差(電池の電圧)\(V\)が与えられているため、最初の式 \(U=\displaystyle\frac{1}{2}CV^2\) を使うのが最も直接的です。
使用した物理公式
- コンデンサーの静電エネルギー: \(U=\displaystyle\frac{1}{2}CV^2\)
公式に与えられた文字をそのまま適用するだけなので、これ以上の計算は不要です。
$$ U = \frac{1}{2}CV^2 $$
コンデンサーに蓄えられるエネルギーを求める問題です。物理には便利な公式がいくつか用意されていて、今回は「容量\(C\)」と「電圧\(V\)」が分かっているので、\(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2\) という公式をそのまま使えば答えが出ます。
コンデンサーに蓄えられた静電エネルギーは \(U=\displaystyle\frac{1}{2}CV^2\) と表せます。これは基本的な公式そのものであり、問題ありません。
問(2)
思考の道筋とポイント
スイッチを閉じたまま、厚さ\(\displaystyle\frac{d}{2}\)の金属板Pを極板A, Bの中央に挿入したときの、Aからの距離と電位の関係をグラフにする問題です。
重要なポイントは以下の通りです。
1. スイッチは閉じているので、A-B間の電位差は\(V\)に保たれる。
2. 金属板Pは導体なので、その内部は電場が0であり、全体が等電位になる。
3. 電場が存在するのは、極板Aと金属板Pの間、および金属板Pと極板Bの間のみである。
4. A-P間とP-B間の距離は等しいので、それぞれの空間の電場の強さも等しくなる。
これらの性質を元に、電位がどのように変化していくかを考えます。
この設問における重要なポイント
- 導体(金属板)の内部は電場が0で、等電位。
- 電位のグラフの傾きは、電場の強さ(のマイナス)を表す。電場が0なら傾きも0(水平)、電場が一定なら傾きも一定(直線)。
- A-B間の電位差は\(V\)に保たれる。
具体的な解説と立式
極板Aの電位を\(V\)、極板Bの電位を0とします(Bが接地されているため)。
金属板Pは厚さ\(\displaystyle\frac{d}{2}\)で、中央に置かれているので、極板Aから金属板Pの表面までの距離は\(\displaystyle\frac{d}{4}\)、金属板Pのもう一方の表面から極板Bまでの距離も\(\displaystyle\frac{d}{4}\)です。
A-P間とP-B間の距離はともに\(\displaystyle\frac{d}{4}\)で等しく、対称性からそれぞれの電場の強さ\(E\)も等しくなります。
全体の電位差\(V\)は、電場がある区間の電位降下の合計に等しくなります。
$$ V = E \cdot \frac{d}{4} + E \cdot \frac{d}{4} $$
この式を整理すると、
$$ V = E \cdot \frac{d}{2} $$
これより、電場の強さは \(E = \displaystyle\frac{2V}{d}\) となります。
金属板Pの電位\(V_P\)は、Aの電位からA-P間の電位降下分を引いたものなので、
$$ V_P = V – E \cdot \frac{d}{4} $$
この式に\(E = \displaystyle\frac{2V}{d}\)を代入してグラフの要点を計算します。
使用した物理公式
- 電場と電位差の関係: \(\Delta V = E \cdot \Delta x\)
- 導体内部の電場は0
$$
\begin{aligned}
V_P &= V – \left(\frac{2V}{d}\right) \cdot \frac{d}{4} \\[2.0ex]
&= V – \frac{V}{2} \\[2.0ex]
&= \frac{V}{2}
\end{aligned}
$$
この結果から、グラフは以下のようになります。
- \(x=0\)で電位\(V\)。
- \(x=0\)から\(x=\displaystyle\frac{d}{4}\)まで、電位は直線的に\(\displaystyle\frac{V}{2}\)まで減少。
- \(x=\displaystyle\frac{d}{4}\)から\(x=\displaystyle\frac{3}{4}d\)まで、電位は\(\displaystyle\frac{V}{2}\)で一定。
- \(x=\displaystyle\frac{3}{4}d\)から\(x=d\)まで、電位は直線的に0まで減少。
電位のグラフは、電気的な世界の「坂道」の様子を描くようなものです。
- A地点は高さ\(V\)、B地点は高さ0です。
- 金属板Pは導体なので、電気的な「踊り場」のようなもので、板の上はどこでも同じ高さ(等電位)になります。
- AからPまでの隙間と、PからBまでの隙間は、同じ長さの「坂」になります。
- 全体の高さの差が\(V\)で、坂道は2区間あるので、それぞれの坂で高さが\(\displaystyle\frac{V}{2}\)ずつ下がることになります。
- したがって、A(高さ\(V\)) \(\rightarrow\) [坂を下る] \(\rightarrow\) Pの上面(高さ\(\displaystyle\frac{V}{2}\)) \(\rightarrow\) [平坦な踊り場] \(\rightarrow\) Pの下面(高さ\(\displaystyle\frac{V}{2}\)) \(\rightarrow\) [坂を下る] \(\rightarrow\) B(高さ0) というグラフになります。
描かれたグラフは、A(\(x=0\))で電位\(V\)、B(\(x=d\))で電位0となり、全体の電位差が\(V\)という条件を満たしています。また、金属板内部(\(\displaystyle\frac{d}{4} < x < \displaystyle\frac{3}{4}d\))で電位が一定(\(\displaystyle\frac{V}{2}\))になっており、導体の性質を正しく反映しています。グラフの傾き(電場)が隙間部分で一定かつ金属内部で0となっており、物理的に妥当なグラフです。
思考の道筋とポイント
金属板Pを挿入した状態を、AとPを極板とするコンデンサー\(C_{AP}\)と、PとBを極板とするコンデンサー\(C_{PB}\)の2つが直列に接続されたものと見なします。
スイッチは閉じているので、全体の電圧は\(V\)です。直列接続なので、この電圧\(V\)が\(C_{AP}\)と\(C_{PB}\)に分圧されます。それぞれの容量を計算し、かかる電圧を求めれば、金属板Pの電位がわかり、グラフを描くことができます。
この設問における重要なポイント
- 金属板の挿入は、2つのコンデンサーの直列接続と等価である。
- 各部分コンデンサーの極板間隔は\(\displaystyle\frac{d}{4}\)である。
- 電気容量は極板間隔に反比例するため、容量は元の4倍になる。
- 直列接続では、電圧は電気容量の逆比に分配される。
具体的な解説と立式
元のコンデンサーの容量を\(C = \epsilon \displaystyle\frac{S}{d}\)とします。
コンデンサー\(C_{AP}\)は、極板間隔が\(\displaystyle\frac{d}{4}\)なので、その容量は、
$$ C_{AP} = \epsilon \frac{S}{d/4} $$
同様に、コンデンサー\(C_{PB}\)の容量も\(C_{PB} = \epsilon \displaystyle\frac{S}{d/4}\)です。
この2つのコンデンサーは直列接続されており、容量が等しいため、全体の電圧\(V\)は均等に分配されます。
したがって、\(C_{AP}\)にかかる電圧\(V_{AP}\)と\(C_{PB}\)にかかる電圧\(V_{PB}\)は、
$$ V_{AP} = V_{PB} = \frac{V}{2} $$
金属板Pは、コンデンサー\(C_{AP}\)の負極側と見なせます。Aの電位が\(V\)なので、Pの電位\(V_P\)は、
$$ V_P = V – V_{AP} $$
使用した物理公式
- コンデンサーの電気容量: \(C=\epsilon \displaystyle\frac{S}{d}\)
- 直列接続の電圧分配
まず\(C_{AP}\)を計算します。
$$
\begin{aligned}
C_{AP} &= \epsilon \frac{S}{d/4} \\[2.0ex]
&= 4 \left( \epsilon \frac{S}{d} \right) \\[2.0ex]
&= 4C
\end{aligned}
$$
\(C_{PB}\)も同様に\(4C\)です。
次に\(V_P\)を計算します。
$$
\begin{aligned}
V_P &= V – V_{AP} \\[2.0ex]
&= V – \frac{V}{2} \\[2.0ex]
&= \frac{V}{2}
\end{aligned}
$$
金属板を挟むと、間に2つの小さなコンデンサーが直列に並んだのと同じ、と考える方法です。今回は金属板が真ん中にあるので、できた2つのコンデンサーは全く同じ性能になります。同じ性能のコンデンサーを直列につなぐと、全体の電圧\(V\)を仲良く半分こします。だから、真ん中の金属板の高さ(電位)は、ちょうど半分の\(\displaystyle\frac{V}{2}\)になります。
金属板Pの電位が\(\displaystyle\frac{V}{2}\)であることがわかり、主たる解法と同じ結論に至りました。コンデンサーを分割して考えるこのモデルは、(3)の計算にもつながる有効な視点です。
問(3)
思考の道筋とポイント
金属板を挿入した状態での極板Aの電気量\(Q\)を求めます。スイッチは閉じているので、極板間の電圧は\(V\)のままです。金属板を挿入したことで、コンデンサーの電気容量が変化しています。この新しい電気容量を\(C’\)とすると、求める電気量は\(Q=C’V\)で計算できます。
金属板の挿入は、極板間隔が狭くなる効果をもたらします。厚さ\(\displaystyle\frac{d}{2}\)の金属板を挿入すると、電場が存在する空間の合計の長さは \(d – \displaystyle\frac{d}{2} = \displaystyle\frac{d}{2}\) となります。これは、極板間隔が\(\displaystyle\frac{d}{2}\)になったコンデンサーと等価です。
電気容量は極板間隔に反比例する(\(C \propto \displaystyle\frac{1}{d}\))ので、間隔が半分になれば、容量は2倍になります。
この設問における重要なポイント
- スイッチが閉じているので電圧は\(V\)で一定。
- 厚さ\(x\)の金属板を挿入すると、実効的な極板間隔は\(d-x\)になる。
- 電気容量は極板間隔に反比例する。
具体的な解説と立式
元の電気容量を\(C = \epsilon \displaystyle\frac{S}{d}\)とします。
厚さ\(\displaystyle\frac{d}{2}\)の金属板を挿入した後の新しい電気容量を\(C’\)とします。これは、極板間隔が実質的に \(d’ = d – \displaystyle\frac{d}{2} = \displaystyle\frac{d}{2}\) になったと見なせます。
$$ C’ = \epsilon \frac{S}{d’} = \epsilon \frac{S}{d/2} $$
したがって、新しい容量\(C’\)は元の容量\(C\)の2倍になります。
$$ C’ = 2 \left( \epsilon \frac{S}{d} \right) = 2C $$
この状態で蓄えられる電気量\(Q\)は、電圧が\(V\)であることから、
$$ Q = C’V $$
使用した物理公式
- コンデンサーの電気容量: \(C=\epsilon \displaystyle\frac{S}{d}\)
- コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
$$
\begin{aligned}
Q &= C’V \\[2.0ex]
&= (2C)V \\[2.0ex]
&= 2CV
\end{aligned}
$$
金属板をコンデンサーの間に挟むと、コンデンサーの性能(電気容量)がアップします。隙間が実質的に半分になったのと同じ効果があり、容量は2倍になります。
スイッチはつながったままなので、電圧は\(V\)で変わりません。求める電気量は「性能 × 電圧」なので、性能が2倍になった分、蓄えられる電気の量も2倍になります。元の電気量は\(CV\)だったので、答えは\(2CV\)です。
金属板を挿入した後の電気量は\(Q=2CV\)と求められました。金属板を挿入すると容量が増加し、電圧が一定なら電気量も増加するという結果は物理的に妥当です。
思考の道筋とポイント
(2)の別解と同様に、金属板を挿入した状態を、容量がそれぞれ\(4C\)のコンデンサー\(C_{AP}\)と\(C_{PB}\)が直列接続されたものと見なします。この2つのコンデンサーの合成容量\(C’\)を計算し、\(Q=C’V\)の式から全体の電気量を求めます。
この設問における重要なポイント
- 直列接続の合成容量の公式: \(\displaystyle\frac{1}{C_{\text{合成}}} = \displaystyle\frac{1}{C_1} + \displaystyle\frac{1}{C_2}\)
具体的な解説と立式
コンデンサー\(C_{AP}\)と\(C_{PB}\)の容量は、(2)の別解で求めた通り、それぞれ\(4C\)です。
この2つの直列接続の合成容量\(C’\)は、次の式で求められます。
$$ \frac{1}{C’} = \frac{1}{C_{AP}} + \frac{1}{C_{PB}} $$
全体の電気量\(Q\)は、この合成容量\(C’\)に電圧\(V\)がかかっていると考えて、
$$ Q = C’V $$
使用した物理公式
- コンデンサーの直列接続の合成容量: \(\displaystyle\frac{1}{C_{\text{合成}}} = \displaystyle\frac{1}{C_1} + \displaystyle\frac{1}{C_2}\)
- コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
まず合成容量\(C’\)を計算します。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{C’} &= \frac{1}{4C} + \frac{1}{4C} \\[2.0ex]
&= \frac{2}{4C} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2C}
\end{aligned}
$$
両辺の逆数をとって、\(C’ = 2C\) となります。
次に、この結果を用いて電気量\(Q\)を計算します。
$$
\begin{aligned}
Q &= C’V \\[2.0ex]
&= (2C)V \\[2.0ex]
&= 2CV
\end{aligned}
$$
(2)の別解の考え方を発展させます。2つの小さなコンデンサー(性能4C)が直列に並んでいるので、まずこの2つを合体させて一つのコンデンサーと見なします。直列の合成ルールに従うと、合体後の性能(合成容量)は\(2C\)になります。あとは「電気量 = 合体後の性能 × 電圧」で計算すれば、答えの\(2CV\)が求まります。
主たる解法と全く同じ結果\(Q=2CV\)が得られました。「実効的な距離」で考える方法と、「コンデンサーの直列合成」で考える方法のどちらでも同じ結論に至ることを確認できました。
問(4)
思考の道筋とポイント
(3)の状態でスイッチSを開き、その後に金属板Pを取り去ったときの極板間の電位差\(V’\)を求めます。
ここでの最大のポイントは、スイッチを開いたことにより、コンデンサーが回路から電気的に孤立することです。これにより、極板に蓄えられている電気量\(Q\)が一定に保たれます。
(3)で求めた電気量\(Q=2CV\)が保存されたまま、金属板を取り去ることで、コンデンサーの電気容量は元の\(C\)に戻ります。
この新しい状態(電気量\(Q=2CV\)、容量\(C\))での電位差\(V’\)を、\(Q=CV\)の公式を書き換えた\(V’=Q/C\)で求めます。
この設問における重要なポイント
- スイッチを開くと、電気量\(Q\)が保存される。
- 金属板を取り去ると、電気容量は元の\(C\)に戻る。
- 保存された電気量と、元に戻った容量から、新しい電圧を計算する。
具体的な解説と立式
スイッチを開いた瞬間の電気量は、(3)で求めた\(Q=2CV\)です。スイッチを開いた後は、この電気量が保存されます。
$$ Q_{\text{保存}} = 2CV $$
次に、金属板Pを取り去ると、コンデンサーの極板間隔は\(d\)に戻り、電気容量も元の\(C\)に戻ります。
この状態での電位差を\(V’\)とすると、コンデンサーの基本式\(Q=CV\)より、
$$ Q_{\text{保存}} = C V’ $$
この2つの式から\(Q_{\text{保存}}\)を消去して\(V’\)を求めます。
$$ C V’ = 2CV $$
使用した物理公式
- 電気量保存則
- コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
立式した \(C V’ = 2CV\) の両辺を\(C\)で割ります。
$$
\begin{aligned}
V’ &= \frac{2CV}{C} \\[2.0ex]
&= 2V
\end{aligned}
$$
スイッチを切ると、コンデンサーは電気を蓄えたまま孤立します。このときの電気の量は(3)で求めた\(2CV\)です。
次に、間に挟まっていた金属板を抜き取ると、コンデンサーの性能(容量)が元の\(C\)にダウンします。
「電気の量 = 性能 × 電圧」の関係は常に成り立ちます。今、電気の量は\(2CV\)のままで、性能が\(C\)に下がったので、その分だけ電圧\(V’\)が上がらないと帳尻が合いません。計算すると、電圧は元の2倍の\(2V\)になります。
最終的な電位差は\(V’=2V\)となりました。孤立したコンデンサーの間隔を広げる(容量を小さくする)と、静電エネルギーが増加し、その分だけ電位差が大きくなるという物理的な性質と一致しており、妥当な結果です。
思考の道筋とポイント
スイッチを開いた後、外部から仕事をして金属板を抜き去ると、その仕事の分だけコンデンサーの静電エネルギーが増加します。このエネルギー変化から最終的な電位差を求めるアプローチです。
よりシンプルなエネルギーの考え方は、(3)の状態(スイッチを開いた直後)と、(4)の状態(金属板を抜き去った後)の静電エネルギーを比較することです。
この設問における重要なポイント
- スイッチを開いた後は電気量\(Q\)が保存される。
- 静電エネルギーの公式 \(U = \displaystyle\frac{Q^2}{2C}\) を使うと、\(Q\)が一定のときのエネルギー変化が見やすい。
具体的な解説と立式
(3)のスイッチを開いた直後の状態を「状態3」、(4)の金属板を抜き去った後の状態を「状態4」とします。
両方の状態で、電気量は \(Q = 2CV\) で保存されています。
状態3の静電エネルギー\(U_3\)は、容量が \(C’ = 2C\)、電気量が \(Q = 2CV\) なので、
$$ U_3 = \frac{Q^2}{2C’} $$
状態4の静電エネルギー\(U_4\)は、容量が \(C\)、電気量が \(Q = 2CV\) なので、
$$ U_4 = \frac{Q^2}{2C} $$
また、状態4における電位差を\(V’\)とすると、静電エネルギーは \(U_4 = \displaystyle\frac{1}{2}C(V’)^2\) とも書けます。
使用した物理公式
- 静電エネルギーの公式: \(U = \displaystyle\frac{Q^2}{2C}\), \(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2\)
- 電気量保存則
まず\(U_3\)と\(U_4\)を\(C, V\)で表します。
$$
\begin{aligned}
U_3 &= \frac{(2CV)^2}{2(2C)} \\[2.0ex]
&= \frac{4C^2V^2}{4C} \\[2.0ex]
&= CV^2
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
U_4 &= \frac{(2CV)^2}{2C} \\[2.0ex]
&= \frac{4C^2V^2}{2C} \\[2.0ex]
&= 2CV^2
\end{aligned}
$$
\(U_4\)の二つの表現を等しいとおいて\(V’\)を求めます。
$$ \frac{1}{2}C(V’)^2 = 2CV^2 $$
この式を\(V’\)について解きます。
$$
\begin{aligned}
(V’)^2 &= 4V^2 \\[2.0ex]
V’ &= 2V
\end{aligned}
$$
ただし、\(V’>0\)より正の平方根をとります。
スイッチを切った後、コンデンサーは電気を蓄えたまま孤立します。このときのエネルギーを計算しておきます。次に、金属板を抜いた後の状態を考えます。電気の量は同じままで性能がダウンするので、エネルギーは増加するはずです。この増えた後のエネルギーも計算します。最後に、この「増えた後のエネルギー」と「電圧」を結びつける公式 \(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2\) を使って、電圧を逆算します。
主たる解法と全く同じ結果 \(V’=2V\) が得られました。この解法は、電気量保存則とエネルギーの公式を組み合わせるもので、計算は少し回りくどくなりますが、コンデンサーの操作に伴うエネルギーの変化を具体的に追うことができるという点で教育的価値があります。金属板を抜き去るという外的な仕事によって、静電エネルギーが\(CV^2\)から\(2CV^2\)へと増加したことが分かります。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 「電圧一定」と「電気量一定」の条件変化
- 核心: この問題の根幹は、スイッチの開閉によってコンデンサーが置かれる状況が劇的に変化し、それに伴って「保存される物理量」が変わることを理解する点にあります。
- 理解のポイント:
- スイッチON(電池接続時): コンデンサーは常に電池という「電圧の供給源」に繋がれているため、極板間の電位差は常に電池の電圧\(V\)に保たれます。このとき、電気容量\(C\)が変化すれば、\(Q=CV\)に従って電気量\(Q\)が変化します(電荷が電池との間で移動する)。
- スイッチOFF(電池切断後): コンデンサーは電気的に孤立した「島」になります。電荷の逃げ場も供給源もないため、極板に蓄えられた電気量\(Q\)が一定に保たれます。このとき、電気容量\(C\)が変化すれば、\(V=Q/C\)に従って電圧\(V\)が変化します。
- 金属板挿入による電気容量の変化
- 核心: 導体である金属板を挿入すると、コンデンサーの電気容量が増加します。この現象を2つの異なるモデルで理解することが重要です。
- 理解のポイント:
- モデルA(実効距離モデル): 厚さ\(x\)の金属板は、電場が存在する空間を\(x\)だけ短くする効果があります。電気容量は間隔に反比例するため、実効的な間隔が\(d-x\)になることで容量が増加すると考えます。
- モデルB(直列合成モデル): 金属板を挟んだ状態を、2つの小さなコンデンサーの直列接続と見なします。この合成容量を計算することでも、全体の容量を求めることができます。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 誘電体の挿入・抜去: 金属板の代わりに誘電体を挿入・抜去する問題。誘電率\(\epsilon_r\)の誘電体を挿入すると、容量は\(\epsilon_r\)倍になります。金属板は\(\epsilon_r \rightarrow \infty\)の極限と考えることもでき、本質は同じです。
- 極板間隔の変化: スイッチを開いた後に、極板間隔を広げたり狭めたりする問題。電気量\(Q\)が一定のまま、容量\(C\)が変化するため、電圧\(V\)や静電エネルギー\(U\)が変化します。
- 複数のコンデンサーとスイッチ: 複数のコンデンサーとスイッチが組み合わさった複雑な回路で、スイッチ操作によって電荷が再分配される問題。「スイッチ操作の前後で、電気的に孤立した部分の電気量の総和は保存される」という「電気量保存則」が鍵となります。
- 初見の問題での着眼点:
- スイッチの状態を最優先で確認: 問題文の各ステップで「スイッチは閉じているか、開いているか?」を最初に確認します。「閉じている \(\rightarrow\) 電圧\(V\)一定」「開いている \(\rightarrow\) 電気量\(Q\)一定」と機械的に判断します。
- コンデンサーの形状変化を把握: 金属板の挿入、誘電体の挿入、極板間隔の変化など、何が起きて電気容量\(C\)がどう変化したのかを把握します。
- エネルギーを問われたら:
- 電圧\(V\)が一定の状況なら \(U=\displaystyle\frac{1}{2}CV^2\) が便利。
- 電気量\(Q\)が一定の状況なら \(U=\displaystyle\frac{Q^2}{2C}\) が便利。
- 変化が見やすく、計算ミスを減らせます。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- スイッチを開いた後の電圧:
- 誤解: スイッチを開いた後も、電圧は\(V\)のままだと勘違いしてしまう。
- 対策: 「スイッチを開く=電池との縁が切れる」とイメージします。電圧を一定に保ってくれる存在がいなくなるので、電圧は変化しうると考えます。代わりに「電荷が閉じ込められる」ので、電気量\(Q\)が保存される、というように思考を切り替える訓練が必要です。
- 金属板挿入の効果の混同:
- 誤解: 金属板を挿入すると、極板間隔が\(\displaystyle\frac{d}{2}\)になると勘違いする(厚さ\(\displaystyle\frac{d}{2}\)の金属板が、間隔\(\displaystyle\frac{d}{2}\)の空気層に置き換わるわけではない)。
- 対策: 金属板は「電場のある空間を食いつぶす」効果だと理解します。元の空間\(d\)から、金属板の厚み\(\displaystyle\frac{d}{2}\)を単純に引き算した \(d-\displaystyle\frac{d}{2} = \displaystyle\frac{d}{2}\) が、電場が存在する実質的な距離になると考えます。
- エネルギーと仕事の関係:
- 誤解: (4)で静電エネルギーが増加(\(CV^2 \rightarrow 2CV^2\))したことについて、エネルギーがどこから来たのか分からず混乱する。
- 対策: このエネルギー増加分は「金属板を抜き去るために外部がした仕事」に等しいです。極板と、静電誘導で現れた金属板表面の電荷との間には引力が働いており、これに逆らって抜き去るために仕事が必要なのです。エネルギー保存則は必ず成り立っていることを意識しましょう。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- (3)での\(Q=C’V\)の選択:
- 選定理由: この時点ではスイッチが閉じているため、「電圧\(V\)が一定」という条件が与えられています。また、金属板挿入によって「容量が\(C’\)に変化した」ことが分かっています。求めるのは電気量\(Q\)なので、これら3つの物理量\(Q, C’, V\)を直接結びつける\(Q=C’V\)を選択するのが最も論理的かつ効率的です。
- 適用根拠: コンデンサーの基本式\(Q=CV\)は、どのようなコンデンサーにも成り立つ定義式です。金属板を挿入して全体の電気容量が\(C’\)になった系も、一つのコンデンサーと見なせるため、この式を適用できます。
- (4)での\(V’=Q/C\)の選択:
- 選定理由: スイッチを開いたことで、「電気量\(Q\)が一定」という条件に切り替わりました。この\(Q\)は(3)で求めた\(2CV\)です。そして、金属板を抜くことで「容量が\(C\)に戻った」という変化が起きています。求めるのは電圧\(V’\)なので、これら3つの物理量\(V’, Q, C\)を結びつける\(V’=Q/C\)を選択するのが最適です。
- 適用根拠: (3)と同様、\(Q=CV\)は普遍的な関係式です。状況が変わっても、その瞬間の\(Q, C, V\)を正しく代入すれば必ず成り立ちます。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 状態の明記: (3)や(4)のように状況が変化する問題では、計算の前に「状態3:スイッチOFF直後、Q=2CV, C’=2C」「状態4:金属板抜去後、Q=2CV(保存), C”=C」のように、各状態での\(Q, C, V\)の情報を整理して書き出すと、使うべき値や式を間違えにくくなります。
- 分数の扱いに注意: (3)の別解のように合成容量を計算する際、\(\displaystyle\frac{1}{C’} = \displaystyle\frac{1}{2C}\) と計算した後、最後に逆数を取るのを忘れて \(C’=\displaystyle\frac{1}{2C}\) としてしまうミスが頻発します。逆数の和を計算した後は、必ず「ひっくり返す」ことを意識しましょう。
- 文字式のまま計算: この問題のように、最終的な答えが文字式で表される場合、途中で数値を代入する必要がないため、計算ミスは起こりにくいです。しかし、\(C’=2C\) のような関係を代入する際に、丁寧に括弧をつけるなど、基本的な式変形のルールを守ることが重要です。例えば、\(Q=C’V\) に \(C’=2C\) を代入するなら \(Q=(2C)V\) と書く癖をつけると、より複雑な式でも間違いが減ります。
385 誘電体の挿入
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
本解説は、模範解答で採用されている解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。
- 提示する別解
- 設問(1)の別解: 電場と電荷密度の関係から直接電気量を求める解法
- 模範解答がコンデンサーの並列接続とみなし合成容量を計算するのに対し、別解ではより基本的な電場と電荷密度の関係から、各部分の電気量を直接計算して足し合わせます。
- 設問(2)の別解: 電場と電束密度を用いて直接電気量を求める解法
- 模範解答がコンデンサーの直列接続とみなし合成容量を計算するのに対し、別解では領域ごとの電場と電位の関係、および電束密度の一様性という基本法則から直接電気量を導出します。
- 設問(1)の別解: 電場と電荷密度の関係から直接電気量を求める解法
- 上記の別解が有益である理由
- 物理的本質の深化: コンデンサーの合成則(並列・直列)が、より根源的な電場、電位、電束密度の関係から導かれるものであることを深く理解できます。
- 思考の柔軟性向上: 「合成」という便利な道具が使えないような、より複雑な配置の問題に対しても、原理原則からアプローチする思考法を養うことができます。
- 解法の多角的検証: 異なる物理的アプローチから同じ結論が導かれることを確認することで、理解の確実性を高め、知識を定着させることができます。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「誘電体を挿入したコンデンサーの電気容量と電気量」です。誘電体の挿入の仕方によって、コンデンサーのどの部分の特性が変化するのかを正しく見抜き、並列接続または直列接続としてモデル化できるかが問われます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 平行平板コンデンサーの電気容量の式: 電気容量\(C\)が、極板の面積\(S\)、極板間距離\(d\)、そして極板間を満たす物質の誘電率\(\varepsilon\)によってどのように決まるか(\(C = \varepsilon \displaystyle\frac{S}{d} = \varepsilon_r \varepsilon_0 \displaystyle\frac{S}{d}\))を理解していること。
- コンデンサーの基本式: 電気量\(Q\)、電気容量\(C\)、電圧\(V\)の間の関係式\(Q=CV\)を正しく使えること。
- コンデンサーの並列接続: 複数のコンデンサーに同じ電圧がかかる接続方法。合成容量は各コンデンサーの電気容量の和になること(\(C_{\text{合成}} = C_1 + C_2 + \dots\))。
- コンデンサーの直列接続: 複数のコンデンサーに同じ電気量が蓄えられる接続方法。合成容量の逆数が、各コンデンサーの電気容量の逆数の和になること(\(\displaystyle\frac{1}{C_{\text{合成}}} = \displaystyle\frac{1}{C_1} + \displaystyle\frac{1}{C_2} + \dots\))。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)では、誘電体の挿入のされ方(横方向の分割)から、2つのコンデンサーの「並列接続」とみなし、合成容量を計算して全体の電気量を求めます。
- (2)では、誘電体と空気層の間に金属板が挿入されていること(縦方向の分割)から、2つのコンデンサーの「直列接続」とみなし、合成容量を計算して全体の電気量を求めます。
問(1)
思考の道筋とポイント
図1の状況をどのように物理的にモデル化するかが最初のステップです。誘電体は極板の右半分にだけ挿入されており、これは面積が半分ずつ異なる2つのコンデンサーが横に並んでいる状態と考えることができます。電池はコンデンサー全体に接続されているため、この2つの仮想的なコンデンサーには、どちらも同じ電圧\(V\)がかかります。これは「並列接続」の定義そのものです。したがって、この系を2つのコンデンサーの並列接続とみなし、合成容量を求める方針を立てます。
この設問における重要なポイント
- 並列接続とみなせる条件は「各部分にかかる電圧が等しい」こと。
- 誘電体を挿入した部分の誘電率は、真空の誘電率\(\varepsilon_0\)の\(\varepsilon_r\)倍、すなわち\(\varepsilon_r \varepsilon_0\)となる。
- 左右それぞれの部分の面積は、元のコンデンサーの面積\(S\)の半分、\(S/2\)である。
具体的な解説と立式
まず、何も挿入されていない元の空気コンデンサーの電気容量\(C\)は、極板面積を\(S\)、極板間距離を\(d\)、真空の誘電率を\(\varepsilon_0\)とすると、次式で与えられます。
$$ C = \varepsilon_0 \frac{S}{d} $$
図1の左半分は、面積が\(S/2\)、極板間距離が\(d\)の空気コンデンサーとみなせます。その電気容量を\(C_{\text{左}}\)とします。
$$ C_{\text{左}} = \varepsilon_0 \frac{S/2}{d} $$
一方、右半分は、面積が\(S/2\)、極板間距離が\(d\)で、比誘電率\(\varepsilon_r\)の誘電体で満たされたコンデンサーとみなせます。その電気容量を\(C_{\text{右}}\)とします。
$$ C_{\text{右}} = \varepsilon_r \varepsilon_0 \frac{S/2}{d} $$
これら2つのコンデンサーは並列に接続されているため、全体の合成容量\(C_1\)は、それぞれの電気容量の和となります。
$$ C_1 = C_{\text{左}} + C_{\text{右}} $$
最終的に求めたい電気量\(Q_1\)は、この合成容量\(C_1\)に電圧\(V\)を掛けることで得られます。
$$ Q_1 = C_1 V $$
使用した物理公式
- コンデンサーの電気容量: \(C = \varepsilon_r \varepsilon_0 \displaystyle\frac{S}{d}\)
- 並列接続の合成容量: \(C_{\text{合成}} = C_1 + C_2\)
- コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
まず、\(C_{\text{左}}\)と\(C_{\text{右}}\)を、元の電気容量\(C\)を用いて表します。
$$
\begin{aligned}
C_{\text{左}} &= \varepsilon_0 \frac{S/2}{d} = \frac{1}{2} \left( \varepsilon_0 \frac{S}{d} \right) = \frac{C}{2} \\[2.0ex]
C_{\text{右}} &= \varepsilon_r \varepsilon_0 \frac{S/2}{d} = \frac{\varepsilon_r}{2} \left( \varepsilon_0 \frac{S}{d} \right) = \frac{\varepsilon_r C}{2}
\end{aligned}
$$
次に、これらの和として合成容量\(C_1\)を計算します。
$$
\begin{aligned}
C_1 &= C_{\text{左}} + C_{\text{右}} \\[2.0ex]
&= \frac{C}{2} + \frac{\varepsilon_r C}{2} \\[2.0ex]
&= \frac{\varepsilon_r+1}{2}C
\end{aligned}
$$
最後に、電気量\(Q_1\)を求めます。
$$
\begin{aligned}
Q_1 &= C_1 V \\[2.0ex]
&= \frac{\varepsilon_r+1}{2}CV
\end{aligned}
$$
コンデンサーの右半分にだけ誘電体を入れるという状況は、性能の異なる2つのコンデンサーを「横に並べて(並列に)」つないだ状態と考えることができます。左側は普通の空気コンデンサー、右側は誘電体が入ったことで性能がアップした(電気をたくさん蓄えられる)コンデンサーです。並列接続の場合、全体の性能(合成容量)は、それぞれのコンデンサーの性能の単純な足し算で求まります。そこで、まず左右それぞれの性能(電気容量)を計算し、それらを足し合わせて全体の性能を求めます。最後に、おなじみの公式 \(Q=CV\) を使って、全体で蓄えられる電気量を計算します。
電気量\(Q_1\)は\(\displaystyle\frac{\varepsilon_r+1}{2}CV\)と表せます。比誘電率\(\varepsilon_r\)は1より大きいので、\(\displaystyle\frac{\varepsilon_r+1}{2} > 1\)となり、元の電気量\(CV\)よりも多くの電荷を蓄えられるようになったことがわかります。これは誘電体を挿入した効果として物理的に妥当です。また、仮に\(\varepsilon_r=1\)(つまり誘電体を入れず空気のまま)とすると、\(Q_1 = \displaystyle\frac{1+1}{2}CV = CV\)となり、元の状態と一致することからも、この式の正しさが確認できます。
思考の道筋とポイント
合成容量という考え方を用いず、より基本的な電磁気学の法則から直接答えを導くアプローチです。コンデンサーの左右どちらの領域にも同じ電圧\(V\)がかかっているため、極板間の電場の強さ\(E\)は左右で等しくなります。一方、極板上に蓄えられる電荷の密度\(\sigma\)は、その場所の材質(誘電率)に依存します。この性質を利用して、左右それぞれの部分に蓄えられる電気量を個別に計算し、それらを合計して全体の電気量を求めます。
この設問における重要なポイント
- 電圧と距離が同じなら、電場の強さ\(E\)は材質によらず一定である (\(E=V/d\))。
- 極板上の電荷密度\(\sigma\)は、電場の強さ\(E\)と、その場所の誘電率\(\varepsilon\)の積で与えられる (\(\sigma = \varepsilon E\))。
- 全体の電気量は、左半分の電気量と右半分の電気量の和である。
具体的な解説と立式
左半分(空気)と右半分(誘電体)の領域では、どちらも極板間の電位差は\(V\)、距離は\(d\)なので、電場の強さ\(E\)は等しくなります。
$$ E = \frac{V}{d} $$
左半分の極板上の電荷密度を\(\sigma_{\text{左}}\)とします。この領域は空気なので、誘電率は\(\varepsilon_0\)です。
$$ \sigma_{\text{左}} = \varepsilon_0 E $$
右半分の極板上の電荷密度を\(\sigma_{\text{右}}\)とします。この領域の誘電率は\(\varepsilon_r \varepsilon_0\)です。
$$ \sigma_{\text{右}} = \varepsilon_r \varepsilon_0 E $$
全体の電気量\(Q_1\)は、それぞれの部分の電気量(電荷密度 × 面積)の和で与えられます。極板の左半分と右半分の面積は、どちらも\(S/2\)です。
$$ Q_1 = \sigma_{\text{左}} \cdot \frac{S}{2} + \sigma_{\text{右}} \cdot \frac{S}{2} $$
使用した物理公式
- 一様な電場と電位差の関係: \(V=Ed\)
- ガウスの法則(コンデンサー極板): \(\sigma = \varepsilon E\)
- 電気量と電荷密度の関係: \(Q = \sigma S\)
まず、\(E = V/d\)を電荷密度の式に代入します。
$$
\begin{aligned}
\sigma_{\text{左}} &= \varepsilon_0 \frac{V}{d} \\[2.0ex]
\sigma_{\text{右}} &= \varepsilon_r \varepsilon_0 \frac{V}{d}
\end{aligned}
$$
次に、これらを\(Q_1\)の式に代入して計算します。
$$
\begin{aligned}
Q_1 &= \left( \varepsilon_0 \frac{V}{d} \right) \frac{S}{2} + \left( \varepsilon_r \varepsilon_0 \frac{V}{d} \right) \frac{S}{2} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2} \left( \varepsilon_0 \frac{S}{d} \right) V + \frac{\varepsilon_r}{2} \left( \varepsilon_0 \frac{S}{d} \right) V \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2}CV + \frac{\varepsilon_r}{2}CV \\[2.0ex]
&= \frac{\varepsilon_r+1}{2}CV
\end{aligned}
$$
コンデンサーに蓄えられる電気量は、極板にどれだけプラスとマイナスの電気が密集して集まるか(電荷密度)で決まります。この電気の密集具合は、その場所の「電場の強さ」と「材質(電気の通しにくさを示す誘電率)」によって変わります。この問題では、左右で材質が違うので、それぞれの場所の電気の密集具合を計算します。そして、それぞれの密集具合に面積を掛けて電気量を求め、最後にそれらを足し合わせる、というより根本的な方法で全体の電気量を計算しています。
主たる解法と全く同じ結果\(\displaystyle\frac{\varepsilon_r+1}{2}CV\)が得られました。このことは、コンデンサーの「並列接続の合成則」が、より基本的な電場と電荷の関係から導き出される普遍的な法則であることを裏付けています。
問(2)
思考の道筋とポイント
図2では、コンデンサーが上下に分割され、その間に金属板が挟まれています。これは、2つのコンデンサーが「縦に(直列に)」接続された状態とモデル化できます。上半分は空気の層、下半分は誘電体の層です。直列に接続されたコンデンサーには、同じ量の電気が蓄えられます。この性質を利用して、系全体を2つのコンデンサーの直列接続とみなし、合成容量を計算する方針を立てます。
この設問における重要なポイント
- 直列接続とみなせる条件は「各部分に蓄えられる電気量が等しい」こと。
- 上半分は距離\(d/2\)の空気コンデンサー、下半分は距離\(d/2\)の誘電体コンデンサーとみなす。
- 面積はどちらも元のコンデンサーと同じ\(S\)である。
- 中間に挿入された「厚さの無視できる金属板」は、2つのコンデンサーを接続する中間極板の役割を果たす。
具体的な解説と立式
元の空気コンデンサーの電気容量\(C\)は、\(C = \varepsilon_0 \displaystyle\frac{S}{d}\)です。
図2の上半分は、面積が\(S\)、極板間距離が\(d/2\)の空気コンデンサーとみなせます。その電気容量を\(C_{\text{上}}\)とします。
$$ C_{\text{上}} = \varepsilon_0 \frac{S}{d/2} $$
下半分は、面積が\(S\)、極板間距離が\(d/2\)で、比誘電率\(\varepsilon_r\)の誘電体で満たされたコンデンサーとみなせます。その電気容量を\(C_{\text{下}}\)とします。
$$ C_{\text{下}} = \varepsilon_r \varepsilon_0 \frac{S}{d/2} $$
これら2つのコンデンサーは直列に接続されているため、全体の合成容量\(C_2\)は、それぞれの電気容量の逆数の和の、さらに逆数として求められます。
$$ \frac{1}{C_2} = \frac{1}{C_{\text{上}}} + \frac{1}{C_{\text{下}}} $$
最終的に求めたい電気量\(Q_2\)は、この合成容量\(C_2\)に電圧\(V\)を掛けることで得られます。
$$ Q_2 = C_2 V $$
使用した物理公式
- コンデンサーの電気容量: \(C = \varepsilon_r \varepsilon_0 \displaystyle\frac{S}{d}\)
- 直列接続の合成容量: \(\displaystyle\frac{1}{C_{\text{合成}}} = \displaystyle\frac{1}{C_1} + \displaystyle\frac{1}{C_2}\)
- コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
まず、\(C_{\text{上}}\)と\(C_{\text{下}}\)を、元の電気容量\(C\)を用いて表します。
$$
\begin{aligned}
C_{\text{上}} &= \varepsilon_0 \frac{S}{d/2} = 2 \left( \varepsilon_0 \frac{S}{d} \right) = 2C \\[2.0ex]
C_{\text{下}} &= \varepsilon_r \varepsilon_0 \frac{S}{d/2} = 2\varepsilon_r \left( \varepsilon_0 \frac{S}{d} \right) = 2\varepsilon_r C
\end{aligned}
$$
次に、これらの逆数の和から合成容量\(C_2\)を計算します。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{C_2} &= \frac{1}{C_{\text{上}}} + \frac{1}{C_{\text{下}}} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2C} + \frac{1}{2\varepsilon_r C} \\[2.0ex]
&= \frac{\varepsilon_r}{2\varepsilon_r C} + \frac{1}{2\varepsilon_r C} \\[2.0ex]
&= \frac{\varepsilon_r+1}{2\varepsilon_r C}
\end{aligned}
$$
この逆数をとって\(C_2\)を求めます。
$$ C_2 = \frac{2\varepsilon_r C}{\varepsilon_r+1} $$
最後に、電気量\(Q_2\)を求めます。
$$
\begin{aligned}
Q_2 &= C_2 V \\[2.0ex]
&= \frac{2\varepsilon_r}{\varepsilon_r+1}CV
\end{aligned}
$$
今度は、コンデンサーの間に薄い金属板を挟んで、上下に分割したような状態です。これは、2つのコンデンサーを「縦に(直列に)」つないだのと同じことになります。上は空気のコンデンサー、下は誘電体入りの高性能コンデンサーです。直列接続の場合、全体の性能(合成容量)を求めるには、少し面倒な「逆数の足し算」という計算をします。それぞれの性能を計算して公式にあてはめて全体の性能を求め、最後に \(Q=CV\) で電気量を計算します。
電気量\(Q_2\)は\(\displaystyle\frac{2\varepsilon_r}{\varepsilon_r+1}CV\)と表せます。仮に\(\varepsilon_r=1\)(誘電体を入れず空気のまま)とすると、\(Q_2 = \displaystyle\frac{2 \cdot 1}{1+1}CV = CV\)となり、元の状態と一致します。また、問題文では中間に金属板を挿入しましたが、実はこの金属板がなくても、空気と誘電体の境界面が等電位面(電圧が一定の面)となるため、直列接続とみなすことができ、結果は変わりません。
思考の道筋とポイント
合成容量の考え方を使わず、電場と電位の関係から直接解くアプローチです。上下の領域では、材質(誘電率)が異なるため電場の強さは異なります。しかし、極板から出て反対側の極板に向かう電気力線の「束」の密度、すなわち「電束密度\(D\)」は、上下の領域で一定に保たれます。この電束密度が一定であるという条件と、上下の電位差の和が全体の電圧\(V\)に等しいという条件を連立させることで、全体の電気量を求めます。
この設問における重要なポイント
- 異なる物質が直列に(縦に)配置されている場合、電束密度\(D\)が一定となる。
- 電束密度\(D\)は、極板の電荷密度\(\sigma\)に等しい (\(D=\sigma\))。
- 全体の電位差\(V\)は、各領域の電位差の和に等しい (\(V = V_{\text{上}} + V_{\text{下}}\))。
具体的な解説と立式
コンデンサーに蓄えられた電気量を\(Q_2\)とすると、極板の電荷密度\(\sigma\)は\(\sigma = Q_2/S\)です。ガウスの法則より、極板間のどの場所でも電束密度の大きさ\(D\)は、この電荷密度\(\sigma\)に等しくなります。
$$ D = \sigma = \frac{Q_2}{S} $$
上半分(空気)の電場を\(E_{\text{上}}\)、下半分(誘電体)の電場を\(E_{\text{下}}\)とします。電束密度\(D\)と電場\(E\)の関係は、\(D=\varepsilon E\)で与えられます。
$$ D = \varepsilon_0 E_{\text{上}} \quad \cdots ① $$
$$ D = \varepsilon_r \varepsilon_0 E_{\text{下}} \quad \cdots ② $$
一方、全体の電位差\(V\)は、各部分の電位差(電場 × 距離)の和です。各層の厚みは\(d/2\)なので、
$$ V = E_{\text{上}} \cdot \frac{d}{2} + E_{\text{下}} \cdot \frac{d}{2} \quad \cdots ③ $$
これらの式を連立させ、未知数である\(E_{\text{上}}\), \(E_{\text{下}}\), \(D\)を消去して、\(Q_2\)を\(C, V, \varepsilon_r\)で表します。
使用した物理公式
- 電束密度と電荷密度の関係: \(D=\sigma\)
- 電束密度と電場の関係: \(D = \varepsilon E\)
- 一様な電場と電位差の関係: \(V=Ed\)
まず、①式と②式から、\(E_{\text{上}}\)と\(E_{\text{下}}\)を\(D\)を用いて表します。
$$ E_{\text{上}} = \frac{D}{\varepsilon_0}, \quad E_{\text{下}} = \frac{D}{\varepsilon_r \varepsilon_0} $$
次に、これらを③式に代入します。
$$
\begin{aligned}
V &= \left( \frac{D}{\varepsilon_0} \right) \frac{d}{2} + \left( \frac{D}{\varepsilon_r \varepsilon_0} \right) \frac{d}{2} \\[2.0ex]
&= \frac{D d}{2 \varepsilon_0} \left( 1 + \frac{1}{\varepsilon_r} \right) \\[2.0ex]
&= \frac{D d}{2 \varepsilon_0} \left( \frac{\varepsilon_r+1}{\varepsilon_r} \right)
\end{aligned}
$$
この式を\(D\)について解きます。
$$ D = V \cdot \frac{2 \varepsilon_0 \varepsilon_r}{d(\varepsilon_r+1)} $$
最後に、\(Q_2 = D \cdot S\)の関係を用いて\(Q_2\)を求めます。
$$
\begin{aligned}
Q_2 &= \left( V \cdot \frac{2 \varepsilon_0 \varepsilon_r}{d(\varepsilon_r+1)} \right) \cdot S \\[2.0ex]
&= \frac{2\varepsilon_r}{\varepsilon_r+1} \left( \varepsilon_0 \frac{S}{d} \right) V \\[2.0ex]
&= \frac{2\varepsilon_r}{\varepsilon_r+1} CV
\end{aligned}
$$
上下の領域では、電気の通りやすさ(誘電率)が違うため、電場の強さも異なります。しかし、物理学には「電束密度」という便利な量があり、これは上下の領域で共通になります。これは、極板から出た電気力線の「束」のようなもので、途中で増えたり減ったりしない、とイメージしてください。この「電束密度が同じ」という条件と、「上下の電圧を足し合わせると全体の電圧\(V\)になる」という条件を使って連立方程式を解くことで、合成容量の公式を知らなくても、直接全体の電気量を求めることができます。
主たる解法と全く同じ結果\(\displaystyle\frac{2\varepsilon_r}{\varepsilon_r+1}CV\)が得られました。このことは、コンデンサーの「直列接続の合成則」が、電場と電束密度の連続性という、より基本的で普遍的な物理法則に基づいていることを明確に示しています。
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最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 誘電体の挿入方法とコンデンサーの合成モデルの対応付け:
- 核心: この問題の根幹は、誘電体の挿入のされ方という物理的な状況を、電気回路における「並列接続」または「直列接続」という適切なモデルに正しく対応付けられるかどうかにあります。
- 理解のポイント:
- 並列接続 (設問1): 電圧が共通になるように接続されている状態。物理的には、極板に垂直な面で物質が切り替わる場合(横に分割)がこれに相当します。全体の電気量は各部分の電気量の和になります。
- 直列接続 (設問2): 電気量が共通になるように接続されている状態。物理的には、極板に平行な面で物質が切り替わる場合(縦に分割)がこれに相当します。全体の電圧は各部分の電圧の和になります。
- 電気容量の基本式の応用:
- 核心: コンデンサーの電気容量を決定する3要素(誘電率\(\varepsilon\)、極板面積\(S\)、極板間距離\(d\))が、状況に応じてどのように変化するかを正確に把握し、\(C = \varepsilon \displaystyle\frac{S}{d}\)の式に適用することが重要です。
- 理解のポイント:
- 設問(1)では、面積\(S\)が\(S/2\)に変化します。
- 設問(2)では、距離\(d\)が\(d/2\)に変化します。
- 誘電体が入った部分では、誘電率が\(\varepsilon_0\)から\(\varepsilon_r \varepsilon_0\)に変化します。これらの変化をすべて考慮して、各部分の電気容量を計算する必要があります。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 電池を外してから誘電体を挿入する問題: この場合、保存されるのは電圧\(V\)ではなく、初期に蓄えられた電気量\(Q_0=CV\)です。誘電体を挿入した後の合成容量を\(C_{\text{合成}}\)とすると、極板間の電圧は\(V’ = Q_0 / C_{\text{合成}}\)に変化します。
- コンデンサーに蓄えられるエネルギーを問う問題: エネルギーの公式\(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2 = \displaystyle\frac{Q^2}{2C}\)を使います。電池に接続されたままなら\(V\)が一定なので\(U = \displaystyle\frac{1}{2}C_{\text{合成}}V^2\)が、電池を外した後なら\(Q\)が一定なので\(U = \displaystyle\frac{Q_0^2}{2C_{\text{合成}}}\)が計算しやすいです。
- 複合的な挿入問題: 例えば、極板間を4分割し、市松模様に誘電体を挿入するような問題。この場合は、まず縦方向の2つの部分を「直列接続」とみなして合成し、次にその結果できた2つのブロックを「並列接続」とみなして合成する、といった段階的なアプローチが必要になります。
- 初見の問題での着眼点:
- 接続状態の確認: まず、コンデンサーが電池に「接続されたまま」か「外された後」かを確認します。これにより、電圧\(V\)が一定なのか、電気量\(Q\)が一定なのかという、最も重要な制約条件が決まります。
- 分割方向の確認: 誘電体の挿入によって、コンデンサーが「横に(並列に)」分割されているか、「縦に(直列に)」分割されているかを図から読み取ります。
- 幾何学的変化の把握: 各部分の「面積\(S\)」と「距離\(d\)」が、元の状態からどう変化したかを正確に把握します。
- 材質の変化の把握: 各部分が「空気(または真空)」なのか「誘電体」なのかを確認し、誘電率を正しく設定します。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 並列と直列の合成公式の混同:
- 誤解: 並列接続なのに逆数の和を計算してしまったり、その逆をしてしまう。特に直列接続の計算で、逆数の和を求めた後、最後にそれを逆数に戻すのを忘れるミスが非常に多いです。
- 対策: 「並列は単純な和、直列は逆数の和」と明確に区別して覚えます。直列接続の計算では、\(\displaystyle\frac{1}{C_{\text{合成}}} = \dots\)と書いた後、必ず最後に「よって \(C_{\text{合成}} = \dots\)」と逆数に戻す一手間を意識的に行う癖をつけましょう。
- 元の容量\(C\)を使った計算でのミス:
- 誤解: (1)で\(C_{\text{左}} = C/2\)、\(C_{\text{右}} = C/2\)としてしまうなど、誘電率\(\varepsilon_r\)の影響を忘れてしまう。
- 対策: 各部分の容量を計算するときは、必ず基本式\(C = \varepsilon_r \varepsilon_0 S/d\)に立ち返り、変化した\(S\), \(d\), \(\varepsilon_r\)をすべて代入して計算する習慣をつけましょう。元の\(C\)を使うのは、その後の式整理の段階で行うのが安全です。
- 金属板の役割の誤解:
- 誤解: (2)で金属板が挿入されていることで、何か特別な現象が起きるのではないかと深読みしすぎて混乱する。
- 対策: コンデンサー間に挿入された導体(金属板)は、基本的には「等電位面」を作り出し、そこを境にコンデンサーを分割する役割を果たします。今回の場合は、直列接続の中間極板として機能しているとシンプルに捉えれば十分です。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 並列接続の合成則 \(C_{\text{合成}} = C_1 + C_2\):
- 選定理由: (1)では、左右の領域で極板間の電位差が共通して\(V\)となります。これは並列接続の定義そのものです。
- 適用根拠: 全体に蓄えられる電気量\(Q_1\)は、左右の電気量の和\(Q_{\text{左}}+Q_{\text{右}}\)です。\(Q_1=C_1V\), \(Q_{\text{左}}=C_{\text{左}}V\), \(Q_{\text{右}}=C_{\text{右}}V\)を代入すると、\(C_1V = C_{\text{左}}V + C_{\text{右}}V\)。両辺を\(V\)で割ることで、\(C_1 = C_{\text{左}} + C_{\text{右}}\)という関係が必然的に導かれます。
- 直列接続の合成則 \(\frac{1}{C_{\text{合成}}} = \frac{1}{C_1} + \frac{1}{C_2}\):
- 選定理由: (2)では、上部コンデンサーの下側極板と下部コンデンサーの上側極板(中間の金属板)は電気的に孤立しています。そのため、電源から供給された電荷\(+Q_2\)が上部コンデンサーの上側極板に蓄えられると、静電誘導により中間極板には\(-Q_2\)と\(+Q_2\)が現れ、結果的に上下のコンデンサーに蓄えられる電気量は等しくなります。これは直列接続の定義です。
- 適用根拠: 全体の電圧\(V\)は、上下の電圧の和\(V_{\text{上}}+V_{\text{下}}\)です。\(V=Q_2/C_2\), \(V_{\text{上}}=Q_2/C_{\text{上}}\), \(V_{\text{下}}=Q_2/C_{\text{下}}\)を代入すると、\(\displaystyle\frac{Q_2}{C_2} = \displaystyle\frac{Q_2}{C_{\text{上}}} + \displaystyle\frac{Q_2}{C_{\text{下}}}\)。両辺を\(Q_2\)で割ることで、\(\displaystyle\frac{1}{C_2} = \displaystyle\frac{1}{C_{\text{上}}} + \displaystyle\frac{1}{C_{\text{下}}}\)が導かれます。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 分数の整理を丁寧に行う: (2)の逆数の和の計算 \(\displaystyle\frac{1}{2C} + \displaystyle\frac{1}{2\varepsilon_r C}\) では、焦って計算せず、まず分母を\(2\varepsilon_r C\)にそろえる(通分する)ことから始めます。\(\displaystyle\frac{\varepsilon_r}{2\varepsilon_r C} + \displaystyle\frac{1}{2\varepsilon_r C} = \displaystyle\frac{\varepsilon_r+1}{2\varepsilon_r C}\)。この一手間がミスを防ぎます。
- 「和分の積」で検算する: 2つのコンデンサーの直列接続の場合、合成容量は\(C_{\text{合成}} = \displaystyle\frac{C_1 C_2}{C_1+C_2}\)という「和分の積」の形で書けることを覚えておくと、検算に非常に便利です。(2)で適用すると、\(C_2 = \displaystyle\frac{(2C)(2\varepsilon_r C)}{2C+2\varepsilon_r C} = \displaystyle\frac{4\varepsilon_r C^2}{2C(1+\varepsilon_r)} = \displaystyle\frac{2\varepsilon_r C}{1+\varepsilon_r}\)となり、逆数計算の結果と一致することが確認できます。
- 極端な場合を代入してチェックする: 計算結果が出たら、\(\varepsilon_r=1\)(誘電体がない場合)を代入してみましょう。(1)では\(Q_1 = \displaystyle\frac{1+1}{2}CV = CV\)、(2)では\(Q_2 = \displaystyle\frac{2 \cdot 1}{1+1}CV = CV\)となり、どちらも元のコンデンサーの電気量と一致します。このような簡単なチェックで、大きな間違いに気づくことができます。
386 コンデンサーの接続
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
本解説は、模範解答で採用されている解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。
- 提示する別解
- 設問(2)の別解: 電荷の移動量に着目する解法
- 模範解答が電気量保存則を用いて、最終状態の電圧を直接計算するのに対し、別解では\(C_2\)から\(C_1\)へ移動した電荷量を未知数として設定し、最終的に両者の電圧が等しくなるという条件から方程式を立てて解きます。
- 設問(2)の別解: 電荷の移動量に着目する解法
- 上記の別解が有益である理由
- 物理的プロセスの視覚化: 「電荷が移動して、最終的に電位が等しくなる」という物理的なプロセスを、数式で段階的に追跡することができます。これにより、電気量保存則が成り立つ背景をより深く理解できます。
- 思考の柔軟性向上: 「保存則で一気に解く」方法と、「変化のプロセスを追って解く」方法の両方を経験することで、問題に応じて最適なアプローチを選択する能力が養われます。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「コンデンサーの接続の切りかえと電荷の再分配」です。スイッチの操作によって回路の接続状態が変化し、それに伴ってコンデンサー間で電荷が移動する現象を、電気量保存則を用いて正しく追跡できるかが問われます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- コンデンサーの基本式: 電気量\(Q\)、電気容量\(C\)、電圧\(V\)の間の関係式\(Q=CV\)を理解し、使いこなせること。
- 電気量保存則: 回路の一部が電気的に孤立している場合、その部分の電荷の総和は変化しないという法則。この問題では、スイッチをBに切りかえた後の\(C_1\)と\(C_2\)からなる閉回路がこれに該当します。
- コンデンサーの並列接続: スイッチをBに切りかえたとき、2つのコンデンサーは並列接続とみなせます。最終的に両者の極板間電圧は等しくなり、合成容量は\(C=C_1+C_2\)となります。
- 単位の扱い: 電気容量の単位マイクロファラド(\(\mu\text{F}\))を、計算の際にファラド(\(\text{F}\))に正しく変換(\(1\mu\text{F} = 10^{-6}\text{F}\))できること。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)では、まず\(C_2\)が電源に接続された状態なので、基本公式\(Q=CV\)を用いて蓄えられる電気量を計算します。
- (2)では、スイッチをBに切りかえることで、\(C_1\)と\(C_2\)が並列接続されます。このとき、(1)で蓄えられた電荷\(Q_2\)が、2つのコンデンサーに再分配されます。電気量保存則を用いて、再分配後の電圧を求めます。
- (3)では、(2)の状態から再びスイッチをA→Bと操作します。(2)の時点で\(C_1\)に蓄えられていた電荷はそのままに、\(C_2\)が再び満充電されます。その後、スイッチをBに倒したときの総電荷を考え、(2)と同様に電気量保存則を適用して最終的な電圧を求めます。
問(1)
思考の道筋とポイント
この設問は、コンデンサーの充電に関する最も基本的な計算です。スイッチSをA側に倒すと、コンデンサー\(C_2\)が電圧\(E\)の電源に直接接続されます。充電が完了すると、\(C_2\)の両端の電圧は電源電圧\(E\)に等しくなります。したがって、コンデンサーの基本公式\(Q=CV\)を用いて、蓄えられる電気量を計算します。
この設問における重要なポイント
- 充電完了時、コンデンサーの電圧は電源電圧に等しくなる。
- 電気容量の単位\(\mu\text{F}\)を\(\text{F}\)に変換する(\(\times 10^{-6}\))。
具体的な解説と立式
コンデンサー\(C_2\)に蓄えられる電気量を\(Q_2\)、電気容量を\(C_2\)、かかる電圧を\(E\)とすると、コンデンサーの基本公式は以下のようになります。
$$ Q_2 = C_2 E $$
問題で与えられている値は、\(C_2 = 8.0 \, \mu\text{F} = 8.0 \times 10^{-6} \, \text{F}\)、\(E = 3.0 \times 10^2 \, \text{V}\)です。
使用した物理公式
- コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
与えられた値を公式に代入して\(Q_2\)を計算します。
$$
\begin{aligned}
Q_2 &= C_2 E \\[2.0ex]
&= (8.0 \times 10^{-6}) \times (3.0 \times 10^2) \\[2.0ex]
&= 24 \times 10^{-4} \\[2.0ex]
&= 2.4 \times 10^{-3} \, [\text{C}]
\end{aligned}
$$
まず、スイッチをAに入れて、コンデンサー\(C_2\)を電池につなぎ、充電します。コンデンサーにどれくらいの電気がたまるかは、コンデンサーの性能(電気容量\(C_2\))と電池のパワー(電圧\(E\))で決まります。公式\(Q=CV\)に、問題文の数値をそのまま入れて掛け算するだけの、基本的な計算です。
\(C_2\)に蓄えられる電気量は\(2.4 \times 10^{-3} \, \text{C}\)となります。有効数字は、与えられた数値(8.0, 3.0)が2桁なので、2桁で答えるのが適切です。
問(2)
思考の道筋とポイント
スイッチSをBに切りかえると、電源から切り離され、充電された\(C_2\)と空の\(C_1\)が接続されます。このとき、\(C_1\)と\(C_2\)の上側極板どうし、下側極板どうしが接続されるため、これは並列接続となります。
この\(C_1\)と\(C_2\)からなる部分は、回路の他の部分から電気的に孤立しています。したがって、この部分の電荷の総量は保存されます。初めに電荷を持っていたのは\(C_2\)だけなので、その電荷\(Q_2\)が、最終的に\(C_1\)と\(C_2\)に再分配されます。
並列接続なので、最終状態では\(C_1\)と\(C_2\)の電圧は等しくなります。この最終的な電圧を\(V_1\)とすると、合成コンデンサーに総電荷\(Q_2\)が蓄えられていると考えることができます。
この設問における重要なポイント
- スイッチをBに切りかえると、\(C_1\)と\(C_2\)は並列接続になる。
- \(C_1\)と\(C_2\)からなる孤立部分では、電気量保存則が成り立つ。
- 並列接続の合成容量は\(C = C_1 + C_2\)。
具体的な解説と立式
スイッチをBに切りかえた後の回路を考えます。\(C_1\)と\(C_2\)は並列接続とみなせるので、その合成容量を\(C_{\text{合成1}}\)とすると、
$$ C_{\text{合成1}} = C_1 + C_2 $$
この並列コンデンサーに蓄えられている電気量の総和は、スイッチを切りかえる前に\(C_2\)が蓄えていた電気量\(Q_2\)に等しくなります(電気量保存則)。
再分配後の共通の電圧を\(V_1\)とすると、合成コンデンサー全体でみれば、基本公式\(Q=CV\)が成り立ちます。
$$ Q_2 = C_{\text{合成1}} V_1 $$
この式を\(V_1\)について解くことで、求める電圧が得られます。
使用した物理公式
- コンデンサーの並列接続の合成容量: \(C_{\text{合成}} = C_1 + C_2\)
- 電気量保存則
- コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
まず、合成容量\(C_{\text{合成1}}\)を計算します。
$$
\begin{aligned}
C_{\text{合成1}} &= C_1 + C_2 \\[2.0ex]
&= 4.0 \, \mu\text{F} + 8.0 \, \mu\text{F} \\[2.0ex]
&= 12.0 \, \mu\text{F} \\[2.0ex]
&= 12.0 \times 10^{-6} \, \text{F}
\end{aligned}
$$
次に、\(Q_2 = C_{\text{合成1}} V_1\)の式を\(V_1\)について解き、値を代入します。\(Q_2 = 2.4 \times 10^{-3} \, \text{C}\)です。
$$
\begin{aligned}
V_1 &= \frac{Q_2}{C_{\text{合成1}}} \\[2.0ex]
&= \frac{2.4 \times 10^{-3}}{12.0 \times 10^{-6}} \\[2.0ex]
&= \frac{2.4}{12.0} \times 10^3 \\[2.0ex]
&= 0.2 \times 10^3 \\[2.0ex]
&= 2.0 \times 10^2 \, [\text{V}]
\end{aligned}
$$
(1)で充電した\(C_2\)を、今度は空っぽの\(C_1\)につなぎます。すると、\(C_2\)にたまっていた電気が\(C_1\)に流れ込み、2つのコンデンサーで電気を分け合うことになります。このとき、2つのコンデンサーを合体させた一つの大きなコンデンサー(合成コンデンサー)と考えると分かりやすいです。全体の電気の量は(1)で計算した\(Q_2\)のまま変わらないので(電気量保存則)、この全体の電気量を、合体後の大きなコンデンサーの性能(合成容量)で割ってあげれば、最終的な電圧が求まります。
\(C_1\)の両端の電圧\(V_1\)は\(2.0 \times 10^2 \, \text{V}\)となります。これは\(C_2\)の電圧でもあります。元の電圧\(3.0 \times 10^2 \, \text{V}\)より低くなっており、電荷がより大きな容量の系に広がった結果として妥当です。
思考の道筋とポイント
電気量保存則を合成容量と組み合わせて一気に解くのではなく、電荷の移動という物理プロセスを直接追跡するアプローチです。スイッチをBに切りかえると、\(C_2\)から\(C_1\)へ電荷が移動します。この移動した電荷量を\(\Delta Q\)とします。移動後の\(C_1\)と\(C_2\)の電荷はそれぞれ変化しますが、最終的に両者の電圧が等しくなるという条件から方程式を立てて\(\Delta Q\)を求め、最終的な電圧を計算します。
この設問における重要なポイント
- \(C_2\)から\(C_1\)へ電荷が移動する。
- 移動後の各コンデンサーの電荷は、\(Q’_{1} = \Delta Q\)、\(Q’_{2} = Q_2 – \Delta Q\)。
- 最終状態では、両者の電圧が等しくなる: \(V_1 = \displaystyle\frac{Q’_{1}}{C_1} = \displaystyle\frac{Q’_{2}}{C_2}\)。
具体的な解説と立式
スイッチをBに切りかえた後、\(C_2\)から\(C_1\)へ移動する電気量を\(\Delta Q\)とします。
移動後の\(C_1\)に蓄えられる電気量を\(Q’_{1}\)、\(C_2\)に残る電気量を\(Q’_{2}\)とすると、
$$ Q’_{1} = \Delta Q $$
$$ Q’_{2} = Q_2 – \Delta Q $$
ここで\(Q_2\)は(1)で求めた\(2.4 \times 10^{-3} \, \text{C}\)です。
電荷の移動が完了すると、両コンデンサーの電圧は等しくなります。この電圧を\(V_1\)とすると、
$$ V_1 = \frac{Q’_{1}}{C_1} \quad \cdots ① $$
$$ V_1 = \frac{\Delta Q}{C_1} $$
また、
$$ V_1 = \frac{Q’_{2}}{C_2} \quad \cdots ② $$
$$ V_1 = \frac{Q_2 – \Delta Q}{C_2} $$
①と②の右辺(\(\Delta Q\)を含む表現)を等しいとおいて、\(\Delta Q\)についての方程式を立てます。
$$ \frac{\Delta Q}{C_1} = \frac{Q_2 – \Delta Q}{C_2} $$
使用した物理公式
- コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
- 電荷移動後の電圧平衡条件
まず、\(\Delta Q\)を求める方程式を解きます。
$$
\begin{aligned}
\frac{\Delta Q}{C_1} &= \frac{Q_2 – \Delta Q}{C_2} \\[2.0ex]
C_2 \Delta Q &= C_1 (Q_2 – \Delta Q) \\[2.0ex]
C_2 \Delta Q &= C_1 Q_2 – C_1 \Delta Q \\[2.0ex]
(C_1 + C_2) \Delta Q &= C_1 Q_2 \\[2.0ex]
\Delta Q &= \frac{C_1}{C_1+C_2} Q_2
\end{aligned}
$$
値を代入して\(\Delta Q\)を計算します。
$$
\begin{aligned}
\Delta Q &= \frac{4.0 \times 10^{-6}}{4.0 \times 10^{-6} + 8.0 \times 10^{-6}} \times (2.4 \times 10^{-3}) \\[2.0ex]
&= \frac{4.0 \times 10^{-6}}{12.0 \times 10^{-6}} \times (2.4 \times 10^{-3}) \\[2.0ex]
&= \frac{4.0}{12.0} \times (2.4 \times 10^{-3}) \\[2.0ex]
&= \frac{1}{3} \times (2.4 \times 10^{-3}) \\[2.0ex]
&= 0.8 \times 10^{-3} \, [\text{C}]
\end{aligned}
$$
この\(\Delta Q\)が\(Q’_{1}\)に等しいので、①式を用いて\(V_1\)を計算します。
$$
\begin{aligned}
V_1 &= \frac{\Delta Q}{C_1} \\[2.0ex]
&= \frac{0.8 \times 10^{-3}}{4.0 \times 10^{-6}} \\[2.0ex]
&= \frac{0.8}{4.0} \times 10^3 \\[2.0ex]
&= 0.2 \times 10^3 \\[2.0ex]
&= 2.0 \times 10^2 \, [\text{V}]
\end{aligned}
$$
(1)で満タンになった水槽\(C_2\)と、空の水槽\(C_1\)をパイプでつなぐイメージです。水は\(C_2\)から\(C_1\)に流れ込み、最終的に両方の水面の高さ(電圧)が同じになります。この別解では、「どれくらいの量の水(電荷)が移動したか」をまず計算します。そして、移動後の\(C_1\)に入っている水の量と\(C_1\)の大きさ(容量)から、最終的な水面の高さを求める、という手順を踏んでいます。
主たる解法と全く同じ結果\(V_1 = 2.0 \times 10^2 \, \text{V}\)が得られました。このアプローチは、電荷が容量の比で分配されること(\(Q’_{1}:Q’_{2} = C_1:C_2\))を間接的に示しており、物理的な描像をより明確に捉えることができます。
問(3)
思考の道筋とポイント
この設問は、(2)までの操作を繰り返す問題です。まず、(2)の最終状態を正確に把握することが重要です。このとき、\(C_1\)には電圧\(V_1\)がかかり、ある電荷\(Q’_1\)が蓄えられています。
次に、スイッチをAに切りかえます。このとき、\(C_1\)は回路から切り離されるので、その電荷\(Q’_1\)はそのまま保存されます。一方、\(C_2\)は再び電源に接続され、(1)と同じように満充電され、電荷\(Q_2\)を蓄えます。
最後に、再びスイッチをBに倒します。すると、電荷\(Q’_1\)を蓄えた\(C_1\)と、電荷\(Q_2\)を蓄えた\(C_2\)が並列に接続されます。このときの孤立系の総電荷は\(Q’_1 + Q_2\)となります。この総電荷が、合成容量\(C_{\text{合成1}}\)に蓄えられると考え、(2)と同様のアプローチで最終的な電圧\(V_2\)を求めます。
この設問における重要なポイント
- 操作の各段階で、どのコンデンサーにどれだけの電荷が蓄えられているかを正確に追跡する。
- スイッチAのとき、\(C_1\)の電荷は保存され、\(C_2\)は再充電される。
- スイッチBのとき、孤立系の総電荷は\(Q’_1 + Q_2\)となる。
具体的な解説と立式
まず、(2)の最終状態において\(C_1\)に蓄えられている電気量\(Q’_1\)を計算します。このときの電圧は\(V_1 = 2.0 \times 10^2 \, \text{V}\)でした。
$$ Q’_1 = C_1 V_1 $$
次に、スイッチをAに切りかえると、\(C_1\)の電荷\(Q’_1\)は保存されます。一方、\(C_2\)は再び充電され、(1)で求めた電荷\(Q_2 = 2.4 \times 10^{-3} \, \text{C}\)を蓄えます。
再びスイッチをBに倒すと、\(C_1\)と\(C_2\)が並列接続されます。このときの孤立系の総電荷を\(Q_{\text{総}}\)とすると、
$$ Q_{\text{総}} = Q’_1 + Q_2 $$
この総電荷が、合成容量\(C_{\text{合成1}} = C_1 + C_2\)に蓄えられ、最終的な電圧が\(V_2\)になると考えます。
$$ Q_{\text{総}} = C_{\text{合成1}} V_2 $$
この式を\(V_2\)について解きます。
使用した物理公式
- コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
- 電気量保存則
- コンデンサーの並列接続の合成容量: \(C_{\text{合成}} = C_1 + C_2\)
まず、\(Q’_1\)を計算します。
$$
\begin{aligned}
Q’_1 &= C_1 V_1 \\[2.0ex]
&= (4.0 \times 10^{-6}) \times (2.0 \times 10^2) \\[2.0ex]
&= 8.0 \times 10^{-4} \, [\text{C}]
\end{aligned}
$$
次に、総電荷\(Q_{\text{総}}\)を計算します。
$$
\begin{aligned}
Q_{\text{総}} &= Q’_1 + Q_2 \\[2.0ex]
&= (8.0 \times 10^{-4}) + (2.4 \times 10^{-3}) \\[2.0ex]
&= (0.8 \times 10^{-3}) + (2.4 \times 10^{-3}) \\[2.0ex]
&= 3.2 \times 10^{-3} \, [\text{C}]
\end{aligned}
$$
最後に、\(V_2\)を計算します。合成容量は(2)と同じ\(C_{\text{合成1}} = 12.0 \times 10^{-6} \, \text{F}\)です。
$$
\begin{aligned}
V_2 &= \frac{Q_{\text{総}}}{C_{\text{合成1}}} \\[2.0ex]
&= \frac{3.2 \times 10^{-3}}{12.0 \times 10^{-6}} \\[2.0ex]
&= \frac{3.2}{12.0} \times 10^3 \\[2.0ex]
&\approx 0.2666 \times 10^3 \\[2.0ex]
&\approx 2.7 \times 10^2 \, [\text{V}]
\end{aligned}
$$
(2)で一度電気を分け合った後、もう一度同じ操作を繰り返します。(2)の最後には、\(C_1\)にも電気が少し残っています。この状態で、まず\(C_2\)だけを再び電池につないで満タンにします。そして、その満タンの\(C_2\)を、少しだけ電気が残っている\(C_1\)につなぎます。すると、また電気の分け合いが起こります。今度の全体の電気の量は、「\(C_1\)に元々残っていた分」と「\(C_2\)が満タンになった分」の合計になります。この合計の電気量を、(2)と同じように合体後の大きなコンデンサーの性能で割ってあげれば、最終的な電圧が求まります。
最終的な電圧\(V_2\)は約\(2.7 \times 10^2 \, \text{V}\)となります。(2)のときの電圧\(V_1 = 2.0 \times 10^2 \, \text{V}\)よりも高くなっています。これは、今回は\(C_1\)にも初期電荷があったため、総電荷が増加したことによる当然の結果であり、物理的に妥当です。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 電気量保存則の適用:
- 核心: この問題の根幹は、回路の一部が外部から電気的に「孤立」したときに、その部分系内部での電荷の総和が一定に保たれるという「電気量保存則」を正しく見抜き、適用することにあります。
- 理解のポイント:
- 孤立系の特定: スイッチをBに切りかえた瞬間、\(C_1\)と\(C_2\)で構成される部分は電源から切り離され、外部との電荷のやり取りがなくなります。この部分が「孤立系」です。
- 保存量の計算: 保存則を適用するには、まず「保存される前の総電荷」を計算する必要があります。(2)では\(C_2\)のみが電荷を持っていたので総電荷は\(Q_2\)でした。(3)では\(C_1\)と\(C_2\)の両方が電荷を持っていたので、総電荷は\(Q’_1+Q_2\)でした。この初期状態の総電荷が、再分配後の総電荷と等しくなります。
- 並列接続における最終状態の理解:
- 核心: 電荷の再分配が行われた後、並列に接続されたコンデンサーは最終的にどのような状態に落ち着くかを理解していることが重要です。
- 理解のポイント:
- 電位の平衡: 電荷の移動は、接続された導体部分の電位がすべて等しくなるまで続きます。その結果、並列接続された各コンデンサーの極板間電圧は、すべて等しい値\(V_{\text{最終}}\)に落ち着きます。
- 合成容量の利用: この最終状態は、個々のコンデンサーを一つの「合成コンデンサー」とみなすことで、シンプルに扱うことができます。総電荷を\(Q_{\text{総}}\)、合成容量を\(C_{\text{合成}}\)とすると、最終的な電圧は\(V_{\text{最終}} = \displaystyle\frac{Q_{\text{総}}}{C_{\text{合成}}}\)という一つの式で計算できます。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 極板の接続を変える問題: 例えば、充電後に\(C_2\)の極性を逆にして(プラスとマイナスを入れ替えて)\(C_1\)に接続する問題。この場合、電気量保存則を考える際に、一方の電荷を負として扱う必要があります。総電荷は\(Q_1 + (-Q_2)\)のようになります。
- 複数回の操作を繰り返す問題: この問題の(3)のように、操作を何度も繰り返す問題。最終的に電圧がどのような値に収束するかを問う漸化式の問題に発展することもあります。各ステップでの電荷の移動を正確に追跡することが鍵となります。
- エネルギー収支を問う問題: 電荷の再分配の前後で、静電エネルギーの総和がどう変化するかを問う問題。再分配の過程では、電荷が導線の抵抗を流れる際にジュール熱が発生するため、一般にエネルギーは保存されず、減少します。変化したエネルギーは\(\Delta U = U_{\text{後}} – U_{\text{前}}\)で計算します。
- 初見の問題での着眼点:
- 回路図の変遷を追う: スイッチの操作によって、回路の接続がどのように変化するかを段階ごとに図に書き出すと有効です。「充電フェーズ」「孤立・再分配フェーズ」を明確に区別します。
- 孤立部分を探す: 電気量保存則を適用できる「孤立系」はどこかを常に意識します。電源やアースから切り離された導線でつながった部分がそれに当たります。
- 各瞬間の電荷をリストアップする: 操作の直前と直後で、各コンデンサーが持つ電荷量をリスト化すると、計算ミスを防げます。(3)であれば、「A→B操作前: \(Q_1=Q’_1\), \(Q_2=Q_2\), \(Q_{\text{総}}=Q’_1+Q_2\)」のように整理します。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 電気量保存則の適用範囲の誤解:
- 誤解: スイッチがA側にあって電源に接続されているときにも、電気量保存則を使おうとしてしまう。
- 対策: 電気量保存則が使えるのは、あくまで「電気的に孤立した部分」だけです。電源に接続されている間は、電源との間で電荷のやり取りがあるため、コンデンサーの電荷は保存されません。必ず「電源から切り離された後」の状態で適用することを徹底しましょう。
- (3)での総電荷の計算ミス:
- 誤解: (3)で再びスイッチをBに倒したときの総電荷を、(2)と同じ\(Q_2\)だと勘違いしてしまう。
- 対策: (2)の操作の結果、\(C_1\)にも電荷\(Q’_1\)が蓄えられたことを忘れないようにしましょう。操作を繰り返す問題では、直前の状態が次の初期状態になります。各ステップの状態を丁寧にメモしながら解き進めるのが安全です。
- 単位換算のミス:
- 誤解: 電気容量の\(\mu\text{F}\)を\(10^{-6}\)倍するのを忘れたり、指数の計算を間違えたりする。
- 対策: 計算を始める前に、与えられた値をすべてSI基本単位(F, V, C)に変換して問題用紙の隅に書き出しておくことを習慣にしましょう。\(Q=CV\)の計算では、\( (8.0 \times 10^{-6}) \times (3.0 \times 10^2) = 24 \times 10^{-4} \) のように、まず係数部分(8×3=24)と指数部分(-6+2=-4)を別々に計算するとミスが減ります。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 電気量保存則と合成容量の組み合わせ:
- 選定理由: (2)や(3)で、電荷が再分配された後の最終状態(電圧)を求めるのが目的でした。この「最終状態」を最も効率的に記述できるのが、電気量保存則と合成容量の考え方を組み合わせたアプローチです。
- 適用根拠: 「孤立系の総電荷は不変である」という物理法則(電気量保存則)と、「並列接続では最終的に電圧が等しくなる」という物理現象を、\(Q_{\text{総}} = C_{\text{合成}} V_{\text{最終}}\)という一つの式に集約しています。これにより、途中の電荷の移動プロセス(\(\Delta Q\))を具体的に計算することなく、初期状態と最終状態を直接結びつけて解くことができます。
- 別解(電荷移動モデル):
- 選定理由: 主たる解法が「初期状態と最終状態」だけに着目するのに対し、別解は「状態が変化する物理プロセスそのもの」を追跡したい場合に有効です。なぜ電圧が等しくなるのか、という理由を数式で表現するのに適しています。
- 適用根拠: 「\(C_2\)から失われた電荷が、そのまま\(C_1\)が得た電荷に等しい」という関係と、「最終的に両者の電位(電圧)が等しくなる」という2つの条件は、どちらも根本的な物理法則です。これらを連立方程式として解くことは、物理的に完全に正当です。この連立方程式を解くと、結果的に主たる解法の式と等価な式が導かれます。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 指数の整理を後回しにしない: \( (8.0 \times 10^{-4}) + (2.4 \times 10^{-3}) \) のような計算では、まず指数を揃えることが鉄則です。\( (0.8 \times 10^{-3}) + (2.4 \times 10^{-3}) \) と変形してから係数部分を足し算(\(0.8+2.4=3.2\))します。この一手間を惜しまないようにしましょう。
- 分数の計算は最後に: \(V = \displaystyle\frac{Q}{C}\) のような計算では、途中で割り算を実行して小数にしてしまうと、有効数字の扱いや後の計算が煩雑になりがちです。\(V_2 = \displaystyle\frac{3.2 \times 10^{-3}}{12.0 \times 10^{-6}}\) のように、最後の最後まで分数の形のまま計算を進め、最終段階で一度だけ割り算を実行するのが最もスマートで、誤差も生じにくいです。
- 問題の構造を把握する: この問題は(1)→(2)→(3)とストーリーが続いています。(2)は(1)の結果を使い、(3)は(2)の結果を使います。前の設問の答えが、次の設問の「初期値」になるという構造を理解しましょう。もし(1)で計算ミスをすると、(2)以降もすべて間違えてしまう可能性があります。各設問の計算は特に慎重に行い、検算する癖をつけましょう。
387 コンデンサーの接続
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
本解説は、模範解答で採用されている解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。
- 提示する別解
- 設問(2)の別解: キルヒホッフの第二法則(電圧則)を用いる解法
- 模範解答が電気量保存則と電圧の関係式を連立させるのに対し、別解では電気量保存則に加えて、閉回路における電位の昇降の関係(キルヒホッフの第二法則)を用いて連立方程式を立てます。
- 設問(2)の別解: キルヒホッフの第二法則(電圧則)を用いる解法
- 上記の別解が有益である理由
- 解法の一般化: キルヒホッフの法則は、コンデンサー回路だけでなく、抵抗を含む直流回路や交流回路にも適用できる、より一般的で強力なツールです。この問題を通じてその使い方を学ぶことで、より複雑な回路問題への対応力が向上します。
- 物理的意味の明確化: 「電圧の関係式 \(V_1+V_2=2V\)」が、実はキルヒホッフの第二法則の特定の表現であることを理解することで、法則の本質的な意味(閉回路を一周すると電位は元に戻る)への理解が深まります。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、立式する方程式は本質的に同じものであり、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「スイッチの切り替えを伴うコンデンサー回路と電気量保存則」です。特に、複数の電源が含まれる回路で、スイッチ操作によって孤立部分が形成される際の電荷の挙動を、電気量保存則と電圧の関係式を駆使して解明することが求められます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- コンデンサーの基本式: 電気量\(Q\)、電気容量\(C\)、電圧\(V\)の間の関係式\(Q=CV\)を正しく使えること。
- 電気量保存則: 回路の中で外部から電気的に孤立した部分の、電荷の総和は操作の前後で一定に保たれるという法則。本問(2)の鍵となる法則です。
- 電圧の関係式(キルヒホッフの第二法則): 閉回路を一周するとき、起電力の和(電位の上昇)と電圧降下の和(電位の下降)は等しい。本問(2)では、\(C_1\), \(C_2\), 電源\(2V\)で構成される閉回路に適用します。
- 電荷の極性: コンデンサーのどちらの極板に正電荷、負電荷が蓄えられているかを正確に把握すること。これは電気量保存則や電圧則を適用する上で非常に重要です。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)では、スイッチ\(S_1\)を閉じた単純な充電回路を考え、基本公式\(Q=CV\)から\(C_1\)に蓄えられる電気量を求めます。
- (2)では、スイッチ\(S_1\)を開き、\(S_2\)を閉じます。この操作により、充電済みの\(C_1\)と未充電の\(C_2\)が電源\(2V\)と直列に接続された回路が形成されます。このとき、\(C_1\)の下側極板と\(C_2\)の上側極板からなる部分が「孤立系」となるため、電気量保存則が適用できます。これと、回路全体の電圧の関係式を連立させて、最終的に各コンデンサーに蓄えられる電気量を求めます。
問(1)
思考の道筋とポイント
スイッチ\(S_1\)を閉じ、\(S_2\)は開いたままの状態を考えます。このとき、コンデンサー\(C_1\)は起電力\(V\)の電源に接続され、コンデンサー\(C_2\)は回路のどの部分にも接続されていません。したがって、\(C_1\)のみが充電されます。十分時間が経過すると、\(C_1\)の極板間電圧は電源の電圧\(V\)に等しくなります。この状態での\(C_1\)の電気量を、基本公式\(Q=CV\)を用いて計算します。
この設問における重要なポイント
- スイッチ\(S_1\)を閉じると、\(C_1\)と電源\(V\)からなる閉回路が形成される。
- 充電完了時、コンデンサー\(C_1\)の電圧は電源電圧\(V\)に等しい。
- \(C_2\)は回路から切り離されているため、電荷は蓄えられない。
具体的な解説と立式
スイッチ\(S_1\)を閉じて十分時間が経過した後の、コンデンサー\(C_1\)に蓄えられる電気量を\(Q_1\)とします。このとき、\(C_1\)にかかる電圧は電源電圧\(V\)に等しくなります。コンデンサー\(C_1\)の電気容量は\(C\)なので、基本公式より、
$$ Q_1 = CV $$
使用した物理公式
- コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
この設問では、与えられた文字を用いて式で表現するだけなので、これ以上の計算は不要です。
最初のステップでは、スイッチ\(S_1\)だけを入れます。回路図を見ると、こうするとコンデンサー\(C_1\)が電圧\(V\)の電池に直接つながります。コンデンサーは電池につながれると充電を開始し、最終的にコンデンサーの電圧は電池の電圧と同じになります。おなじみの公式\(Q=CV\)を使って、\(C_1\)にたまる電気の量を計算します。
コンデンサー\(C_1\)に蓄えられる電気量は\(CV\)です。このとき、電源のマイナス側につながる\(C_1\)の上側極板に\(-CV\)、プラス側につながる下側極板に\(+CV\)の電荷が蓄えられます(図a参照)。
問(2)
思考の道筋とポイント
次に、スイッチ\(S_1\)を開き、スイッチ\(S_2\)を閉じます。この操作により、新たな回路が形成されます。この回路は、(1)で充電された\(C_1\)、未充電だった\(C_2\)、そして起電力\(2V\)の電源が直列に接続された形になります。
このとき、\(C_1\)の下側極板と\(C_2\)の上側極板は、導線でつながれているだけで、回路の他の部分からは電気的に孤立しています。したがって、この「孤立部分」の電荷の総和は、スイッチ操作の前後で保存されます(電気量保存則)。
これに加えて、\(C_1\), \(C_2\), 電源\(2V\)からなる閉回路について、電圧の関係式(キルヒホッフの第二法則)が成り立ちます。これら2つの式を連立させることで、未知数である最終的な電気量\(Q’_1\)と\(Q_2\)を求めます。
この設問における重要なポイント
- \(C_1\)の下側極板と\(C_2\)の上側極板が「孤立系」を形成し、電気量保存則が適用できる。
- 操作前の孤立系の総電荷を正しく計算する。
- 操作後の\(C_1\), \(C_2\), 電源\(2V\)からなる閉回路に電圧則を適用する。
- 電荷の極性(プラス・マイナス)を正確に扱う。
具体的な解説と立式
操作前の状態を考えます。\(C_1\)の下側極板の電荷は\(+Q_1 = +CV\)です。\(C_2\)の上側極板の電荷は\(0\)です。よって、操作前の孤立部分の総電荷は\(+CV\)です。
操作後の最終状態を考えます。\(C_1\)に蓄えられる電気量を\(Q’_1\)、電圧を\(V_1\)とします。\(C_2\)に蓄えられる電気量を\(Q_2\)、電圧を\(V_2\)とします。
回路図から、電源\(2V\)の向きを考えると、\(C_1\)の上側極板には正電荷\(+Q’_1\)、下側極板には負電荷\(-Q’_1\)が蓄えられます。同様に、\(C_2\)の上側極板には正電荷\(+Q_2\)、下側極板には負電荷\(-Q_2\)が蓄えられます。(この極性は模範解答の図bと同じです。)
孤立部分(\(C_1\)の下側極板と\(C_2\)の上側極板)の電荷の総和について、電気量保存則を立てます。
$$ (-Q’_1) + (+Q_2) = (+Q_1) + 0 $$
ここに\(Q_1=CV\)を代入すると、
$$ -Q’_1 + Q_2 = CV \quad \cdots ① $$
次に、コンデンサーの基本式を適用します。
$$ Q’_1 = C V_1 \quad \cdots ② $$
$$ Q_2 = C V_2 \quad \cdots ③ $$
最後に、\(C_1\), \(C_2\), 電源\(2V\)からなる閉回路について、電圧の関係を考えます。回路を一周すると電位は元に戻るため、
$$ V_1 + V_2 = 2V \quad \cdots ④ $$
①, ②, ③, ④の4つの式を連立させて、\(Q’_1\)と\(Q_2\)を求めます。
使用した物理公式
- 電気量保存則
- コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
- 直列回路の電圧の関係(キルヒホッフの第二法則)
まず、②, ③式を①式に代入します。
$$
\begin{aligned}
– (C V_1) + (C V_2) &= CV \\[2.0ex]
-V_1 + V_2 &= V \quad \cdots ⑤
\end{aligned}
$$
次に、④式と⑤式を連立方程式として解きます。
④+⑤より、
$$
\begin{aligned}
(V_1 + V_2) + (-V_1 + V_2) &= 2V + V \\[2.0ex]
2V_2 &= 3V \\[2.0ex]
V_2 &= \frac{3}{2}V
\end{aligned}
$$
これを④式に代入して\(V_1\)を求めます。
$$
\begin{aligned}
V_1 + \frac{3}{2}V &= 2V \\[2.0ex]
V_1 &= 2V – \frac{3}{2}V \\[2.0ex]
V_1 &= \frac{1}{2}V
\end{aligned}
$$
最後に、求めた\(V_1\), \(V_2\)を②, ③式に代入して、電気量\(Q’_1\), \(Q_2\)を求めます。
$$
\begin{aligned}
Q’_1 &= C V_1 \\[2.0ex]
&= C \left( \frac{1}{2}V \right) \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2}CV
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
Q_2 &= C V_2 \\[2.0ex]
&= C \left( \frac{3}{2}V \right) \\[2.0ex]
&= \frac{3}{2}CV
\end{aligned}
$$
(1)で充電した\(C_1\)を、今度は空の\(C_2\)と電圧\(2V\)の電池に直列につなぎます。このとき、\(C_1\)と\(C_2\)の間のつなぎ目は、回路の他の部分から孤立しています。物理の世界では、このような「孤島」にある電気の合計量は、スイッチを切り替える前と後で変わらない、という便利な法則(電気量保存則)があります。これが一つ目の手がかりです。
もう一つの手がかりは、回路全体をぐるっと一周したときの電圧の関係です。電池で上がる電圧(\(2V\))と、コンデンサーで下がる電圧(\(V_1\)と\(V_2\))が釣り合う、という関係です。この二つの手がかりを連立方程式として解くことで、それぞれのコンデンサーに最終的にたまる電気の量がわかります。
最終的に\(C_1\)に蓄えられる電気量は\(\displaystyle\frac{1}{2}CV\)、\(C_2\)に蓄えられる電気量は\(\displaystyle\frac{3}{2}CV\)となります。\(C_1\)の電荷は、初期状態の\(CV\)から減少しており、電荷が再分配されたことがわかります。また、\(V_1+V_2 = \frac{1}{2}V + \frac{3}{2}V = 2V\)となり、電源電圧と一致していることから、計算結果は妥当であると確認できます。
思考の道筋とポイント
この別解は、主たる解法で「電圧の関係式」として扱った部分を、より厳密に「キルヒホッフの第二法則」として適用するアプローチです。物理的な思考プロセスは主たる解法とほぼ同じですが、立式の際に電位を意識することで、より複雑な回路にも応用できる汎用的な解法を学びます。
まず、電気量保存則を立てる点は同じです。次に、回路内の任意の点(例えば電源\(2V\)の負極)を電位の基準点(\(0\,V\))と定め、そこから時計回りに各点の電位を追跡し、一周して元の点に戻ることで電圧則の式を立てます。
この設問における重要なポイント
- 電気量保存則の式は主たる解法と同じ。
- キルヒホッフの第二法則: 任意の閉回路において、電位の昇降の代数和はゼロである。
- コンデンサーを通過する際の電位変化は、電荷の極性と移動方向によって決まる。正極側から負極側へ移動すると電位は下がり(\(-V\))、逆なら上がる(\(+V\))。
具体的な解説と立式
電気量保存則の式は、主たる解法と同様に立てます。(ここでも、最終的な電荷の極性は\(C_1\)の上側が\(+Q’_1\)、\(C_2\)の上側が\(+Q_2\)と仮定します。)
$$ -Q’_1 + Q_2 = CV \quad \cdots ① $$
次に、キルヒホッフの第二法則を適用します。電源\(2V\)の負極を電位の基準点(\(0\))とします。
- 電源\(2V\)を負極から正極へ通過すると、電位は\(+2V\)上昇します。
- \(C_2\)を上側極板(\(+\))から下側極板(\(-\))へ通過すると、電位は\(V_2\)だけ下降します。(\(-V_2\))
- \(C_1\)を上側極板(\(+\))から下側極板(\(-\))へ通過すると、電位は\(V_1\)だけ下降します。(\(-V_1\))
一周して元の基準点に戻るので、電位変化の合計はゼロになります。
$$ +2V – V_2 – V_1 = 0 $$
これを整理すると、
$$ V_1 + V_2 = 2V \quad \cdots ④’ $$
これは主たる解法の④式と全く同じです。
あとは、コンデンサーの基本式 \(Q’_1=CV_1\), \(Q_2=CV_2\) と、①, ④’式を連立させて解くだけです。
使用した物理公式
- 電気量保存則
- キルヒホッフの第二法則: \(\sum V = 0\)
- コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
立式した方程式が主たる解法と全く同じであるため、計算過程も同一となり、同じ結果が得られます。
$$ Q’_1 = \frac{1}{2}CV $$
$$ Q_2 = \frac{3}{2}CV $$
この考え方は、回路を「高低差のある土地」に例えるようなものです。電池はポンプで水を汲み上げる場所(電位を上げる)、コンデンサーはダムのようなもので、水の流れを横切ると水位が下がる場所(電位を下げる)です。キルヒホッフの法則は、「土地をぐるっと一周して同じ場所に戻ってきたら、出発点と比べて高さは変わらない(当たり前!)」というルールです。この「高さ巡り」のルールを数式にすることで、コンデンサーにかかる電圧の関係式を導き出します。もう一つの手がかりである電気量保存則と組み合わせることで、答えを導きます。
主たる解法と全く同じ結果が得られます。キルヒホッフの法則として定式化することで、なぜ\(V_1+V_2=2V\)という関係が成り立つのか、その物理的背景(閉回路を一周すると電位は元に戻る)がより明確になります。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 電気量保存則の特定と適用:
- 核心: この問題で最も重要なのは、スイッチ\(S_1\)を開き\(S_2\)を閉じたときに、\(C_1\)の下側極板と\(C_2\)の上側極板で構成される部分が、回路の他の部分から電気的に切り離された「孤立系」になることを見抜く点です。この孤立系に対して「電気量保存則」を適用することが、問題を解く最大の鍵となります。
- 理解のポイント:
- 孤立系の見つけ方: 電源やアース、開いたスイッチに接続されていない、導線だけでつながった部分を探します。
- 電荷の符号の重要性: 電気量保存則の式を立てる際、各極板の電荷の符号を正しく考慮することが不可欠です。操作前の\(C_1\)の下側極板は\(+Q_1\)、操作後の\(C_1\)の下側極板は\(-Q’_1\)、\(C_2\)の上側極板は\(+Q_2\)となるため、保存則の式は \((-Q’_1) + (+Q_2) = (+Q_1)\) となります。この符号を一つでも間違えると、正しい答えは得られません。
- キルヒホッフの第二法則(電圧則):
- 核心: 電気量保存則だけでは未知数が消去できないため、もう一つの関係式が必要です。それが、コンデンサーと電源を含む閉回路における電圧の関係、すなわちキルヒホッフの第二法則です。
- 理解のポイント:
- 閉回路を一周: \(C_1\), \(C_2\), 電源\(2V\)で構成される閉回路を考え、任意の点から一周して戻ってくるまでの電位の変化を追跡します。
- 電位の昇降: 電源を負極から正極へ横切ると電位は上昇(\(+2V\))し、コンデンサーを(帯電した)正極から負極へ横切ると電位は下降(\(-V_1\), \(-V_2\))します。これらの総和がゼロになることから、\(V_1+V_2=2V\)という関係式が導かれます。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- ダイオードを含むコンデンサー回路: ダイオードは電流を一定方向にしか流さない素子です。充電はできても放電はできない、あるいはその逆、といった状況が生まれます。電荷の移動が制限されるため、最終的な平衡状態がどのようになるかを慎重に考える必要があります。
- 十分に時間が経過した後、スイッチを再度切り替える問題: 一度平衡状態になった後、さらにスイッチを操作する問題です。その場合、直前の平衡状態での各コンデンサーの電荷量が、次の操作の「初期値」となります。各ステップの状態を正確に把握し、引き継いでいくことが重要です。
- アースされた点を含む回路: 回路の一部がアース(接地)されている場合、その点の電位は\(0V\)となります。これを基準に、キルヒホッフの法則を用いて各点の電位を具体的に求める問題に応用できます。
- 初見の問題での着眼点:
- 操作前後の回路図を描く: スイッチの切り替えによって回路がどう変化するのか、操作前と操作後の回路図を並べて描くと状況を把握しやすくなります。
- 孤立部分をマーキングする: 回路図上で、電気量保存則が適用できる孤立部分を色ペンなどで囲み、視覚的に明確にします。
- 電荷の極性を仮定し、書き込む: 操作後の各コンデンサーの極板に、どちらがプラスでどちらがマイナスになるかを仮定し、\(+Q’\), \(-Q’\)のように書き込みます。この仮定に基づいて式を立て、もし計算結果が負になれば、仮定した極性が逆だったと判断できます。
- 閉回路(ループ)を見つける: キルヒホッフの第二法則を適用できる閉回路がいくつあるかを確認します。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 電気量保存則の立式ミス:
- 誤解: 孤立部分の電荷を考える際に、極板のペア(コンデンサー全体)の電荷で考えてしまう。あるいは、電荷の符号をすべて正として足してしまう。
- 対策: 電気量保存則は、あくまで「孤立した導体部分の総電荷」に適用されます。コンデンサーの片方の極板と、別のコンデンサーの片方の極板が導線でつながれた部分を正確に特定しましょう。そして、各極板の電荷の符号を一つ一つ確認しながら立式する癖をつけます。
- 電圧則(\(V_1+V_2=2V\))の符号ミス:
- 誤解: コンデンサーの電圧の向きと電源の向きの関係を考えず、機械的に\(V_1+V_2=2V\)としてしまう。
- 対策: キルヒホッフの第二法則の基本に立ち返り、「電位の昇降」を意識することが最も安全です。回路を一周する経路を決め、電源を通過するときに電位が上がるか下がるか、コンデンサーを通過するときに電位が上がるか下がるかを、仮定した電荷の極性に基づいて判断します。
- 初期電荷の見落とし:
- 誤解: (2)の操作を考える際に、(1)で\(C_1\)に蓄えられた電荷\(Q_1\)を忘れ、すべてのコンデンサーが初期電荷ゼロの状態から始まると勘違いしてしまう。
- 対策: スイッチ操作を伴う問題では、必ず「操作直前の状態」が「操作直後の初期状態」に影響を与えることを意識しましょう。特に、電気量保存則を適用する孤立部分の「操作前の総電荷」を計算する際には、この初期電荷が不可欠です。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 電気量保存則:
- 選定理由: (2)では、未知数が最終的な電荷\(Q’_1\), \(Q_2\)(あるいは電圧\(V_1\), \(V_2\))の2つあります。これらを決定するには、独立した方程式が2本必要です。そのうちの1本を得るために、回路の構造的特徴である「孤立部分」に着目し、そこに適用できる普遍的な物理法則として電気量保存則を選択します。
- 適用根拠: 物理学の大原則である「電荷は勝手に生まれたり消えたりしない」という法則に基づいています。外部と電荷のやり取りがない閉じた系(孤立系)において、電荷の総和が不変であるのは当然の帰結です。
- キルヒホッフの第二法則(電圧則):
- 選定理由: 2本目の方程式を得るために、もう一つの回路の構造的特徴である「閉回路」に着目します。ここに適用できる普遍的な法則がキルヒホッフの第二法則です。
- 適用根拠: この法則は「エネルギー保存則」の電位による表現です。電荷が閉回路を一周して元の場所に戻るとき、その電荷が持つ位置エネルギーは元に戻るはずです。電位は単位電荷あたりの位置エネルギーなので、電位も一周すれば元に戻ります。したがって、一周の間の電位の「上昇分」と「下降分」は必ず等しくなります。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 連立方程式は丁寧に: (2)では、未知数を含む複数の式を連立させて解きます。
- まず、使える関係式(電気量保存則、基本公式、電圧則)をすべて書き出す。
- \(Q=CV\)を使って、変数を\(Q\)と\(C\)から\(V\)と\(C\)に統一するなど、解きやすい形に整理する。
- 加減法や代入法を用いて、一つずつ着実に変数を消去していく。焦って暗算しないことが重要です。
- 文字式のまま計算を進める: この問題のように、最終的な答えが文字式で与えられる場合、途中で数値を代入する必要はありません。最後まで文字のまま計算を進めることで、計算がシンプルになり、物理的な関係性も見通しやすくなります。
- 検算の習慣: 計算結果が出たら、簡単な検算を行いましょう。例えば、求まった\(Q’_1\)と\(Q_2\)を電気量保存の式 \(-Q’_1+Q_2=CV\) に代入して、等式が成り立つかを確認します。\(-\displaystyle\frac{1}{2}CV + \displaystyle\frac{3}{2}CV = CV\) となり、成り立っていることが確認できます。この一手間が、ケアレスミスによる失点を防ぎます。
388 平行板コンデンサーの電場と静電エネルギー
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
本解説は、模範解答で採用されている解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。
- 提示する別解
- 設問(2)の別解: 静電エネルギーの公式 \(U = \displaystyle\frac{Q^2}{2C}\) を用いる解法
- 模範解答が電圧Vが一定であることから \(U \propto C\) と考えるのに対し、別解ではまず電荷Qと容量Cの変化をそれぞれ計算し、\(U = \displaystyle\frac{Q^2}{2C}\) からエネルギーの変化を導出します。
- 設問(4)の別解: 静電エネルギーの公式 \(U = \displaystyle\frac{Q^2}{2C}\) を用いる解法
- 模範解答が容量Cと電圧Vの両方の変化を考慮して \(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2\) から計算するのに対し、別解では電気量Qが一定であることに着目し、\(U \propto \displaystyle\frac{1}{C}\) の関係からより直接的に導出します。
- 設問(2)の別解: 静電エネルギーの公式 \(U = \displaystyle\frac{Q^2}{2C}\) を用いる解法
- 上記の別解が有益である理由
- 最適な公式選択の学習: 問題の条件(V一定かQ一定か)によって、3つのエネルギー公式(\(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2\), \(U = \displaystyle\frac{Q^2}{2C}\), \(U = \displaystyle\frac{1}{2}QV\))のうちどれを使うと最も計算が簡潔になるかを学ぶ絶好の機会となります。
- 物理的本質の理解: (4)の別解のように、問題の本質(Qが一定)を捉えることで、より少ない計算ステップで答えにたどり着けることを体感できます。
- 解法の多角的検証: どの公式を使っても同じ答えが得られることを確認することで、物理法則の一貫性への信頼と理解が深まります。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「コンデンサーの極板間隔の変化とそれに伴う物理量の変化」です。特に、コンデンサーが「電池に接続されたまま」か「電池から切り離されている」かという条件の違いによって、一定に保たれる物理量(電圧か電気量か)が変化し、それに伴い他の物理量(電場、静電エネルギーなど)がどのように変わるかを理解することが問われます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 2つの重要な条件設定の理解:
- スイッチON(電池に接続): コンデンサーの極板間電圧\(V\)が、常に電池の電圧に等しく保たれます。
- スイッチOFF(電池から孤立): コンデンサーは電気的に孤立するため、蓄えられている電気量\(Q\)が一定に保たれます(電気量保存則)。
- 平行平板コンデンサーの基本公式:
- 電気容量: \(C = \varepsilon_0 \displaystyle\frac{S}{d}\)
- 電場と電圧の関係: \(E = \displaystyle\frac{V}{d}\) (一様な電場の場合)
- 静電エネルギー: \(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2 = \displaystyle\frac{Q^2}{2C} = \displaystyle\frac{1}{2}QV\)
- 比例関係の分析: 各物理量がどの変数に比例・反比例するのかを、基本公式から正しく読み取る能力。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1),(2)は「スイッチを閉じたまま」という条件なので、電圧\(V\)が一定であることを基軸に考えます。極板間隔\(d\)の変化が、電場\(E\)や電気容量\(C\)、そして静電エネルギー\(U\)にどう影響するかを、関係式から導きます。
- (3),(4)は「スイッチを開いてから」という条件なので、電気量\(Q\)が一定であることを基軸に考えます。極板間隔\(d\)の変化が、電気容量\(C\)、電圧\(V\)、電場\(E\)、静電エネルギー\(U\)にどう影響するかを、関係式から導きます。
問(1)
思考の道筋とポイント
「スイッチを閉じた状態」という条件が最重要です。これは、コンデンサーが常に電圧\(V\)の電池に接続されていることを意味し、極板間隔を変えてもコンデンサーの両端の電圧は\(V\)で一定に保たれます。
この条件下で、極板間の電場の強さ\(E\)がどうなるかを考えます。平行平板コンデンサー内の電場は一様なので、電場\(E\)、電圧\(V\)、極板間隔\(d\)の間には\(V=Ed\)の関係があります。これを利用して、間隔が変化した後の電場の強さを求めます。
この設問における重要なポイント
- スイッチが閉じている \(\rightarrow\) 電圧\(V\)が一定。
- 一様な電場と電圧の関係式: \(E = \displaystyle\frac{V}{d}\)。
- 電圧\(V\)が一定なので、電場\(E\)は極板間隔\(d\)に反比例する。
具体的な解説と立式
初めの状態(極板間隔\(d\))での電場の強さを\(E_{\text{初}}\)とします。このとき、極板間の電圧は\(V\)なので、
$$ E_{\text{初}} = \frac{V}{d} $$
次に、スイッチを閉じたまま極板の間隔を3倍(\(3d\))にします。このときの電場の強さを\(E_{\text{後}}\)とします。電圧は変わらず\(V\)のままなので、
$$ E_{\text{後}} = \frac{V}{3d} $$
求めたいのは、後の電場が初めの電場の何倍か、すなわち比 \(\displaystyle\frac{E_{\text{後}}}{E_{\text{初}}}\) です。
使用した物理公式
- 一様な電場と電圧の関係: \(V=Ed\)
後の電場と初めの電場の比を計算します。
$$
\begin{aligned}
\frac{E_{\text{後}}}{E_{\text{初}}} &= \frac{V/(3d)}{V/d} \\[2.0ex]
&= \frac{V}{3d} \cdot \frac{d}{V} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{3}
\end{aligned}
$$
したがって、電場の強さは初めの状態の\(\displaystyle\frac{1}{3}\)倍になります。
スイッチが閉じているので、コンデンサーにかかる電圧は常に電池の電圧\(V\)で固定されています。電場の強さは「電圧を距離で割ったもの」で決まります。今、距離を3倍に広げたので、同じ電圧をより広い範囲に引き伸ばすことになります。その結果、電場の強さは薄まって、元の\(\displaystyle\frac{1}{3}\)になります。
電場の強さは\(\displaystyle\frac{1}{3}\)倍になります。電圧が一定のまま間隔を広げると電場が弱まるというのは、直感的にも妥当な結果です。
問(2)
思考の道筋とポイント
引き続き「スイッチを閉じた状態」なので、電圧\(V\)は一定です。この条件で、静電エネルギー\(U\)がどう変化するかを考えます。
静電エネルギーの公式は3種類(\(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2\), \(U = \displaystyle\frac{Q^2}{2C}\), \(U = \displaystyle\frac{1}{2}QV\))ありますが、電圧\(V\)が一定なので、\(V\)を含む\(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2\)の式を使うのが最も考えやすいです。この式から、静電エネルギー\(U\)は電気容量\(C\)に比例することがわかります。
したがって、極板間隔の変化が電気容量\(C\)にどう影響するかを調べれば、エネルギーの変化もわかります。
この設問における重要なポイント
- スイッチが閉じている \(\rightarrow\) 電圧\(V\)が一定。
- 静電エネルギーの公式として\(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2\)を選択する。
- \(V\)が一定なので、\(U\)は\(C\)に比例する。
- 電気容量\(C\)は極板間隔\(d\)に反比例する (\(C = \varepsilon_0 \displaystyle\frac{S}{d}\))。
具体的な解説と立式
初めの状態(極板間隔\(d\))での電気容量を\(C_{\text{初}}\)、静電エネルギーを\(U_{\text{初}}\)とします。
$$ C_{\text{初}} = \varepsilon_0 \frac{S}{d} $$
$$ U_{\text{初}} = \frac{1}{2}C_{\text{初}}V^2 $$
極板の間隔を3倍(\(3d\))にした後の電気容量を\(C_{\text{後}}\)、静電エネルギーを\(U_{\text{後}}\)とします。
$$ C_{\text{後}} = \varepsilon_0 \frac{S}{3d} $$
$$ U_{\text{後}} = \frac{1}{2}C_{\text{後}}V^2 $$
求めたいのは、後のエネルギーが初めのエネルギーの何倍か、すなわち比 \(\displaystyle\frac{U_{\text{後}}}{U_{\text{初}}}\) です。
使用した物理公式
- 静電エネルギー: \(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2\)
- コンデンサーの電気容量: \(C = \varepsilon_0 \displaystyle\frac{S}{d}\)
まず、電気容量の比を求めます。
$$
\begin{aligned}
\frac{C_{\text{後}}}{C_{\text{初}}} &= \frac{\varepsilon_0 S/(3d)}{\varepsilon_0 S/d} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{3}
\end{aligned}
$$
次に、静電エネルギーの比を計算します。
$$
\begin{aligned}
\frac{U_{\text{後}}}{U_{\text{初}}} &= \frac{\frac{1}{2}C_{\text{後}}V^2}{\frac{1}{2}C_{\text{初}}V^2} \\[2.0ex]
&= \frac{C_{\text{後}}}{C_{\text{初}}} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{3}
\end{aligned}
$$
したがって、静電エネルギーは初めの状態の\(\displaystyle\frac{1}{3}\)倍になります。
(1)と同じく、電圧は電池によって\(V\)に固定されています。エネルギーを計算する公式はいろいろありますが、電圧が一定なので \(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2\) を使うと便利です。この式を見ると、エネルギーはコンデンサーの性能(電気容量\(C\))に比例することがわかります。コンデンサーの性能は、極板の間隔が広がるほど悪く(小さく)なります。間隔を3倍にしたので、性能は\(\displaystyle\frac{1}{3}\)になり、その結果、蓄えられるエネルギーも\(\displaystyle\frac{1}{3}\)になります。
静電エネルギーは\(\displaystyle\frac{1}{3}\)倍になります。極板間隔を広げると電気容量が減少し、電圧が一定なら蓄えられるエネルギーも減少する、という物理的に妥当な結果です。
思考の道筋とポイント
主たる解法とは異なるエネルギーの公式 \(U = \displaystyle\frac{Q^2}{2C}\) を用いて検算するアプローチです。この方法では、まず極板間隔の変化によって電気量\(Q\)と電気容量\(C\)がそれぞれどのように変化するかを計算し、その両方の変化を考慮してエネルギーの変化を求めます。
この設問における重要なポイント
- 電圧\(V\)が一定のとき、電気量\(Q\)は容量\(C\)に比例する (\(Q=CV\))。
- 容量\(C\)は間隔\(d\)に反比例する。
- したがって、\(Q\)は間隔\(d\)に反比例する。
具体的な解説と立式
初めの状態の電気量を\(Q_{\text{初}}\)、容量を\(C_{\text{初}}\)、エネルギーを\(U_{\text{初}}\)とします。
$$ U_{\text{初}} = \frac{Q_{\text{初}}^2}{2C_{\text{初}}} $$
間隔を3倍にした後の電気量を\(Q_{\text{後}}\)、容量を\(C_{\text{後}}\)、エネルギーを\(U_{\text{後}}\)とします。
$$ U_{\text{後}} = \frac{Q_{\text{後}}^2}{2C_{\text{後}}} $$
電圧\(V\)が一定なので、\(Q=CV\)より\(Q\)は\(C\)に比例します。また\(C \propto 1/d\)なので、\(Q \propto 1/d\)です。
間隔\(d\)が3倍になるので、
$$ Q_{\text{後}} = \frac{1}{3}Q_{\text{初}} $$
$$ C_{\text{後}} = \frac{1}{3}C_{\text{初}} $$
これらの関係を用いて、エネルギーの比 \(\displaystyle\frac{U_{\text{後}}}{U_{\text{初}}}\) を計算します。
使用した物理公式
- 静電エネルギー: \(U = \displaystyle\frac{Q^2}{2C}\)
- コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
- コンデンサーの電気容量: \(C = \varepsilon_0 \displaystyle\frac{S}{d}\)
$$
\begin{aligned}
\frac{U_{\text{後}}}{U_{\text{初}}} &= \frac{Q_{\text{後}}^2 / (2C_{\text{後}})}{Q_{\text{初}}^2 / (2C_{\text{初}})} \\[2.0ex]
&= \frac{Q_{\text{後}}^2}{Q_{\text{初}}^2} \cdot \frac{C_{\text{初}}}{C_{\text{後}}} \\[2.0ex]
&= \left( \frac{Q_{\text{後}}}{Q_{\text{初}}} \right)^2 \cdot \frac{C_{\text{初}}}{C_{\text{後}}} \\[2.0ex]
&= \left( \frac{1}{3} \right)^2 \cdot \frac{C_{\text{初}}}{C_{\text{初}}/3} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{9} \cdot 3 \\[2.0ex]
&= \frac{1}{3}
\end{aligned}
$$
エネルギーの別の公式 \(U = \displaystyle\frac{Q^2}{2C}\) を使って考えてみます。この場合、間隔を広げると、コンデンサーの性能\(C\)が悪くなるだけでなく、電池に接続されているためにコンデンサーから電気が逃げていき、蓄えられている電気の量\(Q\)も減ってしまいます。性能\(C\)は\(\displaystyle\frac{1}{3}\)倍に、電気の量\(Q\)も\(\displaystyle\frac{1}{3}\)倍になります。公式では\(Q\)は2乗で効いてくるので、これらの影響をすべて合わせて計算すると、やはりエネルギーは\(\displaystyle\frac{1}{3}\)倍になることがわかります。
主たる解法と全く同じ結果が得られました。どの公式を使っても矛盾のない結果が得られることは、物理法則の一貫性を示しています。ただし、この問題の条件(V一定)では、\(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2\) を使う方が計算がはるかに簡潔です。
問(3)
思考の道筋とポイント
今度は「スイッチを開き、その後、極板の間隔を3倍にした」という条件です。スイッチを開いた瞬間、コンデンサーは電池から切り離され、電気的に孤立します。このため、コンデンサーに蓄えられていた電気量\(Q\)は、その後、極板間隔を変えても一定に保たれます(電気量保存則)。
この条件下で、極板間の電場の強さ\(E\)がどうなるかを考えます。電場の強さ\(E\)は、極板上の電荷が作るものなので、電荷の量と関係があります。ガウスの法則から、極板の電荷密度\(\sigma\)(単位面積あたりの電気量)と電場の強さ\(E\)の間には \(E = \displaystyle\frac{\sigma}{\varepsilon_0}\) という関係があります。
この設問における重要なポイント
- スイッチを開く \(\rightarrow\) 電気量\(Q\)が一定。
- 電場の強さは極板の電荷密度で決まる: \(E = \displaystyle\frac{\sigma}{\varepsilon_0}\)。
- 電荷密度は \(\sigma = \displaystyle\frac{Q}{S}\)。
- \(Q\), \(S\), \(\varepsilon_0\)がすべて一定なので、電場\(E\)は変化しない。
具体的な解説と立式
初めの状態(スイッチを閉じて充電完了)で蓄えられている電気量を\(Q\)とします。
$$ Q = C_{\text{初}}V = \left( \varepsilon_0 \frac{S}{d} \right) V $$
このときの電場の強さは\(E_{\text{初}}\)です。
$$ E_{\text{初}} = \frac{V}{d} $$
スイッチを開くと、電気量\(Q\)が保存されます。この状態で極板間隔を3倍(\(3d\))にします。このときの電場の強さを\(E_{\text{後}}\)とします。
電場の強さは、極板の電荷密度\(\sigma\)によって \(E = \displaystyle\frac{\sigma}{\varepsilon_0}\) と表せます。電荷密度は\(\sigma = \displaystyle\frac{Q}{S}\)です。
スイッチを開いてから間隔を広げても、電気量\(Q\)と面積\(S\)は変わらないため、電荷密度\(\sigma\)は一定です。したがって、電場の強さ\(E\)も変化しません。
$$ E_{\text{後}} = E_{\text{初}} $$
よって、電場の強さは初めの状態の1倍(変化しない)となります。
使用した物理公式
- 電気量保存則
- 電場と電荷密度の関係: \(E = \displaystyle\frac{\sigma}{\varepsilon_0} = \displaystyle\frac{Q}{\varepsilon_0 S}\)
別の視点(模範解答の方法)で計算してみます。
間隔を3倍にした後の電気容量は \(C_{\text{後}} = \varepsilon_0 \displaystyle\frac{S}{3d} = \frac{C_{\text{初}}}{3}\) となります。
電気量\(Q\)は一定なので、後の電圧を\(V_{\text{後}}\)とすると、\(Q = C_{\text{後}}V_{\text{後}}\)が成り立ちます。
初めの状態では \(Q = C_{\text{初}}V\) だったので、
$$ C_{\text{後}}V_{\text{後}} = C_{\text{初}}V $$
$$
\begin{aligned}
V_{\text{後}} &= \frac{C_{\text{初}}}{C_{\text{後}}}V \\[2.0ex]
&= \frac{C_{\text{初}}}{C_{\text{初}}/3}V \\[2.0ex]
&= 3V
\end{aligned}
$$
後の電場\(E_{\text{後}}\)は、後の電圧\(V_{\text{後}}\)と後の間隔\(3d\)を用いて、
$$
\begin{aligned}
E_{\text{後}} &= \frac{V_{\text{後}}}{3d} \\[2.0ex]
&= \frac{3V}{3d} \\[2.0ex]
&= \frac{V}{d}
\end{aligned}
$$
これは初めの電場\(E_{\text{初}}\)と等しいです。したがって、比は1となります。
今度は、コンデンサーを電池から切り離してから、極板の間隔を広げます。切り離されているので、コンデンサーにたまった電気はどこにも逃げられず、その量\(Q\)は一定のままです。電場の強さは、極板にどれだけ電気が密集しているか(電荷密度)で決まります。電気の量も極板の面積も変わらないので、電気の密集具合も変わりません。したがって、電場の強さも変化しない(1倍)ということになります。
電場の強さは1倍(変化しない)となります。孤立したコンデンサーの極板間隔を広げると、電圧は上昇しますが、電場は一定に保たれるという、重要な性質が確認できました。
問(4)
思考の道筋とポイント
模範解答では、(3)で求めた電圧の変化(\(V_{\text{後}}=3V_{\text{初}}\))と、容量の変化(\(C_{\text{後}}=\frac{1}{3}C_{\text{初}}\))の両方を使って、\(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2\) からエネルギーの変化を計算しています。ここではその解法を主たる解説とします。
この設問における重要なポイント
- スイッチを開いている \(\rightarrow\) 電気量\(Q\)が一定。
- (3)の結果から、電圧は3倍になる。
- 容量は\(\displaystyle\frac{1}{3}\)倍になる。
- 静電エネルギーの公式 \(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2\) を用いて、\(C\)と\(V\)両方の変化を考慮する。
具体的な解説と立式
初めの状態の容量を\(C_{\text{初}}\)、電圧を\(V_{\text{初}}(=V)\)、エネルギーを\(U_{\text{初}}\)とします。
$$ U_{\text{初}} = \frac{1}{2}C_{\text{初}}V_{\text{初}}^2 $$
間隔を3倍にした後の容量を\(C_{\text{後}}\)、電圧を\(V_{\text{後}}\)、エネルギーを\(U_{\text{後}}\)とします。
$$ U_{\text{後}} = \frac{1}{2}C_{\text{後}}V_{\text{後}}^2 $$
これまでの計算から、
$$ C_{\text{後}} = \frac{1}{3}C_{\text{初}} $$
$$ V_{\text{後}} = 3V_{\text{初}} $$
これらの関係を用いて、エネルギーの比 \(\displaystyle\frac{U_{\text{後}}}{U_{\text{初}}}\) を計算します。
使用した物理公式
- 静電エネルギー: \(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2\)
$$
\begin{aligned}
\frac{U_{\text{後}}}{U_{\text{初}}} &= \frac{\frac{1}{2}C_{\text{後}}V_{\text{後}}^2}{\frac{1}{2}C_{\text{初}}V_{\text{初}}^2} \\[2.0ex]
&= \frac{C_{\text{後}}}{C_{\text{初}}} \cdot \left( \frac{V_{\text{後}}}{V_{\text{初}}} \right)^2 \\[2.0ex]
&= \left( \frac{1}{3} \right) \cdot \left( 3 \right)^2 \\[2.0ex]
&= \frac{1}{3} \cdot 9 \\[2.0ex]
&= 3
\end{aligned}
$$
したがって、静電エネルギーは初めの状態の3倍になります。
(3)で考えたように、コンデンサーを電池から切り離して間隔を広げると、性能\(C\)は\(\displaystyle\frac{1}{3}\)倍になり、電圧\(V\)は3倍になります。エネルギーの公式 \(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2\) にこの変化を当てはめてみます。\(C\)が\(\displaystyle\frac{1}{3}\)倍、\(V\)が3倍(ただし公式では2乗なので影響は9倍)になるので、トータルでは \(\displaystyle\frac{1}{3} \times 9 = 3\) 倍となります。
静電エネルギーは3倍になります。極板間隔を広げるという「仕事」を外部から加えた結果、その仕事の分だけコンデンサーのエネルギーが増加したと解釈できます。これはエネルギー保存則とも整合する、物理的に妥当な結果です。
思考の道筋とポイント
この問題の条件は「スイッチを開いた後」であり、電気量\(Q\)が一定に保たれます。したがって、3つのエネルギー公式の中で、\(Q\)が一定であることを最も直接的に反映できる \(U = \displaystyle\frac{Q^2}{2C}\) を使うのが、最も本質的で計算も簡潔なアプローチです。
この設問における重要なポイント
- スイッチを開いている \(\rightarrow\) 電気量\(Q\)が一定。
- 静電エネルギーの公式として\(U = \displaystyle\frac{Q^2}{2C}\)を選択する。
- \(Q\)が一定なので、\(U\)は\(C\)に反比例する。
- 電気容量\(C\)は極板間隔\(d\)に反比例する (\(C \propto \displaystyle\frac{1}{d}\))。
具体的な解説と立式
初めの状態の容量を\(C_{\text{初}}\)、電気量を\(Q\)、エネルギーを\(U_{\text{初}}\)とします。
$$ U_{\text{初}} = \frac{Q^2}{2C_{\text{初}}} $$
間隔を3倍にした後の容量を\(C_{\text{後}}\)、エネルギーを\(U_{\text{後}}\)とします。電気量は\(Q\)のままです。
$$ C_{\text{後}} = \frac{1}{3}C_{\text{初}} $$
$$ U_{\text{後}} = \frac{Q^2}{2C_{\text{後}}} $$
求めたいのは、エネルギーの比 \(\displaystyle\frac{U_{\text{後}}}{U_{\text{初}}}\) です。
使用した物理公式
- 静電エネルギー: \(U = \displaystyle\frac{Q^2}{2C}\)
$$
\begin{aligned}
\frac{U_{\text{後}}}{U_{\text{初}}} &= \frac{Q^2/(2C_{\text{後}})}{Q^2/(2C_{\text{初}})} \\[2.0ex]
&= \frac{C_{\text{初}}}{C_{\text{後}}} \\[2.0ex]
&= \frac{C_{\text{初}}}{C_{\text{初}}/3} \\[2.0ex]
&= 3
\end{aligned}
$$
(3)と同じく、電気の量\(Q\)は一定のままです。エネルギーの公式として、今度は\(Q\)が入っている \(U = \displaystyle\frac{Q^2}{2C}\) を使うと非常に便利です。この式を見ると、エネルギーはコンデンサーの性能(電気容量\(C\))に反比例する(分母にあるので)ことが一目でわかります。間隔を3倍にしたので、性能は\(\displaystyle\frac{1}{3}\)になりました。エネルギーは性能に反比例するので、元の3倍になります。
主たる解法と全く同じ結果が得られました。この問題の条件(Q一定)では、この別解で用いた \(U = \displaystyle\frac{Q^2}{2C}\) の公式が、物理的状況を最も直接的に反映しており、計算も最も簡潔です。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 「V一定」と「Q一定」の条件分岐:
- 核心: この問題の根幹は、コンデンサーが置かれている状況に応じて、「電圧Vが一定に保たれる」のか「電気量Qが一定に保たれる」のかを正しく見極めることにあります。この判断が、その後のすべての物理量の変化を決定します。
- 理解のポイント:
- スイッチON(電池に接続) \(\rightarrow\) V一定: (1),(2)の状況。コンデンサーは常に電源とつながっているため、両端の電位差は電源電圧\(V\)に固定されます。極板間隔を変えると、容量\(C\)が変化し、それに伴って電荷\(Q=CV\)が電源との間で移動して調整されます。
- スイッチOFF(電池から孤立) \(\rightarrow\) Q一定: (3),(4)の状況。コンデンサーは回路から切り離され、電荷の逃げ道も供給源もありません。したがって、最初に蓄えられた電荷\(Q\)がそのまま保存されます。極板間隔を変えると、容量\(C\)が変化し、それに伴って電圧\(V=Q/C\)が変化します。
- 3つのエネルギー公式の戦略的使い分け:
- 核心: 静電エネルギーの3つの公式 \(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2\), \(U = \displaystyle\frac{Q^2}{2C}\), \(U = \displaystyle\frac{1}{2}QV\) は、どれも等価ですが、問題の条件によって計算のしやすさが全く異なります。最適な公式を選択する能力が問われます。
- 理解のポイント:
- V一定のとき \(\rightarrow\) \(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2\): この式を使えば、エネルギー\(U\)は\(C\)に比例するという単純な関係になり、計算が最も楽になります。(2)で有効です。
- Q一定のとき \(\rightarrow\) \(U = \displaystyle\frac{Q^2}{2C}\)**: この式を使えば、エネルギー\(U\)は\(C\)に反比例するという単純な関係になり、計算が最も楽になります。(4)で有効です。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 誘電体を挿入・抜去する問題: 極板間隔を変える代わりに、誘電体を挿入したり抜いたりする問題も本質は同じです。誘電体を挿入すると電気容量\(C\)は\(\varepsilon_r\)倍に増加し、抜去すると\(\displaystyle\frac{1}{\varepsilon_r}\)倍に減少します。この\(C\)の変化を元に、「V一定」か「Q一定」かの条件に応じて他の物理量の変化を追跡します。
- 極板を動かすのに必要な仕事を問う問題: (4)のように、スイッチを開いてから極板間隔を広げると静電エネルギーは増加します。このエネルギーの増加分 \(\Delta U = U_{\text{後}} – U_{\text{前}}\) は、外部から極板を引く力がした仕事に等しくなります。逆に(2)のように、スイッチを閉じたまま間隔を広げるとエネルギーは減少しますが、この場合は電池も仕事をするため、エネルギー収支はより複雑になります。
- 初見の問題での着眼点:
- 第一に「スイッチ」の状態を確認: 問題文を読んだら、まず「スイッチが閉じているか、開いているか」という記述に印をつけます。これがすべての思考の出発点です。
- 不変量(保存量)を特定する: スイッチの状態から、「V=一定」なのか「Q=一定」なのかを確定させ、ページの隅に大きくメモしておきます。
- 変化する量をリストアップする: 問題で操作されている量(この問題では\(d\))と、それによって変化する可能性のある量(\(C, Q, V, E, U\))をリストアップします。
- 比例関係で思考する: 「何倍になるか」を問う問題では、具体的な数値を計算するよりも、「\(E \propto 1/d\)」や「\(U \propto C\)」のような比例関係で考えると、思考が速く、ミスも少なくなります。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 「V一定」と「Q一定」の混同:
- 誤解: スイッチが開いているのに電圧が一定だと考えたり、閉じているのに電気量が一定だと考えてしまう、最も致命的なミス。
- 対策: 「スイッチON \(\leftrightarrow\) 電池と接続 \(\leftrightarrow\) 電圧一定」「スイッチOFF \(\leftrightarrow\) 孤立 \(\leftrightarrow\) 電気量一定」という対応関係を、物理的なイメージと共に完全に記憶しましょう。電池は「電圧を一定に保つポンプ」、孤立したコンデンサーは「蓋の閉まった水槽」とイメージすると間違えにくくなります。
- エネルギー公式の不適切な選択:
- 誤解: (4)のQ一定の状況で、わざわざ\(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2\)を使い、\(C\)の変化と\(V\)の変化を両方計算してしまい、計算が複雑になってミスをする。
- 対策: 問題を解き始める前に、「この条件なら、どの公式が一番楽か?」と一瞬考える癖をつけましょう。不変量(VまたはQ)が一つだけ含まれている公式を選ぶのが鉄則です。
- 電場と電圧の関係の混乱:
- 誤解: (3)で、電圧が3倍になるから電場も3倍になる、と短絡的に考えてしまう。
- 対策: 電場の公式は\(E=V/d\)です。\(V\)だけでなく、分母の\(d\)も変化していることを見落とさないようにしましょう。変化する量が複数ある場合は、必ず定義式に立ち返って、すべての変数の変化を考慮に入れることが重要です。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 電場の式 \(E=V/d\) vs \(E=Q/(\varepsilon_0 S)\):
- 選定理由: どちらも正しい電場の表現ですが、状況によって使いやすさが異なります。
- \(E=V/d\): (1)のように電圧\(V\)が一定の場合に有効です。\(E\)が\(d\)だけで決まることが一目瞭然です。
- \(E=Q/(\varepsilon_0 S)\): (3)のように電気量\(Q\)が一定の場合に有効です。\(E\)が\(d\)に依存せず、一定であることが瞬時にわかります。この使い分けができると、思考のショートカットが可能になります。
- エネルギーの式 \(U=\frac{1}{2}CV^2\) vs \(U=Q^2/(2C)\):
- 選定理由: 前述の通り、不変量が何かによって最適な公式が変わります。
- \(U=\frac{1}{2}CV^2\): (2)のように電圧\(V\)が一定の場合、\(U\)の変化は\(C\)の変化だけで決まるため、思考が単純化されます。
- \(U=Q^2/(2C)\): (4)のように電気量\(Q\)が一定の場合、\(U\)の変化は\(C\)の変化だけで決まるため、同様に思考が単純化されます。
- 適用根拠: これらの公式はすべて\(Q=CV\)の関係式で相互に変換可能です。したがって、どの公式を使っても物理的には同じことを計算していることになります。しかし、計算の手間とミスのリスクを最小限に抑えるために、「不変量を含む公式を選ぶ」という戦略的な思考が求められます。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 比の計算をマスターする: 「何倍か」を問う問題では、比の計算が中心となります。
- \(y = k \cdot x\) (比例)なら、\(x\)が3倍になれば\(y\)も3倍。
- \(y = k / x\) (反比例)なら、\(x\)が3倍になれば\(y\)は\(\displaystyle\frac{1}{3}\)倍。
- \(y = k \cdot x^2\) (2乗に比例)なら、\(x\)が3倍になれば\(y\)は\(3^2=9\)倍。
この関係を瞬時に判断できるように訓練しましょう。
- 変化の連鎖を追う:
- (4)を例にとると、「\(d\)が3倍 \(\rightarrow\) \(C\)が\(\displaystyle\frac{1}{3}\)倍 \(\rightarrow\) \(Q\)は一定なので\(V\)が3倍 \(\rightarrow\) \(U\)は\(\displaystyle\frac{1}{2}CV^2\)より \(\displaystyle\frac{1}{3} \times 3^2 = 3\)倍」のように、原因(\(d\)の変化)から結果(\(U\)の変化)までを、物理量の関係性で数珠つなぎに追っていくと、論理が明確になり、検算もしやすくなります。
- 言葉で確認する: 計算後、「スイッチが閉じていて間隔を広げると、容量が減るからエネルギーも減る。OK。」「スイッチが開いていて間隔を広げると、電荷は同じままで無理やり引き離すから、仕事をした分エネルギーは増える。OK。」のように、得られた結果が物理的な直感と合っているかを言葉で確認する習慣は、単純な計算ミスを防ぐのに非常に有効です。
389 コンデンサーの極板間の引力
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
本解説は、模範解答で採用されている解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。
- 提示する別解
- 設問(7)の別解: 一方の極板が作る電場から直接力を求める解法
- 模範解答が(5),(6)で計算した仕事とエネルギーの関係から間接的に力を導出するのに対し、別解ではより根源的な「電荷が電場から受ける力」の公式 \(F=qE\) を用いて、極板間の引力を直接計算します。
- 設問(7)の別解: 一方の極板が作る電場から直接力を求める解法
- 上記の別解が有益である理由
- 物理的本質の深化: 極板間の引力の正体が「一方の極板が、もう一方の極板のつくる電場から受ける静電気力である」という、現象の根源的なメカニズムを理解することができます。
- 思考の柔軟性向上: エネルギー的なアプローチと、力学的なアプローチ(クーロン力)という、二つの異なる視点から同じ物理量を求める経験を積むことで、問題解決能力の幅が広がります。
- 解法の効率化: (5)や(6)の計算を経由せずに、(3)で求めた電場の知識から直接(7)の答えを導くことができ、思考のショートカットが可能になります。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「平行平板コンデンサーの基本性質と極板間引力」です。前半(1)~(4)ではコンデンサーの基本量(容量、電圧、電場、エネルギー)を定義式から計算させ、後半(5)~(7)では、それらの関係性を応用して、極板間に働く引力をエネルギーと仕事の関係から導出させます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 平行平板コンデンサーの基本公式: 電気容量\(C\)、電圧\(V\)、電場\(E\)、電気量\(Q\)、静電エネルギー\(U\)の各公式と、それらの相互関係を正確に理解していること。
- 電気的に孤立した系の性質: コンデンサーが充電後に電池から切り離されているため、極板間隔を変化させても電気量\(Q\)は一定に保たれる(電気量保存則)。
- 仕事とエネルギーの関係: 外力がコンデンサーにした仕事は、コンデンサーの静電エネルギーの増加分に等しい(エネルギー保存則)。
- 極板間引力: 正負に帯電した極板どうしは、静電気力によって引き合う。この力は、極板間隔が十分に狭い場合、間隔によらず一定となる。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)~(4)は、与えられた量(\(S, d, Q, \varepsilon_0\))を用いて、\(C, V, E, U\)を定義式に従って順番に計算していきます。
- (5)では、(4)で求めたエネルギーの式を使い、極板間隔が\(d\)から\(d+x\)に変化したときのエネルギーの差分を計算します。
- (6)では、エネルギー保存則(外力がした仕事 = 静電エネルギーの増加分)を用いて、外力の仕事を求めます。
- (7)では、(6)で求めた仕事\(W\)と移動距離\(x\)の関係式\(W=Fx\)を用いて、極板間の引力\(F\)を導出します。
問(1)
思考の道筋とポイント
平行平板コンデンサーの電気容量\(C\)を求める問題です。電気容量は、コンデンサーの幾何学的な形状(極板面積\(S\)、極板間隔\(d\))と、極板間を満たす物質の性質(誘電率\(\varepsilon_0\))によって決まります。定義式に与えられた文字をそのまま代入します。
この設問における重要なポイント
- 平行平板コンデンサーの電気容量の公式 \(C = \varepsilon \displaystyle\frac{S}{d}\) を覚えていること。
- 問題文より、極板間は真空なので誘電率は\(\varepsilon_0\)を用いる。
具体的な解説と立式
平行平板コンデンサーの電気容量\(C\)の公式は、真空の誘電率を\(\varepsilon_0\)、極板面積を\(S\)、極板間隔を\(d\)とすると、
$$ C = \varepsilon_0 \frac{S}{d} $$
使用した物理公式
- コンデンサーの電気容量: \(C = \varepsilon_0 \displaystyle\frac{S}{d}\)
これ以上の計算は不要です。
コンデンサーの性能(電気をどれだけ蓄えられるか)を示す「電気容量\(C\)」を求める問題です。これはコンデンサーの形で決まっていて、公式に面積\(S\)、間隔\(d\)、真空の性質を示す定数\(\varepsilon_0\)を当てはめるだけで計算できます。
電気容量\(C\)は\(\varepsilon_0 \displaystyle\frac{S}{d}\)と表せます。
問(2)
思考の道筋とポイント
コンデンサーの極板間の電位差(電圧)\(V\)を求める問題です。コンデンサーの最も基本的な関係式である\(Q=CV\)を利用します。問題で与えられている電気量\(Q\)と、(1)で求めた電気容量\(C\)を使って、\(V\)を求めます。
この設問における重要なポイント
- コンデンサーの基本公式 \(Q=CV\) を使いこなせること。
- (1)で求めた\(C\)の式を代入する。
具体的な解説と立式
コンデンサーの電気量\(Q\)、電気容量\(C\)、電位差\(V\)の関係式は、
$$ Q = CV $$
この式を\(V\)について解くと、
$$ V = \frac{Q}{C} $$
ここに、(1)で求めた \(C = \varepsilon_0 \displaystyle\frac{S}{d}\) を代入します。
使用した物理公式
- コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
$$
\begin{aligned}
V &= \frac{Q}{C} \\[2.0ex]
&= \frac{Q}{\varepsilon_0 S/d} \\[2.0ex]
&= \frac{Qd}{\varepsilon_0 S}
\end{aligned}
$$
コンデンサーの電圧\(V\)を求める問題です。電気量\(Q\)、性能\(C\)、電圧\(V\)の間には\(Q=CV\)という鉄板の公式があります。これを変形して\(V=Q/C\)とし、(1)で求めた\(C\)を代入すれば答えが出ます。
電位差\(V\)は\(\displaystyle\frac{Qd}{\varepsilon_0 S}\)と表せます。
問(3)
思考の道筋とポイント
極板間の電場の強さ\(E\)を求める問題です。平行平板コンデンサーの内部には、一様な電場ができています。一様な電場\(E\)と電位差\(V\)、距離\(d\)の間には\(V=Ed\)という関係があります。この関係を使い、(2)で求めた電位差\(V\)から電場\(E\)を計算します。
この設問における重要なポイント
- 一様な電場と電位差の関係式 \(V=Ed\) を利用する。
- (2)で求めた\(V\)の式を代入する。
具体的な解説と立式
一様な電場\(E\)と電位差\(V\)、極板間隔\(d\)の関係式は、
$$ V = Ed $$
この式を\(E\)について解くと、
$$ E = \frac{V}{d} $$
ここに、(2)で求めた \(V = \displaystyle\frac{Qd}{\varepsilon_0 S}\) を代入します。
使用した物理公式
- 一様な電場と電位差の関係: \(V=Ed\)
$$
\begin{aligned}
E &= \frac{V}{d} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{d} \left( \frac{Qd}{\varepsilon_0 S} \right) \\[2.0ex]
&= \frac{Q}{\varepsilon_0 S}
\end{aligned}
$$
電場の強さ\(E\)は、電圧\(V\)を距離\(d\)で割ることで求められます。これも基本公式の一つです。(2)で計算した電圧\(V\)の式を、距離\(d\)で割るだけです。
電場の強さ\(E\)は\(\displaystyle\frac{Q}{\varepsilon_0 S}\)と表せます。この式は、極板間隔\(d\)を含んでいません。これは、孤立したコンデンサーの極板間にできる電場は、極板間隔によらず、極板上の電荷密度(\(Q/S\))のみで決まるという重要な性質を示しています。
問(4)
思考の道筋とポイント
コンデンサーに蓄えられている静電エネルギー\(U\)を求める問題です。静電エネルギーの公式は3種類(\(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2\), \(U = \displaystyle\frac{Q^2}{2C}\), \(U = \displaystyle\frac{1}{2}QV\))あります。どの公式を使っても計算できますが、ここでは模範解答に合わせて\(U = \displaystyle\frac{1}{2}QV\)を用います。
この設問における重要なポイント
- 静電エネルギーの公式 \(U = \displaystyle\frac{1}{2}QV\) を利用する。
- (2)で求めた\(V\)の式を代入する。
具体的な解説と立式
静電エネルギー\(U\)の公式の一つは、
$$ U = \frac{1}{2}QV $$
ここに、(2)で求めた \(V = \displaystyle\frac{Qd}{\varepsilon_0 S}\) を代入します。
使用した物理公式
- 静電エネルギー: \(U = \displaystyle\frac{1}{2}QV\)
$$
\begin{aligned}
U &= \frac{1}{2}Q \left( \frac{Qd}{\varepsilon_0 S} \right) \\[2.0ex]
&= \frac{Q^2 d}{2\varepsilon_0 S}
\end{aligned}
$$
コンデンサーに蓄えられたエネルギー\(U\)を計算します。エネルギーの公式はいくつかありますが、ここでは\(U = \displaystyle\frac{1}{2}QV\)を使ってみます。問題文で与えられている\(Q\)と、(2)で計算した\(V\)をこの式に代入して計算します。
静電エネルギー\(U\)は\(\displaystyle\frac{Q^2 d}{2\varepsilon_0 S}\)と表せます。
問(5)
思考の道筋とポイント
極板Bを距離\(x\)だけ動かしたときの、静電エネルギーの変化量\(\Delta U\)を求める問題です。エネルギーの変化量は「(後のエネルギー)-(前のエネルギー)」で計算できます。
前のエネルギーは(4)で求めた\(U\)です。後のエネルギーは、極板間隔が\(d+x\)になったときのエネルギーです。(4)で求めたエネルギーの式の\(d\)を\(d+x\)に置き換えることで、後のエネルギーを計算できます。
この設問における重要なポイント
- エネルギーの変化 \(\Delta U = U_{\text{後}} – U_{\text{前}}\)。
- \(U_{\text{後}}\)は、\(U_{\text{前}}\)の式の\(d\)を\(d+x\)に置き換えることで求められる。
具体的な解説と立式
初めの状態(間隔\(d\))のエネルギー\(U_{\text{前}}\)は、(4)より、
$$ U_{\text{前}} = \frac{Q^2 d}{2\varepsilon_0 S} $$
後の状態(間隔\(d+x\))のエネルギー\(U_{\text{後}}\)は、上の式の\(d\)を\(d+x\)に置き換えて、
$$ U_{\text{後}} = \frac{Q^2 (d+x)}{2\varepsilon_0 S} $$
エネルギーの変化\(\Delta U\)は、これらの差です。
$$ \Delta U = U_{\text{後}} – U_{\text{前}} $$
使用した物理公式
- (4)で導出した静電エネルギーの式
$$
\begin{aligned}
\Delta U &= U_{\text{後}} – U_{\text{前}} \\[2.0ex]
&= \frac{Q^2 (d+x)}{2\varepsilon_0 S} – \frac{Q^2 d}{2\varepsilon_0 S} \\[2.0ex]
&= \frac{Q^2}{2\varepsilon_0 S} ((d+x) – d) \\[2.0ex]
&= \frac{Q^2 x}{2\varepsilon_0 S}
\end{aligned}
$$
極板を少し動かしたときに、エネルギーがどれだけ変化したかを計算します。単純に、「動かした後のエネルギー」から「動かす前のエネルギー」を引き算すればOKです。動かす前のエネルギーは(4)で計算済み。動かした後のエネルギーは、(4)の答えの式の距離\(d\)を、新しい距離\(d+x\)に書き換えるだけで求まります。
静電エネルギーの変化\(\Delta U\)は\(\displaystyle\frac{Q^2 x}{2\varepsilon_0 S}\)と表せます。\(x>0\)なので\(\Delta U > 0\)となり、極板を引き離すとエネルギーが増加することがわかります。
問(6)
思考の道筋とポイント
外力がした仕事\(W\)を求める問題です。コンデンサーは電気的に孤立しており、外部とのエネルギーのやりとりは「外力の仕事」のみです。したがって、エネルギー保存則より、「外力がした仕事」は「コンデンサーの静電エネルギーの増加分」に等しくなります。
この静電エネルギーの増加分\(\Delta U\)は、(5)で計算済みです。
この設問における重要なポイント
- 仕事とエネルギーの関係: \(W_{\text{外力}} = \Delta U_{\text{静電}}\)。
- (5)の結果をそのまま利用する。
具体的な解説と立式
エネルギー保存則より、外力がした仕事\(W\)は、静電エネルギーの増加量\(\Delta U\)に等しいです。
$$ W = \Delta U $$
(5)で求めた\(\Delta U\)を代入します。
使用した物理公式
- 仕事とエネルギーの関係(エネルギー保存則)
$$
\begin{aligned}
W &= \Delta U \\[2.0ex]
&= \frac{Q^2 x}{2\varepsilon_0 S}
\end{aligned}
$$
極板を動かすために、外から加えた仕事の量を求めます。物理の世界では、エネルギーは勝手に増えたり減ったりしません。この場合、外から仕事をした分だけ、コンデンサーのエネルギーが増えることになります。エネルギーがどれだけ増えたかは(5)で計算したので、それがそのまま外力のした仕事の答えになります。
外力のした仕事\(W\)は\(\displaystyle\frac{Q^2 x}{2\varepsilon_0 S}\)と表せます。
問(7)
思考の道筋とポイント
極板間に働く引力\(F\)の大きさを求める問題です。模範解答では、(6)で求めた仕事\(W\)と力の定義式\(W=Fx\)の関係から、力\(F\)を逆算しています。
極板を引き離すためには、極板間の引力\(F\)に逆らって、同じ大きさの外力\(F_{\text{外}}\)を加え続ける必要があります。この外力が距離\(x\)だけ移動したときの仕事が\(W = F_{\text{外}} x = Fx\)となります。
この設問における重要なポイント
- 仕事の定義式 \(W=Fx\) を利用する。
- 外力の大きさと極板間引力の大きさは等しい (\(F_{\text{外}}=F\))。
- (6)で求めた仕事\(W\)の式を代入する。
具体的な解説と立式
極板間の引力の大きさを\(F\)とします。極板をゆっくり引き離す外力の大きさ\(F_{\text{外}}\)は、この引力\(F\)とつりあっています。
$$ F_{\text{外}} = F $$
この外力がした仕事\(W\)は、
$$ W = F_{\text{外}} \cdot x = Fx $$
この式を\(F\)について解くと、
$$ F = \frac{W}{x} $$
ここに、(6)で求めた \(W = \displaystyle\frac{Q^2 x}{2\varepsilon_0 S}\) を代入します。
使用した物理公式
- 仕事の定義: \(W=Fx\)
$$
\begin{aligned}
F &= \frac{W}{x} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{x} \left( \frac{Q^2 x}{2\varepsilon_0 S} \right) \\[2.0ex]
&= \frac{Q^2}{2\varepsilon_0 S}
\end{aligned}
$$
いよいよ、極板どうしが引き合う力\(F\)を求めます。仕事は「力 × 距離」で計算できるので、逆に言えば、力は「仕事 ÷ 距離」で計算できます。(6)で計算した仕事\(W\)を、動かした距離\(x\)で割ることで、力の大きさが求まります。
極板間の引力\(F\)は\(\displaystyle\frac{Q^2}{2\varepsilon_0 S}\)と表せます。この式は、極板間隔\(d\)や移動距離\(x\)を含んでいません。これは、極板間の引力は、極板間隔によらず一定であることを示しています。これは(3)で電場が一定であったことと関連する重要な結果です。
思考の道筋とポイント
エネルギーと仕事の関係を経由せず、静電気力の定義から直接、極板間引力\(F\)を求めるアプローチです。
極板Bが受ける引力は、極板Aが作る電場から受ける力と考えられます。ここで注意すべきは、極板Bの位置には、極板Aが作る電場しかないという点です。極板B自身が作る電場から、自分自身が力を受けることはありません。
したがって、まず「極板Aだけが作る電場」の強さを求め、その電場の中に置かれた電荷\(-Q\)を持つ極板Bが受ける力として、\(F=qE\)の公式を適用します。
この設問における重要なポイント
- 極板Bが受ける力は、極板Aが作る電場\(E_A\)によるもの。
- 1枚の無限に広い極板が作る電場の強さは \(E = \displaystyle\frac{\sigma}{2\varepsilon_0}\) である。(\(\sigma\)は電荷密度)
- コンデンサー内部の電場\(E\)は、極板Aが作る電場\(E_A\)と極板Bが作る電場\(E_B\)の合成である (\(E = E_A + E_B\))。
- 力の公式 \(F=qE\) を適用する。
具体的な解説と立式
極板A(電荷\(+Q\), 電荷密度\(\sigma = Q/S\))が単独で作る電場の強さを\(E_A\)とすると、ガウスの法則より、
$$ E_A = \frac{\sigma}{2\varepsilon_0} = \frac{Q}{2\varepsilon_0 S} $$
この電場は、極板Aから離れる向き(A→Bの向き)です。
同様に、極板B(電荷\(-Q\), 電荷密度\(-\sigma\))が単独で作る電場の強さ\(E_B\)の大きさも、
$$ E_B = \frac{\sigma}{2\varepsilon_0} = \frac{Q}{2\varepsilon_0 S} $$
この電場は、極板Bに近づく向き(A→Bの向き)です。
したがって、コンデンサー内部の合成電場\(E\)は、
$$ E = E_A + E_B = \frac{Q}{2\varepsilon_0 S} + \frac{Q}{2\varepsilon_0 S} = \frac{Q}{\varepsilon_0 S} $$
となり、(3)の結果と一致します。
さて、極板Bが受ける引力\(F\)は、極板Aが作る電場\(E_A\)の中に、電荷\(-Q\)を持つ極板Bが置かれていることによる力です。力の大きさは、
$$ F = |-Q| \cdot E_A $$
で計算できます。
使用した物理公式
- 1枚の帯電平板が作る電場の式: \(E = \displaystyle\frac{\sigma}{2\varepsilon_0}\)
- 電荷が電場から受ける力の式: \(F=qE\)
$$
\begin{aligned}
F &= |-Q| \cdot E_A \\[2.0ex]
&= Q \cdot \left( \frac{Q}{2\varepsilon_0 S} \right) \\[2.0ex]
&= \frac{Q^2}{2\varepsilon_0 S}
\end{aligned}
$$
プラスとマイナスの板が引き合うのは、プラスの板が作る電場(電気的な力の空間)の中にマイナスの板が置かれ、力を受けるからです。ここで大事なのは、コンデンサー内部の電場は「プラスの板が作る電場」と「マイナスの板が作る電場」の合作だということです。マイナスの板が受ける力は、相方であるプラスの板が作る電場からのみ計算します。コンデンサー全体の電場のちょうど半分の強さの電場から力を受ける、と考えると分かりやすいです。
主たる解法と全く同じ結果\(\displaystyle\frac{Q^2}{2\varepsilon_0 S}\)が得られました。この別解は、極板間引力の物理的な起源をより直接的に示しており、なぜ全体の電場\(E\)ではなく、その半分の\(E/2\)で力を計算するのか、という点を深く理解する上で非常に有益です。
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最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 仕事とエネルギーの関係(エネルギー保存則):
- 核心: この問題の後半(5)~(7)は、「外力がした仕事は、系のエネルギー変化に等しい」という、物理学における極めて重要なエネルギー保存則を、コンデンサーを題材に体感させる構成になっています。
- 理解のポイント:
- 孤立系でのエネルギー保存: コンデンサーが電池から切り離された「孤立系」では、外部とのエネルギーのやりとりは「仕事」のみです。したがって、\(W_{\text{外力}} = \Delta U_{\text{静電}}\) という関係が成り立ちます。
- エネルギーから力を求める思考: この関係を利用すると、直接測定するのが難しい「力」を、計算可能な「エネルギーの変化」から逆算することができます。具体的には、微小距離\(\Delta x\)だけ動かしたときのエネルギー変化\(\Delta U\)を求め、\(F = \displaystyle\frac{\Delta U}{\Delta x}\)(大学物理では\(F = \displaystyle\frac{dU}{dx}\))の関係から力を導出します。これが(5)~(7)の思考フローの根幹です。
- 極板間引力の物理的起源:
- 核心: なぜ極板間に引力が働くのか、その力の大きさは何で決まるのかを、2つの異なる視点から理解することが重要です。
- 理解のポイント:
- エネルギー的視点(主たる解法): 極板を引き離すと静電エネルギーが増加する((5))。このエネルギーは、外力が仕事をしたからに他ならない((6))。この仕事から逆算すると、引力の大きさが求められる((7))。
- 力学的視点(別解): 引力の正体は、一方の極板(例:A)が作る電場が、もう一方の極板(例:B)上の電荷に及ぼす静電気力である。重要なのは、極板Bが力を受けるのは、あくまで極板Aが作る電場(全体の電場の半分)からである、という点です。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 電池に接続したまま極板を動かす問題: この場合、極板を動かすと電圧\(V\)が一定のまま電荷\(Q\)が変化します。外力がする仕事に加えて、電池も仕事(電荷を移動させる)をします。このときのエネルギー収支は、\(\Delta U = W_{\text{外力}} + W_{\text{電池}}\)となり、より複雑な考察が必要になります。
- 誘電体を挿入・抜去するのに必要な力: 極板間に誘電体を挿入すると、誘電分極によって極板と誘電体の間に引力が働き、誘電体は内部に引き込まれます。この引き込む力や、逆に引き抜くのに必要な力を、静電エネルギーの変化から計算する問題は頻出です。
- 初見の問題での着眼点:
- Q一定かV一定か: まず、コンデンサーが「孤立している(Q一定)」か「電池に接続されている(V一定)」かを確認します。これがエネルギー変化の計算方針を決定します。
- エネルギーと仕事の関係を疑う: 問題文に「外力がした仕事」や「必要な力」といった言葉が出てきたら、ほぼ間違いなく「仕事とエネルギーの関係」を使う問題です。まず\(\Delta U\)を計算する方針を立てます。
- どのエネルギー公式を使うか:
- Q一定なら、\(U = \displaystyle\frac{Q^2}{2C}\) が最も計算が楽。
- V一定なら、\(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2\) が最も計算が楽。
この戦略的な選択を常に意識します。
- 力の定義を思い出す: (7)のように力を問われた場合、エネルギーからのアプローチ(\(F=W/x\))と、電場からのアプローチ(\(F=qE\))の2つのルートがあることを念頭に置きます。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 極板間引力の計算ミス \(F=QE\):
- 誤解: 極板B(電荷\(Q\))が、コンデンサー内部の電場\(E\)から力を受けるとして、\(F=QE\)と計算してしまう。これは最も多い間違いです。
- 対策: 「自分自身の作る電場からは力を受けない」という原則を徹底します。コンデンサー内部の電場\(E\)は、極板Aが作る電場\(E_A\)と極板Bが作る電場\(E_B\)の合成(\(E=E_A+E_B\))です。極板Bが受ける力は、あくまで\(E_A\)からなので、\(F=QE_A\)としなければなりません。\(E_A = E/2\)なので、結果は\(F=Q(E/2)\)となります。
- 仕事とエネルギーの関係の符号ミス:
- 誤解: 外力がした仕事とエネルギー変化の関係で、符号を逆にしてしまう。
- 対策: 「外力が(保存力に逆らって)仕事をする \(\rightarrow\) 位置エネルギーが増加する」という基本関係を常に意識します。この問題では、外力が引力に逆らって極板を引き離すので、静電エネルギーは増加します。\(W = \Delta U\)であり、\(W = -\Delta U\)ではありません。
- (1)~(4)の計算ミスによる連鎖的失点:
- 誤解: 前半の基本的な計算でミスをすると、その結果を使う後半の問題がすべて不正解になってしまう。
- 対策: (1)~(4)は、後の問題の部品を作る重要な工程です。一つ一つの計算を丁寧に行い、例えば\(V=Ed\)や\(Q=CV\)などの関係式が、求めた答えの間で成り立っているか簡単な検算をする習慣をつけましょう。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- エネルギーと仕事の関係 \(W=\Delta U\):
- 選定理由: (7)で力を直接求めるのが難しい場合でも、(5)でエネルギーの変化\(\Delta U\)は比較的容易に計算できます。この\(\Delta U\)と、求めたい力\(F\)を媒介するのが「仕事」です。したがって、エネルギーと仕事の関係式は、エネルギーの世界と力学の世界を結ぶ「橋」として選定されます。
- 適用根拠: これは力学的エネルギー保存則の拡張です。系に加えられた仕事は、その系のエネルギーを変化させる、という物理学の根本原理に基づいています。コンデンサーが孤立しているため、熱の発生などを無視すれば、この関係が厳密に成り立ちます。
- 力の公式 \(F=qE\):
- 選定理由: (7)の別解で、引力の物理的実体(静電気力)に直接アプローチするために、この公式を選定します。
- 適用根拠: 電場とは「単位電荷あたりに働く静電気力」と定義される物理量です。したがって、電荷\(q\)の物体が電場\(E\)の中に置かれれば、力\(F=qE\)を受けるのは定義そのものです。このアプローチは、エネルギーの概念を介さず、力の定義に直接基づいている点で、より根源的と言えます。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 文字式の整理を丁寧に行う: (5)の\(\Delta U\)の計算のように、複数の項を含む引き算では、共通因子でくくりだすのが計算ミスの防止に有効です。\(\displaystyle\frac{Q^2(d+x)}{2\varepsilon_0 S} – \displaystyle\frac{Q^2d}{2\varepsilon_0 S}\) を計算する際、共通因子である \(\displaystyle\frac{Q^2}{2\varepsilon_0 S}\) でくくると、\(\displaystyle\frac{Q^2}{2\varepsilon_0 S}((d+x)-d)\) となり、括弧の中が\(x\)だけになることが一目瞭然です。
- 単位や次元の確認: 計算結果が出たら、その式の次元(単位)が求めている物理量と一致しているかを確認する癖をつけましょう。例えば(7)で求めた力の式 \(\displaystyle\frac{Q^2}{\varepsilon_0 S}\) の次元が、本当に力の次元(\([MLT^{-2}]\))になっているかを確認することで、大きな間違いに気づけることがあります。
- ストーリーを意識する: この問題は(1)から(7)まで一貫したストーリーになっています。(1)~(4)でコンデンサーの基本スペックを計算し、(5)でエネルギーの変化量を求め、(6)でそれを仕事と結びつけ、(7)で仕事から力を求める、という流れです。この全体の流れを意識することで、各設問が何を意図しているのかが明確になり、思考が整理されます。
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