基礎CHECK
1 波の要素
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「波形グラフからの物理量の読み取り」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 振幅(\(A\))の定義: 振動の中心から最大変位(山または谷)までの距離。
- 波長(\(\lambda\))の定義: 1波長分の長さ。同じ位相の隣り合う2点間の距離(例:山と山、谷と谷)。
- 波形グラフ(\(y-x\)グラフ)の理解: ある瞬間の波の形を表すグラフであり、横軸が位置、縦軸が媒質の変位を示す。
- 半波長と波長の関係: 隣り合う山と谷の間の水平距離は、波長の半分(\(\displaystyle\frac{\lambda}{2}\))に相当する。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 与えられた波形グラフから、振動の中心から最大変位までの長さを読み取り、振幅\(A\)を決定する。
- グラフに示された特徴的な長さ(この場合は山と谷の間の距離)が、波長の何倍に相当するかを考え、波長\(\lambda\)を計算する。
思考の道筋とポイント
この問題は、波の最も基本的な2つの要素である「振幅」と「波長」の定義を正しく理解し、それを波形グラフから読み取れるかを問うています。波形グラフは、ある瞬間の波の形状を写真のように切り取ったもので、横軸が位置(\(x\))、縦軸がその位置における媒質の変位(\(y\))を表します。図中に示された数値が、それぞれどの物理量に対応するのかを正確に見極めることが、正解への鍵となります。特に、与えられた長さが波長そのものではなく、半波長である点に注意が必要です。
この設問における重要なポイント
- 振幅 \(A\): 媒質の振動の大きさを示すスカラー量です。振動の中心(つり合いの位置)から、最も大きく変位した点(山または谷)までの距離を指します。
- 波長 \(\lambda\): 空間的に同じ位相を持つ、隣り合った2点間の距離です。最も分かりやすい例は、隣り合う山と山の間隔、または谷と谷の間隔です。波が1周期の時間をかけて進む距離に等しくなります。
- 波形グラフ (\(y-x\)グラフ): ある特定の時刻における、波の形をスナップショットとして表したものです。このグラフからは、振幅\(A\)と波長\(\lambda\)を直接読み取ることができます。
- 半波長 (\(\displaystyle\frac{\lambda}{2}\)): 隣り合う山と谷の間の水平距離は、ちょうど波長の半分になります。これは、位相が\(\pi\)ずれている点同士の距離に相当します。
具体的な解説と立式
この問題では、与えられた波形グラフから振幅\(A\)と波長\(\lambda\)を求めます。
1. 振幅 \(A\) の決定
振幅\(A\)は、振動の中心(変位が\(0\)の線)から波の山(最も高い点)または谷(最も低い点)までの変位の大きさです。
図を見ると、振動の中心から山までの高さが\(1.0 \, \text{cm}\)と明記されています。
したがって、振幅\(A\)はそのまま読み取ることができます。
$$
A = 1.0 \, (\text{cm})
$$
2. 波長 \(\lambda\) の決定
波長\(\lambda\)は、波1つ分の長さです。例えば、隣り合う山と山の間隔が波長に相当します。
図で与えられている\(1.5 \, \text{cm}\)という長さは、波の山と隣の谷の間の水平距離です。この距離は、波長のちょうど半分、つまり半波長(\(\displaystyle\frac{\lambda}{2}\))にあたります。
したがって、以下の関係式が成り立ちます。
$$
\frac{\lambda}{2} = 1.5 \, (\text{cm})
$$
使用した物理公式
- 振幅の定義: \(A = (\text{最大変位の大きさ})\)
- 波長の定義: \(\lambda = (\text{1波長分の長さ})\)
- 山と谷の水平距離と波長の関係: \((\text{山と谷の水平距離}) = \displaystyle\frac{\lambda}{2}\)
振幅 \(A\) の計算
図から直接読み取れるため、特別な計算は不要です。
$$
A = 1.0 \, (\text{cm})
$$
波長 \(\lambda\) の計算
「具体的な解説と立式」で立てた関係式を解いて\(\lambda\)を求めます。
$$
\begin{aligned}
\frac{\lambda}{2} &= 1.5 \\[2.0ex]\lambda &= 2 \times 1.5 \\[2.0ex]&= 3.0 \, (\text{cm})
\end{aligned}
$$
よって、振幅は\(1.0 \, \text{cm}\)、波長は\(3.0 \, \text{cm}\)となります。
この問題は、グラフを見て波の「高さ」と「1セットの長さ」を見つけるクイズのようなものです。
- 振幅(高さ): グラフの真ん中の線から、波の山のてっぺんまでがどれくらいの高さかを見ます。図に「\(1.0 \, \text{cm}\)」と書いてあるので、これがそのまま振幅\(A\)の答えになります。
- 波長(1セットの長さ): 波は「山」と「谷」がセットになっています。波長というのは、この「山1つ+谷1つ」の全体の長さのことです。図に書いてある「\(1.5 \, \text{cm}\)」は、山のてっぺんから谷の底までの横の長さなので、これは「半セット分」の長さを表しています。したがって、1セット分である波長\(\lambda\)を求めるには、この半セット分の長さを2倍します。\(1.5 \, \text{cm} \times 2 = 3.0 \, \text{cm}\)が答えです。
2 周期と振動数
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「周期と振動数の関係」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 周期(\(T\))の定義: 1回の振動にかかる時間。単位は秒(\(\text{s}\))。
- 振動数(\(f\))の定義: 1秒あたりの振動回数。単位はヘルツ(\(\text{Hz}\))。
- 周期と振動数の関係: 周期と振動数は互いに逆数の関係にある。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 周期(\(T\))と振動数(\(f\))の関係式を思い出す。
- 与えられた周期の値を関係式に代入し、振動数を計算する。
思考の道筋とポイント
この問題は、波や振動を記述する上で最も基本的な物理量である「周期」と「振動数」の関係を理解しているかを問うています。この2つの量は、一方が分かればもう一方も計算できるという密接な関係にあります。その関係性、すなわち「互いに逆数である」という点を正確に覚えていれば、計算は非常にシンプルです。単位の確認も重要で、周期は時間なので秒(\(\text{s}\))、振動数は1秒あたりの回数なのでヘルツ(\(\text{Hz}\))となります。
この設問における重要なポイント
- 周期 \(T\) [\(\text{s}\)]: 媒質が1回振動して、元の状態(同じ位相)に戻るまでにかかる時間のことです。「1回あたり何秒か」を表します。
- 振動数 \(f\) [\(\text{Hz}\)]: 1秒間に媒質が振動する回数のことです。「1秒あたり何回か」を表します。
- 逆数の関係: 周期が長い(ゆっくり振動する)ほど、1秒間に振動できる回数(振動数)は少なくなります。逆に、周期が短い(速く振動する)ほど、1秒間に振動できる回数は多くなります。この関係は \(f = \displaystyle\frac{1}{T}\) という簡単な式で表されます。
具体的な解説と立式
振動数\(f\)は、周期\(T\)の逆数として定義されます。これは、1回の振動にかかる時間(周期)が分かれば、1秒間に何回振動できるか(振動数)が計算できることを意味します。
その関係式は以下の通りです。
$$
f = \frac{1}{T}
$$
問題文より、媒質の振動の周期は \(T = 2.0 \, \text{s}\) と与えられています。この値を上記の関係式に代入することで、求める振動数\(f\)を立式できます。
使用した物理公式
- 周期と振動数の関係式: \(f = \displaystyle\frac{1}{T}\)
「具体的な解説と立式」で立てた式に、問題文で与えられた周期 \(T = 2.0 \, \text{s}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
f &= \frac{1}{T} \\[2.0ex]&= \frac{1}{2.0} \\[2.0ex]&= 0.50 \, (\text{Hz})
\end{aligned}
$$
問題文の周期が「2.0」と有効数字2桁で与えられているため、計算結果も有効数字2桁で答えるのが適切です。したがって、答えは \(0.50 \, \text{Hz}\) となります。
「周期」というのは、「1回ブルっと震えるのに何秒かかるか」という時間のことです。
一方で、「振動数」というのは、「1秒間に何回ブルブル震えるか」という回数のことです。
この二つは、互いに逆の関係になっています。
この問題では、「1回震えるのに2.0秒かかります」と言っています。
では、「1秒間では何回震えるでしょうか?」と考えてみましょう。
1秒は、2.0秒のちょうど半分(\(\displaystyle\frac{1}{2}\))の時間です。なので、震える回数も半分になります。つまり、1回の半分で0.5回です。
したがって、1秒あたり0.5回振動するので、振動数は \(0.50 \, \text{Hz}\) となります。
3 波の基本式
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「波の基本式の理解と適用」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 波の速さ(\(v\))、振動数(\(f\))、波長(\(\lambda\))の定義の理解。
- 波の基本式 \(v=f\lambda\) の関係。
- 周期(\(T\))を用いた表現 \(v = \displaystyle\frac{\lambda}{T}\) との関係性の理解。
- 各物理量の単位の確認(\(\text{m/s}\), \(\text{Hz}\), \(\text{m}\))。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 問題文で与えられた物理量(振動数と波長)を確認する。
- 波の速さ、振動数、波長を結びつける基本式 \(v=f\lambda\) を選択する。
- 式に数値を代入し、波の速さを計算する。
思考の道筋とポイント
この問題は、波の3つの基本要素である「速さ \(v\)」「振動数 \(f\)」「波長 \(\lambda\)」の関係性を問う、波の分野における最も基本的な計算問題です。これら3つの量を結びつける \(v=f\lambda\) という公式を正しく記憶し、与えられた数値を代入して計算できるかが問われます。この公式は、単に暗記するだけでなく、「波は1秒間に\(f\)回振動し、1回の振動で波長\(\lambda\)だけ進む。したがって、1秒間に進む距離(速さ)は、\(f\)と\(\lambda\)の積で表される」という物理的な意味を理解しておくと、忘れにくく、応用も効くようになります。
この設問における重要なポイント
- 波の基本式 \(v=f\lambda\): 波の伝わる速さ\(v\)は、1秒あたりの振動回数\(f\)と、1回の振動で進む距離(波長\(\lambda\))の積で表されます。これは波の分野で最も重要な公式の一つです。
- 単位の関係: \([\text{m/s}] = [\text{Hz}] \times [\text{m}]\) という関係が成り立ちます。ここで、ヘルツ(\(\text{Hz}\))は「1/秒」(\(1/\text{s}\))と同じ意味を持つ単位なので、\([\text{m/s}] = [1/\text{s}] \times [\text{m}]\) となり、単位の次元が一致していることが確認できます。
- 周期を用いた表現: 振動数\(f\)と周期\(T\)には \(f = \displaystyle\frac{1}{T}\) という逆数の関係があります。これを基本式に代入すると、\(v = \displaystyle\frac{\lambda}{T}\) とも書けます。これは「波が1周期(\(T\))の時間で1波長(\(\lambda\))進む」という、速さの定義そのものを表しており、直感的にも理解しやすい形です。
具体的な解説と立式
波の速さ\(v\)、振動数\(f\)、波長\(\lambda\)の間には、以下の基本式が成り立ちます。
$$
v = f \lambda
$$
この問題では、振動数 \(f = 3.0 \, \text{Hz}\) と波長 \(\lambda = 0.20 \, \text{m}\) が与えられています。
これらの値を上記の基本式に代入することで、波の速さ\(v\)を求めることができます。
使用した物理公式
- 波の基本式: \(v = f\lambda\)
「具体的な解説と立式」で立てた式に、問題文で与えられた数値を代入します。
$$
\begin{aligned}
v &= f \lambda \\[2.0ex]&= 3.0 \times 0.20 \\[2.0ex]&= 0.60 \, (\text{m/s})
\end{aligned}
$$
与えられた数値(\(3.0 \, \text{Hz}\), \(0.20 \, \text{m}\))はどちらも有効数字が2桁ですので、計算結果も有効数字2桁で \(0.60 \, \text{m/s}\) とします。
波の速さを求めるのは、簡単な掛け算でできます。
- 「振動数」は「1秒間に波が何回揺れるか」を表します。この問題では \(3.0 \, \text{Hz}\) なので、1秒間に3回揺れることを意味します。
- 「波長」は「その1回の揺れで、波がどれだけ前に進むか」という距離です。この問題では \(0.20 \, \text{m}\) です。
- つまり、この波は「1回の揺れで \(0.20 \, \text{m}\) 進む」という動きを、「1秒間に3回」繰り返しているわけです。
- したがって、1秒間に進む全体の距離(つまり速さ)は、この2つを掛け合わせることで求められます。
\(3.0 \text{ (回/秒)} \times 0.20 \text{ (m/回)} = 0.60 \text{ (m/秒)}\) となります。
4 波の要素
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「波形グラフの移動から波の基本量を求める」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 波の速さの定義: 波の特定の点(山など)が、ある時間内にどれだけの距離を移動したかに基づいて計算する(速さ = 移動距離 / 時間)。
- 波形グラフからの波長の読み取り: グラフ上の特徴的な2点間(例:山と山、山と谷)の距離から波長を決定する。
- 波の基本式: 波の速さ(\(v\))、波長(\(\lambda\))、周期(\(T\))を結びつける関係式 \(v = \displaystyle\frac{\lambda}{T}\) を利用する。
- 山と谷の水平距離と波長の関係: 隣り合う山と谷の間の水平距離は、半波長(\(\displaystyle\frac{\lambda}{2}\))に相当する。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 図から、波の山が指定された時間内に移動した距離を読み取る。
- 「速さ = 距離 ÷ 時間」の公式を用いて、波の速さ\(v\)を計算する。
- 図から、波の山と谷の間隔などを利用して、波長\(\lambda\)を求める。
- 波の基本式 \(v = \displaystyle\frac{\lambda}{T}\) を変形し、速さ\(v\)と波長\(\lambda\)から周期\(T\)を計算する。
思考の道筋とポイント
この問題は、時間経過による波形の移動を捉え、そこから波の基本的な物理量(速さ、周期)を導出する問題です。まず、波の速さを求めるために、波形上の特定の点(この問題では「山P」)がどれだけの時間でどれだけの距離を移動したかに注目します。実線の波形(時刻0)と破線の波形(0.20秒後)を比較することで、この移動距離と時間が分かります。次に、周期を求めるためには、波の基本式 \(v = \lambda/T\) を利用します。この式を使うには波長\(\lambda\)が必要になるため、まずグラフから波長を読み取る作業を行います。図から直接読み取れるのは半波長である点に注意が必要です。
この設問における重要なポイント
- 波の速さ \(v\): 波形そのものが進む速さです。波の特定の位相(山、谷など)が単位時間あたりに進む距離で定義されます。すなわち、時間\(\Delta t\)の間に距離\(\Delta x\)だけ進んだ場合、速さは \(v = \displaystyle\frac{\Delta x}{\Delta t}\) となります。
- 波長 \(\lambda\): 波形グラフから読み取ります。隣り合う山と山の間隔、または谷と谷の間隔が1波長です。この問題の図では、山と隣の谷の水平距離が示されており、これは半波長(\(\displaystyle\frac{\lambda}{2}\))に相当します。
- 周期 \(T\): 波の基本式 \(v = \displaystyle\frac{\lambda}{T}\) を変形して求めます。この式は「波は1周期(\(T\))の時間で1波長(\(\lambda\))進む」という物理的な意味を持っており、速さ、波長、周期の関係を理解する上で非常に重要です。
具体的な解説と立式
1. 波の速さ \(v\) の立式
問題文と図から、波は時間 \(\Delta t = 0.20 \, \text{s}\) の間に、山P(位置 \(x_{\text{前}} = 0.30 \, \text{m}\))から山P’(位置 \(x_{\text{後}} = 0.60 \, \text{m}\))まで移動しています。
この間の移動距離を \(\Delta x\) とすると、
$$
\Delta x = x_{\text{後}} – x_{\text{前}}
$$
となります。
したがって、波の速さ \(v\) は、速さの定義式より次のように立式できます。
$$
v = \frac{\Delta x}{\Delta t}
$$
2. 周期 \(T\) の立式
周期\(T\)を求めるには、まず波長\(\lambda\)を求める必要があります。
図の実線の波形を見ると、山が \(x_{\text{山}}=0.30 \, \text{m}\) の位置にあり、その隣の谷が \(x_{\text{谷}}=0.90 \, \text{m}\) の位置にあります。
山と谷の水平距離は半波長 \(\displaystyle\frac{\lambda}{2}\) に等しいので、
$$
\frac{\lambda}{2} = x_{\text{谷}} – x_{\text{山}}
$$
という関係が成り立ちます。
次に、波の基本式 \(v = \displaystyle\frac{\lambda}{T}\) を周期\(T\)について解くと、
$$
T = \frac{\lambda}{v}
$$
となり、この式に先に求めた\(v\)とこれから求める\(\lambda\)を代入して\(T\)を計算します。
使用した物理公式
- 速さの定義: \(v = \displaystyle\frac{\text{移動距離}}{\text{かかった時間}}\)
- 波の基本式: \(v = \displaystyle\frac{\lambda}{T}\)
- 山と谷の水平距離と波長の関係: \((\text{山と谷の水平距離}) = \displaystyle\frac{\lambda}{2}\)
波の速さ \(v\) の計算
まず、波が移動した距離 \(\Delta x\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
\Delta x &= x_{\text{後}} – x_{\text{前}} \\[2.0ex]&= 0.60 – 0.30 \\[2.0ex]&= 0.30 \, (\text{m})
\end{aligned}
$$
次に、この \(\Delta x\) とかかった時間 \(\Delta t = 0.20 \, \text{s}\) を用いて、速さ \(v\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
v &= \frac{\Delta x}{\Delta t} \\[2.0ex]&= \frac{0.30}{0.20} \\[2.0ex]&= 1.5 \, (\text{m/s})
\end{aligned}
$$
周期 \(T\) の計算
まず、波長\(\lambda\)を計算します。山と谷の水平距離から半波長を求めます。
$$
\begin{aligned}
\frac{\lambda}{2} &= x_{\text{谷}} – x_{\text{山}} \\[2.0ex]&= 0.90 – 0.30 \\[2.0ex]&= 0.60 \, (\text{m})
\end{aligned}
$$
したがって、波長 \(\lambda\) は、
$$
\begin{aligned}
\lambda &= 2 \times 0.60 \\[2.0ex]&= 1.20 \, (\text{m})
\end{aligned}
$$
次に、この\(\lambda\)と先ほど求めた\(v\)の値を使って、周期\(T\)を計算します。
$$
\begin{aligned}
T &= \frac{\lambda}{v} \\[2.0ex]&= \frac{1.20}{1.5} \\[2.0ex]&= \frac{12}{15} \\[2.0ex]&= \frac{4}{5} \\[2.0ex]&= 0.80 \, (\text{s})
\end{aligned}
$$
よって、波の速さは \(1.5 \, \text{m/s}\)、周期は \(0.80 \, \text{s}\) となります。
この問題は2段階で考えます。
1. 速さを求める
- まず、波の「山」がどれだけ動いたかを見ます。
- グラフの実線(動く前)では、山は \(0.30 \, \text{m}\) の場所にあります。
- \(0.20\) 秒後に、グラフの破線(動いた後)を見ると、山は \(0.60 \, \text{m}\) の場所に移動しています。
- つまり、この波は \(0.20\) 秒間で \(0.60 – 0.30 = 0.30 \, \text{m}\) 進んだことになります。
- 速さは「距離 ÷ 時間」で計算できるので、\(0.30 \, \text{m} \div 0.20 \, \text{s} = 1.5 \, \text{m/s}\) となります。
2. 周期を求める
- 「周期」とは、波が1回揺れるのにかかる時間のことです。これを求めるために、まず「波1回分の長さ(波長)」を調べます。
- グラフを見ると、山のてっぺん(\(0.30 \, \text{m}\))から谷の底(\(0.90 \, \text{m}\))までの横の長さは \(0.90 – 0.30 = 0.60 \, \text{m}\) です。これは波の「半分の長さ」です。
- したがって、波1回分の長さ(波長)は、これを2倍して \(0.60 \, \text{m} \times 2 = 1.20 \, \text{m}\) となります。
- この波は、\(1.20 \, \text{m}\) 進むごとに1回の揺れが完了します。
- 先ほど、波の速さは \(1.5 \, \text{m/s}\) だと分かりました。では、「\(1.20 \, \text{m}\) 進むのに何秒かかるか」を計算すれば、それが周期になります。
- 時間は「距離 ÷ 速さ」で計算できるので、\(1.20 \, \text{m} \div 1.5 \, \text{m/s} = 0.80 \, \text{s}\) となります。
5 位相
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「波の位相の理解」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 位相の定義: 振動の状態(変位と速度)を表す量。
- 同位相の定義: 2つの点の振動の状態が全く同じであること。
- 逆位相の定義: 2つの点の振動の状態が正反対であること。
- 波形グラフ(\(y-x\)グラフ)の読み取り: 各点の変位と、その後の動きの向きをグラフから読み取る。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 基準となる点aの振動の状態(変位と、この後の動きの向き)を把握する。
- 他の点(b, c, d, e)の振動の状態を一つずつ調べる。
- 点aと振動の状態が全く同じ点を「同位相」、正反対の点を「逆位相」として選び出す。
問(1)
思考の道筋とポイント
(1)では、点aと「同位相」の点を探します。「同位相」とは、波における振動の状態が完全に一致している点のことを指します。波形グラフ上で見ると、単に変位が同じだけでなく、その後の動きの向き(速度)も同じでなければなりません。直感的には、波の上で「全く同じ役割」を果たしている点を探すことになります。
この設問における重要なポイント
- 同位相: 2つの点の振動状態が完全に一致していること。具体的には、以下の2つの条件を同時に満たします。
- 変位が等しい。
- 速度(変位の変化の向き)が等しい。
- 波形グラフ上では、1波長(\(\lambda\))離れた点どうしは、常に同位相になります。
- 例えば、「山の頂上」と「次の山の頂上」、「谷の底」と「次の谷の底」は同位相です。
具体的な解説と立式
この問題は計算ではなく、グラフの各点の状態を吟味します。
- 基準点aの状態分析:
- 変位: 点aは波の「谷」にあり、変位は負の最大値です。
- 速度: もしこの波が右に進んでいると仮定すると、点aはこれから上向きに動きます(変位が0に近づく方向)。
- 各点の状態分析:
- 点b: 変位は0です。これから上向きに動きます(山に向かう)。点aとは変位が異なります。
- 点c: 変位は正の最大値(山)です。点aとは変位が異なります。
- 点d: 変位は0です。これから下向きに動きます(谷に向かう)。点aとは変位が異なります。
- 点e: 変位は負の最大値(谷)です。これから上向きに動きます。
- 結論:
- 点eは、点aと比べて「変位が等しく(どちらも谷)」、かつ「この後の動きの向きも等しい(どちらも上向き)」です。
- したがって、点aと同位相の点は点eです。
使用した物理公式
- 同位相の定義: 2点間の変位と速度がそれぞれ等しい。
この問題には計算過程はありません。上記の「具体的な解説と立式」で述べた各点の状態の吟味そのものが解答プロセスとなります。
- 点a: 谷(変位が負で最大)
- 点e: 谷(変位が負で最大)
- 点aと点eは同位相。
「同位相」の点を探すのは、波の上にいる「双子」を探すようなものです。
- 点aは、波の一番低い「谷底」にいます。
- グラフの中で、他に「谷底」にいる点を探すと、点eが見つかります。
- 谷と谷、山と山のように、波の同じ部分にある点が「同位相」の候補です。この問題では、点aと同じ谷にある点eが答えとなります。
問(2)
思考の道筋とポイント
(2)では、点aと「逆位相」の点を探します。「逆位相」とは、振動の状態がすべて正反対になっている点のことを指します。変位の大きさは同じですが符号が逆で、動きの向きも正反対になります。直感的には、波の上で「あまのじゃく」のような、すべてが逆の振る舞いをする点を探すことになります。
この設問における重要なポイント
- 逆位相: 2つの点の振動状態が正反対であること。具体的には、以下の2つの条件を同時に満たします。
- 変位の大きさが等しく、符号が逆である。(\(y_1 = -y_2\))
- 速度の向きが逆である。
- 波形グラフ上では、半波長(\(\lambda/2\))離れた点どうしは、常に逆位相になります。
- 例えば、「山の頂上」と「谷の底」は逆位相の関係にあります。
具体的な解説と立式
設問(1)と同様に、各点の状態を吟味します。
- 基準点aの状態分析:
- 変位: 負の最大値(谷)。
- 速度: 上向き。
- 各点の状態分析:
- 点b: 変位0。点aと変位の大きさが異なります。
- 点c: 変位は正の最大値(山)。点aと変位の大きさは等しく、符号が逆です。また、この後、点cは下向きに動きます。これは点aの動き(上向き)と正反対です。
- 点d: 変位0。点aと変位の大きさが異なります。
- 点e: 点aと同位相です。
- 結論:
- 点cは、点aと比べて「変位の符号が逆(谷と山)」であり、かつ「この後の動きの向きも逆(上向きと下向き)」です。
- したがって、点aと逆位相の点は点cです。
使用した物理公式
- 逆位相の定義: 2点間の変位の符号が逆で、速度の向きも逆。
この問題には計算過程はありません。上記の「具体的な解説と立式」で述べた各点の状態の吟味そのものが解答プロセスとなります。
- 点a: 谷(変位が負で最大)、動きは上向き。
- 点c: 山(変位が正で最大)、動きは下向き。
- 点aと点cは逆位相。
「逆位相」の点を探すのは、波の上にいる「あまのじゃく」を探すようなものです。やることなすこと全てが正反対の点です。
- 点aは、一番低い「谷底」にいます。
- この正反対の状態は、一番高い「山のてっぺん」です。
- グラフの中で「山のてっぺん」にいるのは点cです。
- 点aが谷、点cが山なので、これらは互いに逆位相の関係にあります。
6 縦波
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「縦波の横波表示の解釈」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 縦波の横波表示のルール: 媒質の変位を、波の進行方向と垂直な方向の変位に置き換えてグラフ化する手法。
- 変位の向きの判定: 横波表示グラフのy座標の正負が、実際の変位の向き(右向きか左向きか)に対応する。
- 密部・疎部の定義: 縦波において、媒質の密度が周囲より大きい部分を「密部」、小さい部分を「疎部」という。
- 密部・疎部の判定方法: 横波表示グラフから、各点の周囲の媒質がどのように変位するかを読み取り、媒質が集まるか(密)、離れるか(疎)を判断する。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- まず、縦波の横波表示におけるルールの基本(y座標の符号と変位の向きの関係)を確認する。
- 「変位が左向きの点」を問われているので、y座標が負になる点をグラフから探す。
- 次に、「最も密な点」を問われているので、「密」の定義(媒質が集まる点)を思い出す。
- グラフ上の各点について、その左右の媒質の変位の向きを調べ、媒質が集まってくる点を特定する。
変位が左向きの点
思考の道筋とポイント
縦波は媒質の振動方向と波の進行方向が平行な波ですが、そのままだと図にしにくいため、変位を90度回転させた「横波表示」で表すのが一般的です。この問題では、まずその表示ルールを正しく理解することが鍵となります。「変位が左向き」という条件が、グラフのどの部分に対応するのかを考えます。
この設問における重要なポイント
- 縦波の横波表示のルール:
- 媒質の変位が波の進行方向(x軸正方向)と同じ向き(右向き)の場合、グラフのy座標を正(\(y>0\))として表す。
- 媒質の変位が波の進行方向と逆向き(左向き)の場合、グラフのy座標を負(\(y<0\))として表す。
- したがって、「変位が左向きの点」を探すことは、「グラフ上でy座標が負になっている点」を探すことと同じです。
具体的な解説と立式
この問題は計算ではなく、グラフの解釈が中心となります。
- ルールの適用: 上記の「重要なポイント」で確認したルールに従います。問題では「変位が左向きの点」を求められているので、グラフ上でy座標が負(\(y<0\))の領域にある点を探します。
- グラフの読解: グラフ上の点aからgまでを見ていくと、y座標が負になっているのは点dと点eです。問題の模範解答では代表してdが挙げられています。
- 結論: グラフ上でy座標が負である点dは、変位が左向きです。
使用した物理公式
- 縦波の横波表示における変位の定義:
- 右向き変位 \(\Leftrightarrow\) \(y > 0\)
- 左向き変位 \(\Leftrightarrow\) \(y < 0\)
この問題には計算過程はありません。グラフのy座標の符号を読み取ることが解答プロセスとなります。
- 点dはy座標が負の領域にある。
- したがって、点dの変位は左向きである。
この特殊なグラフでは、縦軸(y軸)が「変位の向き」を表しています。
- グラフがx軸より上側にあれば「右向き」の変位。
- グラフがx軸より下側にあれば「左向き」の変位。
問題では「左向きの点」を聞かれているので、グラフの下側にある点を探します。図を見ると、点dが下側にあるので、これが答えになります。
最も密な点
思考の道筋とポイント
次に「最も密な点」を探します。「密」とは、媒質がぎゅっと集まってきて、密度が高くなっている場所のことです。これを判断するには、ある点の「左右の媒質」が、その点に向かって動いてくるのか、それとも離れていくのかを調べる必要があります。変位が最大となる山や谷の点ではなく、変位が0の点に注目することが重要です。
この設問における重要なポイント
- 密な点(密部): ある点を中心として、その左右の媒質が集まってくる点。横波表示グラフでは、変位が0で、グラフが右下がりにx軸を横切る点が該当します。
- 疎な点(疎部): ある点を中心として、その左右の媒質が離れていく点。横波表示グラフでは、変位が0で、グラフが右上がりにx軸を横切る点が該当します。
- 変位が最大・最小の点(山・谷): これらの点では、周囲の媒質が同じ方向に同じように動くため、密度は変化せず、疎密ではありません。
具体的な解説と立式
各点が密か疎かを、その点の左右の媒質の動きから判断します。
- 点c(変位0)の分析:
- 点cの少し左側にある媒質(点b付近)は、y座標が正なので右向きに変位します。
- 点cの少し右側にある媒質(点d付近)は、y座標が負なので左向きに変位します。
- つまり、点cの位置に対して、左側の媒質は右から近づき、右側の媒質は左から近づきます。両側から媒質が集まってくるので、点cは最も密な点です。
- 点g(変位0)の分析:
- 点gの少し左側にある媒質(点f付近)は、y座標が正なので右向きに変位します。
- 点gの少し右側にある媒質は、y座標が負なので左向きに変位します。
- 点cと同様に、点gの位置にも両側から媒質が集まってくるので、点gも最も密な点です。
- (比較)点e(変位0)の分析:
- 点eの少し左側にある媒質(点d付近)は、y座標が負なので左向きに変位します。
- 点eの少し右側にある媒質(点f付近)は、y座標が正なので右向きに変位します。
- つまり、点eの位置からは左右に媒質が離れていくので、点eは最も疎な点となります。
使用した物理公式
- 密部の定義: 左右の媒質が集まってくる点。
この問題には計算過程はありません。上記の「具体的な解説と立式」で述べた、各点の左右の媒質の動きを分析するプロセスが解答となります。
- 点c, g: 左側の媒質は右へ、右側の媒質は左へ変位するため、媒質が集まる \(\rightarrow\) 密。
- 点a, e: 左側の媒質は左へ、右側の媒質は右へ変位するため、媒質が離れる \(\rightarrow\) 疎。
「密な点」とは、周りの媒質が押し寄せてきて混雑する場所のことです。
- 点cを見てみましょう。cの左側(bのあたり)はグラフが上にあるので、媒質は右に動きます。cの右側(dのあたり)はグラフが下にあるので、媒質は左に動きます。結果、cの場所には左右から媒質が「こんにちは!」と集まってくるので、cは「密」になります。
- 点gも同じ理由で「密」です。
- 逆に点eを見てみましょう。eの左側はグラフが下にあるので左に動き、右側はグラフが上にあるので右に動きます。eからは「さようなら!」と媒質が離れていくので、eは「疎(そ)」、つまりスカスカになります。
7 定在波(定常波)
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「定在波の腹と節の特定」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 定在波(定常波)の定義: 逆向きに進む同じ波が重なってできる、進行しない波。
- 腹の定義: 定在波において、振幅が最大になる点。
- 節の定義: 定在波において、全く振動しない(振幅が常に0の)点。
- 定在波の図の読み方: 図に描かれた実線と点線は、ある瞬間の波形ではなく、各点の振動の最大範囲(包絡線)を示している。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 図が定在波の振動の様子を表していることを理解する。
- 図から、振動の振れ幅が最も大きい点を探し、それを「腹」として選び出す。
- 図から、全く振動せず、常に変位が0の点を探し、それを「節」として選び出す。
思考の道筋とポイント
この問題は、定在波(定常波)の基本的な特徴である「腹」と「節」を、図から正しく見つけ出すことができるかを問うています。進行波と異なり、定在波は波形が移動せず、その場で各点が決まった振幅で振動します。図に描かれている実線と点線は、波が時間変化する様子ではなく、各点が振動するときの最大変位の範囲を示している「包絡線」であると理解することが最も重要です。この図の意味を把握できれば、腹と節を特定するのは容易です。
この設問における重要なポイント
- 定在波(定常波): 同じ振幅、波長、速さを持つ2つの波が逆向きに進んで重なり合うことで生じる、進行しない波です。
- 腹: 定在波において、媒質の振幅が最大になる位置です。振動が最も激しい部分にあたります。
- 節: 定在波において、媒質の振幅が常に0の位置です。全く振動しない部分にあたります。
- 腹と節の間隔:
- 隣り合う腹と腹の間隔は半波長(\(\displaystyle\frac{\lambda}{2}\))です。
- 隣り合う節と節の間隔も半波長(\(\displaystyle\frac{\lambda}{2}\))です。
- 隣り合う腹と節の間隔は1/4波長(\(\displaystyle\frac{\lambda}{4}\))です。
具体的な解説と立式
この問題は計算式を立てるのではなく、図の各点の性質を定義に基づいて吟味します。
1. 腹の位置の特定
腹は、定義によれば「振幅が最大になる点」です。
図を見ると、各点の振動の最大範囲が示されています。この振れ幅が最も大きくなっている点を探します。
- 点a, c, e, g, i は、上下に最も大きく振動する位置にあります。
したがって、これらの点が腹の位置となります。
2. 節の位置の特定
節は、定義によれば「全く振動しない点」、つまり振幅が常に0の点です。
図において、常に変位が0(x軸上)に留まっている場所を探します。
- 点b, d, f, h は、波形が常にx軸と交差しており、振幅が0であることがわかります。
したがって、これらの点が節の位置となります。
使用した物理公式
- 腹の定義: 振幅が最大となる点。
- 節の定義: 振幅が常に0となる点。
この問題には計算過程はありません。図の読み取りそのものが解答プロセスとなります。
- 振幅が最大となる点(腹): a, c, e, g, i
- 振幅が0となる点(節): b, d, f, h
定在波は、縄跳びの縄を両端で持って、片方を揺らしたときに見える形に似ています。
- 腹: 縄が一番大きく「ブンブン」と揺れている場所のことです。図では、上下の振れ幅が一番大きい点 a, c, e, g, i が腹にあたります。
- 節: 縄が全く動かないで、じっとしている場所のことです。図では、常に真ん中の線の上にあって動かない点 b, d, f, h が節にあたります。
腹の位置: a, c, e, g, i
節の位置: b, d, f, h
[mathjax] SNSでのシェアはご自由にどうぞ。(上のボタンをクリック) ブログで引用する際には、こちらのリンクを添えてください。【引用】https://makoto-physics-school.com[…]