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講義ノート(板書PDF)
「力の図示→運動方程式→解く」を根本から組み直すドクター型講義
講義ノート
【今回のポイント】
- 速度の合成は、向きを符号(\(+\) と \(-\))に翻訳したうえで複数の速度を「足し算」する。第1講で身につけた「向きを式に持ち込む」感覚が、ここでそのまま武器になる。公式を \(1\) つ増やす講ではなく、向きの扱い方を延長する講だと捉えてほしい。
- 相対速度は「自分から見た相手の速度」であり、「相手の速度 \(-\) 自分の速度」で求める。引き算の向きを「自分 \(-\) 相手」と取り違えるのは、第1講で扱った「向きを後回しにするクセ」の延長で起こるつまずきである。
- 斜め方向は計算ではなく作図で解く。合成は「矢印を連結」、相対速度は「自分から相手へ矢印を引く」。向きを図に落とせるかが、この講の最大の診断ポイントになる。
【講義解説】
速度の合成
結論から言えば、複数の速度が組み合わさる場合、それぞれの速度を向きを含めて「足し算」することで、実際の速度(合成速度)を求めることができる。
なぜ、数だけをそのまま足したり引いたりしてはいけないのか。速度は「大きさと向き」を持つ量だからである。第1講で「速度を答えるときは必ず向きを添える」と決めたのと同じことを、計算の場面でも続ける。具体的には、どちらか一方の向きをプラスと決め、逆向きをマイナスとして符号で表したうえで足し合わせる。向きを言葉のまま持っていると足せないが、符号に翻訳した瞬間に「ただの足し算」に変わる——これが速度の合成の正体である。
ここで自分の手順を点検してほしい。問題を読んで「合成だから足すのか、それとも引くのか」と一瞬でも迷ったなら、向きを言葉のまま抱えたまま計算に入ろうとしている。この迷いこそ、この講で見つけたい思考のクセである。処方箋は、判断を増やすことではなく順番を固定することにある。①正の向きを紙の端に書く → ②それぞれの速度に \(+\) か \(-\) を付ける → ③そのまま足す。この \(3\) 手順に固定してしまえば、「足すか引くか」を決める場面そのものが消える。
上の図で見てほしいのは、矢印の長さよりも矢印の向きである。同じ向きに並んだ \(2\) 本は符号がそろい、向かい合う \(2\) 本は符号が分かれる。図を見ながら「この矢印は \(+\) か、\(-\) か」と口に出す——たったそれだけで、向きが言葉から式へ乗り移っていく。
動く歩道の上を歩く場面を思い浮かべてほしい。歩道が自分を運ぶ速度と、自分が足で歩く速度が「組み合わさって」、見ている人から見た実際の速さが決まる。同じ向きに歩けば速く、逆向きに歩けば遅くなる。速度の合成とは、この「乗り物の速度+自分の速度」を、向きまで含めてきちんと足し合わせる作業のことである。図にしてみると、違いは矢印を同じ向きに並べるか、向かい合わせに置くかだけしかない。
図: 乗り物と自分の矢印がそろうか向かい合うかだけで、合計の長さが決まる
無風のとき \(3\,\text{m}/\text{s}\) で走る人を例に、進行方向をプラスとして向きを符号にしてみる。追い風 \(2\,\text{m}/\text{s}\) は同じ向きなので \(+2\)、向かい風 \(2\,\text{m}/\text{s}\) は逆向きなので \(-2\) と書ける。
$$\begin{aligned}
\text{追い風のとき} &= (+3) + (+2) \\[2.0ex]
&= +5\,\text{m}/\text{s}
\end{aligned}$$
$$\begin{aligned}
\text{向かい風のとき} &= (+3) + (-2) \\[2.0ex]
&= +1\,\text{m}/\text{s}
\end{aligned}$$
同じ「足し算」でも、向きを符号に直しておけば、追い風で速くなり向かい風で遅くなることが自動的に答えに出る。風の向きを言葉のまま扱おうとすると迷うが、符号にしてしまえば計算が向きを引き受けてくれる。式が向きを覚えていてくれる状態を作る——これが、この節で持ち帰ってほしい処方箋である。
🩺 要点整理
速度の合成は「向きを符号にしてからの足し算」である。
向きを言葉で持つと足せない。符号に翻訳した瞬間、ただの足し算になる。
よくあるつまずき
症状:「追い風だから足す」「向かい風だから引く」と、そのつど大きさだけを見て足すか引くかを決めてしまい、条件が変わるたびに迷う。
診断:向きを言葉のまま持ち歩いているサインである。速度が「大きさ」と「向き」の \(2\) つを持つ量だということが、計算の場面でだけ抜け落ちている。
処方箋:計算に入る前に「どちらをプラスにするか」を \(1\) 回だけ決め、すべての速度に符号を付けてから足す。上の数値例のように、符号にしてしまえば操作は足し算だけになり、足すか引くかを毎回考える必要そのものが消える。
向きが逆の速度どうしを合成するとき、あなたは何をするか。本文を見ずに、手順を順番に言ってみよう。答えを確認
①どちらを正の向きにするかを先に決める → ②それぞれの速度に \(+\) と \(-\) の符号を付ける → ③そのまま足す、の3手順。「逆向きだから引く」と言ってしまった場合は、引き算という別の操作を覚えているサインである。処方箋は、引くのではなく「\(-\) を付けてから足している」と言い直すこと。合成はどんな向きの組み合わせでも、最後は必ず足し算1種類で済む。
相対速度
相対速度とは、結論から言えば「自分から見た相手の速度」のことである。計算式は「相手の速度 \(-\) 自分の速度」となる。
なぜ引き算なのか。動いている自分を「止まっている基準(速度 \(0\))」とみなすために、自分の速度を全体から差し引くからである。自分の速度を引いてしまえば、自分は \(0\) になり、残った分が「自分から見て相手がどう動くか」になる。ここで多くの生徒は引き算の向きを「自分 \(-\) 相手」と逆にしてしまう。これは第1講で扱った「向きを後回しにするクセ」が、引き算の順番という形で顔を出したものである。
ここで自分に一問だけ問いかけてほしい。「Aに対するBの速度」と書かれたとき、どちらが基準(自分)で、どちらが見られる側(相手)かを、迷わず言えるだろうか。少しでも迷ったなら、式を \(v_{AB}\) という記号の並びとして持っていて、意味の側から組み立て直せていないというサインである。「〜に対する」の直前に立っているものが自分——この読み替えを一度手に入れてしまえば、添字の順番を思い出す作業そのものが要らなくなる。
よくあるつまずき
症状:「Aに対するBの相対速度」を求めるときに、\((+60)-(+80)\) のように「自分 \(-\) 相手」と逆順で引いてしまい、大きさは合っているのに向きだけが反対になる。
診断:大きさが合っていて向きだけ外れるときは、計算力ではなく「誰を自分(基準)に置くか」を決める工程が抜けている。第1講の「向きを後回しにするクセ」が、引き算の順番という形で顔を出したものである。
処方箋:式を書く前に「自分は誰か」を先に口に出して確定させ、必ず「相手 \(-\) 自分」の順に並べる。上の図でも、矢印は自分から相手へ向かって引いている。順番さえ固定してしまえば、出てきた符号がそのまま「前か後ろか」を教えてくれる。
上の図でも、引かれているのは常に「自分」の側である。自分の速度を消して \(0\) にした世界をいったん作り、その中で相手がどう動いて見えるかを眺める。相対速度の図は、いつもこの手順を絵にしているだけである。
走っている電車の窓から外を眺めると、止まっているはずの木や電柱が後ろへ流れていく。木は一歩も動いていないのに、動いて見える——これが相対速度である。自分が前へ \(20\,\text{m}/\text{s}\) で進んでいる分だけ、外の景色は同じ速さで後ろへ動いて見える。「相手の速度から自分の速度を引く」とは、この「自分が動いている分を差し引いて、世界を見直す」操作そのものなのである。
図: 自分の速度を差し引くと、静止している木が逆向きに動いて見える
同じ向きに走る \(2\) 人で確かめる。自分が \(5\,\text{m}/\text{s}\)、相手が \(7\,\text{m}/\text{s}\) のとき、「相手 \(-\) 自分」で計算する。
$$\begin{aligned}
\text{相対速度} &= (+7) – (+5) \\[2.0ex]
&= +2\,\text{m}/\text{s}
\end{aligned}$$
プラスなので、自分から見ると相手は前方へ \(2\,\text{m}/\text{s}\) で遠ざかる。逆に自分が \(7\)、相手が \(5\) なら \((+5)-(+7)=-2\,\text{m}/\text{s}\) となり、相手は後方へ下がって見える。引き算の順番を「相手 \(-\) 自分」で固定しておけば、符号がそのまま「前か後ろか」を教えてくれる。答えの符号を情景に戻して読めたなら、その場で自分の答えを検算できたことになる。
症状:速度の合成は「足し算」だったのに、相対速度は「引き算」。どちらを使うのかが問題ごとに揺れ、\(v_{AB} = v_B – v_A\) の添字をどちら向きに書くかで手が止まる。
診断:式を「記号の並び」として持っているために、意味の側から組み立て直せない状態である。第1講の「向きを後回しにするクセ」が、引き算の順番という形で表に出ている。
処方箋:記号ではなく「相手 \(-\) 自分」という日本語の言い回しで持つ。これは語呂合わせではなく、「誰を基準(自分)にして引くのか」という意味そのものを言葉にした道具なので、忘れても意味から作り直せる。「自分を引いて \(0\) にする」という理由とセットで持っておけば、添字に振り回されなくなる。
経過観察:この先の演習で、順番を逆にしてしまった問題に印を付けておく。日を置いて解き直したとき印が減っていれば、クセが治りかけている確かな手応えになる。
相対速度を求める式は「( )\(-\)( )」である。カッコに入るのは「相手」と「自分」のどちらが先か。また、なぜその順で引くのかを、本文を見ずに自分の言葉で言ってみよう。答えを確認
「相手 \(-\) 自分」の順。理由は、動いている自分を基準(速度 \(0\))にするために自分の速度を差し引くから。自分を引いて \(0\) にすれば、残りが「自分から見た相手の動き」になる。順番を意味から思い出せたら完璧。言葉が出てこなかった場合は、覚え直すのではなく「自分を \(0\) にする」という理由のほうへ戻るのが処方箋になる。
🩺 要点整理
相対速度で外れるのは計算力ではなく、順番の決め方である。次の \(3\) 手で固定しておく。
理由は「自分を引いて \(0\) にする」の一点だけ。ここさえ持っていれば、添字を忘れても式を作り直せる。
練習問題の解説
① 直線上の速度の合成(問1)
問題
\(20\,\text{m}/\text{s}\) の速さで走っている自動車に乗った人がボールを投げた。次の場合について、地面に立っている人から見た速さを求めよ。
(1) 前方に \(30\,\text{m}/\text{s}\) で投げた場合
(2) 後方に \(20\,\text{m}/\text{s}\) で投げた場合
解説
地面から見たボールの速度は、自動車の速度とボールを投げた速度の合成である。まず自動車の進行方向を正(プラス)と決める。向きを符号にしてしまえば、あとは足し算するだけになる。
(1) 自動車の速度は \(+20\,\text{m}/\text{s}\)、ボールは前方へ投げたので \(+30\,\text{m}/\text{s}\)。同じ向きなので符号も同じである。
$$\begin{aligned}
\text{地面から見た速度} &= (+30) + (+20) \\[2.0ex]
&= +50\,\text{m}/\text{s}
\end{aligned}$$
(2) 自動車は \(+20\,\text{m}/\text{s}\)、ボールは後方へ投げたので向きが逆、\(-20\,\text{m}/\text{s}\) となる。「後方」を符号のマイナスに翻訳できたかが診断ポイントである。
$$\begin{aligned}
\text{地面から見た速度} &= (-20) + (+20) \\[2.0ex]
&= 0\,\text{m}/\text{s}
\end{aligned}$$
答えが \(0\) になるのは、地面から見るとボールが空中で一瞬止まって見えることを意味する。自動車の速さとちょうど打ち消し合った、というイメージと結びつけて納得しておきたい。
(1) \(50\,\text{m}/\text{s}\)
(2) \(0\,\text{m}/\text{s}\)(地面から見ると一瞬止まって見える)
② 平面上の速度の合成(問2)
問題
流れの速さが \(2\,\text{m}/\text{s}\) の川がある。静水上を \(4\,\text{m}/\text{s}\) で進む船が、川を直角に横切りたいとき、へさきを向けるべき図の角 \(\theta\) を求めよ。
解説
斜め方向の合成は、計算ではなく矢印を連結して図形で考える。直線上では符号で足せたが、平面では向きが斜めになるため、足し算を「矢印をつなぐ作図」で実行する——これが平面の合成の核心である。
船が川を「直角に」横切るには、船の速度(斜め上向き)と川の流れ(右向き)を合成した結果が、川岸に対して垂直(真上向き)にならなければならない。そこで、船の速度の矢印の先端に、川の流れの矢印の始点を連結する。すると、斜辺が \(4\,\text{m}/\text{s}\)(船の速度)、底辺が \(2\,\text{m}/\text{s}\)(川の流れ)の直角三角形ができる。
辺の比に注目すると、底辺:斜辺 \(= 2 : 4 = 1 : 2\) である。直角三角形でこの比になるのは \(1 : 2 : \sqrt{3}\)、つまり \(30^\circ\)・\(60^\circ\)・\(90^\circ\) の三角形だけである。よって求める角は \(\theta = 30^\circ\) となる。「比を見たら有名角を思い出す」という第1講までの三角比の道具が、ここで効いてくる。
\(\theta = 30^\circ\)
③ 直線上の相対速度(問3)
問題
A:東向きに \(60\,\text{km}/\text{h}\) で進む
B:東向きに \(80\,\text{km}/\text{h}\) で進む
C:東向きに \(40\,\text{km}/\text{h}\) で進む
D:西向きに \(50\,\text{km}/\text{h}\) で進む
(1) Aに対するBの相対速度を求めよ。
(2) Aに対するCの相対速度を求めよ。
(3) Aに対するDの相対速度を求めよ。



解説
「Aに対する」とは「Aから見た」という意味であり、Aが「自分」になる。東向きを正と決め、「相手 \(-\) 自分」の順で引く。順番を固定しておくのが、符号で迷わないための処方箋である。
(1) B(相手)は \(+80\)、A(自分)は \(+60\)。
$$\begin{aligned}
\text{相対速度} &= (+80) – (+60) \\[2.0ex]
&= +20\,\text{km}/\text{h}
\end{aligned}$$
プラスなので東向き、\(20\,\text{km}/\text{h}\) である。
(2) C(相手)は \(+40\)、A(自分)は \(+60\)。
$$\begin{aligned}
\text{相対速度} &= (+40) – (+60) \\[2.0ex]
&= -20\,\text{km}/\text{h}
\end{aligned}$$
マイナスは西向きを表すので、西向きに \(20\,\text{km}/\text{h}\) である。
(3) D(相手)は西向きなので \(-50\)、A(自分)は \(+60\)。「西向き」を符号のマイナスに直せたかが、ここの分かれ目である。
$$\begin{aligned}
\text{相対速度} &= (-50) – (+60) \\[2.0ex]
&= -110\,\text{km}/\text{h}
\end{aligned}$$
よって西向きに \(110\,\text{km}/\text{h}\)。向かい合って進む \(2\) 物体の相対速度は、速さがそのまま足された大きさになる、というイメージとも一致する。
(1) 東向きに \(20\,\text{km}/\text{h}\)
(2) 西向きに \(20\,\text{km}/\text{h}\)
(3) 西向きに \(110\,\text{km}/\text{h}\)
④ 平面上の相対速度(問4)
問題
Aに対するBの相対速度を求めよ。
(Aは東へ \(20\,\text{m}/\text{s}\)、Bは南へ \(20\,\text{m}/\text{s}\) で進んでいる)
解説
向きが斜めに絡むので、直線のときの引き算ではなく「自分から相手に矢印を引く」作図で求める。手順は次の通りである。
まず、A(自分)とB(相手)の矢印を、始点を揃えて描く。Aは東向きに長さ \(20\)、Bは南向きに長さ \(20\) の矢印になる。相対速度は「自分(A)の矢印の先端から、相手(B)の矢印の先端へ向かう矢印」として現れる。引き算「相手 \(-\) 自分」を、図の上では「自分の先端から相手の先端へ向かう」という形で実行しているわけである。
この矢印を引くと、直角を挟む \(2\) 辺がともに \(20\) の直角二等辺三角形ができる。辺の比は \(1 : 1 : \sqrt{2}\) なので、斜辺(求める相対速度の大きさ)は \(20\sqrt{2}\,\text{m}/\text{s}\) となる。矢印の向きは南西を指す。
南西向きに \(20\sqrt{2}\,\text{m}/\text{s}\)
🩺 要点整理
\(4\) 問の解き方を個別に覚える必要はない。次の \(2\) つの問いを先に通せば、型は自動的に決まる。
この \(2\) 軸で並べ直すと、問1=直線×合成、問2=平面×合成、問3=直線×相対速度、問4=平面×相対速度となる。解法そのものを思い出すのではなく、\(2\) つの問いを先に通す——これが型を外さないための処方箋である。
🔗 関連単元
この講で何度も出てきた「向きをプラス・マイナスの符号にしてから計算する」という動きは、第1講「位置と速度の基礎」で身につけた「向きを後回しにしない」感覚そのものである。そして次の第3講では、速度が時間とともに変化する「加速度」を扱う。そこでも向きを符号で持ち込めるかが土台になるので、この講で符号への翻訳を手に馴染ませておいてほしい。
【記事限定 演習問題】
動画と板書だけで終わらせず、ここで実際に手を動かして「自分で思い出し、自分で解く」工程を入れる。物理の定着を決めるのは、読んで分かった回数ではなく、自分の手で解いた回数である。各問、まず解答を見ずに考え、それから折りたたみを開いて思考プロセスを照合してほしい。詰まった問題こそ、あなたの「思考のクセ」が見つかった場所=伸びしろである。
使い方はドクター・メソッドの三段そのままでよい。無料の動画やクイズで症状に気づくのが診断、この講の解説と演習で思考を組み替えるのが処方箋、そして日を置いて解き直したときに同じ場所で止まるかどうかを見るのが経過観察である。学習の記録を残す仕組みや、つまずきに合わせて伴走するオンライン家庭教師は、この三段目を一人で回しきれないときの支えになる。三段が回り出すと、覚える量を増やさなくても、考えて解ける物理へ静かに変わっていく。
静水(無風)で \(5\,\text{m}/\text{s}\) で泳ぐ人が、同じ向きの流れ \(3\,\text{m}/\text{s}\) に乗った。地面(岸)から見た速さは何 \(\text{m}/\text{s}\) か。解答と思考プロセスを見る
進む向きを正と決めると、流れも同じ向きなので \(+3\)。符号がそろっているので、そのまま足して \(5 + 3 = 8\,\text{m}/\text{s}\)。ここでの診断ポイントは答えの数ではなく順番である。「同じ向きだから足す」と判断したのか、それとも「正の向きを決めて符号を付けた結果、足し算になった」のか。後者で言えたなら、向きが逆になっても同じ手順で戦える。
\(6\,\text{m}/\text{s}\) で走る人が、向かい風 \(2\,\text{m}/\text{s}\) を受けた。地面から見た速さを求めよ。解答と思考プロセスを見る
進行方向を正にすると、向かい風は逆向きなので \(-2\)。
$$\begin{aligned}
\text{合成速度} &= (+6) + (-2) \\[2.0ex]
&= +4\,\text{m}/\text{s}
\end{aligned}$$
「向かい風だから引く」と考えたのではなく、「向かい風=マイナス」と符号に翻訳した結果として、足し算のまま処理できたか。ここが処方箋どおりに手が動いたかの分かれ目である。
\(10\,\text{m}/\text{s}\) で走る電車の中を、進行方向に \(2\,\text{m}/\text{s}\) で歩く。地面から見た人の速さは?解答と思考プロセスを見る
電車の速度と歩く速度の合成である。どちらも進行方向なので符号がそろい、\(10 + 2 = 12\,\text{m}/\text{s}\)。動く歩道のイメージがそのまま使える。地面に立っている人から見れば、電車が運んだ分に自分の足の分が上乗せされている。
\(10\,\text{m}/\text{s}\) で走る電車の中を、進行方向と逆に \(2\,\text{m}/\text{s}\) で歩く。地面から見た人の速さは?解答と思考プロセスを見る
逆向きなので歩く速度は \(-2\)。
$$\begin{aligned}
\text{合成速度} &= (+10) + (-2) \\[2.0ex]
&= +8\,\text{m}/\text{s}
\end{aligned}$$
電車の中では後ろへ歩いているのに、地面から見ればまだ前へ進んでいる。体感と地面から見た値がずれるのは、基準にしている立ち位置が違うからである。符号にしておけば、この食い違いも計算が引き受けてくれる。
東向きを正とする。西へ \(7\,\text{m}/\text{s}\) と東へ \(10\,\text{m}/\text{s}\) の \(2\) つの速度が合わさった。合成速度を符号で表せ。解答と思考プロセスを見る
東を正と決めたので、西は \(-7\)、東は \(+10\)。
$$\begin{aligned}
\text{合成速度} &= (-7) + (+10) \\[2.0ex]
&= +3\,\text{m}/\text{s}
\end{aligned}$$
\(+3\) なので東向きに \(3\,\text{m}/\text{s}\)。最初に「どちらを正にしたか」を紙の端に書けたかどうか。ここを飛ばすと、最後に符号を向きの言葉へ戻す場面で必ず迷う。
\(15\,\text{m}/\text{s}\) で走る車から、後方へ \(15\,\text{m}/\text{s}\) でボールを投げた。地面から見たボールの速さは?解答と思考プロセスを見る
車は \(+15\)、後方へのボールは \(-15\)。\((-15)+(+15)=0\,\text{m}/\text{s}\)。地面から見ると、ボールは前へも後ろへも進まず、その場に落ちるように見える。答えが \(0\) になると計算ミスを疑ってしまう人は多いが、打ち消し合った結果として \(0\) が出るのは正常である。数字の意味を情景に戻して確かめる習慣を持ちたい。
同じ向きに、自分が \(4\,\text{m}/\text{s}\)、相手が \(7\,\text{m}/\text{s}\) で走っている。自分から見た相手の速度を求めよ。解答と思考プロセスを見る
「相手 \(-\) 自分」で、\((+7)-(+4)=+3\,\text{m}/\text{s}\)。プラスなので、相手は前方へ \(3\,\text{m}/\text{s}\) で遠ざかって見える。診断ポイントは引き算の順番を固定できたかどうか。\((+4)-(+7)\) と書いてしまった人は、「自分から見た」という一文の主語がどちらかを読み落としている。
同じ向きに、自分が \(9\,\text{m}/\text{s}\)、相手が \(5\,\text{m}/\text{s}\) で走っている。自分から見た相手の速度を求めよ。解答と思考プロセスを見る
\((+5)-(+9)=-4\,\text{m}/\text{s}\)。マイナスなので、相手は後方へ \(4\,\text{m}/\text{s}\) で下がって見える。自分のほうが速ければ相手は後ろへ流れていく——この情景と符号が一致したかを確かめてほしい。符号を情景に翻訳し直せるようになると、答えの検算が自分の手でできるようになる。
東向きを正とする。自分は東へ \(6\,\text{m}/\text{s}\)、相手は西へ \(8\,\text{m}/\text{s}\) で進んでいる。自分から見た相手の速度を求めよ。解答と思考プロセスを見る
相手は西向きなので \(-8\)、自分は \(+6\)。
$$\begin{aligned}
\text{相対速度} &= (-8) – (+6) \\[2.0ex]
&= -14\,\text{m}/\text{s}
\end{aligned}$$
西向きに \(14\,\text{m}/\text{s}\)。向かい合って進むと、相対速度の大きさは \(2\) つの速さの和になる。計算を始める前に「西=マイナス」と決めておけたかが分かれ目である。
東向きを正とする。\(20\,\text{m}/\text{s}\) で東へ走る電車から、線路わきに止まっている木を見る。電車内の人から見た木の速度を求めよ。解答と思考プロセスを見る
木は止まっているので \(0\)、自分(電車)は \(+20\)。\((0)-(+20)=-20\,\text{m}/\text{s}\)。木は西へ \(20\,\text{m}/\text{s}\) で動いて見える=景色が後ろへ流れる、あの現象である。止まっている相手でも相対速度は \(0\) にならない。ここで手が止まった人は、「動いていない=相対速度も \(0\)」と結び付けるクセが出ている。
\(2\) 台の電車が同じ向きに、ともに \(25\,\text{m}/\text{s}\) で並んで走っている。一方から見た、もう一方の速度を求めよ。解答と思考プロセスを見る
\((+25)-(+25)=0\,\text{m}/\text{s}\)。相対速度が \(0\) なので、相手は止まって見える。並走する電車が窓の外で静止して見えるのは、この \(0\) が起きているからである。隣の電車が動き出したように見えて実は自分が動いていた、という錯覚も、同じ引き算で説明できる。
東へ \(3\,\text{m}/\text{s}\) と北へ \(4\,\text{m}/\text{s}\) の速度が直角に合わさった。合成速度の大きさを求めよ。解答と思考プロセスを見る
直角に組み合わさるので、矢印を連結すると直角三角形ができ、合成速度はその斜辺にあたる。
$$\begin{aligned}
\text{合成速度の大きさ} &= \sqrt{3^2 + 4^2} \\[2.0ex]
&= 5\,\text{m}/\text{s}
\end{aligned}$$
\(3 : 4 : 5\) の直角三角形である。ここで問われているのは計算力ではなく、「符号で足す(直線)」から「矢印を連結する(平面)」へ切り替えられたかどうか。向きが直角に絡んだ瞬間、式より先に図を描く——これが平面での処方箋である。
図: 先端に次の矢印の始点をつなぐ=合成。斜辺が合成速度になる
Aは東へ \(6\,\text{m}/\text{s}\)、Bは北へ \(6\,\text{m}/\text{s}\) で進む。Aから見たBの相対速度の大きさを求めよ。解答と思考プロセスを見る
始点をそろえ、A(自分)の矢印の先端から B(相手)の矢印の先端へ矢印を引く。直角をはさむ \(2\) 辺がともに \(6\) の直角二等辺三角形ができる。
$$\begin{aligned}
\text{相対速度の大きさ} &= \sqrt{6^2 + 6^2} \\[2.0ex]
&= 6\sqrt{2}\,\text{m}/\text{s}
\end{aligned}$$
平面では、引き算を「作図」という形で実行する。式の形のまま処理しようとして手が止まったなら、それこそがこの講で見つけたい思考のクセである。まず始点をそろえる、が最初の一手になる。
図: 始点をそろえ、自分の先端から相手の先端へ引いた矢印が相対速度
流れ \(3\,\text{m}/\text{s}\) の川を、流れに直角な向きへ静水速度 \(4\,\text{m}/\text{s}\) で船が進む。岸から見た船の実際の速さ(合成速度の大きさ)を求めよ。解答と思考プロセスを見る
流れ(横向き)と船(それに直角な向き)を連結すると、直角三角形ができる。
$$\begin{aligned}
\text{合成速度の大きさ} &= \sqrt{3^2 + 4^2} \\[2.0ex]
&= 5\,\text{m}/\text{s}
\end{aligned}$$
実際の船は \(5\,\text{m}/\text{s}\) で斜めに進んでいる。練習問題の問2は同じ状況で角度を問う形だったが、ここは大きさを問う形である。図が一枚描けていれば、角度を聞かれても大きさを聞かれても同じ図から答えを取り出せる——それが作図の強みである。
Aは東へ \(70\,\text{km}/\text{h}\)、Bは東へ \(90\,\text{km}/\text{h}\) で進む。Aから見たBの相対速度を求めよ。解答と思考プロセスを見る
「相手 \(-\) 自分」で \((+90)-(+70)=+20\,\text{km}/\text{h}\)。東向きに \(20\,\text{km}/\text{h}\)。単位が \(\text{km}/\text{h}\) に変わっても、やることは一つも変わらない。単位ごとに手順を持ち替えようとしていないか、ここで一度点検しておきたい。
東向きを正とする。Aは東へ \(60\,\text{km}/\text{h}\)、Cは西へ \(40\,\text{km}/\text{h}\) で進む。Aから見たCの相対速度を求めよ。解答と思考プロセスを見る
Cは西向きなので \(-40\)、Aは \(+60\)。
$$\begin{aligned}
\text{相対速度} &= (-40) – (+60) \\[2.0ex]
&= -100\,\text{km}/\text{h}
\end{aligned}$$
西向きに \(100\,\text{km}/\text{h}\)。練習問題の問3(3) と同じ型を \(\text{km}/\text{h}\) で再現できたか。数値と単位が変わっても同じ手順で通せたなら、型が身についた証拠である。
\(1.5\,\text{m}/\text{s}\) で動く歩道の上を、進行方向と逆に \(1.0\,\text{m}/\text{s}\) で歩く。地面から見た自分の速さを求めよ。解答と思考プロセスを見る
歩道は \(+1.5\)、逆向きに歩くので \(-1.0\)。\((+1.5)+(-1.0)=+0.5\,\text{m}/\text{s}\)。答えがプラスなので、逆走していても地面から見ればまだ前へ進んでいる。符号が大きさだけでなく「どちら向きか」まで答えてくれることを、ここでもう一度確かめておきたい。
上りエスカレーターが \(0.8\,\text{m}/\text{s}\) で動いている。その上を同じ向きに \(0.5\,\text{m}/\text{s}\) で歩く。地面から見た自分の速さは?解答と思考プロセスを見る
同じ向きなので符号がそろい、\(0.8 + 0.5 = 1.3\,\text{m}/\text{s}\)。「乗り物+自分」の合成である。歩いたほうが早く着くのは、速度が足し合わさるから。日常の実感と式の答えが一致することを、その場で確かめておこう。
東向きを正として計算したところ、ある物体の速度が \(-3\,\text{m}/\text{s}\) と出た。これを向きの言葉で答えるとどうなるか。解答と思考プロセスを見る
東を正にしたので、マイナスは西向きを表す。よって「西向きに \(3\,\text{m}/\text{s}\)」。計算で出た符号を、最後に必ず向きの言葉へ戻す。ここを省いてしまうのが「向きを後回しにするクセ」の最後の現れ方である。答案に \(-3\,\text{m}/\text{s}\) とだけ書いて終わっていないか、経過観察のつもりで自分の答案を見返してほしい。
Aは東へ \(12\,\text{m}/\text{s}\)、Bは南へ \(16\,\text{m}/\text{s}\) で進む。Aから見たBの相対速度の大きさを求めよ。解答と思考プロセスを見る
始点をそろえ、Aの矢印の先端からBの矢印の先端へ矢印を引くと、直角をはさむ \(2\) 辺が \(12\) と \(16\) の直角三角形ができる。
$$\begin{aligned}
\text{相対速度の大きさ} &= \sqrt{12^2 + 16^2} \\[2.0ex]
&= 20\,\text{m}/\text{s}
\end{aligned}$$
\(12 : 16 = 3 : 4\) なので \(3 : 4 : 5\) の三角形、斜辺は \(20\)。向きは南西寄りである。「平面は作図してから三平方」という流れを、最後に自分の手で通せたかどうか。ここで詰まった箇所があれば、そこが次に診るべき場所になる。
図: 自分Aの先端から相手Bの先端へ引いた矢印が、南西向きの相対速度
🩺 要点整理
この講の核心を、ひとことで言えばこうなる。
直線は符号、平面は作図。どちらも「向きを後回しにしない」第1講の延長線上にある。
【重要公式まとめ】
複数の速度が組み合わさる場合、向きを符号で表して足し算する。
$$
v = v_1 + v_2
$$
(\(v\):合成速度、\(v_1\)・\(v_2\):組み合わさるそれぞれの速度。同じ向きを正と決めて、すべてに符号を付けてから足す)
図: \(v_1\) と \(v_2\) は符号付きの各速度、\(v\) はそれを足し合わせた合成速度
自分から見た相手の速度は、相手の速度から自分の速度を引いて求める。
$$
v_{AB} = v_B – v_A
$$
(相対速度 = 相手の速度 - 自分の速度)
図: \(v_A\) を差し引いた残り、すなわち \(2\) 本の矢印の先端どうしの差が \(v_{AB}\)
- (1)速度の合成(足し算): 矢印を連結する(一方の矢印の先端に、もう一方の矢印の始点を繋ぐ)。
- (2)相対速度(引き算): 矢印の始点を揃え、「自分」の矢印の先端から「相手」の矢印の先端へ向かって矢印を引く。
図: 平面では、足し算は矢印の連結、引き算は自分の先端から相手の先端への矢印になる
以下のテキストをコピーして、「まことAI」にそのまま貼り付けてみてください。別の角度からわかりやすく解説してくれます。
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Q1. 「速度の合成」と「相対速度」を一直線上で計算するとき、それぞれ「足し算」と「引き算」のどちらを使うのが基本でしょうか?
複数の速度が合わさる合成速度は「足し算」です。一方、相対速度は「自分から見た相手の速度」なので、「相手の速度 \(-\) 自分の速度」という「引き算」になります。まずはこの大原則を覚えましょう。
Q2. 「Aに対するBの相対速度」を求める場合、正しい計算式は「Aの速度 \(-\) Bの速度」と「Bの速度 \(-\) Aの速度」のどちらでしょうか?
物理において「〇〇に対する」という言葉は「〇〇から見た」という意味です。つまりAが「自分」で、Bが「相手」になります。相対速度は必ず「相手 \(-\) 自分」の順番で計算してください。
Q3. 斜め方向(平面上)の相対速度を図で求める際、自分と相手の矢印の始点を揃えて描いた後、どこからどこへ向かって新しい矢印を引けばよいでしょうか?
相対速度は「自分から見た相手の動き」です。「今の自分の位置(自分の矢印の先端)から見て、相手がどちらの方向へ動いているように見えるか」とイメージすると、作図の向きを間違えにくくなります。
「AIを使ったことがない」「どう質問していいか分からない」という方も大丈夫!以下のステップに沿って進めるだけで、まこと先生の分身があなたのスマホに現れ、分かるまでトコトン付き合ってくれます。
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💡 ヒント:「自分なりに考えたこと」は、「公式に代入しようとしたけど数字が合わなかった」「波のイメージが頭の中で動かない」など、素直な気持ちでOKです!
まことAIから返信が来たら、そこからが本番です!一度の質問で終わらせず、LINEで先生と話すように会話を続けてみましょう。
💬 こんな風に返信してみて!(質問のコツ)
今のりんごの例え話は分かったけど、摩擦力が入るとどうなるの? → 分かった部分と、分からない部分を切り分けて伝える!
ごめん、やっぱりイメージできない!野球の例え話で説明してみて! → 自分の好きなスポーツや趣味に例えてもらう!
要するに、〇〇ってことだよね? → 自分の言葉でまとめ直して、合っているか確認してもらう!
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この問題の「なぜそう解くのか」も
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