今回の問題
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「直並列回路の計算」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 合成抵抗の計算:
- 直列接続: \(R = R_1 + R_2 + \dots\)
- 並列接続: \(\displaystyle\frac{1}{R} = \displaystyle\frac{1}{R_1} + \displaystyle\frac{1}{R_2} + \dots\)
- オームの法則: 回路の各部分における電圧、電流、抵抗の関係 (\(V = RI\)) を正しく適用することが不可欠です。
- キルヒホッフの法則:
- 第1法則(電流則): 分岐点での電流の和の関係。
- 第2法則(電圧則): 並列部分にかかる電圧は等しいという関係。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)では、まず並列接続されているAB間の合成抵抗を公式を用いて計算します。
- (2)では、(1)で求めたAB間の合成抵抗と、BC間の抵抗が直列に接続されているとみなし、直列接続の公式を用いて回路全体の合成抵抗を求めます。
- (5)を先に解くのが効率的です。(1)で求めたAB間の合成抵抗 \(R_{AB}\) と、そこを流れる全体の電流 \(I = 3.0\) A を用いて、オームの法則からAB間の電圧 \(V_{AB}\) を計算します。
- (3)と(4)では、(5)で求めた電圧 \(V_{AB}\) が、抵抗 \(R_1\) と \(R_2\) の両方にかかることを利用し、それぞれにオームの法則を適用して電流 \(I_1\) と \(I_2\) を求めます。
問(1)
思考の道筋とポイント
AB間には、抵抗 \(R_1 = 10 \, \Omega\) と \(R_2 = 15 \, \Omega\) が並列に接続されています。並列接続された抵抗の合成抵抗を求める問題です。並列接続の合成抵抗の公式 \(\displaystyle\frac{1}{R} = \displaystyle\frac{1}{R_1} + \displaystyle\frac{1}{R_2}\) を用いて計算します。特に2つの抵抗の並列接続の場合は、「和分の積」の形 \(R = \displaystyle\frac{R_1 R_2}{R_1 + R_2}\) を使うと計算が早いです。
この設問における重要なポイント
- 抵抗の並列接続の合成抵抗の公式を正しく適用する。
- 計算過程での通分や逆数の取り扱いを正確に行う。
具体的な解説と立式
AB間の合成抵抗を \(R_{AB}\) とします。抵抗 \(R_1 = 10 \, \Omega\) と \(R_2 = 15 \, \Omega\) は並列接続なので、合成抵抗の公式は次のようになります。
$$ \frac{1}{R_{AB}} = \frac{1}{R_1} + \frac{1}{R_2} \quad \cdots ① $$
この式に、与えられた抵抗値を代入して \(R_{AB}\) を求めます。
使用した物理公式
- 並列接続の合成抵抗: \(\displaystyle\frac{1}{R} = \displaystyle\frac{1}{R_1} + \displaystyle\frac{1}{R_2}\)
式①に \(R_1 = 10 \, \Omega\), \(R_2 = 15 \, \Omega\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{R_{AB}} &= \frac{1}{10} + \frac{1}{15} \\[2.0ex]
&= \frac{3}{30} + \frac{2}{30} \\[2.0ex]
&= \frac{5}{30} = \frac{1}{6.0}
\end{aligned}
$$
これは \(\displaystyle\frac{1}{R_{AB}}\) の値なので、両辺の逆数をとって \(R_{AB}\) を求めます。
$$ R_{AB} = 6.0 \, [\Omega] $$
AB間は、道が2つに分かれている並列つなぎです。この部分を1つの抵抗とみなしたときの大きさを求めます。並列つなぎの合成抵抗は、「\(\displaystyle\frac{1}{\text{合成抵抗}} = \displaystyle\frac{1}{R_1} + \displaystyle\frac{1}{R_2}\)」という公式で計算します。値を代入して計算し、最後に答えをひっくり返す(逆数をとる)のを忘れないようにしましょう。
AB間の合成抵抗は \(6.0 \, \Omega\) となります。並列接続の合成抵抗は、それぞれの抵抗よりも小さくなるという特徴があり、\(6.0 \, \Omega\) は \(10 \, \Omega\) や \(15 \, \Omega\) よりも小さいので、妥当な値です。
問(2)
思考の道筋とポイント
AC間の合成抵抗 \(R_{AC}\) を求める問題です。この回路は、AB間の並列部分と、BC間の抵抗 \(R_3\) が直列に接続された「直並列回路」と見なすことができます。(1)でAB間の合成抵抗 \(R_{AB}\) をすでに求めているので、この \(R_{AB}\) と \(R_3\) が直列に接続されていると考えます。直列接続の合成抵抗は、各抵抗の値を単純に足し合わせることで求められます。
この設問における重要なポイント
- 回路を「AB間の部分」と「BC間の部分」に分けて考える。
- AB間の合成抵抗 \(R_{AB}\) と \(R_3\) が直列接続の関係にあることを見抜く。
- 直列接続の合成抵抗の公式 \(R = R_1 + R_2\) を適用する。
具体的な解説と立式
AC間の合成抵抗 \(R_{AC}\) は、AB間の合成抵抗 \(R_{AB}\) と抵抗 \(R_3\) の直列接続と考えることができます。
したがって、直列接続の合成抵抗の公式より、
$$ R_{AC} = R_{AB} + R_3 \quad \cdots ② $$
この式に、(1)で求めた \(R_{AB}\) と、与えられている \(R_3\) の値を代入します。
使用した物理公式
- 直列接続の合成抵抗: \(R = R_1 + R_2\)
式②に \(R_{AB} = 6.0 \, \Omega\) と \(R_3 = 4.0 \, \Omega\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
R_{AC} &= 6.0 + 4.0 \\[2.0ex]
&= 10 \, [\Omega]
\end{aligned}
$$
有効数字2桁で答えます。
回路全体(AからCまで)の抵抗を求めます。この回路は、(1)で計算したAB間の部分と、その先につながっている \(R_3\) の部分が一本道でつながっている「直列つなぎ」と見ることができます。直列つなぎの合成抵抗は、単純な足し算で求められるので、\(R_{AB}\) と \(R_3\) の値を足し合わせます。
AC間の合成抵抗は \(10 \, \Omega\) となります。直列接続なので、各部分の抵抗より大きくなるはずで、妥当な値です。
問(5)
思考の道筋とポイント
(3), (4)を解く前に、先に(5)のAB間の電圧 \(V_{AB}\) を求める方がスムーズです。AB間を流れる電流は、点Aを流れる電流と同じで、問題文から \(I = 3.0\) A と与えられています。そして、AB間の合成抵抗 \(R_{AB}\) は(1)で \(6.0 \, \Omega\) と求まっています。したがって、AB間という部分にオームの法則 \(V=RI\) を適用することで、電圧 \(V_{AB}\) を計算できます。
この設問における重要なポイント
- オームの法則を、回路の一部分(AB間)に適用する。
- AB間を流れる電流は、回路全体の電流 \(I\) に等しいことを理解する。
- (1)で求めた合成抵抗 \(R_{AB}\) を利用する。
具体的な解説と立式
AB間の電圧を \(V_{AB}\)、AB間の合成抵抗を \(R_{AB}\)、AB間を流れる電流を \(I\) とします。これらにはオームの法則が成り立ちます。
$$ V_{AB} = R_{AB} \times I \quad \cdots ③ $$
この式に、(1)で求めた \(R_{AB}\) と、問題文で与えられた電流 \(I\) の値を代入します。
使用した物理公式
- オームの法則: \(V = RI\)
式③に \(R_{AB} = 6.0 \, \Omega\) と \(I = 3.0\) A を代入します。
$$
\begin{aligned}
V_{AB} &= 6.0 \times 3.0 \\[2.0ex]
&= 18 \, [\text{V}]
\end{aligned}
$$
有効数字は2桁なので、\(18\) V となります。
AB間にかかる電圧を求めます。オームの法則「電圧 = 抵抗 × 電流」を使います。この法則をAB間の部分に当てはめて考えます。AB間の抵抗は(1)で求めた合成抵抗 \(R_{AB}\) で、AB間を流れる電流は、A地点を流れる電流 \(3.0\) A です。この2つを掛け算すれば、AB間の電圧がわかります。
AB間の電圧は \(18\) V となります。計算も単純で、物理的に妥当な値です。この結果が、次の(3)と(4)を解く鍵となります。
問(3), (4)
思考の道筋とポイント
点Pを流れる電流 \(I_1\) と点Qを流れる電流 \(I_2\) を求めます。これらは、抵抗 \(R_1\) と \(R_2\) をそれぞれ流れる電流です。並列接続では、各抵抗にかかる電圧は等しくなります。つまり、\(R_1\) にかかる電圧と \(R_2\) にかかる電圧は、どちらもAB間の電圧 \(V_{AB}\) に等しくなります。(5)で \(V_{AB} = 18\) V と求めたので、この電圧値を使って、それぞれの抵抗についてオームの法則を適用すれば、\(I_1\) と \(I_2\) を計算できます。
この設問における重要なポイント
- 並列接続部分では、各抵抗にかかる電圧が等しいことを利用する。
- \(R_1\) と \(R_2\) にかかる電圧が、ともに \(V_{AB}\) であることを理解する。
- 各抵抗に対して、オームの法則 \(I = V/R\) を適用する。
具体的な解説と立式
抵抗 \(R_1\) と \(R_2\) は並列に接続されているため、両端にかかる電圧は等しく、AB間の電圧 \(V_{AB}\) となります。
(5)より \(V_{AB} = 18\) V です。
点Pを流れる電流 \(I_1\) は、抵抗 \(R_1\) を流れる電流です。オームの法則より、
$$ I_1 = \frac{V_{AB}}{R_1} \quad \cdots ④ $$
点Qを流れる電流 \(I_2\) は、抵抗 \(R_2\) を流れる電流です。オームの法則より、
$$ I_2 = \frac{V_{AB}}{R_2} \quad \cdots ⑤ $$
これらの式に、数値を代入して計算します。
使用した物理公式
- オームの法則: \(I = \displaystyle\frac{V}{R}\)
(3) 点Pを流れる電流 \(I_1\)
式④に \(V_{AB} = 18\) V, \(R_1 = 10 \, \Omega\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
I_1 &= \frac{18}{10} \\[2.0ex]
&= 1.8 \, [\text{A}]
\end{aligned}
$$
(4) 点Qを流れる電流 \(I_2\)
式⑤に \(V_{AB} = 18\) V, \(R_2 = 15 \, \Omega\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
I_2 &= \frac{18}{15} \\[2.0ex]
&= 1.2 \, [\text{A}]
\end{aligned}
$$
並列部分では、枝分かれしたそれぞれの抵抗に同じ電圧がかかります。この電圧は、(5)で求めたAB間の電圧 \(18\) V です。したがって、Pを通る電流 \(I_1\) は、オームの法則「電流 = 電圧 ÷ 抵抗」から \(18 \div 10\) で計算できます。同様に、Qを通る電流 \(I_2\) は \(18 \div 15\) で計算できます。
点Pを流れる電流は \(1.8\) A、点Qを流れる電流は \(1.2\) A となります。
ここで検算として、キルヒホッフの第1法則(電流則)が成り立つか確認します。分岐前の電流 \(I = 3.0\) A は、分岐後の電流 \(I_1\) と \(I_2\) の和に等しいはずです。
\(I_1 + I_2 = 1.8 + 1.2 = 3.0\) A
これは分岐前の電流 \(I\) と一致するため、計算結果は妥当であると言えます。
思考の道筋とポイント
並列回路において、全体の電流が各抵抗にどのように分配されるかを考える「分配則」を用いることもできます。並列回路では、各抵抗にかかる電圧が等しい (\(V = I_1 R_1 = I_2 R_2\)) ため、電流は抵抗の逆比に分配されます。つまり、\(I_1 : I_2 = \displaystyle\frac{1}{R_1} : \displaystyle\frac{1}{R_2} = R_2 : R_1\) となります。この比の関係を使って、全体の電流 \(I = 3.0\) A を \(I_1\) と \(I_2\) に分配します。
この設問における重要なポイント
- 並列回路では電流が抵抗の逆比に分配されることを理解している。
- 比の計算を正確に行う。
具体的な解説と立式
全体の電流 \(I = I_1 + I_2 = 3.0\) A です。
並列接続なので、\(R_1\) と \(R_2\) にかかる電圧は等しく、
$$ I_1 R_1 = I_2 R_2 $$
この式から、電流の比は抵抗の逆比になることがわかります。
$$ \frac{I_1}{I_2} = \frac{R_2}{R_1} $$
したがって、\(I_1 : I_2 = R_2 : R_1\) です。
全体の電流 \(I\) を、この比で分配します。
$$ I_1 = I \times \frac{R_2}{R_1 + R_2} \quad \cdots ⑥ $$
$$ I_2 = I \times \frac{R_1}{R_1 + R_2} \quad \cdots ⑦ $$
使用した物理公式
- 電流の分配則: \(I_1 : I_2 = R_2 : R_1\)
与えられた値を代入します。\(I = 3.0\) A, \(R_1 = 10 \, \Omega\), \(R_2 = 15 \, \Omega\)。
(3) 点Pを流れる電流 \(I_1\)
式⑥に値を代入します。
$$
\begin{aligned}
I_1 &= 3.0 \times \frac{15}{10 + 15} \\[2.0ex]
&= 3.0 \times \frac{15}{25} \\[2.0ex]
&= 3.0 \times 0.60 = 1.8 \, [\text{A}]
\end{aligned}
$$
(4) 点Qを流れる電流 \(I_2\)
式⑦に値を代入します。
$$
\begin{aligned}
I_2 &= 3.0 \times \frac{10}{10 + 15} \\[2.0ex]
&= 3.0 \times \frac{10}{25} \\[2.0ex]
&= 3.0 \times 0.40 = 1.2 \, [\text{A}]
\end{aligned}
$$
電流は「通りやすい方(抵抗が小さい方)」に多く流れ、「通りにくい方(抵抗が大きい方)」に少なく流れます。その割合は、抵抗の大きさの「逆の比」になります。\(R_1:R_2 = 10:15 = 2:3\) なので、電流は \(3:2\) の比で分かれます。全体の電流 \(3.0\) A を \(3:2\) に分ける計算をすれば、それぞれの電流が求まります。
メインの解法と同じく、\(I_1 = 1.8\) A, \(I_2 = 1.2\) A という結果が得られました。分配則は、電圧を計算する手間を省けるため、知っておくと非常に便利な解法です。
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【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 直並列回路の段階的解析:
- 核心: この問題の核心は、複雑に見える回路を「並列部分」と「直列部分」という単純なブロックに分解し、それぞれのブロックの性質(並列なら電圧共通、直列なら電流共通)を使いながら、段階的に解析していく能力です。
- 理解のポイント: まず並列部分(AB間)を一つの合成抵抗とみなして単純化し、次にその合成抵抗と他の抵抗(\(R_3\))との直列関係を考える、という「ミクロからマクロへ」または「マクロからミクロへ」の視点の切り替えが重要です。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 電源の電圧が与えられている問題: この問題では全体の電流が与えられていましたが、代わりに電源の電圧が与えられる場合もあります。その場合は、まず全体の合成抵抗を求め、次に全体の電流を計算し、そこから各部分の電圧や電流を求めていく、という逆の順序で解くことになります。
- ブリッジ回路: 抵抗がひし形に配置された回路。平衡条件 (\(R_1 R_4 = R_2 R_3\)) が成り立てば、中央の抵抗には電流が流れません。平衡していない場合は、キルヒホッフの法則(連立方程式)や、デルタ-スター変換などの高度なテクニックが必要になります。
- 対称性のある回路: 立方体の各辺に抵抗を配置したような、対称性の高い回路。この場合、対称性から「電位が等しい点」や「同じ電流が流れる辺」を見つけることができれば、回路を大幅に単純化できます。
- 初見の問題での着眼点:
- 回路の構造分解: まず、回路全体を眺めて、どこが並列でどこが直列になっているかを見極めます。複雑な場合は、色分けなどをしてブロックごとに把握します。
- 単純化の方向性を探る: 「並列部分を合成して一つにする」「直列部分を合成して一つにする」など、回路をよりシンプルな形にできないか考えます。この問題では、AB間をまず単純化するのが定石です。
- 既知の情報を確認: 問題文で何の値(電流、電圧、抵抗)が与えられているかを確認します。この問題では「点Aの電流」が突破口でした。
- ゴールから逆算する: 最終的に求めたい量は何かを確認し、それを求めるためにはどの物理量が必要か(例:電流を求めるには電圧と抵抗が必要)を逆算して、解法の道筋を立てます。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 合成抵抗の計算ミス:
- 誤解: 並列の公式 \(\frac{1}{R} = \frac{1}{R_1} + \frac{1}{R_2}\) の計算後、逆数を取るのを忘れる。直列と並列の公式を混同する。
- 対策: 並列計算では「最後にひっくり返す」と常に意識する。また、「並列にすると抵抗は小さくなる」「直列にすると抵抗は大きくなる」という感覚を持つことで、計算結果が妥当か判断できます。
- 電流と電圧の適用範囲の誤り:
- 誤解: \(R_1\) にかかる電圧を計算するのに、回路全体の電流 \(I\) を使って \(V_1 = R_1 I\) と計算してしまう。
- 対策: オームの法則を使う際は、必ず「どの部分の」電圧、電流、抵抗なのかを明確に対応させること。「\(R_1\) にかかる電圧 \(V_1\) は、\(R_1\) を流れる電流 \(I_1\) と \(R_1\) の積」(\(V_1 = R_1 I_1\)) のように、添え字を付けて考える癖をつけるとミスが減ります。
- 有効数字の扱い:
- 誤解: 計算の途中で丸めてしまったり、最終的な答えの桁数を間違えたりする。
- 対策: 問題文で与えられた数値の有効数字(この問題では2桁)を確認し、最終的な答えもそれに合わせる。和・差の計算では小数点の位、積・商の計算では桁数に注意するルールを再確認しましょう。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 合成抵抗の公式:
- 選定理由: 複雑な回路を、より単純な等価回路に置き換えるための最も基本的なツールです。これにより、オームの法則やキルヒホッフの法則を適用しやすくなります。
- 適用根拠: 直列接続では、電流の通り道が一本なので、通りにくさ(抵抗)は単純に加算されます。並列接続では、電流の通り道が増えるため、全体としては通りやすく(抵抗が小さく)なります。この「通りやすさ」(コンダクタンス、抵抗の逆数)の和が、全体の通りやすさになるため、逆数の和の公式が成り立ちます。
- オームの法則 \(V=RI\):
- 選定理由: 回路の任意の部分における V, R, I の関係を知るための万能ツールです。
- 適用根拠: この問題では、(1)「AB間というブロック」に適用し、(3)(4)「\(R_1\) という素子」「\(R_2\) という素子」に適用しました。このように、注目する「部分」を柔軟に変えながら適用するのがコツです。
- 電流の分配則:
- 選定理由: 並列部分の電圧を計算せずに、直接電流を求めたい場合に非常に効率的です。
- 適用根拠: 並列部分では電圧が共通 (\(V = I_1 R_1 = I_2 R_2\)) という物理法則から直接導かれる関係式です。つまり、オームの法則とキルヒホッフの法則を組み合わせた応用公式と位置づけられます。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 解法の順序を工夫する: この問題のように、設問番号通りに解くよりも、(5)を先に解いた方が(3)(4)の見通しが良くなる場合があります。全体を俯瞰して、どの順番で解くのが最も効率的か考える癖をつけましょう。
- 検算を習慣にする: (3)(4)で求めた \(I_1\) と \(I_2\) の和が、全体の電流 \(I\) と一致するか確認する (\(1.8 + 1.2 = 3.0\))。このような簡単な検算を挟むだけで、ケアレスミスを劇的に減らすことができます。
- 図に情報を書き込む: 計算で求めた値(\(R_{AB}=6.0\Omega\), \(V_{AB}=18\text{V}\)など)を、ためらわずに回路図の余白に書き込みましょう。情報が可視化されることで、次のステップで何を使うべきかが一目瞭然になり、思考が整理されます。
- 分数のまま計算する: 例えば \(I_2 = 18/15\) の計算で、すぐに \(1.2\) と小数に直すのではなく、\(6/5\) のように簡単な分数にしておくと、後の計算で見通しが良くなることがあります。特に文字式の場合は、最後まで約分できる可能性があるので、むやみに展開しない方が良い場合も多いです。
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