原子範囲 11~15
11 水素原子の構造
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「ボーアの原子模型の一般化」です。水素原子(\(Z=1\))だけでなく、原子番号\(Z\)の原子核を持つイオン(水素様イオン)にボーア模型を適用し、その軌道半径とエネルギー準位を求める問題です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 円運動の運動方程式: 電子が原子核の周りを円運動するための向心力が、原子核と電子の間に働く静電気力(クーロン力)によって供給されるという力学的な関係を立式できること。
- ボーアの量子条件: 電子が存在できる定常状態の軌道は、角運動量 \(mvr\) が \(h/(2\pi)\) の整数倍になるという、とびとびの値に制限されることを理解していること。
- 力学的エネルギー: 電子の全エネルギーは、運動エネルギーと、原子核との間の静電気力による位置エネルギーの和で与えられること。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- まず、円運動の運動方程式とボーアの量子条件の2つの式を立てます。
- これら2式を連立させ、電子の速さ\(v_n\)を消去することで、軌道半径\(r_n\)を求めます。
- 次に、電子の力学的エネルギー(運動エネルギー+位置エネルギー)の式を立てます。
- 運動方程式から導かれる関係を利用してエネルギーの式を簡略化し、最後に求めた\(r_n\)を代入してエネルギー準位\(E_n\)を求めます。
軌道半径\(r_n\)の導出
思考の道筋とポイント
電子が原子核の周りを円運動しているモデルを考えます。円運動を続けるためには向心力が必要であり、その役割を電荷\(+Ze\)の原子核と電荷\(-e\)の電子の間に働く静電気力(クーロン力)が担っています。この力学的な条件(運動方程式)と、電子が安定して存在できる軌道を制限する「量子条件」の2つを連立させることで、軌道の半径を求めます。未知数が軌道半径\(r_n\)と電子の速さ\(v_n\)の2つなので、2本の式が必要になる、という考え方です。
この設問における重要なポイント
- 向心力は \(m \frac{v_n^2}{r_n}\) で表される。
- 原子核と電子の間に働くクーロン力は \(k \frac{(Ze)e}{r_n^2}\) で表される。
- ボーアの量子条件は \(m v_n r_n = n \frac{h}{2\pi}\) で表される。
具体的な解説と立式
量子数\(n\)の定常状態にある電子の軌道半径を\(r_n\)、速さを\(v_n\)とします。
電子は円運動しているので、その運動方程式を立てます。向心力は、原子核との間に働くクーロン力なので、
$$
\begin{aligned}
m\frac{v_n^2}{r_n} &= k\frac{Ze^2}{r_n^2} \quad \cdots ①
\end{aligned}
$$
となります。
次に、ボーアの量子条件を立式します。電子の角運動量が \(h/(2\pi)\) の整数(\(n\))倍になるという条件なので、
$$
\begin{aligned}
mv_n r_n &= n\frac{h}{2\pi} \quad \cdots ②
\end{aligned}
$$
となります。
この2つの式から、求めたい\(r_n\)以外の未知数である\(v_n\)を消去します。
使用した物理公式
- 円運動の運動方程式: \(m \frac{v^2}{r} = F\)
- クーロンの法則: \(F = k \frac{q_1 q_2}{r^2}\)
- ボーアの量子条件: \(mvr = n \frac{h}{2\pi}\)
まず、式②を\(v_n\)について解きます。
$$
\begin{aligned}
v_n &= \frac{nh}{2\pi m r_n}
\end{aligned}
$$
これを式①に代入します。
$$
\begin{aligned}
m\frac{1}{r_n}\left(\frac{nh}{2\pi m r_n}\right)^2 &= k\frac{Ze^2}{r_n^2} \\[2.0ex]
\frac{m}{r_n} \cdot \frac{n^2h^2}{4\pi^2 m^2 r_n^2} &= k\frac{Ze^2}{r_n^2} \\[2.0ex]
\frac{n^2h^2}{4\pi^2 m r_n^3} &= \frac{kZe^2}{r_n^2}
\end{aligned}
$$
この式を\(r_n\)について解きます。両辺に \(r_n^3\) を掛け、不要な項を移項すると、
$$
\begin{aligned}
\frac{n^2h^2}{4\pi^2 m} &= kZe^2 r_n \\[2.0ex]
r_n &= \frac{n^2h^2}{4\pi^2 k m Z e^2}
\end{aligned}
$$
となります。
電子が原子核の周りをグルグルと安定して回り続けるためには、2つのルールを守る必要があります。
一つ目のルールは力学のルールで、「電子が円の中心に向かって引っ張られるクーロン力」が「円運動に必要な向心力」とぴったり釣り合っている、というものです。
二つ目のルールは量子論の不思議なルールで、「電子が存在できる軌道は、実はとびとびの値に決まっている」というものです。
この2つのルールを数式にして、連立方程式として解くことで、電子が存在できる軌道の半径を計算することができます。
軌道半径\(r_n\)は \(\displaystyle\frac{n^2h^2}{4\pi^2 k m Z e^2}\) と表せます。この式から、軌道半径は量子数\(n\)の2乗に比例し、原子番号\(Z\)に反比例することがわかります。つまり、軌道はとびとびの値(\(n=1, 2, 3, \dots\))をとり、原子核の正電荷が大きいほど電子は強く引きつけられ、より内側の軌道を回ることを示しており、物理的に妥当な結果です。
エネルギー準位\(E_n\)の導出
思考の道筋とポイント
電子が持つ全エネルギー(力学的エネルギー)は、「運動エネルギー」と「静電気力による位置エネルギー」の和で与えられます。それぞれのエネルギーを式で表し、足し合わせることで全エネルギー\(E_n\)を求めます。
このとき、運動方程式①から導かれる関係式を利用すると、運動エネルギーを軌道半径\(r_n\)だけで表すことができ、計算を大幅に簡略化できます。
この設問における重要なポイント
- 全エネルギー \(E_n\) = 運動エネルギー \(K_n\) + 位置エネルギー \(U_n\)。
- 運動エネルギー: \(K_n = \frac{1}{2}mv_n^2\)。
- 位置エネルギー: \(U_n = (-e)V = -k\frac{Ze^2}{r_n}\) (無限遠を基準)。
- 運動方程式から \(\frac{1}{2}mv_n^2 = \frac{1}{2} k\frac{Ze^2}{r_n}\) の関係が導ける。
具体的な解説と立式
量子数\(n\)の定常状態にある電子の全エネルギー\(E_n\)は、運動エネルギー\(K_n\)と静電気力による位置エネルギー\(U_n\)の和で表されます。
$$
\begin{aligned}
E_n &= K_n + U_n
\end{aligned}
$$
運動エネルギーは \(K_n = \frac{1}{2}mv_n^2\) です。
位置エネルギーは、無限遠を基準とすると、原子核が作る電位 \(V = k\frac{Ze}{r_n}\) の場所に電荷\(-e\)の電子を置くので、
$$
\begin{aligned}
U_n &= (-e)V \\[2.0ex]
&= -k\frac{Ze^2}{r_n}
\end{aligned}
$$
となります。よって、全エネルギーは
$$
\begin{aligned}
E_n &= \frac{1}{2}mv_n^2 – k\frac{Ze^2}{r_n}
\end{aligned}
$$
です。
ここで、運動方程式① \(m\frac{v_n^2}{r_n} = k\frac{Ze^2}{r_n^2}\) の両辺に \(\frac{r_n}{2}\) を掛けると、
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{2}mv_n^2 &= \frac{kZe^2}{2r_n}
\end{aligned}
$$
という関係が得られます。これは、運動エネルギーが位置エネルギーの絶対値の半分に等しいことを示しています。
使用した物理公式
- 力学的エネルギーの定義: \(E = K + U\)
- 運動エネルギー: \(K = \frac{1}{2}mv^2\)
- 静電気力による位置エネルギー: \(U = qV\)
\(E_n\)の式に、運動方程式から導いた \(\frac{1}{2}mv_n^2 = \frac{kZe^2}{2r_n}\) の関係を代入します。
$$
\begin{aligned}
E_n &= \frac{kZe^2}{2r_n} – k\frac{Ze^2}{r_n} \\[2.0ex]
&= -\frac{kZe^2}{2r_n}
\end{aligned}
$$
この式に、先ほど求めた軌道半径\(r_n = \frac{n^2h^2}{4\pi^2 k m Z e^2}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
E_n &= -\frac{kZe^2}{2} \cdot \frac{1}{r_n} \\[2.0ex]
&= -\frac{kZe^2}{2} \cdot \frac{4\pi^2 k m Z e^2}{n^2h^2} \\[2.0ex]
&= -\frac{2\pi^2 k^2 m Z^2 e^4}{n^2h^2}
\end{aligned}
$$
電子の全エネルギーは、その速さによる「運動エネルギー」と、原子核に電気的に引かれていることによる「位置エネルギー」の合計です。
原子核から無限に遠い場所を位置エネルギーの基準(0)とすると、原子核に束縛されている電子の位置エネルギーはマイナスの値になります。
運動エネルギーと位置エネルギーを計算して足し合わせると、面白いことに、全エネルギーはちょうど運動エネルギーにマイナスをつけた値になることがわかります。
最後に、このエネルギーの式に、先ほど計算した軌道半径の式を代入することで、最終的な答えが求まります。
エネルギー準位\(E_n\)は \(\displaystyle-\frac{2\pi^2 k^2 m Z^2 e^4}{n^2h^2}\) と表せます。
エネルギーが負の値であることは、電子が原子核に束縛されている状態を示しています。
エネルギー準位はとびとびの値(\(n=1, 2, 3, \dots\))をとり、量子数\(n\)の2乗に反比例し、原子番号\(Z\)の2乗に比例します。原子核の引力が強い(\(Z\)が大きい)ほど、電子はより強く束縛され、エネルギー準位はより低く(より大きな負の値に)なることを示しており、物理的に妥当な結果です。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 力学と量子条件の融合:
- 核心: この問題の根幹は、電子の軌道運動という古典的な力学モデル(円運動の運動方程式)に、ボーアが提唱した画期的な「量子条件」を組み合わせることで、原子の構造がとびとびの値(量子化)をとることを導き出す、というボーア模型の思考プロセスそのものを再現することにあります。
- 理解のポイント:
- 古典力学の要請(運動方程式): 電子が原子核の周りを回り続けるための力のつり合いを表します。これは軌道の安定性を保証する条件です。
- 量子論の要請(量子条件): なぜ電子が特定の軌道しかとれないのか、という古典力学では説明できない現象を説明するための、全く新しい仮説です。これは軌道の選択規則を与えます。
- この「安定性の条件」と「選択の条件」という2つの異なる階層の法則を連立させることで、原子の世界の具体的な姿(軌道半径やエネルギー準位)が数学的に導出される、という量子論の黎明期の偉大な発見を追体験することが、この問題の核心です。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 水素原子のスペクトル系列: 水素原子(\(Z=1\))のエネルギー準位\(E_n\)の式を用いて、電子がある準位\(n_1\)から別の準位\(n_2\)へ遷移する際に放出(吸収)される光の波長\(\lambda\)を計算する問題。
- \(h\frac{c}{\lambda} = |E_{n_1} – E_{n_2}|\) という関係式と、本問で導いた\(E_n\)の式を組み合わせることで、リュードベリ定数などを導出できます。
- イオン化エネルギー: 水素様イオンのイオン化エネルギーを求める問題。
- イオン化とは、電子を原子核の束縛から完全に引き離すこと、すなわち基底状態(\(n=1\))から無限遠(\(n=\infty\), \(E=0\))へ励起することです。
- したがって、イオン化エネルギーは \(E_{\text{ion}} = E_{\infty} – E_1 = 0 – E_1 = -E_1\) となり、本問で求めた\(E_n\)の式に\(n=1\)を代入した値の絶対値に等しくなります。
- 水素原子のスペクトル系列: 水素原子(\(Z=1\))のエネルギー準位\(E_n\)の式を用いて、電子がある準位\(n_1\)から別の準位\(n_2\)へ遷移する際に放出(吸収)される光の波長\(\lambda\)を計算する問題。
- 初見の問題での着眼点:
- 中心力による円運動を疑う: 原子核の周りを電子が回る、惑星の周りを衛星が回る、といった問題設定の場合、中心力(クーロン力や万有引力)が向心力となる円運動の運動方程式を立てるのが定石です。
- 量子条件の有無を確認する: ミクロな原子の世界を扱っている場合は、ボーアの量子条件や、より一般的なド・ブロイ波の定常波条件など、何らかの量子化の条件が必要になることを想定します。
- エネルギー計算のショートカットを探す: 力学的エネルギーを求める際、運動エネルギー\(K\)と位置エネルギー\(U\)の関係に注目します。中心力が\(1/r^2\)に比例する場合(クーロン力、万有引力)、常に \(K = -U/2\) という関係(ビリアル定理)が成り立ちます。これを知っていると、\(E = K+U = -U/2 + U = U/2\) となり、位置エネルギーを計算するだけで全エネルギーが求まるため、計算が大幅に簡略化できます。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- クーロン力の電荷の扱い:
- 誤解: 原子核の電荷を\(+Ze\)、電子の電荷を\(-e\)として、クーロン力の大きさを \(k\frac{(Ze)(-e)}{r_n^2}\) のように、符号を含めて計算してしまう。
- 対策: 運動方程式を立てる際は、力の「大きさ」を扱うのが基本です。電荷の符号は力の向き(引力か斥力か)を判断するために使い、力の大きさの式にはそれぞれの電荷の絶対値を代入します。したがって、クーロン力の大きさは常に \(k\frac{|q_1||q_2|}{r^2}\) で計算します。
- 位置エネルギーの符号:
- 誤解: 位置エネルギーを計算する際に、符号を忘れて \(U_n = k\frac{Ze^2}{r_n}\) と正の値にしてしまう。
- 対策: 位置エネルギーは、基準点(無限遠)からその場所まで電荷を運ぶのに必要な仕事であり、符号が重要です。引力が働く系では、無限遠から近づける際に外力がする仕事は負になるため、位置エネルギーは負の値をとります。\(U=qV\)の公式に、電子の電荷\(q=-e\)を正しく代入することで、\(U_n = (-e) \cdot (k\frac{Ze}{r_n}) = -k\frac{Ze^2}{r_n}\) となります。「引力なら位置エネルギーは負」と覚えておくと安全です。
- 文字の2乗のつけ忘れ:
- 誤解: \(r_n\)や\(E_n\)の最終的な式に含まれる多数の定数や変数のうち、\(e^2\)を\(e\)、\(h^2\)を\(h\)のように、2乗をつけ忘れるケアレスミス。
- 対策: 計算過程を丁寧に見直すことが第一ですが、次元解析(単位のチェック)も有効です。例えば、エネルギーの次元は \([\text{M}][\text{L}]^2[\text{T}]^{-2}\) です。求めた\(E_n\)の式の右辺の各定数の次元を代入し、最終的にエネルギーの次元になるかを確認することで、間違いを発見できる場合があります。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 円運動の運動方程式:
- 選定理由: 電子が原子核に束縛され、特定の軌道を周回しているというモデルを力学的に記述するための基本法則です。電子が軌道から飛び出したり、原子核に墜落したりせずに回り続けるための力のつり合い条件を示しています。
- 適用根拠: ボーア模型は、古典的な力学(円運動)と量子的な条件を融合させた半古典的なモデルです。したがって、軌道運動そのものはニュートンの運動方程式に従う、という前提で立式します。
- ボーアの量子条件:
- 選定理由: 古典電磁気学によれば、円運動する電子は電磁波を放出してエネルギーを失い、原子核に墜落してしまうはずです(原子の安定性の問題)。また、原子が放出する光のスペクトルが線スペクトルになることも説明できません。これらの古典論の破綻を乗り越えるために、ボーアが導入した全く新しい仮説がこの量子条件です。
- 適用根拠: この条件の物理的な意味は、後にド・ブロイによって「電子の物質波が軌道上で定常波を形成するための条件」として説明されました。つまり、軌道1周の長さ \(2\pi r_n\) が、電子波の波長\(\lambda\)の整数倍 (\(2\pi r_n = n\lambda\)) になっていることに対応します。この条件をド・ブロイの式 \(\lambda=h/p=h/(mv_n)\) を使って書き直すと、ボーアの量子条件 \(mv_n r_n = n\frac{h}{2\pi}\) が得られます。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- \(v_n\)の消去戦略:
- 運動方程式①と量子条件②から\(v_n\)を消去する際、まず②から\(v_n = \dots\)の形を作り、それを①に代入するのが最も確実な方法です。
- 逆に①から\(v_n^2 = \dots\)の形を作って②に代入しようとすると、ルートの計算が必要になり、複雑になります。どちらの式から代入すれば計算が楽になるか、一歩先を読んで戦略を立てることが重要です。
- エネルギー計算のショートカット:
- 前述のビリアル定理 \(K_n = -U_n/2\) を利用すると、エネルギー計算が非常に簡単になります。
- \(E_n = K_n + U_n = -\frac{1}{2}U_n + U_n = \frac{1}{2}U_n\)
- \(U_n = -k\frac{Ze^2}{r_n}\) なので、\(E_n = -\frac{kZe^2}{2r_n}\) と直ちに求まります。
- この関係は、クーロン力や万有引力のような\(1/r^2\)力のもとでの円運動(や楕円運動)では常に成り立つため、覚えておくと非常に強力な武器になります。
- 前述のビリアル定理 \(K_n = -U_n/2\) を利用すると、エネルギー計算が非常に簡単になります。
- 比例関係の利用:
- 水素原子(\(Z=1\))の場合の軌道半径\(r_{n,H}\)とエネルギー準位\(E_{n,H}\)を基準として覚えている場合、本問の結果は比例計算で求めることもできます。
- \(r_n \propto n^2/Z\) なので、\(r_n = r_{n,H} \cdot \frac{1}{Z}\)
- \(E_n \propto Z^2/n^2\) なので、\(E_n = E_{n,H} \cdot Z^2\)
- このように、基準となるものとの比例関係で捉えることで、複雑な定数部分の計算を省略し、本質的な関係性を素早く見抜くことができます。
- 水素原子(\(Z=1\))の場合の軌道半径\(r_{n,H}\)とエネルギー準位\(E_{n,H}\)を基準として覚えている場合、本問の結果は比例計算で求めることもできます。
12 水素原子の構造
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「水素原子の線スペクトルとリュードベリの公式」です。原子から放出される光の波長を予測する実験式(リュードベリの公式)を正しく解釈し、特定のスペクトル系列における波長の最大値と最小値を求める問題です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- リュードベリの公式の構造: 与えられた式 \(\frac{1}{\lambda}=R(\frac{1}{n’^2}-\frac{1}{n^2})\) が、電子がエネルギー準位\(n\)から\(n’\)へ遷移する際に放出される光の波長\(\lambda\)を与えることを理解していること(ただし\(n>n’\))。
- スペクトル系列の定義: 「バルマー系列」が、電子が高いエネルギー準位から\(n’=2\)の準位へ遷移する際に放出される光のグループを指すことを知っていること。
- エネルギーと波長の関係: 光子のエネルギー\(E\)と波長\(\lambda\)の関係は \(E=hc/\lambda\) であり、エネルギー差が小さい遷移ほど波長が長く、エネルギー差が大きい遷移ほど波長が短くなることを理解していること。
- 最長・最短波長の物理的解釈: 最長波長はエネルギー差が最小の遷移(隣り合う準位からの遷移)に、最短波長はエネルギー差が最大の遷移(無限遠の準位からの遷移)に対応することを物理的に考察できること。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 「バルマー系列」の定義から、リュードベリの公式における遷移先の量子数\(n’\)を\(2\)に確定させます。
- 「最長波長」に対応する遷移(エネルギー差が最小)は、遷移元の量子数\(n\)が最小(\(n=3\))の場合であると考え、公式に代入して\(\lambda_{\text{max}}\)を計算します。
- 「最短波長」に対応する遷移(エネルギー差が最大)は、遷移元の量子数\(n\)が最大(\(n=\infty\))の場合であると考え、公式に代入して\(\lambda_{\text{min}}\)を計算します。
バルマー系列の最長波長
思考の道筋とポイント
まず、「バルマー系列」とは何かを定義します。これは、電子が高いエネルギー準位から\(n’=2\)の準位へ遷移(せんい)するときに放出される光の系列です。
次に、「最長波長」が物理的に何を意味するかを考えます。光子のエネルギーと波長の関係式 \(E=hc/\lambda\) より、波長が最大(\(\lambda_{\text{max}}\))であることは、エネルギーが最小(\(E_{\text{min}}\))であることを意味します。
光子のエネルギーは、電子が遷移する前後のエネルギー準位の差に等しいので、エネルギーが最小となるのは、準位の差が最も小さい遷移、すなわちすぐ隣の準位からの遷移ということになります。
バルマー系列(遷移先が\(n’=2\))の場合、すぐ隣の上にある準位は\(n=3\)です。したがって、最長波長は\(n=3 \to n’=2\)の遷移に対応します。
この設問における重要なポイント
- バルマー系列 \(\Rightarrow\) 遷移先は \(n’=2\)。
- 最長波長 \(\lambda_{\text{max}}\) \(\Leftrightarrow\) 最小エネルギー差 \(\Delta E_{\text{min}}\)。
- 最小エネルギー差は、隣り合う準位間の遷移で生じる (\(n=3 \to n’=2\))。
具体的な解説と立式
問題で与えられた実験式は、電子が高いエネルギー準位\(n\)から低いエネルギー準位\(n’\)へ遷移する際の光の波長\(\lambda\)を表します。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{\lambda} &= R\left(\frac{1}{n’^2} – \frac{1}{n^2}\right) \quad (n > n’)
\end{aligned}
$$
バルマー系列は、遷移先の準位が\(n’=2\)の場合なので、この系列の波長は
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{\lambda} &= R\left(\frac{1}{2^2} – \frac{1}{n^2}\right) \quad (n = 3, 4, 5, \dots)
\end{aligned}
$$
と表せます。
最長波長\(\lambda_{\text{max}}\)は、エネルギー差が最小の遷移に対応します。これは、遷移元の準位\(n\)が最小の値をとるとき、すなわち\(n=3\)のときです。
したがって、公式に\(n’=2, n=3\)を代入して式を立てます。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{\lambda_{\text{max}}} &= R\left(\frac{1}{2^2} – \frac{1}{3^2}\right)
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- リュードベリの公式: \(\frac{1}{\lambda} = R \left( \frac{1}{n’^2} – \frac{1}{n^2} \right)\)
立式した式を計算し、\(\lambda_{\text{max}}\)を求めます。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{\lambda_{\text{max}}} &= R\left(\frac{1}{4} – \frac{1}{9}\right) \\[2.0ex]
&= R\left(\frac{9-4}{36}\right) \\[2.0ex]
&= \frac{5R}{36}
\end{aligned}
$$
両辺の逆数をとって、\(\lambda_{\text{max}}\)を求めます。
$$
\begin{aligned}
\lambda_{\text{max}} &= \frac{36}{5R}
\end{aligned}
$$
原子の中の電子は、決まった高さの「エネルギーの階段」にしか存在できません。光が出るのは、電子が高い段から低い段へ飛び降りるときで、その落差が大きいほど、エネルギーの大きい(波長の短い)光が出ます。
「バルマー系列」というのは、どの段からであれ、最終的に「2段目」に飛び降りてくる光のグループのことです。
「最長波長」の光は、落差が一番小さい場合なので、すぐ上の「3段目」から「2段目」に飛び降りるときに対応します。この条件を数式に入れて計算すれば答えが求まります。
バルマー系列の最長波長は \(\frac{36}{5R}\) となります。これは、Hα線(エイチアルファせん)として知られる、可視光領域の赤い光に対応します。
バルマー系列の最短波長
思考の道筋とポイント
「最短波長」が物理的に何を意味するかを考えます。光子のエネルギーと波長の関係式 \(E=hc/\lambda\) より、波長が最小(\(\lambda_{\text{min}}\))であることは、エネルギーが最大(\(E_{\text{max}}\))であることを意味します。
バルマー系列(遷移先が\(n’=2\))においてエネルギーが最大となるのは、準位の差が最も大きい遷移、すなわち最も高いエネルギー準位から遷移してくるときです。
最も高いエネルギー準位とは、電子が原子核の束縛から解放される寸前の状態であり、量子数では\(n=\infty\)に対応します。したがって、最短波長は\(n=\infty \to n’=2\)の遷移に対応します。
この設問における重要なポイント
- 最短波長 \(\lambda_{\text{min}}\) \(\Leftrightarrow\) 最大エネルギー差 \(\Delta E_{\text{max}}\)。
- 最大エネルギー差は、無限遠の準位からの遷移で生じる (\(n=\infty \to n’=2\))。
- 計算上、\(\frac{1}{\infty^2} = 0\) として扱う。
具体的な解説と立式
最短波長\(\lambda_{\text{min}}\)は、エネルギー差が最大の遷移に対応します。
バルマー系列(遷移先が\(n’=2\))において、エネルギー差が最大になるのは、遷移元の準位\(n\)が無限大、すなわち\(n=\infty\)のときです。これは、自由電子が\(n=2\)の準位に捕獲される場合に相当します。
したがって、公式に\(n’=2, n=\infty\)を代入して式を立てます。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{\lambda_{\text{min}}} &= R\left(\frac{1}{2^2} – \frac{1}{\infty^2}\right)
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- リュードベリの公式
立式した式を計算し、\(\lambda_{\text{min}}\)を求めます。ここで、\(\frac{1}{\infty^2}\)は\(0\)とみなします。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{\lambda_{\text{min}}} &= R\left(\frac{1}{4} – 0\right) \\[2.0ex]
&= \frac{R}{4}
\end{aligned}
$$
両辺の逆数をとって、\(\lambda_{\text{min}}\)を求めます。
$$
\begin{aligned}
\lambda_{\text{min}} &= \frac{4}{R}
\end{aligned}
$$
「最短波長」の光は、落差が一番大きい場合に対応します。
「2段目」に飛び降りる場合で落差が最大になるのは、一番高い場所、つまり原子の束縛から解放される寸前の無限に遠い場所(無限遠の階段、\(n=\infty\))から飛び降りてくるときです。この条件を数式に入れて計算します。
バルマー系列の最短波長は \(\frac{4}{R}\) となります。これは、バルマー系列の限界波長とも呼ばれ、この波長より短い光はバルマー系列には存在しないことを意味します。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- エネルギー準位の量子化と光の放出:
- 核心: この問題の根幹は、原子内の電子が存在できるエネルギー状態が、連続的ではなくとびとびの値(エネルギー準位)をとるという「量子化」の概念を理解することです。原子が光を放出するのは、電子がより高いエネルギー準位からより低いエネルギー準位へ「ジャンプ」(遷移)するときであり、その際に放出される光子1個のエネルギーは、2つの準位のエネルギー差に正確に等しくなります。
- 理解のポイント:
- エネルギー準位: 原子内の電子が存在できる、とびとびのエネルギーの値。量子数\(n\)で指定される。
- 光の放出: 電子が準位\(n\)から\(n’\) (\(n>n’\))へ遷移するとき、エネルギー差 \(\Delta E = E_n – E_{n’}\) に相当するエネルギーを持つ光子を1個放出する。
- リュードベリの公式: この物理現象を、実験結果に基づいて数式化したものがリュードベリの公式 \(\frac{1}{\lambda} = R(\frac{1}{n’^2} – \frac{1}{n^2})\) です。この式の各項が、エネルギー準位の概念と密接に対応しています。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 他のスペクトル系列:
- ライマン系列: 紫外線領域のスペクトルで、遷移先が基底状態 \(n’=1\) の系列。最長波長は\(n=2 \to 1\)、最短波長は\(n=\infty \to 1\)。
- パッシェン系列: 赤外線領域のスペクトルで、遷移先が \(n’=3\) の系列。最長波長は\(n=4 \to 3\)、最短波長は\(n=\infty \to 3\)。
- どの系列を問われても、遷移先の\(n’\)を特定し、最長波長は\(n=n’+1\)、最短波長は\(n=\infty\)を代入するという考え方は全く同じです。
- 吸収スペクトル: 低温の原子ガスに連続スペクトルの光を当てたときに、特定の波長の光だけが吸収されて暗線として観測される現象。
- 吸収は放出の逆プロセスで、電子が低い準位から高い準位へ遷移します。通常、電子は最も安定な基底状態(\(n=1\))にいるため、観測される吸収線はライマン系列に対応します。
- 他のスペクトル系列:
- 初見の問題での着眼点:
- スペクトル系列の特定: 問題文から「ライマン系列」「バルマー系列」などの名前を読み取り、遷移先の準位\(n’\)を確定させます。
- 「最長」か「最短」かの判断:
- 「最長波長」と聞かれたら、「最小エネルギー差」→「隣の準位からの遷移」→ \(n=n’+1\) と連想します。
- 「最短波長」と聞かれたら、「最大エネルギー差」→「無限遠からの遷移」→ \(n=\infty\) と連想します。
- 公式への代入: 特定した\(n’\)と\(n\)の値を、リュードベリの公式に正確に代入して計算します。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- \(n\)と\(n’\)の混同:
- 誤解: リュードベリの公式の\(n\)と\(n’\)のどちらが遷移前でどちらが遷移後か、あるいはどちらが大きいかを混同し、\(\frac{1}{n^2} – \frac{1}{n’^2}\) のように引き算の順序を間違えてしまう。
- 対策: 波長\(\lambda\)は必ず正の値をとるため、\(\frac{1}{\lambda}\)も正でなければなりません。したがって、括弧の中身 \((\frac{1}{n’^2} – \frac{1}{n^2})\) は必ず正になる必要があります。そのためには、分母が小さい方から大きい方を引く、すなわち \(n’ < n\) でなければならない、と論理的に覚えましょう。「着地する階層(\(n’\))の方が、スタートする階層(\(n\))より低い」とイメージするのも有効です。
- 最長・最短の解釈ミス:
- 誤解: 最長波長だから\(n\)も最大(\(\infty\))だろう、最短波長だから\(n\)も最小(\(n’+1\))だろう、と直感的に逆の対応をさせてしまう。
- 対策: エネルギーと波長の関係 \(E=hc/\lambda\) を常に思い出すことが重要です。この式は「エネルギーと波長は反比例する」ことを示しています。したがって、「最長波長 \(\Leftrightarrow\) 最小エネルギー」、「最短波長 \(\Leftrightarrow\) 最大エネルギー」という変換を頭の中で必ず行ってから、遷移の組み合わせを考える癖をつけましょう。
- 逆数をとるのを忘れる:
- 誤解: \(\frac{1}{\lambda_{\text{max}}} = \frac{5R}{36}\) と計算した後、これをそのまま答えとしてしまう。
- 対策: リュードベリの公式が求めているのは、波長\(\lambda\)そのものではなく、波長の逆数(波数)である、ということを強く意識しましょう。計算の最後に、必ず両辺の逆数をとって\(\lambda\)の形に直す、という操作を忘れないように、問題用紙の余白に「最後に逆数!」などとメモしておくのも良い方法です。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- リュードベリの公式:
- 選定理由: この問題は、水素原子のスペクトル線の「波長」を具体的に計算することを要求しています。この現象を、実験結果に基づいて最も的確に記述する経験式がリュードベリの公式です。
- 適用根拠: この公式は、元々はバルマーらによる実験結果を整理した経験則でした。しかし、後にボーアが自身の原子模型から理論的に導出することに成功しました。ボーア模型によれば、エネルギー準位は \(E_n = – \frac{A}{n^2}\)(\(A\)は定数)の形で表せます。電子が\(n\)から\(n’\)へ遷移する際のエネルギー差は \(\Delta E = E_n – E_{n’} = A(\frac{1}{n’^2} – \frac{1}{n^2})\) となります。光子のエネルギー \(h\frac{c}{\lambda}\) がこの\(\Delta E\)に等しいとおくことで、\( \frac{1}{\lambda} = \frac{A}{hc}(\frac{1}{n’^2} – \frac{1}{n^2}) \) となり、リュードベリ定数\(R\)が \(R=\frac{A}{hc}\) という物理定数の組み合わせで表現されることが理論的に示されました。したがって、この公式はボーア模型の正しさを裏付ける強力な根拠となっています。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 分数の計算を丁寧に行う:
- \(\frac{1}{2^2} – \frac{1}{3^2} = \frac{1}{4} – \frac{1}{9}\) のような計算では、焦って暗算せず、通分して \(\frac{9-4}{36} = \frac{5}{36}\) と丁寧に計算しましょう。
- 無限大の扱い:
- \(n=\infty\)を代入する際、\(\frac{1}{\infty}\) や \(\frac{1}{\infty^2}\) は \(0\) に収束するという極限の概念を適用します。これは数学IIIで習う内容ですが、物理では直感的に「分母が限りなく大きくなるので、全体としては限りなく0に近づく」と理解しておけば十分です。
- 問題文の構造を読み解く:
- この問題は、「バルマー系列」という言葉の定義を知っているか、そして「最長・最短波長」という言葉を物理的に(エネルギーの大小に)翻訳できるか、という2つの読解力が試されています。
- 問題を解き始める前に、これらのキーワードがそれぞれどの物理条件(\(n’=2\), \(n=3\), \(n=\infty\))に対応するのかを整理してから計算に取り掛かると、混乱なくスムーズに解き進めることができます。
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13 水素原子の構造
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
本解説は、模範解答で採用されている解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。
- 提示する別解
- 別解: リュードベリの公式を直接用いる解法
- 模範解答がエネルギー準位の式からその都度エネルギー差を計算するのに対し、別解では前問で扱ったリュードベリの公式を直接適用して波長を計算します。
- 別解: リュードベリの公式を直接用いる解法
- 上記の別解が有益である理由
- 思考のショートカット: リュードベリの公式がエネルギー準位の差から導出されることを理解していれば、この公式を用いることで計算ステップを大幅に簡略化できます。
- 知識の体系化: エネルギー準位の概念と、そこから導かれるリュードベリの公式、そしてスペクトル系列の関係性を一連の流れとして体系的に理解することができます。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは完全に一致します。
この問題のテーマは「水素原子のスペクトル系列の定量的比較」です。ボーア模型から導かれるエネルギー準位の式を用いて、異なるスペクトル系列の特定の波長を計算し、それらを比較する問題です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- エネルギー準位の式: 水素原子のエネルギー準位が \(E_n = -Rhc/n^2\) で与えられること。
- 光子放出のエネルギー保存則: 電子が準位\(n\)から\(n’\)へ遷移する際に放出される光の波長\(\lambda\)は、エネルギー差に等しい光子エネルギー \(h\frac{c}{\lambda} = E_n – E_{n’}\) の関係を満たすこと。
- スペクトル系列の定義: 「バルマー系列」が遷移先\(n’=2\)、「ライマン系列」が遷移先\(n’=1\)の光のグループであることを知っていること。
- 最長・最短波長の物理的解釈: 最長波長はエネルギー差が最小の遷移に、最短波長はエネルギー差が最大の遷移に対応することを理解していること。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- まず、「バルマー系列の最短波長」に対応する遷移(\(n=\infty \to 2\))を特定し、エネルギー保存則からその波長\(\lambda_1\)を求めます。
- 次に、「ライマン系列の最長波長」に対応する遷移(\(n=2 \to 1\))を特定し、同様にその波長\(\lambda_2\)を求めます。
- 最後に、2つの波長の比 \(\lambda_1/\lambda_2\) を計算します。