- まずはザックリ理解したい
- イメージを優先したい
- 苦手を克服したい
このような方向けに解説をしていきます。
【今回わかること】
- 弦の固有振動の図
- 振動の名前
- 覚えるべき公式と覚えなくていい公式
弦の振動の仕方と「〇倍振動」
ギターのような弦楽器は、ピンと張った弦をはじいて振動させることで音を鳴らします。
弦の振動では、振動してる様子を図で書けるようにするというのが最初の目標です。
弦の両端の特徴
まずは弦の両端がどうなっているのか見てみましょう。
ギターの弦は、1本1本の弦をピンと張るために両端を固定しています。
つまり弦の振動は両サイドが固定端というのを、ギターの絵を見てわかるようにしておきましょう。
弦全体の振動の様子
弦を指ではじくと、(人間の体感では)一瞬で定常波が完成します。
スローモーションで見ると、弦の両端で固定端反射を繰り返し、少しずつ定常波ができあがっていくイメージです。
実際に弦の振動に関する問題を解くときには、定常波が完成したあとの状況を問われます。
振動のパターンを1つずつ解説する前に、まずは実際に振動している様子を映像で確認しましょう!
基本振動
腹が1つだけの振動を基本振動と呼びます。
弦の振動ではこの形が基本形と覚えておきましょう。
このあと登場する2倍振動、3倍振動などの判断がしやすくなります。
2倍振動
弦の振動数を大きくしていくと、腹が2つの定常波ができあがります。
これを2倍振動と呼びます。
基本振動が1回ねじれたような形になります。
真ん中の振動しない部分を節と呼ぶことも復習しておきましょう!
3倍振動
2倍振動のときよりも、さらに振動数を大きくしていくと、腹が3つ節が2つの定常波ができあがります。
これを3倍振動と呼びます。
腹の数、節の数をがんばって覚える必要はありません。
基本振動の形だけを覚えて、そのほかの振動は「基本振動の形が〇個あるから、〇倍振動」と判断しましょう!
弦の振動で覚えるべき公式
教科書で太字になっている次のような公式は、覚える必要ありません!
- \(\displaystyle λ_m=\frac{2l}{m}\) (\(m=1,2,3,・・・\))
- \(\displaystyle f_m=\frac{m}{2l}v\) (\(m=1,2,3,・・・\))
では、結局どの公式を覚えればいいのか?
次の2つは必ず覚えておきましょう!
\(\large v=fλ\) 、 \(\large \displaystyle v=\sqrt {\frac{S}{ρ}}\)
(\v\):速さ、\(f\):振動数、\(λ\):波長、\(S\):張力、\(ρ\):線密度
張力 \(S\) は弦に働く張力の大きさ、線密度 \(ρ\) は単位長さ(1m分)の質量のことです。
線密度 \(ρ\) をはじめて知った場合は、弦の太さというイメージを持っておくのがおすすめです。
実際に問題を解くときには、次のような手順で進めていきます。
- 振動の様子を図で描く(基本振動、2倍振動など)
- 図から波長 \(λ\) を読みとる
- 振動数 \(f\) 、速さ \(v\) の情報が与えられていたら代入する
- ③の式を質問に合わせて計算する
物理基礎の範囲内では、\(v=\sqrt {\frac{S}{ρ}}\) は発展内容扱いなので、\(v=fλ\) のみで解ける問題が大半です。
つまり図を書いて、\(v=fλ\) を作れば公式を覚えなくて大丈夫ということになります。
簡単に作れるのであれば、\(λ_m=\frac{2l}{m}\) や \(f_m=\frac{m}{2l}v\) は忘れてしましましょう!
実際に解法を使ってる演習動画は、こちらからチェックしてみてください。
まとめ
- 基本振動の形を覚えて、〇倍振動は「基本振動〇個分」で調べる
- \(v=fλ\)、\(v=\sqrt{\frac{S}{ρ}}\)だけ覚えておく
- 図を描いて波長 \(λ\) を読みとる
例題