「物理重要問題集2026」徹底解説(82〜84問):未来の得点力へ!完全マスター講座

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問題82 水面波と反射と屈折 (16 東京大)

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問[A](4)の別解: 経路差の範囲評価による個数の数え上げ
      • 模範解答と同様のアプローチですが、経路差関数 \(\Delta L(x)\) の単調性と値域を明確に示し、数式的に厳密に解の個数を特定します。
    • 設問[B](1)の別解: 位相関数(微積分)を用いたドップラー効果の導出
      • 公式を暗記して適用するのではなく、波の位相 \(\Phi(t, y)\) を定義し、その時間微分(瞬時振動数)としてドップラー効果の式を導出します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 経路差の範囲評価: グラフや直感に頼らず、不等式を用いて論理的に解の個数を確定させる力が身につきます。
    • 位相関数の微分: ドップラー効果の本質が「位相の変化率」であることを理解でき、複雑な設定(加速する波源など)にも応用できる汎用的な視点が得られます。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「水面波の伝播・反射・屈折とドップラー効果」です。
前半は静止した波源からの波の干渉や屈折を幾何学的に考察し、後半は波源が移動する場合のドップラー効果や位相差を扱います。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  • 波の基本式: 速さ \(v\)、振動数 \(f\)、波長 \(\lambda\) の関係 \(v = f\lambda\)。
  • ホイヘンスの原理と屈折の法則: 波面と射線の幾何学的関係、スネルの法則 \(\displaystyle \frac{\sin i}{\sin r} = \frac{v_1}{v_2}\)。
  • 鏡像法: 平面での反射波は、境界に対して対称な位置にある「仮想波源(鏡像)」から出た波として扱えます。
  • ドップラー効果: 波源や観測者が動くことで、観測される振動数が変化する現象。\(f’ = f \frac{V – v_{\text{観測者}}}{V – v_{\text{波源}}}\) の公式が基本です。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  • [A]では、幾何学的な図形(直角三角形など)を見出し、三平方の定理や三角比を用いて距離や角度を計算します。干渉条件は経路差に着目します。
  • [B]では、ドップラー効果の公式を適用して振動数を求めます。また、移動する波源に戻ってくる波の時間や位相差については、波の移動距離と波源の移動距離の関係式を立式して解きます。

問[A](1)

思考の道筋とポイント
波の基本公式 \(v = f\lambda\) を用いて、振動数と波長を求めます。
領域Aと領域Bで波の速さが異なりますが、振動数は波源によって決まるため、媒質が変わっても変化しないという点が最重要です。

この設問における重要なポイント

  • 振動数の不変性: 波が屈折して他の領域に入っても、振動数 \(f\) は変わりません。
  • 速さと波長の関係: \(v \propto \lambda\) (\(f\) 一定のとき)となります。

具体的な解説と立式
領域Aでの波の速さは \(V\)、波長は \(\lambda_{\text{A}} = \frac{d}{2}\) です。
波の基本公式 \(V = f \lambda_{\text{A}}\) より、振動数 \(f\) についての方程式を立てます。
$$
\begin{aligned}
f &= \frac{V}{\lambda_{\text{A}}} \quad \cdots ①
\end{aligned}
$$
次に、領域Bでの波長 \(\lambda_{\text{B}}\) を求めます。
領域Bでの速さは \(v_{\text{B}} = \frac{V}{2}\) であり、振動数は \(f\) のままです。
$$
\begin{aligned}
\lambda_{\text{B}} &= \frac{v_{\text{B}}}{f} \quad \cdots ②
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 波の基本公式: \(v = f\lambda\)

計算過程
式①に \(\lambda_{\text{A}} = \frac{d}{2}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
f &= \frac{V}{d/2} \\[2.0ex]
&= \frac{2V}{d}
\end{aligned}
$$
式②に \(v_{\text{B}} = \frac{V}{2}\) と求めた \(f\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
\lambda_{\text{B}} &= \frac{V/2}{2V/d} \\[2.0ex]
&= \frac{V}{2} \cdot \frac{d}{2V} \\[2.0ex]
&= \frac{d}{4}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明
領域Aでは、速さ \(V\) で波長が \(d/2\) なので、1秒間に波が何個出るか(振動数)は「速さ÷波長」で計算できます。
領域Bに入ると、速さが半分(\(V/2\))になります。振動数(リズム)は変わらないので、波の歩幅(波長)も半分になります。

結論と吟味
領域Bで速さが半分になったので、波長も半分(\(d/2 \rightarrow d/4\))になっています。これは物理的に妥当です。

解答 [A](1) 振動数: \(\displaystyle \frac{2V}{d}\), 波長: \(\displaystyle \frac{d}{4}\)

問[A](2)

思考の道筋とポイント
次元解析(単位の比較)を行う問題です。
物理量の単位を基本単位(長さ \(\text{L}\)、時間 \(\text{T}\))で表し、両辺の次元が一致するように指数 \(a, b\) を決定します。

この設問における重要なポイント

  • 次元の確認:
    • 速さ \(v\): \([\text{L} \cdot \text{T}^{-1}]\) (単位: \(\text{m}/\text{s}\))
    • 重力加速度 \(g\): \([\text{L} \cdot \text{T}^{-2}]\) (単位: \(\text{m}/\text{s}^2\))
    • 水深 \(h\): \([\text{L}]\) (単位: \(\text{m}\))

具体的な解説と立式
与えられた式 \(v = g^a h^b\) の両辺の次元を比較します。
左辺の次元は \([\text{L}^1 \text{T}^{-1}]\) です。
右辺の次元は \(([\text{L} \text{T}^{-2}])^a ([\text{L}])^b = [\text{L}^a \text{T}^{-2a}] [\text{L}^b] = [\text{L}^{a+b} \text{T}^{-2a}]\) です。
両辺の \(\text{L}\) と \(\text{T}\) の指数を比較して連立方程式を立てます。
$$
\begin{aligned}
\text{Lの指数}: \quad 1 &= a + b \quad \cdots ③ \\[2.0ex]
\text{Tの指数}: \quad -1 &= -2a \quad \cdots ④
\end{aligned}
$$
次に、水深の比を求めます。
\(v = \sqrt{gh}\) より、\(h = \frac{v^2}{g}\) です。
領域Aの水深 \(h_{\text{A}}\) と領域Bの水深 \(h_{\text{B}}\) の比を、速さ \(V\) と \(V/2\) を用いて表します。
$$
\begin{aligned}
\frac{h_{\text{A}}}{h_{\text{B}}} &= \frac{V^2/g}{(V/2)^2/g} \quad \cdots ⑤
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 次元解析の原理

計算過程
式④より、
$$
\begin{aligned}
a &= \frac{1}{2}
\end{aligned}
$$
これを式③に代入して、
$$
\begin{aligned}
b &= 1 – \frac{1}{2} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2}
\end{aligned}
$$
よって \(v = g^{1/2} h^{1/2} = \sqrt{gh}\) となります。
式⑤を計算します。
$$
\begin{aligned}
\frac{h_{\text{A}}}{h_{\text{B}}} &= \frac{V^2}{(V/2)^2} \\[2.0ex]
&= \frac{V^2}{V^2/4} \\[2.0ex]
&= 4
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明
単位をパズルのように組み合わせて、公式の形を特定しました。結果、速さは水深のルート(\(\sqrt{h}\))に比例することがわかりました。
速さが2倍違う(\(V\) と \(V/2\))ということは、ルートの中身である水深は \(2^2=4\) 倍違う必要があります。

結論と吟味
\(a=1/2, b=1/2\) は妥当な結果です。水深が深いほど波が速いという浅水波の性質を表しています。

解答 [A](2) \(a=\displaystyle\frac{1}{2}, \quad b=\displaystyle\frac{1}{2}\), 領域Aの水深は領域Bの水深の \(4\) 倍

問[A](3)

思考の道筋とポイント
波の反射の問題では、鏡像(仮想波源)を考えるのが定石です。
境界(\(x\)軸)に対して波源 \(\text{P}(0, d)\) と対称な点 \(\text{P}'(0, -d)\) を考えると、反射波は \(\text{P}’\) から直線的に進んできたかのように扱えます。

この設問における重要なポイント

  • 鏡像の利用: 反射波の経路長 \(\text{PQ} + \text{QR}\) は、鏡像 \(\text{P}’\) からの直線距離 \(\text{P}’\text{R}\) と等しくなります。
  • 幾何学的距離: 2点間の距離の公式を用います。

具体的な解説と立式
波源 \(\text{P}(0, d)\) の \(x\)軸に関する対称点(鏡像)を \(\text{P}'(0, -d)\) とします。
反射の法則により、経路長について以下の等式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
\text{PQ} + \text{QR} &= \text{P}’\text{Q} + \text{QR} \\[2.0ex]
&= \text{P}’\text{R}
\end{aligned}
$$
点 \(\text{P}'(0, -d)\) と点 \(\text{R}(x, y)\) の距離を三平方の定理で表します。
$$
\begin{aligned}
\text{P}’\text{R} &= \sqrt{(x – 0)^2 + (y – (-d))^2} \quad \cdots ⑥
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 2点間の距離の公式: \(d = \sqrt{(x_2-x_1)^2 + (y_2-y_1)^2}\)

計算過程
式⑥を整理します。
$$
\begin{aligned}
\text{PQ} + \text{QR} &= \sqrt{x^2 + (y+d)^2}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明
鏡に映った自分を見るのと同じように、反射する波は「壁の向こう側にある波源」から真っ直ぐ飛んできたと考えられます。
波源Pの反対側にある点P’から、ゴール地点Rまでの直線の長さを計算すれば、それが波の通った道のりの長さになります。

結論と吟味
座標 \((x, y)\) と定数 \(d\) を用いた無理関数の形になります。距離なので正の値であり、妥当です。

解答 [A](3) \(\sqrt{x^2 + (y+d)^2}\)

問[A](4)

思考の道筋とポイント
波の干渉条件を問われています。
「直接波」と「反射波」の経路差を計算し、それが波長の「整数倍」か「半整数倍」かで強め合い・弱め合いを判定します。
今回は「弱めあう条件」なので、経路差が半波長の奇数倍(\((n + 1/2)\lambda\))になる条件を探します。
また、反射による位相変化がない(問題文より)ことも重要です。

この設問における重要なポイント

  • 経路差: 直接波の距離 \(r_1\) と反射波の距離 \(r_2\) の差 \(\Delta L = |r_2 – r_1|\)。
  • 干渉条件(同位相波源):
    • 強め合い: \(\Delta L = n\lambda\)
    • 弱め合い: \(\Delta L = (n + \frac{1}{2})\lambda\)
  • 個数の数え上げ: \(x\) の範囲(\(-\infty < x < \infty\))における経路差の値域を調べて、条件を満たす整数 \(n\) の個数を数えます。

具体的な解説と立式
直線 \(y=d\) 上の点 \((x, d)\) を考えます。
波源 \(\text{P}(0, d)\) からの直接波の経路長 \(L_{\text{直接}}\) は、\(y\)座標が等しいので \(x\)座標の差の絶対値です。
$$
\begin{aligned}
L_{\text{直接}} &= |x|
\end{aligned}
$$
反射波の経路長 \(L_{\text{反射}}\) は、問(3)の結果において \(y=d\) とすることで求まります。
$$
\begin{aligned}
L_{\text{反射}} &= \sqrt{x^2 + (d+d)^2} \\[2.0ex]
&= \sqrt{x^2 + 4d^2}
\end{aligned}
$$
経路差 \(\Delta L\) は \(L_{\text{反射}} – L_{\text{直接}}\) です(三角形の成立条件より常に \(L_{\text{反射}} > L_{\text{直接}}\))。
弱めあう条件は、経路差が波長 \(\lambda_{\text{A}} = d/2\) の \((n + 1/2)\) 倍になることです(\(n\) は非負整数)。
$$
\begin{aligned}
\sqrt{x^2 + 4d^2} – |x| &= \left( n + \frac{1}{2} \right) \lambda_{\text{A}} \quad \cdots ⑦
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 波の干渉条件(弱め合い): \(\Delta L = (m + \frac{1}{2})\lambda\)

計算過程
式⑦に \(\lambda_{\text{A}} = \frac{d}{2}\) を代入して整理します。
$$
\begin{aligned}
\sqrt{x^2 + 4d^2} – |x| &= \left( n + \frac{1}{2} \right) \frac{d}{2}
\end{aligned}
$$
これが条件式です。

次に個数を求めます。
左辺を経路差関数 \(f(x) = \sqrt{x^2 + 4d^2} – |x|\) と置きます。
\(x=0\) のとき:
$$
\begin{aligned}
f(0) &= \sqrt{4d^2} – 0 \\[2.0ex]
&= 2d
\end{aligned}
$$
\(|x| \rightarrow \infty\) のとき:
$$
\begin{aligned}
\lim_{|x| \rightarrow \infty} (\sqrt{x^2 + 4d^2} – |x|) &= \lim_{|x| \rightarrow \infty} \frac{(\sqrt{x^2 + 4d^2} – |x|)(\sqrt{x^2 + 4d^2} + |x|)}{\sqrt{x^2 + 4d^2} + |x|} \\[2.0ex]
&= \lim_{|x| \rightarrow \infty} \frac{x^2 + 4d^2 – x^2}{\sqrt{x^2 + 4d^2} + |x|} \\[2.0ex]
&= \lim_{|x| \rightarrow \infty} \frac{4d^2}{\sqrt{x^2 + 4d^2} + |x|} \\[2.0ex]
&= 0
\end{aligned}
$$
\(f(x)\) は \(|x|\) に関して単調減少する関数で、値域は \(0 < f(x) \le 2d\) です。
条件式の右辺の値 \(C_n = (n + 0.5) \frac{d}{2}\) がこの範囲にあれば解が存在します。
$$
\begin{aligned}
0 < \left( n + \frac{1}{2} \right) \frac{d}{2} \le 2d
\end{aligned}
$$
全体を \(2/d\) 倍して整理します。
$$
\begin{aligned}
0 < n + 0.5 \le 4 \\[2.0ex]
-0.5 < n \le 3.5
\end{aligned}
$$
\(n\) は非負整数なので、\(n = 0, 1, 2, 3\) の4通りが可能です。
各 \(n\) に対して、\(x\) は正と負の2つの解を持ちます(\(x=0\) は \(f(0)=2d\) であり、\(n=3.5\) となるため整数 \(n\) では解になりません。よって \(x \neq 0\))。
したがって、解の個数は \(4 \times 2 = 8\) 個です。

この設問の平易な説明
波源から直接来る波と、壁で反射して来る波が合流します。反射波の方が遠回りをするので、到着が遅れます。この遅れ(距離の差)が、波長の「半分+整数倍」になると、波の山と谷が重なって打ち消し合います。
計算すると、距離の差は最大で \(2d\)(真下)、遠くに行くと \(0\) に近づくことがわかります。この範囲に「波長の半分+整数倍」がいくつ入るかを数えると、左右合わせて8箇所あることがわかります。

結論と吟味
\(n=0, 1, 2, 3\) の各々に対して \(x>0\) と \(x<0\) の対称な位置に解が存在するため、合計8個となります。

解答 [A](4) 条件: \(\displaystyle \sqrt{x^2 + 4d^2} – |x| = \left( n + \frac{1}{2} \right) \frac{d}{2}\), 個数: \(8\) 個

問[A](5)

思考の道筋とポイント
「同位相」の意味を幾何学的に解釈します。
波源Pから出た波面は同心円状に広がります。ある点での位相は、波源からの距離(を波長で割ったもの)で決まります。
領域Aと領域Bで波長が異なるため、「波源からの距離が波長の何倍か(波の数)」を基準に考えます。これを「位相距離」や「光学距離」と呼ぶこともあります。

この設問における重要なポイント

  • 同位相の条件: 波源からの距離 \(L\) が波長 \(\lambda\) の整数倍である点同士は同位相です。
    • 原点O: \(\text{PO} = d = 2 \lambda_{\text{A}}\) (波長 \(d/2\) の4倍ではなく2倍)。いや、\(\lambda_{\text{A}} = d/2\) なので \(d = 2 \lambda_{\text{A}}\)。つまりO点は波源と同位相です。
  • 最も内側の波面: 原点O(位相差 \(2\lambda\) 分)の「次」の同位相波面を探します。つまり、位相差が \(3\lambda\) 分になる点です。
  • 領域Bでの波面: 領域Bでは波長が \(\lambda_{\text{B}} = d/4\) になります。

具体的な解説と立式
まず、原点Oでの位相を確認します。
\(\text{PO} = d = 2 \times \frac{d}{2} = 2\lambda_{\text{A}}\) なので、O点は波源Pと同位相です。
「原点Oから見て最も内側の同位相波面」とは、O点からさらに1波長分だけ位相が進んだ(遅れた)波面を指します。
つまり、波源Pからの位相差が \(3\times 2\pi\) (距離換算で3波長分)になる点の集合です。

点S(\(y\)軸上の点)の座標:
点Sは領域B(\(y<0\))にあります。
O点までは \(2\lambda_{\text{A}}\) 分の位相差があります。
O点からS点までの距離 \(|\text{OS}|\) が、領域Bの波長 \(\lambda_{\text{B}}\) の1個分であればよいです。
$$
\begin{aligned}
|\text{OS}| &= \lambda_{\text{B}} \\[2.0ex]
&= \frac{d}{4}
\end{aligned}
$$
Sは \(y\)軸負方向にあるので、座標は \((0, -d/4)\) です。

点T(\(x\)軸上の点)の座標:
問題文に「その波面と \(x\)軸 (\(x>0\)) との交点をT」とあります。
これは、領域Bに広がる屈折波面が境界(\(x\)軸)と交わる点、つまり境界上で位相が一致する点を意味します。
点Tは領域Aとの境界上にあるため、波源PからTまでの距離 \(\text{PT}\) が、領域Aの波長 \(\lambda_{\text{A}}\) で換算して「3波長分」になればよいです。
(O点が2波長分なので、その次の同位相点は3波長分です)
$$
\begin{aligned}
\text{PT} &= 3\lambda_{\text{A}} \\[2.0ex]
&= 3 \times \frac{d}{2} \\[2.0ex]
&= \frac{3}{2}d
\end{aligned}
$$
直角三角形POTに三平方の定理を適用して \(x\)座標を求めます。
$$
\begin{aligned}
\text{OT}^2 + \text{PO}^2 &= \text{PT}^2 \\[2.0ex]
x_{\text{T}}^2 + d^2 &= \left( \frac{3}{2}d \right)^2
\end{aligned}
$$

屈折角 \(\theta\):
スネルの法則を用います。入射角を \(\phi\) とすると、
$$
\begin{aligned}
\frac{\sin \phi}{\sin \theta} &= \frac{V}{V/2} \\[2.0ex]
&= 2 \quad \cdots ⑧
\end{aligned}
$$
入射角 \(\phi\) は \(\angle \text{OPT}\) に等しいので、三角形POTの辺の比から求めます。
$$
\begin{aligned}
\sin \phi &= \frac{\text{OT}}{\text{PT}} \quad \cdots ⑨
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 同位相の条件: 経路長 \(L = m\lambda\)
  • スネルの法則: \(\frac{\sin i}{\sin r} = n\)

計算過程
点Tの座標を計算します。
$$
\begin{aligned}
x_{\text{T}}^2 &= \frac{9}{4}d^2 – d^2 \\[2.0ex]
&= \frac{5}{4}d^2 \\[2.0ex]
x_{\text{T}} &= \frac{\sqrt{5}}{2}d \quad (x>0)
\end{aligned}
$$
よって \(\text{T}\left( \frac{\sqrt{5}}{2}d, 0 \right)\) です。

次に \(\sin \theta\) を求めます。
式⑨より、
$$
\begin{aligned}
\sin \phi &= \frac{\frac{\sqrt{5}}{2}d}{\frac{3}{2}d} \\[2.0ex]
&= \frac{\sqrt{5}}{3}
\end{aligned}
$$
式⑧より、
$$
\begin{aligned}
\sin \theta &= \frac{1}{2} \sin \phi \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2} \cdot \frac{\sqrt{5}}{3} \\[2.0ex]
&= \frac{\sqrt{5}}{6}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明
波源Pから出た波は、原点Oに着いた時点でちょうど2回振動した状態(2波長分)です。
そこからさらに1回振動した状態(合計3波長分)になる場所を探します。
領域B(下側)では波長が短いので、Oから少し進んだ \(d/4\) の場所(点S)で3波長分になります。
境界上(横方向)では、Pからの直線距離が \(3\lambda_{\text{A}}\) になる場所(点T)が該当します。
最後に、点Tでの波の進み方をスネルの法則で計算して角度を求めます。

結論と吟味
\(\sin \theta = \sqrt{5}/6 \approx 2.23/6 \approx 0.37\)。入射角のサイン \(\sqrt{5}/3 \approx 0.74\) の半分になっており、速さが半分の領域への屈折として正しい関係です。

解答 [A](5) \(\text{S}\left(0, -\displaystyle\frac{d}{4}\right), \quad \text{T}\left(\displaystyle\frac{\sqrt{5}}{2}d, 0\right), \quad \sin\theta = \displaystyle\frac{\sqrt{5}}{6}\)

問[B](1)

思考の道筋とポイント
ドップラー効果の問題です。
波源が動く場合と観測者が動く場合の公式を適用します。
反射波の振動数を求める際は、「波源 \(\rightarrow\) 壁(反射点)」「壁(反射点) \(\rightarrow\) 観測者」の2段階で考えます。
壁は静止しているので、観測者として波を受け取り、そのまま波源として波を送り出すと考えればよいです。

この設問における重要なポイント

  • ドップラー効果の公式: \(f’ = f \frac{V – v_{\text{観測者}}}{V – v_{\text{音源}}}\)。速度の向きに注意(波の進行方向を正とするのが一般的)。
  • 反射波の扱い: 壁(原点付近)に入射する波の振動数を求め、それを反射波の振動数とします。

具体的な解説と立式
反射波の振動数 \(f_{\text{A}}\):
1. 波源P \(\rightarrow\) 壁(原点O):
波源Pは \(y\)軸正の向き(壁から遠ざかる向き)に速さ \(u\) で動きます。波は \(y\)軸負の向き(P \(\rightarrow\) O)に進みます。
波の進行方向を正とすると、波源の速度は \(-u\) です。
壁が受け取る振動数 \(f_0\) は、
$$
\begin{aligned}
f_0 &= f \frac{V}{V – (-u)} \\[2.0ex]
&= f \frac{V}{V+u}
\end{aligned}
$$
2. 壁(原点O) \(\rightarrow\) 波源P(観測者):
壁で反射した波は \(y\)軸正の向き(O \(\rightarrow\) P)に進みます。振動数は \(f_0\) のままです。
観測者(波源P)は \(y\)軸正の向きに速さ \(u\) で動きます。波と同じ向きに逃げています。
波の進行方向を正とすると、観測者の速度は \(u\) です。
観測される振動数 \(f_{\text{A}}\) は、
$$
\begin{aligned}
f_{\text{A}} &= f_0 \frac{V – u}{V} \quad \cdots ⑩
\end{aligned}
$$

領域Bでの観測振動数 \(f_{\text{B}}\):
透過波の振動数は、壁での振動数 \(f_0\) と同じです。
領域Bでの波の速さは \(V/2\) です。
波は \(y\)軸負の向きに進みます。
観測者は \(y\)軸負の向きに速さ \(w\) で動きます。波と同じ向きに逃げています。
波の進行方向を正とすると、観測者の速度は \(w\) です。
観測される振動数 \(f_{\text{B}}\) は、
$$
\begin{aligned}
f_{\text{B}} &= f_0 \frac{(V/2) – w}{V/2} \quad \cdots ⑪
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • ドップラー効果の公式

計算過程
式⑩に \(f_0\) と \(f = 2V/d\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
f_{\text{A}} &= \left( f \frac{V}{V+u} \right) \frac{V-u}{V} \\[2.0ex]
&= f \frac{V-u}{V+u} \\[2.0ex]
&= \frac{2V}{d} \frac{V-u}{V+u}
\end{aligned}
$$
式⑪を計算します。
$$
\begin{aligned}
f_{\text{B}} &= f_0 \frac{V – 2w}{V} \\[2.0ex]
&= \left( f \frac{V}{V+u} \right) \frac{V – 2w}{V} \\[2.0ex]
&= f \frac{V – 2w}{V+u} \\[2.0ex]
&= \frac{2V}{d} \frac{V – 2w}{V+u}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明
波源が遠ざかりながら波を出すので、壁に届く波は間延びして振動数が下がります(\(f_0\))。
その波が跳ね返ってきて、さらに逃げている波源(観測者)がそれを見るので、さらに振動数が下がります(\(f_{\text{A}}\))。
領域Bでは、壁に届いた低い振動数(\(f_0\))の波が伝わります。観測者も波から逃げているので、さらに低く観測されます(\(f_{\text{B}}\))。

結論と吟味
\(u, w\) が大きくなるほど振動数が下がる式になっており、物理的直感(遠ざかるドップラー効果)と一致します。

解答 [B](1) 反射波: \(\displaystyle \frac{2V}{d} \frac{V-u}{V+u}\), 観測される波: \(\displaystyle \frac{2V}{d} \frac{V-2w}{V+u}\)

問[B](2)

思考の道筋とポイント
波源が横(\(x\)軸方向)に動く場合の問題です。
「波源を出た波が反射して波源に戻る」という現象を、時間と距離の関係式として立式します。
ここでも鏡像法が有効です。動いている波源を追いかける波の軌跡を考えます。

この設問における重要なポイント

  • 波源の移動: 時刻 \(0\) に \(\text{P}_1(0, d)\) を出た波が、時刻 \(t’\) に \(\text{P}_2(ut’, d)\) に到達します。
  • 波の経路: 波は \(\text{P}_1\) の鏡像 \(\text{P}’_1(0, -d)\) から出て、\(\text{P}_2(ut’, d)\) に直線的に進んだとみなせます。

具体的な解説と立式
波源から出た波が反射して戻るまでの時間を \(t’\) とします。
この間に波源は \(x\)軸正方向に距離 \(ut’\) だけ進みます。到達点は \((ut’, d)\) です。
波の総移動距離 \(L\) は、鏡像 \(\text{P}'(0, -d)\) から到達点 \((ut’, d)\) までの直線距離に等しいので、
$$
\begin{aligned}
L &= \sqrt{(ut’ – 0)^2 + (d – (-d))^2} \\[2.0ex]
&= \sqrt{u^2 t’^2 + 4d^2}
\end{aligned}
$$
一方、波は速さ \(V\) で時間 \(t’\) だけ進むので、\(L = Vt’\) です。
よって、以下の等式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
Vt’ &= \sqrt{u^2 t’^2 + 4d^2} \quad \cdots ⑫
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 距離 = 速さ \(\times\) 時間
  • 三平方の定理

計算過程
式⑫の両辺を2乗して \(t’\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
V^2 t’^2 &= u^2 t’^2 + 4d^2 \\[2.0ex]
(V^2 – u^2) t’^2 &= 4d^2 \\[2.0ex]
t’^2 &= \frac{4d^2}{V^2 – u^2}
\end{aligned}
$$
\(t’ > 0\) より、
$$
\begin{aligned}
t’ &= \frac{2d}{\sqrt{V^2 – u^2}}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明
波源が右に動いているので、波は斜め前に向かって進み、壁で反射して、先回りした波源に追いつく必要があります。
波の進んだ距離(\(Vt’\))と、波源の進んだ距離(\(ut’\))と、壁までの往復距離(\(2d\))の間には、直角三角形の関係(三平方の定理)が成り立ちます。これを解けば時間が求まります。

結論と吟味
\(u=0\) のときは \(t’ = 2d/V\) となり、単なる往復時間と一致します。\(u\) が大きくなると分母が小さくなり、時間は長くなります(追いつくのに時間がかかる)。妥当です。

解答 [B](2) \(\displaystyle \frac{2d}{\sqrt{V^2 – u^2}}\)

問[B](3)

思考の道筋とポイント
「波源における波」と「戻ってきた反射波」の位相差を考えます。
ここでのポイントは、「今、波源が出している波の位相」「昔、波源を出て戻ってきた波の位相」を比較することです。
反射による位相変化はないので、位相差は単に時間差(過去の自分とのズレ)によって生じます。

この設問における重要なポイント

  • 位相差の正体: 時刻 \(t\) における波源の位相を \(\Phi(t)\) とすると、戻ってきた波の位相は、それが発射された時刻 \(t – t’\) における波源の位相 \(\Phi(t – t’)\) と同じです。
  • 逆位相の条件: 位相差が \(\pi\) の奇数倍、つまり時間差 \(t’\) が周期 \(T\) の「整数倍+半分」であることです。
    $$
    \begin{aligned}
    t’ &= \left( m + \frac{1}{2} \right) T
    \end{aligned}
    $$

具体的な解説と立式
波源の振動数を \(f = 2V/d\) とすると、周期は \(T = 1/f = d/2V\) です。
逆位相になる条件は、往復時間 \(t’\) が周期 \(T\) の \((m + 1/2)\) 倍になることです(\(m\) は非負整数)。
$$
\begin{aligned}
t’ &= \left( m + \frac{1}{2} \right) T \quad \cdots ⑬
\end{aligned}
$$
これに問(2)の結果と \(T\) を代入して、\(u\) についての方程式を立てます。
$$
\begin{aligned}
\frac{2d}{\sqrt{V^2 – u^2}} &= \left( m + \frac{1}{2} \right) \frac{d}{2V} \quad \cdots ⑭
\end{aligned}
$$
さらに、\(u\) の存在範囲(\(0 < u < V/2\))から \(m\) の値を絞り込みます。

使用した物理公式

  • 逆位相条件: 時間差 \(= (m + 0.5)T\)

計算過程
式⑭を整理して \(u\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
\frac{4V}{\sqrt{V^2 – u^2}} &= m + \frac{1}{2} \\[2.0ex]
&= \frac{2m+1}{2} \\[2.0ex]
\sqrt{V^2 – u^2} &= \frac{8V}{2m+1}
\end{aligned}
$$
両辺を2乗します。
$$
\begin{aligned}
V^2 – u^2 &= \frac{64V^2}{(2m+1)^2} \\[2.0ex]
u^2 &= V^2 \left( 1 – \frac{64}{(2m+1)^2} \right)
\end{aligned}
$$
\(u > 0\) より、
$$
\begin{aligned}
u &= V \sqrt{1 – \frac{64}{(2m+1)^2}} \quad \cdots ⑮
\end{aligned}
$$
これが \(u\) の式です。

次に \(m\) を決定します。
\(u\) が実数である条件(ルートの中が正)より、
$$
\begin{aligned}
1 – \frac{64}{(2m+1)^2} > 0 &\rightarrow (2m+1)^2 > 64 \\[2.0ex]
&\rightarrow 2m+1 > 8 \\[2.0ex]
&\rightarrow 2m > 7 \\[2.0ex]
&\rightarrow m \ge 4
\end{aligned}
$$
また、問題文の条件 \(u < V/2\) より、
$$
\begin{aligned}
u^2 &< \frac{V^2}{4} \\[2.0ex]
V^2 \left( 1 – \frac{64}{(2m+1)^2} \right) &< \frac{V^2}{4} \\[2.0ex]
1 – \frac{64}{(2m+1)^2} &< \frac{1}{4} \\[2.0ex]
\frac{3}{4} &< \frac{64}{(2m+1)^2} \\[2.0ex]
(2m+1)^2 &< \frac{256}{3} \\[2.0ex]
&= 85.33\cdots
\end{aligned}
$$
\(2m+1\) は正の奇数であり、2乗して \(64\) より大きく \(85.33\) より小さいものを探します。
\(8^2 = 64\)、\(9^2 = 81\)、\(10^2 = 100\) なので、条件を満たすのは \((2m+1)^2 = 81\) のみです。
$$
\begin{aligned}
2m+1 &= 9 \\[2.0ex]
m &= 4
\end{aligned}
$$
\(m=4\) を式⑮に代入して \(u\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
u &= V \sqrt{1 – \frac{64}{81}} \\[2.0ex]
&= V \sqrt{\frac{17}{81}} \\[2.0ex]
&= \frac{\sqrt{17}}{9}V
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明
戻ってきた波が、今の波源の動きと逆(山と谷の関係)になる条件を探します。
それは、行って帰ってくる時間が、波のリズム(周期)の「整数倍+半分」になるときです。
計算式を作ると、波源の速さ \(u\) と整数 \(m\) の関係式ができます。
\(u\) には「速すぎない(\(V/2\)未満)」という制限があるので、それを満たす整数 \(m\) は実は「4」しかありません。そこから \(u\) の値が一つに決まります。

結論と吟味
\(\sqrt{17} \approx 4.12\) なので、\(u \approx \frac{4.12}{9}V \approx 0.46V\)。これは \(0.5V\) より小さく、条件を満たします。

解答 [B](3) 条件: \(\displaystyle \frac{4V}{\sqrt{V^2 – u^2}} = m + \frac{1}{2}\), \(\quad u = \displaystyle \frac{\sqrt{17}}{9}V\)

別解: 位相関数(微積分)を用いたドップラー効果の導出

思考の道筋とポイント
[B](1)のドップラー効果の式を、公式の暗記ではなく、波の位相 \(\Phi(t, y)\) の定義と、その時間微分(瞬時振動数)から導出します。
これにより、波源や観測者が加速運動する場合など、より複雑な状況にも対応できる物理的基礎力を養います。

この設問における重要なポイント

  • 位相の不変性: 波の山や谷といった「位相」の値そのものは、誰から見ても変わりません。
  • 振動数の定義: 振動数とは「単位時間あたりの位相の変化量(を \(2\pi\) で割ったもの)」です。
    $$ f = \frac{1}{2\pi} \frac{d\Phi}{dt} $$

具体的な解説と立式
1. 波源が動く場合(反射波の生成)
波源Pの位置を \(y_{\text{src}}(t) = ut\) (\(t=0\)で原点通過と仮定)、壁(観測点)の位置を \(y_{\text{obs}} = 0\) とします。
時刻 \(\tau\) に波源を出た波が、時刻 \(t\) に壁に到達するとします。
波の速さは \(V\) で、\(y\)軸負方向に進むので、到達時刻 \(t\) と発射時刻 \(\tau\) の関係は、
$$
\begin{aligned}
t &= \tau + \frac{y_{\text{src}}(\tau) – y_{\text{obs}}}{V} \\[2.0ex]
&= \tau + \frac{u\tau}{V} \\[2.0ex]
&= \tau \left( 1 + \frac{u}{V} \right)
\end{aligned}
$$
波源の位相を \(\Phi_{\text{src}}(\tau) = 2\pi f \tau\) とすると、壁に到達した波の位相 \(\Phi_{\text{wall}}(t)\) はこれと等しいので、
$$
\begin{aligned}
\Phi_{\text{wall}}(t) &= 2\pi f \tau \\[2.0ex]
&= 2\pi f \frac{t}{1 + u/V} \\[2.0ex]
&= 2\pi f \frac{V}{V+u} t
\end{aligned}
$$
壁での振動数 \(f_0\) は位相の時間微分より、
$$
\begin{aligned}
f_0 &= \frac{1}{2\pi} \frac{d\Phi_{\text{wall}}}{dt} \\[2.0ex]
&= f \frac{V}{V+u}
\end{aligned}
$$

2. 観測者が動く場合(反射波の観測)
壁(\(y=0\))から振動数 \(f_0\) の波が \(y\)軸正方向に発射されます。
波の位相場は \(\Phi(t, y) = 2\pi f_0 (t – y/V)\) と書けます。
観測者(波源P)の位置は \(y_{\text{obs}}(t) = ut\) です。
観測者が受け取る位相 \(\Phi_{\text{obs}}(t)\) は、
$$
\begin{aligned}
\Phi_{\text{obs}}(t) &= \Phi(t, y_{\text{obs}}(t)) \\[2.0ex]
&= 2\pi f_0 \left( t – \frac{ut}{V} \right) \\[2.0ex]
&= 2\pi f_0 \left( 1 – \frac{u}{V} \right) t
\end{aligned}
$$
観測される振動数 \(f_{\text{A}}\) は、
$$
\begin{aligned}
f_{\text{A}} &= \frac{1}{2\pi} \frac{d\Phi_{\text{obs}}}{dt} \\[2.0ex]
&= f_0 \frac{V-u}{V} \\[2.0ex]
&= \left( f \frac{V}{V+u} \right) \frac{V-u}{V} \\[2.0ex]
&= f \frac{V-u}{V+u}
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 位相と振動数の関係: \(f = \frac{1}{2\pi} \frac{d\Phi}{dt}\)

計算過程
上記の「具体的な解説と立式」内で計算過程も示しました。

この設問の平易な説明
波の「山」や「谷」といった状態(位相)は、誰が見ても変わりません。
波源が動くと、波が出るタイミングと届くタイミングがずれます。このズレを計算して、壁に届く波の位相を時間の関数として表しました。
その位相が時間とともにどれくらいの速さで変化するか(微分)を計算すると、それが振動数になります。
観測者が動く場合も同様に、観測者が受け取る位相の変化率を計算することで、ドップラー効果の式が自然に導かれます。

結論と吟味
公式を適用した場合と全く同じ結果が得られました。
この方法は、速度 \(u\) が時間変化する場合でも \(d\Phi/dt\) を計算することで瞬時のドップラーシフトを求められるため、より一般的で強力な手法です。

解答 [B](1) メイン解法と同じ

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?

  • 波の不変量と変化量
    • 核心: 媒質が変わっても(屈折しても)、波源が変わらなければ振動数 \(f\) は不変です。一方、速さ \(v\) と波長 \(\lambda\) は媒質の性質によって変化します。
    • 理解のポイント:
      • \(v = f\lambda\) の式において、\(f\) を定数として扱うことで、\(v\) と \(\lambda\) の比例関係が見えてきます。
  • 鏡像法による反射波の解析
    • 核心: 直線境界での反射波は、境界に対して対称な位置にある仮想波源(鏡像)から出た波として扱うことで、直進する波の問題に帰着できます。
    • 理解のポイント:
      • 経路長の計算や、移動する波源の反射時間の計算において、折り返し地点を無くして直線化することで、三平方の定理などが使いやすくなります。

応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点

  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 光の干渉(ヤングの実験、薄膜干渉): 経路差を計算して \((n+1/2)\lambda\) などの条件を適用する流れは完全に同じです。
    • 移動する音源の干渉: ドップラー効果で波長が変化した波同士の干渉問題では、本問[B]のように位相差(時間差)に着目するのが有効です。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 対称性を見つける: 反射があればすぐに「鏡像」を作図します。
    2. 「同位相」の定義に戻る: 複雑な干渉や波面の問題では、「波源からの距離が波長の何倍か」という基本に立ち返ります。
    3. 極限を考える: 解の個数を求める際、\(x=0\) や \(x \rightarrow \infty\) で経路差がどうなるかをチェックすることで、数え間違いを防げます。

要注意!ありがちなミス・誤解とその対策

  • ドップラー効果の符号ミス:
    • 誤解: 公式の分母・分子のプラスマイナスを丸暗記して適用しようとして、波源と観測者の向きを取り違える。
    • 対策: 必ず「波の進行方向」を正の向きとして軸を設定し、速度の符号を確認します。あるいは「近づくときは振動数アップ、遠ざかるときはダウン」という定性的なチェックを必ず行います。
  • 干渉条件の \(m\) の数え落とし:
    • 誤解: \(x>0\) の個数だけ求めて、\(x<0\) 側を忘れる。あるいは \(n=0\) を忘れる。
    • 対策: 経路差のグラフや不等式を書いて、範囲内にある整数を可視化します。対称性がある場合は「片側 \(\times 2\)」を意識しますが、中央(\(x=0\))が含まれるかどうかの確認も忘れずに。

なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法

  • [B](3)での「時間差」による位相差計算:
    • 選定理由: 波長がドップラー効果で変化しているため、距離で位相差を考えると複雑になります(行きと帰りで波長が違う)。一方、時間は絶対的なので、往復時間 \(t’\) と周期 \(T\) を比較する方がシンプルで間違いがありません。
    • 適用根拠: 位相は \(\omega t\) で進むため、位相差 \(\Delta \phi\) は時間差 \(\Delta t\) に比例します(\(\Delta \phi = \omega \Delta t\))。

計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック

  • 次元解析(単位チェック)の習慣化:
    • 意識: [A](2)のような設問でなくても、自分で導いた式の次元が合っているか常に確認します。例えば時間の式なら \([L]/[L/T] = [T]\) になっているか。
    • 実践: [B](2)の \(t’ = \frac{2d}{\sqrt{V^2 – u^2}}\) において、分母は速さ、分子は距離なので、全体は時間の次元で正しいと瞬時に判断できます。
  • 不等式の評価:
    • 意識: [B](3)のように解の候補が複数出る場合、与えられた条件(\(u < V/2\))を使って厳密に絞り込みます。
    • 実践: 「だいたいこのくらい」ではなく、\(64 < (2m+1)^2 < 85.33\) のように数値を書き出して、確実に整数を特定します。
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問題83 音波の干渉 (25 東北学院大 改)

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(1)〜(3)の別解: 波動関数(微積分)を用いた体系的解法
      • 模範解答が経路差と波長の幾何学的関係から干渉条件を導いているのに対し、別解では音波を正弦波の式(波動関数)として設定し、重ね合わせの原理と三角関数の和積公式を用いて合成波の振幅を導出します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理現象の深い理解: 「強め合い・弱め合い」が単なる経路差のルールではなく、波の位相差による振幅の増減であることを数式上で明確に理解できます。
    • 汎用性の獲得: 経路差が複雑な場合や、振幅が異なる波の干渉など、単純な公式が適用できない状況にも対応できる基礎力を養います。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「クインケ管による音波の干渉」です。
音波が2つの経路に分かれて進み、再び合流する際の経路差によって、音が強め合ったり弱め合ったりする現象を扱います。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  • 波の干渉条件: 経路差 \(\Delta L\) が波長 \(\lambda\) の整数倍なら強め合い、半波長の奇数倍なら弱め合います。
  • 波の基本公式: 音速 \(V\)、振動数 \(f\)、波長 \(\lambda\) の間には \(V = f\lambda\) の関係があります。
  • 音速の温度依存性: 空気中の音速は温度 \(t\) [\(^\circ\text{C}\)] によって \(V = 331.5 + 0.6t\) と変化します。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  • (1)(2)では、管を引き出した距離と経路差の関係を幾何学的に把握し、干渉条件式から波長と振動数を求めます。
  • (3)では、温度変化による音速の変化が波長や干渉条件にどう影響するかを論理的に考察します。
  • (4)では、音波の基本的な性質(縦波、疎密波など)を確認します。

問(1)

ここから先が、他の受験生と差がつく重要パートです。

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