問題28 直流回路 (東工大)
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(4)(5)の別解1: 合成抵抗を用いた解法
- 模範解答が電流と電圧の連立方程式(キルヒホッフの法則)を個別に立てて解くのに対し、別解1では測定系全体を一つの「合成抵抗」とみなし、オームの法則一発で解を導きます。
- 設問(3)〜(5)の別解2: 微積分(電位の定義)を用いた体系的解法
- 回路における電圧(電位差)を電場 \(\vec{E}\) の線積分 \(V = -\int \vec{E} \cdot d\vec{r}\) として定義し直し、キルヒホッフの法則の物理的起源に立ち返ります。その上で、測定値 \(R_{\text{測}}\) を真の抵抗 \(R\) と内部抵抗 \(r_A, r_V\) の関数として厳密に導出し、誤差の構造を体系的に解析します。
- 設問(4)(5)の別解1: 合成抵抗を用いた解法
- 上記の別解が有益である理由
- 合成抵抗の解法: 未知数(電流や電圧)を個別に計算する必要がなく、計算量が劇的に減るため、試験時間短縮と計算ミス防止に直結します。
- 微積分の解法: 「なぜ測定誤差が生まれるのか」を数式の構造から深く理解でき、設問Qのような定性的な問いに対しても、論理的かつ即座に答えられる応用力が身につきます。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる数値や大小関係は模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「電流計・電圧計の改造と測定誤差」です。
計器の内部抵抗が測定値に与える影響を、回路の構造から定量的に評価する力が問われています。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 分流器と倍率器の原理: 電流計の測定範囲を広げるには並列に抵抗(分流器)を、電圧計として使うには直列に抵抗(倍率器)を接続します。
- オームの法則とキルヒホッフの法則: 回路解析の基本です。
- 実在の計器のモデル化: 理想的な電流計(内部抵抗 \(0\))や電圧計(内部抵抗 \(\infty\))とは異なり、内部抵抗を持つ抵抗体として扱います。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)(2)では、計器の最大目盛り(フルスケール)における電流・電圧の関係から、必要な抵抗値と合成抵抗を求めます。
- (3)では、回路図における電流の分岐と電圧の配分に着目し、測定値と真値の大小を比較します。
- (4)(5)では、(2)で求めた内部抵抗の値を使い、具体的な測定データから真の抵抗値を逆算します。
問(1)
思考の道筋とポイント
手元にあるのは「内部抵抗 \(10\,\Omega\)、最大目盛り \(10\,\text{mA}\)」の電流計(これを素子 \(A_0\) と呼びます)です。
これを以下の2つの用途に改造します。
- 電流計A(最大 \(100\,\text{mA}\))への改造:
- 素子 \(A_0\) には最大でも \(10\,\text{mA}\) しか流せません。
- 測定したい \(100\,\text{mA}\) のうち、余分な \(90\,\text{mA}\) を別の道(バイパス)に流す必要があります。
- したがって、抵抗を並列に接続します(これを分流器といいます)。
- 電圧計V(最大 \(10\,\text{V}\))への改造:
- 素子 \(A_0\) に最大電流 \(10\,\text{mA}\) が流れたとき、針は最大を指します。
- このとき、端子間の電圧が \(10\,\text{V}\) になるようにしたいのです。
- 素子 \(A_0\) 単体では \(V = RI = 10\,\Omega \times 0.01\,\text{A} = 0.1\,\text{V}\) しか電圧を稼げません。
- 残りの \(9.9\,\text{V}\) を負担させるため、抵抗を直列に接続します(これを倍率器といいます)。
この設問における重要なポイント
- 並列回路の電圧: 並列接続された抵抗には等しい電圧がかかります。
- 直列回路の電流: 直列接続された抵抗には等しい電流が流れます。
- フルスケール条件: 「最大目盛りまで振れたとき」の状態(素子 \(A_0\) に \(10\,\text{mA}\) 流れている状態)で式を立てます。
具体的な解説と立式
1. 電流計Aへの改造(図a参照)
接続する抵抗を \(r_1\) とします。
全体に \(I_{\text{最大}} = 100\,\text{mA}\) 流れたとき、素子 \(A_0\) には \(i_0 = 10\,\text{mA}\) 流れます。
キルヒホッフの第1法則(電流保存)より、抵抗 \(r_1\) に流れる電流 \(i_1\) は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
i_1 &= I_{\text{最大}} – i_0
\end{aligned}
$$
素子 \(A_0\) と抵抗 \(r_1\) は並列なので、電圧降下が等しくなります。
素子 \(A_0\) の内部抵抗を \(r_0 = 10\,\Omega\) とすると、以下の式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
r_1 i_1 &= r_0 i_0
\end{aligned}
$$
2. 電圧計Vへの改造(図b参照)
接続する抵抗を \(r_2\) とします。
全体に \(V_{\text{最大}} = 10\,\text{V}\) かかったとき、回路には素子 \(A_0\) の最大電流 \(i_0 = 10\,\text{mA}\) が流れます。
回路全体の電圧降下の和が電源電圧に等しいので、以下の式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
(r_0 + r_2) i_0 &= V_{\text{最大}}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- オームの法則: \(V = RI\)
- キルヒホッフの法則(電流則・電圧則)
電流計Aの場合:
まず \(i_1\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
i_1 &= 100\,\text{mA} – 10\,\text{mA} \\[2.0ex]
&= 90\,\text{mA}
\end{aligned}
$$
式に値を代入して \(r_1\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
r_1 \times 90\,\text{mA} &= 10\,\Omega \times 10\,\text{mA} \\[2.0ex]
r_1 &= \frac{10 \times 10}{90} \\[2.0ex]
&= \frac{100}{90} \\[2.0ex]
&= \frac{10}{9} \\[2.0ex]
&\approx 1.11\dots\,\Omega
\end{aligned}
$$
有効数字2桁で答えます。
$$
\begin{aligned}
r_1 &\approx 1.1\,\Omega
\end{aligned}
$$
接続方法は「並列」です。
電圧計Vの場合:
式に値を代入して \(r_2\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
(10\,\Omega + r_2) \times 10 \times 10^{-3}\,\text{A} &= 10\,\text{V} \\[2.0ex]
10 + r_2 &= \frac{10}{10 \times 10^{-3}} \\[2.0ex]
10 + r_2 &= 1000 \\[2.0ex]
r_2 &= 1000 – 10 \\[2.0ex]
&= 990\,\Omega
\end{aligned}
$$
有効数字2桁で答えます。
$$
\begin{aligned}
r_2 &= 9.9 \times 10^2\,\Omega
\end{aligned}
$$
接続方法は「直列」です。
元のメーターはとても繊細で、少しの電気(\(10\,\text{mA}\))しか通せません。
たくさんの電気(\(100\,\text{mA}\))を測りたいときは、メーターの横に「抜け道」を作ってやり、大半の電気(\(90\,\text{mA}\))をそちらに流します。これが並列接続です。
高い電圧(\(10\,\text{V}\))を測りたいときは、メーターの手前に「邪魔もの(抵抗)」を置いて電圧を消費させ、メーター自体には無理のない電圧しかかからないようにします。これが直列接続です。
電流計用の抵抗 \(r_1 \approx 1.1\,\Omega\) は元の抵抗 \(10\,\Omega\) より小さく、電流の大半をバイパスする役割に適しています。
電圧計用の抵抗 \(r_2 = 990\,\Omega\) は元の抵抗より大きく、電圧の大半を負担する役割に適しています。
これらは物理的に妥当な結果です。
電圧計用: \(9.9 \times 10^2\,\Omega\) の抵抗を直列に接続する
問(2)
思考の道筋とポイント
改造後の計器全体を「一つの抵抗体」とみなしたときの抵抗値(内部抵抗)を求めます。
(1)で求めた構成要素を使って合成抵抗を計算するだけです。
この設問における重要なポイント
- 電流計Aの内部抵抗 \(r_A\): \(r_0\) と \(r_1\) の並列合成抵抗です。
- 電圧計Vの内部抵抗 \(r_V\): \(r_0\) と \(r_2\) の直列合成抵抗です。
具体的な解説と立式
電流計Aの内部抵抗 \(r_A\)
抵抗 \(r_0 = 10\,\Omega\) と \(r_1 = \frac{10}{9}\,\Omega\) が並列接続されています。
並列合成抵抗の公式より、以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{r_A} &= \frac{1}{r_0} + \frac{1}{r_1}
\end{aligned}
$$
電圧計Vの内部抵抗 \(r_V\)
抵抗 \(r_0 = 10\,\Omega\) と \(r_2 = 990\,\Omega\) が直列接続されています。
直列合成抵抗の公式より、以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
r_V &= r_0 + r_2
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 並列合成抵抗: \(\frac{1}{R} = \frac{1}{R_1} + \frac{1}{R_2}\)
- 直列合成抵抗: \(R = R_1 + R_2\)
\(r_A\) の計算:
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{r_A} &= \frac{1}{10} + \frac{1}{10/9} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{10} + \frac{9}{10} \\[2.0ex]
&= \frac{10}{10} \\[2.0ex]
&= 1
\end{aligned}
$$
逆数をとります。
$$
\begin{aligned}
r_A &= 1.0\,\Omega
\end{aligned}
$$
\(r_V\) の計算:
$$
\begin{aligned}
r_V &= 10 + 990 \\[2.0ex]
&= 1000 \\[2.0ex]
&= 1.0 \times 10^3\,\Omega
\end{aligned}
$$
改造した電流計は、電気の通り道が2つに増えたので、元のメーターよりも電気が通りやすくなっています(抵抗が \(10\,\Omega \to 1\,\Omega\) に減った)。
改造した電圧計は、通り道に障害物が増えたので、電気が通りにくくなっています(抵抗が \(10\,\Omega \to 1000\,\Omega\) に増えた)。
理想的な電流計は抵抗 \(0\)、電圧計は抵抗 \(\infty\) ですから、改造によってそれぞれの理想に近づいたと言えます。
\(r_A = 1.0\,\Omega\)、\(r_V = 1.0 \times 10^3\,\Omega\) という値が得られました。
電流計の内部抵抗は小さく、電圧計の内部抵抗は大きいという一般的な性質と一致しています。
\(r_V\): \(1.0 \times 10^3\,\Omega\)
問(3)
思考の道筋とポイント
図1と図2の回路において、電流計Aと電圧計Vが「何を」測っているのかを正確に把握し、真の抵抗値 \(R\) と測定値(\(R_1, R_2\))の大小関係を導きます。
- 測定値の定義: \(R_{\text{測}} = \frac{\text{電圧計の読み } V}{\text{電流計の読み } I}\)
- 真の値: \(R = \frac{\text{抵抗Rにかかる電圧 } V_R}{\text{抵抗Rを流れる電流 } I_R}\)
この設問における重要なポイント
- 図1(電圧計が並列、その外に電流計):
- 電圧計Vは抵抗 \(R\) に直接つながっているので、\(R\) の電圧を正しく測っています(\(V = V_R\))。
- 電流計Aは、\(R\) に流れる電流だけでなく、電圧計に漏れる電流も合わせて測ってしまいます(\(I > I_R\))。
- 図2(電流計が直列、その外に電圧計):
- 電流計Aは抵抗 \(R\) と直列なので、\(R\) の電流を正しく測っています(\(I = I_R\))。
- 電圧計Vは、\(R\) の電圧だけでなく、電流計での電圧降下も合わせて測ってしまいます(\(V > V_R\))。
具体的な解説と立式
図1の解析
計器の記号を入れる位置は、抵抗 \(R\) と並列になっているのが電圧計V、それらと直列になっているのが電流計Aです。
測定値 \(R_1\) は以下のように表せます。
$$
\begin{aligned}
R_1 &= \frac{V}{I}
\end{aligned}
$$
ここで、電流計の読み \(I\) は、抵抗 \(R\) を流れる電流 \(I_R\) と電圧計を流れる電流 \(I_V\) の和です。
$$
\begin{aligned}
I &= I_R + I_V
\end{aligned}
$$
\(I_V > 0\) なので \(I > I_R\) です。また、電圧計は並列なので \(V = V_R\) です。
したがって、以下の不等式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
R_1 &= \frac{V_R}{I_R + I_V} \\[2.0ex]
&< \frac{V_R}{I_R} \\[2.0ex]
&= R
\end{aligned}
$$
よって、\(R_1 < R\) となります。
図2の解析
抵抗 \(R\) と直列になっているのが電流計A、全体と並列になっているのが電圧計Vです。
測定値 \(R_2\) は以下のように表せます。
$$
\begin{aligned}
R_2 &= \frac{V}{I}
\end{aligned}
$$
ここで、電圧計の読み \(V\) は、抵抗 \(R\) の電圧 \(V_R\) と電流計の電圧降下 \(V_A\) の和です。
$$
\begin{aligned}
V &= V_R + V_A
\end{aligned}
$$
\(V_A > 0\) なので \(V > V_R\) です。また、電流計は直列なので \(I = I_R\) です。
したがって、以下の不等式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
R_2 &= \frac{V_R + V_A}{I_R} \\[2.0ex]
&> \frac{V_R}{I_R} \\[2.0ex]
&= R
\end{aligned}
$$
よって、\(R < R_2\) となります。
これらをまとめると、\(R_1 < R < R_2\) です。
使用した物理公式
- オームの法則: \(R = V/I\)
- キルヒホッフの法則
(解説と立式の中で不等式の証明を行いました)
図1では、電流計が「抵抗に行きたい電気」と「電圧計に漏れた電気」の両方をカウントしてしまうため、電流の測定値が本来より大きくなります。分母(電流)が大きくなるので、計算される抵抗値 \(R_1\) は本来より小さくなります。
図2では、電圧計が「抵抗にかかる電圧」と「電流計でロスした電圧」の両方をカウントしてしまうため、電圧の測定値が本来より大きくなります。分子(電圧)が大きくなるので、計算される抵抗値 \(R_2\) は本来より大きくなります。
\(R_1\) は真値より小さく、\(R_2\) は真値より大きくなるという結論は、計器の内部抵抗の影響(分流・分圧)を正しく反映しています。
大小関係: \(R_1 < R < R_2\)
問(4)
思考の道筋とポイント
図1の接続において、具体的な測定値 \(I=67\,\text{mA}, V=5.8\,\text{V}\) が与えられました。
ここから、測定値 \(R_1\) と真の抵抗値 \(R\) を求めます。
\(R_1\) は単に \(V/I\) で求まります。
\(R\) を求めるには、電流計の読み \(I\) から「電圧計に漏れた電流 \(I_V\)」を差し引き、真の電流 \(I_R\) を求める必要があります。
この設問における重要なポイント
- 電圧計の電流: 電圧計には電圧 \(V=5.8\,\text{V}\) がかかっています。内部抵抗は \(r_V = 1000\,\Omega\) です。オームの法則で流れる電流 \(I_V\) が計算できます。
- キルヒホッフの第1法則: \(I_R = I – I_V\) です。
具体的な解説と立式
\(R_1\) の算出
定義通り計算します。
$$
\begin{aligned}
R_1 &= \frac{V}{I}
\end{aligned}
$$
\(R\) の算出
電圧計に流れる電流 \(I_V\) は、オームの法則より以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
I_V &= \frac{V}{r_V}
\end{aligned}
$$
抵抗 \(R\) に流れる電流 \(I_R\) は、全電流 \(I\) から \(I_V\) を引いたものです。
$$
\begin{aligned}
I_R &= I – I_V \\[2.0ex]
&= I – \frac{V}{r_V}
\end{aligned}
$$
真の抵抗値 \(R\) は、\(V\) をこの \(I_R\) で割ることで求まります。
$$
\begin{aligned}
R &= \frac{V}{I_R} \\[2.0ex]
&= \frac{V}{I – \frac{V}{r_V}}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- オームの法則: \(I = V/R\)
- キルヒホッフの第1法則: \(I_{\text{入}} = I_{\text{出}}\)
\(R_1\) の計算:
$$
\begin{aligned}
R_1 &= \frac{5.8\,\text{V}}{67 \times 10^{-3}\,\text{A}} \\[2.0ex]
&= \frac{5800}{67} \\[2.0ex]
&\approx 86.56\dots\,\Omega
\end{aligned}
$$
有効数字2桁で丸めます。
$$
\begin{aligned}
R_1 &\approx 87\,\Omega
\end{aligned}
$$
\(R\) の計算:
まず \(I_V\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
I_V &= \frac{5.8\,\text{V}}{1000\,\Omega} \\[2.0ex]
&= 0.0058\,\text{A} \\[2.0ex]
&= 5.8\,\text{mA}
\end{aligned}
$$
次に \(I_R\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
I_R &= 67\,\text{mA} – 5.8\,\text{mA} \\[2.0ex]
&= 61.2\,\text{mA} \\[2.0ex]
&= 61.2 \times 10^{-3}\,\text{A}
\end{aligned}
$$
最後に \(R\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
R &= \frac{5.8}{61.2 \times 10^{-3}} \\[2.0ex]
&= \frac{5800}{61.2} \\[2.0ex]
&\approx 94.77\dots\,\Omega
\end{aligned}
$$
有効数字2桁で丸めます。
$$
\begin{aligned}
R &\approx 95\,\Omega
\end{aligned}
$$
測定された電流 \(67\,\text{mA}\) のうち、実は \(5.8\,\text{mA}\) は電圧計の方へ流れてしまっていました。
抵抗 \(R\) に本当に流れていたのは残りの \(61.2\,\text{mA}\) だけです。
この「本当の電流」を使って抵抗値を計算し直すと、正しい値が得られます。
測定値 \(R_1 \approx 87\,\Omega\) は、真の値 \(R \approx 95\,\Omega\) よりも小さくなっています。
これは問(3)の結論 \(R_1 < R\) と一致しており、妥当です。
\(R\): \(95\,\Omega\)
問(5)
思考の道筋とポイント
今度は図2の接続で、同じ抵抗 \(R\)(先ほど求めた \(95\,\Omega\) ではなく、計算精度のために \(94.77\dots\,\Omega\) を使うのが理想ですが、ここでは有効数字を考慮して扱います)を測定した場合の \(R_2\) を求めます。
図2では、測定値 \(R_2\) は「抵抗 \(R\) と電流計の内部抵抗 \(r_A\) の直列合成抵抗」として観測されます。
この設問における重要なポイント
- 直列回路の抵抗加算: 図2の回路では、電圧計は \(R\) と \(A\) の両端の電圧を測っています。電流計は \(R\) と同じ電流を測っています。
- 見かけの抵抗: したがって、\(R_2 = R + r_A\) となります。
具体的な解説と立式
図2において、測定される電圧 \(V\) は、抵抗 \(R\) の電圧 \(V_R\) と電流計の電圧 \(V_A\) の和です。
$$
\begin{aligned}
V &= V_R + V_A \\[2.0ex]
&= R I + r_A I \\[2.0ex]
&= (R + r_A) I
\end{aligned}
$$
測定値 \(R_2\) は \(V/I\) なので、以下の式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
R_2 &= \frac{V}{I} \\[2.0ex]
&= R + r_A
\end{aligned}
$$
これに (4)で求めた \(R\) の値と、(2)で求めた \(r_A\) を代入します。
使用した物理公式
- 直列合成抵抗: \(R_{\text{全}} = R_1 + R_2\)
(4)の計算結果より、\(R \approx 94.77\,\Omega\) でした。
(2)より、\(r_A = 1.0\,\Omega\) です。
$$
\begin{aligned}
R_2 &= 94.77 + 1.0 \\[2.0ex]
&= 95.77\dots\,\Omega
\end{aligned}
$$
有効数字2桁で丸めます。
$$
\begin{aligned}
R_2 &\approx 96\,\Omega
\end{aligned}
$$
図2のつなぎ方だと、電圧計は「抵抗 \(R\)」と「電流計」をセットで測ってしまいます。
そのため、測定結果 \(R_2\) は、本来の抵抗値に電流計の抵抗値(\(1.0\,\Omega\))が上乗せされた値になります。単純な足し算で求められます。
\(R_2 \approx 96\,\Omega\) は真の値 \(95\,\Omega\) よりも大きくなっています。
これは問(3)の結論 \(R < R_2\) と一致します。
また、\(R_1 \approx 87\,\Omega\)(誤差 \(-8\,\Omega\))と \(R_2 \approx 96\,\Omega\)(誤差 \(+1\,\Omega\))を比較すると、この抵抗 \(R\) に対しては図2の接続の方が誤差が小さいことがわかります。
思考の道筋とポイント
模範解答のように電流や電圧を個別に計算するのではなく、測定系全体を「一つの抵抗」とみなして計算します。
問(4)の図1は「\(R\) と \(r_V\) の並列接続」、問(5)の図2は「\(R\) と \(r_A\) の直列接続」とみなせます。
この設問における重要なポイント
- 図1の測定値 \(R_1\): \(R\) と \(r_V\) の並列合成抵抗そのものです。
- 図2の測定値 \(R_2\): \(R\) と \(r_A\) の直列合成抵抗そのものです。
具体的な解説と立式
問(4)について
図1において、電圧計Vは抵抗 \(R\) と並列につながっています。
電流計Aは、この並列回路全体の電流を測り、電圧計Vはこの並列回路全体の電圧を測っています。
したがって、測定値 \(R_1\) は、\(R\) と \(r_V\) の並列合成抵抗に他なりません。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{R_1} &= \frac{1}{R} + \frac{1}{r_V}
\end{aligned}
$$
これを \(R\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{R} &= \frac{1}{R_1} – \frac{1}{r_V}
\end{aligned}
$$
問(5)について
図2において、電流計Aは抵抗 \(R\) と直列につながっています。
電圧計Vは、この直列回路全体の電圧を測り、電流計Aはこの直列回路の電流を測っています。
したがって、測定値 \(R_2\) は、\(R\) と \(r_A\) の直列合成抵抗に他なりません。
$$
\begin{aligned}
R_2 &= R + r_A
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 並列合成抵抗: \(\frac{1}{R} = \frac{1}{R_1} + \frac{1}{R_2}\)
- 直列合成抵抗: \(R = R_1 + R_2\)
問(4)の計算:
\(R_1 = 5.8 / 0.067 \approx 86.567\,\Omega\)、\(r_V = 1000\,\Omega\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{R} &= \frac{1}{86.567} – \frac{1}{1000} \\[2.0ex]
&= 0.01155\dots – 0.00100 \\[2.0ex]
&= 0.01055\dots
\end{aligned}
$$
逆数をとります。
$$
\begin{aligned}
R &= \frac{1}{0.01055\dots} \\[2.0ex]
&\approx 94.77\dots\,\Omega
\end{aligned}
$$
よって \(R \approx 95\,\Omega\) です。
問(5)の計算:
$$
\begin{aligned}
R_2 &= 94.77 + 1.0 \\[2.0ex]
&= 95.77\dots \\[2.0ex]
&\approx 96\,\Omega
\end{aligned}
$$
「測定値」とは、計器から見た「回路の見かけの抵抗」のことです。
図1では、抵抗 \(R\) の横に電圧計という「抜け道」があるので、見かけの抵抗 \(R_1\) は \(R\) より小さくなります(並列合成)。
図2では、抵抗 \(R\) の手前に電流計という「障害物」があるので、見かけの抵抗 \(R_2\) は \(R\) より大きくなります(直列合成)。
この関係式を使えば、電流や電圧をいちいち計算しなくても、直接抵抗値を求められます。
メインの解法と全く同じ結果が得られました。特に問(4)の逆算において、連立方程式を立てる手間が省けるため非常に効率的です。
思考の道筋とポイント
キルヒホッフの法則を「当たり前のルール」として使うのではなく、電磁気学の基本原理である「電位の定義」から出発して回路方程式を導きます。
そして、測定値 \(R_{\text{測}}\) を回路パラメータの関数として厳密に記述し、微分(微小変化の近似)の考え方を用いて誤差構造を解析します。
この設問における重要なポイント
- 電位の定義: 静電場 \(\vec{E}\) は保存力場であり、電位 \(\phi\) を用いて \(\vec{E} = -\nabla \phi\) と表せます。2点間の電位差(電圧)は \(V_{ab} = \phi_a – \phi_b = \int_a^b \vec{E} \cdot d\vec{r}\) です。
- 回路方程式の導出: 閉回路を一周すると元の位置に戻るため、電位の変化の総和は \(0\) になります(\(\oint \vec{E} \cdot d\vec{r} = 0\))。これがキルヒホッフ第2法則の本質です。
- 誤差の解析: 内部抵抗 \(r_A, r_V\) が理想的でない(\(r_A \neq 0, r_V \neq \infty\))ことが、測定値にどのようなズレを生むかを関数として可視化します。
具体的な解説と立式
1. 図1(電圧計並列型)の解析
回路方程式を立てます。電源電圧を \(E\) とします。
$$
\begin{aligned}
E – r_A I – R I_R &= 0 \quad (\text{外周ループ}) \\
R I_R – r_V I_V &= 0 \quad (\text{並列部分のループ})
\end{aligned}
$$
また、電流保存則(電荷保存則 \(\nabla \cdot \vec{j} = 0\) より)から、以下の式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
I &= I_R + I_V
\end{aligned}
$$
測定値 \(R_1\) は \(V/I\) です。ここで \(V = r_V I_V = R I_R\) です。
\(I\) を \(I_R\) で表します。
$$
\begin{aligned}
I &= I_R + \frac{R I_R}{r_V} \\[2.0ex]
&= I_R \left( 1 + \frac{R}{r_V} \right)
\end{aligned}
$$
したがって、\(R_1\) は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
R_1 &= \frac{R I_R}{I_R (1 + \frac{R}{r_V})} \\[2.0ex]
&= \frac{R}{1 + \frac{R}{r_V}}
\end{aligned}
$$
この式は、\(r_V \to \infty\) の極限で \(R_1 \to R\) となることを示しています。
また、\(R/r_V\) が小さいとき、一次近似(\((1+x)^{-1} \approx 1-x\))を用いると、以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
R_1 &\approx R \left( 1 – \frac{R}{r_V} \right)
\end{aligned}
$$
となり、真値 \(R\) よりわずかに小さくなることが数学的に示されます。
2. 図2(電流計直列型)の解析
同様に回路方程式を立てます。
$$
\begin{aligned}
V &= (R + r_A) I
\end{aligned}
$$
測定値 \(R_2\) は \(V/I\) なので、以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
R_2 &= R + r_A
\end{aligned}
$$
この式は、\(r_A \to 0\) の極限で \(R_2 \to R\) となることを示しています。
また、真値 \(R\) より常に \(r_A\) だけ大きくなることが示されます。
使用した物理公式
- 電位差の定義: \(V = \int \vec{E} \cdot d\vec{r}\)
- 近似公式: \((1+x)^{-1} \approx 1-x \quad (|x| \ll 1)\)
問(3)の大小関係:
導出した式より、以下の関係が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
R_1 &= \frac{R}{1 + R/r_V} < R \quad (\text{分母が1より大きい}) \\ R_2 &= R + r_A > R \quad (\text{正の値を加算})
\end{aligned}
$$
よって \(R_1 < R < R_2\) が厳密に証明されました。
問(4)の計算:
\(R_1 = \frac{R}{1 + R/r_V}\) を \(R\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
R_1 \left( 1 + \frac{R}{r_V} \right) &= R \\[2.0ex]
R_1 + \frac{R_1}{r_V} R &= R \\[2.0ex]
R \left( 1 – \frac{R_1}{r_V} \right) &= R_1 \\[2.0ex]
R &= \frac{R_1}{1 – \frac{R_1}{r_V}}
\end{aligned}
$$
数値を代入します(\(R_1 \approx 86.57, r_V = 1000\))。
$$
\begin{aligned}
R &= \frac{86.57}{1 – 0.08657} \\[2.0ex]
&= \frac{86.57}{0.91343} \\[2.0ex]
&\approx 94.77\dots\,\Omega
\end{aligned}
$$
問(5)の計算:
\(R_2 = R + r_A\) に代入します。
$$
\begin{aligned}
R_2 &= 94.77 + 1.0 \\[2.0ex]
&= 95.77\dots\,\Omega
\end{aligned}
$$
回路の法則を「電気の高さ(電位)」の積み上げとして捉え直しました。
数式を整理すると、測定値 \(R_1, R_2\) が、真の抵抗 \(R\) と内部抵抗 \(r_A, r_V\) の関数として綺麗に表せます。
この関数を見ると、「\(r_V\) が無限大なら誤差ゼロ」「\(r_A\) がゼロなら誤差ゼロ」という理想状態が確認でき、さらに現実の誤差がどの程度になるかも一目瞭然です。
原理的な導出からも、合成抵抗を用いた解法と同じ式が得られました。
このアプローチの利点は、誤差の要因(\(R/r_V\) や \(r_A\))が数式として明示されるため、次のQのような定性的な議論の強力な根拠になることです。
Q (定性的議論)
思考の道筋とポイント
最後に、図1と図2のどちらを選ぶべきか、その基準を考えます。
別解2で導出した誤差の式が役に立ちます。
- 図1の誤差: \(R_1 \approx R (1 – \frac{R}{r_V})\) → 誤差率は \(\frac{R}{r_V}\) 程度。
- \(R \ll r_V\) (抵抗 \(R\) が電圧計の内部抵抗より十分小さい)なら誤差は小さい。
- 図2の誤差: \(R_2 = R + r_A = R (1 + \frac{r_A}{R})\) → 誤差率は \(\frac{r_A}{R}\) 程度。
- \(r_A \ll R\) (抵抗 \(R\) が電流計の内部抵抗より十分大きい)なら誤差は小さい。
結論
- \(R\) が小さいとき: \(R \ll r_V\) が成り立ちやすいので、図1(電圧計並列)が有利。
- \(R\) が大きいとき: \(r_A \ll R\) が成り立ちやすいので、図2(電流計直列)が有利。
今回の問題では \(R \approx 95\,\Omega\) です。
- \(r_A = 1.0\,\Omega\) なので、\(r_A \ll R\) (約1/100)はよく成り立っています。
- \(r_V = 1000\,\Omega\) なので、\(R \ll r_V\) (約1/10)はあまり良くありません。
したがって、今回は図2の方が精度が良いと言えます(実際、誤差は \(1\,\Omega\) 対 \(8\,\Omega\) でした)。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 実在する計器のモデル化と回路への影響
- 核心: 理想的な電流計(内部抵抗 \(0\,\Omega\))や電圧計(内部抵抗 \(\infty\,\Omega\))とは異なり、現実の計器は内部抵抗を持つため、接続することで測定対象の回路状態そのものを変化させてしまいます。
- 理解のポイント:
- 電流計: 内部抵抗 \(r_A\) を持つ抵抗体として扱い、直列に入ると全体の抵抗を増やします。
- 電圧計: 内部抵抗 \(r_V\) を持つ抵抗体として扱い、並列に入ると電流を吸い取ります(分流)。
- 分流器と倍率器の原理
- 核心: 測定範囲を広げるために、電流計には「電流の逃げ道(並列抵抗)」を、電圧計には「電圧の負担役(直列抵抗)」を追加して、計器本体にかかる負荷を調整します。
- 理解のポイント:
- 分流器(並列): 電流 \(I\) を \(i_0\)(計器)と \(I-i_0\)(分流器)に分けます。
- 倍率器(直列): 電圧 \(V\) を \(v_0\)(計器)と \(V-v_0\)(倍率器)に分けます。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- ホイートストンブリッジの誤差解析: 電流計の内部抵抗を考慮した場合の平衡条件のズレなどを考える問題。
- 電池の内部抵抗と端子電圧: 電池にも内部抵抗 \(r\) があり、電流が流れると電圧降下 \(rI\) が生じて端子電圧が下がる現象(\(V = E – rI\))。本問の電圧計の誤差と同じ構造です。
- 初見の問題での着眼点:
- 計器を抵抗に置き換える: 回路図中の「A」「V」の記号を、単なる抵抗 \(r_A, r_V\) に書き換えて、純粋な抵抗回路として解析します。
- 「何を測っているか」を言語化する: 測定値 \(R_{\text{測}} = V/I\) の \(V\) と \(I\) が、回路図上のどこの電圧と電流に対応しているかを指差し確認します。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 分流器と倍率器の接続方法の混同:
- 誤解: 「電流計には直列、電圧計には並列」と逆に覚えてしまう、あるいは適当に接続してしまう。
- 対策: 丸暗記は禁止です。「電流を逃がすなら並列(バイパス)」「電圧を分け合うなら直列(分圧)」と、物理的な目的とセットで理解します。
- 単位換算のミス(mAとA):
- 誤解: \(100\,\text{mA}\) をそのまま \(100\) として計算式に入れてしまう。
- 対策: 計算を始める前に、必ず全ての単位を基本単位(A, V, \(\Omega\))に統一します。\(100\,\text{mA} = 0.1\,\text{A}\) と書き出してから立式しましょう。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 合成抵抗を用いた解法(別解1):
- 選定理由: 模範解答のようにキルヒホッフの法則で連立方程式を解くよりも、回路全体を「一つの抵抗」とみなす方が、計算ステップが少なくミスが起きにくいため。
- 適用根拠: 測定値 \(R_{\text{測}}\) が定義上 \(V/I\) であり、これは回路全体の合成抵抗そのものであることが図から明らかだからです。
- 微積分(電位)を用いた解法(別解2):
- 選定理由: 誤差がどのようなパラメータ(\(R/r_V\) や \(r_A/R\))に依存しているかを関数として導出できるため、定性的な議論(設問Q)に最強の根拠を与えるからです。
- 適用根拠: キルヒホッフの法則は電位の一意性(エネルギー保存則)に基づいているため、電位を用いた解析は常に物理的に正しいアプローチです。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 極限的なケースでの検算:
- 意識: 導出した式が物理的に妥当かチェックする習慣を持つ。
- 実践: 測定値の式において、理想的な条件(\(r_A \to 0, r_V \to \infty\))を代入し、真値 \(R\) に一致するか確認します。例えば \(R_2 = R + r_A\) で \(r_A=0\) なら \(R_2=R\) となりOKです。
- 比の計算の活用:
- 意識: 大きな桁の割り算を避ける。
- 実践: 問(1)で \(r_1\) を求める際、\(r_1 : r_0 = i_0 : i_1\) (抵抗の逆比=電流比)を用いると、\(r_1 : 10 = 10 : 90\) から瞬時に \(r_1 = 10/9\) が求まります。オームの法則を真面目に書くより速いです。
[mathjax] SNSでのシェアはご自由にどうぞ。(上のボタンをクリック) ブログで引用する際には、こちらのリンクを添えてください。 【引用】https://makoto-physics-school.com […]
問題29 直流回路 (鳥取大+宮崎大)
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(4)の別解1: 相加相乗平均を用いた解法
- 模範解答やメイン解説では消費電力を電流 \(I\) の関数として扱い、2次関数の最大値問題(平方完成)として解きますが、別解1では消費電力を抵抗 \(R\) の関数として表し、相加相乗平均の不等式を利用して最大値を求めます。
- 設問(2)〜(4)の別解2: 微積分を用いた体系的解法
- 電位の定義から回路方程式を導出し、消費電力の最大化を「関数の微分(極値問題)」として処理する、より数学的・体系的なアプローチをとります。
- 設問(4)の別解1: 相加相乗平均を用いた解法
- 上記の別解が有益である理由
- 相加相乗平均の解法: 分数関数の最大・最小問題において、微分計算を回避できる強力なツールであり、入試数学・物理の定番テクニックです。
- 微積分の解法: 物理現象を数式(関数)として捉え、その変化率(微分)を調べることで最適解を導くという、物理学の王道的な思考プロセスを体感できます。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「乾電池の内部抵抗と最大電力供給」です。
電池は理想的な定電圧源ではなく、内部に抵抗成分(内部抵抗)を持っています。このため、電流を取り出すと端子電圧が降下するという特性があり、これを実験データから読み解く力が問われます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 起電力と端子電圧: 電池本来の能力である起電力 \(E\) と、実際に外部に取り出される端子電圧 \(V\) の関係 \(V = E – rI\) を理解します。
- キルヒホッフの法則: 回路内の電位の上がり下がりを式にします。
- 電力の最大化: 抵抗で消費される電力が最大になる条件(インピーダンスマッチング)を導出します。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)では、電圧計と電流計の適切な配置を考え、回路図を描きます。
- (2)では、キルヒホッフの第2法則を用いて、電圧と電流の関係式を導きます。
- (3)では、実験データのグラフ(\(V-I\) 特性)から、直線の傾きと切片を読み取り、\(E\) と \(r\) を決定します。
- (4)では、消費電力を数式で表し、変数を整理して最大値を求めます。
問(1)
ここから先が、他の受験生と差がつく重要パートです。
「解法に至る思考プロセス」を
全て言語化した、超詳細解説。
なぜその公式を使うのか?どうしてその着眼点を持てるのか?
市販の解説では省略されてしまう「行間の思考」を、泥臭く解説しています。
まずは2週間、無料でこの続きを読んでみませんか?