- まずはザックリ理解したい
- イメージを優先したい
- 苦手を克服したい
このような方向けに解説をしていきます。
【今回わかること】
- 摩擦力の種類
- それぞれの摩擦力の大きさ
力についての基本事項をまだ確認してない方は、先に確認しておいてください。
まずはザックリ理解したい イメージを優先したい 苦手を克服したいこのような方向けに解説をしていきます。【今回わかること】 力の表し方 覚えなきゃいけない6個の力 それぞれ[…]
摩擦力は3種類ある
まずは、この摩擦力を実感してみましょう。
スマホをこのように持ってみてください。指先だけで持つのがコツです。
このように指先だけでスマホを持つことができるのは、まさに摩擦力のおかげです。
摩擦力がなかったら、上の図のように持つことは不可能になります。
いまいちピンとこない場合は、自分の手とスマホが氷で覆われているところを想像してみてください。
ツルツルすべってスマホを落としてしまうはずです。
普通に持つことができるということは、指先とスマホの間に摩擦力が働いて、すべるのを阻止してくれているということです。
実は、「摩擦力」というのは状況によって3種類に分かれます。
次はその3種類の分類をしていきましょう!
3種類の状況と摩擦力の名前
①~③のように、状況によって摩擦力の名前が変わります。
最初はややこしく感じるかもしれませんが、すべて向きは同じです。
あとは物体の動きに注目してあげるだけで、どの摩擦力なのかは簡単に判断できるので安心してください。
3種類の摩擦力をイメージするために、大きな箱を押している状況を考えてみましょう。
- 押してるけど動かない状況
- 動きだす直前の状況
- 動いている状況
この3つの瞬間を切りとって見ていきます。
押してるけど動かない状況
学校の本棚や教卓など、大きな箱を押しているところをイメージしてみてください。
すこし押したくらいでは動きませんよね?
この押してるのに動いていないときに働く摩擦力を『静止摩擦力』と呼びます。
名前の通り、「静止」しているときの「摩擦力」で『静止摩擦力』ということです。
動き出す直前の状況
大きな箱を押す力を少しずつ強くしていくと、動くのを邪魔する力「静止摩擦力」も少しずつ大きくなっていきます。
そして、押す力を少しずつ強くしていくと、大きな箱もそのうち動き出します。
その動き出す直前、つまり『ギリギリ静止している状況』を想像してください。
このとき、「静止摩擦力」という動くのを邪魔する力が最大限まで大きくなっているはずです。
このときの摩擦力を「静止摩擦力」が「最大」まで大きくなっている状態なので『最大(静止)摩擦力』と呼びます。
ちなみに、(静止)となっているのは
- 最大静止摩擦力
- 最大摩擦力
と、人によって呼び方が分かれるためです。
動いている状況
先ほどのギリギリ静止している状況から、さらに押す力を大きくすると、大きな箱も動きはじめます。
教室掃除のときに、教卓などの大きな箱を引きずりながら動かしている状況と同じです。
動いているときにも摩擦力は働いています。
「動」いているときに働く「摩擦力」ということで『動摩擦力』と呼びます。
3種類の摩擦力の関係を整理しておきます。
なにか物に力を加えて動かそうとしたときについて考えてみましょう。
- 余裕で静止している
- ギリギリ静止する瞬間がくる
- 動き出す
この状況ごとに摩擦力を分類すると次のようになります。
- 静止摩擦力
- 最大(静止)摩擦力
- 動摩擦力
まずは名前をスラっと言えるようにしましょう!
3種類の摩擦力の大きさ
摩擦力が問題で出てきたときにミスが発生しやすくなります。
なぜなら、3種類の摩擦力の大きさを整理できていないため、作図の時点ですでに間違えてるという人が多いです。
静止摩擦力の大きさ \(f\)
摩擦(friction)の頭文字。
この大きさの置きかたは垂直抗力や張力と同じで、静止摩擦力の大きさは状況次第で変わってしまうためです。
- 箱が弱いチカラで押されているときは、静止摩擦力も弱い
- 箱が強いチカラで押されているときは、静止摩擦力も強い
なので、とりあえず『 \(f\) 』という文字で置いておいて、実際の大きさは「力のつり合い」から求めることになります。
最大静止摩擦力の大きさ \(μN\)
最大静止摩擦力の大きさは、次の2つで決まります。
- 物と床が触れている部分のザラザラ具合
- 上から押さえつける力
静止摩擦係数 \(μ\)
\(μ\) (読み方:ミュー) はザラザラ具合を表す数値というイメージです。
- ツルツルの場合は「\(μ\)が小さい」
- ザラザラの場合は「\(μ\)が大きい」
このザラザラ具合によってどこまで物を静止させていられるかが決まる、というのは直感的にイメージしやすいでしょう。
実際に問題を解くときは「静止摩擦係数を〇〇とする」と書かれることが多いです。
そのときに、「\(μ\)の部分に代入する値のことなのか!」と判断できればOKです。
垂直抗力 \(N\)
なぜ垂直抗力が突然出てくるのか。
それを解決するために、次の質問について考えてみましょう!
「①机」のほうが「②イス」と比べると重いので、すこし強めの力で押さないと動きません。
これだけだと1つ疑問が出てきます。
しかし、実はそうではないんです。
次の質問について考えてもらえば実感できます。
この場合は、「②人が座っているイス」のほうが動かすのは大変ですよね?
ただし、ここで注目してもらいたいのはイスの重力(重さ)はどうなったかという点です。
イス自体の重力が変わったわけではありません。
座っている人がイスを下向きに押す力が増えたという状態です。
このように、イスの上に別のものが乗れば動かすのは大変になる、つまり最大静止摩擦力は大きくなっていきます。
そこで、状況次第で何種類足せばいいのか分からない「重さ」ではなく、『垂直抗力』に注目してあげるとシンプルです。
上の図のように、「座っている人がイスを押す力」+「イスの重力(重さ)」=『垂直抗力』というのが力のつり合いから分かります。
つまり、イスの上にどれだけ物が乗ったとしても、その力の大きさの合計は『垂直抗力』という1つの力で表せるので便利です。
これが、最大静止摩擦力の大きさに『垂直抗力\(N\)』が登場する理由になります。
動摩擦力の大きさ \(μ’N\)
先ほどの最大静止摩擦力にとても似ています。
違いとしては「\(μ’\)」という部分です。
動摩擦係数 \(μ’\)
\(μ’\) は静止摩擦係数と同じで、ザラザラ具合を表す数値というイメージです。
- ツルツルの場合は「\(μ’\)が小さい」
- ザラザラの場合は「\(μ’\)が大きい」
実際に問題を解くときは「動摩擦係数を〇〇とする」と書かれることが多いです。
そのときに、「\(μ’\)の部分に代入する値のことなのか!」と判断できればOK。
ただし、動摩擦係数はいつも\(μ’\)というわけではないので注意してください。
問題によっては、動摩擦係数を\(μ\)とすることもあります。
- 問題で指定があればその文字を使う
- 問題で指定がなければ\(μ’\)とする
という覚え方で問題ありません。
垂直抗力 \(N\)
動摩擦力の大きさに『垂直抗力\(N\)』が出てくる理由は、最大静止摩擦力のときと同じです。
実際に問題で摩擦力を使っているところを見たい方は、こちらからチェックしてみてください。
摩擦に関する問題にチャレンジもできます!
ほかにも覚えておかなければいけない力もあるので、まだ整理できていない方はこちらをチェックしておきましょう!
まずはザックリ理解したい イメージを優先したい 苦手を克服したいこのような方向けに解説をしていきます。【今回わかること】 力の表し方 覚えなきゃいけない6個の力 それぞれ[…]