- まずはザックリ理解したい
- イメージを優先したい
- 苦手を克服したい
このような方向けに解説をしていきます。
【今回わかること】
- 保存力とはなにか
- 保存力と位置エネルギーについて
- 非保存力とはなにか
保存力とは「経路」と「仕事」がポイント
仕事は『力×力の方向に移動した距離』で求めることができます。
今回は、重力のする仕事について考えてみましょう。
1階から2階まであがるとき、階段を使う場合とエレベーターを使う場合で、重力の仕事はどれくらい違うでしょうか。
階段の場合は、1段のぼると重力50Nで力と逆向きに0.2m移動するので50×(-0.2)で-10Jの仕事をします。
さらに、1階から2階までの間に15段あるので、-10Jの仕事を15回くり返す。
つまり、-10×15で–150Jの仕事をすることになります。
この例からわかることは、『重力の仕事はどんなルートを通ったか関係ない。スタート地点とゴール地点で決まる』ということです。
このように、経路によらず仕事の量が決まる力のことを『保存力』と呼びます。
重力と弾性力の仕事は位置エネルギーとして考える
仕事とエネルギーの関係を考えるとき、重力と弾性力のする仕事は位置エネルギーとして考えます。
物体が上下に動くと重力は毎回仕事をすることになります。
それならば仕事として考えるのではなく、「高さに関係するエネルギーを持っている」と考える方がシンプルです。
重力のする仕事を『重力による位置エネルギー』
弾性力のする仕事を『弾性力による位置エネルギー』
つまり、仕事とエネルギーの関係式を作るときは、重力・弾性力以外の力がする仕事について考えるということになります。
非保存力と保存力の違い
保存力が「どんなルートを通ったかによらず、スタートとゴールで仕事の量が決まる力」なのに対して、非保存力は『通ったルートによって仕事の量が変わる力』です。
タイヤを引きながら走るトレーニングについて考えてみましょう。
タイヤを引きずっているときに、地面とタイヤのあいだには動摩擦力が働きます。
この動摩擦力は、タイヤが動く向きと逆向きに働くので負の仕事をします。
では、『真っすぐ進むとき』と『遠回りをして進むとき』では、動摩擦力のする負の仕事の量はどう違うでしょう。
真っすぐ進むときと比べると、遠回りをしているほうが移動距離は長いです。
つまりBのほうが動摩擦力のする負の仕事が多いということになります。
このように、通るルートによって仕事の量が変わってしまう力のことを『非保存力』と呼びます。
まとめ
- 保存力とは『経路に関係なく、スタートとゴールだけで仕事の量が決まる力』のこと
- 非保存力とは『経路によって仕事の量が変わる力』のこと
- 重力・弾性力は代表的な保存力
- 保存力の仕事は位置エネルギーとして考える