2限目:物質波(ド・ブロイ波)|原子・最短攻略パック

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講義ノート

【今回のポイント】

  • 光だけでなく、電子やボールなど「粒子」にも波としての性質がある(粒子と波動の二重性)
  • 物質波(ド・ブロイ波)の波長は \( \lambda = \frac{h}{mv} \) で求められる
  • 日常の物体は波長が極端に短く波の性質を観測できないが、電子ほど軽い粒子なら波長が観測可能な大きさになる
  • 電圧 \( V \) で加速した電子のド・ブロイ波長は \( \lambda = \frac{h}{\sqrt{2meV}} \) で求められる

【講義解説】

粒子と波動の二重性

前回の講義で、光が「波であると同時に粒子でもある」という二重性を学びました。1924年にド・ブロイは、この考えをさらに押し進めて大胆な仮説を提唱しました。

「光だけでなく、電子やボールなどのあらゆる粒子にも波としての性質がある」

この仮説は当初驚きをもって迎えられましたが、1927年にデビソンとジャーマーが電子線を結晶に当てる実験を行い、電子線が回折パターン(干渉縞)を示すことを確認しました。干渉は波特有の現象ですから、これは電子が波としての性質を持つことの直接的な証拠です。

粒子としての性質を持つ波(光子)に対して、波の性質を持つ粒子が作り出す波を「物質波」または「ド・ブロイ波」と呼びます。

物質波(ドブロイ波)シミュレータ
粒子の質量と速度からドブロイ波長を計算し、波束の振る舞いを可視化
パラメータ設定
データ表示
・運動量 p = mv: 9.0
・ドブロイ波長 λ ∝ 1/p: 0.222
操作パネル

 

ド・ブロイ波長の公式

光子の運動量が \( p = \frac{h}{\lambda} \) で表されることを前回学びました。この関係式を変形すると、

$$
\lambda = \frac{h}{p}
$$

ド・ブロイは、この式が光子だけでなくあらゆる粒子にも成り立つと考えました。粒子の運動量は \( p = mv \) ですから、

$$
\lambda = \frac{h}{p} = \frac{h}{mv}
$$

これが「ド・ブロイ波長」の公式です。

この式から分かる重要なポイントは、質量 \( m \) や速さ \( v \) が大きいほど、波長 \( \lambda \) は短くなるということです。日常の物体(ボールや人間)は質量が非常に大きいため、波長が極端に短くなり、波としての性質はまったく観測できません。一方、電子のように極めて軽い粒子では、波長が観測可能な大きさになるのです。

ボールを壁に向かって投げたとき、壁の穴を通り抜けたボールが回折して広がる……ということは日常では起こりません。それはボールの質量が大きすぎて波長が短すぎるからです。しかし、電子を同様の実験装置に通すと、波としての干渉パターンが実際に観測されます。

 

電圧 \( V \) で加速した電子のド・ブロイ波長

入試でよく出るパターンとして、電圧 \( V \) で加速した電子のド・ブロイ波長を求める問題があります。

電圧 \( V \) で加速された電子は、静止状態からエネルギーを得て運動を始めます。このとき、電子が得るエネルギーは \( eV \)(電気素量 \( \times \) 電圧)です。これが運動エネルギーに変換されるので、

$$
\frac{1}{2}mv^2 = eV
$$

この式から速さ \( v \) を求めると、

$$
v = \sqrt{\frac{2eV}{m}}
$$

これをド・ブロイ波長の公式に代入します。

$$
\begin{aligned}
\lambda &= \frac{h}{mv} \\[2.0ex] &= \frac{h}{m \cdot \sqrt{\frac{2eV}{m}}} \\[2.0ex] &= \frac{h}{\sqrt{2meV}}
\end{aligned}
$$

電圧 \( V \) で加速した電子のド・ブロイ波長は \( \lambda = \frac{h}{\sqrt{2meV}} \)。この導出過程は頻出なので、自分で最初から導けるように練習しておきましょう。

 


練習問題の解説

① 人間のド・ブロイ波長(練習問題1)

【問題】
体重 \( 50\,\text{kg} \) の人が秒速 \( 1\,\text{m/s} \) で歩いているとき、この人の物質波の波長を求めよ。ただし、プランク定数を \( h = 6.6 \times 10^{-34}\,\text{J}\cdot\text{s} \) とする。

 

【解説】
ド・ブロイ波長の公式に代入します。

$$
\begin{aligned}
\lambda &= \frac{h}{mv} \\[2.0ex] &= \frac{6.6 \times 10^{-34}}{50 \times 1} \\[2.0ex] &= 1.3 \times 10^{-35}\,\text{m}
\end{aligned}
$$

原子の大きさ(\( 10^{-10}\,\text{m} \))よりもはるかに小さく、観測は不可能です。これが、日常生活で人間の波としての性質が現れない理由です。

【答え】\( \lambda = 1.3 \times 10^{-35}\,\text{m} \)

 


② 低速の電子のド・ブロイ波長(練習問題2)

【問題】
毎秒 \( 1\,\text{mm} \) の速さで運動する電子のド・ブロイ波長を求めよ。ただし、プランク定数を \( h = 6.6 \times 10^{-34}\,\text{J}\cdot\text{s} \)、電子の質量を \( m = 9.1 \times 10^{-31}\,\text{kg} \) とする。

 

【解説】
まず、速さの単位を m/s に変換します。

$$
v = 1\,\text{mm/s} = 1 \times 10^{-3}\,\text{m/s}
$$

ド・ブロイ波長の公式に代入します。

$$
\begin{aligned}
\lambda &= \frac{h}{mv} \\[2.0ex] &= \frac{6.6 \times 10^{-34}}{9.1 \times 10^{-31} \times 1 \times 10^{-3}} \\[2.0ex] &= \frac{6.6 \times 10^{-34}}{9.1 \times 10^{-34}} \\[2.0ex] &\approx 0.73\,\text{m}
\end{aligned}
$$

分母の指数部分が \( 10^{-31} \times 10^{-3} = 10^{-34} \) となり、分子の \( 10^{-34} \) と相殺されて、波長がおよそ \( 0.73\,\text{m} \) という日常スケールの値になります。電子は質量が極めて小さいため、ゆっくり動いているだけでもこれだけ大きな波長を持つのです。

【答え】\( \lambda \approx 0.73\,\text{m} \)

 


③ 電圧加速した電子のド・ブロイ波長(練習問題3)

【問題】
静止していた電子を電圧 \( V \) で加速したとき、この電子のド・ブロイ波長を \( h, m, e, V \) を用いて表せ。ただし、電子の質量を \( m \)、電気素量を \( e \)、プランク定数を \( h \) とする。

 

【解説】
電圧 \( V \) で加速された電子のエネルギー保存則より、

$$
\frac{1}{2}mv^2 = eV
$$

速さ \( v \) について解くと、

$$
v = \sqrt{\frac{2eV}{m}}
$$

これをド・ブロイ波長の公式 \( \lambda = \frac{h}{mv} \) に代入します。

$$
\begin{aligned}
\lambda &= \frac{h}{mv} \\[2.0ex] &= \frac{h}{m \cdot \sqrt{\frac{2eV}{m}}} \\[2.0ex] &= \frac{h}{\sqrt{m^2 \cdot \frac{2eV}{m}}} \\[2.0ex] &= \frac{h}{\sqrt{2meV}}
\end{aligned}
$$

【答え】\( \lambda = \frac{h}{\sqrt{2meV}} \)

 


【重要公式まとめ】

ド・ブロイ波長(物質波の波長)
$$
\lambda = \frac{h}{mv} = \frac{h}{p}
$$
\( h \):プランク定数  \( m \):粒子の質量 \( [\text{kg}] \)  \( v \):粒子の速さ \( [\text{m/s}] \)  \( p \):運動量 \( [\text{kg}\cdot\text{m/s}] \)
電圧 \( V \) で加速した電子のド・ブロイ波長
$$
\lambda = \frac{h}{\sqrt{2meV}}
$$
導出:\( \frac{1}{2}mv^2 = eV \) → \( v = \sqrt{\frac{2eV}{m}} \) → \( \lambda = \frac{h}{mv} \) に代入
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以下のテキストをコピーして、「まことAI」にそのまま貼り付けてみてください。直感的にイメージしにくい物理の現象を、別の角度からわかりやすく解説してくれます。

「粒子と波動の二重性について質問です。電子や人間などの『物質』が波の性質(ド・ブロイ波)を持つと習いましたが、どうしてもイメージできません。野球のボールが空間をウネウネと波打って飛んでいくようなイメージをしてしまうのですが、それは違いますよね?『物質が波の性質を持つ』とはどういう状態のことなのか、中学生でもわかるような身近な例えを使って解説してくれませんか?」
📝 定着度チェッククイズ(全3問)

タップ(クリック)すると答えが表示されます。

Q1. ド・ブロイ波長の公式 \( \lambda = \frac{h}{mv} \) によると、動いている物体の「質量」が大きいほど、その物質波の波長はどうなりますか?
【正解】 短くなる

式の分母に質量 \( m \) があるため、質量と波長は反比例の関係にあります。したがって、質量が大きい物体ほどド・ブロイ波長は短くなります。

Q2. 人間が歩いたりボールを投げたりしたとき、回折や干渉といった「波の性質」がまったく観測できないのはなぜですか?
【正解】 質量が大きすぎて、波長が極端に短いため

日常の物体は電子などに比べて質量が非常に大きいため、ド・ブロイ波長がほぼゼロ(約 \( 10^{-35}\,\text{m} \) など)になってしまいます。そのため、波としての性質が現れません。

Q3. 電圧 \( V \) で電子を加速したときの波長を求める問題で、一番最初に立てるべき方程式(保存則)は何ですか?
【正解】 エネルギー保存則 (\( \frac{1}{2}mv^2 = eV \))

電圧 \( V \) によって電子が得たエネルギー \( eV \) が、すべて運動エネルギー \( \frac{1}{2}mv^2 \) に変わるという式からスタートします。ここから速さ \( v \) を求めて、公式に代入する流れは頻出です。

 

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💡 ヒント:「自分なりに考えたこと」は、「光電効果の式でWとhνの関係がよく分からない」「ボーアの量子条件の意味がピンとこない」など、素直な気持ちでOKです!

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まことAIから返信が来たら、そこからが本番です!一度の質問で終わらせず、LINEで先生と話すように会話を続けてみましょう。

💬 こんな風に返信してみて!(質問のコツ)

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共田 誠(まこと先生)

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共田 誠(まこと先生)

高校物理講師・プロ家庭教師 / 指導歴14年

上智大学理工学部物理学科卒。私立高校の非常勤講師として進学クラスから基礎クラスまで幅広く担当。大手家庭教師センター3社でプロ家庭教師を経験し、現在はオンライン専門で全国の高校生を個別指導中。

暗記物理の撲滅」を掲げ、生徒の思考のクセを診断・矯正するドクター型アプローチで指導。表面的なテクニックではなく、初見の問題に強い思考力を育てる。

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